東日本大震災から6年連続で釜石高体育館を会場に開かれた「かまいしの第九」

かまいしの第九、140人の歌声が市民の活力へ〜釜石東中生は先輩の思いつなぐ

東日本大震災から6年連続で釜石高体育館を会場に開かれた「かまいしの第九」

東日本大震災から6年連続で釜石高体育館を会場に開かれた「かまいしの第九」

 

 東日本大震災から5年9カ月の11日、「かまいしの第九」が今年も師走のまちに希望の歌声を響かせた。実行委が主催する39回目の演奏会は、今回も甲子町松倉の釜石高体育館が会場。オーケストラと市民らの合唱が一体となって奏でるベートーベンの交響曲第9番が、復興への歩みを続ける市民らに明日への活力をもたらした。ちょうど40回目に当たる次回は、来年秋に完成予定の市民ホール(仮称)の「こけら落とし」として公演が予定されており、新たなステージへ期待が高まる。

 

 1部は03年から始まった市内の中学生による「オーケストラと歌おう」のコーナーで、今年は釜石東中(佐々木賢治校長)の全校生徒132人が出演した。震災のあった11年の演奏会で、当時の同校生が歌った「地球星歌」(作詩・作曲ミマス)、震災を経験した当時の東中生の思いをミマスさんが歌に仕上げた「いつかこの海をこえて」など3曲を美しいハーモニーで聞かせた。

 

精いっぱいの歌声を響かせた釜石東中の生徒ら

精いっぱいの歌声を響かせた釜石東中の生徒ら

 

 2部の「第九」は、東京周辺の演奏家で構成するウッドランドノ―ツと釜石市民吹奏楽団のメンバーなど45人がオーケストラを編成。3楽章から4人のソリストが登場し、最終の4楽章で、県内外から集まった幅広い年代の合唱団140人とともに「歓喜の歌」を壮大に響かせ、感動のクライマックスを迎えた。鳴りやまない拍手に応え、約550人の観客と出演者が「歓喜の歌」を大合唱。震災前の市民文化会館での演奏会に勝るとも劣らないステージを繰り広げた。

 

 東京都東村山市の小学校教諭眞鍋愛子さん(38)は、勤務校でミマツさんの曲に取り組んだのを機に釜石東中や「かまいしの第九」のことを知り、足を運んだ。震災に負けない姿を目の当たりにし、「歌う喜びや当たり前のことをできる大切さを感じさせてもらった。東中の合唱も素晴らしい。帰ったらクラスの子たちにも伝えたい」と話した。

 

 釜石東中3年の菅原常慈君は、先輩が残した曲について「今でも(震災の)つらい記憶がよみがえるが、『いつかこの海をこえる』という歌詞がとても心に響き、やはり次につないでいかなきゃと思う」と自分たちの使命を実感。今回、大舞台へ全校で取り組んだことに「いつも以上の力を発揮できて良かった」と充実感をにじませた。佐藤健副校長は「今までで一番の演奏。気持ちを作るのに苦労したが、生徒たちは精いっぱいの歌声を響かせてくれた」とたたえた。

 

 1977年の初演からフルート奏者で参加し、現在は指揮者を務める山﨑眞行さん。今年は、2度の大病を克服して臨んだ演奏会だった。「途中でへたばってしまいそうになったが、演奏家からエネルギーをもらい奮い立った」と、渾身(こんしん)のタクトで約2時間の演奏を見事に率いた。来年の市民ホール公演に向けて「40回を機に新しいホールで再出発することになるが、この5年間が本当の意味での”釜石の第九”を築いてくれた。苦難を乗り越える釜石人のパワーはすごい」と、本格的な音楽文化再興へ意欲をみなぎらせた。

 

(復興釜石新聞 2016年12月14日発行 第546号より)

 

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    小佐野町の住宅地で進む復興道路工事の見学会で体験学習も楽しむ子ども

    小佐野地区、復興道路の現場公開〜お楽しみ、学習も人気

     小佐野町の住宅地で進む復興道路工事の見学会で体験学習も楽しむ子ども

    小佐野町の住宅地で進む復興道路工事の見学会で体験学習も楽しむ子ども

     

     三陸沿岸道路の釜石中央インターチェンジ(仮称)を構成する小佐野町と新町に建設される高架橋工事の現場見学会が4日、小佐野町2丁目の現地で行われた。一帯の住民、家族連れ約140人が参加し、工事の進ちょく状況を確認し、大型建設機械の操作体験、魚釣りなどを楽しんだ。

     

     現場は、りんかい日産建設が受注した「小佐野高架橋下部工工事」。同社東北土木支店釜石営業所の谷口保夫所長によると、用地約6千平方メートルの延長約200メートル区間に橋脚4基、橋台1基を建設。工期は今年6月から来年7月、請負額約3億9千万円。

     

     現場の一般公開は初めてだった。早期開通へ、工事は午後7時ごろまで行う。谷口所長は「工事について、住民のみなさんの理解と協力をいただいており、感謝を込めて開催した。暖かく、天気もいい。多くの人が来てくれてうれしい。子ども、みなさんに楽しみながら見てほしいので、食べ物や魚釣りも用意した」と語った。

     

     その「お楽しみコーナー」は現場作業員ら40人がサポート。豚汁、飲み物が用意され、多彩な体験コーナーが待っていた。ニジマスを放した土中の急造生けすには、幅広い年代が群がった。「今夜の一品に」という高齢女性グループ、父母と一緒の子どもが夢中で挑戦した。

     

     バックホー、100トンと25トンのつり上げ能力がある大小のクレーン2台、地ならしするローラーは運転席に乗り込むことができた。高所作業車は人気を集めた。ヘルメット、安全帯を装着し、高さ約20メートルの遠望を楽しんだ。

     

     理科の学習コーナーも用意した。重さ10キロのます状のコンクリートが水に浮かぶ実験は浮力の実証。滑車の数が増すごとに、引き上げる負荷が減少する体験もできた。モルタルの塊で「手形」をとり、終了する2時間後に記念品としてプレゼントされた。

     

     谷口所長は「子どもに楽しく学び、体験してほしい。将来、土木業界を担う人材になってくれれば」と期待を込めた。

     

     お父さんと参加した小佐野小2年の長谷川響君は「初めて魚を釣った。1匹。高いところは少し怖かったけど、遠くまで見えた。手形もとった」と大満足だった。

     

     現場の近くに住む高橋八郎さん(81)は「雨、風の中でみなさんが働いている。大変だと思う。音や振動はあるが、配慮してくれるので気にしない。工事のことを、丁寧に教えてもらい、うれしかった」と語った。

     

    (復興釜石新聞 2016年12月10日発行 第545号より)

     

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    広報かまいし2016年12月15日号(No.1654)

    広報かまいし2016年12月15日号(No.1654)

     広報かまいし2016年12月15日号(No.1654)

     

    広報かまいし2016年12月1日号(No.1653)

    広報かまいし2016年12月15日号(No.1654)

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    【目次】
    表紙:希望学から危機対応学へ
    P02:「スポーツ」で振り返る釜石の2016年~スポーツのまちへ~
    P04:市職員を募集します
    P05:平成28年度釜石市市勢功労者表彰、償却資産申告書の受け付けが始まります
    P06:子どもの相談・支援事業を始めます、艦砲戦災犠牲不明者を調査しています、東日本大震災災害義援金の追加交付をします
    P07:被災した人の「医療費の一部負担金」「介護保険の利用者負担金]の免除期間を平成29年12月31日まで延長します、新たなメガソーラー発電所が設置されました、みんなでごみ減量へチャレンジ4
    P08:まちの話題
    P10:市民のひろば
    P12:保健案内板
    P14:まちのお知らせ
    P16:第2回防災士養成研修講座の受講者を募集します、コミュニティ助成事業(宝くじの助成金)で「煙体験ハウス」を整備しました、年末年始の休館情報

    この記事に関するお問い合わせ
    釜石市 総務企画部 広聴広報課 広報係
    〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
    電話:0193-22-2111 / Fax 0193-22-2686 / メール
    元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/koho/backnumber/detail/1206290_2596.html
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    竣工を祝い鵜住居虎舞の手踊り。背後には完成間近の学校校舎も

    鵜住居復興住宅1号棟と戸建て、46戸の竣工を祝う〜同地区浸水域で初「希望の光」に、10日には部屋決め抽選会

    いよいよ入居が始まる鵜住居地区復興公営住宅1号棟

    いよいよ入居が始まる鵜住居地区復興公営住宅1号棟

     

     釜石市鵜住居町の中心部に建設が進められてきた「鵜住居地区復興公営住宅1号棟」(32戸)と戸建ての同住宅14戸が完成し、8日、現地で竣工(しゅんこう)式が行われた。津波で浸水し土地区画整理事業が導入された場所に初めて完成した復興住宅で、町内では非浸水域の日向復興住宅に続く完成。10日に入居予定者の内覧会と部屋決め抽選会が行われる。

     

     竣工式は住宅に併設された集会施設で開かれ、市や工事関係者、地元住民ら約40人が出席。事業を請け負った独立行政法人都市再生機構岩手震災復興支援本部の森本剛本部長から野田武則市長に鍵のレプリカが引き渡された。鵜住居青年会が虎舞を披露し、餅まきで完成を祝った。

     

     両住宅は、再建される鵜住居駅の南側に建設された。集合住宅は昨年10月、戸建て住宅は今年4月に着工し、共に11月に完成した。市の取得価格は集合住宅が12億500万円、戸建てが3億1300万円。

     

     集合住宅は鉄骨造り5階建てで、1LDK(約57平方メートル)25戸、2LDK(約65平方メートル)7戸。玄関とキッチン脇に小窓を設け生活の明かりが共用廊下にもれるようにすることで、見守り補助につなげた。大和ハウス工業岩手支店(盛岡市)が設計、施工した。

     

     戸建ては木造平屋建てで、1LDK(約51平方メートル)4戸、2LDK(約58平方メートル)10戸。洗面脱衣室とトイレを連続させることで、介護にも対応できる造りになっている。東照建設(盛岡市)が設計、施工した。

     

     住宅は、駅から続く歩行者の動線に配慮して配置。国道45号を挟んだ山の造成地に建設中の小・中学校とのつながりも意識した。集合住宅に隣接する集会施設は鉄骨造り平屋建てで、延べ床面積は約500平方メートル。多目的室を国道側に配置し、同地区生活応援センターも入居する。

     

    竣工を祝い鵜住居虎舞の手踊り。背後には完成間近の学校校舎も

    竣工を祝い鵜住居虎舞の手踊り。背後には完成間近の学校校舎も

     

     野田市長は「鵜住居地区は心痛な思いから辛抱を重ね、今日まで来ている。(復興住宅の完成で)やっと明るい希望の光が見えてきた。来年度には復興の姿が形として見られると思う」と述べた。

     

     鵜住居地区の盛り土造成地全体では、集合タイプの復興住宅2棟(75戸)、戸建て住宅45戸を整備する計画で、残る1棟(43戸)は来年4月、戸建ての31戸は8月までの完成を見込む。

     

     鵜住居地区復興まちづくり協議会の古川愛明副会長は「これが鵜住居復興の第一歩。集会施設も活用し、まち開きへとつなげていきたい」と、住民が戻ることによる復興の加速を願った。

     

    (復興釜石新聞 2016年12月10日発行 第545号より)

     

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    野田市長と記念撮影する「海の写真・絵画コンクール」の入賞者

    海のすばらしさ、写真と絵画で〜釜石市「海の日」実行委員会、初のコンクールで8人表彰

    野田市長と記念撮影する「海の写真・絵画コンクール」の入賞者

    野田市長と記念撮影する「海の写真・絵画コンクール」の入賞者

     

     釜石市「海の日」実行委員会(会長=野田武則市長)が釜石の海をテーマに作品を募集した「海の写真・絵画コンクール」の表彰式が3日、鈴子町のシープラザ釜石で行われた。コンクールは初めての企画で入賞者8人を表彰。全応募作品が2階アイデアフロア(からくり虎舞付近)で11日まで展示される。

     

     表彰に先立ち野田市長は「震災の津波で大勢の方が犠牲になった。海は非常に怖いが一方で、たくさんの海の幸を提供してくれたり船舶で荷物を運んだり、大切な役割がある。海と共に生活していく市民として、その両面を小さいころから学んでほしい」とコンクールに込めた思いを明かした。写真は9点、絵画は22点の応募があり、審査で選ばれた両部門の金1、銀1、銅2の各賞受賞者に野田市長から表彰状と記念品が贈られた。

     

     応募写真は、さまざまな場所から臨む海の風景や港で働く人などを捉えており、朝焼けや青空と相まって美しい表情を見せる海が目を引いた。金賞を受賞した中妻町の会社員、木村明子さん(48)の作品は、ワカメのボイル作業に励む漁業者の笑顔が輝く一枚。4月に唐丹町本郷で撮影したもので、「過酷なイメージがある漁業という仕事の印象を変え、同時に漁業者の誇りが感じられる堂々とした作品」と評価された。

     

    金賞を受賞した木村明子さん(中妻町)の写真「浜の笑顔」

    金賞を受賞した木村明子さん(中妻町)の写真「浜の笑顔」

     

     趣味で写真を始めて約3年という木村さんは「港の復興工事が進む傍ら、漁業者もなりわい再生へ頑張っている様子が伝わればと思いシャッターを切った。明るく和気あいあいと作業する姿にほっこり。(金賞受賞は)光栄です。今後も精進したい」とさらなるステップアップを誓った。

     

     絵画は個人出品のほか、甲東こども園が「海のいきもの」をテーマに取り組んだ年長児の版画を団体出品。金賞を受賞した同園の石黒亜季ちゃん(5)の作品は「中央にダイナミックに描かれた魚、周囲に配置されたカニやホタテなどの構図が素晴らしく、愛らしさを感じさせる」と審査員の高評価を得た。野田摩理子園長は「魚のひれを細かく作り込むなど、どの子も工夫を凝らして仕上げた。図鑑を見たりすることで海にはいろいろな生き物がいることも学び、海に親しみを持てたよう」と話した。

     

    石黒亜季ちゃん(甲東こども園)の版画「海のいきもの」

    石黒亜季ちゃん(甲東こども園)の版画「海のいきもの」

     

     同コンクールには幼児から60代までさまざまな年代の市民が参加。市水産課の佐々木道弘課長は講評で、「どの作品も豊かな表現が光り、海の美しさ、雄大さを感じとれた。釜石の海が市民の心にどう息づいているのかも知れる機会になった」と手応えを実感。来年度以降も継続できればとの見通しを示した。

     

     入賞者は次の通り。
    【写真の部】
    ▽金賞=木村明子(48)▽銀賞=伊東光(44)▽銅賞=中村幸一(61)、佐藤憲弘(43)
    【絵画の部】
    ▽金賞=石黒亜季(5)▽銀賞=堀内優護(7)▽銅賞=石川夕茜(5)、岡田ゆの(5)

     

    (復興釜石新聞 2016年12月7日発行 第544号より)

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    ラグビーW杯、釜石スタジアムの姿見える〜建設検討委で木製シートも、避難ルートの素案は3方向

    メーンスタンドのイメージ模型と木製シートのサンプルに見入る委員ら参加者

    メーンスタンドのイメージ模型と木製シートのサンプルに見入る委員ら参加者

     

     2019年ラグビーワールド杯の会場となる「釜石鵜住居復興スタジアム」(仮称)の第2回建設検討委員会(小泉嘉明委員長、12委員)は2日、市役所で開かれ、基盤整備や実施設計の進ちょく状況、観客らの避難誘導計画、今後の整備日程が示され、委員、アドバイザーが意見交換した。メーンスタンドのデザイン模型が持ち込まれ、委員らは完成時のイメージを高めた。

     

     野田武則市長は「1万6千人から2万人の観客と、住民の避難行動が最大の懸案事項になる。国体が終了し、ワールド杯に専念したい」とあいさつした。

     

     同検討委員会は5月の初会合以来の開催。事務局がメーングラウンド、サブグラウンド、スタンドなど主要施設の整備計画を確認。大会を運営するW杯リミテッド(RWCL)の要求(メーンスタンドのひさしの拡充など7項目)と、対応案を示した。スタジアムに通じる観客、選手、スタッフの動線も提示。芝の準備では、9パターンを育成試験している。

     

     スタジアムとメーンスタンドのデザインは釜石の復興や、根浜・海につながる「はばたき、帆船」のイメージという。

     

     スタンドの常設6千席のシートに、木製のサンプルが持ち込まれた。地元産のスギ間伐材(合成材)を使い、サイズは幅と奥行きとも42センチ、背もたれの高さ24センチ。基盤に設置した時に金具で固定、強度を高める。座る部分は緩い凹面(おうめん)に加工した。防腐剤を塗布し、汚れへの耐性処理を加えると、7年ほどもつという。劣化したパーツ、1個全部の交換にも対応し、維持管理が容易になる―とした。

     

     アドバイザーからは、「木造建築は世界的に見直されている。木のぬくもりは、釜石らしさのアピールになる」など、好意的な見解が語られた。

     

     避難場所は標高20メートル以上を基準に、スタジアムからのルートは▽鎧坂(よろいざか)橋から、高台に建設中の学校まで▽東日本大震災時に児童・生徒が住民と共に避難した国道45号恋の峠まで▽南の林道を登り、建設中の箱崎半島線へ―の3方向を想定している。いずれも1キロから2キロの距離がある。

     

     検討課題は、シミュレーションすべき避難者が▽通常200人▽イベント6千人▽ワールド杯1万6千人―の規模別に3パターンが必要。「心理的な安心感を付与する目的で、山側避難路を整備する」などを挙げた。

     

     なお、当初事業費約31億9800万円はRWCLの要求を受け、増額が見込まれる。

     

    (復興釜石新聞 2016年12月7日発行 第544号より)

     

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    慈善なべに募金する市民も、見守るボランティアも笑顔で

    冬空に温かな善意〜歳末たすけあい運動スタート

    慈善なべに募金する市民も、見守るボランティアも笑顔で

    慈善なべに募金する市民も、見守るボランティアも笑顔で

     

     年末恒例の歳末たすけあい運動が1日、釜石市でもスタートした。「つながり ささえあう みんなの地域づくり」を合言葉に、街頭に「慈善なべ」が登場。道行く買い物客らが次々と善意を投じた。

     

     初日は、鈴子町のマイヤ釜石店、新町のジョイス釜石店など市内5カ所に民生児童委員や行政連絡員ら約60人が立ち、買い物客などに協力を呼び掛けた。港町のイオンタウン釜石では呼び掛けに応えて善意を寄せた市民らにティッシュを配布。市のイメージキャラクター「かまリン」も参加し、呼び掛けに協力した。

     

     募金活動は市共同募金委員会(会長・野田武則市長)と市社会福祉協議会(丸木久忠会長)が31日まで、街頭、団体、職域、学校などで展開する。昨年度の募金額は約318万円。今年度の目標額は昨年の実績より約3万円多い321万3千円に設定した。

     

     義援金の配分は生活困窮世帯、独居老人世帯(一親等の扶養義務者が存在しない人)、震災孤児・遺児世帯、社会福祉施設や団体などを中心に行う。

     

     募金は市社協(電話0193・24・2511)のほか、市の各地区生活応援センターでも受け付けている。

     

    (復興釜石新聞 2016年12月3日発行 第543号より)

    関連情報 by 縁とらんす
    社会福祉法人 釜石市社会福祉協議会
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    鏡開きは、復興道路とともに未来を歩む唐丹小児童も

    復興道路 唐丹第2トンネルで貫通式〜建設事業の歩み着実に、期待高めて

    喜びの声高らかに万歳三唱

    喜びの声高らかに万歳三唱

     

     「復興道路」として整備が進む三陸沿岸道路・吉浜釜石道路(延長14キロ)の唐丹第2トンネル(延長521メートル)の貫通式は11月29日、釜石市唐丹町の現地で行われ、工事関係者や地元住民ら135人が工事の前進を祝った。

     

     国土交通省南三陸国道事務所が進める吉浜釜石道路建設工事のうち、唐丹町上荒川から釜石南ICまでの延長3・2キロには3つのトンネルと2つの高架橋が建設される。大林・富士ピー・エス特定建設工事共同企業体(JV)が約129億円で一括受注。同区間のトンネルはこれですべて貫通し、高架橋の連結を待つだけとなった。

     

     吉浜釜石道路では5つのトンネルが建設中だが、大船渡市と釜石市にまたがる新鍬台トンネル、唐丹第2トンネルの貫通で、残るのは釜石南IC~釜石ジャンクション間の唐丹第3トンネル(延長2998メートル)だけになる。

     

     貫通式は大曽根地区で進む釜石南IC工事を遠望する北口から約100メートルの地点で行われた。野田武則市長、佐々木義昭市議会議長、唐丹小6年の上野翔明君、上野真穂さんら7人が発破スイッチを押し、工事関係者が清めの儀式。たるみこしが練り歩き、唐丹小6年生14人がトンネル内に美しいハーモニーを響かせた。

     

    鏡開きは、復興道路とともに未来を歩む唐丹小児童も

    鏡開きは、復興道路とともに未来を歩む唐丹小児童も

     

     野田市長は「三陸道路は9割まで予定が立った。唐丹第3トンネルも来年には貫通する。大船渡市とは20分で結ばれ、物流、経済、人の交流などが盛んになり、利便性は高まる。地域の期待に応え、安全に早く完成するよう願う」と祝辞。南三陸国道事務所の武田滋生副所長が金ケ瀬光正所長のメッセージを代読した。

     

     JVを代表し、大林組の岡山和生常務は「(この道が)市民の豊かな暮らし、安全を守り、三陸地域の復興につながるよう願う」と謝辞を述べた。小野共県議の発声で万歳三唱し、式を終えた。

     

    (復興釜石新聞 2016年12月3日発行 第543号より)

     

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    練習から本番まで出演者が心を一つに取り組んだ演奏会

    波を乗り越え50回目の演奏会〜釜石市民吹奏楽団、観客と感動のステージ共有

     練習から本番まで出演者が心を一つに取り組んだ演奏会

    練習から本番まで出演者が心を一つに取り組んだ演奏会

     

     釜石市民吹奏楽団(村井大司団長)の第50回定期演奏会(市民芸術文化祭参加)は11月27日、釜石中体育館で開かれた。毎回、さまざまな趣向で吹奏楽の醍醐味(だいごみ)、心を震わせる音を届けてきた同演奏会。団員らはこれまで築いてきた釜石ブラスの誇りを胸に、感動の大演奏を繰り広げた。

     

     賛助出演を含む64人のメンバーが3部構成のステージを披露。1部は、今年の全日本吹奏楽コンクールの自由曲「リンコドンティプス~蒼き海の守り神」、同団が創立3年目に初めてコンクールに出場した時の自由曲で、現在放映中のテレビドラマ「カインとアベル」のオープニングにも使われている「交響曲第5番第4楽章」(ショスタコービッチ)などを演奏した。

     

     2部は4年目となった中学生との合同ステージ。今年も釜石中吹奏楽部が共演し、部員22人が団メンバーとの80人規模の大編成で演奏会を盛り上げた。3部は映画音楽やビートルズの名曲をさまざまな楽器のソロ、アンサンブルを織り交ぜ披露。吹奏楽ならではのアレンジが、聞き覚えのある曲に新たな世界観を広げた。

     
     
     アンコールを含め全12曲を演奏。観客から、素晴らしい演奏をたたえ感謝する大きな拍手が沸き起こった。宮古吹奏楽団で活動する盛合沙弥華さん(30)は「すごく上手ですよね。釜石は人数が多く大曲にも挑戦されている。私たちも来週、演奏会なので頑張りたい」と力をもらっていた。

     

     今回は2、3部の指揮を客員指揮者の細川正一さん(釜石高教諭、吹奏楽部顧問)が務めた。細川さんは山田高に赴任した20代のころ、吹奏楽部員を連れて度々釜石を訪れ、当時、東北大会出場を重ねていた市吹に指導を仰いだ。「一中、釜南高、市吹、新日鉄釜石と当時の釜石吹奏楽は東北、全国大会出場で盛り上がっていた。音楽への情熱に自分も圧倒された」と振り返り、「そんな中で活躍してきた団員が今もいて、その精神が脈々と受け継がれている。指揮をさせていただけて光栄」と胸を熱くした。

     

     釜石市民吹奏楽団は1978年に創立。初めての演奏会は80年3月に行った産声コンサートで、82年からは年2回の演奏会を開催し、96年まで14年間継続した。その後も年1回の演奏会を続け、今回が通算50回目となった。第1回の時は大学生だったという村井団長は「全ての演奏会がうまくいったわけではない。いろいろな波を乗り越えて来られたのは、団員の気力があったからこそ」と、積み重ねた三十数年に思いをはせた。

     

     同団は震災の津波で活動拠点だった市民文化会館が使えなくなり、被災後は旧大松小の音楽室を借りて練習を続けている。若者や30年ぶりの復帰者など新団員も徐々に増え、今年のコンクールでは11年ぶりに県大会で金賞を受賞。東北大会出場には届かなかったが、技術力アップにつながる確かな前進を見せた。村井団長は「少子化で学校吹奏楽部も少なくなっているが、音楽をやりたい子どもたちの希望になれたら」と今後の団活動へ気持ちを高めた。

     

    (復興釜石新聞 2016年12月3日発行 第543号より)

     

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    テープカットとくす玉割りで大畑団地公園の完成を祝った関係者ら

    愛称は「ふれあい広場」大畑団地公園完成

    テープカットとくす玉割りで大畑団地公園の完成を祝った関係者ら

    テープカットとくす玉割りで大畑団地公園の完成を祝った関係者ら

     

     釜石市が整備していた甲子町の大畑団地公園が完成し、27日、近隣住民や市関係者ら約80人が参加して開園式が行われた。国が復興支援道路と位置付ける東北横断自動車道釜石秋田線の一部、釜石花巻道路の整備に伴い、既存の公園を山寄りに移設したもの。愛称は住民から寄せられた中から選び、「ふれあい広場」に決まった。

     

     新しい公園は広さ約1800平方メートル。滑り台やブランコ、あずまや、身障者兼用の水洗トイレ、ゲートボールやグラウンドゴルフなどができる多目的広場などを整備した。

     

     大畑団地では約150世帯が暮らす。もともとあった公園は1983年に整備され、市内を一望できる「見晴らし公園」として住民らに親しまれてきた。道路整備により公園や住民13世帯が移転対象に。公園の新設を市に要望し、元の公園から南側約100メートルの位置に新たに整備され、広さはほぼ同じだという。

     

     開園式で、あいさつに立った野田武則市長は「道路用地確保のためとはいえ、迷惑をかけた。利便性が良くなったと思うので、地域の皆さんに親しまれ、愛され、健康増進や憩いの場として大いに活用してほしい」と期待。関係者によるテープカットやくす玉割り、餅まきで完成を祝った。

     

    400個の餅がまかれ、住民らは大喜びだった

    400個の餅がまかれ、住民らは大喜びだった

     

     大畑団地自治会による愛称コンテストには30点ほど応募があった。「ふれあい広場」は互野正則さん(72)の提案。「公園で楽しく語り合い、笑い、互いに助け合い、心の触れ合いとコミュニケーションを大切に」との願いを込めた。

     

     テープカットに参加した藤井さくらさん(甲子小6年)は「公園はあった方がいい。いっぱい遊びたい」とにっこり。同自治会の菊池豊吉会長は「慣れ親しんだ公園がなくなるのは残念だが、将来に向けた事業によるもので止むを得ない。立派な素晴らしい公園を整備してもらったので、十分活用して健康、生活をエンジョイできれば。末永く使ってもらえるよう環境美化にも取り組みたい」と話した。

     

    (復興釜石新聞 2016年11月30日発行 第542号より)

     

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    一時途絶えた舞を復活させた「甲州台ケ原宿虎頭の舞」。

    復興鼓舞する虎舞フェスタ〜甲州台ケ原宿虎頭の舞など、12団体 観客魅了

    一時途絶えた舞を復活させた「甲州台ケ原宿虎頭の舞」。

    一時途絶えた舞を復活させた「甲州台ケ原宿虎頭の舞」。写真は雌雄の虎がたわむれる演目「夫婦(めおと)」

     

     第7回全国虎舞フェスティバル(釜石観光物産協会、幸せ出ずる国いわて実行委員会主催)は27日、釜石市鈴子町のシープラザ遊で開かれた。震災以降、復興に向かう市民を鼓舞し、津波に負けない釜石人の姿を地域の宝「虎舞」でアピールしてきたフェスティバル。シープラザ遊が会場となるのは2011年以来で、通路に立ち見客があふれるほど観客が詰めかけた。主催者発表で約7500人が来場。期待の高さをうかがわせた。

     

     市内外から12団体が出演。震災後に虎舞を始め6年目となる、かまいしこども園が昨年に続きオープニングを飾った。市内の伝承団体からは、只越虎舞、尾崎青友会、箱崎虎舞保存会、鵜住居青年会、白浜虎舞好友会、錦町青年会、平田青虎会が出演。津波による被災から立ち上がり伝統芸能を守り続ける各団体の見事な演舞に、会場から盛んな拍手が送られた。

     

     このうち鵜住居青年会は、俗に”雌虎”と称される優雅な舞のほか、豊富な手踊りの中から「杓子舞」「うれしき舞」など4つの演目を披露。地元の祭り以外ではあまり目にすることのない踊りで、観客の注目を集めた。

     

     鈴子町の小笠原知子さん(77)は、東京から帰省した長女の山本陽子さん(56)と鑑賞し、「感激しました。今までにないぐらい素晴らしい舞台。みんな震災を乗り越え頑張ってきたんだなと思う」と絶賛。陽子さんは「虎舞の太鼓、笛の音が始まると(胸に)ぐっと来ますね。いい時に帰ってきてラッキーでした」と心を躍らせた。

     

    観客と出演者が一体となって楽しんだ虎舞フェスタ

    観客と出演者が一体となって楽しんだ虎舞フェスタ。外には出店も並び終始にぎわいを見せた

     

     市外からは、陸中弁天虎舞(大槌町)、甲州台ケ原宿虎頭の舞(山梨県北杜市)、左比代虎舞(青森県八戸市)、平磯芸能保存会(宮城県気仙沼市)が招かれた。 台ケ原宿虎頭の舞は1993年5月、「日本丸」が入港した釜石港公共ふ頭で行われたイベントに出演して以来2回目の来釜。11~64歳のメンバー23人が、山梨県では唯一という虎の舞を披露した。

     

     台ケ原は甲州街道の宿場町で、火伏せなどの祈願のため地内の正一位「田中神社」に同舞が奉納されてきた。神殿の欄間には虎の彫り物があり、京都宇治で採れた新茶を徳川将軍に献納するお茶壺道中の宿泊場所で家康公が寅年であったことから、旅の疲れを癒やすために奉納されたとも考えられている。

     

     徳川文化が否定された明治期以降、虎頭は神社に伏せられてきたが、昭和になり世に出てきたことで、約100年間途絶えていた舞の復活に地域住民らが立ち上がった。80年代から全国各地の虎舞を視察し、釜石も訪問。91年、今に継承される舞を完成させた。同フェスタでは「寝起き」「夫婦」「本調子」の3演目を披露。釜石虎舞とは趣の違う舞で観客を魅了した。

     

     同舞保存会会長で北杜市観光協会副会長でもある小野光一さん(64)は「23年ぶりに伺えて本当にうれしい。釜石のエネルギッシュな虎舞はメンバーの勉強になる」と喜び、「震災や津波のことをよく知らない小さい子どもたちが、被害の大きさや復興の現状を学ぶ機会にもなった。虎のご縁を大切にし、今後も足を運べたら」と願った。

     

    (復興釜石新聞 2016年11月30日発行 第542号より)

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    第7回 全国虎舞フェスティバル
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