三陸沿岸道路南部沿線の10市町が、より良い道路環境の実現を目指し、新たな組織「三陸沿岸道路東松島・山田間機能強化連絡協議会」を立ち上げた。26日、釜石市の市民ホールTETTOで設立総会が開かれ、主要箇所のハーフインターチェンジ(IC)のフルIC化、追い越し車線の延伸、道路の適正な維持管理など必要な措置を講じるよう、連携して国などへ要望していくことを決めた。
同協議会は、国交省東北地方整備局南三陸沿岸国道事務所が所管する宮城、岩手両県の三陸沿岸道路沿線10自治体(東松島市、石巻市、登米市、気仙沼市、南三陸町、陸前高田市、大船渡市、釜石市、大槌町、山田町)で構成する。
三陸沿岸道路東松島・山田間機能強化連絡協議会 イメージ図
設立総会には国や県の関係者、各議会議員を含む約80人が出席した。設立発起人として、釜石市の野田武則市長があいさつ。東日本大震災後の復興まちづくりを支える同道路について「三陸沿岸のさらなる振興、広域連携にはハーフICのフル化など利便性向上、機能強化が必要。沿線市町一丸となって(要望活動などの)取り組みを進めていきたい」と話した。
「三陸沿岸道路東松島・山田間機能強化連絡協議会」設立総会=26日
三陸沿岸道路は、震災復興に向けた国のリーディングプロジェクトとして早期整備が進み、2021年12月に全線(仙台―八戸間、総延長359キロ)が開通。災害に強い交通環境、物流促進や観光振興による地域経済活性化、医療の地域間格差の解消などに大きな効果を発揮している。一方で、東松島―山田間(175キロ)では追い越し車線・休憩施設の不足、ハーフICのフルIC化・4車線化を求める声があることや、道路の適正な維持修繕など長寿命化対策が課題となることから、沿線自治体で一体的な要望活動を行うため本協議会設立に至った。
総会では会の規約、本年度の事業計画、収支予算案などを承認。役員の選出も行われ、会長に野田釜石市長、副会長に渥美巖東松島市長、佐藤信逸山田町長が就任した。本年度は8月以降に、関係機関へ機能強化を求める要望活動を行うほか、改善が必要な箇所の現場見学会を予定する。作成したミニのぼり旗や缶バッジを活用し、意識醸成にも努める。
出席者が規約、2023年度事業計画、収支予算案などを審議
総会で決議した要望項目は次の通り。
▽救急・災害時の対応に大きな役割を果たすこと、また物流機能の向上のため、主要箇所のハーフICのフルIC化及び緊急退出路のIC化
▽重大事故の防止や円滑な交通の確保のため、4車線化、追い越し車線の延伸、中央分離帯改善などの整備
▽道路の適正な維持管理に加えて、沿道の法面などの周辺施設も含めた適切な維持管理の実施
▽既存パーキング施設の拡張整備及び案内・誘導看板の設置による沿線休憩施設との連携強化
ミニのぼり旗を手に今後の活動に意欲を示す10市町の関係者ら