タグ別アーカイブ: スポーツ

baseball01

元プロ選手の指導に目キラキラ! 釜石で野球教室 4市町のスポ少団員レベルアップへ気合十分

baseball01

釜石リアスライオンズクラブなど5クラブが開いた野球教室=8日、平田公園野球場

 
 元プロ野球選手がスポ少団員を指導する野球教室が8日、釜石市の平田公園野球場で開かれた。釜石リアスライオンズクラブ(LC、大澤賢一会長、会員20人)が青少年健全育成事業として初めて企画。釜石、遠野、大槌、陸中山田4LCが共催した。講師として招かれたのは現役時代、読売ジャイアンツ(巨人)や横浜DeNAベイスターズに所属し、現在はジャイアンツアカデミーコーチを務める東野峻さん(39)と大田泰示さん(35)。4市町から6チーム計80人が参加し、憧れのプロ経験者からの指導を受けた。
 
講師として招かれたジャイアンツアカデミーコーチの東野峻さん(左)と大田泰示さん

講師として招かれたジャイアンツアカデミーコーチの東野峻さん(左)と大田泰示さん

 
 教室は午前と午後の2時間ずつ行われ、午後からは釜石野球団Jrとおおつちタイガース(大槌町)の計35人が参加した。教室は投球、捕球、打撃の3本立て。2人は各フォームの良い例と悪い例を示して、どれが正解かを団員らに問いかけながら、正しい姿勢を保つために意識すべきポイント、練習方法などを教えた。3球団で投手として活躍した東野さんは、肘のけがを防ぐためのボールの投げ方を指導。「トップの形をつくる時は肩の位置より肘が高くなるように。ボールは外側に向けて。肘が下がるとけがをしやすくなる」とし、意識しながらのキャッチボールを促した。
 
投球フォームを学び、実践してみる釜石野球団Jrの団員

投球フォームを学び、実践してみる釜石野球団Jrの団員

 
トップの形を意識しながらキャッチボールに励むおおつちタイガースの団員

トップの形を意識しながらキャッチボールに励むおおつちタイガースの団員

 
 大田さんはゴロの捕球について、「グローブは必ずボールの真正面に出して。送球に移る時はグローブの真下に右足を出してステップ」と教えた。団員らは捕って投げる一連の動作を繰り返し練習。大田さんと東野さんが足の開き具合や体の向き、ステップの良し悪しをチェックした。来季の巨人二軍打撃コーチ就任が発表されたばかりの大田さんはバッティングも指導。構え→テイクバック(力をためる予備動作)→トップと動作の流れを示し、弓矢をたとえに「手の位置が後ろにあるほうがいい。トップの形を大きく取って大きく振って」と呼びかけた。素振りの練習の一つとして、歩きながらスイングする方法を紹介。「1、2、3」の掛け声に合わせ、団員らが実践した。「練習から相手ピッチャーをしっかりイメージし、タイミングを取って振ることが大事」と大田さん。
 
大田さん(左)から捕球の仕方を学ぶ。基礎習得の重要性も伝えられた

大田さん(左)から捕球の仕方を学ぶ。基礎習得の重要性も伝えられた

 
大田さんと東野さんが見守る中、捕球の実践練習。コツをつかむと動作もスムーズに

大田さんと東野さんが見守る中、捕球の実践練習。コツをつかむと動作もスムーズに

 
スムーズな体重移動など打撃力向上に有効なトレーニング「ウオーキングスイング」に挑戦

スムーズな体重移動など打撃力向上に有効なトレーニング「ウオーキングスイング」に挑戦

 
 2人の特別講師の話に熱心に耳を傾けた団員ら。短時間の指導ながら、コツをつかんで改善につなげる子も多く、今後の成長への期待が高まる貴重な時間となった。釜石野球団Jrに所属する佐々木耀太さん(鵜住居小5年)は「分かりやすく教えてもらった。守備の基礎練習で、今までできていなかったところも改善できた」と満足げ。「歩きながら素振りをするとか、家でもできる練習を教わったのでやってみたい」と上達への意欲を見せ、「野球は長く続けたい」と願った。
 
 同団Jrコーチの阿部駿さん(32)も2人の教え方に感動。「子どもたちを引き付ける力がすごい。まとめるのもうまい」と、指導者目線でも多くの学びがあったよう。野球人口が減っている中でも「まずは楽しく。野球の楽しさを感じながら、どんどん打ち込んでいってほしい」と期待を寄せた。
 
「うまくなりたい」と熱心に練習する団員。元プロ選手からの学びは大きな糧に…

「うまくなりたい」と熱心に練習する団員。元プロ選手からの学びは大きな糧に…

 
 閉会式で、父母ら家族や一緒にプレーする仲間への感謝の気持ちを持つことの大切さを説いた2人。「プロ野球選手になりたい人!」との問いには複数の団員が手を挙げた。同地域からは30年ぐらいプロ野球選手が出ていない。東野さんは「震災があったことも忘れずに、誰よりも努力してプロ選手を目指してほしい」。大田さんは「プロ野球に憧れを持ってほしい。ドラフトにかかるような選手が1人でも多く輩出されることを願う」とし、野球選手の輩出がまち自体の活力を生むことも示した。
 
大田さんのバッティングを見学。その飛距離に驚きの声を上げた

大田さんのバッティングを見学。その飛距離に驚きの声を上げた

 
希望者は東野さんからトスされたボールを打ってみた

希望者は東野さんからトスされたボールを打ってみた

 
 釜石リアスLCの大澤会長(45)は紫波町出身。2001~17年度まで、母校の不来方高(当時)で野球部のコーチをしていた。その間、11年度から3年間、同部のマネジャーをしていたのが本年度、釜石市地域おこし協力隊に着任した佐々川有妃さん(日本製鉄釜石シーウェイブス広報担当)。2人の釜石での再会が今回の野球教室実現のきっかけとなった。LCの奉仕活動として「未来ある子どもたちに何かできれば」と考えていた大澤会長に、前職でDeNAの二軍場内アナウンスをしていた佐々川さんが東野さんを紹介し、同クラブ初の企画に至った。
 
 大澤会長は「子どもたちがキラキラした目で教わっていたのが印象的。指導者からも感謝の声をいただき、やって良かった」と肩の荷を下ろした。野球指導の経験者の立場から「野球を選んでくれた子たちが高校までやってくれるようなきっかけを作ってあげたい」とも話し、今後、教室の継続開催への道も探っていきたい考えだ。

basket05

刺激届ける!ENEOSバスケクリニック 釜石・小佐野ミニバス「苦手、克服するぞ」

釜石市民体育館で開かれたENEOSバスケクリニック

釜石市民体育館で開かれたENEOSバスケクリニック

 
 釜石市鵜住居町の市民体育館で4日、女子バスケットボールWリーグのENEOSサンフラワーズの元選手らによる教室「ENEOSバスケットボールクリニック」があった。市内で競技に熱中する小佐野ミニバスケットボールスポーツ少年団(菊池亮太監督)のメンバー約40人が参加。一流の技に触れながら、夢中になって練習した。
 
 この教室は、ENEOSが社会貢献活動の一環として全国各地で開いており、競技の普及や次世代選手の育成などを目的にする。1995年に始まり、年間50~60カ所で実施。今回は、小佐野ミニバスのコーチ小林光宏さん(36)が応募サイトを目にし、申し込み実現した。
 
 特別コーチとして来釜したのは、アトランタ・アテネ五輪に出場した大山妙子さん、アテネ五輪出場の矢野良子さん、Wリーグ優勝などの経験を持つ小池清美さんの3人。大山さんが「体をしっかり動かし、分からないことは聞いて。いろんな練習を楽しんでやろう」と子どもらに声をかけ、ウォームアップで体全体をほぐすことから始めた。
 
手を振り上げると同時に床を蹴って足を上げ全身運動

手を振り上げると同時に床を蹴って足を上げ全身運動

 
 「ボールを持ったら低い姿勢で」「パスは相手の動きに合わせて」「走っている人のスピードが変わらないよう動きをイメージしてパスを出す」「パスをしてから動くんじゃない。しながら動き出す」。小佐野の課題、「パスをした後の動きが身に付いていない」と事前に聞いていた3人は“パスラン”(パスした後にゴールへ向かって走り込む)に特化した練習メニューを用意し、足の使い方や目線など小学生にも分かりやすいよう解説を加えながら教えた。
 
「重心は低いまま」。実演しながら教える大山妙子さん(手前)

「重心は低いまま」。実演しながら教える大山妙子さん(手前)

 
パスをしながら動き出す。体を押して感覚を伝える小池清美さん

パスをしながら動き出す。体を押して感覚を伝える小池清美さん

 
子どもたちの動きを見ながらアドバイスする矢野良子さん

子どもたちの動きを見ながらアドバイスする矢野良子さん

 
 数人でのパスランを何度も繰り返し練習。女子主将の外川凜々香さん(12)は「パスしながら動くとシュートにつながる。パスランは大事だと改めて感じた」とうなずいた。スムーズな動きの感覚をつかんだ様子で、「褒められたからうれしかった。言われたことを伝え合って、みんなで高め合いたい」と笑顔を見せた。
 
 男子主将の那須友馬さん(12)は、特別コーチ3人の動きの素早さに目を丸くし「すごかった」と感心。普段とは違った練習メニューは刺激になったようで、「声を出したりして、ミート(自分からボールを受けに行ったり、パスをもらいやすい場所に移動したりすること)すると、シュートにつながる。低学年に教えてレベルを高めたい」と気合を入れた。
 
小学生にも分かりやすいように解説しながら丁寧に指導

小学生にも分かりやすいように解説しながら丁寧に指導

 
 終了後には記念撮影やサイン会も行われた。矢野さんはパスランやドリブルといった基本や日々の練習の大切さを伝え、「嫌になることがあるかもしれないが続けて。身に付けば、とても楽しくなるから」と助言した。
 
 練習中は指導に集中していた大山さんは、子どもたちが楽しみながら取り組む様子に「笑顔がたくさん。ほっとした」と表情をやわらげた。釜石への来訪は2017年に同教室を隣町の大槌町で行って以来。東日本大震災から復興しつつある当時の街並みを思い出したようで、スポーツに取り組める環境が整ったことを喜ぶ。「必要なことを持ち帰って、しっかり練習してほしい。チームが勝てば、頑張れる」とエールを送った。
 
笑顔でパチリ。小佐野ミニバスのメンバー、特別コーチ陣

笑顔でパチリ。小佐野ミニバスのメンバー、特別コーチ陣

 
子どもたちは指導やサインの感謝を伝えながら交流を楽しんだ

子どもたちは指導やサインの感謝を伝えながら交流を楽しんだ

 
 今月下旬にミニバス地区予選がある。男子は4チームが出場予定で、小佐野が目指すのは「優勝」。来年1月にある県大会への出場切符を手にすべく、那須さんは「いろんな練習をしっかりして、力を発揮できるようにする」と意気込む。女子は3チームで競う。夏の大会で女子は県大会に出場し1勝した。外川さんは控えめに「今度は県大会で2勝したい」と話しつつ、最終目標は「ベスト8」と定めた。
 
みんなでレベルアップを!意識を高め練習に励む

みんなでレベルアップを!意識を高め練習に励む

 
 「子どもたちの刺激になれば」と見守った小林さん。3人の指導は「シンプルで、当たり前なこと」だが、子どもらがいつも以上に集中し静かに話を聞こうとする姿勢が見られ、うれしく感じた。チーム外から「弱点を指摘され、意識した」と確信。充実した学びの機会を得た子どもらの成長に期待していた。

senninmarathon01

色づく紅葉 ランナー後押し かまいし仙人峠マラソン キツさ楽しみ、坂道ひた走る

延々と続く⁉上り坂に挑む「かまいし仙人峠マラソン大会」

延々と続く⁉上り坂に挑む「かまいし仙人峠マラソン大会」

 
 第16回かまいし仙人峠マラソン大会(同実行委主催)は10月26日、釜石市甲子町大橋の旧釜石鉱山事務所を発着地点に開かれた。平坦な道がほとんどない2つの難コースに293人がエントリーし、うち250人が出走。あいにくの雨模様となったが、色づいた紅葉を背景に挑戦者たちが健脚を競った。
 
 昨年の16.9キロから従来の形に戻した17.2キロの峠コースと、家族で参加し走ることを楽しんでもらおうと復活させた10キロコースで実施。国道283号仙人トンネルまでを往復する峠コースに156人、甲子町大松で折り返す10キロコースには94人が挑んだ。
 
 開会式で実行委の小泉嘉明会長、開催市を代表し小野共市長があいさつに立ち、16回と歴史を刻む大会に全国各地から集ったランナーを歓迎した。最も遠方から参加した愛知県名古屋市の菊池竹美さん(76)は、走者仲間に気合を入れる役目を担い登壇。幼少期を過ごした古里や、東日本大震災から立ち上がり復興を進めた人々への思いを込め「フレーフレー釜石。ファイトー仙人峠マラソン」とエールを送った。
 
峠コース(17.2キロ)の参加者が駆け出す

峠コース(17.2キロ)の参加者が駆け出す

 
 午前10時に峠コース、10分遅れで10キロコースのランナーがスタート。5キロの折り返し地点まで勢いよく駆け下りた。標高差約400メートル、平均斜度5%の坂上がりでは、沿道の声援を受けながら一歩一歩力強く前進。序盤は控えめだった紅葉も、上るにつれ彩りが増し、ランナーたちの背を押した。
 
仙人大橋手前の上り坂を駆け上がる峠コースの参加者

仙人大橋手前の上り坂を駆け上がる峠コースの参加者

 
歯を食いしばり一歩一歩前へ(右)。勾配が少ない高架橋で一息(左)。ここから折り返し地点の頂上まで急坂が続く

歯を食いしばり一歩一歩前へ(右)。勾配が少ない高架橋で一息(左)。ここから折り返し地点の頂上まで急坂が続く

 
橋を渡り給水ポイントへ。ボランティアの声援を力に必死に頂上を目指す。タイガーマスクもこの表情!(右上)

橋を渡り給水ポイントへ。ボランティアの声援を力に必死に頂上を目指す。タイガーマスクもこの表情!(右上)

 
雨にぬれた紅葉もオツなもの?! 美しい秋景色が参加者の疲れを癒やす

雨にぬれた紅葉もオツなもの?! 美しい秋景色が参加者の疲れを癒やす

 
 「年に1回の再会を楽しみに」。地元釜石から参加を重ねる介護士の上村健さん(58)は東京や新潟の知人ランナーと峠コースに飛び出した。時に歩きも入れながら無事完走。「苦しいけど、走るのに夢中になる。紅葉もきれいだった。地元の大会だから参加し続け盛り上げたい」と話した。帰り際、知人に向けガッツポーズを掲げ、「会うぞ!」とひと言。早くも来年を見据えていた。
 
地元釜石市からの峠コース参加者。カメラを向けるとこの笑顔(右)

地元釜石市からの峠コース参加者。カメラを向けるとこの笑顔(右)

 
数少ない峠コースの女性参加者。20~60代まで幅広い年齢層が元気な走り

数少ない峠コースの女性参加者。20~60代まで幅広い年齢層が元気な走り

 
青森県から参加した外国人男性はすれ違うランナーに「ナイスラン!」と声がけ

青森県から参加した外国人男性はすれ違うランナーに「ナイスラン!」と声がけ

 
白い霧にかすむ頂上周辺。来年の大会は晴天になりますように…

白い霧にかすむ頂上周辺。来年の大会は晴天になりますように…

 
 3回目の挑戦となった松田美紀さん(49)は今回、10キロコース女子40歳以上59歳以下の部で1位を獲得。地元の力を見せた結果に「びっくり。でも、やっぱりうれしい」と笑顔を見せた。峠コースほどではないが、標高差は約160メートルあり「ラスト1キロがきつい」と苦笑。子育てをしながら大好きな走ることを継続中で、「いつか峠コースに挑戦してみたい」と思い描いた。
 
色づき始めた木々を背に走る10キロコースの参加者

色づき始めた木々を背に走る10キロコースの参加者

 
 6カ所に設けられた給水ポイントのうち、5カ所でバナナや菓子など食品も提供された。立ち寄ったランナーがエネルギーを補給した一品には、手土産として人気の「東京ラスク」も。釜石に製造工場があることから、製造販売のグランバー(本社・千葉県)はチームで参加した。
 
給水ポイントは交流の場。提供品の「東京ラスク」もしっかりPR

給水ポイントは交流の場。提供品の「東京ラスク」もしっかりPR

 
「東京ラスク」が力。完走を喜ぶグランバーチーム

「東京ラスク」が力。完走を喜ぶグランバーチーム

 
 その一人、神尾拓真さん(23)は社内のマラソンクラブに所属し、ゆかりのある地域の大会に出場しているランナー。アップダウンが激しいコースは初挑戦だった。「想像以上に大変だったけど、高いところから見下ろす景色はすごかった」と笑い話にした。沿道の応援があたたかく、「ラスク、おいしい」との声にはうれしくなった。地域に根差し、支えられている会社だと改めて感じたようで、「来てよかった」と満足げにうなずいた。
 
 釜石工場で働くファジャル アラムシャーさん(26)は10キロを走り終え、「めっちゃ楽しい」と満喫した。インドネシアから来日し、釜石生活2年目で初参加。「みんなと走れてよかった。今度は峠コースを。夢は大きい方がいい」と明るい笑い顔を残した。
 
給水ポイントでランナーを支えた甲子中の生徒有志。応援にも力が入る

給水ポイントでランナーを支えた甲子中の生徒有志。応援にも力が入る

 
 大会運営には例年、多くの市民ボランティアが協力する。地元甲子中の生徒有志の協力もその一つ。今年は1~3年生の男女12人が活動を希望し、仙人大橋付近の給水ポイント2カ所で選手のサポート、応援にあたった。1年の奥寺叶愛さんは大会を見るのも初めての経験。急坂を駆け上がる選手たちに大きな声で声援を送り、「あきらめずに一生懸命走っているのがすごい。自分も力をもらった」と目を輝かせた。学校では特設ラグビー部で活動。「走るのは好き。将来、仙人マラソンにも挑戦してみたい」と刺激を受けていた。
 
足元は…なんと“一本歯”のげた!!応援に訪れた甲子町住民と記念撮影

足元は…なんと“一本歯”のげた!!応援に訪れた甲子町住民と記念撮影

 
年齢に負けじ!必死の形相でゴールに駆け込むランナー

年齢に負けじ!必死の形相でゴールに駆け込むランナー

 
開会式で参加者にエールを送った菊池竹美さんは走りも元気

開会式で参加者にエールを送った菊池竹美さんは走りも元気

 
 第1回大会が行われたのは2010年で、当時は岩手県主体だった。他にはない特徴的なコースを発案したのが県職員の村上正さん(63)=紫波町。16回目の今大会に出走した。「こんな(大変な)コース考えなければよかった」と自嘲気味な笑みを浮かべつつ、「ゴール後の爽快感はやっぱり格別」と余韻に浸った。
 
仙人峠マラソン発案者の村上正さん(右)、ねぎらう大会関係者

仙人峠マラソン発案者の村上正さん(右)、ねぎらう大会関係者

 
村上さん(左)は峠コース男子60歳以上の部で3位に入賞

村上さん(左)は峠コース男子60歳以上の部で3位に入賞

 
 村上さんいわく、復興支援道路・釜石道の開通により交通量が減った国道283号仙人峠道路の活用と地域のにぎわい創出をもくろむイベントは時期もポイント。紅葉という景色を楽しみながら険しい道のりに挑む大会の継続を願う。

ibcrugby01

釜石SW プレシーズンマッチ2戦目(IBC杯招待試合)で狭山RGに勝利42-40

釜石鵜住居復興スタジアムで開催された第60回IBC杯ラグビー招待試合 釜石SW(グレージャージー)対狭山RG=25日

釜石鵜住居復興スタジアムで開催された第60回IBC杯ラグビー招待試合 釜石SW(グレージャージー)対狭山RG=25日

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は25日、釜石鵜住居復興スタジアムで行われた第60回IBC杯ラグビー招待試合で、3部の狭山セコムラガッツ(RG)と対戦。42-40(前半35-12)で勝った。プレシーズンマッチ2戦目、今年初めて導入されたリーグワンライジングを含めると4戦目で、今季初めての勝利を挙げた。プレマッチは残り2試合。課題を修正し、12月13日のリーグ開幕戦に挑む。
 
 同試合は選手交代自由などの特別ルールで行われた。釜石は前半、昨季の主力選手を投入。敵陣内でのプレーが続き、優位に試合を進めた。3分にWTB小野航大が先制トライ。13分にはモールから右に展開したボールを粘り強くつなぎ、最後はCTBヘルダス・ファンデルヴォルトがゴールポスト足元に決めた。21分、狭山に1トライを返されるも、釜石は波に乗る。24分、敵陣22メートルライン付近でパスを受けたナンバー8サム・ヘンウッドが相手ディフェンスを次々と振り切り、圧巻のトライ。21-7とした。
 
前半24分、ナンバー8サム・ヘンウッドが力強い突進でトライ。釜石3本目のトライで21-7とリード

前半24分、ナンバー8サム・ヘンウッドが力強い突進でトライ。釜石3本目のトライで21-7とリード

 
 観戦客を沸かせたのは31分。左サイドを前進しながらパスのフォローがうまくつながり、ロック、ベンジャミン・ニーニーが回り込んで中央にトライ。37分には自陣10メートルライン中央付近で、相手パスのこぼれ球を前方に低く蹴り出したWTB阿部竜二が自ら追い付き、そのまま中央にトライ。前半終了間際、狭山に2本目のトライを許したが、35-12とリードして折り返した。
 
前半31分、釜石はオフロードパスなどでつなぎ、ロック、ベンジャミン・ニーニーがサイドから回り込んで中央にトライ

前半31分、釜石はオフロードパスなどでつなぎ、ロック、ベンジャミン・ニーニーがサイドから回り込んで中央にトライ

 
SOミッチェル・ハントは前半5トライのゴールキックを全て決めた

SOミッチェル・ハントは前半5トライのゴールキックを全て決めた

 
ibcrugby01

前半37分、WTB阿部竜二は相手がこぼしたボールを的確な判断で前方にキック。自ら追い付いてトライに持ち込んだ

 
 後半、釜石は15人全員を入れ替えた。狭山も6人が入れ替わると、試合の流れが一転。釜石は自陣でのプレーを強いられ、反則も増加。30分までに4連続トライを決められ逆転された。ディフェンスが後手に回り、ラインアウトのミスでボールを奪われる場面も目立った。32分にロック畠澤諭が意地のトライで再逆転し42-40。かろうじて逃げ切ったものの、前後半の差が際立つ結果となった。
 
釜石は後半開始時に、選手15人全員を入れ替えた

釜石は後半開始時に、選手15人全員を入れ替えた

 
課題が残ったラインアウト。釜石のミスからターンオーバーされた

課題が残ったラインアウト。釜石のミスからターンオーバーされた

 
 試合後、トウタイ・ケフヘッドコーチ(HC)は場内インタビューで、「スクラムは良かったが、相手にターンオーバーを与えてしまった場面が多すぎた。残りのプレシーズンマッチでさらに勝利を重ねて、リーグ戦開幕を迎えたい」と話した。
 
 今季、主将を務めるフランカー河野良太選手は「後半、反則が増え、自分たちのペースでできなかった。80分を通して、自分たちのやりたいラグビーができるように修正していく必要がある」と課題を見据えた。自身にとっては主将就任後、今季初めての試合出場。「久しぶりで、試合感というところで難しい部分はあったが、そこはプレーを続けていけば問題ないと思う」。リーグ戦開幕へ「一つ一つ目の前の試合を勝つことが大事。最終目標の2部4位以内を達成できるよう、しっかりやっていきたい」と気持ちを引き締めた。
 
プレイヤー・オブ・ザ・マッチは釜石SWのサム・ヘンウッド選手が受賞(左)。この日が今季初の試合となった釜石SW河野良太主将(右)

プレイヤー・オブ・ザ・マッチは釜石SWのサム・ヘンウッド選手が受賞(左)。この日が今季初の試合となった釜石SW河野良太主将(右)

 
 釜石SWのプレシーズンマッチ第3戦は11月22日。リーグ開幕戦で戦う清水建設江東ブルーシャークスと江東区夢の島競技場(東京都)で対戦する。

kenkomarathon01

4世代が元気に参加 51回目の釜石健康マラソン 秋深まるうのスタ周辺で完走目指す

幼児400メートルの部スタートで勢いよく駆け出す子ども=釜石健康マラソン大会

幼児400メートルの部スタートで勢いよく駆け出す子ども=釜石健康マラソン大会

 
 釜石市の“スポーツの秋”を象徴する「釜石健康マラソン大会」は11日、鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムを発着点に開かれた。市、市陸上競技協会、市体育協会が主催する大会は今年で51回目。半世紀の歴史を超え、市民に愛され続ける。大会には幼児から高齢者まで幅広い世代が参加し、家族や仲間の応援を受けながら各コースを走り切った。
 
 市内外から236人が参加。1~81歳の男女がゼッケンを付け、メイングラウンドに設けられたスタートラインに立った。昨年新設された「5キロアップダウンの部」からスタート。スタジアムから根浜海岸方面に向かい、海抜20メートルの市道箱崎半島線を回って戻る坂道コースに20~60代の男性14人が挑んだ。
 
5キロアップダウンの部に挑む男性参加者。ハイペースのスタートダッシュ

5キロアップダウンの部に挑む男性参加者。ハイペースのスタートダッシュ

 
 続いて5キロ、3キロ、2キロの各部が時間を空けてスタート。一部、海沿いを走る区間があり、参加者は心地良い潮風を受けながら前へ進んだ。スタジアム周辺では沿道の応援が力に。体力と気力を振り絞ってゴールを目指すランナーの背中を押した。ゴール地点では家族や仲間が出迎え、完走の喜びを分かち合った。
 
通常の5キロの部には小学校高学年以上が参加。スタート後、スタジアム後方の坂道を駆け上がる。まだ余裕の小・中女子ランナー

通常の5キロの部には小学校高学年以上が参加。スタート後、スタジアム後方の坂道を駆け上がる。まだ余裕の小・中女子ランナー

 
3キロの部は小学校中・高学年と60歳以上が対象。ミッキーマウスは??昨年に続き参加者最年長81歳のあのレジェンド(答えは昨年大会の記事で…)

3キロの部は小学校中・高学年と60歳以上が対象。ミッキーマウスは??昨年に続き参加者最年長81歳のあのレジェンド(答えは昨年大会の記事で…)

 
根浜で折り返し、スタジアム方面に戻る5キロ(左)と3キロ(右)の参加者

根浜で折り返し、スタジアム方面に戻る5キロ(左)と3キロ(右)の参加者

 
ゴール後はこの笑顔!走り切った爽快感でいっぱい

ゴール後はこの笑顔!走り切った爽快感でいっぱい

 
 釜石高時代の同級生5人で、5キロアップダウンの部に挑んだ佐久間洸土さん(23)。高校時代はバスケットボール部で鍛えたが、卒業以来、運動はご無沙汰気味。「脚は何とかなったが背筋がこたえた。体幹が弱っていたのかな」。遠くは東京、仙台から集まった仲間。「2、3年前からマラソンで集まろうと言っていたが、やっと今年かなえられた。みんな元気そうで良かった」と久しぶりの再会も大きな喜びに。絆もさらに深まった様子で、「これを機にまた運動を始めたい」とも話した。
 
釜石高時代の仲間で“マラソン同窓会”。5キロアップダウン、完走しました!

釜石高時代の仲間で“マラソン同窓会”。5キロアップダウン、完走しました!

 
 子どもからひときわ大きな声援を受けたのは、人気ゲームキャラクター“(スーパー)マリオ”の仮装をした畑山拓也さん(48)。5キロ一般男子の部に出場した。釜石では「仙人峠マラソン」に数回参加しているが、健康マラソンは初めて。「海沿いを走ってみたくて…」と海岸コースを満喫した。JR釜石線を走る観光列車「ひなび」の出迎え・見送りを沿線でしている「チーム柏木平」のメンバーで、キャラクター仮装はその際の“衣装”にも。「普段は“キン肉マン”で走っているが、今日は暑いと思って“マリオ”にしました。なりきって楽しく走れた」と笑顔を輝かせた。
 
“マリオon恐竜”の仮装で楽しませた畑山拓也さん。この格好で見事5キロを完走!

“マリオon恐竜”の仮装で楽しませた畑山拓也さん。この格好で見事5キロを完走!

 
バスケ、ラグビー、サッカーなどスポ少のユニフォーム姿が目立つ小学校低・中学年対象の2キロの部

バスケ、ラグビー、サッカーなどスポ少のユニフォーム姿が目立つ小学校低・中学年対象の2キロの部

 
グラウンド内のゴールを前に順位争いのデッドヒートを繰り広げる小学生

グラウンド内のゴールを前に順位争いのデッドヒートを繰り広げる小学生

 
 スタジアム外周を1周する1.15キロの部、グラウンド内を2周する幼児400メートルの部では、親子で走るほほ笑ましい姿が見られた。平田こども園の川向晴翔ちゃん(6)は園のお友達と400メートルの部に参加。「2周走るのはちょっとしんどかった。けど、8位になってうれしい」とにっこり。「親も一緒にどうぞ」との会場アナウンスで共に走った父幸太郎さん(28)は「昨年より自分で走る力がついていて成長を感じられた」と感動。普段から活発に外で遊ぶという晴翔ちゃんは「野球をやりたい」と言っていて、幸太郎さんは「好きなことをしてのびのびと育ってくれれば」と温かく見守る。
 
小学校低学年はスタジアム外周1.15キロを走ってゴールする

小学校低学年はスタジアム外周1.15キロを走ってゴールする

 
1.15キロの部には「ふれあい親子の部」があり、仲良く並んで走る姿は同大会おなじみの光景

1.15キロの部には「ふれあい親子の部」があり、仲良く並んで走る姿は同大会おなじみの光景

 
「走るって楽しいね!」完走証を手にする平田こども園の園児ら

「走るって楽しいね!」完走証を手にする平田こども園の園児ら

 
 同大会は1975年にスタート。2019年まで甲子町松倉の市球技場周辺で開かれていたが、20年から同スタジアム周辺に開催地を移した。年代や体力に応じてさまざまなコース選択が可能で、参加しやすい環境も魅力の一つ。今年度から市陸上競技協会の会長を務める樋岡繁典さん(58)は「少子化や人口減で参加者数は減っているが、市民の運動機会の一つでもあるので、絶やすことなく回を重ねていければ。ぜひ、多くの皆さんの積極的な参加を」と呼びかける。

leagonerising01

若手の成長後押し ラグビーリーグワンライジング釜石SW第1戦/対戦のS東京ベイ 鵜小児童と交流

ジャパンラグビー リーグワン ライジング第1戦 日本製鉄釜石シーウェイブス(グレージャージー)対クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

ジャパンラグビー リーグワン ライジング第1戦 日本製鉄釜石シーウェイブス(グレージャージー)対クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

 
 今年初めて創設されたラグビーの新大会「ジャパンラグビー リーグワン ライジング」に参加する2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は9月27日、釜石鵜住居復興スタジアムで、昨季1部2位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイと対戦した。同大会は、若手選手や公式戦出場回数が少ない選手の成長、新たな有望選手の発掘などを目的に開催される。10月4日には昨季2部3位のNECグリーンロケッツ東葛と2戦目を戦った。釜石SWにとっては格上チームとの貴重な対戦機会にもなり、課題を修正しながら今季のチームづくりを進める。
 
 同大会にはリーグワン所属の20チームが参加。3エリアに分け、各チーム2試合を戦う。順位は決めない。登録・出場ともに選手のカテゴリーは問わず、リーグワン公式戦出場回数が15試合以下の選手を原則5人以上登録するのが条件。釜石SWは10チームが参加した東エリアで対戦した。
 
若手選手らの成長を後押ししようと今季初開催の大会。選手らにとってはリーグ戦出場へアピールの場にも

若手選手らの成長を後押ししようと今季初開催の大会。選手らにとってはリーグ戦出場へアピールの場にも

 
 第1戦のS東京ベイ戦。釜石は加入2~3年目の選手を中心に先発した。前半はS東京ベイが先制。釜石は自陣でのプレーが続くが、要所でいいディフェンスも見せ、相手の前進を食い止めた。20分、フランカー、アンガス・フレッチャーがハイパントのこぼれ球を蹴り出しチャンスを作ると、SO落和史が素早く拾って独走トライ(ゴール失敗)。その後、2本のトライを決められ、5-21と引き離された。34分、今季新加入のSH岡新之助タフォキタウがラックサイドを突いて前に出ると、フォローしていたプロップ松山青につなぎ、釜石2本目のトライ。落のキックは惜しくもゴールポストに当たり、追加点はならず。10-21で折り返した。
 
前半20分、フランカー、アンガス・フレッチャーが蹴り出したボールをSO落和史が拾いトライへ

前半20分、フランカー、アンガス・フレッチャーが蹴り出したボールをSO落和史が拾いトライへ

 
前半34分、SH岡新之助タフォキタウが敵陣でブレイク、プロップ松山青につなぎトライ

前半34分、SH岡新之助タフォキタウが敵陣でブレイク、プロップ松山青につなぎトライ

 
 後半開始時、5人を入れ替えた釜石。追加点で流れを変えたかったが、ラインアウトのミスや反則の多さで劣勢が続いた。一段とギアを上げたS東京ベイに攻め込まれる場面が続き、後半だけで7トライを奪われた。釜石は無得点に終わり、10-66で敗れた。
 
 釜石SWのトウタイ・ケフヘッドコーチ(HC)は1週間前の静岡ブルーレヴズ戦に続く大量失点に「望んだ結果ではなかった」としつつ、“ライジング”の目的としては「学びの多い試合になったし、そこからたくさんの教訓が得られたと思う」と選手らの奮起に期待。格上チームとの2連戦を終え、大きな課題として「規律」と「スクラム」の改善を挙げた。
 
 大東文化大からアーリーエントリー制度で昨年1月に加入した松山青選手(23)は新大会について、「試合に出ないと分からないことや経験できないことがたくさんあると思うので、どんどんこういう機会を増やしてほしい」と希望。昨季後半から公式戦に出場。今季の活躍に関係者も注目する中、自身が目標として掲げるのはセットプレーの安定。「まだムラがある。安定した球出し、相手ボールをターンオーバーできるようなスクラムを組むことが課題。(リーグ戦開幕を見据え、)がむしゃらに、ひたむきにやるだけ」と強い意志を示した。
 
写真左:両チームゲームキャプテンが相手チームから選ぶプレーヤー・オブ・ザ・マッチは、アンガス・フレッチャー(釜石SW)、才田智(S東京ベイ)両選手が受賞 同右上:協賛の岩手県が選出するプレーヤー・オブ・ザ・マッチはS東京ベイの松下怜央選手が受賞 同右下:県からはS東京ベイに県産米も贈られた

写真左:両チームゲームキャプテンが相手チームから選ぶプレーヤー・オブ・ザ・マッチは、アンガス・フレッチャー(釜石SW)、才田智(S東京ベイ)両選手が受賞 同右上:協賛の岩手県が選出するプレーヤー・オブ・ザ・マッチはS東京ベイの松下怜央選手が受賞 同右下:県からはS東京ベイに県産米も贈られた

 
 10月4日のライジング2戦目、GR東葛戦は12-40(前半7-7)で釜石が敗れた。釜石SWのプレシーズンマッチ次戦は10月25日、釜石鵜住居復興スタジアムで3部の狭山セコムラガッツと対戦する。
 

釜石高生徒有志「夢団」 SWホーム戦に合わせ、うのスタで今季の語り部活動開始

 
釜石高「夢団」メンバーはスタジアム内の震災祈念碑前で語り部活動を実施=9月27日

釜石高「夢団」メンバーはスタジアム内の震災祈念碑前で語り部活動を実施=9月27日

 
 日本製鉄釜石SWのホーム戦に合わせ、スタジアム内で東日本大震災の教訓を伝える活動を続ける釜石高の生徒らは、リーグワンライジング第1戦の日から今季の“語り部”を開始した。来年3月で発災から15年―。記憶の風化が進む中、生徒らは災害から命を守る行動の大切さを訴え続ける。
 
 語り部活動を行っているのは同校の震災伝承、防災活動グループ「夢団~未来へつなげるONE TEAM~」のメンバー。1年の米澤心優さんはこの日が語り部デビューとなった。震災当時は1歳2カ月。ほぼ記憶はないが、毎年“3.11”が近づくと両親が話してくれている当時の状況や自身の思いを語った。
 
 ぜんそくの発作があった自分を必死に守ってくれた母、避難所で助けてくれた自衛隊員…。「私が成長できたのは人の助け、思いやりがあったから」。感謝の思いを口にする一方で、親戚10人以上が津波の犠牲になった悲しい現実も…。「皆さんには生きるということを一番に考えてほしい。地震があったらまずは高台へ逃げてください」。
 
この日が震災語り部デビューとなった米澤心優さん(釜石高1年)

この日が震災語り部デビューとなった米澤心優さん(釜石高1年)

 
 米澤さんは「2歳下の弟も一緒に、家族で震災のこと、これからのことを話し合っている。今ある日常は当たり前ではない。感謝して生き、悔いのない人生を送りたい」と話した。
 

S東京ベイ 釜石との絆深く 試合前日に鵜住居小でラグビー教室 児童ら大喜び

 
クボタスピアーズ船橋・東京ベイの選手らとラグビーで交流する鵜住居小児童=9月26日、同校体育館

クボタスピアーズ船橋・東京ベイの選手らとラグビーで交流する鵜住居小児童=9月26日、同校体育館

 
 リーグワンライジング第1戦で釜石市を訪れたクボタスピアーズ船橋・東京ベイは試合前日の26日、スタジアム近くの鵜住居小(高橋美友紀校長、児童129人)でラグビー教室を開いた。選手5人が3、4年(47人)児童とラグビーボールを使った運動で交流。チームが社会貢献活動の一環で同市に申し入れて実現したもので、同校での教室は2018年以来の開催となった。
 
 大熊克哉(29、フッカー)、青木祐樹(33、ロック)、末永健雄(31、フランカー)、古賀駿汰(28、SH)、ハラトア・ヴァイレア(26、CTB)の5選手が来校。パスやラインアウトの実演でラグビーの特徴的プレーを紹介した後、児童が5グループに分かれてボールに親しむメニューを楽しんだ。グループ対抗で、選手と輪になってパス回しの速さを競ったり、ボールを持って走るリレーで盛り上がったり…。合間にはグループで作戦会議もするなどチームワークも体験。最後は選手が並ぶディフェンスを突破するゲームも行い、体育館には児童らの大きな歓声が響いた。
 
体育館のスペースいっぱいにロングパスを披露するハラトア・ヴァイレア選手(中央)

体育館のスペースいっぱいにロングパスを披露するハラトア・ヴァイレア選手(中央)

 
選手に体を持ち上げてもらい、ラインアウトを体験する児童

選手に体を持ち上げてもらい、ラインアウトを体験する児童

 
右に左にボールをパスし速さを競う。合間にはグループで作戦会議も

右に左にボールをパスし速さを競う。合間にはグループで作戦会議も

 
 岩﨑花乃さん(4年)は「選手たちは大きくてかっこいい。みんなで仲良く遊べて楽しかった」と笑顔。これまでに学校のタグラグビーチームにも参加していて、「走り方とかも勉強になった。ラグビーの試合も生で見てみたい」と、さらに興味をそそられた様子。
 
 同チームは東日本大震災後の2011年7月、釜石市内で行われた「がんばれ東北!復興祈願ラグビーDay」のチャリティーマッチで釜石SWと対戦。18年には鵜住居小でのタグラグビー教室や地元高校ラグビー部への指導も行った。ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催の翌20年に行われた「いわて・かまいしラグビーメモリアルイベント」でもSWと対戦するなど、ラグビーを通じた支援で同市と深い絆を結ぶ。
 
ラグビーボールがバトン代わり。グループ対抗リレーで大盛り上がり!

ラグビーボールがバトン代わり。グループ対抗リレーで大盛り上がり!

 
選手にタッチされないように“ディフェンス突破”。絶妙なステップでかわす児童も

選手にタッチされないように“ディフェンス突破”。絶妙なステップでかわす児童も

 
学校には選手のサイン入りジャージー、児童にはステッカーがプレゼントされた(写真上)

学校には選手のサイン入りジャージー、児童にはステッカーがプレゼントされた(写真上)

 
 津波被害の痕跡が残る13年、高校生の時に初めて釜石を訪れて以来、今回で4回目の訪問となった大熊選手。鵜小児童との交流に「最初のあいさつから大きい声で、みんな積極的。逆に元気をもらった」と感激。釜石に来るたびに人の温かさを身に染みて感じているといい、「クボタは人と人とのつながりを大事にしているチーム。これからも足を運んで、試合を通して勇気を与えられたら」と話した。

kamaishikizuna01

釜石SW トウタイ・ケフ新HCのもと今季初戦 「釜石絆の日」ともだちマッチで静岡BRと

雨の中、プレシーズンマッチ初戦に挑む日本製鉄釜石SW(グレージャージー)と静岡BR(青同)=2025ラグビッグドリーム~釜石絆の日~

雨の中、プレシーズンマッチ初戦に挑む日本製鉄釜石SW(グレージャージー)と静岡BR(青同)=2025ラグビッグドリーム~釜石絆の日~

 
 ラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は9月20日、釜石鵜住居復興スタジアムで同1部の静岡ブルーレヴズ(BR)と対戦した。2019年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催のレガシー(遺産)を継承する「釜石絆の日(9月25日)」記念イベントでの交流試合。両チームにとってプレシーズンマッチ初戦で、釜石SWは今季から指揮を執るトウタイ・ケフヘッドコーチ(HC)のもと、新チームの力を試す場となったが、27-81(前半3-36)の大差で敗れた。
 
 試合開始後、雨模様となったスタジアム。前半は静岡が先制トライ。若手を中心としたメンバーで臨む釜石は、7分にSO落和史のPGで3点を返すが、その後は防戦一方の苦しい展開。計5トライを許し、3-36と大きくリードされ、折り返した。
 
 悪い流れを断ち切りたい釜石は後半7分、今季新加入のCTBパウラ・マヘ、2年目のフランカー、アンガス・フレッチャーの素早いパス回しで敵陣に切り込むと、10メートルライン付近でボールを受けたWTB千葉健が独走。ゴール前で追い付いた相手にタックルで倒されながらも右手を伸ばし意地のトライを決めた(8-36)。静岡トライ直後の15分には、釜石キックオフのボールをWTB小野航大が走り込んでキャッチ。SH南篤志、ロック山田龍之介らがつなぎ、最後はプロップ髙橋璃玖が押し込みトライ。ゴールも決まって15-43とした。
 
フランカー、アンガス・フレッチャー(右)からパスを受け敵陣に切り込むCTBパウラ・マヘ(左)

フランカー、アンガス・フレッチャー(右)からパスを受け敵陣に切り込むCTBパウラ・マヘ(左)

 
後半7分、ゴール前で相手に倒されるもチーム初トライを決めるWTB千葉健

後半7分、ゴール前で相手に倒されるもチーム初トライを決めるWTB千葉健

 
相手得点直後のキックオフボールをキャッチ。攻撃の起点をつくるWTB小野航大(上)。ここからSH南篤志、ロック山田龍之介とつなぎゴール前に運ぶ

相手得点直後のキックオフボールをキャッチ。攻撃の起点をつくるWTB小野航大(上)。ここからSH南篤志、ロック山田龍之介とつなぎゴール前に運ぶ

 
後半15分、最後はプロップ髙橋璃玖が2人のタックルを左にかわしながらトライ

後半15分、最後はプロップ髙橋璃玖が2人のタックルを左にかわしながらトライ

 
 しかし、勢いは続かず…。釜石はスクラムの圧倒的強さや個々の選手のスキルで力の差を見せる静岡に5連続トライを奪われ、15-74と再び大きく突き放された。試合時間残り10分。“あきらめない釜石”を体現したのは38分。静岡の反則から敵陣5メートルライン付近のラインアウトに持ち込んだ釜石は、すぐさまモールを形成。ボールを投げ込んだ今季新加入のフッカー、ルル・パエアが最後尾で受け、左に抜け出しトライを決めた。終了間際の40分には、センターライン付近で相手がこぼしたボールをCTB齋藤弘毅が前方に蹴り出し、SH岡新之助タフォキタウが相手の意表を突き独走トライ。新加入の2人が的確な判断で得点につなげたが、反撃及ばず、27-81で敗れた。
 
後半38分、ラインアウトモールからフッカー、ルル・パエアがトライ

後半38分、ラインアウトモールからフッカー、ルル・パエアがトライ

 
後半40分、SH岡新之助タフォキタウが釜石4本目のトライ

後半40分、SH岡新之助タフォキタウが釜石4本目のトライ

 
 就任後初の対外試合を終え、ケフHCは「スクラムが一番の課題。ディフェンスも良くなかった。新体制での初戦、格上チームとの対戦であまり期待は高く持っていなかったが、残念な結果」と評価。「もっとアグレッシブに」「コンタクトエリアにもっとコミットを」と、果敢に攻め相手にプレッシャーをかける積極プレー、フィジカル向上の必要性を指摘した。ただ、シーズンは始まったばかり。「ここからさらに良くして、チームとして成長していきたい」と思いを強くした。
 
 ゲームキャプテンを務めたロック山田選手はケフHCの意向を受け、「コネクションを切らさない」ことを選手に伝えた。「悪くはなかったが、その一つ目の仕事、タックルやセットピースといったプレーの始まりのところが良くなかった。しっかり精度を上げて修正していきたい」。2011年の東日本大震災以降、釜石との継続的な交流試合で絆を深める静岡BRに対し、「1部のチームとシーズン開始時点で試合ができるのは本当にありがたい」と感謝。「今、ここでラグビーができているのは当たり前ではない。チームに対しての個々の責任、釜石でプレーする責任をしっかり果たしたい」とシーズン入りに際し、改めて気を引き締める。
 
 イベント会場では、オープニングアトラクションとして市内外の郷土芸能が披露されたほか、震災時に力を発揮した自衛隊などの「働く自動車展」も。予定されていたおもてなしイベントの一部は、雨が強まったため中止された。21日は中学生や高校生の交流試合が行われた。
 
2階スタンドデッキで披露された花巻市の「上根子神楽」

2階スタンドデッキで披露された花巻市の「上根子神楽」

 
自衛隊、警察、消防車両が集まる「働く自動車展」は人気の写真スポット。家族連れらが楽しんだ

自衛隊、警察、消防車両が集まる「働く自動車展」は人気の写真スポット。家族連れらが楽しんだ

 
「絆の日」記念グッズも各種用意。ラグビーでつながるさまざまな交流の輪が広がった

「絆の日」記念グッズも各種用意。ラグビーでつながるさまざまな交流の輪が広がった

athletehaken01

「夢をかなえるには?」 元空手道日本代表の大内美里沙さん 釜石商工高生に授業 部活指導も

釜石商工高で行われた元空手道日本代表・大内美里沙さん(左)の保健体育特別授業=2日

釜石商工高で行われた元空手道日本代表・大内美里沙さん(左)の保健体育特別授業=2日

 
 元空手道日本代表で俳優の大内美里沙さん(23)が2日、釜石商工高(小松了校長、生徒176人)を訪れ、1年生(55人)に特別授業を行った。日本テレビ放送網がスポーツ庁の委託を受けて行う「アスリート全国学校派遣プロジェクト」の一環で来校。自身の競技人生で得たことなどを語り、空手の動きを取り入れた体づくりの講習を行ったほか、空手道部の部員にも実技指導した。
 
 大内さんは大阪府出身。4歳から祖父の空手道場で競技を始め、中学3年時から9年間、日本代表メンバーとして戦った。世界大会で2度優勝、計6回の日本一にも輝いた。昨年12月に現役を引退。今春上京し、子どもの頃からの夢だった俳優の道を歩み始めた。
 
授業は1年生を対象に実施。はじめに講話が行われた

授業は1年生を対象に実施。はじめに講話が行われた

 
 講話では、空手の目標達成のために進学した日本航空高(山梨県)時代を振り返り、「日本一を目指して切磋琢磨した仲間や監督との出会いが、自分の空手人生の考え方を大きく変えた」と話した。高校生に伝えたいこととして、▽徳積みをする▽食事をきちんと取る▽目標設定を明確に▽挫折を挫折と思わない▽周りの人を大切に―という5つの人生訓を示した。
 
 大内さんは「徳積み=自分に恥じない行動」とし、“ごみを拾う”“スリッパをそろえる”など、「気付いたら見て見ぬふりをせず即行動」を提案。日々の小さな積み重ねが自信となり、「いざという時に(自分が望む)結果につながったりする」と述べた。食事がメンタルに及ぼす影響も指摘。「必要な栄養を取らないとマイナス思考になりがち」と自らの経験を明かし、「未来の体は今、摂取するもので作られる。5大栄養素をバランス良く取って」とアドバイスした。
 
自身の空手人生で得たことなどを話す大内さん

自身の空手人生で得たことなどを話す大内さん

 
生徒らは今後に生かそうと、メモを取りながら大内さんの話に聞き入った

生徒らは今後に生かそうと、メモを取りながら大内さんの話に聞き入った

 
 夢や目標をかなえるために有効な方策として「マンダラチャート」を紹介。小学校時に始めたという大内さんは「自分が今やるべきことが明確になる。その通りにやっていたら結果につながっていった」と実体験を示した。さらに「かなえた先の未来の設定」も呼び掛けた大内さん。自身は中学3年時に立てた「空手日本一、世界一」の後に「俳優になる」という目標をしっかり果たした。
 
 日常で重要視するのは「時間の有効活用」と「逃げない姿勢」。与えられた時間は平等で、どう使うかでその先の未来が変わってくる。大内さんは「逃げ癖がつくと目標達成が遠のく。やるべきことが分かっているなら、自分に甘えず、向き合い続けることが大事」と言葉に力を込めた。
 
講話後、生徒からはさまざまな質問が…。貴重な学びの時間となった

講話後、生徒からはさまざまな質問が…。貴重な学びの時間となった

 
「体づくりを部活に生かしたい」との学校の要望で行われた運動の授業

「体づくりを部活に生かしたい」との学校の要望で行われた運動の授業

 
空手の基本動作「突き」を学ぶ。大内さん(右上)の動きをまねて…

空手の基本動作「突き」を学ぶ。大内さん(右上)の動きをまねて…

 
 講話後は道着に着替えた大内さんが、空手の礼儀や基本動作を教えた。生徒らは「突き」や「蹴り」、上下左右の動きを取り入れた連続動作を実践。初めての経験に新鮮さを感じつつ、楽しみながら体を動かした。
 
 ラグビー部に所属する舘洞愛実さん(総合情報科)は「(掲げた)目標のさらに上の目標まで立てるということを学んだ。自分も取り入れて、輝ける選手になりたい。日々の感謝や礼儀、食事管理も見直し、東北選抜選手に選ばれるよう頑張る」と意識を高めた。
 
 同アスリート派遣事業は3年目。釜石商工高は初めて応募し、実施校に選ばれた。本県では今年度、小中高23校で、各競技のトップアスリートによる授業が行われている。高校生を相手に授業をするのは初めてという大内さんは「進めていくうちにみんなの顔が緩んできて、空手の実技もノリノリでやってくれたので私自身も楽しかった。競技を通して学んできたことに加え、日々の生活の中で人間性を高めていくために大事なことが伝わっていれば…」と期待を込めた。
 
教諭が持つミット目がけ「蹴り」にも挑戦! なかなかない体験にこの笑顔

教諭が持つミット目がけ「蹴り」にも挑戦! なかなかない体験にこの笑顔

 
複数の基本動作を組み合わせ、空手の「形」を疑似体験

複数の基本動作を組み合わせ、空手の「形」を疑似体験

 
 授業の後、大内さんは同校空手道部の指導にもあたった。3年生部員が引退し、現在2年生2人で活動中の同部。2人は1年生と一緒に特別授業も受けた。現役時代「形」の種目で戦ってきた大内さんは、1時間半という限られた時間の中で基本動作の重要ポイントを伝授。肩などに力が入りすぎていることを指摘し、「丹田(へそ下の部位)に重心を落とす感覚でやると余分な力が抜ける」「関節を開放し、丹田から技を繰り出すイメージで」などと助言した。“脱力”はスピードやパワーを発揮するのに重要な要素で、意識して練習することで感覚をつかめるようになるという。
 
授業の後に行われた空手道部の部員への実技指導

授業の後に行われた空手道部の部員への実技指導

 
体の重心を意識しながら前に踏み出す練習

体の重心を意識しながら前に踏み出す練習

 
 高校から空手を始めたという堤久夢希さんは「突きや引手で、できていなかった部分を指摘してもらい、すごく勉強になった。教わったことを生かして、大会でいい結果を残したい」と感謝。小学2年から空手を続ける佐藤怜磨さんは大内さんの演武を直接目にし、「体がぶれないところや(動作の)強弱、息の使い方がうまかった。音も何か違う」とトップレベルの技に驚き、刺激を受けていた。
 
部員らは大内さんに「形」の演武も見てもらい、アドバイスを受けた

部員らは大内さんに「形」の演武も見てもらい、アドバイスを受けた

 
 同部顧問の山田英之教諭は「ナショナルチームにいたトップレベルの先生に教えてもらえる機会はなかなかない。私たちの普段の指導とは発想が違い、発見が多かった。生徒たちも楽しそうで、いろいろなことを吸収させてもらった。ありがたい」と喜んだ。

rugbywoman01

ラグビー女子W杯を盛り上げよう!釜石市、東大阪市と連携 応援の姿発信・PV開催

ラグビー女子W杯のPV開催をPRする釜石市職員

ラグビー女子W杯のPV開催をPRする釜石市職員

 
 ラグビー女子のワールドカップ(W杯)2025イングランド大会は、8月22日に開幕した。「サクラフィフティーン」こと、女子日本代表(世界ランク11位)を応援し、W杯を盛り上げようと釜石市は、“ラグビーのまち”との共通点がある大阪府東大阪市と連携しPR活動を展開。「ラグビーの日」の24日にあった日本代表の初戦に合わせ、パブリックビューイング(PV)も行った。大会の期間中、取り組みを続け、さらに機運を高める。
 

市職員、応援ポロシャツ着用でPR

 
東大阪市のポロシャツを着用する釜石市文化スポーツ課の職員

東大阪市のポロシャツを着用する釜石市文化スポーツ課の職員

 
 釜石市文化スポーツ課の職員は22日、連携協定を結ぶ東大阪市から届いたPRポロシャツを着て働いた。2019年のラグビーW杯日本大会に合わせて作ったもので、青と白、ピンクと白のボーダー柄の2種類。左胸、左袖、背中にラグビーの聖地「HANAZONO」の文字やマスコットキャラクター「トライくん」などがプリントされている。
 
 ともに19年日本大会の開催地となったのを縁に、22年に協定を締結した両市。ラグビーを生かした地域活性化などで協力する。今回のポロシャツ着用は東大阪が提案。釜石は大漁旗がデザインされた日本大会時のTシャツを送っており、東大阪の職員が同日に着用した。
 
 釜石市文化スポーツ課の北浦知幸主任(38)は「同じラグビーのまちの東大阪市と力を合わせ、ラグビー女子W杯を盛り上げていければ」と力を込める。同課職員で市ラグビー人財育成専門員の佐伯悠さん(40)は「サクラフィフティーンはレベルアップしていて、チームの完成度も高い」と注目。PV開催について、「格上の相手に挑む力強さ、チームワーク、押しの選手など、スポーツ観戦の楽しみ方を見つけにきて。一緒に盛り上がりましょう」と、課を挙げて呼びかけている。
 

パブリックビューイング

 
日本が初トライを決めた瞬間、歓喜に沸いたファンら

日本が初トライを決めた瞬間、歓喜に沸いたファンら

 
 女子W杯の1次リーグで、24日に初戦を迎えた日本はアイルランド(世界ランク5位)に14-42で敗れた。「ラグビーの日」(1823年8月24日に誕生したとされることに由来)のこの日、釜石・大町の市民ホールTETTOでPVを開催。会場には子どもから大人まで約100人のファンらが詰め掛け、選手たちの奮闘を見守った。
 
 会場には、大槌出身の平野恵里子さん(アザレア・セブン)、釜石出身の柏木那月さん(東京山九フェニックス)ら選手4人が駆け付け、見どころを紹介した。日本代表としてアイルランドと対戦した経験を持つ平野さんの“押し”は主将の長田いろは(アルカスクイーン熊谷)。「ジャッカルやスティールを狙ってチームに勢いをつけるべく体を張って示してくれる」とした。
 
PV会場に駆け付けた(左から)平野恵里子さん、門脇桃子さん、大竹風美子さん、柏木那月さん

PV会場に駆け付けた(左から)平野恵里子さん、門脇桃子さん、大竹風美子さん、柏木那月さん

 
 久しぶりの帰郷という柏木さんは満面の笑顔で「やっぱり釜石は最高です」と一声。注目は宮城県大崎市出身のLO佐藤優奈(東京山九)で、小さい頃から東北で一緒にラグビーに親しみ、現在は所属先のチームメートでもある。「ボールを持って前へ運ぶボールキャリーが強み。そこを見てほしい」と伝えた。
 
 試合が始まると、集まったファンらは選手たちのプレーに一喜一憂しながら声援を送った。開始5分で先制を許すなどアイルランドにペースを握られる展開だったが、前半29分、CTB弘津悠(ナナイロプリズム福岡)が今大会チーム初トライ。7―28で迎えた後半3分にもFL川村雅未(横河武蔵野アルテミ・スターズ)が1トライを返すと、「いいんじゃない」などと歓声が上がった。
 
TETTOのホールと屋外広場を使って行われたPV

TETTOのホールと屋外広場を使って行われたPV

 
スクリーンに映し出された映像に見入るファンら

スクリーンに映し出された映像に見入るファンら

 
 黒星スタートとなったものの、ファンらは「自分たちのスタイルで勝利を。決勝リーグに上がってほしい」と期待。盛岡ラグビースクールに所属する岩手大教育学部附属中2年の長澤梧子さんは、憧れのWTB松村美咲(東京山九)に注目し「キック力がすごい。トライゲッターとしての活躍を見たい」と目を輝かせる。横河武蔵野のジュニアチームにも加わって技術を磨いており、将来の夢はラグビー選手。体格の違いに負けないタックル、戦術など日本代表のプレーから学び取っていた。
 
女子選手や釜石シーウェイブスの選手らとの交流も楽しんだ

女子選手や釜石シーウェイブスの選手らとの交流も楽しんだ

 
 1次リーグは16チームが4組に分かれ、各組上位2チームが準々決勝に進む。日本は31日にニュージーランド(世界ランク3位)、9月7日にスペイン(世界ランク13位)と対戦する。
 
一喜一憂しながら観戦したり交流を楽しむ来場者

一喜一憂しながら観戦したり交流を楽しむ来場者

 
 釜石では9月7日のスペイン戦でPVを予定。試合開始は午後8時。会場のTETTO屋外広場には飲食ブースやラグビー体験コーナーなどを設け、午後6時半から楽しめる。ハーフタイムには、東大阪市のオリジナルグッズなどが当たる抽選会もある。

sw01

ラグビー・日本製鉄釜石SW 新体制で始動 「変化のシーズン」新HCのもとで挑む

新たなシーズンへスタートダッシュ!日本製鉄釜石SWの選手ら

新たなシーズンへスタートダッシュ!日本製鉄釜石SWの選手ら

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は4日、今季の練習を始めた。トウタイ・ケフ新ヘッドコーチ(HC、51)のもと、「変化のシーズン」が始動。新加入の4人を含む選手43人は接戦をものにできなかった昨季の悔しい結果を糧に、あと一歩の試合を「勝ちきるチーム」としてレベルアップを図る。
 
 練習の開始前に、釜石市甲子町のクラブハウスで記者会見し、新体制を発表した。桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(GM)、坂下功正総監督、ケフHCが出席。桜庭GMは「昨季は8位だったものの、競ったゲームも多かった。観客数はわずかだが増やすことができ、努力の結果」などと振り返りつつ、新HCの就任に「変化のシーズン。プラスのエネルギーに変え、いい結果につながれば」と奮起を促した。
 
シーズン始動会見に臨む(左から)坂下功正総監督、トウタイ・ケフ新HC、桜庭吉彦GM

シーズン始動会見に臨む(左から)坂下功正総監督、トウタイ・ケフ新HC、桜庭吉彦GM

 
 チームは昨季、8チーム中最下位(2勝12敗)で終え、3部との入れ替え戦(2勝0敗)で2部残留を決めた。坂下総監督も「僅差で競り負ける試合が多かった。勝てるゲームを落とした」と指摘。タフHCに「勝てる」チームづくりを託し、「戦う気持ち、ラグビーに対する熱い思いを選手たちに落とし込んでほしい」と期待する。新体制にわくわく感をにじませるも、今季の目標は未決。8月中は選手、チーム全体の見極め期間とする考えだが、中長期目標の「2部優勝」は変えずに据え置く。
 
 GM、総監督の声を受け、ケフHCは静かに口を開いた。「歴史と伝統が豊かなチームと聞く。今まで培ってきたプレーを続けながら改善を加え、より良いものにしていきたい。これからの挑戦が楽しみ。接戦を勝ちきる力を積み上げれば、上位で終われるはず。サイドを使ってワイドに展開する試合を目指す」と方針を示した。
 
釜石での挑戦へ意気込みを話すトウタイ・ケフ新HC

釜石での挑戦へ意気込みを話すトウタイ・ケフ新HC

 
 ケフHCはトンガ生まれ、国籍はオーストラリア。現役時代はオーストラリア代表で活躍し、60キャップを誇る。トップリーグ時代のクボタスピアーズでもプレーした。引退後は指導者としてトンガ代表やスピアーズでコーチを歴任。昨季は、釜石と同じ2部の花園近鉄ライナーズのFWコーチを務めた。世界最高峰のステージでプレーしてきた経験に加え、日本ラグビーを理解、熟知しており、「しっかりとした指導経験もあり、SWを未来に向けて指導していける人材」と桜庭GM。今回のHC就任には、2季続けて2部で最下位となった釜石を浮上させることが期待される。
 
 釜石の印象は「粘り強くタフ、諦めないチーム」とケフHC。熱烈なサポーターの存在も認識し、「ファンとのつながりを保ち、誇りに思ってもらえるようなプレーを見せたい」と意気込む。
 
 会見では、HOルル・パエア(22)、LOコナー・セヴェ(23)、SH岡新之助タフォキタウ(31)、CTBパウラ・マヘ(24)の4選手の加入も発表。この日、練習を開始した岡選手は国内チームからの移籍で、「釜石の一員になれることをうれしく思う。ファンの皆さんの前でプレーすることが待ちきれない」とコメント。トンガ出身でルーマニアのクラブでプレーしてきたマヘ選手は「日本でプレーできることがうれしい。チームの力になれるよう頑張る」とメッセージを寄せた。
 
新加入の4選手を発表。力強いプレーへ期待を示した

新加入の4選手を発表。力強いプレーへ期待を示した

 
 プレシーズンマッチは9~10月にホームの釜石鵜住居復興スタジアムで2試合を予定。9月20日は「ラグビッグドリーム~釜石絆の日~」のメインゲームとして1部の静岡ブルーレヴズ、10月25日にはIBC杯ラグビー招待試合として3部の狭山セコムラガッツと対戦する。
 
シーズン初練習を公開。与えられたメニューをこなす選手たち

シーズン初練習を公開。与えられたメニューをこなす選手たち

 
鼓舞、サポートし合いながらチームづくり。ケフHC「まず、コネクションを築く」

鼓舞、サポートし合いながらチームづくり。ケフHC「まず、コネクションを築く」

 
いざ前へ!12月開幕のリーグ戦に向け徐々にペースを上げる

いざ前へ!12月開幕のリーグ戦に向け徐々にペースを上げる

 
 リーグ戦は12月13日に開幕する。

baseball01

硬式の雄「釜石野球団」2年連続東北大会出場へ 「楽しく勝つ」チーム 強さ証明へ選手ら一丸

第49回全日本クラブ野球選手権岩手県予選で準優勝し、東北大会に出場する「釜石野球団」=写真:同団提供

第49回全日本クラブ野球選手権岩手県予選で準優勝し、東北大会に出場する「釜石野球団」=写真:同団提供

 
 釜石市の社会人硬式野球チーム「釜石野球団」(佐藤貴之監督、36人)は、9日に福島県で開幕する第49回全日本クラブ野球選手権第二次予選東北大会に、岩手第2代表として出場する。同大会での東北大会進出は2年連続。昨年逃した初戦突破を果たし、上位入りを狙う同団は、モットーの“楽しく勝つ”野球で新たな歴史を刻もうと気合十分。大会まで1週間を切った3日は滝沢市のチームと練習試合を行い、最終調整を図った。
 
 同大会の本県予選大会は6~7月にかけて行われ、19チームが参加した。釜石野球団は2回戦を11-3(対遠野クラブ)、準々決勝を5-2(対オール江刺)、準決勝を5-4(対久慈クラブ)で勝ち進み、31年ぶりの決勝進出を成し遂げた。決勝の相手は一昨年の東北大会覇者、水沢駒形野球倶楽部。昨年の準決勝で敗れているチームだけに「今年こそは」と挑んだが、0-6で敗れ準優勝。それでも上位3チームに与えられる東北大会出場権を獲得し、2年連続の進出を決めた。
 
 同団は20~30代の若手が主力。釜石出身、在住のメンバーが多いが、チームの雰囲気の良さやレベルの高さに引かれ、他地域からの加入も。定期練習は毎週水曜夜に行っているが、仕事や居住地の関係で人数がそろうことは少なく、各自で自主トレーニングを重ねながら力をつけている。
 
3日、釜石・平田公園野球場で行われた滝沢市のMKSI Baseball Clubとの練習試合

3日、釜石・平田公園野球場で行われた滝沢市のMKSI Baseball Clubとの練習試合

 
笑顔で東北大会前の調整に励む釜石野球団の選手ら

笑顔で東北大会前の調整に励む釜石野球団の選手ら

 
この日の先発は今季新加入の廣崎真樹投手(左)。投手陣には新たに3人が加わりパワーアップ

この日の先発は今季新加入の廣崎真樹投手(左)。投手陣には新たに3人が加わりパワーアップ

 
 今年は他チームからの移籍も含め9人が新たに入団。廣崎真樹選手(31)ら投手3人が加わったことで安定的なバッテリーが組めるようになった。チームの強みは打撃。“頼れる主砲”菅原昌也選手(27)は、今季も大会本塁打2本を放つなど長打の要。攻撃の起点リードオフマンとして期待されるのは乙津広大(27)、西澤直史(30)両選手。加えて今季、打撃が好調な小笠原雄聖選手(29)と、選手層の厚さでチームの得点力に磨きがかかっている。
 
長打力が最大の武器、菅原昌也選手は今季も打撃の中心として力を発揮

長打力が最大の武器、菅原昌也選手は今季も打撃の中心として力を発揮

 
リードオフマンとして活躍が期待される乙津広大選手(左)と西澤直史選手(右)

リードオフマンとして活躍が期待される乙津広大選手(左)と西澤直史選手(右)

 
県大会決勝では大事な場面で2安打を放った小笠原雄聖選手

県大会決勝では大事な場面で2安打を放った小笠原雄聖選手

 
 入団4年目の小笠原選手は、佐藤監督(56)いわく「追い込まれても粘りのバッティングでチャンスをつかむアベレージヒッター(巧打者)」。自身は「やっとみんなに追い付けた感じ」と控えめながら、「下位打線にいることが多いので、何らかの形で次につなげたい」と役割を全うする。今季は「特にもみんな勝負強い。大事なところでやるべきことをやっている」とし、3日の練習試合でも打線のつながりの良さを実感していた。
 
 守備の要は二塁手の三浦一樹(30)、遊撃手の伊藤康生(24)両選手。入団3年目の伊藤選手は試合中の積極的な声掛けが光る。「声を出して楽しく…がチームのモットーでもあるので」。昨年の東北大会では他チームのレベルの高さを感じつつも、「勝てなくもない」との感触も得た。「強豪が集まるが、食らいついて一つでも多く勝ちたい。守備からリズムを作って、1点勝負に持っていくような僅差の戦いができれば勝機はある」とみる。
 
球際の強さ、元気な声掛けでチームを支える伊藤康生選手

球際の強さ、元気な声掛けでチームを支える伊藤康生選手

 
3日も厳しい暑さが続いた釜石。選手らは水分、塩分補給など熱中症対策もしながら練習に励んだ

3日も厳しい暑さが続いた釜石。選手らは水分、塩分補給など熱中症対策もしながら練習に励んだ

 
 練習試合では新戦力の活躍も。久慈市出身の見年代星七選手(23)は地元へのUターンを機に釜石野球団に入団した。外野手だが、同郷の先輩団員から投球を教えてもらっていたことで、この日は投手としてもマウンドに。東北大会出場のタイミングで入団できたことに「すごくラッキー。もし、試合に出る機会があれば俊足を生かして得点にからんでいきたい」と気持ちを高ぶらせた。
 
期待の新星、見年代星七選手は久慈市から新加入。投手としての能力も開花?!

期待の新星、見年代星七選手は久慈市から新加入。投手としての能力も開花?!

 
 同大会は全国の硬式クラブチームが頂点を目指す最も大きな大会。昨年、27年ぶりの東北大会進出を果たした釜石野球団は「連続出場しなければ強さを証明できない」と、さらなる精進を重ねてきた。「みんな、勝ちたいという思いは強い。まずは打ち勝つこと。打って点を取ることが大事」と10年目の菅原選手。昨年の東北大会は福島第2代表のチームに9-6で敗れた。「得点力は申し分ない。あとはいかにエラーなどのミスを減らせるか」。最終目標の全国大会出場を脳裏に描きながら、チームの進化を望む。
 
チームを率いる佐藤貴之監督(左上)は選手の力を最大限発揮できるようメンバー構成

チームを率いる佐藤貴之監督(左上)は選手の力を最大限発揮できるようメンバー構成

 
「一戦必勝!」 2年目の東北大会出場に心を躍らせる釜石野球団メンバー

「一戦必勝!」 2年目の東北大会出場に心を躍らせる釜石野球団メンバー

 
 東北大会には6県から10チームが出場する。釜石野球団の初戦は9日午前8時半から、しらさわグリーンパーク(福島県本宮市)で行われる。相手は福島第3代表のALL北嶺。全国大会には上位3チームが出場できる。

otorug01

ラグビー好き、うのスタに集合! 3年目の「おとラグ」 釜石ラグビーを知り、SW選手とプレー体験

大人ラグビーコミュニティー「おとラグ」の釜石ツアー参加者ら

大人ラグビーコミュニティー「おとラグ」の釜石ツアー参加者ら

 
 「大人だってラグビーしたい!」。競技性の高いラグビーを交流のツールとし、選手が感じている魅力を仲間と体感できるコミュニティー「おとラグ」が6月21、22の両日、釜石市でイベントを行った。一般社団法人Joynt(喜連航平代表理事、東京都)が企画、運営する体験プログラムの一環で、釜石開催は3回目。参加者は2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場となった釜石鵜住居復興スタジアム(うのスタ)などで楕円(だえん)のボールに親しみ、“ラグビー好き”の輪を広げた。
 
 関東、東北圏から男女18人が参加。初日は、うのスタと釜石ラグビーの歴史を学ぶプログラムが組まれた。スタジアムの成り立ちを説明したのは、日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)の現役選手で同市文化スポーツ課職員の青柳魁さん(24)。東日本大震災津波にのまれた小中学校跡地にW杯誘致のために建設されたこと、建物には尾崎半島林野火災の被災木が使われ、災害への備えとして貯水槽が整備されていることなどを紹介した。市職員としてスタジアムの案内、利用受付などの業務にあたる青柳さんに、参加者からはさまざまな質問が…。選手として「復興の象徴」の場所で戦う意義、誇りも示した。
 
釜石鵜住居復興スタジアムの成り立ち、施設の特徴などについて青柳魁さん(写真右上)が説明=6月21日午後

釜石鵜住居復興スタジアムの成り立ち、施設の特徴などについて青柳魁さん(写真右上)が説明=6月21日午後

 
 同市地域おこし協力隊でラグビー普及コーディネーターとして活動、SW事務局の総務も担当する竹中伸明さん(36)は、“24216(日)”という数字をもとに独自の視点で釜石ラグビーの歴史を紹介。日本選手権7連覇の偉業を成し遂げた新日鉄釜石ラグビー部の活躍、地域密着型クラブチーム「釜石シーウェイブスRFC(現日本製鉄釜石SW)」の誕生、震災後のSWの活動などを説明した。先の日数の起点は1959(昭和34)年3月4日。市内で初めて本県高校ラグビー強豪校の招待試合が行われた日で、翌60年4月、富士鉄釜石ラグビー同好会(後の新日鉄釜石同部)が発足した。竹中さんは「SWの誕生がラグビーを使った地域づくりにつながった。“ラグビーのまち”が過去形にならなかったのは、さまざまな人々が寄せてきた釜石への思いのおかげ。それによって今日(24216日目)がある」とした。
 
竹中伸明さん(写真右上)による釜石ラグビーの歴史解説は面白い視点で参加者の興味を引いた

竹中伸明さん(写真右上)による釜石ラグビーの歴史解説は面白い視点で参加者の興味を引いた

 
 貴重な学びの後は、根浜海岸でのビーチラグビー。砂に足を取られながらも、ボールを使った遊びやパス回しを楽しんだ。数人は受けたボールを手に海中ダイブ。今季の海開きを先取りした。
 
夕方の根浜海岸でビーチラグビー交流。たくさんの笑顔が弾ける

夕方の根浜海岸でビーチラグビー交流。たくさんの笑顔が弾ける

 
絶好のロケーションの中で体を動かすのは最高!海へダイビング“トライ”も

絶好のロケーションの中で体を動かすのは最高!海へダイビング“トライ”も

 
最後はやっぱりこうなる!? 喜連代表(中央)を海にいざなう参加者。遊びも全力で!

最後はやっぱりこうなる!? 喜連代表(中央)を海にいざなう参加者。遊びも全力で!

 
 2日目は、うのスタでプレー体験が行われた。SWからロック山田龍之介(33)、フルバック今大輝(23)、プロップ青柳魁の3選手が協力した。ボールを使ったゲームで参加者同士が親睦を深めた後、タックル、キック、スクラムを実体験。3選手からコツを教わりながら、試合観戦で見るだけだったプレーの一部を自分の体で味わった。パスをつないでトライまで持ち込む実戦形式の体験も。参加者は攻防も楽しんだ。
 
o選手入場を疑似体験する参加者。でんぐり返しも!=6月22日午前

選手入場を疑似体験する参加者。でんぐり返しも!=6月22日午前

 
釜石SWの山田龍之介選手とボール回しを楽しむ

釜石SWの山田龍之介選手とボール回しを楽しむ

 
青柳魁選手(左)を相手にスクラム体験。観戦では分からなかったことに目からうろこ

青柳魁選手(左)を相手にスクラム体験。観戦では分からなかったことに目からうろこ

 
山田選手が持つ練習用具に体を当て、タックルの感覚をつかむ

山田選手が持つ練習用具に体を当て、タックルの感覚をつかむ

 
 宮城県仙台市から参加した岩間千帆美さん(26)は父親がラグビー経験者。「自分もやってみたい」との思いはあったが、これまで機会がなかった。「すごく楽しい。新鮮味もあって」と目を輝かせ、「ラグビーは仲間を大切にする。観戦の時も感じたが、相手選手へのリスペクトの気持ちが他のスポーツ以上」と実感。出身は釜石市。他の参加者が「うのスタをラグビーの聖地みたいに言ってくれたり、『釜石、いい所だね』と言ってくれるのがうれしい」と声を弾ませた。
 
 青森県八戸市の田口佳稔さん(62)は大学以来40年ぶりのラグビー。「今のボールを初めて触った。皮のボールしか知らないので」と笑い、「みんな上手でびっくり。知り合いも増えた」と収穫を口にした。震災の翌年から来釜。仙人峠マラソン大会の“常連”で、うのスタには建設段階から足を運んでいた。「ここまで復興したのは本当にすごい。自然豊かで、魅力が詰まった場所」と特別感を表した。
 
楕円のボールキャッチは難しい?? 両手のひらをしっかり広げてつかむ

楕円のボールキャッチは難しい?? 両手のひらをしっかり広げてつかむ

 
最後は実戦形式で。相手をかわしトライを取る喜びは格別

最後は実戦形式で。相手をかわしトライを取る喜びは格別

 
 「人に教えることが好き。貴重な機会をいただき光栄」と感謝したのはSWの今選手。キック指導で力を発揮した。「コアな質問も出たりし、みんなラグビーが本当に好きなんだと感じた」。ファンと試合後に話す機会はあるが、ラグビーを一緒にするという経験はめったにない。「選手ができることを地道にやっていけば、ファンも増えると思う。これからも互いに協力し合っていけたら」と未来を描いた。
 
今大輝選手はキックの際のボールの落とし方を伝授(写真右)。参加者はコツをつかむと上手に蹴り出していた

今大輝選手はキックの際のボールの落とし方を伝授(写真右)。参加者はコツをつかむと上手に蹴り出していた

 
 運営母体の同法人は、現九州電力キューデンヴォルテクス所属選手の喜連航平さん(30、SO)が中心となり、2023年2月に設立。19年のW杯でファンが増えたのを好機に、ラグビー精神の奥深さを選手目線で感じてほしいと、交流スポーツとしての体験プログラムの提供を始めた。釜石など地方へのツアーを兼ねたもののほか、首都圏で定期開催するビーチラグビー交流会、今回のうのスタ2日目のような体験メニューなど各種コースがあり、年間実施回数は約50回にも及ぶ。「おとラグ」参加者が各地で「エリアコミュニティー」を立ち上げ、自主的に活動するケースも。
 
ラグビーW杯2019のレガシーが残る最上階の部屋で記念の一枚

ラグビーW杯2019のレガシーが残る最上階の部屋で記念の一枚

 
一般社団法人Joynt代表理事の喜連航平さん(右)。今後の釜石開催にも意欲を見せる

一般社団法人Joynt代表理事の喜連航平さん(右)。今後の釜石開催にも意欲を見せる

 
 釜石市は「おとラグ」ツアーの東北唯一の開催地。今年は釜石ラグビーをより深く知る内容で行われた。喜連さんは「鵜住居のスタジアム、地域クラブチームのSWなど釜石には独特の資源がたくさん。ここでやることは震災を風化させないという意味でも大きな意義がある」と強調。参加者同士がコミュニケーションを取りながらワンチームになっていく姿も「ラグビーの助け合いの精神の表れ」と喜ぶ。釜石開催は今後も継続していきたい考え。