橋野町青ノ木で季節感たっぷり 山菜料理を味わう〜釜石大槌 郷土料理研究会、八重桜 山里の春を満喫
満開の八重桜の下で、季節感たっぷりの郷土料理を味わう研究会のメンバー=橋野町青ノ木で
八重桜が満開となった釜石市橋野町青ノ木で21日、釜石・大槌郷土料理研究会(前川良子会長、12人)が主催する「郷土料理バイキングを楽しむ会」が開かれた。会員や家族連れなど市内外から約30人が参加。餅つきを楽しみ、手作りの山菜料理を味わうなど、遅れてやって来た「山里の春」を満喫した。
世界遺産「橋野鉄鉱山」のそばで会員の小笠原静子さんが経営する「峠の茶屋」で餅つき。「よいしょ、よいしょ」の掛け声に合わせ、子どもらも元気に杵(きね)を振るった。大槌高でボランティア活動に取り組む藤原さくらさん(18)は「餅つきは初めて。杵がとっても重くって…」と、さわやかに笑った。
一関市大東町出身で大槌町内の老人ホームで暮らす菊池安子さん(88)は家族に伴われて足を運び、あずき餅の作り方を参加者に手ほどき。孫で、釜石市内の病院で看護師を務める柏﨑沙織さん(30)は「おばあちゃんが作るあずき餅の味は格別。おいしそう」と、安子さんの手元を見ながら餅を丸めた。
あずき餅づくりを手ほどきする菊池安子さん(左)
バイキングで味わう郷土料理は8種類ほど。タラノメ、コゴミ、ウド、シドケにアケビの若芽などを加えた山菜天ぷら、ワラビのおひたし、ワカメのサラダ、手作りのトコロテンも並んだ。八重桜が咲く芝生の広場に移り、お待ちかねの昼食。友人に誘われ大船渡市から参加した公務員、川原和也さん(26)は「どの料理も自然の味そのまま。しかも、こんな桜の下で味わえるなんて、最高」と舌鼓を打った。
市内外から参加した若者らも心づくしの郷土料理を満喫
同研究会が青ノ木の八重桜が開花する時期に食事会を行うようになったのは、震災後。不自由な避難所生活を送る被災者を招き、餅つきをしたのが始まりだった。苦しい時期に希望の光となった餅つき交流は形を変え、研究会の恒例行事として定着した。
釜石・大槌地区の農漁家の女性たちが中心となって結成された研究会は今年で13年目。当初から活動する佐々木カヨさん(65)は「ヨモギの天ぷら、おいしいよ」と参加者にすすめた。前川会長(65)は「今年も八重桜の満開と重なり、とても良かった。未来を担う子どもたちと一緒に昔の食べ物を味わい、郷土料理を伝承していきたい。海と山のおかあさんたちと手を携え、頑張っていく」と意欲を示した。
(復興釜石新聞 2017年5月24日発行 第590号より)
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