クマ出没注意!釜石でも 目撃相次ぎ、地元猟友会「ほぼ毎日出動」~県内、被害増で7年ぶり警報も
釜石市只越町で目撃されたクマ=5月26日午後4時頃、市提供
釜石市内では5月以降、クマ(ツキノワグマ)の目撃情報が相次いでいる。25日までに34件の情報が寄せられ、その後も連日、防災行政無線での注意喚起が続く。26日には只越町の市役所前にクマ1頭が出没、約3時間後に捕獲という緊張を強いられる状況が発生。人や施設などの被害は報告されなかったが、市は警戒を呼びかける。岩手県内では人身被害が多発していることから、全域に「ツキノワグマの出没に関する警報」が発令中。2016年度以来7年ぶりで、今回で2回目となる。
5月26日、午後4時過ぎの釜石市内に響いた防災無線。「本日、午後3時半頃、市役所付近でクマが目撃されています」。現場は、こども園や復興住宅がある市街地。釜石署が市役所前の市道の通行を一時規制したほか、住民に屋内にとどまるよう注意を呼びかけるなどし、周辺は騒然とした。
釜石市役所前の道路を封鎖し、ワナを設置して捕獲を試みた
クマは市役所前のアパート駐車場に逃げ込み、居座った。釜石署員や市職員、猟友会など総勢約20人が周囲を取り囲み、ワナを仕掛けてクマを誘導。同6時40分頃に捕獲した。クマは体長1メートルほどで、成獣とみられる。
市役所前にあるアパートの駐車場に居座るクマ=5月26日午後4時頃、市提供
成獣と見られるクマ。約3時間後に無事捕獲された=5月26日午後4時頃、市提供
市によると、クマの目撃情報は4月が17件だったが、5月に入ると増加。釜石大槌猟友会の舘鼻春雄会長(71)も「ほぼ毎日出動している」と話す。目撃場所も橋野、鵜住居、唐丹、大平、甲子、小佐野、定内と市内一円にわたり、対応の難しさをにじませる。加えて、「山に餌となる木の実が少ないようで、ふんを見ると葉を食べている形跡があった。また市街地に姿を現す可能性がある」と指摘。残飯などを屋外に置かないことや、果樹は実を付けたままの状態にしないことなど、クマを寄せ付けない対策を求めた。
捕獲したクマをドラム缶のワナごと搬出。舘鼻さん(写真左)はクマを寄せ付けない対策を呼びかけた
同日、県はクマ警報を発表した。県自然保護課によると、本年度の人身被害は8件9人(26日現在)と、前年度同期(4件5人)を上回るペースで発生。うち5件6人が山菜採りの際の被害だった。こうしたことから、注意喚起のため4月18日に出していた注意報を警報に切り替えた。
山に入ることはクマの生活場所に入ること―。県は「山林はクマとの遭遇リスクが高く、入山の必要性を十分に検討して」とする。入山時の対策として、▽地域のクマ情報の事前確認▽複数人で行動し、鈴やラジオなどを携行▽撃退グッズ(忌避スプレー、鉈など)の携帯―などを挙げる。もし遭遇してしまったら、▼持ち物を静かに置いて、目を離さず静かにゆっくり後退する▼クマとの間に木や岩を挟むようにする―といった対策を講じ、至近距離の場合には「致命傷を避けるため両腕で顔面や頭部を覆ってうつぶせになる」などの対策を呼びかける。
釜石新聞NewS
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