子ども、家庭の交通安全を願いマンガ読本を学校に寄贈した釜石安協の菊地会長(右)

「マンガで学ぼう交通安全」〜釜石・大槌の小学校に読本贈る、釜石地区交通安全協会

子ども、家庭の交通安全を願いマンガ読本を学校に寄贈した釜石安協の菊地会長(右)

子ども、家庭の交通安全を願いマンガ読本を学校に寄贈した釜石安協の菊地会長(右)

 

 釜石地区交通安全協会(菊地次雄会長)は20日、釜石・大槌地域の小学校11校(釜石市9校、大槌町2校)にマンガ形式の交通安全読本を各2冊、計22冊を贈った。贈呈式は釜石市中妻町の釜石警察署で行われ、菊地会長と仲谷千春署長が市教育委員会の高橋康明教育部長、町教委の沼田義孝教育長に託した。

 

 菊地会長は「約50年に及ぶ交通安全活動で、子どもやお年寄りの事故を減らそうと取り組んできた。無事故への特効薬はない。16日には釜石市内で、お年寄りが交通事故で亡くなった。『雀百まで踊り忘れず』という。子どもたちがこの本に触れて事故防止を考え、安全に暮らすよう願う」と期待を述べた。

 

 仲谷署長も「夜間の外出時に白い服装や反射材を身に着けることは安全効果があり、巻き込まれ事故や、停止した車の急なドアの開閉による危険などにも触れている。震災では、津波防災を学んだ小学生の子どもが率先避難者として祖父母を救った実例がある。子どもの安全意識が高まり、家庭、お年寄りに波及するよう期待する」と願った。

 

 両教委は各学校の図書館に常備して読書に提供するとともに、児童の安全指導などに活用を図るという。

 

釜石地域の11小学校に贈られた読本

釜石地域の11小学校に贈られた読本

 

 この読本は、公益財団法人自転車駐車場整備センターが編集・発行した「自転車交通ルールを学ぼう」。2011年から同じタイトルで発行を続け、25刊目となる。約300ページには、交通安全の多様なテーマに対応したストーリーがマンガで描かれ、子どもが理解しやすい構成となっている。

 

 釜石署管内では昨年、子ども(中学生以下)の人身事故は2件で、歩行中の車との接触事故と、車に同乗中の赤ちゃんの負傷。いずれも軽傷だった。

 

(復興釜石新聞 2020年2月22日発行 第869号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

さらなる交流促進へ釜石視察、震災の教訓 絆を実感〜「復興ありがとうホストタウン」縁結ぶ

さらなる交流促進へ釜石視察、震災の教訓 絆を実感〜「復興ありがとうホストタウン」縁結ぶ

いのちをつなぐ未来館で、震災時の話を聞く議員ら

いのちをつなぐ未来館で、震災時の話を聞く議員ら

 

 オーストラリアの連邦・州議会議員3人は16日、日豪若手政治家交流プログラムの一環で釜石市を視察。東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた鵜住居町などで、同市の被災状況や復興の現状を学んだ。今年の東京五輪・パラリンピックで、同国の「復興ありがとうホストタウン」になっている縁で釜石訪問が実現した。

 

 連邦下院議員ニコル・フリントさん(41)、ニューサウスウェールズ州議会上院議員タラ・モリアーティさん(42)、南オーストラリア州議会下院議員ジョー・ソックアーチさん(37)、日豪の随行者計7人が来釜。始めに市役所を訪れ、野田武則市長らと懇談した。

 

 野田市長は震災後の支援に感謝し、被災から復興への歩みを紹介。釜石湾や鵜住居町の空撮写真を指しながら、津波がどのように襲ったか、湾口防波堤や防潮堤の復旧、土地のかさ上げなどについて説明した。大規模森林火災の被害が深刻な同国に対し見舞いの気持ちも伝え、市内で募金活動を展開していることなど支援の意思を示した。

 

市長室では野田市長自ら写真を示し、被災状況や復興について説明

市長室では野田市長自ら写真を示し、被災状況や復興について説明

 

 議員からは「被災後、まちに残ってもらうための取り組みは」、「被災した子どもたちの心の問題(トラウマ)への対応は」、「復興事業の指揮を執るのは」―といった質問が出され、市長の話に熱心に聞き入った。

 

 両市国のつながりも話題に上った。同市は中学生の派遣事業を実施。同国はラグビーが盛んで、自国出身のスコット・ファーディー選手が釜石シーウェイブス(SW)RFCで活躍したことを聞くと、「より一層の交流をうれしく思う」と喜んだ。

 

 野田市長は1月末で市国際交流員を退任したエミリー・ハラムズさんが同国出身であることも挙げ、「オーストラリアは世界の中でも一番身近で親近感のある国。(五輪のある)今年はさらなる交流促進を」と期待した。

 

 この後、ラグビーワールドカップ(W杯)会場となった釜石鵜住居復興スタジアムを見学。津波で被災した小・中学校跡地への立地ストーリー、座席やラウンジなどへの尾崎半島林野火災被災木の活用、維持費削減などにつながるハイブリッド天然芝の導入―といった特徴を学んだ。台風の影響でW杯試合が中止となったナミビア対カナダ戦の今秋実現に向け取り組んでいることも紹介された。

 

 鵜住居駅前の釜石祈りのパークでは震災犠牲者に献花。防災市民憲章の意味を学び、いのちをつなぐ未来館で、震災時の対応や教訓にさらなる理解を深めた。

 

 一連の視察を通し、フリント議員は「復興の力強さや柔軟さ、住民の絆を実感した。釜石の教訓や復興の様子を自国に持ち帰り、『必ず立ち上がることができる』ということを、声を大にして伝えたい。これからも国を超えて支えていける関係を築いていけたら」と願い、自国ラグビーチームの釜石訪問の夢も描いた。

 

 同プログラムは1991年の日豪閣僚委員会の合意に基づき実施。29回目の今回は15~21日までの日程でオーストラリアの議員らが来日。陸前高田市、宮城県南三陸町でも震災関連の視察を実施後、国会視察や日本の議員との意見交換などを行った。

 

(復興釜石新聞 2020年2月22日発行 第869号より)

 

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ウィズ・ミューズシリーズ 第10回 箏・三味線・尺八が織りなす”和”の情景~やさしい《邦楽》コンサート~

[開催中止]ウィズ・ミューズシリーズ 第10回 箏・三味線・尺八が織りなす”和”の情景~やさしい《邦楽》コンサート~

ウィズ・ミューズシリーズ 第10回 箏・三味線・尺八が織りなす”和”の情景~やさしい《邦楽》コンサート~

 

新型コロナウィルスCOVID-19感染拡大予防のため、本コンサートを中止させていただく事となりました。コンサートを楽しみにされていた皆様には大変ご迷惑をお掛けいたしますが、昨今の事情をご理解の上、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお3月9日(月)からチケットの払い戻しをいたします。詳しくは下記リンク先をご参照ください。

箏・三味線・尺八が織りなす“和”の情景~やさしい《邦楽》コンサート~中止のお知らせ– 釜石市民ホール TETTO 公式サイト

 

ウィズ・ミューズシリーズ
第10回 箏・三味線・尺八が織りなす“和”の情景~やさしい《邦楽》コンサート~

コンクール受賞歴もある邦楽界の若手実力者が来釜します。邦楽の名曲を、演奏家によるお話・解説付きでお送りします!
 

ウィズ・ミューズシリーズ 第10回 箏・三味線・尺八が織りなす”和”の情景~やさしい《邦楽》コンサート~ – 釜石市民ホール TETTO 公式サイト

日時

2020年3月7日(土)13:30〜15:00予定(開場13:00)
※開催中止

会場

釜石市民ホールTETTO ホールB

プログラム

宮城道雄作曲《春の海》
宮城道雄作曲《瀬音》
三曲《尾上の松》 ほか
※プログラムは変更となる場合がございます。予めご了承ください。

出演

岡村 慎太郎(おかむら しんたろう)三味線・十七弦
岡村 慎太郎(おかむら しんたろう)三味線・十七弦
佐野奈三江、上木康江の両氏に師事、胡弓を中井猛師に師事。東京藝術大学音楽学部邦楽科卒業、在学中宮中桃華楽堂にて御前演奏。東京藝術大学大学院音楽研究科修了。東京藝術大学推薦による奏楽堂デビューコンサート「岡村慎太郎リサイタル」開催。三味線組歌、箏組歌を菊藤松雨師に師事、両巻伝授(06年)。文化庁新進芸術家国内研修制度研修生、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター共同研究員(06年~07年)、エリザベト音楽大学非常勤講師。国立劇場主催「三曲の会」「親子で楽しむ日本の音」「名曲で知る邦楽の世界」「日本音楽の流れ 箏」「日本音楽の流れ 三味線」出演。NHK邦楽オーディション合格、第7回「静岡の名手たち」オーディション合格、(財)日本伝統文化振興財団邦楽技能者オーディション合格、CD発売。第34回宮城会箏曲コンクール1位、第6回賢順記念箏曲コンクール奨励賞、第22回くまもと全国邦楽コンクール最優秀賞、文部科学大臣賞受賞。現在、宮城会、紫桐会、はくが会、森の会、日本三曲協会、生田流協会会員、箏組歌会同人。NHK文化センター柏教室講師、Eテレ「にっぽんの芸能」、NHK-FM「邦楽のひととき」にて放送。
 
山形 光(やまがた ひかり)箏
山形 光(やまがた ひかり)箏
幼少期より宮城社大師範・田中佐久子氏、後に宮城社大師範・矢﨑明子氏に箏・三絃を師事。東京藝術大学音楽学部邦楽科生田流箏曲専攻卒業。各地の小学校・中学校などで特別授業の講師を務め、学校公演を行う。また、公共施設や福祉施設など様々な場所でのワークショップ開催やイベントへの出演、演劇・ミュージカル音楽への参加など、古典に捉われず現代曲や洋楽器とのコラボレーションも積極的に行い、幅広く活動している。宮城社師範。日本三曲協会・森の会・若水会、各会員。和楽器オーケストラあいおい・和楽器アンサンブル真秀、各メンバー。
 
黒田 鈴尊(くろだ れいそん)尺八
黒田 鈴尊(くろだ れいそん)尺八
人間国宝・二代青木鈴慕、三代青木鈴慕に師事。早稲田大学人間科学部、東京藝術大学卒業、同大学大学院修士課程修了。第二回利根英法記念邦楽コンクール最優秀賞受賞。国際尺八コンクール2018 in ロンドン優勝。山本和智作曲“Roaming liquid for shakuhachi and orchestra”を世界初演。ベルギー・ARS MUSICAにて武満徹作曲“November Steps”他、Claude Ledouxの新作尺八コンチェルト他を世界初演。2019年には日本でRafael Nasiff作曲の尺八とオーケストラ作品を世界初演。アンサンブル室町(佐治敬三賞受賞)、邦楽四重奏団(1st CD「野田暉行邦楽作品集」は“レコード芸術”誌にて特選盤、“音楽現代”誌にて推薦盤を獲得)、1÷0メンバー。毎年の独演会や数多くの委嘱、オーケストラとの協奏曲等やジャンルを横断する活動を通じて、尺八の今とこれからの無限の可能性を追求。CDや劇伴、TV放送などにも音源提供多数。令和元年度文化庁文化交流使として世界各国にて演奏活動を行う。
オフィシャルサイト reisonkuroda.com

料金

前売券好評発売中!
全席自由
一般:1,000円(友の会 800円)/ シルバー割引(65歳以上)800円
高校生以下 500円(友の会 400円)  当日同じ / 未就学児無料
※コンサートマナーをお守りいただける方ならどなたでもご入場いただけます。小さなお子様をお連れの際は、周りのお客様にご配慮くださいますようお願いいたします。
※前売券が完売の場合、当日券の販売はありません。
 
【友の会以外の割引】
まとめ買い:チケット10枚以上同時購入で20%off
シルバー割引:65歳以上証明書提示で一般チケット1枚が20%off
友の会チケット・まとめ買い割引・シルバー割引は釜石市民ホールのみ取り扱い
 
釜石市民ホールでは、ご予約・取り置きも承ります。お気軽にお問合せください。

プレイガイド

【釜石】釜石市民ホール、東山堂釜石事業センター、イオンスーパーセンター釜石店
【大槌】シーサイドタウンマスト
【遠野】とぴあ
【大船渡】サン・リア、リアスホール

お問い合わせ

釜石市民ホールTETTO
TEL:0193-22-2266
mail:info@tetto-kamaishi.jp

備考

当ホールには、専用駐車場がございません。車でご来場の際は、市営大町駐車場など近隣の有料駐車場をご利用くださいますようお願いいたします。
 
【大町駐車場割引券サービス】
公演当日、ホール総合案内にチケットと大町駐車場券を提示いただくと、駐車1時間サービス券を2枚進呈いたします。ぜひご利用ください。

主催等

【主催】釜石市民ホール
【共催】(一財)地域創造

 

釜石市民ホール TETTO

釜石市民ホール TETTO

問い合わせ: TEL 0193-22-2266 / FAX 0193-22-3809 / 公式サイト
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-9

ポスターセッションでは来場者が興味深い研究に聞き入った

釜石の実践知を手がかりに、東大社研が報告会〜危機対応と希望との関係考える

釜石での調査研究について話すプロジェクトの参加者

釜石での調査研究について話すプロジェクトの参加者

 

 国立大学法人東京大学社会科学研究所が行った「危機対応学」釜石調査の成果報告会は15日、釜石市大町の釜石PITと市民ホールTETTOで開かれた。同研究所のプロジェクトに参加した各大学の教授らがポスターセッションで成果を発表。県内外からの来場者約110人が耳を傾け、地域の未来を創造するためのヒントを学んだ。

 
 東大社研が2016年度から取り組んできた危機対応学の成果は、全4冊の書籍として刊行。うち1冊が釜石市の研究で、「地域の危機・釜石の対応~多層化する構造」というタイトルで今春発売される。

 

 同著の編集を担当した玄田有史、中村尚史両教授は報告会で、釜石調査の狙いや研究活動の経過、本の内容などを説明。震災前の「希望学」釜石調査も踏まえた地域再生の多面的考察、震災をめぐる危機対応の検証を柱にした研究について紹介した。

 

 調査研究には東大社研のほか、首都圏や関西、岩手県の各大学から、法、政治、経済、歴史など社会科学諸分野の研究者総勢30人が参加。11の調査班が3回の大規模現地調査や、釜石から東京にゲストを招いての調査研究会(11回)などを実施。釜石ではシンポジウムや公開セミナー、トークイベントも開催した。

 

 調査の過程で注目したのは「危機の多層化」。▽突発的な危機(自然災害、戦災など)▽段階的に進む危機(産業構造の変化など)▽慢性的な危機(人口減少、高齢化など)―という複数の危機が、折り重なるように出現してきた釜石の歴史に着目。「時間軸の異なる危機に同時に対応するのはとても難しい。さまざまな危機をトータルに考える必要がある」とし、多くの危機に直面してきた釜石ならでは危機対応の研究意義を強調した。

 

 ポスターセッションでは8つの調査班が研究成果を公開。来場者との意見交換も行われた。総括討論では同著に論文を寄せた11人が登壇し、研究の視点や論文内容、今後必要な議論について語った。

 

ポスターセッションでは来場者が興味深い研究に聞き入った

ポスターセッションでは来場者が興味深い研究に聞き入った

 

 地方政治班の佐々木雄一氏(明治学院大)は震災前後の市の予算規模の変化に注目。平時に戻る中での予算縮小による影響などを考察し、「人口減少を考慮しつつも地域が縮小しないように行政はどうすべきか、研究者の立場から議論の必要性を書いた」と説明。

 

 地域防災班の佐藤慶一氏(専修大)は消防関係者らに話を聞き、「印象に残ったのは気持ちの問題。災害発生時に後悔しないよう、今できることをする。備えへの心構えが大事」と実感。

 

 地域漁業班の高橋五月氏(法政大)は「魚のまち釜石」を切り口に、自ら漁業体験しながら地元漁業者の思いを聞き取り。「(水産業の危機に向き合い)海と一緒に生きていく人々が今後、どのような魚のまちを作っていくのか、さらに研究を深めたい」と話した。

 

 玄田、中村両教授は同著のあとがきで「津波、艦砲射撃、鉄鋼不況―など多様な危機に直面してきた釜石には、危機への向き合い方とでもいうべきものが脈々と受け継がれている。危機が多層ならば、対応を総合化させていく。それが同時進行の危機への、いかにも釜石らしいダイナミックな実践知としての対応なのだ。釜石の実例から、危機対応のヒントを見出していただければ」と結んでいる。

 

(復興釜石新聞 2020年2月19日発行 第868号より)

 

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第33回釜石市民劇場、「釜石の赤ひげ」生涯描く〜地域医療に奮闘 故小泉医師、「思いやりの人」生き生き熱演

第33回釜石市民劇場、「釜石の赤ひげ」生涯描く〜地域医療に奮闘 故小泉医師、「思いやりの人」生き生き熱演

地域医療の向上に奮闘した小泉日出雄医師の生涯を描く

地域医療の向上に奮闘した小泉日出雄医師の生涯を描く

 

 第33回釜石市民劇場「釜石の赤ひげ~小泉日出雄伝」(実行委員会主催)は16日午前と午後の2回、大町の釜石市民ホールTETTOで上演された。戦中、戦後を通じ医師として地域医療の充実に奮闘し、市議会議員としても市勢の発展に努めた小泉日出雄(1916~85)の生涯を描いた。今も釜石市民の心に宿る、真摯(しんし)で思いやりにあふれた日出雄の人物像に、約1千人の観客が拍手を送った。

 

熱演したキャスト、支えたスタッフに客席から大きな拍手

熱演したキャスト、支えたスタッフに客席から大きな拍手

 

■正義感あふれ
 3幕9場、約2時間にわたる舞台は、盛岡生まれの日出雄が岩手医学専門学校(現在の岩手医大)学生時代、不良に乱暴な言いがかりを受けた母娘を助けるシーンで幕開け。正義感あふれる青年像が描かれた。

 

 娘サヨ(さっちゃんは後に看護師となり、「恩人」日出雄が開院した小泉医院で働く。母お圭は釜石市平田の実家に帰ったあと病気で亡くなり、日出雄が「平田診療所」開設に奔走する契機をつくる。母娘との縁が、全編を彩る〝線〟となった。

 

 医師となり旧満州での3年余の軍医勤務を終え、宮古共済病院を経て釜石市民病院に着任した1945年春の釜石駅前は、製鉄所の煙突が林立していた。各地で毎日のように空襲があり、敗戦が色濃くなった時期。重要な軍需物資の鉄を生産する拠点は攻撃対象となる危険をはらんだ。予想は的中。2度の艦砲射撃に見舞われた惨状は、医師日出雄の胸を押しつぶした。

 

 20年に及ぶ市議会議員に初当選するシーンには、八雲神楽保存会、柳家細川流舞踊の「秋田大黒舞」が花を添えた。家族を慈しみ、地域の人々や患者と接する姿、医療を求める市民に応えようとする行動で「医は仁術」を信条とする日出雄の生き方を表現した。

 

 ラストシーンでは、白衣姿の日出雄が診察室に腰掛け、家族や多くの人々に感謝し、「人生に悔いなし」と言い残す。68歳だった。

 

■肩の荷おりた
 主役を演じた埼玉県出身の神脇隼人さん(31)は2018年7月から釜石に移り住み、起業型地域おこし協力隊(釜石ローカルベンチャー)として釜石大観音仲見世商店街の活性化に取り組んでいる。大役を終えて「多くの人前で話す経験はあるが、演技は初めて。日出雄さんの、多くの人から頼られ、慕われ、市民のために行動する豪快さを持つ人物像を演じるのは、初めは難しかった。仕事との兼ね合いで稽古になかなか出られず、仲間のみなさんの優しさに支えられた。肩の荷が下りた」とホッとした表情。

 

 キャストとして10年目になる会社員阿部弘さん(43)は「仕事の関係で土・日曜日の稽古になった。経験は長いが、なかなかうまくできない。キャスト、スタッフの不足は長年の課題だ。お客さんの反応は笑いもあって良かったと思う」と笑顔を浮かべた。

 

■お人柄に感謝
 初めて市民劇場の脚本を手がけた紺野仁司さん(64)は「たくさんの人が見てくれた。(日出雄さんの)お人柄かと感謝する。市民のために身も心もささげた、あんな人(日出雄)がいた―ということを多くの人に知ってもらえたことがうれしい」と語った。

 

 初めて演出を担当した武田仁一さん(69)は「やっと無事終わった。多くの制約があったが、みんなの意識が一つになった。今後は違うイメージの劇、テーマも探したい」と新たな意欲を燃やす。

 

 久保秀俊実行委員長(71)は「組織も一新して臨んだ舞台だった。少人数でも、ここまでたどり着いた喜びは大きい。子どもたちの成長にはいつも驚かされる」と市民劇場の醍醐味(だいごみ)をかみしめた。

 

■父の志自分も
 日出雄の長男で現在は釜石医師会の会長を務める小泉嘉明さん(74)は2回の公演を見守り、「何となく恥ずかしい」と面はゆそうだった。父親の生き方については表情を改め、「人を思い、人々と仲良く、楽しく生きる。そのためにそれぞれが目標を持ち、苦労があっても前向きに進む。自分もそうあろうと思ってきた。父は豪快といわれるが、自分には繊細な人という印象が強い」としのんだ

 

■すばらしい方
 定内町の田沢ひろ子さん(72)は、22年前にスタッフとして活動した経験がある。「近所の関係者の方に誘われて久しぶりに見ました。懐かしかった。よかった」と満足そう。

 

 只越町の佐々木八重子さん(82)は、長い東京暮らしを終えて釜石市に帰郷したが、新築したばかりの住まいを震災で失い復興公営住宅に暮らす。「演劇や演芸は大好きです。日出雄先生のことは、釜石を離れていた時期に活躍されたので、よくは存じません。劇を見て、すばらしい方がいたと、うれしくなりました。楽しかった」と声を弾ませた。

 

(復興釜石新聞 2020年2月19日発行 第868号より)

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三陸沿岸都市会議で釜石市に集まった7市の代表

三陸沿岸道の早期全線開通を〜三陸沿岸都市会議、政府追悼式継続も要望

三陸沿岸都市会議で釜石市に集まった7市の代表

三陸沿岸都市会議で釜石市に集まった7市の代表

 

 釜石市など本県沿岸5市と青森県八戸市、宮城県気仙沼市で構成する三陸沿岸都市会議は12日、釜石市で開かれた。「復興道路」として整備が進む三陸沿岸道路の早期全線開通を国に要望するなど14項目の決議を採択。三陸沿岸地域の持続可能なまちづくりに向けた取り組みをめぐって活発な議論が交わされた。

 

 同会議は三陸沿岸地域の振興発展に向けた問題提起や情報発信を行う場として1983年に本県沿岸5市でスタート。翌84年に八戸、気仙沼の2市が加わり、毎年持ち回りで会議を開いている。今回で36回目。釜石での開催は2013年以来7年ぶり6回目となった。

 

 大町の釜石ベイシティホテルで開かれた会議には、八戸市の大平透副市長、久慈市の遠藤譲一市長、宮古市の山本正徳市長、大船渡市の戸田公明市長、陸前高田市の戸羽太市長、気仙沼市の菅原茂市長が出席。開催地・釜石市の野田武則市長が座長を務め、「令和2年度末の三陸道全線開通を見据え、都市間連携の重要性は増す。三陸の隆盛、発展を期してともに頑張りたい」と呼び掛けた。

 

 政府が2021年までとする方針を示した政府主催の東日本大震災の追悼式について、陸前高田市の戸羽市長は「高田松原津波復興祈念公園など国営の施設を整備しており、一度は追悼の気持ちを表現してほしい」と強調。被災3県の国営追悼記念施設での開催継続を望んだ。また、復興事業完了まで各種支援制度の継続が必要との考えで一致。7市が連携して関係機関に要望していく方針を確認した。

 

 人口減少が進む三陸沿岸地域の課題として話題になったのは、地域医療。久慈市の遠藤市長、気仙沼市の菅原市長は「子どもを生める環境を整えることが地域創生につながる」などと指摘し、分娩や産科医療体制の確保を強く求めた。

 

 宮古市の山本市長は「クルーズ客船の受け入れ体制づくりを一層進め、効果を三陸地域に波及させたい」と意欲を示した。

 

 決議では、三陸道の早期整備要望のほか、▽物流ネットワークを支える港湾施設整備と機能拡充・強化▽多重防災型まちづくりの推進▽三陸道を利用した周遊観光モデルの検討やPR▽新たな労働力の創出を見据えた各種施策の推進―など14項目を採択した。

 

 次回は気仙沼市で開催する。今年のリアス・ハイウェイ早期実現大会は10月28日に釜石市で開くことも決定した。

 

(復興釜石新聞 2020年2月15日発行 第867号より)

 

復興釜石新聞

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ラグビーW杯2019釜石開催推進協議会

「オール釜石」取り組みを前へ、ワールドカップ釜石開催推進協議会〜W杯効果をまちづくりに、「ナミビア対カナダ」実現目指す

ラグビーW杯2019釜石開催推進協議会

ラグビーW杯2019釜石開催推進協議会

 

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019釜石開催推進協議会(小泉嘉明会長)は13日、釜石市大町の情報交流センター釜石PITで3回目の会議を開催。大会1周年記念事業に向けた取り組みなどをめぐり意見を交わした。同協議会は3月末でいったん解散。来年度に新たな組織を立ち上げ、W杯の成果をまちづくりに生かす「オール釜石」の取り組みを推進する。

 

 釜石市によると、W杯開催1周年記念事業は10月下旬から11月上旬に鵜住居復興スタジアムや市民ホールTETTOなどで開催を予定。昨年10月の台風災害の影響で中止となったナミビア対カナダ戦を改めて国際親善試合として実施することを検討している。新日鉄釜石OBなどによるレジェンドマッチのほか、観戦チケットを購入できなかった人にも1周年記念事業が体感できるようファンゾーンも開設する。

 

 協議会メンバーの中からは「W杯開催で釜石の名は世界にとどろいた。台風で1試合が中止になるアクシデントもあったが、市内の小中学生が大きな自信を得たことは何よりの宝。カナダチームが被災地でボランティア作業に取り組んだことも、改めて釜石が世界から注目される結果につながった。ナミビアとの対戦はぜひ実現してほしい」という声が上がった。

 

 小泉会長は「市内の小中学生が手にした希望を前面に出し、進んでいこう」と呼び掛けた。

 

 市によると、採用した公式ボランティアのうち昨年7月のパシフィック・ネーションズカップとW杯で延べ625人が活動。W杯期間中(9月30日~11月2日)のファンゾーン入場者は当初の見込みを大幅に上回る3万8982人に上った。ラグビーの国際統括団体ワールドラグビーが顕著な貢献をした団体に贈る「キャラクター賞」も受賞した。

 

 野田武則市長は「『ラグビーのまち釜石』のさらなる発展へ一緒に進んで行こう」と呼び掛けた。

 

ワールドカップ県内経済効果113億円、大会前の見込みを大幅に上回る

 

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019釜石開催実行委のまとめによると、W杯に伴う県内への経済波及効果は113億4500万円に上ることが分かった。同実行委が調査を委託した岩手経済研究所の試算。総効果額は、大会前の16年度に試算した83億2千万円を30億2500万円も上回る。

 

 経済波及効果のうち約6割は、試合会場となった釜石鵜住居復興スタジアム建設に伴うもので、建設費は70億2千万円。大会運営費は35億4900万円。昨年7月のパシフィック・ネーションズカップとW杯、ファンゾーンなどの来場者消費支出は7億7800万円とした。

 

 主な産業分類別では建設が51億6600万円、業務委託などの対事業所サービスは16億3600万円、運輸・郵便8億2千万円、飲食や宿泊施設など対個人サービス7億7500万円など。

 

 「日本チームの活躍などで盛り上がり、経済波及効果が大きくなった。台風の影響で1試合が中止になり、長期滞在が難しくなる面もあったが、県内事業所にも一定の経済効果があった」と分析している。

 

 一方、釜石市のまとめによると、W杯期間中(9月30日~11月2日)の道の駅など市内公共施設の入り込み数は増えたが、市内主要3ホテルの稼働率は60~75%にとどまり、前年以下となった。

 

(復興釜石新聞 2020年2月15日発行 第867号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

防災備蓄食試食会

[開催中止]防災備蓄食試食会

防災備蓄食試食会

 

新型コロナウィルスの影響により、本イベントの開催は中止となりました。(3月2日追記)

 

東日本大震災の発災から間もなく9年を迎えようとしています。その間にも全国各地で大きな災害が続く中で、3月11日を“命を救う行動に繋げる日”にしたいとの思いから、いつ起こるかわからない災害への備えを啓発するため「防災備蓄食の試食会」を実施します。

 

日時

2020年3月7日(土)、8日(日) 10時~17時
※開催中止

会場

釜石情報交流センター1階 ラウンジ
釜石市大町1-1-10 TEL 0193-27-8751

概要

防災備蓄用非常食のサンプル試食会です。無料でご参加いただけますので、お気軽にお立ち寄りください。
●長期保存用のご飯・パン・惣菜などを試食できます。
●お立寄り頂いた方には持ち帰り用のプレゼント有り(数量限定)
●一部商品は販売もいたします。(注文販売にて後日お渡しの場合あり)

主催

釜石まちづくり株式会社(お問合わせ TEL 0193-22-3607)

 

[同時開催]“3月11日を「大切な人を想う日」に”への署名を実施します

 

3月11日を「大切な人を想う日」に

 

岩手日報社が実施する「大切な人を思う日」に賛同し、署名とパネル等の展示を行います。
岩手日報 「大切な人を想う日」特設ページ
https://www.iwate-np.co.jp/content/taisetunahito-omouhi/

 

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

魚河岸テラス 沖縄美ら海水族館イベント

[開催中止]魚河岸テラス 沖縄美ら海水族館イベント

魚河岸テラス 沖縄美ら海水族館イベント

 

沖縄美ら海水族館イベントは新型コロナウイルスの感染防止対策のため中止となりました。楽しみにしていただいていた皆様には大変申し訳ございませんが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。(3月2日追記)

 

国営沖縄記念公園・沖縄美ら海水族館では、災害被災地を含む来館困難な皆様に対し、各種イベントを提供し、水族館の雰囲気を感じていただく取り組みを行っております。今回は、魚河岸テラスにおいて、下記のイベントを実施いたします。

 

開催日・場所

開催日:令和2年3月7日(土)、8日(日)
※開催中止
場所:釜石魚河岸にぎわい館「魚河岸テラス」(釜石市魚河岸3-3)

内容

①沖縄美ら海水族館「黒潮の海」を撮影したジンベエザメが飛び出す3D映像の上映
②サメ博士によるジンベエザメやホホジロザメの生態に関するお話
③水族館で飼育されているジンベエザメ「ジンタ」の等身大タペストリーの掲示
④触れる標本やパネル展示によるサメの解説
 
入場無料です。

サメのお話・3D映像上映の時間

3月7日(土)
【午前】
10:30~11:00 サメのお話
11:00~12:00 3D映像上映(※1回あたりの上映時間 約10分)
【午後】
13:00~13:30 サメのお話
13:30~16:00 3D映像上映(※1回あたりの上映時間 約10分)
 
3月8日(日)
【午前】
10:30~11:00 サメのお話
11:00~12:00 3D映像上映(※1回あたりの上映時間 約10分)
【午後】
13:00~13:30 サメのお話
13:30~15:00 3D映像上映(※1回あたりの上映時間 約10分)

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 商業観光課 商業まちづくり係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-22-2111 / Fax 0193-22-2762 / メール
元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/kanko/matsuri_event/detail/1235191_2438.html
釜石市

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新たに作成したファイルを手にPRするライフサポートかまいしの八幡理事長(中)

高齢者に救いの手、「まちの便利屋」本格再開〜ライフサポートかまいし、暮らしの困りごと何でも相談を

新たに作成したファイルを手にPRするライフサポートかまいしの八幡理事長(中)

新たに作成したファイルを手にPRするライフサポートかまいしの八幡理事長(中)

 

 東日本大震災後は事業活動がほとんど休止状態となっていた協同組合ライフサポートかまいし(八幡徹也理事長、組合員17人)が本格的に事業を再開することになった。「まちの便利屋」として事業をPRするパンフレットなどを新たに作成。「暮らしの困りごと 地元のプロが丁寧にサポートします」と利用を呼び掛ける。

 

 同組合は2000年、釜石商工会議所青年部の有志を中心に結成。高齢者向けの弁当宅配、買い物代行などの事業に取り組んだ。しかし、震災で組合の中心メンバーが亡くなったことなどから事業活動を中断していた。5年ほど前から仮設事務所で活動を再開。年間20件ほどの困りごと相談を受けるようになり、本格的な事業再開を目指すことになった。

 

 県中小企業団体中央会の助成、中小企業診断士の木村裕美さん(早稲田大学都市・地域研究所招聘研究員)のアドバイスを受けながらPR用のパンフレットやファイルなどを作成。近くイベント会場などで配布を始める。

 

 これを前に7日、八幡理事長らが釜石市役所を訪ね、野田武則市長に支援を要請。「一時は組合解散の話も出たが、できることを模索し継続を決めた。事業のレールを敷き、次の世代に渡したい」と思いを伝えた。市内の一人暮らしの高齢者が4千人を超えるなどの現状も説明した上で、超高齢化社会を支える同組合の事業をアピールした。

 

 野田市長は「高齢者を支援する事業は人手不足が課題と聞く。組合事業の本格再開は非常に期待が持てる。市としても事業の支援を検討したい」などと応えた。

 

 同組合がサポートするのは、草取り、家事手伝い、リサイクル品処分、パソコン・スマホの操作など。問い合わせは同組合(電話22・0051/FAX22・5395)へ。

 

(復興釜石新聞 2020年2月12日発行 第866号より)

 

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