科学技術系人材育成を目標に、釜石高さらに5カ年〜スーパーサイエンスハイスクールに再び指定


2017/05/19
復興釜石新聞アーカイブ #文化・教育

地域課題について理解を深める講演会

地域課題について理解を深める講演会

 

 2012年度から5カ年にわたり文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)校に指定されていた県立釜石高校(佐藤一也校長、生徒510人)が本年度から再び、21年度まで5カ年の指定を受けた。2期目の目標も変わらず科学技術系人材の育成に据えているが、前年度まで5カ年にわたる活動の成果を踏まえ課題研究に取り組む対象を理数科3年生だけでなく学校全体に広げ、さらなる発展を目指す。11日には、1年生が探究活動を行うための準備として、研究課題を見つけるきっかけにしてもらう地域課題講演会を開催。2、3年生は探究活動チーム(ゼミ)に分かれ、研究テーマの設定や本格的な活動を始める準備などに取り組んだ。

 

 SSHは、将来の国際的な科学技術系人材を育成することを目指し、理数系教育に重点を置いた研究開発を行うべく、文部科学省が2002年度から実施している事業。指定期間は5年間で、現在は全国で約200の中・高校が指定されている。17年度に新規指定を受けたのは全国で約70校。県内では釜石高のほか、水沢高も指定を受けた。

 

 釜石高では、1期目は「三陸地域の科学教育中核拠点として、グローバルな視点から被災地の復興と持続的発展に寄与する科学技術人材の育成」を研究開発課題とし、理数科3年生を対象に課題研究、海外研修などに取り組み、文科省から評価を得た。

 

 同校では1期目の活動の中で、「表現力やプレゼンテーション力、論理的思考力、国際性、自分たちで取り組む姿勢」などSSHが生徒に及ぼす好影響を強く感じていたといい、2期目はこれをさらに発展させ、学校全体で取り組むことにし、「学年間連携による協働的ゼミ活動を中心とした科学技術人材育成のカリキュラム開発」との課題を設定した。探究の時間を木曜日の6・7校時とし、学年を縦割りにしてゼミを編成。一つのゼミは、生徒4人程度で編成された2~4の研究グルーブで構成される。グループは学年ごとにつくるが、上級生が研究の進め方といった手本を見せ、ノウハウを伝えることで下級生がイメージをつかみやすくし、それぞれの研究の質も高める態勢をつくった。

 

 海外の先端科学技術に触れ見識を深める研修は2年生を対象に実施予定。研修先をアジア圏にし、より多くの生徒を派遣できるようにする。

 

対象を全校に広げ、ゼミ形式で深化図る

 

 SSHは生徒への好影響がある半面、文科省への報告書作成や研究活動の準備など教諭への負担は大きいという。新年度からの継続指定については、「大学入試に向けた基礎力を付ける方がいいのでは」という声もあったが、生徒同士が学び合うことの教育効果に期待し、昨年6月に職員会議で意思統一を図った。

 

 同校SSH推進室の吉田英男教諭は「部活動のような形にすることで、答えがないものにチャレンジし、協力して解決していこうという気持ちを上級生から下級生につなげてほしい。伝統をつなげることが持続可能な取り組みになる」と期待する。

 

設定した研究テーマの予備実験をする生徒

設定した研究テーマの予備実験をする生徒

 

 地域課題講演会には1年生160人、ゼミ活動の2、3年生約20人が参加。使用した廃油を回収、精製してバイオディーゼル燃料として利用し、エネルギー循環型まちづくりにつなげる活動などを展開する一般社団法人ユナイテッドグリーンの山田周生代表を講師に、自然環境やエネルギーの自給自足などについて理解を深めた。

 

 2、3年生は8教科に分かれてゼミ活動を行った。理科・生物班の女子生徒4人のグループは「走った後、瞳孔がどれくらい開くか」をテーマに設定。音楽のゼミでは幼稚園を訪問する予定を組み、「年齢によるリズムの差」「音楽と記憶力」といったテーマで研究するための小道具づくりに取り組んだ。「ミルククラウンを牛乳以外でも作れるか」「腹持ちのいい食べ物」などをテーマにしたグループもあった。

 

 吉田教諭は「何事も研究する心を持ってほしい。課題解決に向けたプロセスが、人生で答えのない問題にぶつかったときに乗り越える力になれば」と生徒たちを見守った。

 

(復興釜石新聞 2017年5月13日発行 第587号より)

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