オンラインを取り入れて行われた「三陸沿岸道路等利活用懇談会」=釜石市・南三陸沿岸国道事務所
東北地方整備局などは6日、2021年度中の全線開通が見込まれる岩手、青森県内の「復興道路・復興支援道路」を活用した取り組みを推進するため、「三陸沿岸道路等利活用懇談会」を設立した。同整備局、岩手復興局、2県、沿線19市町村で構成。経済、観光振興などの観点から広域連携、交流を促進させる方策を立案し、地域全体の活性化につなげる。
三陸沿岸道路(三陸道)は東日本大震災を機に「復興道路」と位置付けられ、急ピッチで工事が進んだ。青森県八戸市と宮城県仙台市を結ぶ全長359キロのうち9割以上が通行可能となっており、残りは岩手北部の2区間計25キロ。年内の全線開通を予定する。
沿岸を縦断する三陸道に対して、内陸と沿岸を結ぶ2本の自動車専用道路は「復興支援道路」と呼ばれる。釜石-花巻間の「釜石自動車道」(釜石道、80キロ)は2019年3月、宮古と盛岡をつなぐ「宮古盛岡横断道路」(66キロ)は20年3月に全線開通した。
釜石中央インターチェンジ周辺(資料写真)
初会合は三陸国道事務所(宮古市)を主会場に、青森河川(青森市)、岩手河川(盛岡市)、南三陸沿岸(釜石市)の3事務所、整備局をオンラインでつないで行われた。大半が無料の復興・復興支援道路の整備効果(沿岸と内陸の連携強化や観光振興、物流活性化、迅速で安定した救急医療活動の支援など)を共有。「道路整備による流出を防ぐ施策や通過されない、立ち寄ってもらう取り組みが必要。三陸の魅力を知ってもらうため連携していこう」と思いを一致させた。
懇談会の初会合では道路整備の効果や地域活性化策について情報を共有した=釜石市・南三陸沿岸国道事務所
沿岸事務所では陸前高田~大槌の6市町の関係者ら約15人が出席。釜石市の晴山真澄副市長は「アクセスが良くなったメリットを生かした取り組みを進めたい」と広域観光への期待感を示した。
会長の石渡史浩三陸国道事務所長は「三陸地域が変貌するチャンス。地域間で連携し取り組みを進め、刺激し合いながら活性化につなげたい」と強調。今後、南北に分かれた作業部会で広域連携策、活性化策を検討していく。