期待!化学反応 釜石と神奈川の高校生ら交流 合言葉は「震災の記憶伝承と防災」


2023/04/10
釜石新聞NewS #防災・安全

防災に取り組む仲間として親睦を深めた釜石と神奈川の高校生

防災に取り組む仲間として親睦を深めた釜石と神奈川の高校生

 
 釜石高の生徒有志グループ「夢団~未来へつなげるONE TEAM~」を応援しようと、神奈川県で募金活動を展開した2つの学生団体が1日、釜石市を訪れ、夢団メンバーと交流した。両地域の学生に共通するのは「東日本大震災の記憶と防災の取り組みをつなぐ」との熱い思い。それぞれの活動を紹介し合い、刺激し合うことで起こる「化学反応」に期待を寄せた。
  
 来釜したのは、鎌倉市で防災に取り組む中高生ボランティアグループ「玄海」代表の橋本玄(はるか)さん(金沢総合高3年)と、逗子市で同様の活動を行う「3.11つなぐっぺし」代表の田島太地(だいち)さん(同)。それぞれの市で3月11日を中心に街頭に立って募金活動を行った。「私たちは震災の記憶を持つ最後の世代。岩手県釜石市で伝承活動をしている高校生を応援しています」と呼びかけ、玄海は5日間の活動で40万円を集め、つなぐっぺしには4日間で20万5801円が寄せられた。
 
釜石市を訪れた橋本玄さん(左)と田島太地さん

釜石市を訪れた橋本玄さん(左)と田島太地さん

 
鎌倉市や逗子市での募金活動を動画で紹介した

鎌倉市や逗子市での募金活動を動画で紹介した

 
 交流会は大町の情報交流センターであり、夢団代表の小笠原桜さん(釜石高3年)らメンバー11人が迎えた。神奈川の2団体が募金活動を行うきっかけは、3月上旬(3-5日)に夢団が招かれた横浜市での交流行事。橋本さんは「同じ年で、震災の経験や防災の話を伝える姿に感動した。うれしくて応援したくなった」、田島さんは震災を知らない世代が増えていることを踏まえ、「若い世代がつないでいくことが大事。防災を学ぶことで、いざという時に役立っていくはず」と思いを明かした。
  
神奈川からの応援を受け取った小笠原桜さん(中央)ら

神奈川からの応援を受け取った小笠原桜さん(中央)ら

  
 応援金を受け取った後、夢団メンバーは使い道を話し合った。釜石鵜住居復興スタジアムでの語り部や防災食の研究、動画による発信、災害時の判断力を養う防災ゲーム「釜石版クロスロード」の作成などの活動を行っていて、それぞれの取り組みを深化させることを共有。「ユニホームをつくる」「震災の被災地以外でも活動したい」といった声も上がった。
  
 そんな釜高生に、橋本さんは「面白いことをして」と期待。防災士でもあり、「鎌倉は津波想定で、最大14メートル超の波が8分で到達するとされている。災害に弱いまちなので、震災の記憶を受け継ぎたいし、ワンチームで互いに学び合いながら防災を広める活動に取り組みたい。どんな化学反応が起こるか、楽しみ」と目を細めた。
  
共通の話題で意気投合。笑顔で交流を楽しんだ

共通の話題で意気投合。笑顔で交流を楽しんだ

 
やってみたい取り組みを共有する高校生たち

やってみたい取り組みを共有する高校生たち

  
 神奈川の2つの団体は「防災を楽しく」をテーマに、音楽や食、キャンプ、運動会などと組み合わせたイベントで学びを発信している。横浜訪問で2人と顔を合わせていた釜高2年の佐々木有寿(ありす)さんは再会を喜びつつ、「震災被災地と遠く離れた場所でも災害に備え、真剣に取り組んでいることを知って刺激を受けた。人口が多い土地ならではの防災にも興味を持った。もっと広い地域の取り組みを知りたいし、釜石のことに触れてもらう機会も作りたい」と思いを深めた。
 
 小笠原さんも同じ気持ちだ。震災当時4歳で、地震の怖さや自宅のあった鵜住居地区をのみ込む黒い波を覚えている。だからこそ、「記憶を残す最後の世代だ」ということを強く意識する。同年代の応援は心強く、「今の活動をレベルアップさせ、新しいチャレンジもしてみたい。個人的には、小学生に防災を教えるプロジェクトを立ち上げたい」と力をもらった。
 
 

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