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さらなる交流促進へ釜石視察、震災の教訓 絆を実感〜「復興ありがとうホストタウン」縁結ぶ

さらなる交流促進へ釜石視察、震災の教訓 絆を実感〜「復興ありがとうホストタウン」縁結ぶ

いのちをつなぐ未来館で、震災時の話を聞く議員ら

いのちをつなぐ未来館で、震災時の話を聞く議員ら

 

 オーストラリアの連邦・州議会議員3人は16日、日豪若手政治家交流プログラムの一環で釜石市を視察。東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた鵜住居町などで、同市の被災状況や復興の現状を学んだ。今年の東京五輪・パラリンピックで、同国の「復興ありがとうホストタウン」になっている縁で釜石訪問が実現した。

 

 連邦下院議員ニコル・フリントさん(41)、ニューサウスウェールズ州議会上院議員タラ・モリアーティさん(42)、南オーストラリア州議会下院議員ジョー・ソックアーチさん(37)、日豪の随行者計7人が来釜。始めに市役所を訪れ、野田武則市長らと懇談した。

 

 野田市長は震災後の支援に感謝し、被災から復興への歩みを紹介。釜石湾や鵜住居町の空撮写真を指しながら、津波がどのように襲ったか、湾口防波堤や防潮堤の復旧、土地のかさ上げなどについて説明した。大規模森林火災の被害が深刻な同国に対し見舞いの気持ちも伝え、市内で募金活動を展開していることなど支援の意思を示した。

 

市長室では野田市長自ら写真を示し、被災状況や復興について説明

市長室では野田市長自ら写真を示し、被災状況や復興について説明

 

 議員からは「被災後、まちに残ってもらうための取り組みは」、「被災した子どもたちの心の問題(トラウマ)への対応は」、「復興事業の指揮を執るのは」―といった質問が出され、市長の話に熱心に聞き入った。

 

 両市国のつながりも話題に上った。同市は中学生の派遣事業を実施。同国はラグビーが盛んで、自国出身のスコット・ファーディー選手が釜石シーウェイブス(SW)RFCで活躍したことを聞くと、「より一層の交流をうれしく思う」と喜んだ。

 

 野田市長は1月末で市国際交流員を退任したエミリー・ハラムズさんが同国出身であることも挙げ、「オーストラリアは世界の中でも一番身近で親近感のある国。(五輪のある)今年はさらなる交流促進を」と期待した。

 

 この後、ラグビーワールドカップ(W杯)会場となった釜石鵜住居復興スタジアムを見学。津波で被災した小・中学校跡地への立地ストーリー、座席やラウンジなどへの尾崎半島林野火災被災木の活用、維持費削減などにつながるハイブリッド天然芝の導入―といった特徴を学んだ。台風の影響でW杯試合が中止となったナミビア対カナダ戦の今秋実現に向け取り組んでいることも紹介された。

 

 鵜住居駅前の釜石祈りのパークでは震災犠牲者に献花。防災市民憲章の意味を学び、いのちをつなぐ未来館で、震災時の対応や教訓にさらなる理解を深めた。

 

 一連の視察を通し、フリント議員は「復興の力強さや柔軟さ、住民の絆を実感した。釜石の教訓や復興の様子を自国に持ち帰り、『必ず立ち上がることができる』ということを、声を大にして伝えたい。これからも国を超えて支えていける関係を築いていけたら」と願い、自国ラグビーチームの釜石訪問の夢も描いた。

 

 同プログラムは1991年の日豪閣僚委員会の合意に基づき実施。29回目の今回は15~21日までの日程でオーストラリアの議員らが来日。陸前高田市、宮城県南三陸町でも震災関連の視察を実施後、国会視察や日本の議員との意見交換などを行った。

 

(復興釜石新聞 2020年2月22日発行 第869号より)

 

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三陸沿岸都市会議で釜石市に集まった7市の代表

三陸沿岸道の早期全線開通を〜三陸沿岸都市会議、政府追悼式継続も要望

三陸沿岸都市会議で釜石市に集まった7市の代表

三陸沿岸都市会議で釜石市に集まった7市の代表

 

 釜石市など本県沿岸5市と青森県八戸市、宮城県気仙沼市で構成する三陸沿岸都市会議は12日、釜石市で開かれた。「復興道路」として整備が進む三陸沿岸道路の早期全線開通を国に要望するなど14項目の決議を採択。三陸沿岸地域の持続可能なまちづくりに向けた取り組みをめぐって活発な議論が交わされた。

 

 同会議は三陸沿岸地域の振興発展に向けた問題提起や情報発信を行う場として1983年に本県沿岸5市でスタート。翌84年に八戸、気仙沼の2市が加わり、毎年持ち回りで会議を開いている。今回で36回目。釜石での開催は2013年以来7年ぶり6回目となった。

 

 大町の釜石ベイシティホテルで開かれた会議には、八戸市の大平透副市長、久慈市の遠藤譲一市長、宮古市の山本正徳市長、大船渡市の戸田公明市長、陸前高田市の戸羽太市長、気仙沼市の菅原茂市長が出席。開催地・釜石市の野田武則市長が座長を務め、「令和2年度末の三陸道全線開通を見据え、都市間連携の重要性は増す。三陸の隆盛、発展を期してともに頑張りたい」と呼び掛けた。

 

 政府が2021年までとする方針を示した政府主催の東日本大震災の追悼式について、陸前高田市の戸羽市長は「高田松原津波復興祈念公園など国営の施設を整備しており、一度は追悼の気持ちを表現してほしい」と強調。被災3県の国営追悼記念施設での開催継続を望んだ。また、復興事業完了まで各種支援制度の継続が必要との考えで一致。7市が連携して関係機関に要望していく方針を確認した。

 

 人口減少が進む三陸沿岸地域の課題として話題になったのは、地域医療。久慈市の遠藤市長、気仙沼市の菅原市長は「子どもを生める環境を整えることが地域創生につながる」などと指摘し、分娩や産科医療体制の確保を強く求めた。

 

 宮古市の山本市長は「クルーズ客船の受け入れ体制づくりを一層進め、効果を三陸地域に波及させたい」と意欲を示した。

 

 決議では、三陸道の早期整備要望のほか、▽物流ネットワークを支える港湾施設整備と機能拡充・強化▽多重防災型まちづくりの推進▽三陸道を利用した周遊観光モデルの検討やPR▽新たな労働力の創出を見据えた各種施策の推進―など14項目を採択した。

 

 次回は気仙沼市で開催する。今年のリアス・ハイウェイ早期実現大会は10月28日に釜石市で開くことも決定した。

 

(復興釜石新聞 2020年2月15日発行 第867号より)

 

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ラグビーW杯2019釜石開催推進協議会

「オール釜石」取り組みを前へ、ワールドカップ釜石開催推進協議会〜W杯効果をまちづくりに、「ナミビア対カナダ」実現目指す

ラグビーW杯2019釜石開催推進協議会

ラグビーW杯2019釜石開催推進協議会

 

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019釜石開催推進協議会(小泉嘉明会長)は13日、釜石市大町の情報交流センター釜石PITで3回目の会議を開催。大会1周年記念事業に向けた取り組みなどをめぐり意見を交わした。同協議会は3月末でいったん解散。来年度に新たな組織を立ち上げ、W杯の成果をまちづくりに生かす「オール釜石」の取り組みを推進する。

 

 釜石市によると、W杯開催1周年記念事業は10月下旬から11月上旬に鵜住居復興スタジアムや市民ホールTETTOなどで開催を予定。昨年10月の台風災害の影響で中止となったナミビア対カナダ戦を改めて国際親善試合として実施することを検討している。新日鉄釜石OBなどによるレジェンドマッチのほか、観戦チケットを購入できなかった人にも1周年記念事業が体感できるようファンゾーンも開設する。

 

 協議会メンバーの中からは「W杯開催で釜石の名は世界にとどろいた。台風で1試合が中止になるアクシデントもあったが、市内の小中学生が大きな自信を得たことは何よりの宝。カナダチームが被災地でボランティア作業に取り組んだことも、改めて釜石が世界から注目される結果につながった。ナミビアとの対戦はぜひ実現してほしい」という声が上がった。

 

 小泉会長は「市内の小中学生が手にした希望を前面に出し、進んでいこう」と呼び掛けた。

 

 市によると、採用した公式ボランティアのうち昨年7月のパシフィック・ネーションズカップとW杯で延べ625人が活動。W杯期間中(9月30日~11月2日)のファンゾーン入場者は当初の見込みを大幅に上回る3万8982人に上った。ラグビーの国際統括団体ワールドラグビーが顕著な貢献をした団体に贈る「キャラクター賞」も受賞した。

 

 野田武則市長は「『ラグビーのまち釜石』のさらなる発展へ一緒に進んで行こう」と呼び掛けた。

 

ワールドカップ県内経済効果113億円、大会前の見込みを大幅に上回る

 

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019釜石開催実行委のまとめによると、W杯に伴う県内への経済波及効果は113億4500万円に上ることが分かった。同実行委が調査を委託した岩手経済研究所の試算。総効果額は、大会前の16年度に試算した83億2千万円を30億2500万円も上回る。

 

 経済波及効果のうち約6割は、試合会場となった釜石鵜住居復興スタジアム建設に伴うもので、建設費は70億2千万円。大会運営費は35億4900万円。昨年7月のパシフィック・ネーションズカップとW杯、ファンゾーンなどの来場者消費支出は7億7800万円とした。

 

 主な産業分類別では建設が51億6600万円、業務委託などの対事業所サービスは16億3600万円、運輸・郵便8億2千万円、飲食や宿泊施設など対個人サービス7億7500万円など。

 

 「日本チームの活躍などで盛り上がり、経済波及効果が大きくなった。台風の影響で1試合が中止になり、長期滞在が難しくなる面もあったが、県内事業所にも一定の経済効果があった」と分析している。

 

 一方、釜石市のまとめによると、W杯期間中(9月30日~11月2日)の道の駅など市内公共施設の入り込み数は増えたが、市内主要3ホテルの稼働率は60~75%にとどまり、前年以下となった。

 

(復興釜石新聞 2020年2月15日発行 第867号より)

 

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新たに作成したファイルを手にPRするライフサポートかまいしの八幡理事長(中)

高齢者に救いの手、「まちの便利屋」本格再開〜ライフサポートかまいし、暮らしの困りごと何でも相談を

新たに作成したファイルを手にPRするライフサポートかまいしの八幡理事長(中)

新たに作成したファイルを手にPRするライフサポートかまいしの八幡理事長(中)

 

 東日本大震災後は事業活動がほとんど休止状態となっていた協同組合ライフサポートかまいし(八幡徹也理事長、組合員17人)が本格的に事業を再開することになった。「まちの便利屋」として事業をPRするパンフレットなどを新たに作成。「暮らしの困りごと 地元のプロが丁寧にサポートします」と利用を呼び掛ける。

 

 同組合は2000年、釜石商工会議所青年部の有志を中心に結成。高齢者向けの弁当宅配、買い物代行などの事業に取り組んだ。しかし、震災で組合の中心メンバーが亡くなったことなどから事業活動を中断していた。5年ほど前から仮設事務所で活動を再開。年間20件ほどの困りごと相談を受けるようになり、本格的な事業再開を目指すことになった。

 

 県中小企業団体中央会の助成、中小企業診断士の木村裕美さん(早稲田大学都市・地域研究所招聘研究員)のアドバイスを受けながらPR用のパンフレットやファイルなどを作成。近くイベント会場などで配布を始める。

 

 これを前に7日、八幡理事長らが釜石市役所を訪ね、野田武則市長に支援を要請。「一時は組合解散の話も出たが、できることを模索し継続を決めた。事業のレールを敷き、次の世代に渡したい」と思いを伝えた。市内の一人暮らしの高齢者が4千人を超えるなどの現状も説明した上で、超高齢化社会を支える同組合の事業をアピールした。

 

 野田市長は「高齢者を支援する事業は人手不足が課題と聞く。組合事業の本格再開は非常に期待が持てる。市としても事業の支援を検討したい」などと応えた。

 

 同組合がサポートするのは、草取り、家事手伝い、リサイクル品処分、パソコン・スマホの操作など。問い合わせは同組合(電話22・0051/FAX22・5395)へ。

 

(復興釜石新聞 2020年2月12日発行 第866号より)

 

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広報かまいし2020年2月15日号(No.1730)

広報かまいし2020年2月15日号(No.1730)

広報かまいし2020年2月15日号(No.1730)

 

広報かまいし2020年2月15日号(No.1730)

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【P1】表紙/もくじ
【P2-3】東日本大震災津波岩手県・釜石市合同追悼式/心のケア班市民講座/こころのセミナー/台風第19号被害への対応状況/持続可能な観光東北フォーラム2020/海洋環境フォーラムin釜石
【P4-5】市・県民税、所得税の申告/宅地の売却/ドラレコでの運転診断/宝くじ助成金での備品整備/釜石シーウェイブスRFCシーズン終了
【P6-9】市民のひろば/まちのお知らせ
【P10-11】まちの話題
【P12-13】保健だより
【P14-15】復興情報/大石地区復興まちづくり協議会地権者連絡会
【P16】三陸ジオパーク

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/koho/backnumber/detail/1235440_2596.html
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移住促進へ 釜石をPR、人口減に歯止めを〜コーディネーターに4人委嘱、3人が市外から定住

移住促進へ 釜石をPR、人口減に歯止めを〜コーディネーターに4人委嘱、3人が市外から定住

移住コーディネーターに委嘱された(左から)伊藤さん、城守さん、手塚さん、石黒さん

移住コーディネーターに委嘱された(左から)伊藤さん、城守さん、手塚さん、石黒さん

 

 釜石市は6日、まちの魅力発信や移住希望者への情報提供などを行う移住コーディネーターに4人を委嘱した。副業というのが特徴で、会社員や学生、地域づくり活動に取り組む人らが個々の仕事、活動の中で市への移住・定住をPR。釜石への関心、理解を深めてもらい移住を促し、将来に向けて持続可能なまちづくりにつなげる。市では「それぞれの視点で、幅広い活動が可能となる、多様性のある制度」と期待を寄せる。

 

 人口減対策を加速させるため、行政と民間が協働で行う新たな取り組み。コーディネーターは、▽インターネットでの情報発信▽県内外の移住関連イベントでのPR▽移住検討者らの相談・助言―などの活動を進める。

 

 国が進める、移住や関係人口の創出・拡大に取り組む拠点の設置、強化を受けて設けた制度。特別交付税措置を活用し、月額2万円(月1回の活動報告が必要)の報酬を支払う。

 

 昨年12月に公募し、応募した4人全員を採用した。任期は1年だが、初年度となる今期は3月末まで。この制度は来年度も継続する予定だ。

 

 4人のうち、3人が実際に市外から移住。手塚さや香さん(40)は埼玉県さいたま市出身で、現在は釜石リージョナルコーディネーター協議会(釜援隊)でまちづくりの手助けをしている。2014年10月に岩手へのUターン者2人と任意団体「岩手移住計画」を立ち上げ、移住定住の促進や移住者の交流を柱にした活動を展開。県から受託し実施した移住体験ツアーでは27人の移住に結び付けた。

 

 ただ、移住者のほとんどが県内陸部で、沿岸部では陸前高田市の2人。交通の便を課題の一つに挙げたが、「デメリットを上回る地域の魅力を発信していき、釜石に1人でも多くUIターンしてもらう取り組みにしたい」と意気込む。

 

 花巻市出身の城守理佳子さん(26)は東京の人材派遣会社勤務を経て、18年9月から甲子町のパソナ東北創生に勤める。首都圏企業を対象にした研修ツーリズムや大学生のインターンコーディネート、地域企業への人材マッチングなどを担当。仕事するうえで大事にする「チャレンジするまち釜石」のアピールを継続させ、「チャレンジする仲間を増やしていきたい」と力を込める。

 

 今回の取り組みには大学生も参加する。岩手大農学部水産システム学コースで学ぶ3年の石黒智大さん(21)は秋田県秋田市出身。昨年10月から同大釜石キャンパスでドンコ(エゾイソアイナメ)を研究している。「よそ者、素人の視点で口出し、活動を後押しできると思う。『魚のまち』を象徴する魚種づくりに向け、自分の研究もしっかり進めたい」と意欲満々。内陸部で沿岸部の情報に触れる機会は少なく、「アピールの仕方を考えるべき」と指摘した。

 

 釜石出身の伊藤聡さん(40)は、一般社団法人三陸ひとつなぎ自然学校の代表理事。12年4月に同法人を設立し、ボランティアの受け入れ、支援者と地域をつなぐイベント開催のコーディネートなどを手掛けている。移住促進を目的にしていないが、これまで活動で関わった20人ほどが釜石周辺に移住。現在、力を入れる高校生の地域活動支援を継続し、「Uターンにつながる関係づくり、情報発信を進めたい」とした。

 

 委嘱状の交付は市役所で行われ、野田武則市長は「震災からの復興完遂を目指す中でハード面は完成しても、人口が減少しては意味がなくなる。歯止めをかけるための取り組みが必要。それぞれの立場で可能な限り頑張ってほしい」と激励した。

 

 今年度の活動として、9日に東京で開かれる学生対象の「かまいし就職準備フェア」に参加。釜石で働く、暮らす魅力をアピールする予定だ。

 

(復興釜石新聞 2020年2月8日発行 第865号より)

 

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釜石市初の国際交流員、エミリー・ハラムズさん新天地で飛躍へ〜AU・NZ在日商議所に転身、今後は釜石との懸け橋に

釜石市初の国際交流員、エミリー・ハラムズさん新天地で飛躍へ〜AU・NZ在日商議所に転身、今後は釜石との懸け橋に

「今後は釜石との懸け橋に」と意欲を見せるエミリー・ハラムズさん

「今後は釜石との懸け橋に」と意欲を見せるエミリー・ハラムズさん

 

 釜石市の国際交流員エミリー・ハラムズさん(27)は1月末で退任、2月から在日オーストラリア・ニュージーランド商工会議所(東京都港区)の事務局長に転身した。釜石初の国際交流員として2016年8月から3年半にわたり活動。「釜石が大好きになった。今後も釜石と関わり続け、オーストラリアやニュージーランドとの懸け橋として貢献したい」と新天地での飛躍を目指す。

 

 ハラムズさんはオーストラリアの首都キャンベラ出身。中学時代に日本語を学び、オーストラリア国立大学で日本語を専攻。学生時代には関西大(大阪府)に1年間の留学経験がある。

 

 釜石では飲食店メニューの英訳、宿泊施設の外国人受け入れ支援などを担当。昨年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催では、鵜住居復興スタジアムのメディアセンターで外国人記者の対応などを担った。

 

 応募して採用されたものの、何も分からないままやってきた釜石。「温かく迎え入れてくれた多くの人に支えられ、ものすごく濃い3年間になった。魅力的な海や山の自然も満喫できた」と振り返る。

 

 兄と2人の姉がいる末っ子。キャンベラで暮らす両親はこれまで4回も釜石に足を運んだ。昨年10月のW杯フィジー対ウルグアイ戦は、仕事で来られなかった兄を除く家族3人が駆け付け、スタンドで声援を送った。「家族全員が釜石ファン。(私がいなくなっても)また釜石に来たい、と盛り上がっています」

 

 同商議所の復興支援で釜石とのつながりがあり、釜石応援ふるさと大使を務めるメラニー・ブロック名誉会頭の誘いで転身を決めた。「釜石を離れたくはなかったが、結果的には仕事で今後も釜石とつながることができる」と新しい道を選択。「多くの人を釜石に案内したい」と意気込む。

 

(復興釜石新聞 2020年2月8日発行 第865号より)

 

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仲良く手をつなぎ、高台を目指して駆け始める=2日午前11時、親子の部のスタート

津波だ、逃げろ高台へ〜仙寿院で韋駄天競争、教訓胸に駆け上がる

仲良く手をつなぎ、高台を目指して駆け始める=2日午前11時、親子の部のスタート

仲良く手をつなぎ、高台を目指して駆け始める=2日午前11時、親子の部のスタート

 

 「津波発生時は一刻も早く高台へ―」。東日本大震災の教訓を未来につなぐ避難啓発イベント「新春韋駄天(いだてん)競走」が2日、釜石市大只越町の日蓮宗仙寿院(芝﨑恵応住職)をゴール地点に行われた。同寺の節分行事として2014年から始まり、7回目の開催。只越町の津波浸水区域から、市の津波避難場所となっている標高約30メートルの同寺まで参加者が駆け上がり、命を守る行動を体で覚えた。

 

 兵庫県西宮市、西宮神社の新年開門神事「福男選び」をヒントにした同行事。今年も6部門で参加者を募り、当日は1歳から64歳まで124人が急坂や急カーブの難コースに挑んだ。

 

 釜石シーウェイブス(SW)RFCの桜庭吉彦ゼネラルマネジャーらの銅鑼(どら)の音を合図に各部門がスタート。只越町の消防屯所付近を出発し、仙寿院境内まで286メートル、高低差約26メートルのコースを懸命に走り切った。沿道では参加者の家族や地域住民らが声援や拍手を送り、只越虎舞の太鼓がゴールを盛り上げた。

 

 各部門の1位には芝﨑住職が「福男」「福女」などの認定書を授与。西宮神社から福の神「えびす天」の木像が贈られた。

 

1位に輝いた福男、福女、福少年、福親子が勢ぞろい

1位に輝いた福男、福女、福少年、福親子が勢ぞろい

 

 親子の部1位となった後藤竜也さん(48)、尚希君(12)=花巻市=は4年連続の参加で、「福親子」3連覇。震災の津波で大槌町の実家を失った竜也さんは「初心に帰って逃げることを意識した」、尚希君は「津波が起きても逃げれば命が助かる」と同行事の意義を改めて強く認識し、「来年からは別々の部門で」と継続出場を誓った。

 

 男性29歳以下の部1位の山本雄太郎さん(25)=盛岡市=は、妹恵里さん(23)=同=、父由勝さん(59)=八幡平市=と初参加。恵里さんは女性の部1位で、兄妹で「福男」「福女」のダブル称号を手にした。2人は社会人陸上の短距離アスリート。雄太郎さんは「しんどかったが、必死になればあっという間」、恵里さんは「あきらめたら終わり。勝負の世界も、津波の時も」と、いざという時の心構えを強調。今年6月に県内を巡る東京五輪聖火リレーの一般公募ランナーにも選ばれている雄太郎さんは「地元のイベントに積極的に出ることで、復興や岩手盛り上げの一助になれば」。韋駄天競走の今後に「続けていくことが伝統になるし、震災の記憶も忘れられずにすむのだろう」と思いを寄せた。

 

 同行事は、関東在住の釜石出身者が中心となって結成した「釜石応援団ARAMAGI Heart(あらまぎはーと)」の発案。趣旨に賛同し、主催統括する仙寿院の芝﨑住職は「津波は逃げるしか(助かる)方法がない。震災後に生まれた子どもたちも増えてきた。今日の経験を家族や周りの人に伝えてほしい」と願った。

 

(復興釜石新聞 2020年2月5日発行 第864号より)

 

復興釜石新聞

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笑顔広がる公園に、釜石高定時制生徒遊具修復〜クライミングウォールをリニューアル、人のつながり 豊かな自然表現

笑顔広がる公園に、釜石高定時制生徒遊具修復〜クライミングウォールをリニューアル、人のつながり 豊かな自然表現

作業を分担して遊具のリニューアルに取り組む釜石高定時制の生徒たち

作業を分担して遊具のリニューアルに取り組む釜石高定時制の生徒たち

 

 釜石市甲子町洞泉のこすもす公園(藤井了代表)に、地元の高校生が考える「釜石らしさ」を表した遊具がお目見えした。大人気の「クライミングウオール」3基のうち、劣化した1基のリニューアル作業を、釜石高(鈴木広樹校長)定時制(生徒27人)が担当。市内外の幅広い世代に地域の魅力を発信し、公園内に笑顔の輪が広がることを期待している。

 

 今回リニューアルした遊具は幅3・6メートル、高さ2・7メートルで、作画テーマはずばり「釜石」。海や山を自然豊かに表現した絵、そこから飛び出してくるかのような迫力満点のサケが目に付く。ウニやホタテガイ、ワカメなども散りばめ、ラグビーボール、公園の名称にもあるコスモスをデザインに加えた。

 

 この遊具はもともと、東京のボランティアらが製作。劣化が進み、リニューアルの必要性を感じたメンバーの一人で、釜石市の団体「自然あそび広場にここ」の深澤鮎美代表(33)が定時制に製作を持ちかけた。

 

 定時制では2018年から、授業の一環として同公園でジャガイモの収穫や「甲子柿」を磨く作業といった農業体験学習を継続。そうした縁で、地域に目を向け関わる機会にもなることから遊具製作を引き受けた。

 

 「釜石らしさ」をテーマに生徒らが話し合い、千葉玲佳さん(2年)が原案を練り、岩間絵理奈さん(4年)のアイデアも取り入れて作画。昨年11月から1、4年生を中心に7回の色塗り作業を行ってきた。

 

完成したウオールの前で笑顔いっぱいの記念写真

完成したウオールの前で笑顔いっぱいの記念写真

 

 壁をよじ登るための突起(ホールド)は今年1月、深澤さんらメンバーの大人たちが設置。ただ、一部作業を残しており、27日、生徒20人が仕上げ作業に取り組んだ。

 

 2、3年生が、握りやすさや足の掛けやすさなどに配慮しながらホールドを取り付け。絵を描いていない部分に学校名を記し、壁の裏側には全員の名前を残してリニューアル作業を完了させた。

 

 自分たちの手で作り上げた壁に、早速挑む生徒たち。「難しい」「登れたー」と遊びを楽しむ歓声と笑顔があふれた。

 

 千葉さんは大槌町出身で、東日本大震災で被災し現在は甲子町で生活する。釜石のことを考える機会だったが、古里大槌を思う時間にもなった。「共通する自然の豊かさ、大漁旗をイメージした。思い通りの仕上がりに満足。豊かな自然に触れながら、どんどん遊んでほしい」と願った。

 

 大槌町から通学する岩間さんも震災で被災。遊び場が少なかった時期を振り返り、「子どもの笑顔が広がる場になれば、うれしい」とはにかむ。一緒に学ぶ仲間との共同作業を無事終えたことに達成感も。看護師を目指し、進学する予定で、「将来戻って地域に貢献したい」と力を込めた。

 

 深澤代表は「地域に愛される公園に生徒が関わったこと、形が残ることに意味がある。みんなで作り上げたことを忘れないでほしい。地域や人とのつながりの大切さを感じ、ここを離れたとしても思い出す、そんなきっかけになれば」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2020年2月1日発行 第863号より)

 

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広報かまいし2020年2月1日号(No.1729)

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【P1】「明治日本の産業革命遺産」人材育成研修の受講者募集/岩手大学地域連携フォーラム/SL銀河招待企画
【P2-3】国民健康保険税の税率が変わります/子ども・子育て支援事業計画(案)への意見募集
【P4-5】新しい民生委員・児童委員を紹介します
【P6-8】まちのお知らせ/市長のつぶや記

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感謝の寄せ書きを手にカナダに留学する菊池莉歩さん(右から2人目)

ラグビーカナダ代表に感謝の寄せ書き〜留学の菊池さん(釜石高2年)国旗を手に、台風で中止の試合の実現訴え

感謝の寄せ書きを手にカナダに留学する菊池莉歩さん(右から2人目)

感謝の寄せ書きを手にカナダに留学する菊池莉歩さん(右から2人目)

 

 文部科学省が提供する留学プログラムでカナダに留学する釜石高2年の菊池莉歩さん(17)は21日、釜石市役所を訪ね、野田武則市長に報告。台風で中止になったラグビーワールドカップ(W杯)「カナダ対ナミビア」の実現へ向けた願いをカナダチームに伝える計画を伝えた。釜石市内の被災地で泥出し作業などに汗を流したカナダ代表への感謝の寄せ書きプロジェクトに取り組んでおり、カナダ代表の事務所を訪ね、直接手渡す予定。

 

 菊池さんはW杯期間中、釜石鵜住居復興スタジアムで道案内ボランティアとして活動。台風で試合が中止となった10月13日にはカナダ代表の選手らと一緒に泥出し作業に当たった。その後は、カナダの国旗に感謝の寄せ書きをするプロジェクトに取り組んできた。

 

 菊池さんはこの日、感謝の思いが書き込まれたカナダ国旗を持参。「台風の被災地でボランティアに取り組む姿に胸を打たれ、感謝の気持ちを伝えたいと思った」と経緯を説明し、「カナダ―ナミビア戦の実現へ向け、このプロジェクトが第一歩になれば」と思いを述べた。

 

 野田市長は国旗に「感謝」と言葉を記した上で、「すばらしい発想と取り組みだ。試合はぜひ実現したいと関係者と協議している。釜石市民も期待していることを伝えてほしい」とエールを送った。

 

 菊池さんは高校1年の夏、ソフトバンクが実施する留学プログラムで、アメリカ・カリフォルニア大バークレー校で3週間研修。この経験を踏まえたボランティア活動に積極的に取り組み、将来は英語を生かした職業を目指すという。今回の留学プログラムでは4倍以上の応募倍率から合格。25日から3カ月間、ビクトリア州に留学し、「多文化共生」などについて学ぶ。

 

(復興釜石新聞 2020年1月25日発行 第861号より)

 

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太平洋津波博物館長(アメリカ・ハワイ州)釜石に〜減災の思い共有、鵜住居未来館視察 中学生と再会

太平洋津波博物館長(アメリカ・ハワイ州)釜石に〜減災の思い共有、鵜住居未来館視察 中学生と再会

釜石訪問と博物館を訪れた中学生との再会を喜ぶムリー館長(右から3人目)

釜石訪問と博物館を訪れた中学生との再会を喜ぶムリー館長(右から3人目)

 

 米国ハワイ州ヒロにある「太平洋津波博物館」のマーリーン・スー・ムリー館長(59)は12日、釜石市鵜住居町の津波伝承施設「いのちをつなぐ未来館」(村上清館長)を視察。昨年9月に市の特命大使として同博物館を訪問した市内の中学3年生4人とも再会し、両地域の津波被災経験を世界の減災に生かすことに思いを新たにした。

 

 博物館を訪問した5人のうち、小林茉央さん(釜石中)、髙木海里君(同)、吉田陽香さん(甲子中)、松下琉奈さん(大平中)が未来館でムリー館長を出迎え、英語のあいさつで歓迎した。

 

 中学生のハワイ訪問にも同行した未来館の蟹江美幸さんが館内を案内。東日本大震災時の小・中学生の避難行動、多くの犠牲者を出した鵜住居地区防災センターの悲劇などを、各種展示物を示しながら説明した。

 

 野田武則市長はムリー館長に、中学生受け入れへの感謝の気持ちを伝え、隣接する「祈りのパーク」に案内。震災犠牲者の芳名板の前で共に手を合わせ、震災の教訓を込めた防災市民憲章の意義を強調した。

 

 1946年にアラスカ州アリューシャン列島で発生した地震により遠隔津波に襲われたハワイ島。同博物館は、その生存者からの働きかけで93年に創立。津波研究機関や大学などと連携し、防災教育に力を入れているのが特徴で、他国の津波被災地へのアドバイスも行っている。

 

 同館は、2011年の東日本の津波で流出し、ハワイ島に流れ着いた国道45号の視線誘導標(道路の端などに設置し、道の形状を分かりやすくしたもの)を展示。漂着したのと同タイプのものは、発災当時、釜石市両石町内だけに設置されていたほか、山田町に保管されていたことが確認されており、いずれかから流出し、約6400キロ離れた地にたどりついたと考えられている。未来館では、同博物館を紹介する展示も行っている。

 

 ムリー館長は未来館訪問で、改めて東日本大震災の被害の大きさを実感。誘導標がハワイに流れ着いたことに「不思議な縁を感じる。両館の情報交流、語り部の話の交換などを通じ、2つの国、まちがもっと強い絆で結ばれれば」と願い、釜石の中学生には「津波防災の学びを深め、発信できるよう育っていってほしい」と期待した。

 

 中学生による博物館視察は、震災の教訓を次世代に継承する上で重要な役割を担っていく若年世代に、伝承への意識を高めてもらおうと計画。現地では、将来的な相互協力を申し入れる野田市長の親書をムリー館長に手渡した。

 

 4人はこの日、折り紙で館長と交流。松下さんは釜石に足を運んでくれたことを喜び、「日本の文化で交流できて良かった」と笑顔。小林さんは津波の流出物がハワイにまで到達した事実に驚き、「自分が現地を訪れる機会をいただいたのも運命的。学校の防災学習、ハワイでの学びから得たことを自ら発信し、防災意識向上につなげられたら」と意欲を見せた。

 

(復興釜石新聞 2020年1月18日発行 第859号より)

 

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