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「人を描く」鵜住居町の古川祐市さん 震災で途切れた描く喜び取り戻し、地元で初個展

「人の姿」をテーマに絵を描き続けている古川祐市さん

「人の姿」をテーマに絵を描き続けている古川祐市さん

  
 工事現場で働く作業員、車いす生活を送る人、入院・自宅療養中の家族-。目に入らない、見えにくい場所で苦労したり努力している人々の姿を描いた作品を紹介する絵画展が大型連休中、いのちをつなぐ未来館(釜石市鵜住居町)で開かれた。描いたのは、地元のアマチュア画家古川祐市さん(32)。東日本大震災後、心身の不調から創作活動を離れた時期があり、自身も苦労を抱えた経験を持つ。描く喜びを取り戻して約5年。初めての個展を実現させた。
 
 絵画展では2018年以降に創作した油彩、アクリル画など17点を紹介。工事現場で一息つく作業員を描いた「復興へ」とタイトルが付けられた作品がある一方、震災で被災した母校跡地に建設中のスタジアムをモチーフにした絵には「復興はまだ終わっていない」と重機を前面に配置し、風刺を込めた。骨が浮き出るほど痩せ細った晩年の父、病院のベッドに横たわる穏やかな表情の祖母、ギプス姿でも笑顔を見せる母。身近な人、実在する人を写実的なタッチで「生かす」作品を並べた。
 
苦労している人、頑張る人の表情を描いた作品などが並んだ

苦労している人、頑張る人の表情を描いた作品などが並んだ

 
 古川さんは、よく絵を描いてくれたという父の影響で、幼い頃から、お絵かきが大好きだった。釜石北高で美術部、県立大宮古短期大学部では美術サークルに所属して油彩の腕を磨いた。釜石市内の水産加工会社に就職して1年後、震災の津波で鵜住居町の自宅が全壊。保管していた作品約100点も流失した。仮設住宅に移った後、多くのものを失ったショックや環境の変化で心身とも疲弊し、好きだった絵を描くこともできなくなった。
 
 入院療養を経て、17年に復興住宅に入居すると、新しい生活拠点を得たことで心が落ち着いた。日差しの明るさを感じられる環境に「そうだ!絵を描こう」と気持ちも前向きになり、再び筆を手にした。そんな、絵を描く喜びを取り戻した自身の心象風景を表現した「青い壁」も展示。青空というキャンバスに雲やシャボン玉の‶落書き″を楽しむ子どもの姿を描いた空想画だ。
 
絵を描く喜びを表現した「青い壁」。込めた思いを来場者に伝えた

絵を描く喜びを表現した「青い壁」。込めた思いを来場者に伝えた

 
 ほとんどの作品に登場するのが、「人」。これまでは気にとめていなかった場所、あまり目をとどめることのなかった所で苦労していながらも頑張っている人を見つけると、描きたい衝動に駆られるようになった。そして、震災前は「見たものをそのまま描かなければ」と気を張っていたが、今は「自分のイメージをのせて自由に描くのも面白い」と思考も変化。「震災がなければ、今の作風にはなっていなかった」と振り返る。
 
 「描くしか取りえがない。人の姿と、好きという気持ちを大事にして制作していきたい」と古川さん。現在、取り組んでいるテーマは「ロシアによるウクライナ侵攻」。作品を見てもらいたい―と、2回目の展示会に向け意欲を見せた。
 
 絵画展では、自身の作品を印刷したはがきを販売。売り上げの半分をウクライナの人道支援のために寄付することにしている。

7日から一般開放が始まる橋野町の菜の花畑

黄色の“ビッグじゅうたん”見応え十分! 釜石・橋野「菜の花パーク」7日オープン

7日から一般開放が始まる橋野町の菜の花畑

7日から一般開放が始まる橋野町の菜の花畑

 
 一般社団法人ユナイテッドグリーン(山田周生代表理事)は、釜石市橋野町に開設する菜の花畑を7日から一般開放する。昨年の約2倍に面積を拡大した畑には、目にも鮮やかな黄色の花が一面に咲き誇り、心躍る空間を広げる。7日は1日限定でマルシェをオープン。自然素材のランチや手作りおやつの販売、ヨーガ体験、ピエロパフォーマンスなど多彩なメニューで来園者を迎える。一般開放は15日までを予定。時間は午前11時から午後3時まで。入園無料。
 
 産地直売所「橋野どんぐり広場」の近くにある菜の花畑は、山田代表が地元農家から遊休地を借りて耕作する。深刻化するシカの食害でここ2、3年は栽培面積を減らしていたが、高さ約2メートルの鉄柵を設置して侵入を防ぐ対策を講じ、今年は約80アールの作付けが実現した。昨年9月に種をまき、順調に成長した菜の花は背丈1メートル以上になり花も豊富。一般開放時には満開になるとみられる。
 
緩やかな傾斜の段々畑に咲き誇る菜の花

緩やかな傾斜の段々畑に咲き誇る菜の花

 
シカの侵入を防ぐ柵を設置したことで順調に生育

シカの侵入を防ぐ柵を設置したことで順調に生育

 
たくさんの花をつけ、満開間近=4月28日撮影

たくさんの花をつけ、満開間近=4月28日撮影

 
 オープン初日のマルシェには県内各地から出店予定。ビーガンカレー(おやさい食堂カラコマ)、同畑産菜種油や自家栽培玄米粉を使った菓子(やえはた自然農園)、県産小麦・自家製酵母のパン(ルーツ)、釜石の特産品をシロップに使ったかき氷(コンコン)などが販売される。ビーガンカレーは「菜の花青空レストラン」フェイスブックから事前予約を勧める。和みのヨーガ、指圧マッサージ、ピエロの絵本読み聞かせ・マジック、クリスタルボウル演奏も企画される。
 
 開放期間中は時間内で自由に出入りが可能。来園者のための駐車場も設ける。山田代表は「今年は面積も広がり、花は見応え十分。10年近くやってきた中でこんなに成長が良く、花の付きも良いのは初めて。空気のおいしい橋野で、きれいな花を眺めながら思い思いに過ごしてもらえれば」と呼び掛ける。10日は野だて(呈茶)も実施予定。
 
県道釜石遠野線側から臨む菜の花畑

県道釜石遠野線側から臨む菜の花畑

 
震災後、沿岸被災地で菜の花栽培に取り組んできたユナイテッドグリーンの山田周生代表

震災後、沿岸被災地で菜の花栽培に取り組んできたユナイテッドグリーンの山田周生代表

 
 山田代表は東日本大震災後、沿岸被災地で「菜の花大地復興プロジェクト」を展開。津波被害を受けた農地や耕作放棄地に塩分吸収率の高い菜の花を植え、土壌を浄化。種から搾った菜種油を全国に販売する取り組みを行い、被災者の雇用創出などで復興に貢献してきた。
 
 橋野の畑でも菜種油の生産を継続中。ボランティアの力を得ながら6~7月に種を収穫し選別。一関市の業者に依頼して11月ごろから搾油する。製品は来年1月から春にかけて店頭販売。市内では橋野どんぐり広場などで購入できる。「無農薬栽培で収量は少ないが、化学物質の影響を受けない安心安全な油」と山田代表。

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新緑、景色楽しみたい! 五葉山で山開き 登山シーズン到来「無事」祈る

「今年の山が始まる」。楽しみにしていた五葉山登山に向かう人たち

「今年の山が始まる」。楽しみにしていた五葉山登山に向かう人たち

 
 釜石、大船渡、住田の3市町にまたがる本県沿岸の最高峰・五葉山(標高1351メートル)で4月29日、登山シーズンの始まりを告げる山開きがあった。地元住民や行政関係者らが神事を行い、登山者らの安全を祈願。曇天ながら時折日も差す中、この日を心待ちにした登山愛好者らは新緑をめでながら思い思いに山歩きを楽しんだ。
 
赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭。地元関係者らは神事で登山者の無事を願った

赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭。地元関係者らは神事で登山者の無事を願った

 
 「昭和の日」の祝日に設定されている山開きは、3市町村で組織する五葉山自然保護協議会(会長=野田武則釜石市長)が主催。釜石、大船渡の市境となる赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭には関係者約40人が参加し、五葉山神社の奥山行正宮司による神事で無事故を願った。登山道の状況が説明された後、家族連れや山岳会などのグループが頂上を目指して歩み出した。
 
登山愛好者らは木々の芽吹きや山道から見える景色も楽しみながら山頂を目指す

登山愛好者らは木々の芽吹きや山道から見える景色も楽しみながら山頂を目指す

 
 石巻市の阿部亜紀さん(46)、杉山ひろみさん(56)は昨年、山登りを楽しみ始めたばかり。今回の五葉山登山は、「山友」の佐藤伸一さん(59)=東松島市=の還暦祝いにした。「登るのは苦しく大変だったりするけど、頂上に着いた時、何とも言えない爽快感、達成感で満たされる」と魅力を語る2人。軽快に進む佐藤さんの後に続き、「頂上から海が見えるのを期待。新緑を感じて、若返って帰ってきます」と明るい笑顔を見せた。
 
 釜石岳友会メンバーの赤﨑公正さん(66)は登山歴40年余。四季を通じて年間10回ほど五葉山に登るといい、「いよいよ、山のシーズンが始まった。五葉山は身近にあり、季節の花や山頂からの眺めを楽しむことができる、いい山。今年も何度も足を運びたい」と心を躍らせた。
 
赤坂峠登山口近くに自生するツツジはつぼみ状態。まもなく開花し登山者を出迎える

赤坂峠登山口近くに自生するツツジはつぼみ状態。まもなく開花し登山者を出迎える

 
 五葉山は県立自然公園に指定され、豊富な動植物、山頂からのリアス海岸や奥羽山系の展望が、登山者を引きつける。同山自然保護管理員の鈴木一敏さん=大船渡市=によると、赤坂コース登山道上に残雪は無く歩きやすいが、4合目の「畳岩」周辺は浮き石があり、より注意して歩く必要があるという。春から夏にかけて咲くツツジやシャクナゲの花も見所。ツツジはつぼみの状態のものもあり、「例年より早い。時期を逃さないよう楽しみながら登ってほしい」と呼び掛ける。名物のシャクナゲの開花は7月初旬以降が見込まれる。

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広々芝生のドッグラン「シーガルパーク」1周年 釜石のホテル運営 宿泊も好調

ドッグラン内を駆け回る愛犬を見守る飼い主ら

ドッグラン内を駆け回る愛犬を見守る飼い主ら

 
 釜石市平田のホテルシーガリアマリン(倉田昌史社長)が敷地内に整備したドッグラン施設「釜石シーガルパーク」が4月24日で1周年を迎えた。太平洋を一望できる開放的な空間で、広さは沿岸最大級の約2000平方メートル。愛犬などと一緒に宿泊できるプランやペットホテル事業も行っていて、愛犬家や地域住民らが集い、つながりを広げる場になっている。
 
 家族の一員として犬や猫を飼う人も増えていることから、同ホテルでは一緒に旅行を楽しんでもらおうと、2020年7月に犬などと同室に宿泊できるプランの提供を開始。「宿泊をより楽しいものに」と、土地を有効活用したドッグランの整備も決めた。
 
 ホテルの駐車場だった場所を約8カ月かけて整備。小型犬専用や貸し切りエリア、屋根付きのテラスなど、犬も飼い主らもみんなが楽しく過ごせるような環境を完成させた。昨年12月にはペット供養塔「虹の丘」を整備。犬、猫などの供養・散骨(有料)ができる。
 
太平洋を望む高台にある広々と開放的なドッグラン「シーガルパーク」

太平洋を望む高台にある広々と開放的なドッグラン「シーガルパーク」

 
ドックランそばの小高い丘に整備されたペット供養塔

ドックランそばの小高い丘に整備されたペット供養塔

 
 4月23、24日には1周年のイベントを実施。犬用のおやつや洋服、ピザ、海産物などを販売する「青空マルシェ」、ペア宿泊券などが当たるお楽しみ抽選会などが行われた。
 
 23日に愛犬3匹と訪れた大船渡市の自営業須藤久美子さん(59)は「広々とした芝が広がり、開放的な環境がいい。いろんな犬種、仲間との遊びをマイペースに、伸び伸びと楽しんでいるみたい。飼い主同士の情報交換の場にもなっているし、スタッフが親切で、また来たくなる」と満足そうだった。
 
犬たちは木製の遊具や腰掛け用の石、ボールなどに興味津々

犬たちは木製の遊具や腰掛け用の石、ボールなどに興味津々

 
1周年記念イベントでは犬も人も思い思いに交流を楽しんだ

1周年記念イベントでは犬も人も思い思いに交流を楽しんだ

 
 イベント企画を担当する同ホテルの松川里海さん(39)によると、ドッグランを利用する会員は約500人。県内在住者が中心だが、宿泊を目当てに全国各地から利用があり、リピーターも多いという。年末年始の宿泊は客足が好調で、5月の大型連休中もフル回転の見込み。「たくさんの出会いがあった1年。家にいるみたいにリラックスできた―という声があり、うれしかった。リラクゼーションを極められるよう、ニーズを探りながら犬も人も喜ぶ遊び場をつくっていきたい」と前を見据える。
 
 営業時間は夏季(4~10月)が午前9時~午後5時、冬季(11~3月)は午後4時。利用料は1日1匹600円、2匹目から500円。年会費1000円の会員は1匹500円、2匹目から400円。松川さんは「互いに安心し楽しく遊ぶため、狂犬病予防・混合ワクチンの接種を」と呼び掛ける。問い合わせは同ホテル(0193・26・5111)へ。

広報かまいし2022年5月1日号(No.1783)

広報かまいし2022年5月1日号(No.1783)

広報かまいし2022年5月1日号(No.1783)
 

広報かまいし2022年5月1日号(No.1783)

広報かまいし2022年5月1日号(No.1783)

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【P1】
犬の登録と狂犬病注射
【P2-3】
新型コロナワクチン接種のお知らせ
軽自動車税の減免制度
飲用井戸の整備費用補助
介護保険の説明会
【P4-5】
釜石大槌地区行政事務組合の予算
岩手沿岸南部広域環境組合の予算
野生山菜の取り扱いに注意
働く婦人の家 前期定期講座
【P6-7】
まちのお知らせ
【P8】
ジャパンラグビーリーグワン2022ディビジョン2順位決定戦
日本語教室の開講

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2022042700050/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
4月22日「アースデー」 釜石の2ライオンズクラブ 地域環境美化へ清掃活動

4月22日「アースデー」 釜石の2ライオンズクラブ 地域環境美化へ清掃活動

 4月22日は「アースデー(地球の日)」。地球環境を考え行動を起こす日として、世界中で環境を守るためのさまざまな取り組みが行われている。国際的奉仕団体ライオンズクラブ(LC)の県内50クラブはこの日、「河川敷クリーン大作戦」と称して、各地で一斉清掃活動を行った。釜石市の2クラブもそれぞれ活動し、地域の環境美化に汗を流した。

釜石ライオンズクラブ 市街地の玄関口大渡橋たもとの広場で除草作業

 
釜石ライオンズクラブ アースデー清掃奉仕活動

釜石ライオンズクラブ アースデー清掃奉仕活動

 
 釜石ライオンズクラブ(蓙谷兼明会長、会員40人)は昨年に続き、大渡橋の鈴子町側橋詰広場で清掃奉仕活動を行った。会員8人が参加。1時間半にわたり、三陸鉄道線路沿いの斜面や広場内の雑草を刈り取った。
 
 1965年に結成した同クラブは、市内各地で植樹活動も展開してきた。大渡橋に併設されていた「橋上市場」撤去後、現在の橋が完成した2005年には、クラブの40周年記念事業として、同広場内に数種類の樹木を植樹。成長した木々は、甲子川を眺める憩いの空間に彩りを添えている。
 
大渡橋橋詰広場(鈴子町側)で草取りを行う会員

大渡橋橋詰広場(鈴子町側)で草取りを行う会員

 
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 幹事の細田勝夫さん(74)は「地球を守るには地域の環境から。ここは釜石駅を降りてすぐの市街地への玄関口。少しでもきれいにし、訪れる人を印象良く迎えたい」と話した。
 

釜石リアスライオンズクラブ 大渡橋~五の橋間の河川敷でごみ拾い

 
釜石リアスライオンズクラブ アースデー清掃

釜石リアスライオンズクラブ アースデー清掃

 
 釜石リアスライオンズクラブ(山﨑智千会長、会員37人)の清掃は、大渡橋~五の橋間の河川敷で行われた。会員15人が参加。千鳥町の駐車スペースから二手に分かれ、両橋までの区間を往復。遊歩道や草地に落ちているごみを拾い集めた。
 
 1時間の活動で会員が手にしたごみ袋はいっぱいに。空き缶、瓶、ビニール類のほか、さまざまなごみが回収された。中には餅つき機、電動ドリルなど、明らかに持ってきて捨てたと思われるごみも。クラブでは昨年も同じ場所で清掃活動を実施しているが、駐車スペースでは、車の灰皿からそのまま捨てたような吸い殻の山や、車用品のごみなども見つかっている。千鳥町沿いの護岸の石垣では、川の増水時にひっかかったとみられる紙やビニールごみも目立った。
 
河川敷駐車スペース周辺からは酒瓶やビール缶、車用品のスプレー缶なども見つかった

河川敷駐車スペース周辺からは酒瓶やビール缶、車用品のスプレー缶なども見つかった

 
大量のごみで重くなった袋を提げて戻る会員ら

大量のごみで重くなった袋を提げて戻る会員ら

 
 山﨑会長(59)は「人が歩く所にはそんなにないが、草地など端の方にたまっている印象。故意に捨てたとみられるごみも多い。マナーを守ってほしい」と環境に配慮した行動を願った。
 
earthday5427
 
 清掃奉仕のほか、文化、スポーツなど各分野で地域貢献活動を行う釜石リアスLCは、5月15日に奥州市で開かれるライオンズクラブ国際協会332―B地区(岩手県)第68回年次大会で、「栄光のアワード」として2つの賞を受けることが決まった。
 
 「青少年健全育成優秀賞 金賞」は、1992年から継続開催する同クラブ杯釜石地域中学校バスケットボール大会(昨年度まで31回開催)の功績で受賞。「東日本大震災復興支援優秀賞 銀賞」は、震災後、千葉市在住のバイオリニスト加藤玲名さんが継続する釜石市への支援活動を同クラブがバックアップしてきたことでの受賞となる。同クラブの両受賞は初めて。

植樹した野田市長、支援関係者を囲んで記念撮影

釜石・根浜海岸「ハマナスの里」再生へ 5年後の開花目指し市民らが種まき&植樹

根浜ハマナスプロジェクト種まき&植樹イベント

根浜ハマナスプロジェクト種まき&植樹イベント

 
 東日本大震災の津波で失われた海浜植物「ハマナス」の群落復活に向け、釜石市鵜住居町根浜地区で、種から苗木を育てる取り組みが始まった。根浜ハマナスプロジェクト実行委(岩崎昭子代表)が行う2年目の活動。16日は一般市民や支援者ら約80人が参加して種まきと苗木の植樹が行われ、ふるさとの原風景復元へ思いを共有した。
 
 震災前、市内最大の海水浴場だった「根浜海岸」には、紫がかった濃いピンク色の花が美しいハマナスが咲き誇り、地元住民自慢の景観を広げていた。震災の津波で約1・3キロにわたる砂浜の半分以上が流失。砂地に自生していたハマナスもその姿を消した。
 
津波で流された海浜植物について説明する岩手県立大の島田直明准教授

津波で流された海浜植物について説明する岩手県立大の島田直明准教授

 
 根浜を再び“ハマナスの里”にと、市民有志によるプロジェクトが昨春始動。津波に襲われながらも辛うじて生き残った松林のハマナスから種を採取し、苗木に育てて海辺に戻す取り組みを始めた。被災した青葉ビルの修復や薬師公園の環境整備で同市復興に貢献してきたフランスの自然派化粧品メーカー「ロクシタン」、災害支援を専門とする公益社団法人シビックフォース(東京都)が同活動を支える。
 
 種まきには親子連れらが参加。木製パレットから再生したプランター約40個に昨秋採取した種を植え付けた。プロジェクトに協力する岩手県立大総合政策学部の島田直明准教授(植生学、景観生態学)によると、ハマナスはミニトマトのような実を付け、1つの実から約50粒の種が取れるという。発芽には、まく前の種に一定期間寒さを経験させる必要があり、この日の種も採取後、冷蔵庫で保管していたもの。参加者は芽が出るよう願いながら1千粒以上の種をまいた。
 
ハマナスの種まき。薄茶色の種を間隔を空けて数粒ずつ植えた

ハマナスの種まき。薄茶色の種を間隔を空けて数粒ずつ植えた

 
プランターに自分の名前などを書いた札を差した

プランターに自分の名前などを書いた札を差した

 
 プロジェクト初の苗木の植樹も行われた。昨春種をまき、背丈40センチほどに成長した苗木5株を野田武則釜石市長、支援組織の代表ら5人が防潮堤内側の砂地に植えた。順調に育てば、4~5年で花を咲かせるという。
 
ハマナスの苗の植樹。子どもたちの代表も作業に協力

ハマナスの苗の植樹。子どもたちの代表も作業に協力

 
「根浜で元気に育ってね」。植樹した苗に水を与える子ども

「根浜で元気に育ってね」。植樹した苗に水を与える子ども

 
植樹した野田市長、支援関係者を囲んで記念撮影

植樹した野田市長、支援関係者を囲んで記念撮影

 
 八雲町の川端虹河君(双葉小4年)は、初めて知ったハマナスに興味を持ち、「立派な花を咲かせてほしい。自分で種まきしたのが大きくなるのを見にきたい」と望んだ。「植物や虫を見るのが好き」という虹河君。母智栄さん(46)は「こういう催しにはできるだけ参加している。好きなことを存分に楽しんでくれたら」と温かく見守る。
 
 根浜の海浜植物を取り戻す活動は、一足先に始まったハマボウフウ(セリ科、多年草)の再生で成果をあげている。生き延びた株から種を取って育て、徐々に増やしていったハマボウフウは今では1千本以上にもなるという。同活動を先導した根浜地区住民、佐々木虎男さん(83)=根浜ハマボウフウ研究会会長=はハマナスの再生も喜び、「根浜は風光明媚(めいび)な所。景観はやっぱり大切。みんなで協力し、最高の憩いの場所にしていければ」と願う。
 
 プロジェクトでは今後、苗木用の枝せん定や種の採取、収穫した実の活用などを予定し、一般市民らとともに活動を進めていくことにしている。

鈴子広場に新たに設置された遊具で遊ぶ子どもたち

だれもが楽しく「まちなかの遊び場」 釜石・鈴子広場リニューアル

鈴子広場に新たに設置された遊具で遊ぶ子どもたち

鈴子広場に新たに設置された遊具で遊ぶ子どもたち

 
 東日本大震災後に仮設飲食店用地となっていた釜石市鈴子町の公園「鈴子広場」。市が進めてきた復旧整備工事が完了し16日、一般利用が始まった。障害がある子もない子も年齢を問わず一緒に楽しめる「インクルーシブ遊具」、車いすやベビーカーでも気軽に散策できるよう傾斜を緩やかにした築山、市内外からの広域的な利用を想定し駐車場などを設置。地域の子どもから大人まで幅広い世代の声をくみ上げながら作り上げた「まちなかの遊び場」で、多様な人が集い地域活性化を促す拠点として期待されている。
 
 面積約0・5ヘクタールの公園内を5エリアに分類。「遊具広場」は、復興支援で民間企業により13年に設置された複合遊具を生かしつつ、車いすのままで遊ぶことができる砂遊び用テーブルや感覚遊びのパネルを取り入れた滑り台、トランポリンのように遊べるネット遊具などを新たに加えた。同様に既存の健康遊具がある「運動広場」には新たにバスケットボールのゴールリンクを設置。ボール遊びを楽しめるスペースを確保した。
 
リニューアルした鈴子広場。子どもたちは砂遊びに夢中

リニューアルした鈴子広場。子どもたちは砂遊びに夢中

 
緑地を生かした築山エリアを駆け回る子どもたち

緑地を生かした築山エリアを駆け回る子どもたち

 
 既存の緑地を生かした「築山広場」は傾斜を緩やかにし、イベント時に簡易ステージとして利用可能な木製のデッキや土管トンネルを設置した。コンクリートブロック舗装だった「中央広場」は細かく砕いた石を敷いたダスト舗装に改修し、転倒時などの安全性の向上を図った。震災殉職消防団員の顕彰碑周辺は「やすらぎの広場」とし、園内にある既存のモニュメント2基を移設。そのほか、熱中症対策として水を霧状に噴射する「ミスト」、東屋(あずまや)2棟、バリアフリー化したトイレ棟なども備えた。
 
 利用者から要望が多かった駐車場は、仮設店舗に利用されていた広場両サイドのスペースに整備。乗用車10台、障害者用2台、幼稚園などの中型バス1台の計13台が駐車できる。駐輪場(8台分)も整備。事業費は2億869万円。
 
ボール遊びを楽しめるスペースも確保した

ボール遊びを楽しめるスペースも確保した

 
後方には消防署。消防車両をデザインした遊具もある

後方には消防署。消防車両をデザインした遊具もある

 
 一般開放された初日は、多くの親子連れらでにぎわい、子どもたちのうれしそうな歓声が響いた。甲子町の佐々木琉心(りこ)ちゃん(3)は「いっぱい遊んだ。楽しい」と笑顔。父勇人(はやと)さん(45)、妹彩凪(あいな)ちゃん(8カ月)を抱きかかえた母江利さん(42)は「いつもより活発に遊んでいる。低年齢向けの遊び場が柵で区切られていて、安心して遊ばせることができる。親同士、情報交換の場にもなる」と歓迎した。
 
 東屋でおしゃべりを楽しんでいた地元の70代の女性3人組は「いつもの散歩コース。木が手入れされ見通しがよくなり、開放的。子どもたちの声が聞こえてきて、元気が出る」と目を細めた。
 
広場は仮設飲食店用地として使われた=2013年5月

広場は仮設飲食店用地として使われた=2013年5月

 
 同広場には震災後、被災飲食店が入居する仮設飲食店街がつくられ、最大約40店舗が軒を連ね、2018年3月まで営業した。建物の撤去後、公園の復旧整備に向け市は、「みんなでつくる鈴子広場」を目指し、子育て世代や地域住民らを交えたワークショップを3回開催。寄せられた意見を設計に反映させ、21年5月に着工、今年3月に整備を終えた。

「どんな野菜を育てようか」。ワクワクを高める親子

市民農園オープン 釜石・甲子地区 野菜を育て、収穫、味わう喜びを体験

「どんな野菜を育てようか」。ワクワクを高める親子

「どんな野菜を育てようか」。ワクワクを高める親子

 
 趣味や余暇に野菜作りを楽しんでもらおうと、釜石市が甲子町に整備した市民農園「甲子わくわく農園」が10日、開園した。市民が自然や農業に触れる機会を作り、就農の担い手対策、心身の健康維持・増進、遊休農地の解消につなげるのが狙い。市内全域から市民15人が利用を申し込んでおり、土に触れながら季節の野菜や果物を育て、思い思いの農業を満喫する。
 
 農園は道の駅釜石仙人峠そば、甲子川を挟んだ向かい側の釜石自動車道沿いの面積1746平方メートルの土地を活用し整備した。全55区画あり、1区画は9平方メートル(年額2000円の使用料が必要)。1人で3区画まで利用でき、8日までに26区画が埋まっている。
 
 シカやサルなどの侵入を防ぐため柵で囲み、高さ1・5メートルの部分には電気を通した。農機具用倉庫を設置し、移植こて、くわ、バケツ、一輪車などを用意。散水用タンク、仮設トイレ、駐車場(面積2038平方メートル)も備えた。
 
看板を除幕し、開園を喜ぶ菅原梨花さん(左)と野田武則市長

看板を除幕し、開園を喜ぶ菅原梨花さん(左)と野田武則市長

 
 10日は現地で開園式があり、利用者や土地を提供した甲子町の農業佐々木四郎さん、市関係者ら約50人が出席した。野田武則市長が「コロナ禍の中、外に出る人が少なくなった。子どもが農業に触れる機会も少なく、活性化したいと考えてきた。農業には育てる、収穫、食べるという喜びがある。農園が新たな農業の出発点になれば」とあいさつ。農園の名称を考案した菅原梨花(りんか)さん(甲子小5年)とともに看板を除幕した。
 
 式の後、利用者らは割り当てられた「個人農園」に設置するプレートづくりに取り組んだ。木製の板に名前や花のイラストを書き込むに人もいれば、「福来」と願いを込めた人も。いよいよ始まる農作業シーズンに、ワクワク感を高めていた。
 
「家族そろって土いじり」に期待を込め、プレートづくりに取り組む利用者

「家族そろって土いじり」に期待を込め、プレートづくりに取り組む利用者

 
割り当てられた区画にプレートを設置。本格的に始まる農作業に意欲を高めた

割り当てられた区画にプレートを設置。本格的に始まる農作業に意欲を高めた

 
 平田のムトウクマラナ・ワガラチゲ・マヒン・ラクシタさん(37)、雲南春香さん(35)夫妻は2区画を借り、プレートには長男リオン君(3)、次男シオン君(1)の名前を記した。トマトやスイカ、トウモロコシなど子どもたちが好きな野菜を育てる予定。「畑をやってみたいと思っていた。自然に触れながら植物を育てる大変さ、食べ物をいただいていることへの感謝など、家族で楽しく学んでいきたい」と笑顔を重ねた。
 
 市民農園の利用受け付けは、第1期分が15日で終了。今後、第2期分の準備を進める。隣接地には、国際姉妹都市フランスのディーニュ・レ・バン市で栽培が盛んなラベンダーの鑑賞を楽しめる観光農園の設置も予定。今夏に一部を開園し、3年後のフルオープンを目指している。

釜石市の中心市街地で自然観察の体験活動を行ったボーイスカウトの団員ら

自然の中で遊びまくれ!新団員獲得へ、ボーイスカウト体験活動 次回は4月23日「春を探そう」

釜石市の中心市街地で自然観察の体験活動を行ったボーイスカウトの団員ら

釜石市の中心市街地で自然観察の体験活動を行ったボーイスカウトの団員ら

 
 ボーイスカウト釜石第2団(菊地次雄育成会長、末永正志団委員長、約50人)の体験活動が9日、釜石市内で行われた。団員や入団に関心を持つ子どもや保護者ら約40人が参加し、自然観察をしながら街中を散策。ロープ結びなどの知識や観察力を確かめるクイズなどにも挑戦し、活動への理解を深めた。
 
 体験活動の発着点は、港町のホームセンター駐車場。子どもたちは2班に分かれ、大型ショッピングセンター内を通って大町広場へ。6人で協力し、ひもとゴムを使って空き缶を運び積み上げるゲームに挑んだ。「力いっぱい(ひもを)引っ張って」「そっと置いて」などと声を掛け合い、成功すると「よし!」とガッツポーズし喜びを表した。
 
大町広場では空き缶を運び積み上げるゲームに挑戦した

大町広場では空き缶を運び積み上げるゲームに挑戦した

 
 青葉公園(大只越町)に移動すると、「足元に注意。矢印を見つけて仙寿院へ」と指令を受けた子どもたち。矢印が示す方向に進んで高台にある仙寿院に着いたら、「階段は何段だった?」との質問が待ち受けていて、「途中まで数えていたけど…」などと思い悩む子どもたちの姿が見られた。
 
 一休みをした後は、石碑や津波避難場所を伝える看板などの写真でつくられた地図を手に、ゴールを目指して再び歩き出した。チェックポイントの釜石市役所本庁舎(只越町)前ではロープ結びに挑戦。高学年の児童や中学生メンバーが、「本」「はな」「8の字」「もやい」の4種の結び方を体験参加者、低学年の団員に教えた。
 
「疲れたー」と言いつつ、元気に階段を駆け上がる子どもたち

「疲れたー」と言いつつ、元気に階段を駆け上がる子どもたち

 
団員らは地図を手に、ゴールを目指して街中散策を楽しんだ

団員らは地図を手に、ゴールを目指して街中散策を楽しんだ

 
 入団を考えている菊地美有さん(白山小1年)は「いろんなところを歩いて楽しい」と感想。母礼美(ひろみ)さんは(49)は「自然を通した学びは考える力を養うことにつながり、いつか役に立つ。歩くことで新しい発見もある」と見守る。大槌町の藤原朋さん(37)はボーイスカウト出身で、長女ほのかさん(大槌学園小学部1年)に参加を提案。協調性を養い、世代交流、失敗と成功を繰り返す体験ができるといった利点に加え、「いろんな地区の子どもたちが集まり、コミュニティーが増えるのがいい」と勧める。
 
 班長を務めた阿部雅俊君(大槌学園中学部9年)は「日常生活とは違う、普段やらないことをたくさんできる。一緒にいろんな体験をしてほしい」と仲間が増えることを期待した。
 
ロープ結びに取り組む団員。野外活動を通じて安全、環境、防災などの知識とスキルを身に付ける

ロープ結びに取り組む団員。野外活動を通じて安全、環境、防災などの知識とスキルを身に付ける

 
 ボーイスカウトの活動は自然の中で集団活動しながら仲間たちとの友情と礼儀を身に付け、健全育成を図ることが目的。昨年創立60年を迎えた釜石2団では、ビーバー隊(小1、2)、カブ隊(小3~小5)、ボーイ隊(小6~中3)、ベンチャー隊(高校生)、ローバー隊(19~25歳)が活動する。近年は少子化や習い事の多様化などで会員が減少。こうした活動を知ってもらおうと、4~5月に希望者を交えた体験会を行っている。
  
 次回は23日に実施予定で、「春をさがそう」をテーマに自然観察ビンゴなど野外ゲームを楽しむ。現在、小学校1~3年生を対象に参加者を募集中。午前9時に甲子町大畑の「福祉の森」東屋(あずまや)に集合し、正午に現地解散となる。希望者は末永団委員長(電話090・7338・3043)に申し込みを。当日参加も可。未就学児も保護者同伴で参加できる。
 
 末永団委員長(72)は「自然の中での遊びを通じ、好きなことを見つけてもらえたら。仲間とともに楽しい思い出をつくり、釜石の良さを知ってほしい。自然の中で遊びまくれ」と呼び掛ける。

img3594「SL銀河」今季の運行スタート=9日、釜石駅

2023年春、運行終了の「SL銀河」今季の運行開始 5月4日は釜石駅で車内公開

「SL銀河」今季の運行スタート=9日、釜石駅

「SL銀河」今季の運行スタート=9日、釜石駅

 
 JR釜石線(花巻―釜石間、90・2キロ)を走る蒸気機関車「SL銀河」が9日、9年目の運行を開始した。今季は初冬までの運行を予定。客車の老朽化に伴い、来春で運行を終了することになっている人気の列車が、鉄道ファンや沿線住民の熱い思いを乗せ、今季も力強い走りを見せる。新型コロナウイルス禍でしばらく開催を見合わせていた釜石駅での車内公開イベントは、大型連休中の5月4日に行われる。
 
 運行初日の9日は、午前10時36分に花巻駅を出発。停車駅では各地の郷土芸能や自治体のマスコットキャラクターがおもてなしをし、沿線では住民らが通過する列車に旗や手を振って歓迎した。
 
 午後3時10分の釜石駅到着を前に、ホームには観光関係者や地元住民らが集まり、お出迎えの準備。大漁旗、横断幕などを手に列車が入って来るのを待った。恒例の郷土芸能「虎舞」による歓迎は、鵜住居虎舞(鵜住居青年会)が担当。にぎやかなお囃子(はやし)で到着を盛り上げ、降り立った乗客に舞を披露した。
 
SLを出迎える鵜住居虎舞。今年もシーズン中、市内の虎舞団体が交替でおもてなしに協力

SLを出迎える鵜住居虎舞。今年もシーズン中、市内の虎舞団体が交替でおもてなしに協力

 
釜石駅に降り立った乗客は多彩な歓迎を受けた

釜石駅に降り立った乗客は多彩な歓迎を受けた

 
 翌10日にリーグワンのホーム戦を控えた地元ラグビーチーム「釜石シーウェイブス(SW)RFC」からは、選手の杣澤誠さん(27)、長田将大さん(23)、畠山克己さん(25)とチームスタッフが出向き、乗客を歓迎。記念撮影に応じるなど交流を図った。釜石観光物産協会は地元産の塩蔵ワカメと観光パンフレットを配り、釜石の魅力をアピールした。
 
運行初日、SLの釜石駅到着に駆け付けた釜石SWの選手とスタッフ

運行初日、SLの釜石駅到着に駆け付けた釜石SWの選手とスタッフ

 
 釜石駅に隣接する「ホテルフォルクローロ三陸釜石」で働きながら、SWでプレーする杣澤さんは入団3年目。SLのお出迎えも何回か経験してきた。「SLをきっかけに釜石に来てくれる人も多いと思う。(運行日に)ホテルの宿泊客が増えると、それだけ誘客に貢献していると実感する」。来春の運行終了に、「継続して乗っている人は寂しいだろう。終了までに存分に楽しんでもらえたら」と話した。
 
乗客と記念撮影し、旅の思い出作りに協力

乗客と記念撮影し、旅の思い出作りに協力

 
 東京都の会社員石川香里さん(39)は、夫経一さん(47)と乗車。先月の地震の影響で東北新幹線が一部不通のため、花巻まで車を走らせてきた。念願の初乗車に「宮沢賢治の世界観が表れていて、アンティーク調の車内も雰囲気が良かった」と大喜び。SLは蒸気や音、石炭で力強く走る姿に魅力を感じるという。仕事の関係で、この日はすぐに花巻まで戻ったが、「今度は釜石観光をゆっくり楽しみたい」と願った。
 
 SL銀河は土日祝日を中心に運行。今のところ9月までの運行日程が公表されている。乗車には乗車券と指定席券が必要で、指定席券は乗車日の1カ月前の午前10時から発売する。

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樹齢400年以上「上栗林のサクラ」今年も見事な花姿に 19日までライトアップ

12日からライトアップされている「上栗林のサクラ」=市指定文化財

12日からライトアップされている「上栗林のサクラ」=市指定文化財

 
 釜石市指定文化財(天然記念物)の巨木、栗林町の「上栗林のサクラ」が開花し、今年も圧巻の花姿で訪れる見物客を楽しませている。地元町内会「上栗林振興会」(三浦栄太郎会長)が行う夜のライトアップは10年目を迎え、市内外のファンが足を運ぶ。ライトアップは19日までを予定。点灯は午後6時半から午後9時半まで。
 
 市内最大とされる一本桜はエドヒガン種で、上栗林集会所に隣接する私有地に自生。地元では「種蒔(たねまき)桜」と呼ばれ、開花は農事の目安にされてきた。樹齢400年以上と推定され、2006年の市の調査では胸高幹周りが約4・9メートル。07年に市の文化財に指定された。古木ながら樹勢は衰えず、幹や枝は今も成長を続け、花のボリュームも変わらない。
 
 今年の開花時期は例年並み。4月としては異例の真夏日(同市の最高気温は30・3度)を記録した11日に開花すると一気に咲き進み、13日の時点で7分咲き。ライトアップ2日目の同日は、夕方から急な雨に見舞われたものの、家族連れなどが次々に訪れ、美しい光景を写真に収めた。

 
夜空に浮かび上がる花姿はライトアップならではの美しさ

夜空に浮かび上がる花姿はライトアップならではの美しさ

 
枝いっぱいに花をつけ、ボリューム満点!

枝いっぱいに花をつけ、ボリューム満点!

 
シダレザクラのように枝先が垂れた部分も

シダレザクラのように枝先が垂れた部分も

 
 毎年足を運ぶという鵜住居町の30代女性は、仕事終わりに直行。「雨だから迷ったが、自宅を通り過ぎて来てしまいました」と笑い、「やっぱり夜、見るのが最高。ちょっと車を走らせれば、こんな素晴らしい木がある。見る角度によって趣が違うのも魅力」と声を弾ませた。

 

 箱崎町の前川亜希さん(釜石高2年)は両親と来訪。「見に来るのは今年で3年目。1年に1回しか見られない姿なので貴重。大きいし、きれいだし本当に素晴らしい」と感激。「生命力を感じる」と話す父とうなずき合い、「まだ知らない人もいると思う。多くの人に見てほしい」と願った。

 
上栗林集会所(左側の建物)の広場から臨むサクラ

上栗林集会所(左側の建物)の広場から臨むサクラ

 
2色の照明が花の美しさを引き立たせる。

2色の照明が花の美しさを引き立たせる

 
 13年から始めたライトアップ。同振興会は花の色が美しく見えるよう光源の種類や数、角度など試行錯誤を重ね、16年ごろから現在の2色のLED照明によるスタイルを確立した。開始当初は、沿線の県道釜石遠野線を他県から来た震災復興工事従事者らが行き交い、仕事帰りに見に来る人たちも多数。交通整理をするほどのにぎわいを見せた。工事の終了、高速道路網の整備で同県道の通行車両が減ったこともあり、見物客は少なくはなったが、市民を中心に根強いファンが今も足しげく通う。

 

 「市の文化財とはいえ、あまり知られていなかった。ライトアップを始めてから市民の皆さんにも覚えてもらい、毎年期待の声をいただく。この桜もきっと喜んでいるだろう」と三浦会長(71)。日の目を見た“上栗林のシンボル”に誇りと愛着を新たにし、後世に引き継いでいくことを誓った。

 
桜の保全に意を強くする上栗林振興会の三浦栄太郎会長(左)と川崎悦三郎さん

桜の保全に意を強くする上栗林振興会の三浦栄太郎会長(左)と川崎悦三郎さん

 

栗林町砂子畑「明神かつら」入り口の桜 16日、地域交流会でライトアップ

 
ライトアップされる栗林町砂子畑、藤原信孝さん所有地のソメイヨシノ

ライトアップされる栗林町砂子畑、藤原信孝さん所有地のソメイヨシノ

 
 桜の宝庫・栗林町では、砂子畑地区の市指定文化財「明神かつら」の入り口にあるソメイヨシノも本日16日夜、1日限定でライトアップされる。地元町内会「砂子畑共正会」(栗澤陽一会長)が、2年ぶりに開催する地域交流会の一環で初めて企画。どんな夜桜風景が見られるか、住民も心待ちにする。

 

 ライトアップされるのは、同町19地割、藤原信孝さん(73)の所有地にあるソメイヨシノ。1985年ごろに藤原さんの弟啓二さん(故人)が植えたもので、根本から7本に分かれて幹を伸ばす姿が特徴的。背後の藤原さん宅の庭には、「ハナモモ」の木と皇后雅子さまのご成婚を記念して「プリンセス雅(みやび)」と名付けられ、現在は「雅桜」と呼ばれる品種の木があり、白から濃桃色の3色の花が競演する。

 
県道釜石遠野線から見た藤原さん方のサクラとハナモモ(中央)の木

県道釜石遠野線から見た藤原さん方のサクラとハナモモ(中央)の木

 
 藤原さんは「鵜住居川をはさんだ対岸からの景色もいい。(ライトアップで)どんな光景が広がるか楽しみ」と期待する。ライトアップは日没から午後9時までを予定。地元の鹿踊り、神楽、虎舞の3団体もお囃子(はやし)で盛り上げる。