使いなれた食材の普段とは違った調理法の料理が並び、参加者は興味津々
地元の海と山の食材を使った料理を紹介する「釜石魅惑の試食会」(釜石市、沿岸広域振興局、釜石・大槌地域産業育成センター主催)は25日、嬉石町のエア・ウォーター物流釜石低温センターで開かれた。地域資源の農林水産物を活用した特産品の開発を目指す地域資源活用研究会の本年度1回目として実施。市内外の生産者、企業、行政関係者ら約50人が参加し、首都圏で活躍する料理研究家が考案した料理に舌鼓を打った。
料理研究家の山崎志保さん(料理山研究所代表)が釜石産の食材を使い、趣向を凝らしたメニューを考案。茎ワカメのかき揚げ、ホタテと茎ワカメを使った酸味と辛みが特徴のスープ、シイタケをパンに見立ててチーズを挟んだフライ、甲子柿シェイク、梅酒で使われた実を使ったスイーツなど計13品が提供された。
参加者は一品一品をじっくりと味わい、地元食材のおいしさや幅広い調理法などを再発見した。
釜石産食材の新たな魅力を引き出そうと、料理研究家が考案したアイデア料理
オキアミの一種イサダを使った料理に、漁家の松本ミサヲさん(70)は「使わないだけで、いい食材になると分かった。新鮮なものはうまみがあり生臭くなく、加工品として売り出していける」と高く評価。イサダは養殖魚や釣りの餌などになり、地元で揚がっても出回ることは少ないというが、食用としての可能性を認識し期待感を高めた。
橋野町で野菜などの栽培や農家レストランの運営を行っている小笠原静子さん(75)は「主婦と専門家の発想の違いを感じた。紹介された調理法を参考に、自分なりのアレンジを加えた料理を考えたい」と刺激を受けていた。
「地域の中にいると当たり前すぎて良さが分からない。外からの目線で新しい面、素晴らしさを伝える機会になれば」と山崎さん。▽釜石ならではの独自のスタイルを打ち出す▽写真に撮りたくなる、面白いと人の輪が広がる視点からのアプローチ―などメニューづくりも助言。「釜石には魅力ある食材がたくさんあった。どんどん発信してほしい」と参加者に呼び掛けた。
試食会を企画した市農林課の伏見七夫主査は「生産者と調理、加工者、行政の距離を縮め、同じ方向を見て取り組むきっかけになれば」と期待。今後、地元食材の魅力・価値を磨きながら、活用方法について関係機関で検討する予定だ。
また、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)に向けたおもてなしとして、食の充実に寄せる期待も大きい。市産業振興部の似内敏行部長は「釜石を訪れた人の胃袋を満たす、満足させる、魅力ある料理づくり、釜石ならではの土産物づくりにつながってほしい」と話していた。
(復興釜石新聞 2017年5月27日発行 第591号より)
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