増設完了のスタジアムで公式戦、釜石シーウェイブス は練習試合で圧勝〜多くのファン ワールドカップ成功を願う
ラグビーワールドカップ(W杯)本番へ向けて仮設スタンドの増設工事が完了した釜石鵜住居復興スタジアムで6日、トップリーグカップ(TLC)「NTTコミュニケーションズ―九州電力」の公式戦が行われ、スタンドを埋めた約700人の観客が熱い声援を送った。釜石シーウェイブス(SW)RFCの練習試合も行われ、W杯本番を想定してスタジアムの周辺に並んだ飲食などの出店もにぎわいを見せた。
あいにくの梅雨模様となったが、スタンドを埋めたラグビーファンはトップチームの激突を堪能。試合終了後は選手のもとに駆け寄り、握手を求めていた。
選手と握手を交わすファン。W杯でもこうした光景が期待される
この日は「釜石SW―トヨタ自動車」の公式戦も組まれていたが、トヨタ側選手の不祥事で中止に。SWは練習試合に切り替え、岩手ブレイズラガーを招いて対戦した。
試合は釜石SWが圧倒。FW滝沢祐樹の先制トライを皮切りに、前半8本、後半は12本のトライを奪い、スタンドを埋めたファンを喜ばせた。
TLCで釜石SWは連敗し、この日は不戦勝扱いとなった。練習試合に急きょ出場した佐伯悠コーチ(33)は「残り2戦に向けて若い選手の力を試す、いい機会になった」とした上で、「TLCで今後対戦するライバルの三菱重工相模原、コカ・コーラにはどうしても負けられない」と気を引き締めた。
試合の合間には、グラウンドの中で子どもや大人を対象にしたラグビー体験会も。入場者は青々と整備されたハイブリッド芝生の感触を確かめ、SWの選手らによるリフティング体験を楽しんだ。
クラブチームの仲間5人と夜行バスに乗って駆けつけたという東京都江戸川区の会社員、米本達也さん(49)はSWの選手に持ち上げてもらい大喜び。「海や山に囲まれ、すてきなスタジアムですね。苦しい戦いが続くSWには、あきらめずにがんばってほしい」とエールを送った。
試合終了後には、一般入場者を対象にスタジアム見学会も行われた。
仮設スタンド増設工事完了の説明を受ける見学者
説明に当たった市ラグビーワールドカップ推進本部事務局の担当者は、地震で被災した熊本市や、解体された国立競技場などから支援で贈られた「絆シート」を最前列に配置したことを強調。熱心に耳を傾けた八幡平市の会社員高橋俊二さん(63)は「にわかラグビーファンですが、ふるさとは釜石。W杯の成功を願い、チケットも手に入れた」と開幕を心待ちにする。
(復興釜石新聞 2019年7月10日発行 第806号より)
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