菜の花畑で癒やしの時間を~橋野町のエコ農園23日まで無料一般開放


2021/05/22
釜石新聞NewS #地域

目にも鮮やかな菜の花が楽しめる農園=15日

目にも鮮やかな菜の花が楽しめる農園=15日

 

 一般社団法人ユナイテッドグリーン(山田周生代表理事)は、釜石市橋野町に開設するエコ農園・菜の花畑を23日まで無料で一般開放している。園内では見学や写真撮影など自由に過ごすことができる。山田代表は「コロナ禍であちこち出歩けない状況。自然豊かな空間で、おいしい空気を吸ってゆっくり過ごしてもらえれば」と来訪者を歓迎する。開放時間は午前10時から午後4時まで。

 

 産地直売所「橋野どんぐり広場」近くにある菜の花畑は、広さ約30アール。震災後、「菜の花大地復興プロジェクト」を展開してきた山田代表が、地元農家から休耕農地を借りて作付けしている。同プロジェクトは、被災農地や耕作放棄地に菜の花を植え、種から搾った菜種油を全国へ販売する取り組み。塩分吸収率が高い菜の花による土壌浄化、被災者の雇用創出などで沿岸部(山田町~陸前高田市)の復興を後押ししてきた。

 

 釜石市内では鵜住居川流域を中心に、休耕田などを活用して菜の花を栽培。仮設住宅入居者らが種まき、雑草取り、収穫、ラベル貼りなどを担い、収入を得てきた。復興の進展とともに栽培地は減っているが、橋野の同畑では今年、約2倍に面積を広げ、プロジェクトの回復を図る。

 

 開花時期の一般開放はこれまで、1日限定で開設する「菜の花青空レストラン」で行ってきたが、今年初めて期間を設けて実施。初日の9日には昼食提供のほか茶道や楽器演奏など好きなことを楽しんでもらい、以降は自由に来場してもらう形で開放している。

 

菜の花に囲まれた野だて席での一服は格別=9日(写真:山田周生さん撮影)

菜の花に囲まれた野だて席での一服は格別=9日(写真:山田周生さん撮影)

 

花の中で奏でる音楽に酔いしれる来場者=9日(写真:山田周生さん撮影)

花の中で奏でる音楽に酔いしれる来場者=9日(写真:山田周生さん撮影)

 

 15日に訪れた甲子町の佐々木勇人さん(44)、江利さん(41)夫妻は、長女琉心ちゃん(3)と〝黄色いじゅうたん〟を満喫。「幸せな気分になる。コロナで騒いでいる世間とはかけ離れた世界。娘に『お花見行くよ』と言ったら、すごく喜んで車中では歌を歌いながら来ました。屋外で楽しめる場所はありがたい」と声を弾ませた。

 

 山田代表によると、今年は予想より開花が早まり、10日ごろには満開のピークを迎えた。すでに種が付き始め、花は終盤に入ったが、23日までは予定通り開放する。花が終わった後は、種を収穫し搾油。今季の菜種油は順調にいけば、年末から年始には販売できる見込み。市内では橋野どんぐり広場などで購入できる。

 

 山田代表は「この取り組みを絶やさず、釜石の菜種油としてブランド化できれば。ふるさと納税の返礼品など全国への発信も模索しながら、販路拡大につなげたい」と意欲を見せる。

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