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「ファイト黒潮健児」の横幕を掲げて行進する平田小の児童ら。沿道では約7千人の見物客が声援を送った

響く『よいさ』燃える釜石、復活から5年目の夏〜震災復興から交流促進へ、国際色も豊かに 躍動35団体 1900人

「ファイト黒潮健児」の横幕を掲げて行進する平田小の児童ら。沿道では約7千人の見物客が声援を送った

「ファイト黒潮健児」の横幕を掲げて行進する平田小の児童ら。沿道では約7千人の見物客が声援を送った

 

 釜石の夏を熱く彩る「釜石よいさ」(同実行委主催)は5日、大町から只越町の目抜き通りを特設会場に開かれた。東日本大震災による休止を経て復活してから5回目、通算では29回目。「サーサ、ヨイヤッサー」の掛け声に合わせ、35団体、約1900人が思い思いのスタイルで舞い踊り、パレードを繰り広げた。震災後は「復興」を前面に掲げてきた釜石よいさ。震災から6年が経過し、復興もかなり前進。2年後のラグビーワールドカップ(W杯)開催へ向け、夏の祭りは国際交流の場へと変わりつつあることを印象付けた。

 

開会を前に特設舞台から餅をまく野田市長、君ケ洞実行委委員長ら

開会を前に特設舞台から餅をまく野田市長、君ケ洞実行委委員長ら

 

 青葉通りに設置された特設舞台で開会セレモニー。実行委の君ケ洞剛一委員長(39)は「継続してきた先輩たちのおかげで今がある。よいさのバトンを渡す積み重ねが釜石の明るい未来につながる」と宣言。野田武則市長は「復興工事も来年で完了する見通し。全国から集まった多くの人を力に早期復興につなげたい」と前を向いた。

 

 にぎやかに餅まきが行われたあと、尾崎青友会が郷土芸能の虎舞を披露。続いて甲東、かまいしこども園、正福寺幼稚園、上中島保育所の園児らが元気いっぱいに「子供よいさ」を繰り広げた。

 

 総勢50人のおはやし隊の笛や太鼓が鳴り響き、そろいの浴衣姿のよいさ小町があでやかに前ばやしを披露すると、いよいよ本番がスタート。企業や団体、学校ごとに趣向を凝らしたスタイルで踊りの輪が回り始めた。

 

「がんばろう釜石」とアピールする復興整備事業の仲間たち

「がんばろう釜石」とアピールする復興整備事業の仲間たち

 

 市の職員らは、2年後に迫ったラグビーW杯へ向け、のぼり旗を先頭に行進。W杯を共同開催する県の沿岸広域振興局職員らは「ワールドカップを成功させよう」の横断幕を掲げてアピールした。

 

 拓殖大や聖学院大の学生、外資系企業のUBS証券グループなど、釜石の復興を外から支え続ける団体も参加。数多くの外国人も踊りの輪に加わるなど国際色も豊かになった。

 

笑顔で躍動する拓殖大の学生ら

笑顔で躍動する拓殖大の学生ら

 

釜石の復興を支え続ける聖学院大の学生も「ヨイサッ」

釜石の復興を支え続ける聖学院大の学生も「ヨイサッ」

 

 市国際交流協会の輪には、バイクレースに出場するため東京から北海道に向かう途中というプロライダー、ベンソン・バイウさん(30)=フランス=とガールフレンドのステファニー・ロウエさん(30)=イギリス=が飛び入り。「イエー!」と大ノリで、「バイクレースよりも興奮した。人々の熱い吐息も感じることができた」と声を弾ませた。

 

バイクで釜石を通りかかり、飛び入り参加したバイウさん(左)とロウエさん(右)

バイクで釜石を通りかかり、飛び入り参加したバイウさん(左)とロウエさん(右)

 

 沿道では市民や観光客ら約7千人が拍手を送り、夏の饗宴を盛り上げた。市内の水産加工場で技能実習生として働くベトナムの若い女性たちも、うちわを振りながら声援。今年5月に釜石にやってきたドー・ティ・トウフォンさん(19)は「これから3年間、釜石でがんばります」と、躍動する市民の輪に思いを重ねた。

 

釜石市の国際交流員、バリーさん(右)、ハラムズさん(左)もノリノリ。ベトナムやオーストラリアの国旗も躍る

釜石市の国際交流員、バリーさん(右)、ハラムズさん(左)もノリノリ。ベトナムやオーストラリアの国旗も躍る

 

 友人と誘い合って駆け付けた天神町の野崎諒子さん(78)は「毎年これが楽しみ。ホントはこうして見るより踊る方が好き」と言いながら、目の前で踊る4歳の孫に手を振った。

 

 昨年4月の熊本地震で大きな被害を出した熊本県益城町から、被災者が「支援を受けた返礼に」と、釜石よいさに参加した。

 

 屋台村で花屋を営む倉本憲幸さん(40)と、キッチンカーでカフェを営む市村修一さん(33)の2家族11人。釜石まで約1900キロの道のりを車に同乗して駆け付け、益城町の西村博則町長の礼状を野田武則市長に手渡した。

 

熊本県益城町から返礼に駆け付けた倉本さん、市村さん一家

熊本県益城町から返礼に駆け付けた倉本さん、市村さん一家

 

 昨年起きた熊本地震の際、キッチンカーを使って益城町に行き、炊き出しを行った三塚浩之さん(54)=釜石市浜町=が縁をつないだ。三塚さんは「東日本大震災の際に支援を受けた九州に恩返しをしよう」とリストバンドを販売して募金を集め、これまで7回も益城町まで足を運び、12万円近い支援金も届けている。

 

 三塚さんは震災前、市役所の近くで和食店を営んでいたが、津波で被災。その後、キッチンカーで営業を再開した。さらに飲食店の再開を目指す三塚さんの姿に刺激を受け、「リバイバル マシキ」という復興団体を立ち上げた倉本さんは「何から手を付けていいか分からない状況だが、少しずつ動き始めたい」。屋台村の仮設店舗で倉本さんの仲間だった市村さんも「益城町の夏祭りも復活させたい」と前を向く。

 

(復興釜石新聞 2017年8月9日発行 第612号より)

 

復興釜石新聞

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問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

海あそびワンデイキャンプ

【イベント紹介】海あそびワンディキャンプ〜めっちゃきれいな釜石のシークレットビーチであそぼう!

海あそびワンデイキャンプ

 

最近、海と触れ合う時間はありましたか?「行きたい気持ちはあるけど、何となくきっかけがなくて・・・」という方も多いかもしれませんね。そんな皆さんにおすすめのイベントをご紹介します。

 

釜石のシークレットビーチで1日を過ごす【海あそびワンディキャンプ】です。

 

主催の「海と子どもの未来プロジェクト実行委員会」(通称:さんりくBLUE ADVENTURE)共同代表の永嶋奏子(ながしま かなこ)さん<ユナイテッドグリーン・Beach Academy 釜石> に、このイベントについてお聞きして来ました。

 

さんりくBLUE ADVENTUREには色々な市内の団体が参加していますね

 

はい、釜石には、地域の海に関わる「自然・アウトドア・スポーツ・教育・安全」などをキーワードに活動を行う海の仲間たちがいます。

 

そうした仲間が連携し、「未来の地域を担う子どもたちと共に海とふれあう機会をつくることで、東日本大震災の影響により加速する“海離れ”を止め、ふるさと三陸の海や自然そして文化に誇りを持ち、自然への愛情と“生きる力”を育みたい」そんな想いを胸に、地域の子どもや家族へ向けた海を体験する【海あそびワンディキャンプ】を2014年から毎年開催してきました。今年で4年目になります。

 

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東日本大震災の後の子どもたちと海との関わりについては、どう感じていらっしゃいますか?

 

あまり海に行くきっかけが無かったり、やはり、まだ家族で海に・・という意識にはなっていない方も少なくないなと感じています。震災から6年が経過しましたが、小学校に通う年代の子どもが一度も海と触れ合う事なく過ぎてしまう、ということがあるかもしれない・・・。

 

そして、三陸沿岸だけではなく、実は全国的に見ても“海離れ”は進んできているんです。だけど、小さい頃に海で遊んだ思い出は大人になっても、鮮明に覚えているものではないでしょうか。

 

砂浜を裸足で歩いた時の感触、海水を飲んでしまった時の塩辛い味、浮き輪からひっくり返ってしまった事、きっと多くの方々の記憶の中に刻まれている思い出があると思います。

 

また、海と触れ合う機会が少ないと、海につながる活動を知ったり、始めたりするきっかけに繋がりにくいのではという事もあります。実際に漁師さんを見て「かっこいいなぁ」と感じる事だとか。

 

ふるさとの海を知ることは、ふるさとを好きになる、誇りを持つことに繋がっていくと思うんです。

 

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プログラム内容についてですが、1日でこんなにたくさんの事が体験出来るプログラムは、なかなか無いのではないでしょうか?

 

そうですね。シュノーケリング・シーカヤック・ニッパーボード・スタンドアップパドルボード、生き物観察など・・、これだけの事を一度に体験できる機会はなかなかないと思います。これは本当に、釜石ならでは。地元の海や文化が大好きで、専門分野それぞれに活躍する人がいて、つながりあえるからこそ。釜石だからこそ出来るプログラムです!

 

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その他にプログラムのおすすめポイントはありますか?

 

まず、ウェットスーツを着て遊ぶというのが大きなポイントです。多くの皆さんにとって、おそらく着る機会が少ないモノなのかなと思いますが、浮力の確保・体の保護・保温性があるので、三陸の冷たい海でも1日中遊ぶことが出来ます。

 

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それから、海があまり得意では無い、泳ぐことが出来ない方でも楽しんでいただけると思います。磯場や少し海の中を覗いて見るだけでも、色々な魚や生き物がいます。子どもたちの様子を見ていると、毎回「そんなに楽しい?!」って思うくらい、はしゃぎながら観察していますよ(笑)。

 

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それから、「ういてまて講習会」がありますね

 

世界中の合言葉である「ういてまて」や、実際にランドセルやペットボトルを使って浮いてみるなど、釜石ライフセービングクラブのライフセーバーに直接教わる貴重な機会となっています。地元で活躍するライフセーバーたちは、子どもたちの目にも憧れの存在として写っているに違いありません。

 

ういてまて講習会

 

地元の漁師の方々も協力されていますね

 

2年目以降は「今年もやるんだね」と、回数を重ねる事にだんだんと理解を頂いてきているなぁと感じています。港や船、当日会場での安全面についてのご協力、それから子どもたちと交流もして頂いています。

 

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これまでの参加者からの声や子どもたちの様子はどうですか?

 

これまで毎年参加してくれている子もいます。それから、町中で偶然会った時に、「海のやつ今年はいつやるの?」と聞かれてうれしかった事もありました。また、夏休みの思い出の絵を書いてくれた子もいて、それを見たときに「あー、やって良かったな」と感じました。

 

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来てくれた子どもたち自身が、このプログラムの背中を押してくれているのですね

 

そうですね! そして、参加した親御さんも子どもに負けないくらいに楽しんで下さっています。そんな親御さんの様子を見ることで、子どもたちも安心して心から楽しんで遊ぶ事が出来るという事も、開催して感じたことです。

 

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泳げない子にも安心して楽しく過ごしてもらえていますし、回を重ねるごとに海に対して積極的になって行く姿なども見られます。

 

今後の活動についてはどうでしょうか?

 

4年目を迎え、これまでの経験を活かしそれぞれの役割分担が明確になり、スタッフ側の体制も少しづつ整ってきました。今後はもっと多くの地元の子どもやご家族に参加していただけるようにしていきたい。また沿岸地域だけではなく、内陸の子どもたちにも海と触れ合う機会を提供したいです。

 

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また、現在は釜石ファンでありトライアスリートのマイケル・トリーズさんが代表を務める「Tri 4 Japan」さんからの継続的なご寄付やご協力をいただき運営ができています。心から感謝しています。また、ボランティアの参加もあって運営が成り立っていますが、これからはより自立した運営を目指しています。地元の協力協賛企業を募集し、継続して関わって下さる方が少しでも増えればと期待しています。

 

そして何より、この体験が家族で海と触れ合うきっかけになり、日常の風景になってくれたらと願っています。

 
 

「海と子どもの未来プロジェクト実行委員会」(通称:さんりくBLUE ADVENTURE)は、強い想いを持った一般市民の皆さんによる活動です。こうした市民主導の活動は、とても貴重な事なのではないかと感じます。

 

~未来を担う子どもたちに、故郷の海の思い出を、そして、生きる力を育む~ そんな想いを持って集まった海の先生たちが、みなさんの参加をお待ちしています!とってもきれいな釜石の海で、思いっきり遊び、素敵な思い出作りませんか?

 

第4回 海あそびワンディキャンプ

 

海あそびワンディキャンプ チラシ 表

海あそびワンディキャンプ チラシ 表

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海あそびワンディキャンプ チラシ 裏

海あそびワンディキャンプ チラシ 裏

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開催日

1回目 8月20日(日) 2回目 9月9日(土)(両日とも荒天順延は9月17日(日))

集合場所

釜石市 箱崎白浜漁港 [8時45分集合・16時解散]

対象

小中学生と保護者さま(定員30名)

参加費

1日おひとり4,500円[2人目からはひとり500円割引]
※昼食、ライフジャケット、ウェットスーツなど機材レンタル、保険代込み

持ち物

○一日分の飲料水 ○水着 ○着替え ○タオル(着替えやすいゴム入りタオルが便利です) ○水中メガネ ○ウォーターシューズ(お持ちでない方は濡れても良い靴、かかとのあるサンダル)
 
※緊急時は、ビーチからハイキング路を登って高台の道路へ避難します。また、当日の天候・海の状況によって、会場を 水海海岸・愛の浜 に変更することがあります。

申込期限

それぞれの開催日の3日前まで ※ただし定員になり次第締め切りとなります
申込は以下の方法にて
電話番号:090-4473-2336 <担当・永嶋(ナガシマ)さん>
メールアドレス: sannrikubluead@gmail.com
FACEBOOKページ: さんりくBLUE Adventure
お問い合わせもお気軽にご連絡ください。

 

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内

「買い物がてら週に1回は来たい」とスポーツジムの開設を喜ぶ男性も

集いの場で健康づくり、スポーツジム「3FIT」オープン〜憩いのサロンに開放、イオン釜石へ 東北初出店

「買い物がてら週に1回は来たい」とスポーツジムの開設を喜ぶ男性も

「買い物がてら週に1回は来たい」とスポーツジムの開設を喜ぶ男性も

 

 釜石市港町のイオンタウン釜石1階に3日、「イオンスポーツクラブ3FIT(スリーフィット)釜石店」がオープンした。2013年にイオンタウンと釜石市が締結した「大規模商業施設の立地および地域貢献に関する協定」に基づくもので、イオンが運営するスポーツジムとしては東北初出店。最新の筋力マシンのほか、ヨガなどイオン独自のスタジオレッスンプログラムを用意した。また、地域の集いの場として活用できるよう交流スペースも設け、復興に進む地域のコミュニティーづくりと住民の心と体の健康づくりを後押しする。

 

 3FITは、グループ会社イオンリテール(千葉市、岡崎双一社長)が全国で40店舗以上を展開するスポーツクラブなどの施設ブランド名。世代や性別を問わずに高まる健康志向に応えるため、「身体的、精神的、社会的3つの健康(フィットネス)を地域社会に届ける」のをコンセプトにしている。

 

 釜石店は店舗面積約600平方メートル。最新のストレッチマシーンやランニングマシン、エアロバイクなど計35台を配置した。スタジオレッスンとして、「コアシェイプ」や「フィットヨガ」、「バランスボール」などのプログラムを用意。運動初心者から体の機能向上を目指す人まで幅広いニーズに対応させた。

 

 健康機器大手タニタの健康管理プログラムを採用し、活動量計を兼ねる会員証で、毎日の歩数や消費カロリーを計測。店内に設置している体組成計や血圧計の結果と合わせて、連動するWEB上の管理サイトで経時変化をチェックできる仕組みになっている。

 

野田市長らのテープカットでスポーツジムのオープン

野田市長らのテープカットでスポーツジムのオープン

 

 スタッフはインストラクターなど9人を配置。会員一人一人に合ったトレーニングを提案するため、マンツーマンでマシンの使い方や運動のメニューづくりをサポートする。

 

 市と連携した取り組みとして、お茶やお菓子を囲みながら過ごせる交流プログラムを9月から開始。火曜日の午前10時から午後3時までサロンとして開放する。

 

 オープニングセレモニーで、釜石店の三浦元司ストアマネジャーが「釜石を健康と笑顔のまちにするため、スタッフ一同、元気に明るいパワーを持ってサポートする」とあいさつ。イオンタウン営業本部東北事業部の三吉孝明部長、野田武則市長ら関係者がテープカットし開店を祝った。

 

 事前に会員登録をしたのは、市内外の10代から80代まで約400人。開店を待ち構えた人たちが早速利用を始め、インストラクターの指導を受けながらマシンやヨガレッスンを体験した。

 

 大槌町の女性(67)は「膝を悪くし、医者に筋肉をつけなさいと言われ、家で筋トレを一人でやっていたが面白くなかった。開店はラッキー。自分の足で長く歩けるようにしたい」と意欲満々。マシンを使って体をゆったりほぐしていた野田町の茂庭徹穂(てつお)さん(63)は「普段使わない筋肉を使っている感じ。体力が落ちているのも感じた。頑張って体力増強させたい。買い物のついでに利用できるのもいい」と喜んだ。

 

 営業時間は月・火・木・金曜日が午前9時~午後9時、土・日・祝日は午前9時~午後5時で、定休日は水曜日。問い合わせは3FIT釜石店(電話0193・31・2828)へ。

 

(復興釜石新聞 2017年8月5日発行 第611号より)

関連情報 by 縁とらんす
イオンスポーツクラブ THE SPACE
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本設の営業再開を喜ぶ来場者に笑顔で応じる桑畑眞一さん

老舗本屋、本設再出発「まちの文化」発信拠点に〜被災の桑畑書店

本設の営業再開を喜ぶ来場者に笑顔で応じる桑畑眞一さん

本設の営業再開を喜ぶ来場者に笑顔で応じる桑畑眞一さん

 

 東日本大震災の津波で釜石市只越町にあった店舗が全壊し、大只越町の仮設店舗で営業を続けてきた桑畑書店が24日、大町の本設店舗に移り、再スタートを切った。全てを失っても廃業は考えず、小さいながらも構えた仮店舗で市民らに読書、活字文化を届け続けて6年余り。本設という目標にやっとたどり着いた。店主の桑畑眞一さん(63)は「感慨よりも、これからの不安が大きい」と話しつつ、「気軽に入れる、本を待っているお客さんの要望に応えられる店にしたい」と力を込める。

 

 同書店は、桑畑さんの祖父が1935年に創業した。95年には2階建てに改築。売り場は約230平方メートル、事務所と2階ホールを合わせると約330平方メートルになり、市内では最大規模の書店だった。児童書や参考書を中心に品ぞろえを充実させ、ホールでは作家の講演会やコンサート、絵本の読み聞かせ会などが開かれ、まちの文化活動の拠点にもなった。

 

 震災では店舗、隣接する自宅とともに在庫約5万冊の書籍も流された。が、がれきの中から1冊だけ顧客名簿を発見。その名簿と記憶を頼りに自転車でかつての常連客約500人を訪ねて回った。雑誌の定期購読者も多く、「いつから配達するの?」「ぜひ店を再開して」と望む声が多かったという。

 

 桑畑さんは「何か考えている余裕はない。とにかく続ける」との思いで、震災から1カ月後、鈴子町に事務所を確保。注文があれば1冊から本を届け続けた。

 

 その7カ月後の11月には、プレハブの仮設店舗「青葉公園商店街」内に約30平方メートルの小さな店を構えた。桑畑さんは「前進はしたけど、売り上げは震災前の3分の1程度。いつつぶれてもおかしくない」と振り返る。震災後に開店した大型店に客が流れ、周辺の人通りはまばら。電子書籍やインターネット販売の伸びも、書店販売の落ち込みに影響したという。

 

 「在庫をそろえるだけで何千万円もかかる」「後継者もいないのに建物を残すのは嫌だ」。自宅があった場所での本設再建、店舗は持たず配達のみにするか―と悩み続け6年余り。予算的に挑戦できなかったとの悔いも残るが、「テナントなら」と出店を決めた。

 

仮設で6年 再開望む声に応え

 

大町災害公営住宅1階にオープンした新店舗

大町災害公営住宅1階にオープンした新店舗

 

 新店舗は大町1丁目の災害公営住宅の1階。売り場は約50平方メートルの広さだが、本棚には約1万冊の書籍、雑誌などが並ぶ。営業時間は午前10時から午後7時。ようやく開店にこぎ着けたが、「活字離れが進み、震災前に比べ並ぶ本の数も少なくなる中、客は来てくれるのか」と、桑畑さんの心配は絶えない。

 

 初日は午前9時半に開店。たまたま通りかかって開店を知った甲子町の30代の女性は、小さい頃から本の注文で世話になっていたといい、「いつの間にここに。また来ます」と、うれしそうに桑畑さんと言葉を交わした。野田町の佐藤裕子さん(63)は「地元に古くからある店が立ち上がってくれて、うれしい。買うことが再出発の一番のお祝いになるかと思って」と絵本など4冊を購入。これまではネットで注文していたが、手に取り選ぶ良さも実感していた。

 

 21日から3日間行った引っ越し作業には、中学、高校時代の同級生や震災後に出会った人ら約30人がボランティアでお手伝い。「震災で失ったものは多いが、いろんな人との出会いもあった。店があれば出会いもある。そういう縁を大切にしたい」と話した。

 

(復興釜石新聞 2017年7月29日発行 第609号より)

 

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祈りのパークが整備される市有地

鵜住居防災センター跡地、追悼施設の概要説明〜出席者ごくわずか、犠牲の風化 懸念強く

市の説明に先立ち、あいさつする三浦会長。多くの遺族の参加を期待していたが…

市の説明に先立ち、あいさつする三浦会長。多くの遺族の参加を期待していたが…

 

 釜石市が鵜住居地区防災センター跡地に整備する震災犠牲者の追悼施設「祈りのパーク(仮称)」の概要説明会が23日、鵜住居公民館で開かれた。同施設については18日、整備推進委員会(柏﨑龍太郎委員長、委員11人)がレイアウトなどの検討結果をまとめた最終報告書を市に提出。説明会は、同センターに関する被災者遺族の連絡会(三浦芳男会長)の遺族らの意見を聞こうと開催したが、出席者はごくわずかにとどまった。

 

「観光施設の近くには反対」の声も

 

 同パークは東日本大震災の犠牲者を悼み、二度と同じ悲劇を繰り返さぬよう震災の教訓を後世に伝える市全体の施設とする。津波で多くの犠牲者が出た同センター跡地を含む5200平方メートルの市有地に5メートルの盛り土で囲んだ緑地公園を整備。中央の慰霊の場に犠牲となった市民(直接死・関連死・行方不明者)の名前を記した芳名板を設置し、盛り土部分の高台に設ける祈りの場に今後、策定する防災市民憲章を掲げる。同所の津波高(元の地盤から11メートル)を表すモニュメントも設置。公園に隣接し津波伝承施設を整備する。

 

祈りのパークが整備される市有地

祈りのパークが整備される市有地

 

 遺族からは「犠牲者数など防災センターの被害を明確に示してほしい」「公園の近くに観光交流施設があるのは反対」などの意見が出された。昨年12月、連絡会と施設に関する要望を行った釜石仏教会の芝崎惠應顧問は「遺族の気持ちが反映されていない。これで市の重い責任が果たせるのか」と慰霊のあり方や議論の経過に疑問を投げかけた。三浦会長は、2012年12月から要望を続けてきた防災センター犠牲者の慰霊碑建立が同パーク整備に盛り込まれなかったことに関し、他の場所を含めた市の建立の意思を問いただしたが、市側は「まだ決定していない。検討して答えたい」と述べるにとどまった。

 

 説明会の案内は住所が判明している連絡会の117人に送付したが、三浦会長以外の出席者は3人だけ(うち連絡会遺族1人)。三浦会長は「非常に残念。開催時間帯の問題か、関心が薄れているのか」と首をかしげ、慰霊碑問題と併せ、同センターの犠牲が風化してしまうことへ強い懸念を示した。

 

 市は今後、8月26日の鵜住居地区を皮切りに各地区の復興まちづくり協議会で整備概要を説明。市内8カ所で開催予定の市政懇談会でも意見を聞き、19年2月の完成を目指し事業を進める。

 

(復興釜石新聞 2017年7月26日発行 第608号より)

 

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釜石○○会議を開催します

【8/19(土)より】釜石○○会議を開催します

釜石○○会議を開催します

 

本年度の釜石○○(まるまる)会議が、いよいよ8月から始まります。

 

「仲間を募ってこんなことを始めてみたい」「楽しそうな活動に自分も加わってみたい」など、ワクワクする何かを一緒に楽しく考えてみませんか?

 

全3回の構成ですが、毎回参加できなくてもOKです。昨年参加した人もそうでない人もぜひお気軽にご参加ください!

 

釜石○○会議 チラシ

釜石○○会議 チラシ

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日程

・第1回 8月19日(土) 13時~16時
・第2回 9月23日(土・祝) 13時~16時
・第3回 11月3日(金・祝) 13時~16時

場所

チームスマイル・釜石PIT(釜石市大町1-1-10)

対象

どなたでも参加できます。
※託児サービスも利用できます。利用を希望される方は申込時にお伝えください。

参加費

無料

申し込み

次のいずれかの方法でお申込みください。
①以下申込サイトにアクセスし、必要事項記入の上送信ボタンを押してください。
【申込サイト】https://goo.gl/Vbthiu
②Facebookページ「釜石○○会議」の参加ボタンをクリックしてください。
【Facebookページ】https://www.facebook.com/marumarukaigi/
③釜石○○会議事務局まで電話(0193-27-8463)でお申込みください。

釜石○○会議とは

「釜石をもっと楽しいまちにしよう」「やりたいことを形にしていく仲間を増やそう」をコンセプトに2015年3月よりスタートしています。
地域、立場、世代を超えて様々な人が集まり、ワイワイガヤガヤしながら「○○」の中身をみんなでつくっていく場です。
これまで延べ650人が参加し、会議の中から様々なチームが結成され、釜石をフィールドにした色々な活動や楽しいイベントが生まれています。

問い合せ・申し込み先

釜石○○会議事務局(釜石市オープンシティ推進室内)
TEL:0193-27-8463、0193-22-2111(内線193)

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 オープンシティ推進室 戦略推進係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8463 / 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/keikaku_torikumi/chihousousei/detail/1211547_3278.html
釜石市

釜石市

釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
山林火災跡のコースを進むトレッキング参加者(主催者提供)

山林歩き 火災の復旧支援「尾崎100年学舎」〜トレッキングで再生促す、県内外から参加

山林火災跡のコースを進むトレッキング参加者

山林火災跡のコースを進むトレッキング参加者(主催者提供)

 

 釜石市平田の尾崎半島で5月に起きた大規模山林火災からの森林再生を目指そうと、同半島の地域振興に取り組む団体「尾崎100年学舎」(久保竜太代表)は16日、参加費を山林の再生に充てるトレッキングを山火事のあった現地で行った。

 

 「あなたの参加が再生につながる尾崎半島トレッキング」をテーマに16人が参加し、尾崎白浜の集落から尾崎神社奥の院までを往復。1人500円の参加費のほか、燃え残った被災木を加工したグキーホルダーなどの販売で、支援金1万1500円が集まった。

 

 山火事跡地でのトレッキングは、6月25日に続いて2回目。今回は小学生を含め、県内のほか横浜市や気仙沼市など県外からの参加もあった。

 

 同学舎の村上浩継さんによると、この日は降雨が予報されたことから、ルートを奥の院までの往復約10キロに短縮。被災林(総面積約413ヘクタール)の一部を通りながら、釜石地方森林組合の高橋幸男参事らが火災の発生と延焼、山林被害、住民の避難、消火活動、森林再生の方向性と課題などを説明した。

 

 自然の再生力も確認した。「火災直後は『死の森』を思ったが、燃えた地面から草が生え、カエル、ヘビ、セミ、野鳥がいた。生命の尊さ、力強さを感じた」と村上さん。

 

 同トレッキングは毎月1回計画。あす23日も行う。木製グッズはキーホルダーや置物になる。表面には英語で「NEW LIFE NEW FOREST(新しい命、新しい森)」の文字を刻んだ。

 

被災木を活用したキーホルダーも支援に

被災木を活用したキーホルダーも支援に

 

(復興釜石新聞 2017年7月22日発行 第607号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

釜石市魚市場

釜石市魚市場を一般公開します!

釜石市魚市場

 

新しい「釜石市魚市場」の一般公開を実施します。施設見学に加えて、振る舞い・産直も行います。7月30日(日)はぜひ魚河岸地区へお越しください。

 

https://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/kanko/matsuri_event/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/07/24/uoitiba-annaitirasi_1.pdf

釜石市魚市場一般公開案内チラシ

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日時

平成29年7月30日(日) 午前9時30分~午後3時30分

場所

釜石市魚市場(釜石市魚河岸3-10)

入場

無料(申込の必要はありません)

内容

①魚市場内見学
1階市場内及び2階展望デッキを公開します。
②来場者への振る舞い
「ホヤの串焼き」の振る舞いを行います(11:30から300食限定)。
③海産物の産直
ワカメなどの水産加工品や活ホタテ・ホヤを販売します。

その他

天候などにより中止する場合があります。

 

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 水産課
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8427 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/kanko/matsuri_event/detail/1211391_2438.html
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愛着のある室浜地区をみんなで盛り上げようと気持ちを高める住民ら

帰還の喜び分かち合う「これからも仲良く」〜片岸町室浜地区、かさ上げ土地造成

愛着のある室浜地区をみんなで盛り上げようと気持ちを高める住民ら

愛着のある室浜地区をみんなで盛り上げようと気持ちを高める住民ら

 

 東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた釜石市片岸町室浜地区。震災から6年4カ月が経過し、住民の帰還が進んだ同地区で16日、室浜町内会(佐々新一会長)による震災後初の住民交流会が開かれた。かさ上げ造成された土地で新たな生活を始めた住民らは、古里の良さを実感しながら、室浜集落の再生に思いを強くした。

 

 交流会は当初、地区内の観世音神社の駐車場で開く予定だったが、雨の予報を考慮して室浜漁港の屋根のある岸壁に場所を移して開催。震災後、住民が譲り受け町内会に託されたこいのぼりで会場を彩り、震災前のにぎわいを再現した。集まった住民25人は酒を酌み交わし、バーベキューを味わいながら楽しい時間を共有した。

 

 震災前、同町内会には69世帯が加入していたが、津波で全戸が流失。住民約20人が犠牲になった。命をつないだ住民らは流失を免れた地元の民宿などに身を寄せ、避難所生活の後、市内各地の仮設住宅に移った。

 

 同地区の復興は防災集団移転促進、漁業集落防災機能強化の2事業が導入され、被災前より6~8メートル高く盛り土造成された宅地が完成。2015年11月から土地の引き渡しが始まった。地区内には市の戸建て復興住宅7戸が整備され、自力再建でこれまでに11戸が完成。現在、42人が暮らしている。

 

新たな姿に生まれ変わった室浜地区

新たな姿に生まれ変わった室浜地区

 

 最も早く自力再建を果たした佐々定三さん(71)は妻と娘の3人暮らし。「当初は街灯もなく夜になると寂しかったが、周りに家が増えてきて安心感がでてきた。少人数の部落なので、みんな仲良くやっていければ」と期待。刺し網漁を続ける現役漁師で、海の仕事ができる喜びもにじませた。

 

 復興住宅に入居してちょうど1年になる山崎邦男さん(78)は「最高だね。海を眺めて暮らせるのがいい。ここで生まれた人間だからね」と地元に戻れたうれしさをかみしめる。震災前まではホタテやカキなどの養殖業に励んだ。「まだ、みんな帰ってきたばかりで落ち着かない。徐々に良いまちになっていくのでは」と地区の未来を思い描いた。

 

 帰還を果たす人がいる一方で、復興事業の遅れや将来の津波への不安、通院や買い物の問題など、さまざまな理由で同地区への帰還を断念した人も多く、現段階の居住戸数は震災前の4分の1程度。子育て世代がおらず、高齢化が顕著となっている。佐々会長(50)は「高齢者も運動がてら出てきて、草刈り作業など町内会活動に無理の無い範囲で参加してもらえれば。顔を合わせることで互いに会話もできる」と、健康で住みよい地域づくりを願った。

 

 今年度中には集会所を併設した新たな消防屯所が地区内に建設される見込みで、防災面の機動力向上も図られる。漁港の周辺は今後、防潮堤建設や道路改良などの復旧工事が進められる予定。

 

(復興釜石新聞 2017年7月19日発行 第606号より)

 

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平田災害公営住宅にベンチを贈った伊豆の国市建設業協会「若手の会」会員と住民

世界遺産で釜石と縁、手作りベンチ贈る〜静岡・伊豆の国市建設業協会、県営平田復興住宅へ

平田災害公営住宅にベンチを贈った伊豆の国市建設業協会「若手の会」会員と住民

平田災害公営住宅にベンチを贈った伊豆の国市建設業協会「若手の会」会員と住民

 

 静岡県の伊豆の国市建設業協会(土屋龍太郎会長、40社)の若手事業者らが10日、釜石市の県営平田災害復興公営住宅(126戸)を訪れ、手作りの木製ベンチ1台を寄贈した。一行を迎えた同団地自治会の小林徳夫会長ら住民は、頑丈で立派なベンチに感謝した。

 

 同協会「若手の会」の遠藤浩明代表幹事、事務局の土屋昭さんら10人が訪れ、県建設業協会釜石支部の青木健一理事が同行。沿岸広域振興局土木部復興まちづくり課の及川郷一課長、静岡県からの派遣職員植田勝久総括主査が立ち会った。

 

 集会所で行われた贈呈式で、遠藤代表は「みなさんは大変な思いをされたでしょう。暑い日は、このベンチに座り一息ついてください」とあいさつ。子どもが3人掛けできるサイズに小林会長は「人が集まる機会はまだ少なく、高齢者が多い。ベンチはありがたい」と感謝した。

 

 伊豆の国市の一行は9日から2泊3日の予定で震災の被災3県を視察。この日は世界遺産の橋野鉄鉱山まで足を延ばした。伊豆の国市にも世界遺産「明治日本の産業革命遺産」を構成する資産の一つ「韮山反射炉」があるからだ。釜石産鉄鉱石で生産した「南部産銑鉄」を使った西洋式大砲(18ポンドカノン砲)も鋳造した。それが同反射炉最後の試作品で、幕府に納入された深い縁がある。

 

 同協会は3年前に釜石を訪れ、東海地方でも懸念される大地震と津波、土砂災害などの備えに役立てている。

 

 ベンチの寄贈は伊豆の国市建設業協会の会員事業所が始め、「ベンチがあると人が集まり、コミュニティーづくりの場になる」と評判になり、昨年9月、協会事業に採用した。同市内ではこれまでに店舗や福祉施設に13台を贈った。

 

 土屋さんによると、ベンチは協会への要望を受けて対応。現地に出向いて使用法、サイズ、台数を検討し、製作を引き受ける会員が手を上げるシステム。材料は「廃材」というが、プロの手でデザイン、組み立て、塗装されると、立派なベンチに姿を変える。

 

 一行は釜石市から南下しながら復興状況を視察。11日には宮城県多賀城市の市営復興住宅にもベンチを贈った。

 

(復興釜石新聞 2017年7月15日発行 第605号より)

 

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「かまリン」をあしらったポロシャツを着用する発案者の藏本英司さん(後列中)、釜石市職員ら

「かまリン」ポロシャツ販売、釜石の節目記念し作製〜火災の森林再生にも協力呼び掛け、北九州市の派遣職員ら有志

「かまリン」をあしらったポロシャツを着用する発案者の藏本英司さん(後列中)、釜石市職員ら

「かまリン」をあしらったポロシャツを着用する発案者の藏本英司さん(後列中)、釜石市職員ら

 

 今年は釜石市の市制施行80周年、近代製鉄発祥160周年の節目の年。これを記念し、市のマスコットキャラクター「かまリン」をあしらったポロシャツが作製された。鉄というつながりを持つ北九州市からの派遣職員と釜石市職員有志でつくる「かまリンPRポロシャツ制作委員会」が企画。5月に尾崎半島で発生した林野火災復旧へのチャリティー付きで販売を開始し、実行委では「お好みのシャツを着て、釜石、かまリンのPRと山林の再生に協力を」と呼び掛けている。

 

 ポロシャツ作製を発案したのは、北九州市からの派遣職員、藏本英司さん(43)。震災のあった2011年に2回、短期派遣され、避難所の運営などに携わった経験がある。その時に、大変な思いをしているはずの被災者や釜石市職員から掛けられた「来てくれてありがとう」との言葉に感動。「公務員の立場でなく、困っている人のために役立ちたい。つながりを持ち続けたい」と思い、派遣終了後もプライベートで4回、釜石に足を運んでいる。

 

 今年4月から1年間の長期派遣となり、釜石は7回目。水産課に配属され、魚のまちPRに向けた水産振興に取り組む中、「釜石をアピールするグッズがあれば」と考え、北九州市で携わってきたまち、地域づくりの経験を生かし、ポロシャツの作製を企画。賛同した釜石市職員6人で同委員会を立ち上げた。

 

 北九州市でご当地キャラクターグッズを製作、販売している「ネクストマップ」の協力を得て、職員向けに販売したところ、301枚の注文があり大好評。市民向けの販売を決めたところで、尾崎半島での山火事が発生し、チャリティー付きで販売することにした。

 

 ポロシャツは左胸ポケットと背中に、かまリンや「かまいし かまリン」のロゴをプリント。左襟部分には「KAMAISHI」と刺しゅうを入れた。紺、赤、黄など13色で、XSからXXXLの7サイズ。価格2600円(税込み)で、うち100円を山林再生のための寄付金に充てる。

 

 注文受け付けはネクストマップのホームページ(https://nextmap.jp/)で、8月31日までの期間限定。送料が別途かかる。問い合わせは同社(電話093・391・9111)へ。

 

 藏本さんは「山林再生のための苗木1本の費用は200円と聞く。シャツを2枚買えば苗木1本になる」と協力を呼び掛ける。外出時に気軽に来てもらえるよう、シンプルなデザインにしており、「どんどん着て、みんなで釜石を発信しましょう」とも。集まった寄付金は販売終了後、釜石地方森林組合に届けることにしている。

 

(復興釜石新聞 2017年7月15日発行 第605号より)

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【イベント紹介】あなたの参加が再生につながる尾崎半島トレッキング

あなたの参加が再生につながる尾崎半島トレッキング【イベント紹介】

【イベント紹介】あなたの参加が再生につながる尾崎半島トレッキング

 

2017年5月8日に発生した、釜石市尾崎半島の林野火災。当時の天候が火の勢いを煽り、火災が鎮火に至ったのは、発災から2週間後の5月22日。全国ニュースでくり返し取り上げられるほどの、大規模な火災となりました。

 

尾崎半島で山林火災、強風にあおられ延焼続く〜尾崎白浜・佐須、136世帯に避難指示
「やっとわが家に」尾崎半島山林火災、鎮圧へ〜尾崎白浜・佐須の避難指示解除、尾崎神社「奥宮」は延焼を逃れる

 

その尾崎半島をフィールドに活動している団体「尾崎100年学舎」では、【あなたの参加が再生につながる尾崎半島トレッキング】と題したイベントを開催しています。

 

尾崎100年学舎 Facebookページ
第3弾!あなたの参加が再生につながる尾崎半島トレッキング

 

もともと火災の前から活動の一環として行われていたトレッキング。そのコースが、今回の火災の被害に遭いました。その為、6月4日に初めてメンバーが現地へ。コース上の約4分の3の範囲が被災していましたが、安全に歩ける事が確認できたため、参加費全額を森林復旧費用へ募金する形で6月25日(日)に第1弾としてトレッキングイベントを開催しました。そして、7月16日(日)に第2弾が行われると聞き、縁とらんす取材班も参加してきました。

 

あなたの参加が再生につながる尾崎半島トレッキング 第2弾

 

この日の参加者は14人。市外、県外からの参加者もいらっしゃいました。午前9時に尾崎白浜番屋前に集合。イベントの企画者で案内役の、尾崎100年学舎メンバー 村上浩継(むらかみひろつぐ)さんから企画の趣旨説明の後、参加者の自己紹介タイムがありました。

 

尾崎100年学舎メンバー 村上浩継

 

まず初めに尾崎神社本宮を参拝。(本宮への長い階段が良いウォーミングアップです!)その後、尾崎白浜遊歩道出入り口へ移動し、トレッキングスタートです。

 

尾崎神社本宮を参拝

 

上り始めて約10分、周りの景色が変わり始めます。黒く炭化した杉の木、まだ少し焼けた匂いもしました。良く手入れされ、まっすぐに伸びた立派な木が焼けている様子、山主の方の気持ちを思うと心が痛くなります。

 

黒く炭化した杉の木

 

黒く炭化した杉の木

 

そんな景色の中を進むこと約1時間、青出浜の尾崎神社奥宮に到着。奥宮の裏手が火元の様だという事で、火災当時の対応や被害状況などについて説明を受けました。

 

尾崎神社奥宮付近

 

ここで少し休憩を取り、さらに30分ほど先の尾崎神社奥の院に進みます。この場所も近くまで火が来た場所で、すっかり黒くなっている大木もありました。

 

本来であればここから尾崎灯台を目指すのですが、午後から天候が悪化する予報だった為、今回はここで引き返す事になりました。

 

青出浜に戻ってのお昼休憩の際は、きれいな海とちょうど見頃だった釜石の花「はまゆり」が疲れた体を癒してくれました。

 

青出浜

 

釜石の花「はまゆり」

 

釜石の花「はまゆり」

 

被災木材を使用したオリジナル木製グッズ

 

そして今回は、支援に繋がるオリジナル木製グッズのお披露目もありました。被災木材調査の為にサンプルで伐り出された丸太(杉材)のうち、カットして使わない部分を利用した形が一つ一つ違うキーホルダーで、購入すると植樹など森林再生費用に寄付することに繋がります。ツアーに参加した記念として、また繋がってくれたことへの感謝の形として、手元に置いて頂きたいと願って製作したそうです。

 

被災木材を使用したオリジナル木製グッズ

 

刻まれたメッセージは【NEWLIFE NEWFOREST】
火災の後、時間と共に新しい命を感じている事、新しい森を作っていきたいというメッセージが込められています。購入できるのは、トレッキングツアーに参加した方か、学舎のメンバーと直接やり取りが出来る人のみですが、今後は広く支援に繋がるように販売場所や方法なども考えていくというお話でした。

 

現地の様子が気になっている方。自分の目で見たいという方。このツアーは今後も実施されます!第3弾は、7月23日(日)。そして、8月には少し趣向を変えて開催される予定です。

 

参加の申し込みは、尾崎100年学舎Facebookページ、または村上浩継さんまで。携帯電話 090-7499-0562

 

村上浩継さんからのメッセージ

 

「火災から2ヶ月ちょっとたっていますが、今、現場は落ち着いていて安全に歩ける状態になっています。ニュースを見て心を痛めて、すごく心配されている方がたくさんいらっしゃると思います。そんな想いを寄せて下さる皆さまに、一度現状を見て頂ければと思い企画しました。

 

尾崎半島に何が起こったのか。どんな影響があったのか。どんな対応がなされたのか。把握している範囲でお伝えしたいと思っています。そして、現場を見ていただいて、山火事の怖さを五感で感じていただければと思います。もし興味を持っている方がいたら、これをきっかけに繋がって、仲間になってもらえたら嬉しいです。ぜひ参加して欲しいと思っています。」

 

【尾崎100年学舎について】
「100年先も 人と生業と文化にあふれる 自然豊かな海のふるさとであり続けるために」このビジョンが名前の由来。 2014年9月、尾崎半島を歩きその素晴らしさに心を打たれ、より多くの人にこの場所を訪れてもらおうと、自然歩道の整備やトイレ設備等の修理を志したことがきっかけで活動を始める。
■これまでの活動
 「尾崎半島クルージングツアー」「尾崎半島トレッキング」「佐須研究会」「青出浜クリーンアップ作戦」など。今回のトレッキングコースの環境整備についてもこれから動き出す事が決まっている。
尾崎100年学舎 公式サイト

 

この他、山林の復旧・再生に向けての動きについては、釜石地方森林組合さんのブログをご参照ください。
釜石地方森林組合からのお知らせ

 

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内