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釜石市民ホールギャラリーで開催中の「3つの国の小児病棟で出会った笑顔」展

みんな同じ笑顔だった…ウクライナ、ロシアの小児病棟の子どもたち 釜石で写真展

釜石市民ホールギャラリーで開催中の「3つの国の小児病棟で出会った笑顔」展

釜石市民ホールギャラリーで開催中の「3つの国の小児病棟で出会った笑顔」展

 
 ウクライナ、ロシア、ベラルーシ3国の小児病棟などで撮られた笑顔の子どもたちの写真を紹介する「3つの国の小児病棟で出会った笑顔」展が、釜石市大町の市民ホールTETTOギャラリーで開かれている。NPO法人日本ホスピタル・クラウン協会(名古屋市、大棟耕介理事長)が主催。観覧無料、29日まで。
 
 ホスピタルクラウンとは、小児病棟で入院中の子どもたちにクラウン(道化師)がパフォーマンスを行う活動で、病気と闘う子どもたちに笑顔を届けている。同協会には約120人のクラウンが所属。東日本大震災や熊本地震などの災害被災地でも活動し、地域住民を元気づけた。
 
東日本大震災後に大船渡市で行われた活動の様子。後列左から2人目が大棟理事長=NPO法人日本ホスピタル・クラウン協会提供

東日本大震災後に大船渡市で行われた活動の様子。後列左から2人目が大棟理事長=NPO法人日本ホスピタル・クラウン協会提供

 
 大棟理事長は2005年から4年間ロシアに通い、小児病院や障害者施設で道化師の姿でパフォーマンスを披露。08年から6年間はウクライナを訪れ、12年と13年にはベラルーシを訪問した。そんな思い入れのある地域で今起こる現実、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に心を痛め、企画したのが今回の展示。「現在のウクライナは悲惨な戦争の状況を伝えるものばかり。だが、少し前まで、3つの国の病院の中には同じ笑顔があった。その事実を知ってほしい」とメッセージを寄せる。
 
 会場には、大棟理事長らのパフォーマンスを楽しむ3カ国の子どもたちを写した50点が並ぶ。穏やかな笑み、はにかみ、喜び―さまざまな表情を見ることができる。どの国で撮られたのか表記はなく、あえて「まぜこぜ」に展示しているのが特徴。笑顔に国境はない―。そんな思いを込めている。
 
3カ国の小児病棟で撮影された子どもたちの笑顔が並ぶ

3カ国の小児病棟で撮影された子どもたちの笑顔が並ぶ

 
来場者に展示写真やクラウン活動を説明する梅沢さん(右)

来場者に展示写真やクラウン活動を説明する梅沢さん(右)

 
 釜石での展示を担当するのは、クラウンネーム「だぁちゃん」として活動する甲子町の梅沢義明さん(51)。西東京市出身で、震災を機に15年に大槌町復興推進隊の一員として移住した。17年夏ごろからクラウンとして本格始動。県内を中心に子どもたちと触れ合ってきた。今回、釜石市がウクライナ支援を表明していることから、同協会に写真展の開催を申し入れた。
 
風船の剣を握り笑顔を見せる子どもたち=NPO法人日本ホスピタル・クラウン協会提供

風船の剣を握り笑顔を見せる子どもたち=NPO法人日本ホスピタル・クラウン協会提供

 
 「かつて風船の剣を持っていた子どもたちが、今、本物の銃を手にして戦っているかもしれない」。展示されている写真が撮影されてから約10年が経過。梅沢さんは「…切ない。今のウクライナでは病院が機能していない。何気ない写真だが、みんな笑うことができていた。『同じ笑顔』ということに注目してもらい、何かを感じてほしい。平和、笑顔を取り戻してほしい」と願う。
 
 同協会ではウクライナへの支援金や応援メッセージを募っていて、展示会場にチラシなどを用意。集まった支援金はウクライナ・ジトーミル州の小児病院に届ける予定という。
  
 この写真展は、6月1~17日まで、大槌町文化交流センター「おしゃっち」でも開かれる。展示や支援金への協力に関する問い合わせは梅沢さん(電話070・2645・1624)へ。

震災津波を乗り越え、毎年花を咲かせる根浜のハマナス=21日撮影

根浜海岸を彩る紅紫の大輪 震災津波に耐えた「ハマナス」今年も開花!

震災津波を乗り越え、毎年花を咲かせる根浜のハマナス=21日撮影

震災津波を乗り越え、毎年花を咲かせる根浜のハマナス=21日撮影

 
 釜石市鵜住居町、根浜海岸の松林の一角に自生する「ハマナス」が今年も咲き始めた。2011年の東日本大震災で津波に襲われながらも奇跡的に生き残った地域の宝。紫がかった濃いピンク色の花が海辺風景に彩りを添える。花は6月上旬ごろまで楽しめそうだ。
 
 震災前、ハマナスやハマボウフウなどの海浜植物が自生し、美しい景観を広げていた同海岸。津波で約1・3キロの砂浜の半分以上が流失し、多くの植物が姿を消したが、防潮堤内側の松林では生き残ったハマナスが、毎年花を咲かせている。今年も1週間ほど前から咲き始め、通行するドライバーや防潮堤を散歩する人たちの目を楽しませている。
 
日当たりのいい場所で元気に育つハマナス。周辺には震災後に植樹されたマツの苗木も育つ

日当たりのいい場所で元気に育つハマナス。周辺には震災後に植樹されたマツの苗木も育つ

 
ハマナスはバラ科の落葉低木。香りの良い花は香水の原料にも

ハマナスはバラ科の落葉低木。香りの良い花は香水の原料にも

 
ハマナス
 
 地元の旅館「宝来館」の女将(おかみ)岩崎昭子さんは、震災から約2カ月後に津波で倒されながらも芽吹き始めたハマナスを発見。必死に生きようとする姿に被災した自身も大きな力をもらった。当初、確認できたのは5~6株程度だったが、がれきの撤去が進み、周辺の緑が増えてきた2年目以降、群生が分かるようになってきたという。
 
 「根浜の原風景を取り戻したい」と願う地元住民らの思いを受け、市内外の支援者も再生活動に協力。北海道の支援団体などが根浜のハマナスから取った種を地元で育成し、苗を根浜に戻す取り組みを進め、群生範囲は徐々に拡大してきた。
 
青い海、白い砂浜、新緑に映えるハマナスの花

青い海、白い砂浜、新緑に映えるハマナスの花

 
赤く膨らんだつぼみもこれから次々に咲き出す

赤く膨らんだつぼみもこれから次々に咲き出す 

 
 岩崎さんら地元有志は昨春、根浜ハマナスプロジェクト実行委を立ち上げ、市民と共に進める再生活動を本格化。2年目の今年もすでに種まきや苗木の植樹が行われ、多くの人たちがハマナスへの関心を高めている。
 
4月16日に行われた種まきイベントで笑顔を輝かせる岩崎昭子さん(前列左から2人目)

4月16日に行われた種まきイベントで笑顔を輝かせる岩崎昭子さん(前列左から2人目)

 
 プロジェクトの代表を務める岩崎さんは、18年から地元由来の海浜植物再生に学校ぐるみで取り組む釜石東中の生徒らにも元気をもらう。「きれいな鵜住居を未来につないでいきたいと願う子どもたちに私たちも励まされる。みんなで思いを共有しながら、また一歩一歩、魅力的な古里を作り上げていければ」と期待を込める。

感染症、熱中症予防のため、適宜マスクのつけ外しを行うなど対策を講じ実施した栗林小の運動会

コロナ禍吹き飛ばす躍動 「思いをひとつに」栗林小運動会 保護者も全面協力

熱中症予防のため、適宜マスクのつけ外しを行うなど対策を講じ実施した栗林小の運動会<

感染症、熱中症予防のため、適宜マスクのつけ外しを行うなど対策を講じ実施した栗林小の運動会

 
 釜石市内の小学校は21日、運動会のピークを迎えた。新型コロナウイルス禍でさまざまな制限がある中、各校とも感染防止対策を徹底し開催。栗林小(八木澤江利子校長、児童33人)では練習から本番まで各種対策に力を入れ、児童らの安全確保に努めた。事前準備、当日の進行には保護者が全面協力。児童らは運動会ができる喜びを感じながら、思い切り躍動した。
 
 同校の今年の運動会スローガンは「全力・団結 思いをひとつに」。開会式で児童会長の小笠原虹南さん(6年)は「全校児童33人が自分の目標を持ち、競技に取り組みます。一人一人の頑張りに注目してほしい」とあいさつ。運動会実現に協力し、支えてくれる人たちへの感謝の気持ちを表し、「笑顔で終われるような最高の運動会に」と呼び掛けた。
 
 プログラムは全13種目。徒競走や玉入れのほか、趣向を凝らしたさまざまな競技で赤、白の組団が得点を競い合った。同校伝統の「栗林旋風」は、長い棒を持った親子が2カ所のコーンを回りながら走り、次の親子にバトンタッチするリレー競技。4~6年生が父母らと息を合わせ、スピード感あふれるレースを展開した。表現種目、組団応援パフォーマンス対決などもあり、これまでの練習の成果を存分に発揮した。
 
4~6年生の親子競技「栗林旋風」。棒を持つ手には手袋をして感染対策

4~6年生の親子競技「栗林旋風」。棒を持つ手には手袋をして感染対策

 
1~3年生の表現種目。ダンスや縄跳びを交え栗小の元気を発信!

1~3年生の表現種目。ダンスや縄跳びを交え栗小の元気を発信!

 
勝利への気合い十分!赤組の応援パフォーマンス

勝利への気合い十分!赤組の応援パフォーマンス

 
 同校では大型連休明けから運動会の練習を本格化。密な接触を避け、マスクを外した時には声を出さない、みんなで共有する道具は軍手をはめて使う、活動の前後には手洗い、うがいを徹底する―などの感染対策を講じ、各家庭では毎日の健康観察に気を配った。
 
 そして迎えた当日―。児童らは朝から心も体も弾み、楽しみでしょうがないといった様子だったという。「コロナ禍で日々の生活も制限が多い。感染対策をしながらではあるが、のびのびと体を動かせる場ができたことが本当にうれしい」と八木澤校長。運動会は子どもたちの成長に欠かせない行事。仲間と協力し種目をやり遂げることで絆が深まり、リーダーシップやフォロアーシップも育つ。八木澤校長は会の成果を糧に「互いの良さを認め合って、全体として高め合っていければ」と今後の児童らに期待した。
 
栗林小運動会
 

運動会入場門を手作り 栗林小の学校活動に保護者、地域の力

 
保護者らが手作りした入場門。同校PTA伝統の取り組み

保護者らが手作りした入場門。同校PTA伝統の取り組み

 
 栗林小では運動会の入場門を毎年、児童の保護者が手作りしている。父親らが中心となり、山から丸太を切り出して皮むき。地元の建設業者に設計図面を引いてもらい、精巧に作り上げる。
 
 組団陣地の間に建てられた門は、全体がなだらかな半円を描くアーチ形。上部の文字や絵などは児童が担当し、約3カ月かけて完成させた。当日は、見事な出来栄えの門が各種目の入退場に花を添えた。
 
斜めから見ると技術の高さに驚かされる入場門。前日夕方に、父親たちが力を合わせて設置した

斜めから見ると技術の高さに驚かされる入場門。前日夕方に、父親たちが力を合わせて設置した

 
 保護者らは運動会開催中も運営に協力。道具出しやグラウンドの水まき、決勝係などを担い、スムーズな進行を支えた。PTA会長の小笠原亮さん(36)は「協力体制が自然とできているのが一番すごいこと。これは脈々とつながれている栗橋地域の力。これからも子どもたちのベストを考え、支えていければ」と意を強くした。
 
親子競技で思い出づくり。笑顔満開!5・6年生の「にっこりカメラ」

親子競技で思い出づくり。笑顔満開!5・6年生の「にっこりカメラ」

 
1・2年生の「くじびき!じゃんけん!おやこでゴー!」

1・2年生の「くじびき!じゃんけん!おやこでゴー!」

 
 同校の運動会では例年、各地区で取り組む郷土芸能の披露も行われるが、コロナ禍を考慮し、ここ3年は休止中。市内の感染状況を見ながらの判断となるが、今年は11月に改めて発表会を行う予定。

100歳の佐藤敏子さん(前列中)、長寿を喜ぶ親族ら

すこぶる元気、佐藤敏子さん(釜石・野田町)100歳 「好きなことをやってきた」

100歳の佐藤敏子さん(前列中)、長寿を喜ぶ親族ら

100歳の佐藤敏子さん(前列中)、長寿を喜ぶ親族ら

 
 釜石市野田町の佐藤敏子さんが20日、100歳の誕生日を迎え、市から特別敬老祝い金5万円と記念品の羽毛肌掛け布団、野田武則市長が筆をとった「寿」の額入り祝い状が贈られた。自宅では実妹や親族らが集まって、「ますます元気に」と佐藤さんの長寿を祝った。
 
 市保健福祉部の小笠原勝弘部長が佐藤さん宅を訪問。祝い金などを受け取った佐藤さんは「わざわざ来てもらって、申し訳ない気持ち。(親族や地域住民ら)みんなに世話になり、いたわられて、ここまできた。この年で祝ってもらうなんて、本当は恥ずかしい」とはにかんだ。
 
小笠原部長から祝い金などを受け取った佐藤さん(右)

小笠原部長から祝い金などを受け取った佐藤さん(右)

 
 佐藤さんは1922(大正11)年に東京で生まれ、2歳頃に父親の仕事の関係で釜石に移り住んだ。20歳で小学校教員となり、釜石や大槌の学校で60歳まで働いた。教員生活を始めた頃は太平洋戦争中で、初任地中妻小に勤務していた45(昭和20)年4月、児童が遠野市に集団疎開することになり引率。同年9月に戻ったため、米英連合軍による2度の艦砲射撃を実際には経験していないが、変わり果てたまちの様子に心を痛めたという。
 
 退職後はボランティア活動に励み、障害者施設などで洗濯物をたたんだり、布巾づくりに取り組んだ。ものづくりが好きで木目込み人形、ステンドグラス、墨絵など習い事に熱中。通信教育で習字や色鉛筆画などにも挑戦した。新型コロナウイルス禍で外出の機会は減っているが、現在もコーラスに行ったりと、「好きなことをやる」という充実した日々を過ごす。
 
祝いに訪れた人たちを見送ろうと外に出る佐藤さん

祝いに訪れた人たちを見送ろうと外に出る佐藤さん

 
 旅行も好きな佐藤さん。沖縄以外の日本各地を巡ったという。93歳の時には、教え子たちに招待され東京で行われた同窓会に参加。年賀状のやり取りも続いていて、「いい生徒、仲間に恵まれ、素晴らしい教員生活を送ることができた。本当にいい思い出」と穏やかな笑みを浮かべた。
 
 佐藤さんは「コロナさえなければ、みんなで旅行したいね」と、すこぶる元気。自力で歩き、家事のほとんどを自分でこなす。妹の井上市子さん(83)、中島澄子さん(81)=ともに小川町=は買い物などをサポートしていて、「元気で頭のいい姉。何でも自分でやるのがすごい。好きなことを好きなように楽しんでいるのがいいんだろうね。まだまだ頑張って」と寄り添う。
 
 釜石市の高齢化率(65歳以上)は4月末現在で40・3%。100歳以上は佐藤さんを含め29人(男性1人、女性28人)おり、最高齢は106歳の女性。

「釜石グローバルラウンジ」で空手に挑戦する参加者

世界とつながるKAMAISHI実現へ 和文化、スポーツ体験で国際交流―グローバルラウンジ

「釜石グローバルラウンジ」で空手に挑戦する参加者

「釜石グローバルラウンジ」で空手に挑戦する参加者

 
 日本文化やスポーツなど体験活動を通して外国人と交流しようと、釜石市国際交流課が月1回開催している「釜石グローバルラウンジ」。本年度2回目となる活動が15日、大町の青葉ビルであった。今回のテーマは「空手」。参加した約20人の市民や外国人のほとんどが空手は初体験で、国籍の垣根を越えて「楽しさ」を分かち合った。
  
 同課の佐々木義友課長(51)が空手経験者で、講師を務めた。参加者はしっかりと準備体操をして体をほぐした後、空手の基本となる「突き」「蹴り」などの動作を体験。拳を何度も突き出し、10回目に「エイ!」と気合を入れた。予想以上の全身運動に「息が切れる」「難しい」と声が漏れた。空手は礼に始まり礼に終わる―。武道を体得する上で大切になる「礼儀を重んじる」という心構えも学んだ。
  
「エイ!」と拳を突き出す参加者。下半身から手に力を伝えるのがコツ

「エイ!」と拳を突き出す参加者。下半身から手に力を伝えるのがコツ

 
「難しい。けど、楽しい」。熱心に蹴りの動作を繰り返した

「難しい。けど、楽しい」。熱心に蹴りの動作を繰り返した

 
 甲子町のセラ・クライナーさん(26)は米国出身で、高校のALT(外国語指導助手)として昨年11月に釜石に来た。交流を求めているが、見知らぬ土地で不安もある中、グローバルラウンジは「安全に交流ができる場所で、参加しやすい」という。空手に触れるのは初めてで、「筋肉を使って動くのが楽しかった。もっとやりたい」と明るい表情を見せた。そんなクライナーさんと意気投合していたのは、中学校の英語教員で鵜住居町の黄川田真紀さん(25)。同級生だと分かると、どんどん会話を広げていた。
 
 参加者同士が名前を聞き合う時間があり、只越町の櫻庭えまちゃん(6)は緊張しながらも、積極的に交流。「こわかったけど、やさしかった」とはにかんだ。母理恵さん(45)よると、通っているこども園で英会話を学んでいるというが、外国人と直接触れ合う機会がなく、慣れる場になればと参加。「気が強いようで、引っ込み思案なところもある。物おじせず、世界に視野を向けられるようになってほしい」と見守った。
 
自己紹介では「カタコト」でも名前を伝えようと気持ちを込めた

自己紹介では「カタコト」でも名前を伝えようと気持ちを込めた

 
 同課によると、現在釜石で暮らす外国人は約200人。6割はベトナム人で、水産加工に携わる技能実習生が多い。新型コロナウイルス禍で入国が限定されているものの、今後は徐々に緩和されるとの見方もある。「(外国人が)これだけ住んでいるのだから、気軽に国際交流をしてほしい」と同課主任の東洋平さん(43)。だが、「言葉の壁」から外国人同士、または出身国同士で固まる傾向があるという。 
  
 多言語を耳にするきっかけに―と始まったのが、グローバルラウンジ。昨年度までは在住外国人、アイルランドと米国出身の市国際交流員のほか、海外生活を経験した市民を講師に、話を聞く形式で行ってきたが、思うような交流は進まなかった。そこで、本年度は「一緒に体を動かし、経験できるものに」と方向転換。4月には釜石鵜住居復興スタジアムでラグビー体験を楽しんだ。
 
体験活動を終え、笑顔を見せる参加者。気軽な国際交流の広がりが期待される

体験活動を終え、笑顔を見せる参加者。気軽な国際交流の広がりが期待される

  
 グローバルラウンジは毎月第2日曜日に実施。次回は6月12日で、内容は未定。市ホームページや同ラウンジのフェイスブックで情報を発信していく。同課では「世界とつながるKAMAISHIの実現、多文化共生社会の推進につながる取り組み。気軽に参加を」と呼び掛ける。
 
 

鵜住居川へのアユの稚魚放流=8日、栗林町

水ぬるむ春 釜石・鵜住居川、甲子川にアユの稚魚放流 解禁は7月

鵜住居川へのアユの稚魚放流=8日、栗林町

鵜住居川へのアユの稚魚放流=8日、栗林町

 
 釜石市の鵜住居川、甲子川に今年もアユの稚魚が放流された。大船渡市の盛川漁業協同組合の施設で中間育成され、体長10センチ弱に育った稚魚を関係者が放流。稚魚の成育保護のため、両河川は6月1日から全魚種が禁漁となる。解禁日は甲子川が7月3日、鵜住居川が7月10日。
 
 鵜住居川では8日、鵜住居川漁業協同組合(川崎公夫代表理事組合長、組合員160人)が重量にして400キロの稚魚を放流した。鵜住居町日ノ神橋付近から橋野町の産地直売所「どんぐり広場」付近まで約20カ所に、稚魚を積んだトラック2台が移動しながら放流。組合員約30人が2班に分かれて同行し作業にあたった。
 
バケツリレーでアユの稚魚を川まで運ぶ鵜住居川漁協の組合員ら

バケツリレーでアユの稚魚を川まで運ぶ鵜住居川漁協の組合員ら

 
橋の近くなど各ポイントで放流作業を行った

橋の近くなど各ポイントで放流作業を行った

 
大きく育つよう願いを込めて放流。解禁日に期待

大きく育つよう願いを込めて放流。解禁日に期待

 
 稚魚は体長約8~9センチ、重さは平均8・8グラム。水に放たれると、上流方向へ元気に泳ぎ出した。同河川の放流は組合費、一般釣り客の遊漁料のほか、地元地域会議や河川工事業者からの協賛金で賄われる。今年の事業費は約160万円。
 
 川崎組合長(72)は「昨年は生育も良く、解禁日には20センチぐらいに成長。釣果も良かった。今年も昨年並みに推移すれば」と期待。釣り客には密漁の禁止、ごみの持ち帰りの徹底など「法やマナーを守って楽しんでほしい」と呼び掛ける。
 
 鵜住居川での釣りには組合員証か遊漁券が必要。遊漁券(日券、年券あり)は、市内の釣具店や流域の小売店など赤いのぼり旗を掲げた販売所で購入できる。
 
甲子川へのアユの稚魚放流=12日、松倉橋付近

甲子川へのアユの稚魚放流=12日、松倉橋付近

 
 一方、甲子川のアユの稚魚の放流は12日に行われた。甲子川鮎釣協力会(安久津吉延会長)、甲子地域会議、クボタ環境サービスの3者で実施。総重量300キロを小川川との合流地点から甲子町洞泉までの区間、約20カ所に放流した。約50人が上流と下流に分かれ、トラック2台について作業にあたった。事業費は約115万円。
 
 この日の甲子川の水温は15度。関係者によると水量も例年並みで、稚魚にとってもいい環境。同協力会会員の甲子町「釣具オヤマ」店主、小山哲平さん(45)は「放流を続けることで魚がいる河川環境が保たれる。自然産卵を促すため下流域を9月15日以降、禁漁にするなど、資源保全の取り組みを続けている」と話す。
 
稚魚を積んだトラックからホースを延ばす参加者

稚魚を積んだトラックからホースを延ばす参加者

 
甲子川鮎釣協力会メンバーらが放流作業を担った

甲子川鮎釣協力会メンバーらが放流作業を担った

 
 河川漁協のない甲子川は入漁料を徴収しないため、稚魚の放流は同協力会に寄せられる釣り人らの協力金で支えられる。300キロの放流は3年連続。極端な大雨や低温などがなければ、アユは解禁日には15~18センチほどに成長する見込み。
 
 鵜住居、甲子の両河川では、この後、ヤマメやイワナの稚魚の放流も予定される。

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みんなで歩こう!釜石横断駅伝ウオーク 陸中大橋-釜石駅間を4日に分け踏破目指す

新緑が深まる甲子地区でウォーキングを楽しむ参加者

新緑が深まる甲子地区でウォーキングを楽しむ参加者

 
 釜石市西部地区の住民らが12日から、JR釜石線の陸中大橋駅(甲子町)から釜石駅(鈴子町)までを歩く「釜石横断駅伝ウォーキング」に取り組んでいる。健康増進、地域の風景と他地区の住民との交流を楽しんでもらおうと、甲子、小佐野、中妻の3公民館が合同で企画。約17キロの距離を31日までの4日間に分けて歩く。
 
 初日は陸中大橋駅で出発式があり、中妻公民館の菊池拓朗館長が「自分たちが住む地区以外を歩く機会は少ない。無理せず、ゆっくりと、周りの景色を楽しみながらウォーキングしてほしい」と激励した。参加者約20人を代表し、小佐野地域会議の黒田至議長が「私たち若人は楽しみながら友情を深めます」と選手宣誓。午前9時半過ぎ、「エイエイオー」の掛け声とともに出発した。
 
ゆっくりと歩いて景色を楽しみ、会話を弾ませる参加者

ゆっくりと歩いて景色を楽しみ、会話を弾ませる参加者

 
ヤエザクラ、タニウツギなど自生する花木を間近でめでる楽しみも

ヤエザクラ、タニウツギなど自生する花木を間近でめでる楽しみも

 
 新緑が深まり心地よい春風が吹く中、大松の釜石鉱山まで約4・3キロを約1時間半かけて歩いた。自生する花木や住宅から顔をのぞかせる草花、川のせせらぎなど、「ここに、こんなのがあったのね」などと新たな発見を楽しみながら散策。コースとなった国道沿いの歩道には空き缶などがあり、ごみを拾って「SDGsだね」と環境保全や持続可能な社会づくりへ意識を高める人もいた。
 
 中妻町の70代女性は「歩けるか不安があったけど、会話したり景色を見たりしながらで楽しかった。みんなでやる―というのが新鮮。よく歩いた」と、すがすがしい表情。この日着用していたTシャツにプリントされていた「五葉山」の文字を示して、「次の目標は登山」と元気だった。
 
1回目のゴール地点で笑顔を見せる参加者。「次回もここで会いましょう」と約束した

1回目のゴール地点で笑顔を見せる参加者。「次回もここで会いましょう」と約束した

 
 17日は釜石鉱山からセブンイレブン甲子町店まで4・8キロをウォーキング。24日は、午前9時半に同店に集合して定内公園まで4・1キロを歩く。31日は同公園から4・1キロ先のゴール、釜石駅を目指す。希望日のみの参加も可能だが、全日程に参加した人には「完歩賞」が贈られる。
 
参加すると「よくできました」シールがもらえる。4つたまると「完歩賞」につながる

参加すると「よくできました」シールがもらえる。4つたまると「完歩賞」につながる

 
 3地区の公民館による合同事業は昨年始まった。スポーツ大会や甲子柿を使った干し柿づくり体験は今年も継続。ほかに、日向ダム見学やソフトボール大会など新たな交流活動の実施を予定している。

釜石高定時制の農業体験がスタート。サツマイモの苗などを植え付けた

野菜栽培に汗流す 釜石高定時制生徒、農業体験学習スタート

釜石高定時制の農業体験がスタート。サツマイモの苗などを植え付けた

釜石高定時制の農業体験がスタート。サツマイモの苗などを植え付けた

 
 釜石市甲子町の県立釜石高(青木裕信校長)定時制(生徒12人)は6日、地元農家の畑を借りて農業体験学習を始めた。ジャガイモの種イモとサツマイモの苗の植え付け作業に挑戦。10月まで計8回の活動を予定し、草取りや水やりなど環境整備に取り組みながら豊かな実りを待つ。
 
 農作業を中心とした体験学習を通じ、生産や協働の喜び、やりがいを実感してもらおうと、2018年から実施する授業の一環。多様な職業や年齢の人たちとの地域間交流により自己成長を図るのも狙いにする。本年度は地元・甲子町洞泉の「創作農家こすもす」(藤井サヱ子代表)で根菜類の植え付けや収穫、山田町でのそば打ち体験を予定する。
 
創作農家こすもすで開講式。藤井さん(左)が作業の進め方を説明した

創作農家こすもすで開講式。藤井さん(左)が作業の進め方を説明した

 
 初日は、こすもすで開講式を行い、畑を提供する藤井さん(77)が「交流しながら野菜を育てていきたい。力を貸してくださいね」と呼び掛け。種イモなどを約30センチ間隔で植えることや、芽が出やすいように土はかけすぎないことなど注意点を説明した。
 
 畑(約3アール)に足を踏み入れた生徒たちは、藤井さんの助言を受けながら男爵イモの種イモ10キロ、ベニアズマの苗28本を植え付けた。長方形をした平鍬(くわ)を使って畝(うね)作りに挑む男子生徒の姿も。みんなで協力し手際よく作業を進め、気持ちのいい汗を流していた。
 
畝づくり、種イモの植え付けなど農作業を体験する生徒たち

畝づくり、種イモの植え付けなど農作業を体験する生徒たち

 
藤井さん(右)の指導を受けながら苗の植え付け作業を進めた

藤井さん(右)の指導を受けながら苗の植え付け作業を進めた

 
 生徒会長の佐々木遼(はる)君(3年)は「一人ひとりが頑張って作業しよう」と仲間に声掛けする。「農業はここでしか触れられない貴重な体験。普段の授業とは違ったことをするので新鮮。自分で植え、育てたものが食材になる。達成感がある」と充実した表情。自身が中心となり、「みんなを引っ張っていく」と意気込む。
 
 生徒らは今後、除草作業などをしながら野菜栽培を体験する。8月にジャガイモを収穫し、釜高祭(9月)で加工したものを販売する予定。10月にサツマイモの収穫、11月には収穫祭を行う。

広報かまいし2022年5月15日号(No.1784)

広報かまいし2022年5月15日号(No.1784)

広報かまいし2022年5月15日号(No.1784)
 

広報かまいし2022年5月15日号(No.1784)

広報かまいし2022年5月15日号(No.1784)

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【P1】
表紙
【P2-3】
かまいしエール券販売
新型コロナワクチン接種のお知らせ
ウクライナへの支援
市営住宅・復興住宅入居者募集 他
【P4-5】
民生・児童委員制度の紹介
【P6-7】
テレワーカーを目指す女性を募集します
市民のひろば
【P8-9】
まちの話題 他
【P10】
まなびぃ釜石
【P11-13】
まちのお知らせ
【P14-15】
保健案内板
保健だより
【P16】
釜石の歴史よもやま話
市民農園使用者募集

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2022051100025/
釜石市

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釜石の春終盤 青ノ木の八重桜 濃桃色の花が世界遺産「橋野鉄鉱山」に彩り

橋野鉄鉱山に通じる道路沿いの緑地で咲き誇る八重桜=7日

橋野鉄鉱山に通じる道路沿いの緑地で咲き誇る八重桜=7日

 
 釜石市橋野町青ノ木の世界遺産「橋野鉄鉱山」に通じる“桜ロード”は、シーズン最後を彩る八重桜が開花。山の緑や青空に映える美しい濃桃色の花が訪れる観光客の目を楽しませている。地元住民組織・橋野町振興協議会が開花に合わせて行う八重桜まつりは新型コロナウイルス禍のため、今年も例年規模のイベントは中止するが、14、15の両日は出前産直、キッチンカー(14日のみ)の出店が予定される。
 
 同所の八重桜は1980年代に釜石ライオンズクラブが植樹。橋野鉄鉱山が世界遺産登録された2015年には、同協議会による新たな植樹が行われ、若木も花を咲かせている。例年5月10日前後に咲き始めるが、今年は若干早め。5日はつぼみ状態だったが、市内の最高気温が28度を記録した6日に一気に開花。7日午後には7部咲きまで進み、地元住民も驚くスピードで咲きそろった。
 
橋野鉄鉱山への観光客を見事な並木が出迎える

橋野鉄鉱山への観光客を見事な並木が出迎える

 
7日午後には7部咲きに。この時期としては高い気温の影響か?

7日午後には7部咲きに。この時期としては高い気温の影響か?

 
 大型連休終盤の7日は市内外から観光客やレジャー客が訪れ、並木の下を散策したり記念撮影したりする姿が見られた。近くにはターザンロープや滑り台などの遊具もあり、親子連れなどが楽しい時間を過ごした。
 
 唐丹町の岩澤克也さん(42)は長男快翔君(7)、次男駈琉君(2)と“密”を避けて遊べる場所を求めて来訪。「桜がきれい。気持ちいい!」と喜ぶ快翔君。今年3月、約20年ぶりに愛知県からUターンした克也さんは「釜石出身だが橋野に来るのは初めて。ここが八重桜の名所というのも知らなかった」と思わぬ発見に笑顔を広げ、子どもたちがのびのびと遊ぶ様子を見守った。
 
美しい花を咲かせた桜に子どもたちも笑顔満開!

美しい花を咲かせた桜に子どもたちも笑顔満開!

 
 同所の八重桜は植樹から40年近く経過するが、同協議会が毎年、剪(せん)定などの手入れを行ってきたことで花勢は保たれ、花見スポットとしての人気も高い。橋野鉄鉱山インフォメーションセンターのスタッフによると、ここ数年で八重桜を目的に同所を訪れる人が急増。コロナ禍も拍車をかけ、自然空間の癒やしを求める人たちが足を延ばす。
 
青空が広がった7日は市内の家族連れを中心に見物客が次々と訪れた

青空が広がった7日は市内の家族連れを中心に見物客が次々と訪れた

 
 花は大雨や強風に見舞われなければ、今週末までは持ちそう。世界遺産と八重桜、この時期ならではの魅力を味わってみてはいかが?

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「人を描く」鵜住居町の古川祐市さん 震災で途切れた描く喜び取り戻し、地元で初個展

「人の姿」をテーマに絵を描き続けている古川祐市さん

「人の姿」をテーマに絵を描き続けている古川祐市さん

  
 工事現場で働く作業員、車いす生活を送る人、入院・自宅療養中の家族-。目に入らない、見えにくい場所で苦労したり努力している人々の姿を描いた作品を紹介する絵画展が大型連休中、いのちをつなぐ未来館(釜石市鵜住居町)で開かれた。描いたのは、地元のアマチュア画家古川祐市さん(32)。東日本大震災後、心身の不調から創作活動を離れた時期があり、自身も苦労を抱えた経験を持つ。描く喜びを取り戻して約5年。初めての個展を実現させた。
 
 絵画展では2018年以降に創作した油彩、アクリル画など17点を紹介。工事現場で一息つく作業員を描いた「復興へ」とタイトルが付けられた作品がある一方、震災で被災した母校跡地に建設中のスタジアムをモチーフにした絵には「復興はまだ終わっていない」と重機を前面に配置し、風刺を込めた。骨が浮き出るほど痩せ細った晩年の父、病院のベッドに横たわる穏やかな表情の祖母、ギプス姿でも笑顔を見せる母。身近な人、実在する人を写実的なタッチで「生かす」作品を並べた。
 
苦労している人、頑張る人の表情を描いた作品などが並んだ

苦労している人、頑張る人の表情を描いた作品などが並んだ

 
 古川さんは、よく絵を描いてくれたという父の影響で、幼い頃から、お絵かきが大好きだった。釜石北高で美術部、県立大宮古短期大学部では美術サークルに所属して油彩の腕を磨いた。釜石市内の水産加工会社に就職して1年後、震災の津波で鵜住居町の自宅が全壊。保管していた作品約100点も流失した。仮設住宅に移った後、多くのものを失ったショックや環境の変化で心身とも疲弊し、好きだった絵を描くこともできなくなった。
 
 入院療養を経て、17年に復興住宅に入居すると、新しい生活拠点を得たことで心が落ち着いた。日差しの明るさを感じられる環境に「そうだ!絵を描こう」と気持ちも前向きになり、再び筆を手にした。そんな、絵を描く喜びを取り戻した自身の心象風景を表現した「青い壁」も展示。青空というキャンバスに雲やシャボン玉の‶落書き″を楽しむ子どもの姿を描いた空想画だ。
 
絵を描く喜びを表現した「青い壁」。込めた思いを来場者に伝えた

絵を描く喜びを表現した「青い壁」。込めた思いを来場者に伝えた

 
 ほとんどの作品に登場するのが、「人」。これまでは気にとめていなかった場所、あまり目をとどめることのなかった所で苦労していながらも頑張っている人を見つけると、描きたい衝動に駆られるようになった。そして、震災前は「見たものをそのまま描かなければ」と気を張っていたが、今は「自分のイメージをのせて自由に描くのも面白い」と思考も変化。「震災がなければ、今の作風にはなっていなかった」と振り返る。
 
 「描くしか取りえがない。人の姿と、好きという気持ちを大事にして制作していきたい」と古川さん。現在、取り組んでいるテーマは「ロシアによるウクライナ侵攻」。作品を見てもらいたい―と、2回目の展示会に向け意欲を見せた。
 
 絵画展では、自身の作品を印刷したはがきを販売。売り上げの半分をウクライナの人道支援のために寄付することにしている。

7日から一般開放が始まる橋野町の菜の花畑

黄色の“ビッグじゅうたん”見応え十分! 釜石・橋野「菜の花パーク」7日オープン

7日から一般開放が始まる橋野町の菜の花畑

7日から一般開放が始まる橋野町の菜の花畑

 
 一般社団法人ユナイテッドグリーン(山田周生代表理事)は、釜石市橋野町に開設する菜の花畑を7日から一般開放する。昨年の約2倍に面積を拡大した畑には、目にも鮮やかな黄色の花が一面に咲き誇り、心躍る空間を広げる。7日は1日限定でマルシェをオープン。自然素材のランチや手作りおやつの販売、ヨーガ体験、ピエロパフォーマンスなど多彩なメニューで来園者を迎える。一般開放は15日までを予定。時間は午前11時から午後3時まで。入園無料。
 
 産地直売所「橋野どんぐり広場」の近くにある菜の花畑は、山田代表が地元農家から遊休地を借りて耕作する。深刻化するシカの食害でここ2、3年は栽培面積を減らしていたが、高さ約2メートルの鉄柵を設置して侵入を防ぐ対策を講じ、今年は約80アールの作付けが実現した。昨年9月に種をまき、順調に成長した菜の花は背丈1メートル以上になり花も豊富。一般開放時には満開になるとみられる。
 
緩やかな傾斜の段々畑に咲き誇る菜の花

緩やかな傾斜の段々畑に咲き誇る菜の花

 
シカの侵入を防ぐ柵を設置したことで順調に生育

シカの侵入を防ぐ柵を設置したことで順調に生育

 
たくさんの花をつけ、満開間近=4月28日撮影

たくさんの花をつけ、満開間近=4月28日撮影

 
 オープン初日のマルシェには県内各地から出店予定。ビーガンカレー(おやさい食堂カラコマ)、同畑産菜種油や自家栽培玄米粉を使った菓子(やえはた自然農園)、県産小麦・自家製酵母のパン(ルーツ)、釜石の特産品をシロップに使ったかき氷(コンコン)などが販売される。ビーガンカレーは「菜の花青空レストラン」フェイスブックから事前予約を勧める。和みのヨーガ、指圧マッサージ、ピエロの絵本読み聞かせ・マジック、クリスタルボウル演奏も企画される。
 
 開放期間中は時間内で自由に出入りが可能。来園者のための駐車場も設ける。山田代表は「今年は面積も広がり、花は見応え十分。10年近くやってきた中でこんなに成長が良く、花の付きも良いのは初めて。空気のおいしい橋野で、きれいな花を眺めながら思い思いに過ごしてもらえれば」と呼び掛ける。10日は野だて(呈茶)も実施予定。
 
県道釜石遠野線側から臨む菜の花畑

県道釜石遠野線側から臨む菜の花畑

 
震災後、沿岸被災地で菜の花栽培に取り組んできたユナイテッドグリーンの山田周生代表

震災後、沿岸被災地で菜の花栽培に取り組んできたユナイテッドグリーンの山田周生代表

 
 山田代表は東日本大震災後、沿岸被災地で「菜の花大地復興プロジェクト」を展開。津波被害を受けた農地や耕作放棄地に塩分吸収率の高い菜の花を植え、土壌を浄化。種から搾った菜種油を全国に販売する取り組みを行い、被災者の雇用創出などで復興に貢献してきた。
 
 橋野の畑でも菜種油の生産を継続中。ボランティアの力を得ながら6~7月に種を収穫し選別。一関市の業者に依頼して11月ごろから搾油する。製品は来年1月から春にかけて店頭販売。市内では橋野どんぐり広場などで購入できる。「無農薬栽培で収量は少ないが、化学物質の影響を受けない安心安全な油」と山田代表。