根浜シーサイドで行われたコアラキャンプで食を満喫する子どもたち
東京五輪・パラリンピックでオーストラリアを相手国に復興「ありがとう」ホストタウンに登録され、交流活動を続けてきた釜石市。両地域をオンラインで結び、音楽・食・スポーツなどで交友を深めるイベント「コアラキャンプ」(同プロジェクト主催)が21、22日に開かれた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、参加は関係者らに制限したが、イベントの模様はネット配信され、一般市民らも自宅などで楽しんだ。
鵜住居町の根浜シーサイドキャンプ場と、シドニー、パース、ブリスベンなどオーストラリア各地の会場をオンラインでつないだ交流プログラムを実施。オーストラリア大使館(東京都)、市国際交流課の職員らが運営に協力した。
野田市長(左から2人目)やオーストラリア大使館関係者らは両地域の友好継続に期待を寄せる
釜石会場には約50人が集った。イベントは21日午後6時にスタートし、同大使館の徳仁美さんが「皆さんは大切な友人。両国が深めてきた交流を継続できてうれしい」とあいさつ。通訳のマット・ダグラスさんは「キャンプを楽しむポイントは食。自然豊かな環境で、オージー・ビーフとワインを味わおう」と盛り上げた。
野田武則釜石市長は青少年を中心としたスポーツ、文化交流、観光面での連携など友好関係の発展に期待。「コロナが収まったら、ぜひ釜石に」と呼び掛け、相互に訪問できる日が来ることを願った。
オーストラリアと三陸産の食材が提供されたバーベキュー
「外で食べるの、いいよね」。おいしい牛肉や海産物が食欲をそそる
パース・スワンリバーと釜石を結んだバーベキューでは、オージー・ビーフの愛称で日本の食卓にも並ぶオーストラリア産牛肉、ラム肉などが提供された。三陸産のホタテやイカ焼き、刺し身などもお目見え。両地域の時差は1時間程度で、参加者は互いの様子を紹介し合い、雄大な景色を感じながら味わった。
ジャズミュージシャンらによるオンラインライブがあり、イベントのために作った楽曲などを紹介。釜石会場では音楽家の小島ケイタニーラブさんが、NHKみんなのうた「毛布の日」、「荒城の月」などを歌った。パースにある天文台とつないだ星空交流も。北半球、南半球の星座の違いや星にまつわる物語を交換した。
自然の中でおいしいもの味わいながら音楽も楽しんだ
佐々木篠さん(小佐野小5年)は「外でご飯が食べられて楽しい。海も近くていい。いつか友達とキャンプしたり、花火がしたい」とにっこり。語学に関心があり、学校で英語の授業を楽しんでいるといい、「覚えた言葉で海外の人と交流してみたい」と目を輝かせた。
22日は、オーストラリア各地の家庭を結んだ「朝ごはん(Brekkie)」紹介やシドニー在住のヨガ講師とつないで朝ヨガを体験。釜石シーウェイブス(SW)RFC選手らによるラグビー体験もあった。
コロナ禍で参加者を限定して開催。交流を継続させる方法を模索する
参加者はモニターに映された様子を見ながら交流を楽しんだ
釜石市が同国を相手国に選んだのは、東日本大震災当時に釜石SWに所属していた同国出身のスコット・ファーディー選手が救援活動に尽力したり、震災後の海外派遣事業で中学生を受け入れるなど心を寄せていることに謝意を表すため。2017年11月のホストタウン登録以来、同国と青少年を中心とした交流活動を行ってきた。ここ数年はコロナの流行が続き、オンライン交流を企画。中学生らが動画メッセージをやり取りしたり、小学生はパラ選手から東京大会の様子などを聞き取ったりした。
同キャンプは20年12月に続き、2回目の開催。市では「世界とつながるKAMAISHI―を目指し、継続的に釜石とオーストラリアの交流を深めるよう事業を展開していく」としている。