古タオル→雑巾に…そして小学校へ 釜石・中田薬局、リユース活動 SDGs実践中
中田薬局が取り組むリユース活動「中たオルプロジェクト」
釜石市の中田薬局(中田義仁代表取締役)は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の視点を取り入れ、タオルのリユース(再利用)活動に取り組んでいる。体操着リユースに続く第2弾となる取り組みの名は「中たオルプロジェクト」。使い古したタオルを集めて、シニア世代が雑巾(中たオル)に作り替え、小学校に届ける仕組みで、高齢者の居場所や世代間交流の機会づくりを地域の薬局として後押しする。
小学生に使ってもらおうと雑巾づくりに励む女性たち
14日は甲子町の甲子公民館で雑巾づくり。パッチワークを楽しむ女性8人が協力した。タオルには、市内にあった商店名が印刷されたりし「懐かしい」と会話を弾ませる女性たち。「手と口を同時に動かせるのよ」と楽しそうにミシンを動かし、1時間ほどで75枚を作り上げた。既に作った雑巾と合わせ250枚を15日に甲子小に届けた。
定内町の高橋輝子さん(82)は「雑巾づくりなんて、何年ぶりかしら。娘が子どもの頃には作ったけど…懐かしいな。子どもたちに使ってもらい、学校がピカピカになったらうれしい。手仕事が好きだから、また機会があったらお手伝いしたい」と目を細めた。
手仕事の大ベテランたちは手も口も動かしながら楽しく作業
プロジェクトを手掛けるのは、同社でインターンシップ(就業体験)中の佐々木優奈さん(岩手大教育学部2年)と酒本野乃さん(中央大経済学部2年)。2人は2月上旬から釜石に滞在し、社員と同じ立場で企業に加わり、課題解決や新規事業の立ち上げなどに取り組んできた。同社から受けたミッションは「タオルリユースの仕組みづくり」。高齢化が進む地域で高齢者の居場所をつくり、子どもと結びつける取り組みについて知恵を絞った。
タオル集めには、若者ならではの力を発揮。普段から親しむ会員制交流サイト(SNS)を活用しながらポスター、口コミで呼びかけ、800枚以上が寄せられた。雑巾製作に協力してくれる人集めについては、地域の薬局として関係を築いてきた人たちが紹介してくれた。
プロジェクトを担った佐々木優奈さん(右)と酒本野乃さん
タオル集め、製作協力者集めとプロジェクトの課題をクリアしていき、最後の関門、継続性について模索。地元甲子町出身の佐々木さんは母校の釜石高に目を付け、雑巾づくりや調整役を担ってもらう流れを見いだした。「今後は高校生や小学生にも参加してもらい地域ぐるみの活動にしたい」と見据えた。薬局でアルバイトをしていた酒本さん(鳥取市出身)は、薬局と地域の関わりや果たす役割を体験しようとインターンに挑戦。地域全体でSDGsへの理解を深め、実践しようとする取り組みを芽吹かせることができたと手応えを得た。
2人は17日にインターン生活が終了。活動を見守った中田代表取締役は「若い人たちの感性と行動力で物事を進めてくれた。継続できるとの見通しもついた。短期間な上、さまざまな壁にぶち当たったと思うが、乗り越えている。失敗しても諦めず行動できることを証明した。これからの生活の力にしてほしい」と期待した。
中たオルプロジェクトの問い合わせは中田薬局松倉店(0193・23・1230)か、InstagramDM (@nakatapharmacy)へ。
釜石新聞NewS
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