ローカル線の維持・存続を JR沿線の住民組織 釜石市に働きかけ要請
野田市長(左)に要請書を手渡す村上会長(左から2人目)ら
釜石市や宮古市など岩手県沿岸の鉄道沿線4市町の住民でつくる「地方ローカル線を守る市町民の会」(村上幸三郎会長)は10日、釜石市役所の野田武則市長を訪ね、JR釜石線をはじめとする地方路線の維持・発展を要請した。JR東日本が本県を含む路線別収支状況を公表したことも踏まえ、存続に向けた環境整備など国、県への働きかけを求めた。
村上会長、趣旨に賛同する連合岩手釜石・遠野地域協議会(小島安友議長)、県交通運輸産業労働組合協議会(山岸伸行議長)の関係者ら8人が訪問。村上会長は野田市長に要請書を手渡し、▽鉄道のあり方を国策として議論すること▽大規模工事を含めた鉄道網整備の検討-を市が各方面に働きかけることを訴えた。
JR釜石線について、村上会長は「廃線ありきでの議論では地域の衰退につながる。鉄道の強みを生かしながら、存続に向けた検討を進めるべきだ」と重ねて強調。同席者らも「鉄道はなくてはならないもの」「三陸鉄道につながる路線でもあり、孤立させてはいけない」「マイレール意識を高める取り組みを」などの声が上がった。
懇談では鉄道の維持、存続の必要性を共有した
国土交通省の有識者検討会は昨年7月、地方鉄道の在り方に関する提言を公表。鉄道事業者や自治体の要請を基に、路線存続の協議会を国主導で設置する。またJR東日本は、利用者の少ない赤字路線の収支を初めて公表。本県関係では大船渡、釜石、北上、八戸、花輪、山田の6路線10区間が含まれている。経営状況の厳しさを示すデータを共有することで、バス高速輸送システム(BRT)への転換を含めた持続可能な交通のあり方を沿線自治体と協議したい意向。一方で自治体の多くは路線維持を求めており、議論は難航が予想される。
野田市長は「廃止の議論が沸き上がり、唐突感が否めない。(要請と)全く同じ考えだ」との見解。路線の維持を守るとの思いを強め、「近隣の市町村と一致団結し、鉄道の利用促進にも目を向けながら積極的に対応したい」などと応じた。
沿岸と内陸を結ぶ足として欠かせないJR釜石線
同会では昨年、県や宮古市に対し同様の要請を行っている。大槌町や山田町への要請も予定。村上会長は「通勤、通学、通院などの足を守り、使いやすい路線を維持しなければ。赤字への対処ではなく、未来志向で考えてほしい。ただ、ローカル線は老朽化も進んでいて、国策として改修を行って利便性を高めてほしい」と望んだ。
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