東北初の女性制圧指導官に〜釜石海上保安部 坂本さん、保安官増へ貢献誓う


2021/02/09
復興釜石新聞アーカイブ #地域

東北地方の女性海上保安官で初めて制圧指導官となった坂本さん(右)

東北地方の女性海上保安官で初めて制圧指導官となった坂本さん(右)

 

 釜石海上保安部(松吉慎一郎部長)に第2管区海上保安本部で初めての女性「制圧指導官」が誕生した。釜石海保の巡視船「きたかみ」の航海士補、坂本百合奈さん(24)。テコンドー二段、水泳も得意な身体能力を生かし、同僚保安官の制圧術の向上に努める。

 

 坂本さんは熊本県菊池市出身。2018年に海上保安学校船舶運航システム課程を卒業し、「きたかみ」に配属された。19年に第2管区海上保安本部の制圧指導官養成課程を経て、検定で中級に合格した。

 

 海上保安官が法を執行する中で、危険性がある相手と向き合う際に無力化するのが制圧術。警察の逮捕術と同等の必須技量とされる。その指導者として認定されるのが制圧指導官。現在、同本部には指導官25人がおり、坂本さんは唯一の女性となる。全国では約300人いるが、女性指導官は6人と少ない。

 

 坂本さんは小学2年から高校まで10年間、地元のテコンドー道場で鍛錬を重ねた。夏には海水浴にも親しみ、水泳も得意だ。テコンドーでは小学生で九州チャンピオン、高校では一般も参加する西日本大会を制し、東京五輪出場を夢見た。「海が好き」と進路を海上保安庁に決め、保安学校を卒業して初任地釜石で乗船勤務に就いた。

 

 制圧指導官への挑戦は、テコンドーのキャリアが後押しした。坂本さんは「指導官になり、責任の重さを改めて実感している。(男女を問わず)指導官をもっと増やすお手伝いをしたい。個々の力に合ったスムーズな指導を心がけたい」と前向きに取り組む。

 

 本務では、船舶の立ち入りや救難活動も経験。「時々、船酔いする」と首をすくめた。この2年の間に東日本大震災の不明者捜索にも参加するなど、遺族や被災者に心を寄せる。

 

 将来の夢は「巡視艇の船長になりたい」と、海の安全に関わり続ける決意だ。

 

 釜石海保によると、全国には女性海上保安官が千人以上。占有率7・4%で、10年前の4・3%から大幅に増えた。「きたかみ」にも坂本さんら3人が勤務する。

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