甲子、鵜住居両河川にアユの稚魚放流~豊かな自然環境を目指して~


2021/05/27
釜石新聞NewS #地域

アユの稚魚を放す甲子川鮎釣協力会のメンバー

水槽車両から延ばしたホースで放流=松倉橋付近

 

 釜石市内の甲子川、鵜住居川に今年もアユの稚魚が放流された。河川環境を守る取り組みは関係者によって長年続けられる。解禁日は甲子川が7月4日、鵜住居川が7月11日。稚魚の成育保護のため、両河川とも6月1日から解禁日前日まで全魚種が禁漁となる。

 

 甲子川では11日、甲子川鮎釣協力会(安久津吉延会長)など3者によって放流事業が行われた。体長7~8センチに育った稚魚、総量300キロを甲子川(大松~中妻間)約20カ所、支流の小川川2カ所に放流した。稚魚は大船渡市の盛川漁協から購入した。事業費は約112万円。同会に寄せられる釣り人らの協力金のほか、甲子地域会議、クボタ環境サービスからの応援金が充てられた。放流には約20人が協力した。

 

水槽車両から延ばしたホースで放流=松倉橋付近

アユの稚魚を放す甲子川鮎釣協力会のメンバー

 

 同会会員で、協力金受け付けの窓口となる釣具オヤマ(甲子町)の小山哲平さん(44)は「昨今の異常気象で、良好な河川環境を保ち続けるのは難しいが、放流を続けることで少しでも保たれる。放流魚が産卵し、次の世代に命をつないでいけるような環境が理想。これからも魚がすむ川を維持できれば」と望んだ。

 

 河川漁協のない甲子川は入漁料を徴収しないため、稚魚の放流は協力会に寄せられる釣り人らの善意で支えられる。協力金が増えたことで、2年連続で300キロの放流が可能になった。順調に気温が上がり、極端な大雨などがなければ、解禁日には18~20センチに成長した姿が見られそうだ。

 

 一方、鵜住居川では16日、鵜住居川漁業協同組合(川崎公夫代表理事組合長、組合員160人)がアユの稚魚400キロを放流した。鵜住居町日ノ神橋付近から橋野町どんぐり広場手前まで約20カ所に、盛川漁協から購入した体長7~8センチの稚魚を放した。事業費は約155万円。組合費、釣り客の遊漁料のほか、鵜住居地域会議などの協賛金で賄われた。組合員約30人が放流にあたった。

 

バケツリレーで稚魚を運ぶ鵜住居川漁協の組合員ら

バケツリレーで稚魚を運ぶ鵜住居川漁協の組合員ら

 

夏までにアユが大きく育つよう願いながら放流

夏までにアユが大きく育つよう願いながら放流

 

 組合によると、昨年のアユは成育が良く、解禁時には20~21センチにまで成長。釣果も良く、釣り客は地元のみならず関東方面からも訪れた。問い合わせも多かったという。川崎組合長(71)は「2016年の台風被害の河川工事も終わり、環境が回復したことが大きかったようだ。川がきれいでないと、魚も人もすめない。汚さないようにみんなで気を付けていければ」と保全意識高揚を願う。

 

放流時の鵜住居川の水温は14度。川に放たれた稚魚は上流方向へ元気に泳ぎ出した

放流時の鵜住居川の水温は14度。川に放たれた稚魚は上流方向へ元気に泳ぎ出した

 

 鵜住居川での釣りには、組合員証か遊漁券が必要。遊漁券(日券、年券あり)は、市内の釣具店や流域の小売店など赤いのぼり旗を掲げた販売所で購入できる。組合では今年も、ごみの持ち帰りや密漁禁止などマナーや法順守の徹底を呼び掛ける。

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