星野将利(ほしの しょうり)選手(所属先:日本製鉄株式会社)
2018年加入/1985.10.15生(33歳)/175㎝/87㎏/長野県上伊那郡飯島町出身/明治大学卒
●ラグビーを始めたきっかけ:兄からすすめてもらった
●ポジションの遍歴:CTB・FB・WTB
●ニックネーム:ショッサン
●趣味:釣り、スロット
●好きな食べ物:カレー
●釜石のオススメ:海
●出身地のオススメ:アルプスサーモン
●試合前のルーティン:試合前のシャワー
●ストロングポイント:経験
●サポーター、ファンへメッセージ:楽しんでもらえる試合が出来るようにがんばります。ぜひ、グランドへ来てください。
企画・編集:釜石まちづくり株式会社
取材・文:市川香織(釜石まちづくり株式会社)
写真:西条佳泰(株式会社Grafica)
社会人1年目の年にSWとはここ(松倉)で試合しているんです
ーー2018年に加入されました。SWとはどのようなご縁で?
星野選手:
リコーを退団する事が決まって次のチームを探すとなった時に、前GMの福岡さんが桜庭さんと繋がりをお持ちで連絡を取って下さり、GM兼監督の神鳥さんも僕の釜石行きを後押しして下さったんです。
僕は特にどこのチームに行きたいというのは無かったんですけど、家族は東京に住んでいるので出来れば東京近郊のチームに・・・という事もあって、最後まで色々と考えていました。
でも、釜石が一番早く返事を下さって、ラグビーが出来る環境も整えて下さったので、「ぜひお願いします!」と釜石に来ました。
ーーリコーは、『いわぎんスタジアム』(盛岡)でのトップリーグ(TL)公式戦の機会が多かったですよね?
星野選手:
そうですね、ありましたね。しかも、僕が社会人1年目の年に、リコーはTLからトップイーストリーグに降格して、ここ(松倉)で釜石SWと試合したんです。あの頃はまだ、天然芝のグラウンドでしたよね。SWのクラブハウス周辺の感じはあんまり変わっていないと思うので、そこで着替えしたなぁ・・・とか、釜石に来て何となく思い出しましたね。
その試合で対面だったのが菅野(朋幸)さんで、そのマッチアップで僕が顔面骨折のケガをしたんですよね(笑)。僕が釜石に来てからは、菅野さんとは良く話をする間柄になりましたし、すごく面倒を見ていただきました。今となれば、本当に良い笑い話になりましたけど(笑)。
(写真:釜石シーウェイブスRFC)
ーーそれから、明治大学出身の選手も釜石は多いですよね。
星野選手:
多いですよね!井上益基也は僕のひとつ下で、大学の時から仲が良かったんで、それもあって釜石に決めたというか、心強かったというか・・・。それから、僕が来た時のBKコーチの池田渉さんとはリコーで一緒にプレーしていますし、FWコーチだった松原裕司さんは明治の先輩で、何回かご挨拶した事がありました。
来る前に、益基也と連絡取って「釜石のチームどういう感じなの?」って話を聞く事が出来たのですが、その時に益基也が、「やめるかもしれない」っていう話をしてて。それで、「僕が行くかもしれないからもう1年続けてくれ」ってすごいお願いして・・・。まぁ、それだけでは無かったと本人も言っているんですけど、もう1年やる決心をしてくれて。
僕は、益基也がいてくれて本当に助かりましたね。このチームでは僕は年齢が上の方なので、若い子たちと仲良くなれるかというと、やはりなかなかすぐは難しいので、そういう環境の中で益基也がいてくれて本当に助かりました。昨年引退しましたけど、でも、1年でだけも一緒にプレー出来て良かったです。
ーー釜石での暮らしはどうですか。
星野選手:
僕は釜石がすごく好きですね。東京は何をするにも人が多いですし、車で移動すると、同じ距離でも釜石が15分で着くとしたら、向こうだと場合によっては渋滞とかで1時間以上かかったりするので。
だから、暮らしやすいのは釜石の方ですね。長野の出身なので山に囲まれている所とか似ていて違和感は全然ないですし、海とかも素晴らしいですよね!
こっちにずっと住みたいなって思うくらいなんですけど、家族は仕事や子供の事などもあって東京を離れるのが難しいので、今は離れ離れです。今年は、8月のオフに入ったら僕が東京に戻る感じですね。
グラウンドに立っている15人が同じ考えをしているチームが本当に強いチーム
ーー昨シーズンを振り返って、率直な感想を聞かせてください。
星野選手:
昨年は、練習が18時半とか遅いと19時半からスタートするというスケジュールの経験が無かったので、夕食を摂るタイミングが難くて試行錯誤しました。まぁ、慣れてきたら食べて1時間くらいで寝られるようになったんですけど。
あと、今年との違いで言うと、昨年はコーチからのプレッシャーが強かったですね。今年はコーチからのプレッシャーは少なくて、若手育成の為に、現段階ではしっかり学んで欲しいという感じです。練習の難易度も昨年の方が高かったですけど、“良い練習が出来た”と感じられる日が多かったと思います。
ーーゲームの中での役割、こだわりは?
星野選手:
今年も昨年もだいたいウイングでプレーさせてもらっていて、やっぱりトライを獲ることが仕事のポジションなんですけど、昨年はトライチャンスが少なくて、確か1トライしかしていないんですよ。それで、仕事が出来ていないなぁって思っていました。
それもあって、ボールを持った時には必ず前に出るという事を意識していて、そこは激しく行きたいですし、早くボールくれ!って、積極的に声に出して呼び込んだりしていますね。
それから、昨年は渉さん(池田コーチ)に、経験を活かして試合のコントロールをしてくれと言われていて、ハーフ陣に声を掛けにいったりしていましたが、今年もそれを継続しています。
(写真:釜石シーウェイブスRFC)
ーー釜石は若い子が多いですよね。高卒の選手もいますし。
星野選手:
リコーもけっこう若い選手が多くなって来ていた所だったんですけど、さすがに高卒の選手と一緒になるのは初めてでしたね。僕にとっても、すごく良い経験になっています。
その若い子たちに、“意識”の違いというか、ラグビーに取り組む姿勢と考え方の部分ですね、そういう所はTLでの経験を伝えられたらなと思い、ミーティング等でなるべく多く発言するようにしていますね。
ーーその事は、小野選手が昨シーズンを振り返るインタビューの中で「将利さんが、このチームがTL昇格を目指す為に、チームに必要な事、どのレベルが「スタンダート」なのかを常に示してくれた。そういう存在がチームには必要」と、話されていました。
星野選手:
でも、昨年よりさらにチームが若くなったという事もあって、まだまだ十分とは言えないです。
今は、「今日は良い練習だったな!」という日がほんと数回しかないのですが、本当はその数回を常に出来る様にしなければいけません。そうなればチームは自ずと強くなって行くと思うので、早くそういう雰囲気にして行きたいです。
(写真:釜石シーウェイブスRFC)
ーーそうなる為に、足りない部分はどういう所だと思いますか?
星野選手:
本当に“意識”だけだと思います。ラグビーでは実際、体のサイズは重要ではあるんですけど、体が大きい小さいとか以上に、チームでやろうとしている事を理解して、勝手な事をしないという事の方が重要です。スーパースターが1人いたら勝てるかというとそういうものでもなくて、グラウンドに立っている15人が同じ考えをしているチームが本当に強いチームなので。
あと、僕が今一番言っている事は、練習時のミスの仕方とミスをした後の処理。ミス自体がいけないわけではないんですけど、「ミスしちゃった~」とヘラヘラする奴もいますし、ミスして自分なりにショックを受けているようには見えても、その後すぐにボールを拾わなかったりと言った事が多いので。
また、試合で使うサインプレーなどは、いくら練習でやっていても、試合中は練習で想定しているような局面ばかりになるとは限らないので、そういう状況の変化に対応しきれない選手もいます。
たぶん自分がやる事を一生懸命覚えているとは思うんですけど、それだけだとやっぱり足りなくなってしまうので、BKは自分がやる可能性があるポジション、FWだったらFWの全てのポジションの最低限の動きを覚える必要があります。
僕もBK全部のポジションについて、完璧とは言えないですけどほぼ覚えていますし、FWの動きもだいたいわかっています。キャプテンの小野、中野の二人はもちろん分かっているんですけど、でも全員がそうならないといけません。
でも、僕も昔はそうだったんです。
リコーを強くして行こうとダミアン・ヒルがヘッドコーチになった時に、ダミアンに本当に厳しく、「チームの決まり事、サインプレーの動き、自分以外の動きも覚える」という事を言われました。
そしてミーティングの時に、みんなの前に出てホワイトボードを使って説明してみなさい、って言われるんです。普段は説明出来るんですけど、前に出て書いてとなると上手く説明する事が出来なくて・・・。それってみんなの前で失敗するという事なので、もちろん嫌で、次のミーティングまでに出来る様に、先輩に聞いたりしながら自分でノートに書いてまとめたりしました。
チーム全体で取り組む事以外にもラグビーについて勉強する事に繋がり、今の自分に活きていると思います。
だからこそ、SWの若手にもそれを何回も言っているんですけど、まだまだ出来ていないですね。
たぶん、今はまだそこまで怒られていないですし、説明出来ない事、理解出来ていない事が、そんなに重要だと思っていないんですよね。でもそれはとても重要な事なので、これからも言い続けます。
ラグビーに一番大切な事は“気持ち”。これが全て
(写真:釜石シーウェイブスRFC)
ーー初めてのTLとTCLによるカップ戦について。この舞台にはどんなモチベーションで臨んでいますか?
星野選手:
チームのモチベーションとして、TLチームと試合するという事を意識はして欲しいんですけど、相手もSW戦にバリバリのAチームの選手を出して来るかと言うと、向こうも若手の経験の場と捉えている部分もあるので、そこまでのレベル差はないと思うんです。だから、変に委縮しなければ、本当に良い内容の試合が出来ると思います。
「TLのチーム相手に大差を付けられなきゃいいや・・・」というような姿勢で臨むのではなくて、“自分達が練習で積み上げて来た事をしっかり出して勝ちに行く”という気持ちでやれば、もうちょっと結果も変わってくるはずです。
そういう姿勢で臨む中で、「勝てそうだった!」という内容の試合が続いて行けば自信にもなると思うし、自分の経験からも「そんなに差はないな」という事を感じてもらいたいなと。だからこそ、若手全員が試合に出て、自信につなげて欲しいです。僕もこのチームに来て、レベル差はそんなにないなと感じているので。
ーーそこまでの差がないというのは、自分たちのやりたい事、やるべき事が出来たら、充分“勝つ事が出来る”という事ですよね?
星野選手:
そうですね。カップ戦の前に神戸製鋼と対戦した時も、試合開始早々に釜石がファーストトライを取りました。あれは、練習して来た事が出来た典型的なシーンで、自分達の形になればトライは取れるんです。
あとは、ボールを持っている時間をもっと増やせれば、失点を減らして得点につなげる事が出来ますし、勝つ事は可能だと思います。
リコーの時にダミアンが、「コーチが勝てると信じていても、プレーする選手たちが勝利を信じていなかったら勝てるはずがない」って言っていたんです。
やっぱり、負けられないって思わなきゃいけないですよね、どんな強い相手でも。その為に、自分達に自信を持って、自分達は強いチームなんだと自覚する事が大事ですよね。そうすると自然にプライドも付いて来て、絶対に負けられないという想いが一つ一つのプレーに現れて来ると思います。
ラグビーに一番大切な事は“気持ち”だと思うので。これが全てですね。
(写真:釜石シーウェイブスRFC)
ーー最後に、今シーズンの目標、抱負を。
星野選手:
カップ戦で、もうちょっとギリギリのしんどい試合をして行けば、TCLが始まった時に少し楽に感じられるかと思います。実際は楽ではないですけど、TLチーム相手のプレッシャーの中でやって来た分、TCLは相手のレベルも少し落ちると思うので、その時に良い結果を残す為にも、このカップ戦でそこに繋がる経験を積んで行きたいです。
あとは、リーグ戦までケガが無いようにという事。そして、チーム内でも全ポジションでの競争をもっと激しいものにして、チーム力を上げて本番の冬を良い形で迎えられたらと思います。
ジャパンラグビートップリーグカップ2019(カップ戦)、次節が最終戦です!ぜひ勝利で締めくくり、今年は11月からスタートする、トップチャレンジリーグへ繋げて欲しいですね。
第5節 7月20日(土) 18:30 対 コカ・コーラレッドスパークス:えがお健康スタジアム(熊本県)
最新情報、詳細は釜石シーウィブスの公式サイトでご確認ください。
http://www.kamaishi-seawaves.com/