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再建された「鵜住居観音堂」で行われた震災物故者鎮魂被災地復興祈願法要

待望の再建「鵜住居観音堂」 津波被災から救出された本尊11年ぶりに古里へ

再建された「鵜住居観音堂」で行われた震災物故者鎮魂被災地復興祈願法要

再建された「鵜住居観音堂」で行われた震災物故者鎮魂被災地復興祈願法要

 

 東日本大震災の津波で流失した釜石市鵜住居町の「鵜住居観音堂」が、震災から11年を前に、鵜住神社近くの高台に再建を果たした。土砂にまみれながら奇跡的に救出され、専門技師の手で修復された本尊「十一面観音立像」(2012年県有形文化財指定)も、保管先の県立博物館(盛岡市)から帰郷。500年にわたり地域住民の信仰を集める秘仏が、再びまちの未来を見守る。

 

 6日、観音堂を再建した別当の小山士さん(78)らが、堂内で震災物故者鎮魂被災地復興祈願法要を行った。本尊と本尊を模刻した「身代わり観音像」を前に、医王山毛越寺(平泉町)の藤里明久貫主が読経。参列者が焼香し犠牲者の冥福を祈った。

 

毛越寺の藤里明久貫主(僧侶中央)を招いて法要

毛越寺の藤里明久貫主(僧侶中央)を招いて法要

 

 震災後、同観音堂に関わる法要を行ってきた藤里貫主は「新観音堂の完成は感慨深い。小山さんら関係者が努力を重ね、ここまでたどり着けた。多くの地元の方々も喜んでいると思う」と今までの苦労を思いやった。

 

 新観音堂は、小山さん所有の山の斜面を敷地造成し建立。お堂と続き間の6畳和室、収蔵庫などを合わせ、建物面積は約40平方メートル。地元の良質なスギ材などを使った木造で、屋根は鉄板葺(ぶ)き。昨年8月に着工し、今月完成した。入り口に掲げる扁額などに、老木で伐採された鵜住神社のご神木が使われている。

 

新「鵜住居観音堂」外観。左奥は鵜住神社

新「鵜住居観音堂」外観。左奥は鵜住神社

 

観音堂内部。お堂の他6畳間、流しなどを備える

観音堂内部。お堂の他6畳間、流しなどを備える

 

 慈覚大師の作とされる「十一面観音立像」を祭る同観音堂は、像背面に「永正七年」(1510年)の墨書銘があることから、同時期の開設と考えられる。現在の鵜住神社境内にあったが、明治期の神仏分離で、神社下に居を構える別当・小山家が同像を引き取り安置した。1985(昭和60)年に屋敷を改築、新たな観音堂を設けた。地域の祭りの際には、郷土芸能の奉納や参拝で多くの人が訪れる場所だった。

 

 2011年の震災津波で建物は全壊。諸尊像も流失したが、ブロック造りの宝物庫に保管されていた本尊は、破損しながらも原形をとどめ、流失を免れた。当時、盛岡大教授だった故大矢邦宣さんが学生と救出作業にあたり、県立博物館で、駆け付けた京都科学(本社・京都市)の技師らによって修復作業が行われた。本尊の帰還を待つ地域住民のため、14年には大矢さんの発案で、模刻の身代わり観音像が制作され、新たに建立した小観音堂に安置。本設の観音堂の再建を待つばかりとなっていた。

 

修復された本尊「十一面観音立像」(右)と模刻「身代わり観音像」

修復された本尊「十一面観音立像」(右)と模刻「身代わり観音像」

 

 震災時、別当だった小山正さんは11年7月に他界。引き継いだ長男勉さんは観音堂の再建に意欲を見せていたが、17年3月に急逝。以降、分家の小山士さんが別当として、観音堂に関わる職務を担う。士さんは観音堂再建について、「被災住民の住居再建が進んだ後でと考え、周辺の復興がほぼ完了した段階で着手した。これまでの多くの皆さんの支えに感謝したい。500年も地元で拝まれてきた秘仏をしっかり守っていく」と決意を新たにする。

 

観音堂を再建した小山士さん(前列中左)。毛越寺の藤里貫主(同中右)らと喜びを分かち合った

観音堂を再建した小山士さん(前列中左)。毛越寺の藤里貫主(同中右)らと喜びを分かち合った

 

 当初6日に、新観音堂の落慶法要を行う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大を考慮し延期。住民を集めての法要は、感染状況を見ながら開催時期を判断する。

11日を前に根浜地区で行われた震災慰霊祭で、黙とうする住民ら=6日

東日本大震災11年、釜石・根浜地区で慰霊祭 「みんなが幸せに」住民ら冥福祈る

11日を前に根浜地区で行われた震災慰霊祭で、黙とうする住民ら=6日

11日を前に根浜地区で行われた震災慰霊祭で、黙とうする住民ら=6日

 

 東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた釜石市鵜住居町根浜地区で6日、発生から11年となる11日を前に慰霊祭が行われた。高台造成地に整備された復興団地の住民ら約30人が地震発生時刻に合わせ、黙とう。犠牲者を悼みながら、「みんなが幸せに安心して暮らし続けることができる地域にする」と思いを分かち合った。

 

 根浜親交会(前川昭七会長)が震災後から継続する追悼行事。住民らは同地区で犠牲になった15人と共に、津波で尊い命を奪われた全ての犠牲者を思い、午後2時46分に黙とう。集会所に設けられた祭壇に白菊を手向け鎮魂や安寧の祈りをささげた。

 

 前川会長、妻良子さん(いずれも69)は、津波で次女美知さん(当時32)を亡くした。漁業の傍ら民宿を営む2人は「多くの人から心を寄せてもらい、ありがたい10年。無我夢中で、あっという間だった」と振り返る。震災から11年、強く思うのは「明日の幸せを見つけ出せる、平和な暮らしの大切さ」。相次ぐ災害、人災と言える戦争が繰り返される現実に心を痛め、合わせる手に「命の尊さを考えてほしい」と願いを込めた。

 

大切な人を思い、手を合わせる前川会長

大切な人を思い、手を合わせる前川会長

 

 根浜地区は震災前、67世帯約180人が暮らした。最大18メートルの津波が襲ったが高い防潮堤は拒み、震災前と同じ5・6メートルの高さを維持。海抜20メートル超の高台造成地に集団で移転し、現在は35世帯約100人が暮らす。

 

 慰霊祭の後、津波記念碑が建つ団地内の公園では「お地蔵さん」に手を合わせる住民の姿も見られた。「こっちも頑張っているから、見守っていて」。同会事務局長の佐々木雄治さん(66)は、宮古市で暮らす長女岩渕理紗子さん(28)と足を運び、津波で犠牲になった妻純子さん(当時53)、実父、実姉、義母の冥福を祈った。

 

海を望む高台の公園に並ぶ「お地蔵さん」に思いを託す佐々木さん親子

海を望む高台の公園に並ぶ「お地蔵さん」に思いを託す佐々木さん親子

 

 佐々木さんは津波の夢で目が覚める日々が続いたというが、ここ数年はほとんどなく、「月日の流れが解決してくれた」と穏やかな表情を見せる。そして、かみしめるように「あの日のことは忘れられない」と口にするが、記憶が薄れていくという感覚もある。ただ、海を望むこの公園に来ると、「自然災害は形、時、規模、何もかも予測できない。高台であっても絶対はない」と、あらためて思う。「海と共存する地域だからこそ、いざという時、自らが避難する意識を強く持たなければ」。津波の教訓を地区全体で共有し、安心して暮らせるまちづくりを続けていく―と前を向いた。

オンライン版「異言語脱出ゲーム」で、謎解きに挑戦する手話サークル「橋」のメンバー

オンラインでお化け退治!? 釜石・手話サークル「橋」 聴覚障害者と挑む謎解き

オンライン版「異言語脱出ゲーム」で、謎解きに挑戦する手話サークル「橋」のメンバー

オンライン版「異言語脱出ゲーム」で、謎解きに挑戦する手話サークル「橋」のメンバー

 

 岩手県内で初めて手話言語条例を制定した釜石市で、聴覚障害者への関心と手話を広げようと活動するグループがある。手話サークル「橋」(中里麻衣代表)だ。新型コロナウイルスの流行が続く中、感染拡大防止を考慮し、聴覚障害がある人との交流は控えている。手話をする機会を増やし、「伝える力」「理解する力」を養おうと模索。2月23日、聴覚障害者と協力してゴールを目指す体験型の謎解きゲーム「異言語脱出ゲーム」に挑戦した。

 

 異言語脱出ゲームは、ワークショップなどを行う一般社団法人「異言語Lab.」が生み出した、謎解きの要素に手話・筆談・音声などを組み合わせた新しいスタイルの脱出ゲーム。聴覚障害者と耳の聞こえる健聴者が協力しなければ謎を解くことができず、より深いコミュニケーションが不可欠となる。

 

 今回は、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使ったオンラインゲーム「リモートDEお化け退治大作戦~遺された想い」に挑んだ。同サークルのメンバー6人(全員健聴者)がチームとなり、聴覚障害者からお化け退治の依頼を受けるという設定。依頼者からヒントをもらいながら、さまざまな謎を解いて除霊を目指す。制限時間は60分。

 

 参加者は手話だけでなく、身振り手振り、スマートフォンなどを使い、相談しながら数々の謎解きに挑戦した。「○○って手話はどうするの?」「ヒントではなんて言ってた?」。やりとりを重ねて謎を解き、制限時間ぎりぎりで任務完了。6人は「よし!」と達成感をにじませた。

 

気持ちを伝えるため動きを合わせるメンバー。画面越しの交流を楽しむ

気持ちを伝えるため動きを合わせるメンバー。画面越しの交流を楽しむ

 

 釜石高2年の川原凜乃さん、矢内舞さんは「ひらめき」で任務遂行に一役買った。中学生で手話を始めた川原さんは「まだ勉強中で、分からないこともたくさんある。画面越しでも楽しみながら交流できた」と充実した表情。昨年11月に手話の面白さを知ったばかりの矢内さんは「思いついた動きでもやってみると伝わるのが分かった。ただ、きちんとした手話を知らないと思いが伝わらず、相手を困らせてしまうことがあるかもしれない。サークルの大人たちみたいなやりとりができるよう、もっと頑張りたい」と刺激を受けていた。

 

 同サークルは1970年に発足し、県内で最も長い歴史のある団体。現在、10人ほどが週1回活動する。手話での声なしスピーチ、かるたなどゲームで聴覚障害者らとの交流を通し、楽しく手話の知識を深め合っている。メンバーには耳が聞こえず、目が見えない盲ろう者がいるが、コロナ禍で参加を見合わせている。サークル外活動も難しい状態が続くが、昨年は障害者らも集う祭りで手話歌を披露した。

 

中里代表(左)、若手を見守る岩鼻さん(左から2人目)

中里代表(左)、若手を見守る岩鼻さん(左から2人目)

 

 実戦経験になるとオンラインイベントへの参加を決めた中里代表(32)。「思った以上に会話が広がり、どうすれば相手に伝わるかを考え、自分とは違った見方があることを知る機会にもなった」と手応えを得た。画面越しでも他地域の人とつながる体験に新鮮味を実感。「手話の技術、知識を深めるため、いろんな考えを伝え合えるサークル活動を続けたい」と思いを強めた。

 

 手話通訳士の資格を持つ岩鼻千代美さんは今回、サポート役に徹した。メンバーたちが謎解きに集中し、聴覚障害者が「次、どうすればいいの?」などと問いかけても反応しない場面があり、「誰か返事して。コミュニケーションとって」と助言。もどかしさを感じながらも、「伝え合おう」とする若手たちを温かく見守った。「条例を作って終わりではなく、手話を学び、相手を理解しようという人の輪が広がってほしい」と願う。

色鮮やかな作品が並ぶひなまつり展。来場者の目を楽しませている

華やかつるし飾りに「春を感じて」 手芸教室の女性ら、釜石でひなまつり展

色鮮やかな作品が並ぶひなまつり展。来場者の目を楽しませている

色鮮やかな作品が並ぶひなまつり展。来場者の目を楽しませている

 

 釜石市大町の市民ホールTETTOギャラリーで、釜石や大槌町の女性たちが制作した人形などを紹介する「ひなまつり展」が開かれている。色鮮やかな作品が並び、会場は華やいだ雰囲気。手作りで温かみのある、ひな人形を見つめる人たちが春の暖かさを先取りしている。3月6日まで。

 

 同ホールの主催。ミシン・手芸用品の販売などを行う大町のニコー商会が協力し、同社の里舘恭子さん(61)が2市町で実施する手芸教室に通う50~80代の女性25人ほどが出品。花や動物などが連なるつるし飾りや壁掛け、ちりめん細工の干支(えと)、大小さまざまな人形など200点余りが並んでいる。

 

華やいだ雰囲気のつるし飾りを見つめる人たちにも笑顔が広がる

華やいだ雰囲気のつるし飾りを見つめる人たちにも笑顔が広がる

 
手作り感が魅力のちりめん細工。色とりどりの花が春らしさを感じさせる

手作り感が魅力のちりめん細工。色とりどりの花が春らしさを感じさせる

 

 同じ題材でも作り手によって色合いや表情はさまざま。子どもや孫の成長を願ったり、季節を感じてもらえたら―と、一針一針に込めた思いもそれぞれ。個性がにじむ温かみのある作品ばかりだ。

 

「どんな思いが込められているのかな?」と想像しながら楽しむ

「どんな思いが込められているのかな?」と想像しながら楽しむ

 
愛らしい表情の人形がずらり。今年のえと「トラ」も並ぶ

愛らしい表情の人形がずらり。今年のえと「トラ」も並ぶ

 
 出品者の一人、平田の70代女性は端午の節句にちなんだつるし飾りも作り、「女の子も、男の子も、みんな健やかに大きくなってほしいからね」と願いを託す。毎週木曜日の釜石教室で手芸好きの仲間と集うのを楽しみにしていて、「おしゃべりできるのがいい。ストレス解消になる」と目を細めた。

 

手を動かしつつ会話も弾ませる手芸教室=2月10日、釜石市大町・ニコー商会

手を動かしつつ会話も弾ませる手芸教室=2月10日、釜石市大町・ニコー商会

 

 里館さんは「コロナ禍、少しでもほっこりしてもらえたら。一つひとつ表情が違う作品を見て、春の気分を味わってほしい」と来場を呼び掛ける。手芸教室への参加を随時募集中。問い合わせは同社(電話0193・24・2366)へ。

広報かまいし2022年3月1日号(No.1779)

広報かまいし2022年3月1日号(No.1779)

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広報かまいし2022年3月1日号(No.1779)

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【P1】
3月11日追悼行事
東日本大震災犠牲者追悼式 他
【P2-3】
市長挨拶 他
【P4-5】
新型コロナワクチン接種(3回目接種)
【P6-7】
まなびぃ釜石
【P8-11】
税の申告期限・納期限
まちのお知らせ 他
【P12】
釜石シーウェイブスRFCリーグ戦 3~4月釜石開催

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専用ヘッドマークを付け運行する「ブルズ列車」

復興祈念試合へ三鉄が応援列車運行 岩手ビッグブルズ(バスケ)とコラボ

専用ヘッドマークを付け運行する「ブルズ列車」

専用ヘッドマークを付け運行する「ブルズ列車」

 

 三陸鉄道(中村一郎社長)は、3月に釜石、宮古両市で復興祈念試合を行うプロバスケットボールチーム・岩手ビッグブルズ(水野哲志社長)を応援しようと、21日から「ブルズ列車」の運行を開始した。専用ヘッドマークを装着した列車は、3月末まで久慈―盛間を毎日運行(1日2往復程度)。東日本大震災から11年となる沿岸被災地を両社のタッグで力付ける。

 

 21日、釜石駅で出発式が行われた。中村社長は6連勝中のブルズのさらなる活躍に期待。「沿岸の皆さんにもぜひ生で試合を見てほしい。列車に乗って会場に足を運び、たくさんの応援を」と呼び掛けた。水野社長は「震災の4カ月前に発足したチームも11年が経過。常に復興を意識し活動してきた。私たちの思いを乗せた列車が走ってくれるのは感動」と喜んだ。関係者のテープカットで運行開始を祝った。

 

三陸鉄道釜石駅駅舎前で出発式が行われ、テープカットで運行開始を祝った

三陸鉄道釜石駅駅舎前で出発式が行われ、テープカットで運行開始を祝った

 

 同列車のヘッドマークには、チームの願い「三陸と共に」という言葉と復興祈念試合の日程が記される。車内には選手15人を紹介するポスターを掲示。顔写真に直筆サインとそれぞれの鉄道や電車の思い出が添えられている。

 

選手のサイン入りポスターで彩られる車内。チームカラーの赤が視線を集める

選手のサイン入りポスターで彩られる車内。チームカラーの赤が視線を集める

 

ポスターには各選手の列車の思い出が添えられる

ポスターには各選手の列車の思い出が添えられる

 

 水野社長と式に出席し、車内を初めて見学した大澤歩選手(30)は「ここで選手を覚えて、会場で実物を楽しんでは」とコラボ企画に笑顔。自身は静岡県出身で、ブルズに移籍して1年目。「復興への思いが強く、共に成長してきたチームだと感じる。3月の祈念試合は何が何でも勝つ。皆さんに勇気と希望を与えられるような試合をしたい」と意気込む。

 

列車内を見学する岩手ビッグブルズの水野哲志社長(左)と大澤歩選手

列車内を見学する岩手ビッグブルズの水野哲志社長(左)と大澤歩選手

 

 復興祈念試合は、日本プロバスケットボール男子Bリーグ3部(B3)に所属するブルズのホーム戦。3月12、13日は宮古市民総合体育館でアルティーリ千葉と、26、27日は釜石市民体育館で東京八王子ビートレインズと対戦する。試合当日、三陸鉄道を利用して会場を訪れた人には、記念缶バッジをプレゼントする。

 

三鉄に乗って会場を訪れた人にプレゼントする缶バッジ。受け取り方は後日、両社のHPで告知

三鉄に乗って会場を訪れた人にプレゼントする缶バッジ。受け取り方は後日、両社のHPで告知

 

 震災後、本県沿岸の被災地で復興祈念試合を継続してきたブルズ。釜石市では2019年12月、鵜住居町に新設された市民体育館のこけら落としで初めて試合を行った。21年2月には、震災10年を機に作成した、同市出身アーティスト小林覚さんの作品をデザインした特別ユニフォームを着用し、試合に臨んだ。今季のユニフォームにも小林さんの作品が採用されており、宮古、釜石両会場の試合で身に着ける。

震災復興への貢献で釜石市から感謝状を受けた市内団体の代表ら(前列)

震災復興支援に感謝 釜石市が市内79非営利団体に感謝状贈呈

震災復興への貢献で釜石市から感謝状を受けた市内団体の代表ら(前列)

震災復興への貢献で釜石市から感謝状を受けた市内団体の代表ら(前列)

 

 釜石市は18日、「東日本大震災復興支援感謝のつどい」を市内のホテルで開き、復興推進に貢献した地域の非営利団体に感謝状を贈った。これまでの復興の歩みを振り返り、今後の支援の在り方を考える意見交換も行われ、会場の模様はユーチューブチャンネルで生配信された。収録映像は3月31日まで配信される。

 

 新型コロナウイルス感染拡大を考慮し、出席者を約20人に制限して開催。感謝状を贈呈する市内79団体のうち5団体の代表が出席し、野田武則市長から感謝状を受け取った。震災直後からボランティアの受け入れや支援活動のコーディネート、被災住民の心のケアなどに取り組んできた各団体。野田市長は「行政だけでは手が届かない部分に尽力してくれたおかげで、ここまで復興が成し遂げられた」と労をねぎらい、市民を代表して感謝の気持ちを伝えた。

 

釜石市社会福祉協議会など5団体に感謝状を贈呈(写真右は社協の丸木久忠会長)

釜石市社会福祉協議会など5団体に感謝状を贈呈(写真右は社協の丸木久忠会長)

 

復興10年の歩みを振り返り、今後の支援の在り方を考えた意見交換会

復興10年の歩みを振り返り、今後の支援の在り方を考えた意見交換会

 

 映像で同市の復興の歩みを振り返った後、5団体の代表と市の幹部職員らが意見交換。支援活動の内容やこの10年で感じたことを共有し、今後の支援について意見を交わした。

 

 釜石市社会福祉協議会によると、同社協が震災直後から開設したボランティアセンターを通じて活動した人は延べ約9万2千人(2020年度末まで)。菊池亮地域福祉課長は、同市におけるボランティア精神の根付きに確かな手応えを実感。丸木久忠会長は震災復興支援を機に、愛知県東海市や東京都荒川区の社協と災害時相互支援協定を結んだことを挙げ、平時の交流促進にも期待を寄せた。

 

 アットマークリアスNPOサポートセンターは、国際NGOなど外部の支援者と地元支援団体をつなぐ役割を担ったほか、市民の協力を得て仮設住宅の見守り活動を行った。川原康信事務局長は「外部支援の受け入れでは、地域の事情を知る地元組織が中間的役割を担うことでトラブル回避につながる」と話した。

 

震災後の支援活動で感じたことを話す市内団体の代表ら

震災後の支援活動で感じたことを話す市内団体の代表ら

 

野田武則市長と市幹部職員らが各団体の話に耳を傾けた

野田武則市長と市幹部職員らが各団体の話に耳を傾けた

 

 釜石支援センター望は仮設、復興住宅でのサロン活動やイベント開催で、住民のコミュニティー形成を後押ししてきた。ここ数年の課題として挙げたのは「支援者の高齢化」。活動を支えるボランティアは今後、減少が見込まれ、担い手不足が懸念される。海老原祐治センター長は「今までのボランティア活動は被災地が作った1つのレガシー(遺産)。これからも続けていけるしくみを市と協力して考えていければ」と願った。

 

 カリタス釜石はカトリック釜石教会(大只越町)を拠点に、ボランティアの受け入れやお茶っこサロンの開設などを行った。道又譲理事は「ボランティアで釜石に来た人たちからまた行きたいとの声をいただく。コロナが収まったら、復興した釜石に来てほしい」とし、まちの魅力発信など新たな形の活動を模索する。

 

 NPOおはこざき市民会議は、箱崎半島部8漁村集落の復興を目的に設立。ハード、ソフト両面の課題解決に取り組んできた。漁業体験、海産物を生かした特産品開発、郷土料理講習会などを継続し、水産業の振興、地域活性化につなげる。佐藤啓太理事長は「漁業体験が海の仕事への関心を高め、将来の担い手育成にもつながっていけば」と期待する。

 

震災から10年が経過し、今後の支援活動はどうあるべきかについても意見を交わした

震災から10年が経過し、今後の支援活動はどうあるべきかについても意見を交わした

 

 各団体が釜石の支援活動の特長としたのが「行政と民間の連携」。市社協は「市のさまざまな部署と情報交換を密にすることで支援ニーズを把握できた」、支援センター望は「行政と社協、各団体の協働が“釜石モデル”として注目されている」とし、これらの経験を未来に生かすことを望んだ。

 

 「コロナ禍で外出機会が減り、心身が衰えてしまう人が多い」との指摘も。今後は被災地域以外にも目を向け、住民の健康づくり、コミュニティー再構築などに取り組んでいく必要があるとの認識も示された。

ウメの木の剪定を学ぶ参加者=釜石市片岸町で

ウメ栽培技術向上へ 生産者ら講習会 剪定作業のポイント学ぶ

ウメの木の剪定を学ぶ参加者=釜石市片岸町で

ウメの木の剪定を学ぶ参加者=釜石市片岸町で

 

 釜石地方梅栽培研究会(前川訓章会長、会員23人)は10日、ウメ栽培の技術講習会を釜石市片岸町の圃(ほ)場などで開いた。安定生産に向けた栽培管理、技術向上を図るため、剪定(せんてい)に適した開花前のこの時期に開いているもので、会員ら約20人が参加。大船渡農業改良普及センター上席農業普及員の昆悦朗さん(53)が座学と実技でポイントを伝えた。

 

 実技講習は会員の山﨑ハル子さんの圃場(約300坪)で行われた。昆さんは剪定の目的について、▽樹勢の調整▽日照条件の改善▽病害虫の発生予防-などと説明。特に重要なのは「作業性の改善」で、樹高を下げ、日当りをさえぎるような枝を整理することで管理がしやすくなると助言した。

 

 「分かっていても、なかなか切ることができない」と会員ら。昆さんはノコギリやハサミを手に「木の勢いを確認し、軸となる枝を決める。流れに逆行している枝は思い切って間引く」などと話しながら、剪定を実演した。

 

ほころび始めた可憐な白い花に会員は意欲を高める=釜石市片岸町で

ほころび始めた可憐な白い花に会員は意欲を高める=釜石市片岸町で

 

 講習場所の畑を管理するのは山﨑さんの息子、元市さん(71)で、40本ほどのウメの木を育てる。日当たりのいい場所にあり、花が2、3輪ほころんでいるものも。「両親が道楽で始めたウメ栽培。自宅でウメを漬けるくらいで、素人も同然。毎年やってみなきゃ、分からない」と試行錯誤している。ポイントを教わる機会になり、「実がなるよう、樹形をイメージしながら枝を切っていく」と、木を見上げた。

 

 座学は鵜住居町の鵜住居地区生活応援センターで行い、剪定や施肥、病害虫防除など栽培管理の技術を学んだ。同会事務局、小川町の酒造会社浜千鳥の奥村康太郎さんが梅酒製造など、ウメを活用した取り組みを報告。梅酒で使われた実の2次利用について、会員らに意見を求める場面もあった。

 

講師の説明を熱心に聞く参加者=釜石市鵜住居町・鵜住居地区生活応援センター

講師の説明を熱心に聞く参加者=釜石市鵜住居町・鵜住居地区生活応援センター

 

 梅酒の原料として、浜千鳥がウメの集荷を始めたのは2010年。当初は生産・出荷者の入れ替わりが多く、不作の年にも当たるなど収量が安定しなかった。同会が設立した14年以降は出荷者が20人前後に定着。2トン弱だった収量は近年、5トン超となる年もあり、講習会の成果が出始めている。同社によると、安定的な梅酒製造には6~7トンが必要で、「生産者の拡大や技術の向上など継続的な取り組みを進めたい」としている。

 

 今年は6月中旬から7月上旬の集荷を見込む。前川会長(75)は「いいウメを育てるには手入れが必要。手間暇はかかるが、楽しみながら生産を続ける。仲間を増やし、地域資源を活用していきたい」と前を向いた。

広報かまいし2022年2月15日号(No.1778)

広報かまいし2022年2月15日号(No.1778)

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広報かまいし2022年2月15日号(No.1778)

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【P1】
表紙
【P2】
成人式ギャラリー・まちの話題
【P3-7】
【特集】菊池流帆選手 
【P8-9】
新型コロナワクチン3回目接種
【P10-11】
市・県民税の申告
成年年齢の引き下げに伴うトラブルへの注意喚起 他
【P12-14】
こどもはぐくみ通信
市民のひろば 他
【P15-17】
まちのお知らせ
【P18-19】
保健だより
【P20】
東日本大震災犠牲者追悼式
会計年度任用職員の募集

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自治体と大学の連携事例を紹介するフォーラム

地域振興へ連携深化 釜石市と岩手大フォーラム 成果示すパネル展も

自治体と大学の連携事例を紹介するフォーラム

自治体と大学の連携事例を紹介するフォーラム

 

 岩手大学地域連携フォーラム(岩手大、釜石市主催)は3日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。新型コロナウイルスの流行が続く中、オンライン配信を取り入れて行い、会場参加と合わせて約100人が聴講。「ポストコロナにおける新しい地域連携・課題解決-デザイン思考の活用」をテーマに、連携事例の紹介や研究成果の報告、パネル討論が行われた。

 

 同大は2001年に締結した相互協定に基づき、釜石市と共同研究に取り組むとともに、市の職員を大学の共同研究員として受け入れ、多くの分野で連携を重ねてきた。震災後に釜石サテライトを設け、13年には三陸水産研究センターを設置。18年からは農学部食料生産環境学科水産システム学コースの学生が釜石キャンパスを拠点として研究活動に取り組んでいる。20年度には両者と民間企業などが連携し、釜石湾でサクラマスの養殖試験を始めた。

 

学生や教授らの成果報告に耳を傾けた参加者

学生や教授らの成果報告に耳を傾けた参加者

 

 現在、釜石に在住し水産分野の研究や地域連携活動に取り組んでいる学生は24人。同コース4年の古澤直哉さんが、市学生活動支援事業補助金を活用し企画展開した出前授業、定置網見学とすし作り体験ツアーなど市民との交流活動について報告した。魚食の魅力や海の豊かさを発信できたと成果を強調。「企画した交流活動が成功した時の喜びや事前準備の大切さを実感。社会人としての助走の機会になった。人とのつながりを得て、釜石への愛着も湧いた」と充実感を見せた。

 

共同研究員の役割や取り組み事例を報告する佐々木千里さん

共同研究員の役割や取り組み事例を報告する佐々木千里さん

 

 5代目共同研究員として20年4月から同大に派遣されている市職員の佐々木千里さんは、歴代研究員が手掛けた連携事例を紹介。研究員が大学の知見を得たい市内企業と同大を結ぶ窓口となることで、スムーズな連携相談、関係構築が可能になるとし、「効率的、効果的な取り組みができるよう調整役を担っていく」と意欲を示した。

 

 同大理工学部教授らが、商品販売やまちづくりなどのさまざまな課題を解決するための思考方法「デザイン思考」をテーマにした地方創生の取り組み、SDGs(持続可能な活動目標)活動の事例を紹介。釜石の老舗和菓子会社社長らを加えたパネル討論では、この思考法を取り入れた地域振興と人材育成の在り方を共有した。

 

釜石高の探究活動などがパネル展示で紹介された

釜石高の探究活動などがパネル展示で紹介された

 

 文科省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている釜石高はオンラインで参加し、郷土芸能「虎舞」の起源など地域に関わる探究活動の成果を発表した。クジラ資源の利用をテーマに研究に取り組んだグループは「捕鯨問題は世界各国の文化の違いがあり解決は難しいが、全身を余すところなく利用できるクジラは重要な海洋資源となりうる」と考察した。 

 

 同大の小川智学長は「今後も三陸地域の活性化のため、教育をテーマにさまざまな活動を継続する」と強調。野田武則市長は「大学が持つ知に期待。地域振興に向け連携を深めたい」と望んだ。

竹灯籠作り体験=1月30日・根浜レストハウス

3・11追悼、防災の思い新たに 市民手作りの竹灯籠を根浜の避難階段へ

竹灯籠作り体験=1月30日・根浜レストハウス

竹灯籠作り体験=1月30日・根浜レストハウス

 

 東日本大震災から間もなく11年―。震災の津波で大きな被害を受けた釜石市鵜住居町根浜地区で、犠牲者の追悼と防災への願いを込めた竹灯籠を避難階段に設置する準備が進む。根浜海岸観光施設「根浜シーサイド」を管理するかまいしDMC(河東英宜社長)が企画。1月29、30の両日、敷地内のレストハウスで市民向け製作体験会が開かれた。完成した竹灯籠は2月12日に点灯式を行い、震災命日の3月11日までの間、毎週土・日曜、祝日と11日当日、午後5時から同7時までともされる。

 

竹灯籠をともす避難階段(111段)。両側の手すり沿いに設置する

竹灯籠をともす避難階段(111段)。両側の手すり沿いに設置する

 

 竹灯籠は、同施設キャンプ場と高台の市道箱崎半島線をつなぐ避難階段に計46本ともす予定。箱崎町仮宿の住民から寄付された直径10センチ弱の青竹約10本を切り分けて製作。体験会には家族連れなど、2日間で約50人が参加した。取り組んだのは、明かりが漏れるよう竹に穴を開ける作業。模様が描かれた型紙を竹に貼り、電動ドリルの刃を替えながら大きさの違う穴を開けた。持ち帰り用に丈の短い灯籠も作った。

 

スタッフから電動ドリルの扱い方を学ぶ親子

スタッフから電動ドリルの扱い方を学ぶ親子

 

どんな模様になるのかな?お母さんの作業に興味津々の女の子

どんな模様になるのかな?お母さんの作業に興味津々の女の子

 

 平田の福士大成君(8)は家族5人で参加。「ドリルで穴を開ける時の手に伝わる振動がすごく面白い」と夢中。「3・11」や自分の名前も上手に刻んだ。生まれる前に起こった大震災。学校の防災授業や祖母らの話を聞いて、その悲しみや教訓を心にとどめてきた。「自分の命は自分で守り、できれば他の人の命も守りたい」と大成君。母親の優さん(38)は「3・11が近づくと子どもの方から震災のことを聞いてくる。小さいころから復興の様子を少しずつ見ていた。意識してくれているのかな」。大成君が自ら刻んだ「3・11」の文字を感慨深げに見つめた。

 

「3・11」への思いを込め、熱心に作業する福士大成君(中央)

 「3・11」への思いを込め、熱心に作業する福士大成君(中央)

 

家族で参加した福士さん一家。出来上がった灯籠を手に記念の一枚!

家族で参加した福士さん一家。出来上がった灯籠を手に記念の一枚!

 

 観光施設は、被災住民が高台移転した後の集落跡地に整備。キャンプ場のほか天然芝の広場や大型駐車場を備え、2019年8月にオープンした。これまで地震や津波発生時の避難経路は、車両通行が可能な生活道路と近くの神社境内から市道に上がる2ルートだったが、昨春、キャンプ場から直接駆け上がれる避難階段が整備された。

 

 かまいしDMC地域創生事業部の佐藤奏子さん(根浜・箱白地域マネジャー)は「キャンプ場が満区画になると、100人近くがここにいることになる。迅速に避難できる階段を皆さんに知ってもらえたら。3・11に向け、変わらない追悼の思いを共有しながら、防災への意識を高める機会にしたい」と話す。

 

避難階段に設置する竹灯籠。点灯式は2月12日(土)午後5時~

避難階段に設置する竹灯籠。点灯式は2月12日(土)午後5時~

 

 竹灯籠の明かりはLED豆電球を使用。電力は地域から出る廃食油を精製したバイオディーゼル燃料で発電。二酸化炭素を排出しない環境にやさしい燃料で、脱炭素社会実現への願いも発信する。

唐丹公民館で開かれた節分の会。参加者は豆をまいて鬼を退治した

「コロナも鬼も外」鬼退治で世代間交流 きょう節分 唐丹公民館で豆まき

唐丹公民館で開かれた節分の会。参加者は豆をまいて鬼を退治した

唐丹公民館で開かれた節分の会。参加者は豆をまいて鬼を退治した

 

 3日の節分を前に1日、釜石市唐丹町の唐丹公民館で、子どもと住民の交流を図る「節分の会」が開かれた。同館が併設されている復興住宅入居者や地域住民、唐丹児童館の子どもら約30人が参加。新型コロナウイルス退散や1年の健康を願って仲良く豆まきした。

 

 児童館職員と年長の村上波月(はづき)ちゃん(6)が紙芝居で豆まきの由来を説明した後、「心の中にいる悪い鬼を追い出そう」と呼び掛けて豆まきを開始。色画用紙で手作りしたお面をかぶった子どもや高齢のお母さんたちは、こん棒を持った鬼役の住民に向かって「鬼は外」と元気よく豆を投げた。力を合わせて無事に鬼を追い出すと、互いに豆を投げ合い、子どもたちは心の中の「のんびり鬼」「ゲームしすぎ鬼」「言うこと聞かない鬼」、大人は体の不調やコロナ禍の不安を撃退。「残ったのは福の神だ」と明るい声を響かせた。

 

高齢のお母さんたちは子どもたちのかわいらしい姿に顔をほころばす

高齢のお母さんたちは子どもたちのかわいらしい姿に顔をほころばす

 

 さらに福を呼び込もうと、餅つきも。子どもたちは大人の力を借りて「よいしょー」「ソーレ」などと声を掛け合いながら交代できねを振り下ろした。倉又海成ちゃん(5)は「餅をぺったんして楽しかった」とにっこり。鳥居大愛(たお)ちゃん(5)は「おばあちゃんたちとたくさん遊んだ」と満足そうだった。

 

「よいしょ」「ぺったん」と掛け声を合わせて餅つきを楽しむ参加者

「よいしょ」「ぺったん」と掛け声を合わせて餅つきを楽しむ参加者

 

 今春、小学生になる波月ちゃんは「鬼が出てきたときはびっくりしたけど、みんなで倒すことができて良かった」と怖いものを乗り越え、たくましい表情を見せた。復興住宅で暮らす上村ツネ子さん(83)と木村ヨミ子さん(82)は「子どもたちがいると楽しいし、にぎやか。元気をもらって若返る。これからもいろんなことを一緒にやって、コロナを吹き飛ばしたい」と目を細めた。

 

 住民の交流促進、孤立化の予防などを目的に2016年から月例で実施する食事交流会の一環。小正月行事のみずき団子づくりなど季節の行事では今回のように世代間交流も取り入れている。コロナの影響で1年半以上休止。昨年12月のクリスマス会から再開した。今回、子どもたちは食事を控え、おすそ分けされた餅を児童館に持ち帰った。同館の千菅英理子館長は「地域にはいろんな声が響いているのがいい。コロナは長引いているが、うまく付き合っていくしかない。感染対策を徹底し、できるだけ行事は中止せず、交流事業を続けたい」と模索する。