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12月1日は「鉄の記念日」 近代製鉄発祥の地・釜石で企画展多彩に 関連3施設無料公開も

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鉄の歴史館で開かれている企画展「1894 転機 ―日本近代製鉄の新たなステージ―」

 
 12月1日は鉄の記念日―。1857(安政4)年、大島高任が釜石・大橋に建設した洋式高炉で国内初の鉄の連続出銑に成功した日だ。“鉄のまち”の歴史を物語る数々の遺産を有する釜石市では、関連施設で各種企画展を開催中。鉄の歴史館(大平町)、釜石鉱山展示室Teson(甲子町大橋)、同市郷土資料館(鈴子町)は11月30日、12月1日の両日、無料で見学できる。普段は公開していない貴重なお宝にも出会えるチャンス。22日から始まった2つの企画展を紹介する。
 
 鉄の歴史館では「1894 転機 ―日本近代製鉄の新たなステージ―」と題した企画展を開催している。日本の近代化を確固たるものとした製鉄産業の転換点1894(明治27)年にスポットを当てた展示。同年は、大橋での成功を受け翌58年から稼働していた橋野鉄鉱山(青ノ木)が終焉(しゅうえん)を迎え、一帯の採掘権を得た釜石鉱山田中製鉄所が栗橋分工場(沢桧川東岸)で操業を開始した年。青ノ木周辺で燃料の木炭原木が不足、沢桧川上流に有力な鉄鉱山があり、製品を海岸部まで運搬する距離的負担が軽減されることで同地を選んだとされる。
 
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橋野町沢桧川沿いで操業した釜石鉱山田中製鉄所栗橋分工場の説明パネル

 
 栗橋分工場の高炉には品質が向上した釜石産の耐火れんがが使われたことで、長期間の連続操業が可能となり、高炉1基で稼働(青ノ木では3基を改修しながら操業)。田中製鉄所は製品運搬のため、橋野-鵜住居間の道路も新設した。峠道の険しさが解消され、途中から導入したトラック輸送の安全、時間短縮にもつながった。企画展では解説パネルのほか、鉄鉱石を運んだ馬車鉄道の軌道が描かれた工場周辺の図面、建設道路のルート図、生産された銑鉄、新旧の耐火れんがなどを見ることができる。
 
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栗橋分工場の設備配置図。二股、高前、細越の採鉱場で鉄鉱石をとりトロッコで工場まで運んだ

 
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写真下:栗橋分工場で生産された木炭銑。長さ約1メートル、重量約60キロ。両石の港から積み出された

 
 もう一つの“1894”は、廃業した鈴子の官営製鉄所の払い下げを受けた田中製鉄所(1887年創業)が、改修した大型の30トン高炉で操業に成功したこと。燃料を木炭からコークスにかえ、出銑量が飛躍的に増加した。官営時代にもコークス窯(ビーハイブ式)を建造し、精製した燃料で出銑を試みたことがあったが、質が悪く操業停止に追い込まれている。田中時代のコークス窯(コペー式)は2018(平成30)年の発掘調査で、下部の煙道部と考えられるれんが構造物が見つかっている。使用れんがは品川白煉瓦(東京)の製品。
 
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コペー式窯で作ったコークスを燃料に稼働した鈴子の製鉄所

 
 コークス燃料の高炉の成功は日本初で、初出銑の鉄で作られた釜石製鉄所山神社(桜木町)の鳥居の扁額は市指定文化財となっている。国立科学博物館(東京)は11(平成23)年に同扁額を、21(令和3)年にコークス窯を未来に残したい遺産として登録した。企画展では、田中製鉄所創業者の田中長兵衛が払い下げ時に国産への強い意志をつづった文書、明治30年代前半の鈴子構内の見取り図、コークスでの高炉操業成功の立役者の一人香村小録の日記のコピーなどを展示。コークス導入に関与した人物の相関図、コークス転換の有用性などを解説したパネルもある。これらの功績は新たに加えられた常設展示でも見ることができる。
 
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人物にスポットを当てた展示も興味深い

 
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未来遺産になったコークス窯について解説する新たな常設展示も始まった

 
 同市世界遺産室の森一欽室長は「コークス採用で大量生産に成功した歴史がなければ、日本の産業発展はあり得なかった。近代製鉄発祥の1857年だけでなく、第2のギアがかかる1894年という転機についても知っておいてほしい。普段は見られない原図面なども公開しているのでぜひ来館を」と呼び掛ける。
 
 同館では他に無料公開の2日間限定で、県の文化財指定から50周年となる幕末の高炉操業を描いた絵巻「紙本両鉄鉱山御山内並高炉之図(しほんりょうてっこうざんおやまうちならびにこうろのず)」(1974年指定)を公開する。文久年間(1860年代前半)に盛岡藩のお抱え絵師が描いたとされるもので、大橋、橋野両鉄鉱山の全体図や高炉などの「設備編」、鉄鉱石の採掘から運搬、高炉の操業、出荷までの工程が描かれた「作業編」の2巻から成る。
 
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11月30日、12月1日限定で公開される高炉絵巻。年に1回の見学チャンス

 

釜石鉱山展示室Tesonは「鉱山(やま)の鉄道」展 鉱石運ぶ鉄路にスポット

 
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釜石鉱山展示室Tesonで開催中の企画展「鉱山(やま)の鉄道」

 
 釜石鉱山展示室Teson(旧釜石鉱山事務所)では、「鉱山(やま)の鉄道」と題した企画展を開催している。採掘場から鉱石を運び出し、製鉄所に供給するための重要な輸送手段であった鉄道にスポットを当てる。
 
 明治政府は鈴子に建設した官営製鉄所に鉄鉱石を運ぶため、1880(明治13)年、大橋採鉱所から鈴子、釜石港に至る釜石鉄道を敷設。小川製炭所からの支線と合わせ26.3キロの鉄道は、国内3番目の運行開始で知られる。官営廃止後は釜石鉱山田中製鉄所が馬車鉄道を新設。鉱石のほか物資輸送、客馬車運行も行った。1910(明治43)年には「釜石鉱山専用汽車軽便鉄道」が開通。機関車が走り旅客、貨物も扱った。市民に“社線”として親しまれた鉄道は1965(昭和40)年まで運行した。
 
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社線を走ったさまざまな機関車。左のC1 20形機関車は廃線まで活躍。現在、鉄の歴史館の駐車場内に展示される

 
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1953(昭和28)年ごろの日鉄鉱業釜石鉱業所の構内付近の見取り図には大橋駅周辺が描かれる

 
 鉄道は鉱山内の鉱石運搬でも活躍した。田中製鉄所は1911(明治44)年に蒸気機関車を導入し、山の高さごとに上、中、下段の「運鉱汽車軌道」を敷設した。上段は新山鉱床を始点に第6インクライン上部まで(標高約650メートル)、中段(通称・桜山運鉱線)は同インクライン下部から大橋選鉱場上部まで(同約500~450メートル)、下段は同選鉱場下部から社線大橋駅まで(同約300メートル)。
 
 33(昭和8)年には500メートル坑が開口。高さの違う坑道を縦坑で結び、坑内で下部まで鉱石を落として運ぶ方法も確立されていった。最終的に350メートル坑からの坑外搬出が中心となり、46(同21)年までに上、中段の専用鉄道は廃止された。50(同25)年に国鉄釜石線(花巻-釜石間)が全線開通すると、社線による通勤旅客輸送が廃止された。54(同29)年には選鉱場から陸中大橋駅までのベルトコンベヤー輸送システムが完成。下段の鉄道も廃止された。
 
 企画展では53(昭和28)年ごろの大橋周辺の見取り図、蒸気からガソリン、電気などへと替わっていく機関車の変遷、15トン電気機関車の無線コントローラーなどを展示。鉄鉱石の採掘が終了する93(平成5年)に撮影された周辺の建物などの記録写真も興味深い。鉱山で走った電気、バッテリー機関車は野外展示でも見ることができる。企画展は8日まで開催中(9日から冬季休館)。
 
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左上から右回りに、中段運鉱汽車軌道、500メートル坑道から出るガソリン機関車、国鉄での鉱石運搬用に建設された大橋駅ホッパー、350メートル坑道から選鉱場に鉱石を運ぶ電気機関車

 
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野外展示されている電気機関車(左上が6トン、下が15トン)。右上は6トンバッテリー機関車

 
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常設展示の鉄道コーナーにもさまざまな資料が…。右上は立体交差、右下は並走する国鉄線と釜鉄社線

 
 「鉄の記念日」関連の企画は他施設でも実施。郷土資料館では「釜石の鉄人(スポーツマン)」をテーマにした企画展を28日から開催中(来年1月26日まで)。橋野鉄鉱山インフォメーションセンターでは、本年度の高炉跡発掘調査の出土資料を12月8日まで展示する(センターは9日から冬季休館)。イオンタウン釜石では12月2日まで、県内3世界遺産のパネル展が開催される。市立図書館では12月1日午後1時半から、市世界遺産室の森一欽室長が「改めまして 明治日本の産業革命遺産とは?~世界遺産登録10周年を目前に~」と題して講演する(事前申し込みが必要)。館内では1日から15日まで釜石の鉄の歴史に関する図書とパネルの展示が行われる。

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海中転落事故防止へ釜石海保など啓発パトロール 夜釣り楽しむ人へ「装備しっかりと」

釜石港で釣り人に注意を呼びかける釜石海上保安部の職員

釜石港で釣り人に注意を呼びかける釜石海上保安部の職員

 
 夜釣り中の事故を防止しようと、釜石海上保安部や釜石警察署などは22日夜、釜石市の釜石港と唐丹漁港で合同パトロールを行い、釣り人へ注意を呼びかけた。この時期は日暮れが早く、海水温も低下するため、転落すると発見の遅れや低体温症による危険性が高まるという。そのため、第2管区海上保安本部の管内では11月を「釣り海難防止活動期間」として注意喚起している。
 
 この日は、同保安部と同署、市、岩手県沿岸広域振興局の職員ら約10人が活動。夜間の寒さが増す冬季は気象条件が厳しい反面、漁港の街灯下にイカなどが寄ってくるため釣り人も少なくない。港内もそうした狙いを持った人たちの姿があり、釣り人一人ひとりに注意を促すチラシを手渡した。
 
海中転落事故の防止に向け、釣り人に声をかけながらチラシを配った

海中転落事故の防止に向け、釣り人に声をかけながらチラシを配った

 
 港近くで働く関渡さん(75)は、仕事終わりに釣りを楽しむのが日課。この日も顔なじみの釣り人らと岸壁から釣り糸を垂らしていた。ライフジャケットは着用していたが、事故防止の声がけに「海に落ちたら大変だからね。安全に楽しみたいし、気を付ける」と再確認。狙いのヤリイカは「久しぶりの大漁」だったようで、“いか”にして味わうか考えを巡らせた。
 
 同保安部交通課によると、県内では昨年までの5年間に釣り人の海中転落事故が18件発生。うち夜間に起きたのは12件で半数以上を占める。原因は岸壁などからの足の踏み外し、つまずきなど“不注意”が多いという。
 
 今年は既に3件発生。うち1件が夜釣り中の事案で、釜石市内で起こった。いずれの事故もライフジャケットは未着用だった。
 
多くの人が岸壁から釣り糸を垂らす。今夜の獲物はヤリイカ

多くの人が岸壁から釣り糸を垂らす。今夜の獲物はヤリイカ

 
「決まりを守って安全に夜釣りを楽しんで」と関係者ら

「決まりを守って安全に夜釣りを楽しんで」と関係者ら

 
 港内を巡った同課の美野重和課長は「救命胴衣を着けていない人が多かった。命に関わる事故に発展しかねないので、万一のために着用を心がけてほしい」と強調。加えて、▽気象や海象を確認し無理な行動はしない▽単独行動は控え複数人で行動する▽危険な場所には立ち入らない▽釣り場環境に応じた装備の選択を▽海の緊急通報は118番―といったポイントも呼びかける。

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地場産食材「おいしいの、いっぱい!」 釜石の小中学生、海・山の恵み 給食で味わう

釜石産食材を使った給食を味わう鵜住居小児童

釜石産食材を使った給食を味わう鵜住居小児童

 
 釜石市産の食材を使った「まるごと釜石給食」は20日、市内の小中学校全15校(支援学校を含む)で提供された。子どもたちが地域の海や山で育まれた豊かな恵みに舌鼓。地元の魅力に関心を高めた。鵜住居小(佐藤一成校長、児童144人)では、生産者や市関係者らと食卓を囲んで交流した。
 
 メニューは釜石湾で養殖するサクラマスの塩こうじ焼き、ニンジンやキュウリなどとあえた大根のナムル風、栗林町産ひとめぼれを炊き上げたご飯、三陸ワカメのみそ汁、リンゴ、牛乳で、食材8種類を使った。
 
 鵜小では4年生(29人)の教室で試食会があり、市学校教育課学校給食センターの沢里舞帆栄養教諭が食材を紹介。「釜石のおいしい食材を集めた特別なメニュー。生産者の皆さんが大切に育てて届けてくれた貴重な野菜をたくさん使っています。感謝しながら、みんなで味わいましょう」と呼びかけた。
 
料理を盛り付けて「まるごと釜石給食」が完成

料理を盛り付けて「まるごと釜石給食」が完成

 
作ってくれた人に感謝を込めて「いただきます」

作ってくれた人に感謝を込めて「いただきます」

 
 「いただきます」と声を合わせると、子どもたちは地域の恵みたっぷりの料理に箸を伸ばした。サクラマスの味が気に入った前川幹橙さんは「やわらかくておいしかった。(給食の献立に)もっと増やしてほしい」と満面の笑顔。寒さが増す季節となり甘さが加わったという白菜やネギも入ったみそ汁を「ほど良い味」と表現した佐々木惟楓さんは「釜石にもこんな食材があるんだ」と、おいしい発見を喜んだ。
 
「おいしいね」。生産者と一緒に給食を味わう子どもたち

「おいしいね」。生産者と一緒に給食を味わう子どもたち

 
 ネギを提供した橋野地区直売組合員の小笠原幸太郎さん(70)=甲子町=は児童と会話しながら触れ合いも楽しんだ。別の学校に通う孫たちが同じ献立を味わっている様子を想像し、「こんな風に喜んでくれていると思う。きちんとした良いものをたくさん作りたい」と改めて実感。同組合員でリンゴを届けた二本松誠さん(61)=鵜住居町=も子どもらの笑顔に意欲を高め、「いっぱい食べて元気に育って」と願った。
 
楽しい給食の時間はおいしい笑顔がいっぱい

楽しい給食の時間はおいしい笑顔がいっぱい

 
子どもとの楽しい触れ合いに食材提供者もにっこり

子どもとの楽しい触れ合いに食材提供者もにっこり

 
 市は地産地消、農業や水産業など地域産業への理解促進を狙いに2021年度から、まるごと釜石給食を設けている。新米が出回る時期に合わせ実施しており、今回は約2050食を提供。学校給食センターの山根美保子所長は「地元のおいしい農水産物を知ってほしい。試食会が生産者の意欲向上につながり、たくさん作ってもらえたら、釜石産を提供できる機会が増える…かな」と、おいしい楽しみに余韻を残した。

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ラグビーのまち釜石 裾野の拡大着々と 小学校タグR大会で16チームが熱戦 低学年も楕円球に笑顔

6回目を迎えた小学校対抗タグラグビー大会(釜石東ロータリーカップ)

6回目を迎えた小学校対抗タグラグビー大会(釜石東ロータリーカップ)

 
 第6回釜石市小学校対抗タグラグビー大会(釜石東ロータリーカップ2024)は17日、釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。県内外の有志で組織する釜石ラグビー応援団(中田義仁団長)が主催。小学4年生以上は試合を、3年生以下はボールを使った運動教室を楽しみ、約140人が紅葉に囲まれたグラウンドで心地良い汗を流した。ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会釜石開催から5年―。大会レガシー(遺産)を受け継ぐ子どもらの元気なプレーが「ラグビーのまち釜石」のさらなる発展を後押しする。
 
 開会式では双葉小6年の川村桔平さんが選手宣誓。同スタジアムが会場となったラグビーW杯で震災復興支援への感謝の気持ちを表した歌「ありがとうの手紙」を全員で合唱し、試合での健闘を誓い合った。
 
紅葉に囲まれたスタジアムで開会式。双葉小の川村桔平さんが元気に選手宣誓(写真左上)

紅葉に囲まれたスタジアムで開会式。双葉小の川村桔平さんが元気に選手宣誓(写真左上)

 
 今大会には市内6校と釜石シーウェイブス(SW)ジュニアから計16チームが参加。4ブロックで予選リーグを行った後、各ブロックの上位2チームが決勝トーナメントに挑んだ。1チームは4~6年の男女5人で編成。選手の入れ替えは自由で、登録選手全員に出場機会を与えた。試合時間は予選リーグが前後半なしの7分、決勝トーナメントは前後半5分ずつ。各ブロックの3、4位チームもフレンドリートーナメントで試合経験を重ねた。
 
4ブロックで総当たり戦が行われた予選リーグ

4ブロックで総当たり戦が行われた予選リーグ

 
対戦相手の腰にぶらさげたタグを取るのがタックル代わり

対戦相手の腰にぶらさげたタグを取るのがタックル代わり

 
タグを取りにくる相手を振り切りトライゾーンへまっしぐら

タグを取りにくる相手を振り切りトライゾーンへまっしぐら

 
 2チームを結成した双葉小はコロナ禍前以来の久しぶりの出場。参加希望メンバーを募り、大会に向けた放課後練習を重ねて本番に臨んだ。同大会初参加の金野優輝さん(5年)は「体育の授業も含めけっこう練習はしてきたが、(昨年優勝の)鵜住居のチームが強くてびっくりした」。同じチームで戦った鈴木慶大さん(同)も他校の強さを感じて闘志に火がついたようで、「来年も絶対出て、優勝を目指したい。僕たちの得意な部分は出せていたので、あとは気持ちの強さと緊張感があれば…」とリベンジを誓った。
 
双葉Jr.(赤ビブス)と平田ウォーリアーズの試合は接戦に…

双葉Jr.(赤ビブス)と平田ウォーリアーズの試合は接戦に…

 
 昨年、決勝で鵜住居のチームに敗れた小佐野バーバリアンズの鹿野遥斗さん(6年)は午前中の予選リーグを終え、「3試合とも点差をつけて勝てたので、いいスタート」と手応えを実感。今年は練習期間を長くとれたということで、「メンバーの仲も深まり、チームプレーの精度も上がった」という。プレー中は互いに声を掛け合い、コミュニケーションを意識。決勝トーナメントを前に「去年の優勝チームに一歩でも近づけるよう頑張りたい」と話していたが…。
 
 最終決戦は互いに切磋琢磨してきた同校の別チーム(小佐野バーバリアンズレッド)との対戦となり、6-3でバーバリアンズが頂点に輝いた。小佐野小は12月に行われるSMBCカップ全国小学生タグラグビー大会県予選などへの参加も予定。鹿野さんは「まだ時間があるので、強豪の日詰に食らいつけるようなチームになりたい」と意気込んだ。
 
予選は3戦全勝、決勝トーナメントに進んだ小佐野バーバリアンズ(赤ユニホーム)

予選は3戦全勝、決勝トーナメントに進んだ小佐野バーバリアンズ(赤ユニホーム)

 
優勝、準優勝を果たした小佐野小のチームは来月参加予定の県大会へ弾みをつけた

優勝、準優勝を果たした小佐野小のチームは来月参加予定の県大会へ弾みをつけた

 
 同大会は、釜石東ロータリークラブがラグビーW杯釜石開催の機運醸成を図ろうと、2年前の2017年に開始。初回は甲子町の市球技場で開かれ、第2回大会から新設された同スタジアムに会場を移した。W杯開催年の第3回大会には20チーム約190人が参加。その後、新型コロナウイルス感染症の影響で2年間の中止を余儀なくされた。仕切り直しの22年から釜石ラグビー応援団が主催を引き継ぎ、児童の健全育成、同市のスポーツ文化発展などを目的に大会を継続する。
 
 中田団長(56)は「学校側の大会に対する理解も深まり、子どもたちが参加しやすい環境ができている。大会経験者が中学生になり、県中総体ラグビーを制覇していることもうれしい限り。今後は他地域からの参加も促し、大会をより発展させていきたい」と思いを込めた。
 
ラグビー人口拡大への足掛かりにもなっている大会。将来、有名選手が出るかも?

ラグビー人口拡大への足掛かりにもなっている大会。将来、有名選手が出るかも?

 

低学年も集まれ~! SWアンバサダー向井陽さんら 楕円球との触れ合い、運動の楽しさ伝授

 
日本製鉄釜石SWアンバサダーの向井陽さん(中央)も指導に駆け付けた低学年対象の体験教室

日本製鉄釜石SWアンバサダーの向井陽さん(中央)も指導に駆け付けた低学年対象の体験教室

 
 同大会は地元クラブチームの日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)、釜石市ラグビーフットボール協会が全面支援する。試合は小学4年生以上が対象だが、3年生以下の子どもたちにもラグビーを通じて体を動かす楽しさを味わってもらおうと体験教室を開いている。今年は同市地域おこし協力隊員(ラグビー普及コーディネーター)で、SW事務局員でもある竹中伸明さん(36)が中心となってプログラムを提供した。
 
教室はラグビーの普及活動に取り組む地域おこし協力隊員竹中伸明さん(左奥)が中心となり実施

教室はラグビーの普及活動に取り組む地域おこし協力隊員竹中伸明さん(左奥)が中心となり実施

 
SWの選手OBらも子どもたちの体験をサポート

SWの選手OBらも子どもたちの体験をサポート

 
 SWからは桜庭吉彦ゼネラルマネジャーや選手OBらがサポートした。強力な“助っ人”として千葉県から駆け付けたのは同OBで、現在はチームのアンバサダーを務める向井陽さん(47)。釜石では甲東幼稚園(現・同こども園)に勤務しながら、SH として7年間プレー。2008年に退団、現役引退後はスポーツ教育の会社を経て、千葉県松戸市で保育園の園長を務めている。日本ラグビーフットボール協会の普及コーチでもあり、全国各地で子どもたちの指導にあたっている。
 
遊びの要素を取り入れたプログラムで子どもたちを楽しませる向井さん

遊びの要素を取り入れたプログラムで子どもたちを楽しませる向井さん

 
 「初めてボールに触る子どもたちが楽しさを感じ、(ラグビーをやってみたいとか)次につながるようなきっかけづくりをしたくて…」と向井さん。日本協会でも今、未就学児や小学校低学年向けのトレーニングプログラム作りに取り組んでいるという。「ラグビーボールは使うが、遊びの要素を入れて、その年代の運動能力を伸ばすようなメニュー」と、子どもの発育、発達を促す活動に力を注ぐ。この日もそうした知識や経験を釜石の子どもたちに還元した。
 
子どもたちはボールやタグを使った運動メニューに笑顔満開!

子どもたちはボールやタグを使った運動メニューに笑顔満開!

 
向井さんら指導者は釜石の子どもたちの健やかな成長を願う

向井さんら指導者は釜石の子どもたちの健やかな成長を願う

 
 タグラグビー大会をはじめ、子ども向けの競技普及、関心喚起活動に積極的な釜石の取り組みを喜ぶ向井さん。「このスタジアムで体を動かした思い出が残り、またここでラグビーをしたい、見たい、行ってみたいと思うような場所になったらいい。ラグビーはそれぞれの良さ(持ち味)を生かせるスポーツ。自分や仲間の良さに気付き、力を合わせて物事を成し遂げる素晴らしさも感じてもらえたら」と話した。

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釜石の海、今を伝える「おさかなフェス」 岩手大生が初開催 触れ合い創出・水産資源の魅力発信

釜石で水揚げされた新鮮な魚介類を買い求める人でにぎわう

釜石で水揚げされた新鮮な魚介類を買い求める人でにぎわう

 
 釜石市平田の岩手大学釜石キャンパスで16日、地元の海や水産資源の魅力を発信するイベント「おさかなフェス」が初めて開かれた。同大農学部食料生産環境学科水産システム学コースの学生が企画した同キャンパス独自の学園祭的な催しで、海洋生物との触れ合い、鮮魚の格安販売、魚や海にまつわる知識を試す検定などの体験プログラムを用意。市内外から多くの家族連れらが訪れて思い思いに楽しみ、「釜石の海」に理解を深めた。
 
 子どもたちに人気だったのは、三陸の海でとれた10種類以上の生物を間近で観察できるタッチプール。タコ、ヒトデ、ヤドカリ、ホヤ、カレイ…多様な生き物に和田優広ちゃん(2)は夢中になり、あちこちから手を伸ばして触れていた。子どもに楽しんでもらおうと北上市から足を運んだ父・哲志さん(35)は「生き物や自然を大切にしようと気持ちを育んでもらえたらいい。岩手は漁港から見る海の景色、海のそばにある街並みがきれいなところが多い。そんな地域性も感じてもらえたら」と目を細めた。
 
海洋生物に触れながら学びを深める子どもたち

海洋生物に触れながら学びを深める子どもたち

 
多様な生き物に触れ合う機会に大人も子どもも夢中

多様な生き物に触れ合う機会に大人も子どもも夢中

 
 学生が考えた問いに挑戦する「釜石さかなと海の検定」もプログラムに加えて実施。3回目となった今回も小中学生は40問(制限時間30分)、一般(高校生以上)は70問(同60分)の出題で、4つの選択肢から正解を選ぶ方式で行った。魚介類の生態や地理、海洋変化、漁港に関することなど幅広い知識を試す内容。それぞれの部門に合わせて約20人が挑んだ。
 
 終了後、小学生の部では答え合わせがあった。ギネス登録されている釜石港の湾口防波堤の水深について、同系統の魚の見分け方など、子どもらが解答に悩んだ問題を伝えると、学生がホワイドボードに図を描いたりして解説。「へ~、そうなんだー」と知識を増やした。
 
検定を終えて学生の解説に耳を傾ける子どもたち

検定を終えて学生の解説に耳を傾ける子どもたち

 
 初挑戦の前川大悟さん(8)は“ゆるい感じ”と思っていたら、“本格的な試験”で「驚いて緊張した」というが、海や釣り、生き物が好きなこともあって「楽しかった」とうなずいた。父・仁さん(49)は「頼もしい」とうれしそうな笑顔を見せ、「いろんなものに興味を持って、どんどん挑戦していってほしい」と背中を押した。
 
 大人たちが関心を示したのは、市魚市場で水揚げされた魚介類の販売コーナー。学生が市内の水産会社を通して仕入れたブリやサンマ、ドンコ、カワハギ、ワラサなどが「ほぼ仕入れ値と同じ価格」で並んだ。「安い!」と品定めすると、来場者が次々と購入。なじみのある「マアジ」の隣に並んだ「メアジ」が気になった人が、学生に質問して交流する場面も見られた。
 
釜石の魚市場に揚がった魚介類が並び人気を集めた

釜石の魚市場に揚がった魚介類が並び人気を集めた

 
 朝5時に起きて、いち早く買い物を楽しんだ市内の70代女性は「知らなかったことだらけ。釜石の新鮮な魚を安く買えたし、(学生の)若いエネルギーももらえた」と喜んだ。
 
 高品質の水産資源、水産業の魅力を広く知ってほしい―。そんな願いを込めて催しを企画し、全体を統括した髙山琢磨さん(4年)は、予想を上回る来場や反響に手応えを感じた様子だった。
 
消費者となる買い物客に仕入れた魚種の説明をする髙山琢磨さん(中)

消費者となる買い物客に仕入れた魚種の説明をする髙山琢磨さん(中)

 
 釜石キャンパスでは現在、同コースの3、4年生22人が学ぶ。普段、授業や研究では「漁獲量を増やすには」といった視点で漁業者と関わることが多いが、消費者に届けるという流通面に携わる機会は少ないという。そこで今回、“実践”という経験を積む場として鮮魚販売を設定。メアジやシイラ、ムツなど“なじみがない”魚種も積極的に仕入れて、「今の釜石の海が分かる」よう準備を進めてきた。
 
 「消費者とも関わることができてうれしい」と話す髙山さんら学生たち。そばで見守った釜石キャンパス特任専門職員の齋藤孝信さん(63)は「初めてのチャレンジ、よく頑張ってたどり着いた。ゼロから考え企画して実践、清算、報告書作りという一連の流れを経験することは、社会人の準備に役立つだろう。糧として釜石から巣立ってほしい」と願った。

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「危機管理は災害イメージ、対処法準備、実践訓練から」 釜石市アドバイザー・越野修三さん講演

釜石市防災講演会=釜石PIT、16日

釜石市防災講演会=釜石PIT、16日

 
 地震津波、台風、集中豪雨などの自然災害により、全国各地で想定を超える被害がもたらされている昨今―。そうした中、釜石市は16日、自然災害への理解を深め、防災対策に役立ててもらうための市民向けの講演会を開いた。講師は同市の防災・危機管理アドバイザーを務める越野修三さん。「大災害から学ぶ危機管理」と題した講演で越野さんは、災害リスクを知り、具体的にイメージして対処法(戦略)を構築、実践訓練で検証する重要性を説いた。
 
 大町の釜石PITで開かれた講演会には自治会役員、消防団員、防災士を中心に約50人が参加した。講師の越野さんは陸上自衛隊出身。在任時に阪神・淡路大震災(1995年)の災害派遣を経験した。2006年に退官後、県の防災危機管理監に就任。08年の岩手・宮城内陸地震、11年の東日本大震災で県の災害対応を指揮した。釜石市では同震災検証委員会の委員長を務め、18年から防災・危機管理アドバイザーとして助言を行っている。
 
講師の越野修三さん(釜石市防災・危機管理アドバイザー)

講師の越野修三さん(釜石市防災・危機管理アドバイザー)

 
 越野さんは6000人以上が犠牲になった阪神・淡路大震災について、危機意識と事前準備が不十分で救助活動や行政対応が遅れたことを指摘。危機の認識には災害への関心や知識が必要で、「全く関心のない人にいくら情報を与えても行動は起こさない。避難を呼びかけても逃げないのも同じ。危機意識を持つか持たないかで行動は全く変わってくる」と話した。
 
 では、どうすれば危機(災害)対応がうまくいくのか。越野さんは危機管理には「事前対応」「応急対応」「事後対応」の3段階があり、危機に対し、いかに早く適切に対応できるかは事前対応(準備)にかかっていると教えた。一番大切なのは「危機をどれだけ具体的にイメージできるか」ということ。「ハザードマップなどで自分が住む地域の災害の可能性(リスク)を知り、それが起きたらどのような状況になるのかを考える」。これが危機管理の出発点だとした。
 
越野さんは「大災害から学ぶ危機管理」と題し講演した

越野さんは「大災害から学ぶ危機管理」と題し講演した

 
 越野さんが県の防災危機管理監に就任する際、「30年間に宮城県沖地震が発生する確率は99%」とされていたが、県職員の防災への問題意識は決して高くはなかったという。着手したのは、大地震、津波発生時に何が課題となり、どう対処すべきかを考えること(課題解決のための戦略の構築)。就任から1年後の07年には県総合防災訓練、08年には自衛隊と自治体の共同訓練(みちのくアラート)を行い、災害時の応急対策活動(人員・資器材の集結、情報共有、部隊配置、救出救助・医療、緊急物資輸送など)を検証した。災害対策本部機能の強化も図り、これらの取り組みは11年の東日本大震災の対応に生かされた。
 
 一方で東日本大震災では、本県で約6000人が津波の犠牲になった。なぜ、避難行動が遅れたのか。越野さんは震災後に釜石市で実施した住民アンケートから、激しい揺れを感じ津波の情報を得ていたにもかかわらず、約40%の人はすぐには避難していなかった実態を明かした。一因に「自分は大丈夫」「今まで被害がなかったから」「隣の人も逃げていない」など根拠のない理由を自分に言い聞かせ、逃げない自分を正当化しようとする、人間誰しもが持つ心理的作用があるという。
 
越野さんの話に耳を傾ける参加者。災害への関心、危機意識を持つ大切さを学んだ

越野さんの話に耳を傾ける参加者。災害への関心、危機意識を持つ大切さを学んだ

 
 近年増加する大雨、洪水、土砂災害のリスクについても説明。1時間に50ミリ以上の雨が降り続いた場合にどんなことが起こりうるかを過去の災害を例に説明した。2018年の西日本豪雨で51人が犠牲になった岡山県真備町では、合流する2河川が大雨で増水。支流の水が合流地点で流れにくくなり水位が急激に上昇、堤防が決壊し浸水する「バックウオーター現象」があった。本年9月の能登半島の大雨災害では、線状降水帯が発生するなどして1時間に100ミリ以上の降雨を記録。上流からの流木が橋でせき止められ、ダム化することで予想外の浸水被害を引き起こした。
 
全国で発生した大雨災害の事例も紹介。同様の被害は釜石市でも起こりうる

全国で発生した大雨災害の事例も紹介。同様の被害は釜石市でも起こりうる

 
 越野さんは「釜石市は平地が少なく、居住地の背後に険しい山をかかえる。大雨が降ると山から谷に流れ込むイメージ。甲子川にも支流があり、バックウオーター現象や流木による浸水被害が起こりうることをイメージする必要がある」と助言。津波同様、ハザードマップであらかじめリスクを確認しておくことが重要とした。
 
 また、土砂災害で死亡した人の90%は土砂災害警戒区域で亡くなっていること、線状降水帯は日本中どこでも発生する可能性があることも伝え、災害が起きそうな雨量の目安を知り、避難行動の基準(避難スイッチ)を決めておくよう促した。
 
「地震はいつどこでも起こりうる」。過去の地震災害の特徴も学んだ

「地震はいつどこでも起こりうる」。過去の地震災害の特徴も学んだ

 
講演の前には全員で「釜石市防災市民憲章」を唱和した

講演の前には全員で「釜石市防災市民憲章」を唱和した

 
 大規模災害では発災直後は公助(行政、警察、消防、自衛隊)の力を当てにできない。自分の命は自分で、地域は地域で守る必要がある(自助、共助、協働)。越野さんは「訓練でできなかったことは実際の危機(災害)時にできるわけがない。個人、地域、行政など、それぞれの立場で対処法を準備し実践的訓練を重ねる。最悪の場合を想定し行動することが大事」と呼び掛けた。
 
 防災士の資格を持つ鵜住居町の佐々和代さん(76)は近年増加する大雨災害を危惧。居住地前の長内川の形状や草の繁茂による大雨時の水位上昇を心配し、「氾濫や土砂災害の可能性もあることを考えておかないと。『ここは大丈夫』という意識は禁物。(講演で言われたように)日ごろから防災への意識を高めておくことが大切」とうなずいた。
 
今後の防災対策に必要なことを学んだ参加者

今後の防災対策に必要なことを学んだ参加者

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友達づくり楽しく!サッカー遊びで交流 釜石で初の試み、4つのこども園合同イベント

釜石市球技場でサッカー遊びを楽しむ子どもたち

釜石市球技場でサッカー遊びを楽しむ子どもたち

 
 釜石市内の4つの認定こども園合同イベント「交流サッカー遊び」が14日、同市甲子町の市球技場で開かれた。5歳児計80人が参加し、16の“ミックスチーム”を編成。初めは緊張気味だったものの、4ブロックに分かれてボールを追いかけているうちにたくさんの“にこにこ顔”が生まれた。市内でこうした活動が行われるのは初めて。「来春に小学生になる子どもたちの顔合わせになれば」と各園共通のあたたかい願いが込められた。
 
 参加したのは甲子町の正福寺幼稚園(松岡公浩園長、園児28人)、野田町の甲東こども園(野田摩理子園長、園児106人)、上中島町の市立上中島こども園(楢山知美園長、園児38人)、天神町のかまいしこども園(藤原けいと園長、園児88人)の4園。鬼ごっこをした後、ボールを使った陣取り遊びやサッカーのミニゲームを楽しんだ。
 
初顔合わせの友達と声を合わせて「エイエイオー」

初顔合わせの友達と声を合わせて「エイエイオー」

 
鬼ごっこが準備運動。思い切り走ってにこにこ顔

鬼ごっこが準備運動。思い切り走ってにこにこ顔

 
陣取りゲームでボールや仲間との触れ合いを楽しむ

陣取りゲームでボールや仲間との触れ合いを楽しむ

 
 子どもたちの遊びをサポートしたのはキッズサッカーの指導者でもある松岡園長(59)や、岩手県サッカー協会のキッズリーダー4人。一定のルールの中で伸び伸びさせつつ、ゴールを決めたり、諦めずボールを追ったり頑張った子はもちろん、転んだ仲間に優しく声をかけたり、ボールの片付けに積極的に取り組んだ園児らに「グリーンカード」を何度も提示してフェアプレー精神の大切さも伝えた。
 
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子どもたちのすてきな行動に「グリーンカード」を次々に提示

 
 ミニゲームの前後に園児らは元気にあいさつを交わした。開会のあいさつで松岡園長が呼びかけた「ゲームは敵、味方があるけど、敵という相手がいなければゲームはできない。相手はある意味、仲間。ゲームが終わったら『ありがとう』と握手しよう」を守った形。甲東こども園の福成昴君(6)は「シュートするのが楽しかった。(園が異なる子と)なかよくなれた。またやりたい」とチームメートと手をつないでいた。
 
ミニゲームでは真剣な表情で熱戦を繰り広げた

ミニゲームでは真剣な表情で熱戦を繰り広げた

 
試合後には握手して「ありがとう」と笑顔を交換

試合後には握手して「ありがとう」と笑顔を交換

 
サッカー遊びで思い出をつくって友情を結んだ園児たち

サッカー遊びで思い出をつくって友情を結んだ園児たち

 
 この初の試みは、4園長の集まりがきっかけ。各園の保育内容や遊びなど情報交換する中で、松岡園長が今年から始めた「サッカー遊び」の話題に他園から関心が集まった。少子化で園単独での活動に難しさを感じていたことが共通し、広い場所で思いっきり駆け回る体験を楽しんでもらおうと計画された行事に、3園が“便乗”。小学校入学で園とは学区が異なる子もいて、「あの時一緒にサッカーで遊んだよね」と入学前の交流にもつながるとの考えも一致した。
 
4園合同イベントを初開催した松岡公浩園長(後列左)ら

4園合同イベントを初開催した松岡公浩園長(後列左)ら

 
「ありがとう」。子どもたちの笑顔が大人にも伝わった

「ありがとう」。子どもたちの笑顔が大人にも伝わった

 
 大人たちの願いは子どもたちにも伝わった様子。正福寺幼稚園の常盤汐季ちゃん(5)は「たくさん友達になった。また会うのが楽しみ。小学生になったらもっといっぱい友達つくりたい。勉強、遊ぶのも楽しみ」と期待を膨らませた。「いろんなお友達、バイバーイ」。別れ際、駆け寄ってハイタッチしたり、手を振り合う光景が広がった。
 
 「ふっ飛んで走っていた」と満足そうに見つめる松岡園長。幼少期に始めたサッカーをシニア世代になっても続ける。競技のおかげで学校外のつながり、仲間を大事にすることを学んだといい、子どもたちにもそうした経験をしてもらうのが狙い。サッカーとなると不得手と感じる子もいると考え、行事名に“遊び”を加えた。各園とも好感触を得た様子で、「市内全体に広がれば」との声も。運動会的なことになればいいかも―大人たちも想像を膨らませる。

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釜石が誇る「鉄の歴史」 一年の学びを発信 栗林小児童「先人の熱い思い、つなぐ」

鉄の学習発表会で栗林小児童が取り組みを紹介した

鉄の学習発表会で栗林小児童が取り組みを紹介した

 
 釜石市の児童・生徒による鉄の学習発表会が9日、同市大町の市民ホールTETTOであった。同時開催された「海と希望の学園祭」(市、東京大の連携イベント)のプログラムとして実施。栗林小(同市栗林町、八木澤江利子校長、児童30人)の代表児童4人が近代製鉄の歴史や先人の思いに触れる学びの中で感じた気持ちを素直に伝えた。
 
 世界遺産・橋野鉄鉱山が学区内にある同校では、総合的な学習として隔年で鉄の学習に取り組む。今年度は5、6年生(13人)が市世界遺産室による座学、鉄の歴史館や橋野鉄鉱山の見学などで「鉄の町」の歴史に理解を深めてきた。夏には世界遺産を有する岩手県内3地域の児童交流会が釜石であり、学びを生かしてガイド役を担当。クイズなどで分かりやすく伝える工夫をし、古里の魅力を発信、学ぶ楽しさを共有した。
 
 一年の総まとめとして、民営釜石鉱山田中製鉄所時代の1886年に連続出銑を成功させた功労者の田中長兵衛、横山久太郎、高橋亦助らに焦点を当てた劇を作って同校の学習発表会「栗っ子祭り」(10月)で上演した。その物語のフィナーレ部分を放映し、「何度失敗しても、49回目での成功を迎えるまでの釜石の職工たちの努力や、夢に向かって諦めずに立ち向かうことの大切さを伝えられた」と成果を報告した。
 
学びの成果や地域の魅力を伝える栗林小の児童

学びの成果や地域の魅力を伝える栗林小の児童

 
 発表者の中平栞愛さんと遠野姫瑠さん(ともに5年)、藤原大叶さんと小國怜義さん(同6年)は学習を通し、先人たちの心の強さや粘り強さ、目標や自分で決めたことに向かって進む姿勢が強く印象に残ったと紹介。日本の原動力になった鉄づくりの歴史が続く地域のすばらしさを改めて感じたようで、「釜石には自慢がたくさんある。頑張る人を支えたり、熱い思いを持った人がいたことも誇り。自分たちの生活にも生かし、つなげていきたい」と声を合わせた。
 
 同発表会は例年、「鉄の記念日」(12月1日)を含む「鉄の週間」の関連イベントとして実施。今回は、同学園祭への子どもの参画促進を狙って組み込まれた。市民のほか、大学教授や日本製鉄の関係者らも聴講。終了後には、「先人たちから今に続くチャレンジを調べてくれてうれしい」「地域に伝える活動も学びの成果だ」などと感想を児童に伝えた。釜石市の高橋勝教育長は「地域資源を生かしたり、苦労しても知恵を出し合い工夫しながら学ぶことは今も同じ。考え続けていこう」と声をかけていた。
 
同時開催イベントの来場者も子どもたちの発表に耳を傾けた

同時開催イベントの来場者も子どもたちの発表に耳を傾けた

 
同時開催イベントで展示された作品「橋野鉄鉱山3番高炉」。ブロック約2万個を組み合わせて高炉を再現した

同時開催イベントで展示された作品「橋野鉄鉱山3番高炉」。ブロック約2万個を組み合わせて高炉を再現した

 
 子どもたちの学習を支える市世界遺産室の森一欽室長による講話もあった。鉄の町になった要因について地質や世界との関わりなどの視点を交えて解説。日本と釜石の鉄産業の近代化にも触れ、「皆さんは何回まで失敗できますか?…数回ならいいけど、10回だったらヤバいと思いますよね。釜石では48回失敗しても、やった。そのおかげで鉄の歴史が今なお続く」と強調した。
 
鉄の歴史やそれを生かした取り組みを説明した森一欽室長

鉄の歴史やそれを生かした取り組みを説明した森一欽室長

 
 釜石の鉄の歴史は「ストーリーとして把握し、なぜそうなったのか、自分ならどうするかを考える学び」と森室長。製鉄所や鉱山の坑道などの見学、たたら製鉄体験、鉄の検定など多彩な体験メニューで、学び考える機会を提供していることを紹介した。世界遺産やジオなどのつながりを生かした他自治体との連携事業も推進。さらに、2025年は橋野鉄鉱山を含む「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産登録10周年を迎える。翌26年には近代製鉄の父・大島高任生誕200周年、27年は釜石鉱山発見300年と続き、周年事業を計画中。「広く釜石のことを伝え、来てもらうネタを考えていきたい」と展望した。

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16年ぶりの祭りに感涙 釜石・尾崎神社本宮(尾崎白浜) 震災、山火事、台風被害乗り越え…

曳き船(みこし海上渡御)などが行われた尾崎神社本宮式年大祭=釜石・尾崎白浜

曳き船(みこし海上渡御)などが行われた尾崎神社本宮式年大祭=釜石・尾崎白浜

 
 釜石市平田尾崎白浜地区にある尾崎神社本宮(佐々木裕基宮司)の式年大祭が10日、16年ぶりに行われた。東日本大震災(2011年)、尾崎半島林野火災(17年)、台風19号による豪雨災害(19年)と度重なる苦難に見舞われながら復旧・復興への道を歩み続けた地区住民にとって、祭りができる喜びはひとしお。地区を離れた元住民らも多数駆け付け、久しぶりの曳き船(みこし海上渡御)や地元の神楽奉納に目を潤ませながら見入った。
 
 3年に1度行われる同祭は、同神社の氏子総代らでつくる奉賛会(佐々木靖男会長)が中心となり復活させた。10日は、浜町の里宮から迎えたみこしに本宮のご神体を移す神事が行われた後、みこしが高台の神社から漁港までを渡御。岸壁から漁業者の船に乗せられた。大漁旗をはためかせる地元漁船が次々に出港。みこしを乗せたお召し船を先導し、防波堤の外に出ると全23隻の船が大漁や地域の平穏を祈願しながら海上を3周した。
 
高台の神社からご神体を乗せたみこしが出発

高台の神社からご神体を乗せたみこしが出発

 
尾崎白浜漁港に向かう祭り行列。漁港では多くの人が行列を出迎えた

尾崎白浜漁港に向かう祭り行列。漁港では多くの人が行列を出迎えた

 
色とりどりの大漁旗で飾られた漁船が次々に出港

色とりどりの大漁旗で飾られた漁船が次々に出港

 
防波堤外側の釜石湾を周回する漁船。紅葉の木々や青い海に大漁旗が映える

防波堤外側の釜石湾を周回する漁船。紅葉の木々や青い海に大漁旗が映える

 
 防波堤から曳き船を見守った地元の70代女性は、約50年にわたり夫婦で漁業を営んできた。「夫も70半ばになり(出船を)迷ったが、娘や孫に見せたいと参加を決めた。久しぶりの光景に感動で涙が出てくる」と胸がいっぱいの様子。地元産業の漁業は後継者不足が顕著だが、「行政などの支援も活用し、何とか継承していってほしい。若い担い手が育つことを期待する」と思いを込めた。
 
 父、兄、夫、息子と一族総出で祭りに参加した同地区出身の及川侑美さん(40、大船渡市)。自身も子どものころ、母と一緒に漁協女性部の手踊りに出ていた。「家族みんな祭りが大好きなので…。太鼓の音が聞こえると胸が高鳴る」と及川さん。今回、夫と次男はみこし担ぎで参加。前回の大祭時は高校生の次男はまだ生まれておらず、16年という時の流れを子どもらの成長と重ね合わせた。実家は漁業で、家族らは2隻の船に乗り込んだ。「祭りがなくなると寂しい。どうにかつないでいってほしい」と愛着を見せた。
 
見物客は防波堤などから船団を見守った。乗船者らが手を振って応える

見物客は防波堤などから船団を見守った。乗船者らが手を振って応える

 
 海上渡御を終えた船団が漁港に戻ると、みこしに向かって祝詞がささげられ、各団体の代表が神前に玉ぐしを供えた。地区唯一の郷土芸能、尾崎神社本宮神楽(佐々木雄大会長、10人)が踊りを奉納。継承する3演目の一つ「操作」は神前でのみ踊られるもので、今回の祭りのために復活させた。3年ほど前に同神楽会に入会した松本大輝さん(30)は初めて同演目を披露。「3人の踊りの輪を崩さないように必死に練習してきた。地区の皆さんに見せることができてうれしい」と声を弾ませた。「メンバーは練習を頑張り、(難しい)踊りも覚えてくれた。ありがたい」と佐々木会長(45)。「頼もしい後継者もいる」と語る視線の先には、紙で手作りした権現様(獅子頭)を手にする子どもの姿があり、将来の担い手として期待した。
 
漁港ではみこしを前に「尾崎神社本宮神楽」が踊りを奉納

漁港ではみこしを前に「尾崎神社本宮神楽」が踊りを奉納

 
16年ぶりに披露された演目「操作」。神前でのみ踊られる

16年ぶりに披露された演目「操作」。神前でのみ踊られる

 
3人の舞い手が息の合った踊りを見せる。見物客もなかなか見られない踊りに興味津々

3人の舞い手が息の合った踊りを見せる。見物客もなかなか見られない踊りに興味津々

 
神楽会は後継者の育成にも意欲。会場では手作りの権現様で踊りをまねる子どもも(写真左下)

神楽会は後継者の育成にも意欲。会場では手作りの権現様で踊りをまねる子どもも(写真左下)

 
 みこしの担ぎ手衆は地元在住、出身、縁故者らで、10代から60代までの約30人。初めてみこしを担いだ同地区の高校生堀内駿汰さん(17)は「ずっしりと重かった。(尾崎の神様に)この地域を見守っていてほしい」と願い、大役を担う責任も実感。祭りで地域が活気づくのも初めての経験で、「みんなでわいわいできるのが最高。自分たちが盛り上げて伝統の祭りを継承していければ」と未来を見据えた。担ぎ手衆をまとめる尾崎神社本宮奉賛会氏子総代の佐々木豊さん(59)は「地区を離れて暮らす若い人たちも祭りには帰ってくる。地元愛がうれしい」と喜び、「浜(漁業)も今、元気がないので、大漁祈願の祭りで少しでも上向けば」と願った。
 
みこし担ぎには高校生ら若手も協力。祭りを通して地域の良さを感じた

みこし担ぎには高校生ら若手も協力。祭りを通して地域の良さを感じた

 
海上渡御を終え、神社に戻るみこし。地域住民らが手を合わせて感謝した

海上渡御を終え、神社に戻るみこし。地域住民らが手を合わせて感謝した

 
地区を見下ろす高台にある尾崎神社本宮。尾崎半島のさらに先には奥宮と奥の院がある

地区を見下ろす高台にある尾崎神社本宮。尾崎半島のさらに先には奥宮と奥の院がある

 
 同神社の大祭は開催年だった2011年に震災でできなくなって以降、休止が続いていた。津波被害を受けた漁港施設の整備に時間を要し、尾崎半島林野火災、台風豪雨による土砂災害、新型コロナウイルス禍もあり、祭り復活の機を逸してきた。開催年の今年、地区内7カ所の砂防ダムの建設が完了したことも後押しし、「何としても今年こそは」と08年以来の実施を決めた。
 
 「感無量…。天候に恵まれたのが一番。海も穏やかで本当に神様のおかげだね」。16年ぶりの華やかな光景に感極まる尾崎白浜町内会の箱石忠男会長(69)。震災前、同地区では124世帯に340人が暮らしたが、今は100世帯を切っているという。人口減少や基幹産業の漁業の不振など課題はあるが、住民同士の助け合いやいざという時のまとまりの良さは今も変わらない。「祭りは町内の団結力も育む。住民の高齢化もあり、今後の形は未定だが、やっぱり(祭りは)必要だと思う」と話した。

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釜石市と東京大タッグ!海と希望の学園祭 「船出」テーマに未来考え、楽しみ学ぶ

釜石市と東京大の連携イベント「海と希望の学園祭」

釜石市と東京大の連携イベント「海と希望の学園祭」

 
 「海と希望の学園 in Kamaishi」は9、10の両日、釜石市大町の市民ホールTETTOと釜石PITを会場に開かれた。同市と東京大学の連携事業として継続する交流イベントで、今年のテーマは「船出」。船や海にまつわる展示や工作などがあり、子どもたちが楽しんだ。先を見据えた各種研究のかじ取りを担う教授陣によるパネル討論は大人たちの学びの機会に。一緒に「地域の未来」を考えて新たな思考を得たり刺激にした。
 
 2006年の同大社会科学研究所(社研)による「希望学」釜石調査を機につながり、東日本大震災後は「危機対応学」で研究連携を継続。そうした背景を基に22年に社研、同大大気海洋研究所(海洋研)、同大先端科学技術研究センター(先端研)と覚書や協定を結び、地域社会の発展、人材育成、学術振興に向けて相互交流を続ける。
 
 展示では同大生産技術研究所(生産研)、先端研などが研究内容を紹介した。社研は遂行中の「測る」をテーマにした研究プロジェクトを会場内で実践。来場者に「測ってみたい」「測ってはいけない」と思うものを書き込んでもらった。その理由や意味、影響などについて聞き取り、意見を交わす場面も。他の人の考えに触れ、関心や探究心をくすぐり合った。
 
「測る」を切り口にした東京大社会科学研究所の展示ブース

「測る」を切り口にした東京大社会科学研究所の展示ブース

 
先端科学技術研究センターは災害時避難の補助装置などを紹介

先端科学技術研究センターは災害時避難の補助装置などを紹介

 
大気海洋研究所の巨大バルーンオブジェは写真スポットに

大気海洋研究所の巨大バルーンオブジェは写真スポットに

 
 海に関する展示はさまざまあり、釜石海上保安部は海洋調査業務の紹介や海上保安官の制服試着体験などを用意。岩手大釜石キャンパスの学生らは三陸に生息する海の生き物に触れられるタッチプールを設け、子どもたちの心をつかんだ。ウニの殻を使ったランプづくり(釜石商工高ブース)、ウニを模した樹脂製のフィギュアを使ったインテリア小物づくり(SASAMOブース)は大人も楽しんだ。
 
海にまつわる活動やものづくりを楽しむ来場者

海にまつわる活動やものづくりを楽しむ来場者

 
海の生き物に触れるタッチプールは子どもに人気

海の生き物に触れるタッチプールは子どもに人気

 
 船や魚にちなんだアート作品づくりを提供したのは、文京学院大の学生9人。ペットボトルのキャップやラベルを使い、環境やリサイクルについて考えてもらう内容にした。浜田幸奈さん(経営学部3年)は「本来廃棄されるもので楽しんでもらえてうれしい」と素直な感想。自身にとっても学びの機会で、来場者との触れ合いを通して「社会とつながってできることをやる」という姿勢、スキルを磨いた。
 
文京学院大のブースは工作を楽しむ人でにぎわった

文京学院大のブースは工作を楽しむ人でにぎわった

 
ものづくり体験を提供したりチャリティーグッズも販売

ものづくり体験を提供したりチャリティーグッズも販売

 
 体験活動を楽しんだ大槌町の小國翔太郎さん(8)の夢は“生き物博士”。今一番のお気に入りは町の天然記念物に指定されているトゲウオ科の希少魚「(淡水型)イトヨ!」と胸を張った。そばで笑うのは父親の晃也さん(46)。子どもの興味を引き出す取り組みだと歓迎し、「海がそばにあるのに触れ合う機会は少なかったりする。自然を体感し、たくさん学んでほしい」と見守った。
 
 「希望の船出」をテーマにしたパネル討論は東京大の玄田有史副学長が進行。大海研の兵藤晋所長、社研の宇野重規所長、生産研の年吉洋所長、先端研の杉山正和所長というパネリストに小野共市長が加わり、長としての組織運営の苦労など、ざっくばらんに話した。
 
東京大の副学長や4研究所長、釜石市長がトークを展開

東京大の副学長や4研究所長、釜石市長がトークを展開

 
 船出には「新しいことに挑戦するというイメージもある」と玄田副学長。「未知の領域に挑む時、ゼロから始める時に気を付けていることは?」と聞くと、4月に就任したばかりの年吉所長は「とにかく始めちゃえばいい」とスパッと言い切った。兵藤所長は「船があるからではなく、行きたいから船を出す。自分から動き出すことだ」と強調。杉山所長は「思いを共有すれば実現する」とし、同じ船に乗る仲間集め、チームづくりを大切にしていると伝えた。
 
 「不安、悲観主義を持ちつつも歩いて、船を進めたら、何かの出会いで今がある」と語ったのは宇野所長。実は、希望学調査で釜石と関わりがあり、「思想や歴史、哲学といった昔のことが専門なのに…地域に放り込まれ、何をやっていいか分からなかった。これこそ、ドキドキの船出」と振り返った。20年も続く活動や関係性に見いだすことは多かったようで、「(挑戦には)新しい可能性がある」と確信を込めた。
 
教授らのざっくばらんな語り口を楽しむ聴講者

教授らのざっくばらんな語り口を楽しむ聴講者

 
 市政運営のかじ取り役を担い、船出して間もなく1年となる小野市長。財政再建や持続可能なまちづくりなど挑まなければならない課題は多いとの認識を示した。前向きな教授陣の考えに触れ、「希望学によって住んでいても気づかないことに気づかされ、希望が地域に伝ぱした。小さなネタでも地域にある限り、まちは生き続けられると感じた。失敗が多いほど希望も…」とヒントを得た様子。自身と同じように聴講した市民らが「未来を考えるきっかけになれば」と期待した。
 
 希望学のプロジェクトリーダーだった玄田副学長。釜石との縁は05年からと長い。「真剣な遊びとしてやろうと始めたのが希望学だったな」と思い返し、ニヤリ。この先も、「いろんな楽しいことに挑戦していきたい」とトークを締めくくった。

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広報かまいし2024年11月15日号(No.1844)

広報かまいし2024年11月15日号(No.1844)
 

広報かまいし2024年11月15日号(No.1844)

広報かまいし2024年11月15日号(No.1844)

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【P1】
表紙

【P2-3】
釜石まつり

【P4-9】
12月1日は鉄の記念日
-特集- 踏み出そう!「起業」への第一歩

【P10-11】
令和6年 秋の叙勲
令和6年度釜石市市勢功労者表彰 他

【P12-13】
令和5年度決算報告

【P14-15】
まちの話題

【P16-19】
保健案内板
まちのお知らせ

【P20】
市民百景

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2024111100020/
釜石市

釜石市

釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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日本製鉄釜石SW新クラブハウス落成 広さ2倍 より良い環境で今季飛躍に期待

日本製鉄釜石SWの新クラブハウスに整備されたトレーニングルーム。広さは現施設の1.6倍=関係者向け内覧会

日本製鉄釜石SWの新クラブハウスに整備されたトレーニングルーム。広さは現施設の1.6倍=関係者向け内覧会

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)の新しいクラブハウスが完成し、8日、関係者向けの内覧会が開かれた。広さは現施設の約2倍。新たにミーティングルームや練習場を見渡せるラウンジが整備され、選手、スタッフのコミュニケーション、チーム力向上に寄与するものと期待される。トレーニング機器やロッカーなど必要な物品の搬入を進め、今月末からの利用開始を予定する。
 
 内覧会にはスポンサー、選手雇用先企業などから約30人が参加。見学の前に行われた式典で、桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(GM)は「トレーニング効率、選手、スタッフのコミュニケーション、トレーニング後のリカバリーなどラグビーをする環境が大幅に向上する」と感謝。設計から携わった坂下功正総監督が施設の概要を説明した。スポンサーを代表し、日本製鉄北日本製鉄所の倉地三喜男副所長は「(施設建設は)チーム強化の一環。フル活用し、心と体を鍛えて必ず強いチームに」と期待を込めた。テープカットで施設落成を祝った。
 
内覧の前に行われた式典。桜庭吉彦GM(写真左上)、日本製鉄北日本製鉄所の倉地三喜男副所長(同右上)があいさつ

内覧の前に行われた式典。桜庭吉彦GM(写真左上)、日本製鉄北日本製鉄所の倉地三喜男副所長(同右上)があいさつ

 
テープカットで落成を祝う(左から)坂下功正総監督、桜庭GM、倉地副所長、河野良太クラブキャプテン

テープカットで落成を祝う(左から)坂下功正総監督、桜庭GM、倉地副所長、河野良太クラブキャプテン

 
現施設の隣に建設された日本製鉄釜石SWの新クラブハウス

現施設の隣に建設された日本製鉄釜石SWの新クラブハウス

 
 新クラブハウスは甲子町松倉の現施設の隣に建設。施主は日本製鉄(北日本製鉄所釜石地区)で、日鉄テックスエンジが昨年12月から工事を進めてきた。鉄骨造り2階建てで、延べ床面積は1092平方メートル(敷地面積1261同)。1階には選手のロッカールーム、浴室、トレーニングルームなどを設けた。ロッカールームは現施設の1.5倍の広さ。練習する市球技場に直接出入りできる。温水、冷水用の2浴槽を備えた浴室とは隣り合わせ。トレーニングルームは1.6倍の広さで、天井が高く、片側の壁一面が鏡張りになっている。
 
8日に開かれた内覧会。坂下総監督(右)が玄関ホールから順に案内した

8日に開かれた内覧会。坂下総監督(右)が玄関ホールから順に案内した

 
1階のロッカールーム(写真上)と浴室(同下)

1階のロッカールーム(写真上)と浴室(同下)

 
 2階には選手、スタッフが一堂に会せるミーティングルームを新設。壁面に大型スクリーンを設置予定で、研修会なども行える。球技場側にはラウンジも新設。簡易キッチンを備え、練習後の選手への補食提供も検討する。フルオープンの窓からバルコニーに出られ、練習の様子も見られる。この他、メディカルルーム、スタッフルーム、小会議室、総監督室も整備した。
 
新設されたミーティングルーム(2階)

新設されたミーティングルーム(2階)

 
市球技場に面したラウンジ(2階)も新設。バルコニーも備える

市球技場に面したラウンジ(2階)も新設。バルコニーも備える

 
バルコニーからは球技場を一望できる。ラウンジ内には簡易キッチンも

バルコニーからは球技場を一望できる。ラウンジ内には簡易キッチンも

 
 内覧会に出席した河野良太クラブキャプテンは「ロッカールームが広くて使いやすそう。これまでミーティングはジムルームで各自座れる所を見つけてやっていて、メモも取りにくかった。この素晴らしいクラブハウスを最大限有効活用して、しっかり結果を出していきたい」と意を強くし、施設支援へ感謝の気持ちを表した。坂下総監督は「選手の動線を一番に考えた造り。これまで以上にコミュニケーションが取れ、チームのまとまりができていくと思う。12月から始まるリーグ戦に向けて強化を進め、結果で恩返ししたい」と述べた。
 
 この日は新クラブハウスで、新たにスポンサーとなった岩泉町の岩泉ホールディングス(山下欽也代表取締役社長)との調印式も行われた。同社は看板商品の岩泉ヨーグルトの提供などで、選手の強い体づくりを支える。
 
ミーティングルームには会見用のバックボードも設置(写真左上) メディカルルームはラウンジから出入り可能(同左下) 素晴らしい施設に見学者も感心

ミーティングルームには会見用のバックボードも設置(写真左上) メディカルルームはラウンジから出入り可能(同左下) 素晴らしい施設に見学者も感心

 
 釜石SWのリーグ初戦は12月21日。福岡市のベスト電器スタジアムで九州電力キューデンヴォルテクスと対戦する。ホームの釜石鵜住居復興スタジアムでは1週間後の28日、第2節グリーンロケッツ東葛戦が行われる。