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子どもの安全安心守る遊び場「がおー」 イオンタウン釜石内にオープン 楽しい遊具に目キラキラ

室内遊び場のオープンを「がおー」ポーズで祝うセレモニー出席者

室内遊び場のオープンを「がおー」ポーズで祝うセレモニー出席者

 
 釜石市港町の商業施設イオンタウン釜石2階に25日、室内遊び場がオープンした。市が整備したもので、愛称は「あそびば がおー」。虎舞や海などをイメージした釜石らしさ満載の大型遊具、乳幼児用の各種玩具などが設置されている。0歳から小学校低学年程度の子どもが保護者同伴で、無料で利用できる。年中無休(臨時休館あり)。利用時間は午前9時から午後5時まで。
 
 オープニングセレモニーで小野共市長は「子どもたちが元気に遊び、後になって大切な時間を過ごせたと思えるような空間になれば。釜石にとって末永くかけがえのない場所となることを願う」とあいさつ。市の愛称募集で応募総数65点の中から選ばれた「あそびば がおー」の名付け親、鈴木逢さん(8)に表彰状と記念品が贈られた。鈴木さんは、通学する県立釜石祥雲支援学校の授業で愛称を考えた。母親によると、おもちゃの太鼓や笛でお囃子(はやし)をまねるほど「虎舞」が大好きで、虎の鳴き声のイメージ「がおー」を名前に考えたという。足のけがで、この日は遊べなかったが、初めて目にした遊び場にうれしそうな笑顔を見せた。上中島こども園の園児13人が歌とダンスで遊び場の完成をお祝い。関係者のテープカットでオープンした。
 
愛称「あそびば がおー」の名付け親、鈴木逢さんには小野共市長から表彰状と記念品の虎頭が贈られた

愛称「あそびば がおー」の名付け親、鈴木逢さんには小野共市長から表彰状と記念品の虎頭が贈られた

 
企業版ふるさと納税で遊び場整備に貢献したイオンタウンには感謝状を贈呈。東北事業部の渡邊朋子部長が受け取った

企業版ふるさと納税で遊び場整備に貢献したイオンタウンには感謝状を贈呈。東北事業部の渡邊朋子部長が受け取った

 
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上中島こども園の園児が歌とダンスで遊び場オープンをお祝い

 
 セレモニーの後は、同こども園児や買い物に訪れた親子連れなどがさっそく“遊び初め”。真新しい遊具やおもちゃに目を輝かせながら、遊びに夢中になった。甲子小1年の安斉茉柚さん(6)は「めっちゃ楽しい。どれから遊ぼうかなって迷う」とにっこり。回転する遊具が気に入った様子で、「押すのに汗かく。いい運動」と声を弾ませた。2歳の娘が遊ぶ様子を見守った同市の浦島優葉さん(33)は「花粉も気になるし、今は大槌の山林火災で煙の臭いもあるので、外で遊びにくい時にはとても助かる。無料というのもうれしい」と歓迎。楽しそうな娘に「帰るタイミングを逃しそう」と笑った。
 
イソギンチャクをモチーフにした回転遊具に笑顔を広げる子どもたち

イソギンチャクをモチーフにした回転遊具に笑顔を広げる子どもたち

 
漁船をモチーフにした大型遊具には滑り台やタラップ風のネットが据え付けられる

漁船をモチーフにした大型遊具には滑り台やタラップ風のネットが据え付けられる

 
やわらか素材の積み木や、ままごと道具も充実。乳幼児が安心して遊べる

やわらか素材の積み木や、ままごと道具も充実。乳幼児が安心して遊べる

 
 遊び場の広さは約315平方メートル。3つのエリアを設け、「うみのひろば」には漁船を模した大型遊具や海の生き物が描かれたウォールクライム、「とらまいのひろば」には虎デザインの滑り台やトンネル、「おはなのひろば」にはままごとやお店屋さんごっこができるスペースを配置した。視覚や触覚、好奇心を刺激する体験ができ、運動の場にも。障害の有無にかかわらず誰でも楽しめるよう、動線や遊具の使いやすさなどに配慮したインクルーシブ設計となっている。車いすやベビーカー置き場もある。
 
(手前から)おはなのひろば、とらまいのひろば、うみのひろばと3つのエリアが広がる

(手前から)おはなのひろば、とらまいのひろば、うみのひろばと3つのエリアが広がる

 
うみのひろばには大漁旗をあしらった漁船型遊具を設置。船員気分でいざ大海原へ

うみのひろばには大漁旗をあしらった漁船型遊具を設置。船員気分でいざ大海原へ

 
ウォールクライムを楽しむ親子。お母さんに支えてもらいよじ登る

ウォールクライムを楽しむ親子。お母さんに支えてもらいよじ登る

 
とらまいのひろばには虎モチーフの楽しい遊具が…。郷土愛を育む

とらまいのひろばには虎モチーフの楽しい遊具が…。郷土愛を育む

 
マルシェワゴン(右上)や、ままごとキッチン(左上)、切り株テーブルが並ぶおはなのひろば

マルシェワゴン(右上)や、ままごとキッチン(左上)、切り株テーブルが並ぶおはなのひろば

 
 市は子育て世代からの「悪天候でも子どもが元気に遊べる場所が欲しい」という要望を受け、室内遊び場の整備を検討。意見交換で出た「市中心部で、買い物や食事ができる場所」という条件を満たす同商業施設内を選んだ。公募型プロポーザル(企画競争入札)で選ばれたタカオ(高尾典秀代表取締役社長、本社:東京都、広島県)が設計・施工。整備費用にはイオンタウン(加藤久誠代表取締役社長、本社:千葉県)からの企業版ふるさと納税が活用された。総事業費は約3400万円。
 
 市こども家庭センターの村山明子センター長は「(子育て世代の)望まれていた形になって良かった。近年は気象だけでなく、クマやシカの出没などで屋外の公園が思うように使えないこともあった。より良い子育て環境の一助になれば」と期待。管理員などは置かないため、利用の際は必ず保護者が付き添い、危険のないように遊んでほしいと呼びかける。
 
利用の際は必ず保護者が見守りを。安全に楽しく遊ぼう!

利用の際は必ず保護者が見守りを。安全に楽しく遊ぼう!

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春を彩る稚児行列 釜石・正福寺「花まつり」 お釈迦様の誕生日、幼稚園児と祝う

h色鮮やかな衣装を身にまとった子どもたちがまちを練り歩く

色鮮やかな衣装を身にまとった子どもたちがまちを練り歩く

 
 お釈迦(しゃか)様の誕生を祝い、子どもたちの健やかな成長を祈る「花まつり」が25日、釜石市甲子町松倉地区で行われた。正福寺(須藤寛人住職)の行事の一つ。隣接する認定こども園の正福寺幼稚園(松岡公浩園長、園児23人)の年中・年長児14人が華やかな衣装を身にまとって地域を練り歩いた。
 
お釈迦様の誕生を祝う行事に参加した正福寺幼稚園の園児たち

お釈迦様の誕生を祝う行事に参加した正福寺幼稚園の園児たち

 
正福寺本堂前ではじめの会。法要を行って誕生を祝福した

正福寺本堂前ではじめの会。法要を行って誕生を祝福した

 
 同寺本堂前で「はじめの会」。法要を営んだあと、須藤住職が行事について「ののさま(お釈迦様の愛称)が生まれた時、山の草木、花が一気に咲いたということにちなんで、花まつりという言葉で呼んでいる」と説明。「ののさまはみんなが元気で幸せであるよう、いつも見守ってくれています。誕生日をお祝いして、これからも見守ってもらいましょう」と呼びかけた。
 
 春らしい陽気の中、赤や緑色の上衣と紫色のはかま、金色の冠、烏帽子(えぼし)を身につけた子どもたちによる稚児行列がスタート。保護者に手を引かれ、住民が見守る中、境内を出て近隣を周回する約1.5メートルの道を歩いた。園に戻ると、子どもたちは“ののさま”に甘茶をかけ、感謝の気持ちを込めて手を合わせた。
 
華やぐ春の喜びをおすそ分けする子どもたち

華やぐ春の喜びをおすそ分けする子どもたち

 
かわいらしく着飾った子どもたち。楽しそうに地域を歩く

かわいらしく着飾った子どもたち。楽しそうに地域を歩く

 
行列には釈迦像を載せた白象をかたどった山車も加わった

行列には釈迦像を載せた白象をかたどった山車も加わった

 
“ののさま”にひしゃくで甘茶をかける園児

“ののさま”にひしゃくで甘茶をかける園児

 
“ののさま“に手を合わせて祈る子どもたち

“ののさま“に手を合わせて祈る子どもたち

 
 にこやかな顔を見せながら歩いていた年長の亀山千月瑠ちゃん(5)は、きれいな衣装を着られて「うれしい。楽しかった」と満足げに話した。父親の慎弥さん(33)はわが子の晴れ姿に口元をほころばせ「いい思い出になった。伸び伸びと成長し、好きなことをやってくれたらいい」と見守った。
 
 花まつりは仏教を開いた釈迦の誕生日とされる4月8日に合わせて行われるもので、灌仏会(かんぶつえ)とも呼ばれる。園を運営する同寺の仏教行事に園児たちが参加する形で継続。気候が安定するこの時期に実施している。
 
稚児行列を見にきた人に縁起物の「散華(さんげ)を手渡す

稚児行列を見にきた人に縁起物の「散華(さんげ)を手渡す

 
花まつりの稚児行列に参加した園児と保護者、園の関係者ら

花まつりの稚児行列に参加した園児と保護者、園の関係者ら

 
 松岡園長は「仏教を起点とした教えを保育に取り入れている。花まつりではにぎやかにお祝いし、おもてなしの心や人としての優しさを感じたり、伝えられたらいい。絶やさないように続けていきたい」と思いを語った。

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山の春到来! 橋野鉄鉱山で“2大”石割桜見頃 インフォセンター周辺の桜ロードもおすすめ

「橋野鉄鉱山」高炉場跡の山神社エリアに自生する“石割桜”=24日午前撮影

「橋野鉄鉱山」高炉場跡の山神社エリアに自生する“石割桜”=24日午前撮影

 
 釜石市内の山々では市街地より遅れて、各種桜が見頃を迎えている。橋野町青ノ木の世界遺産「橋野鉄鉱山」とその周辺は自生するヤマザクラに加え、植樹したさまざまな桜が咲き出し、花色の濃淡が美しい景色を生み出している。高炉場跡にひっそりとたたずむのは、高炉の石組みの材料にもなった花こう岩に根を張る「石割桜」。隣接する国有林地にも同様の石割桜があり、自然の植物の生命力の強さを感じさせている。地元在住で、釜石観光ガイド会副会長の小笠原明彦さん(69)によると、今年の青ノ木の桜の開花は1週間ほど早いという。
 
 三番高炉の東側、山神社の拝殿跡や山神碑、牛馬観世音碑が残るエリアに自生している石割桜は、花こう岩の上に3本のヤマザクラが根を張る唯一無二の姿を見せる。花こう岩は山神碑側から見て、横幅5.84メートル、奥行き4.37メートル(市調べ)の大きさ。桜の根は岩を抱えこむように伸び、岩の割れ目に沿って地面まで到達している部分も見られる。花の開花時期は例年5月初旬だったが、近年は春先の気温が高く、4月中の開花が続く。今年は21日ごろから咲き始め、24日時点で8分咲きまで進んだ。
 
花こう岩の上に3本のヤマザクラの幹がそびえる。岩の割れ目に桜の種が入り成長?

花こう岩の上に3本のヤマザクラの幹がそびえる。岩の割れ目に桜の種が入り成長?

 
岩の上部は傾斜があるが、各方向にしっかりと根を伸ばす。晴れの日には青空にピンク色の花が映える

岩の上部は傾斜があるが、各方向にしっかりと根を伸ばす。晴れの日には青空にピンク色の花が映える

 
 同所には今年、新たな見どころが加わる。石割桜がある場所からさらに斜面を上った先に見えるのが、昨年11月に発見された同鉄鉱山の「開山碑」。見学エリアの外側、国有林地内に鎮座する石碑は、同鉄鉱山の操業開始時期を解明する手がかりになるものとされる。見学エリア柵内から見ることができる。市は今年、同石碑の見学会も予定している。
 
石割桜からさらに斜面を上ると、昨年発見された「開山碑」を見ることができる(写真右)。コケを取り除いた垂直面の岩が開山碑。見学は柵の中から

石割桜からさらに斜面を上ると、昨年発見された「開山碑」を見ることができる(写真右)。コケを取り除いた垂直面の岩が開山碑。見学は柵の中から

 
 もう一つの石割桜が見られるのは二番高炉の東側、国有林地の山肌の急斜面。昨年11月の育樹祭で倒木などの処理作業を行ったことで、その全容が見やすくなった。日光が届きやすい環境になったことも影響してか、今年は特に花色が美しい。二番高炉と石割桜を入れた写真の“映え”スポットとしても注目を集める。高炉場跡は昨年度から見学路と遺構標示の整備が進められていて、舗装された道は車椅子での移動が可能になっている。
 
二番高炉の東側、国有林地に見られる石割桜。岩には切り出そうとしたとみられるタガネの跡が残る。今年は特にも花色がきれい

二番高炉の東側、国有林地に見られる石割桜。岩には切り出そうとしたとみられるタガネの跡が残る。今年は特にも花色がきれい

 
一番高炉と二番高炉の間にある一本桜(写真右)とも花の競演!

一番高炉と二番高炉の間にある一本桜(写真右)とも花の競演!

 
昨年度整備された新たな見学路。舗装された歩道が三番高炉前まで続く

昨年度整備された新たな見学路。舗装された歩道が三番高炉前まで続く

 
 インフォメーションセンター周辺から高炉場跡に続く“桜ロード”も開花が進む。高炉場に向かって右側の道路沿いではソメイヨシノが開花していて、周辺の私有地に自生するヤマザクラと共に花色のグラデーションを楽しめる。同左側に連なる八重桜は大型連休中には開花しそう。橋野町振興協議会が行う恒例の八重桜まつりは5月10日に開催予定。
 
インフォメーションセンター駐車場から高炉場跡に向かう道路沿いは濃淡の花色が重なり、さらに美しい光景を生み出している

インフォメーションセンター駐車場から高炉場跡に向かう道路沿いは濃淡の花色が重なり、さらに美しい光景を生み出している

 
 八重桜が囲む芝生広場では、2018年に震災復興支援の一環で植えられた「宇宙桜」が順調に花をつける。これは2008年、福島県三春町の“三春滝桜”の種をスペースシャトル・エンデバー号で国際宇宙ステーションに届け、日本のモジュール「きぼう」船内で若田光一宇宙飛行士とともに地球を回る旅をした桜。帰還した種を同町の小学生が育て、同市に贈られた。宇宙桜の周りにはドウダンツツジがハート形に植えられている。
 
2018年に植樹された“宇宙桜”(三春滝桜の子孫木)も開花。将来、大きく成長した枝垂れ桜になるのが楽しみ

2018年に植樹された“宇宙桜”(三春滝桜の子孫木)も開花。将来、大きく成長した枝垂れ桜になるのが楽しみ

 
宇宙桜は発芽から16年。順調に花芽を増やしている

宇宙桜は発芽から16年。順調に花芽を増やしている

 
 小笠原さんは青ノ木の桜について、「ヤマザクラから八重桜の開花にかけ、2~3週間が桜のシーズン。石割桜は今年、周りの木々があまり目立たず、樹形や花がきれいに見えるのでおすすめ」とPR。インフォメーションセンターには毎日、観光ガイドが常駐しており、「遺跡や桜について話を聞きながら巡るとさらに楽しめる。ぜひ、山里の春を満喫しに足を運んでいただければ」と呼びかける。
 
 山あいの気候は春でも朝晩の冷え込みがあり、花の開花が足踏みすることもある。訪れる前にインフォメーションセンターに問い合わせしてみるといいかも。橋野鉄鉱山インフォメーションセンターの電話番号は0193・54・5250(営業時間:午前9時半~午後4時半)。
 
高炉場跡のおまけの春景色。ハート形の葉が風に揺れるカツラの木(写真左上、右)。地面にはカタクリの花(写真左下)も…

高炉場跡のおまけの春景色。ハート形の葉が風に揺れるカツラの木(写真左上、右)。地面にはカタクリの花(写真左下)も…

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夢に続く学びの道へ 釜石市国際外語大学校で入学式 新入生、環境変化「対応も挑戦」

少し緊張した面持ちで入学式に臨む新入生

少し緊張した面持ちで入学式に臨む新入生

 
 釜石市国際外語大学校(及川源太校長)は15日、同市大町の市民ホールTETTOで入学式を行った。開校して3年目の今春、外語観光、日本語の2学科に計11人を受け入れ。夢や目標の実現に向け必要となる学びのスタートラインに立った新入生の成長を支え、後押ししていく。
 
 日本人向けの外語観光学科に市外から3人が入学。外国人対象の日本語学科はネパール、ミャンマー出身の8人を迎え入れるが、入国時期が遅れている学生もおり、入学式にはミャンマーからの留学生2人が参加した。
 
在校生らの歓迎を受けながら入場する新入生

在校生らの歓迎を受けながら入場する新入生

 
 新入生は保護者、鈴子町の校舎で学ぶ在校生、教職員らの拍手を受けながら入場。スーツや母国の民族衣装を着用し、少し緊張した面持ちで臨んだ。一人ずつの呼名に元気な声で応じ、一礼。及川校長から「入学を許可します」と言葉を受けると、晴れ晴れとした表情で背筋を伸ばした。
 
 及川校長は式辞で「失敗を恐れず、たくさんのことにチャレンジしてほしい。挑戦の先には必ず新しい景色が見えてくる。仲間や自分を信じ、釜石という地での学びを存分に楽しんで」とエールを送った。
 
新入生は及川源太校長の激励に耳を傾けた

新入生は及川源太校長の激励に耳を傾けた

 
 新入生2人が誓いの言葉。塾の英語教師を目指す欠ノ下明希さん(19)は「多様な方々と積極的に交流を重ねたい。目の前の課題を自分事として捉え、どうすれば解決できるかを粘り強く考え、それを正確に届けるための語彙(ごい)力を養いたい」と決意を表した。久慈市出身で、進学を機に親元を離れ「一人暮らし」にも挑戦。生活環境の変化に少し不安を感じるというが、「自立した大人へ一歩ずつ着実に前進していく」と前を向いた。
 
新しい挑戦へ誓いの言葉を述べる欠ノ下明希さん

新しい挑戦へ誓いの言葉を述べる欠ノ下明希さん

 
日本で学ぶ意欲を伝えるアウン ミョー トゥーさん

日本で学ぶ意欲を伝えるアウン ミョー トゥーさん

 
 ミャンマー出身のアウン ミョー トゥーさん(21)は「自動車の専門学校に入学して日本の会社で働くことが夢です。先生方、先輩たち、そして釜石のみなさん、2年間どうぞよろしくお願いします」と、はきはきとした声で気持ちを伝えた。すでに釜石での生活は始まっていて、初めて見た「サクラ」に感激。道を歩き「シカ」に出合ったり、写真を撮って楽しんでいる様子。「海と山がある静かな町」で思い描く未来を形にするため「頑張ります」と笑顔を見せた。
 
 各学科の在校生が歓迎の言葉。「(釜国は)全員で学び合う場所。皆さんそれぞれの『らしさ』を存分に発揮して、『やってみたい』を実現できる環境になることを願う。目の前のことを一緒に面白く学んでいきましょう」「新しい仲間を迎えることができて、とっても嬉しい。新しい環境での生活はドキドキすることや分からないことがあるかもしれない。だから、困った時は1人で悩まず、いつでも声をかけて」などと呼びかけた。
 
夢や目標を持って入学した新入生を在校生が歓迎する

夢や目標を持って入学した新入生を在校生が歓迎する

 
記念にパチリ。笑顔を広げる新入生、学校関係者ら

記念にパチリ。笑顔を広げる新入生、学校関係者ら

 
 同校は学校法人龍澤学館(盛岡市)が運営する専門学校で、2024年4月に開校。26年3月には初の卒業式を行い、1期生を送り出した。現在、新入生を含め52人が在籍。外語観光学科では2年間、英語や観光マネジメントのほか、動画編集なども学ぶ。日本語学科の留学生は2年かけて日本語の読む、聞く、話す力を培う。加えて、2学科ともに地域のイベントや祭りに参加したりしながら、市民との交流も深める。
 
 松島理香子副校長は「地域の理解、応援があり、支えられて本校の活動は続けられる。留学生にはマナーやルールを指導していくが、先輩たちがいろいろ伝えてくれる部分も多い。在校生と一体となり、釜国を巣立った後も日本で生かせる力、人間性を育んでいきたい」と見守る。

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三陸沖地震で津波警報 釜石市内1451人避難 後発地震注意情報発表「すぐに逃げられる態勢を」

津波警報発表で、高台の薬師公園に避難した人たち。奥が釜石湾。不安そうに見つめる

津波警報発表で、高台の薬師公園に避難した人たち。奥が釜石湾。不安そうに見つめる

 
 20日午後4時52分ごろ発生した三陸沖を震源とするマグニチュード7.7の地震で、北海道から本県にかけての太平洋沿岸に津波警報が発表された。釜石市では震度4の地震、20センチの津波(釜石港、午後6時41分)が観測された。この地震で「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が出されていて、日頃の地震への備えを再確認するとともに、1週間程度は社会活動を維持しつつ、すぐに避難できる態勢を整えておくことが求められる。
 
 市は午後4時55分の津波警報発表(最大予想3メートル)を受け、同58分、避難指示を発令。津波浸水想定区域では、住民らが市指定緊急避難場所など近くの高台に避難した。午後5時50分までに市内小中学校体育館や寺など9カ所に市が避難所を開設。その他の場所への避難者を含め、最大で1451人が避難した。
 
薬師公園頂上広場に駆け上がる避難者。あたりが暗くなり始めると津波の状況を確認しながら市開設の避難所に移動した

薬師公園頂上広場に駆け上がる避難者。あたりが暗くなり始めると津波の状況を確認しながら市開設の避難所に移動した

 
 「緊急放送、避難指示発令。津波警報です。高い津波がきます。すぐに高いところに逃げてください」。津波への警戒を促すサイレンとともに、防災無線から繰り返し避難の呼びかけが続く中、市中心部・大町の高台にある薬師公園には近くに住む人や働く人らが足早に向かった。大型商業施設などから避難する人の姿も。スマートフォンで連絡を取ったり、携帯ラジオを持参した避難者に地震や津波の状況を聞いたりした。
 
 公園の頂上広場に続く階段に座り、遠巻きに海を眺めていた70代女性は「15年前の東日本大震災ほどではなかったけど、強い揺れだった。あの時も、ここから海の方を見ていた。なんか思い出すよね」と不安げに話した。震災の津波で被災した自宅を修繕して生活。この日は地震後、貴重品をリュックサックに入れて避難し、「あのサイレンの音も、スマホがビービーと鳴るのも本当に怖い」と肩をすくめた。
 
 午後6時前、夜の冷え込みを避けるため市職員の指示で、薬師公園から市が釜石小体育館(大渡町)に開設した避難所に移動。近くの商店で働く40代女性は「早く帰りたいけど、警報が解除にならないと…。安全が確保されるまでは心配だから」と身を寄せた。
 
避難所が開設された釜石小体育館に身を寄せた人たち

避難所が開設された釜石小体育館に身を寄せた人たち

 
 釜石小には160人以上が車や徒歩で避難。同校体育館で、テレビのニュースを心配そうに見つめた。食品加工会社で働くインドネシア人女性5人は仕事を終え在宅中に揺れに見舞われ、職場からの指示で避難。釜石での生活は3年目だというが、避難所に駆け込んだのは初めてのようで、「安心するために避難した」と声を合わせた。
 
 学童保育中の小学5年の長女、同3年の長男を迎えに来て、そのまま避難した只越町の会社員の父親(40代)は「(子どもたちが)運よく学童の時間で良かった。安全な場所にいるのは分かっていたが、顔を見てほっとした」と力を抜いた。水や簡易トイレ、ラジオ付きの手回し電灯などが入った防災リュックを持参。「災害は本当に怖いから!」と話す長女の強い希望で車に常備しているのだという。「命を守るために逃げる。その気持ちを持ち続けてもらいたい」。そう願う父親は、長期戦を見越してリュックに仕込んだぬいぐるみなどの玩具で遊ぶ子どもたちを後方から見守っていた。
 
避難者の受け入れや物資の配布を行う市職員ら。校庭には避難車両が並び、車内で待機する人にも水などを配った

避難者の受け入れや物資の配布を行う市職員ら。校庭には避難車両が並び、車内で待機する人にも水などを配った

 
配られたパンや水でお腹を満たす避難者。甘いものの差し入れも

配られたパンや水でお腹を満たす避難者。甘いものの差し入れも

 
 避難所運営に関わる大渡町内会は、同校の敷地にある備蓄倉庫を間借りする形で水や毛布などを保管している。この日も町内会役員らが市職員と協力し、避難者の受け入れや物資の配布、様子をうかがったりした。冨谷親雄副会長(78)は15年前の震災当時を思い浮かべたようで、「あの時よりは避難者は少ない。水は備蓄しているが食料はなく、限りもあるから『足りなくなったら』と考えたりする」と館内を見渡した。心配事はあっても災害発生時には人が参集する避難所であり、「市の動きに合わせて、やれる範囲で対応できるようにしたい」と気を引き締めた。
 
避難所が開設された鵜住居小・釜石東中体育館に向かう地域住民ら

避難所が開設された鵜住居小・釜石東中体育館に向かう地域住民ら

 
校庭には県交通バスを含む避難車両約120台が並んだ。震災後に整備された市道箱崎半島線や恋の峠付近の高台(右枠写真上部)にも複数の車両が避難

校庭には県交通バスを含む避難車両約120台が並んだ。震災後に整備された市道箱崎半島線や恋の峠付近の高台(右枠写真上部)にも複数の車両が避難

 
 鵜住居町の高台にある鵜住居小・釜石東中には、地震発生直後から地元住民や車両通行中の人などが次々に避難してきた。両校の児童生徒らは下校後で、自宅や遊んでいた公園などから声をかけ合って避難。昨年1月に自主防災組織を結成している東中の生徒らは、体育館に避難した人たちが休めるよう、床に敷くシートや毛布、椅子などを準備した。同校を卒業したばかりの高校生らも率先して動き、避難者の受け入れにあたった。同所には最大で200人が避難した。
 
 体育館や入り口には大型テレビが設置された。各地の海面の状況が映し出される映像や観測された津波の高さなどの情報を、避難者が食い入るように見つめた。東日本大震災を経験し、町内の復興住宅に暮らす91歳女性は「今回は揺れが大きかった。明るいうちに避難しなきゃと思って急いで出てきた。なかなか(警報が)解除にならないべな」と心配そうな表情を浮かべた。
 
鵜小・東中体育館の入り口付近に受付を設け、避難者名簿を作成

鵜小・東中体育館の入り口付近に受付を設け、避難者名簿を作成

 
体育館内で必要な人にパイプ椅子を配る東中出身の大槌高生

体育館内で必要な人にパイプ椅子を配る東中出身の大槌高生

 
校内の備蓄倉庫から運び出した飲料水を避難者に配る釜石東中生

校内の備蓄倉庫から運び出した飲料水を避難者に配る釜石東中生

 
 今回の地震発生時刻は高校生の帰宅時間に重なった。大槌高から県交通のバスで帰宅途中だった生徒らは、スマートフォンの緊急地震速報で地震発生を感知。運転手の判断で、バスは乗客を乗せたまま高台の両校校庭に向かった。バスに乗っていた大槌高1年の藤井珀空さんは「車内にいたので最初、揺れに気付かなくて。スマホの速報で(最大)震度5と知ってびっくり」。東中出身で、到着後は出身同級生らと避難所運営に協力した。「自然に体が動く感じ。すぐにみんなでやろうと」。東中防災教育担当の佐々木伊織教諭は卒業生の協力に「涙が出るくらいうれしかった。今の高校1年生は自主防を立ち上げた子どもたち。災害時の行動がしっかり身に付いている」と実感を込めた。
 
 同じくバスで、甲子町の自宅に帰る途中だった大槌高3年の小岩波月さんは初めて津波避難を経験。「地震発生時、鵜住居に差しかかるところだったのでひやひやしたが、冷静に行動できた」。避難所では釜石高生らを含め、多くの高校生が活躍。避難者の誘導、備蓄品の水や非常食の配布など積極的に活動した。「東中出身者に教えてもらいながらやったが、中学校時の訓練の成果が表れていてすごいと思った。高齢者の方も安心できるように自分でも動けたかな」と小岩さん。
 
非常食のカレーを湯を沸かした鍋で温め、避難者に配布。手際の良さは自主防の訓練のたまもの

非常食のカレーを湯を沸かした鍋で温め、避難者に配布。手際の良さは自主防の訓練のたまもの

 
帰宅途中に避難した高校生らが避難所運営に力を発揮。東中出身者を中心に率先して行動する姿が見られた

帰宅途中に避難した高校生らが避難所運営に力を発揮。東中出身者を中心に率先して行動する姿が見られた

 
避難者対応が一段落すると高校生も食事タイム

避難者対応が一段落すると高校生も食事タイム

 
 津波警報は同日午後8時15分に注意報に切り替えられ警戒が続いたが、午後11時45分に解除された。釜石市では21日時点で、地震や津波によるけが人、物的被害は確認されていない。避難所となった鵜住居小、釜石東中は21日を臨時休校とした。
 
 この地震で気象庁と内閣府は、大規模地震発生の可能性が平常時と比べ相対的に高まっているとして、北海道から千葉県まで7道県182市町村に「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表した。避難場所・経路、家族との連絡手段、非常食などの備蓄、家具の固定と、日頃の地震への備えを再度確認するとともに、1週間程度は特別な備えとして「すぐに逃げられる態勢の維持」「非常持ち出し品の常時携帯」などを呼びかける。同注意情報の発表は2022年の運用開始以降、昨年12月の青森県東方沖地震時に続いて2回目。

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苦難乗り越え40周年 釜石地方森林組合が記念行事 式典&東京大 鈴木俊貴准教授講演

釜石地方森林組合創立40周年記念式典で表彰された役員、協力事業者の代表

釜石地方森林組合創立40周年記念式典で表彰された役員、協力事業者の代表

 
 釜石地方森林組合(野田武則代表理事組合長、組合員1616人)の創立40周年記念式典は11日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。東日本大震災、尾崎半島林野火災と大きな困難を乗り越えてきた歩みを振り返り、支援者らに感謝の気持ちを表した。記念講演では、野鳥のシジュウカラが異なる鳴き声を使い分けて意志疎通を図っていることを発見した、東京大先端科学技術研究センター准教授の鈴木俊貴さんが講演。森の豊かさと人間との関係について考えるパネルディスカッションも行われた。
 
 約700人が参加。式典で野田組合長は、震災で甚大な被害を受けた組合の復興を支えてきた多くの関係者、組合員に深く感謝。「森林を取り巻く環境はさまざまな課題を抱えるが、地域の宝である森林を大切に守り育て、地域に貢献できる組合としてさらなる飛躍を目指す所存」と決意を述べた。
 
記念式典の冒頭、森林組合綱領を唱和する組合員ら

記念式典の冒頭、森林組合綱領を唱和する組合員ら

 
 同組合は1985年、釜石、大槌両市町の森林組合が合併して発足した。2011年の東日本大震災では、当時の組合長ら役職員5人が津波の犠牲となり、只越町にあった事務所が流失。組合存続の危機的状況の中、官民の指導、支援を受けながら復旧復興にまい進し15年、片岸町に新事務所を構えた。
 
 事業再生にあたっては異業種の助言も受け、課題克服に取り組んできた。地域産業の未来を見据え、15年から5年間、人材育成のための林業スクールを開講。16年には新日鉄住金(現日本製鉄)釜石の石炭火力発電所に納入するバイオマス燃料の木材販売代金の収益の一部を積み立てる「釜石地域森林整備基金」を創設。組合員への助成で、森林整備にかかる負担を軽減する仕組みをつくった。17年に発生した尾崎半島林野火災の被災木活用も推進。釜石鵜住居復興スタジアムの建物や座席シートなどに使われたほか、各種木製品に加工された。持続可能な森づくり、森林資源の循環利用、組合員への利益還元など、同組合の先進的な取り組みは各方面から高く評価されている。
 
 式典では、歴代代表理事組合長2人、長年、理事や監事を務めた組合員4人、協力事業者6人を表彰。震災後の組合事業を支えてきた10企業・団体に感謝状を贈った。釜石市と大槌町には記念品の目録が贈呈された。
 
第5代代表理事組合長を務めた久保知久さんに野田武則現組合長から表彰状を贈呈

第5代代表理事組合長を務めた久保知久さんに野田武則現組合長から表彰状を贈呈

 
震災後の組合を支援してきた10企業・団体に感謝状を贈呈。バークレイズ証券が代表して受け取った

震災後の組合を支援してきた10企業・団体に感謝状を贈呈。バークレイズ証券が代表して受け取った

 
被表彰者は次の通り。
【歴代代表理事組合長】久保知久(第5代、2期5年2カ月)、植田收(第6代、1期3年)
【役員】佐々木廣(理事、6期18年)、阿部公一(理事、7期21年)、山崎巍(監事、7期21年)、柏木公博(監事、8期24年)
【協力事業者】福浦正一、大萬梅治、久保正勝、齊藤義一、及川一男、小笠原松見
【企業、団体】バークレイズ証券、日鉄興和不動産、日本製鉄北日本製鉄所釜石地区、オカムラ、乃村工藝社・ノムラ協力会、千代田化工建設、SANU、大成建設、岩手県協同組合間連携協議会、連合岩手釜石・遠野地域協議会
 

「僕には鳥の言葉がわかる」 東京大 鈴木俊貴准教授(動物言語学者)が記念講演

 
シジュウカラに言葉があることを発見した東京大先端科学技術研究センターの鈴木俊貴准教授(右)。組合40周年記念で講演した

シジュウカラに言葉があることを発見した東京大先端科学技術研究センターの鈴木俊貴准教授(右)。組合40周年記念で講演した

 
 釜石地方森林組合の40周年記念事業として行われた基調講演。講師に招かれたのは、「動物言語学」という新たな分野で国内外から注目を集める東京大先端科学技術研究センター准教授の鈴木俊貴さん(42)。本県では初めての講演となり、組合員だけでなく一般聴講者も多数集まった。
 
 幼い頃から生き物観察が好きだった鈴木さんは、高校生の時に始めたバードウオッチングで野鳥に興味を持った。研究ができる大学に進み、3年の冬に入った長野県の森で、シジュウカラが状況によってさまざまな鳴き声を使い分けていることに気付く。「シジュウカラにとって言葉になっているのでは」と考え、本格的に研究を始めた。講演では、録音した鳴き声や行動を捉えた映像を示しながら、森の中で20年以上続けてきた研究の成果について紹介した。
 
1年のうち長い時で10カ月以上森の中で調査を行うという鈴木准教授

1年のうち長い時で10カ月以上森の中で調査を行うという鈴木准教授

 
 シジュウカラは天敵が現れた時、餌を見つけた時、繁殖の縄張りを主張する時などで、異なった鳴き声を発するという。天敵の中でもヘビが迫っている時にしか出さないのが「ジャージャー」という鳴き声。1羽がこの声を出すと、周りにいる仲間は地面をじっと見るなどヘビを探すような動きを見せる。「頭の中にヘビをイメージしていることを証明できれば、『ジャージャー』は(シジュウカラにとって)ヘビを指す言葉(単語)であろう」。そう考えた鈴木さんは、録音した鳴き声を聞かせながらヘビに見立てた小枝を幹に沿って引き上げ、ヘビと見間違えるかどうかという実験を実施。ヘビに似ていない枝の動きも試したが、反応があったのは前者のみ。「ジャージャーという声は聞き手のシジュウカラの頭にヘビを思い描かせていて、ヘビを探す行動につながっていた。言葉は頭にイメージを呼び起こすものであることから、ジャージャーはヘビを示す言葉といえる」と鈴木さん。
 

 
 しかも、シジュウカラは異なる鳴き声を組み合わせて文章を作ることができるという。例えば「ピーツピ(警戒して)、ヂヂヂ(集まれ)」という組み合わせ。音声ファイルをスピーカーから流すと、複数のシジュウカラが首を振りながら近づいてくる。さらに天敵のモズの剝製を置くと、羽を動かして威嚇し追い払おうとする。鈴木さんの実験では、語順を逆にすると意味が伝わらず、追い払い行動も見られなかった。文法があり、1羽が「ピーツピ、ヂヂヂ」の順で発した時だけ他の仲間が認識しているという。親鳥が発する警戒の鳴き声はひな鳥も理解。巣箱の中にいても、どんな天敵が迫っているのかを判断し、身を守る適切な行動を取っていることが分かった。
 
 鈴木さんは「2000年以上昔から『言葉を持つのは人間だけ』、鳥の鳴き声も感情が表れているだけと考えられてきたが、そうではない。研究で、シジュウカラは単語、文章を使い、文法のルールを認識してコミュニケーションを取っていることがわかってきた」と説明。世界初の解明で国際的な賞も受賞していて、「新たに立ち上げた『動物言語学』という分野を次世代に伝えていきたい」と望んだ。
 

 
興味深いシジュウカラの能力を知り、目からうろこの観客。釜石での講演に感謝の拍手を送った

興味深いシジュウカラの能力を知り、目からうろこの観客。釜石での講演に感謝の拍手を送った

 
「森の役割を再認識し、次世代につないでいくためには?」。さまざまな視点で意見を交わしたパネルディスカッション

「森の役割を再認識し、次世代につないでいくためには?」。さまざまな視点で意見を交わしたパネルディスカッション

 
 講演に続くパネルディスカッションのテーマは「森の恵みに感謝し、豊かな森を未来に引き継ごう」。鈴木さんのほか、各界で活躍する5人がパネリストとして登壇。さまざまな観点から森林の保全、継承の重要性について話した。
 
 盛岡市の料理研究家、小野寺惠さんは東京で子育て中に公害を経験。35年前に本県に移住した。「岩手の農産物は豊かな土壌、水から生まれる。きれいな空気も含め、全て岩手の森林によって作り出されたお宝」と絶賛。おおつち百年之業協同組合の佐々木重吾理事長は「水でつながる山川海の自然サイクルの中で私たちは生かされている。謙虚になり、今の森を大事に守っていかねば。1次産業は持続性に危ういところがあるが、複数の産業が連携し雇用を生めば、独自の経済圏を作り出せるのではないか」と話した。
 
写真左上:小野寺惠さん(メグミプランニング代表)、同右上:佐々木重吾さん(おおつち百年之業協同組合理事長)

写真左上:小野寺惠さん(メグミプランニング代表)、同右上:佐々木重吾さん(おおつち百年之業協同組合理事長)

 
 岩手大農学部地域環境科学科の伊藤幸男教授は「森があること自体が大きな富。林業経営をうまく成り立たせるような制度、政策を今、構築しておかないと、次世代への継承が難しくなる」と指摘。大槌町でジビエ事業を手がけるMOMIJIの兼澤幸男代表はシカによる森林被害を減らし、土砂災害の危険性や生物多様性の低下を防ぐ同社の取り組みを紹介。次世代に豊かな森を残すためには「自然との共生が不可欠。森での体験活動を通じて子どもたちにも興味をもってもらえるようにしたい」と話した。
 
写真左上:伊藤幸男さん(岩手大農学部地域環境科学科教授)、同右上:兼澤幸男さん(MOMIJI代表)

写真左上:伊藤幸男さん(岩手大農学部地域環境科学科教授)、同右上:兼澤幸男さん(MOMIJI代表)

 
 釜石地方森林組合の高橋幸男理事兼参事は「森林業の使命は山から受けている恩恵を次の世代に送っていくこと」とし、地域で森づくりを支える取り組みの必要性を示唆。「異業種の知恵を得ながらチャンスを広げ、やれることを明確にし、若い世代もやる気を持って参画できる仕組みにしていかなければ。森の多様性を生かし、持続可能な地域づくりにつなげていきたい」と未来を見据えた。各パネリストの話を受け、鈴木さんは「森の豊かさにはいろいろな切り口がある。『緑を守ろう』という話をしても、何らかの体験がないと、その言葉は響かない。自然とのつながりを感じられる体験機会を積極的に増やしていくことが大事」とアドバイスした。

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釜石の春、目と舌で堪能 祝10回「さくら茶会」 煎茶道三彩流釜石蘭煎会 客人もてなす

「おいしいお茶をどうぞ」。春満開の茶席で釜石蘭煎会の会員がおもてなし

「おいしいお茶をどうぞ」。春満開の茶席で釜石蘭煎会の会員がおもてなし

 
 煎茶道三彩流釜石蘭煎会(佐々木幸渓会長、会員12人)は12日、釜石市大町の青葉ビルで「さくら茶会」を開いた。東日本大震災の2年後、2013年に始められた茶会は今回で10回目。同市の春を彩る催しとして定着し、市内外の茶道ファンに愛されている。来場者は春の草花で彩られた席で、味や香りの異なる2種類の煎茶を味わい、心豊かなひとときを楽しんだ。
 
 茶席は野だての雰囲気を感じられる趣向。赤傘の下にコケを敷き詰めて山野の風景を再現し、3種のショウジョウバカマで春の訪れを表現した。舟下りやクマのミニチュアも配置。傘の柄には禅語の「白雲本無心」としたためられた短冊が飾られた。茶席に欠かせない生け花はサクラとヤマブキ。客席にはツバキとユキヤナギも生けられ、春を存分に味わえる空間となった。
 
10回目を迎えた「さくら茶会」。野だて風の茶席で花見気分を演出

10回目を迎えた「さくら茶会」。野だて風の茶席で花見気分を演出

 
赤傘の下にはコケや早春の花で表現した山野の風景が広がる。味わいのある板の上には舟下りの置物も

赤傘の下にはコケや早春の花で表現した山野の風景が広がる。味わいのある板の上には舟下りの置物も

 
茶席には見頃のサクラにヤマブキをそえた生け花を配置。春色の着物姿の会員が煎茶道の「末広点前」を披露

茶席には見頃のサクラにヤマブキをそえた生け花を配置。春色の着物姿の会員が煎茶道の「末広点前」を披露

 
 この日は祝いの席で用いられる「末広点前」を披露。急須や茶わんなどの茶器は明るい色合いのものが使われた。桜色の急須と茶わんは第三代会長を務めた故植田香生さんの遺品。来場者は席主の話に耳を傾けながら、会員が茶を入れる様子に見入った。
 
 煎茶道では小ぶりの茶わんで2回に分けて茶をいただく。この日は2種類の煎茶がふるまわれた。一煎目の後、“さくら”と名付けられた生菓子を食し、二煎目を味わった。この作法で煎茶の甘みと渋みの両方を味わうことができる。飲んだ後は茶わんの模様や茶たくを拝見した。席を閉じると、道具類や野だて傘の周りに集まり、じっくりと観察。会員の心のこもったもてなしに感謝しながら、会場を後にした。
 
明るい色合いの茶器でお点前。会員の美しい所作に客の視線が注がれる

明るい色合いの茶器でお点前。会員の美しい所作に客の視線が注がれる

 
生菓子「さくら」をはさんで2種の煎茶をいただく。手間をかけて丁寧に入れられたお茶の味は格別

生菓子「さくら」をはさんで2種の煎茶をいただく。手間をかけて丁寧に入れられたお茶の味は格別

 
お茶をいただいた後は、茶器などを拝見。スマホカメラで写真を撮る人も width=

お茶をいただいた後は、茶器などを拝見。スマホカメラで写真を撮る人も

 
 釜石市の高校生、遠野愛実さん(16)は同茶会に何度か来場。自身は小学校1年生から表千家のこども教室で茶道を習っている。「煎茶のお点前はやったことがないので、茶会で目にするたびにやってみたいなという気持ちになる」と興味津々。蘭煎会会員が継続する茶会を「ぜひ長く続けてほしい」と望んだ。
 
 同茶会は震災で傷ついた心を癒やし、前を向く一助になればと、第二代会長だった故久喜祥葉さん(当時、釜石茶道協会会長)の発案でスタート。被災し、仮設住宅などで避難生活を送っていた人たちも足を運び、心安らぐ時間に顔をほころばせる様子が見られた。7回目となった2019年まで毎年続けられたが、新型コロナウイルス感染症の影響で4年間の休止を余儀なくされた。24年から再開し、今回で記念すべき10回目を迎えた。
 
二煎の茶を味わい、ほっと一息。日常の慌ただしさを忘れるゆったりとした空間を楽しむ

二煎の茶を味わい、ほっと一息。日常の慌ただしさを忘れるゆったりとした空間を楽しむ

 
 佐々木会長は「震災後、内陸への転居や高齢による退会などで会員数は大幅に減ったが、会員みんなで一致団結して頑張ってきた。引き続き、やれるところまでは続けていきたい」と話す。煎茶の親しみやすさもアピールし、「若い世代にもぜひ、たしなんでもらいたい。市民芸術文化祭で呈茶もしているので、ぜひ足を運んで体験してみて」と呼びかける。

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漁業の担い手へ一歩!いわて水産アカデミー入講式 釜石で挑む2人「若者の力を証明したい」

水産業の担い手を目指す「いわて水産アカデミー」の8期生

水産業の担い手を目指す「いわて水産アカデミー」の8期生

 
 岩手県内の漁業現場で即戦力となる人材を育てる「いわて水産アカデミー」(同アカデミー運営協議会主催)の入講式が10日、釜石市平田の県水産技術センターであった。第8期生として、20~40代の11人が漁業者への一歩を踏み出した。
 
 式で、同協議会長を務める県の照井富也農林水産部長が「夢や目標の実現に向け多くのことを学び、研修生の仲間や地域の皆さんとのつながりを大切にしながら研さんを積んでほしい」と激励。代表者の浦嶋孝行さん(38)=大船渡市=に研修許可証を手渡した。
 
研修生を代表し研修許可証を受け取る浦嶋孝行さん

研修生を代表し研修許可証を受け取る浦嶋孝行さん

 
「地域に認められる漁業者に」と誓う中村海成さん(手前)

「地域に認められる漁業者に」と誓う中村海成さん(手前)

 
 8期生は、すでに漁業に携わる人もいるが経歴は多彩で、出身地も県内外とさまざま。代表し、山田町の地域おこし協力隊員の中村海成さん(27)が「仲間同士で刺激し合い、共に成長する実りある研修生活を送りたい。近い将来、漁業の担い手として地域に貢献したい」と宣誓した。
 
釜石で研修に臨む藤原和貴さん(前列右)、三上朗央さん(後列右から2人目)

釜石で研修に臨む藤原和貴さん(前列右)、三上朗央さん(後列右から2人目)

 
 釜石市関連では2人が挑む。地元・大渡町出身の三上朗央さん(49)は、観光業からの転身。観光地域づくり会社で海を生かした活動や、山岳ガイドなどの資格を生かした企画などを担当していた。その中で関わった人たちの影響もあり、「面白そう」と発起。元プロボクサーという経歴も持ち、高校時代のボクシング部の先輩のもとでワカメ漁などを学ぶ予定で、「体力には自信がある」と意気込む。
 
 もう一人は、趣味の海釣りが高じて盛岡市から沿岸部に移住した藤原和貴さん(27)。2023年秋頃から釜石・唐丹町の遊漁船のスタッフとして働いている。やはり人との出会いをきっかけに漁業者に関心を持ち、挑戦することに。ワカメやコンブ、ムール貝などの養殖を手掛ける漁業者から指導を受ける予定で、「ウニ、アワビ、ナマコなど季節の漁をやっているのが唐丹の強みで、それを残したい。そして、若者でも水産業で頑張れるということを証明したい」と熱く語った。
 
引き締まった顔で集合写真に納まる研修生、アカデミー関係者

引き締まった顔で集合写真に納まる研修生、アカデミー関係者

 
いざ研修へ!ポーズを決め、気持ちを新たにする研修生

いざ研修へ!ポーズを決め、気持ちを新たにする研修生

 
 研修生は1年間、漁業就業に必要な基礎知識から経営やICT(情報通信技術)の活用、6次産業化など高度知識までを学ぶ。小型船舶操縦士などの免許取得にも励む。
 
 アカデミーは県、県内の漁業関係団体などが連携し、2019年に開講。25年度までに55人が修了している。

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命、財産守ろう!交通安全・地域安全 大切なのは「心がけ」 春の運動 釜石で呼びかけ

自転車の運転者にチラシを配布し、青切符制度を周知する警察官=8日

自転車の運転者にチラシを配布し、青切符制度を周知する警察官=8日

 
 「春の全国交通安全運動」「春の地域安全運動」は6日から10日間にわたり、全国で実施された。新年度のスタートに合わせ、釜石市内でも関係機関が各種活動を展開。新入学児童への交通安全グッズの配布や自転車安全利用の呼びかけなどで、市民の意識や地域の安全安心の向上へ力を合わせた。
 
春の全国交通安全運動と地域安全運動の合同出発式=6日

春の全国交通安全運動と地域安全運動の合同出発式=6日

 
 交通安全の面で今年、岩手県は交通死亡事故が多発している。県警によると、事故による死者数は5日現在で15人。前年度期の3倍に上る。
 
 釜石市内では昨年11~12月に交通死亡事故が2件発生し、計3人が亡くなっている。6日にあった両運動の合同出発式で、釜石警察署の日山良則署長が説明。「尊い命、大切な財産を失うのを1件でも減らすには市民一人一人の心がけが重要。現状を認識してもらい、安心して生活できる地域をつくるため関係機関で連携し活動を」と激励を受け、関係団体が15日まで各種活動に取り組んだ。
 
釜石小の入学式で新入学児童に交通安全グッズが贈られた=8日

釜石小の入学式で新入学児童に交通安全グッズが贈られた=8日

 
 市交通安全対策協議会(会長=小野共市長)などは市内の9小学校の入学式に合わせ、新入学児童112人全員に交通安全グッズを配布。通学かばんなどに付けるリフレクター(反射材)、交通安全あいうえお表・クリアファイル、黄色いワッペンの4種類を用意した。
 
 8日、大渡町の釜石小(五安城正敏校長)で入学式があり、同協議会や釜石地区交通安全協会、釜石署の関係者が出席。グッズ一式を詰め込んだ封筒を手にした同署交通課の三浦優樹課長が「交通ルールを守って元気に登校してください」と、新1年生6人に呼びかけた。
 
新1年生を見守る釜石警察署の三浦優樹交通課長(奥左)

新1年生を見守る釜石警察署の三浦優樹交通課長(奥左)

 
 代表して受け取った菅原一華さんは初々しい声で「はい」と返事。「ルールを守って頑張ります。みんなと一緒に勉強するのが楽しみ」とはにかんだ。
 
自転車通学をする中学生に啓発チラシを渡す警察官

自転車通学をする中学生に啓発チラシを渡す警察官

 
 同日夕方、新町の沿岸広域振興局周辺で自転車安全利用の啓発活動を行った。毎月8日の県自転車安全指導の日に合わせ、今月始まった自転車の交通反則切符(青切符)制度を周知するチラシを自転車の運転者らに配った。
 
 活動場所は国道283号沿いの自転車が走行できる歩道で、登下校時に中高生らも利用する。釜石署の署員に声をかけられた釜石中の1年生はこの日、安全走行の講習を受けたばかりで、同制度を認識。テレビなどニュース報道で耳にしていたこともあり、「自転車で車道の右側を走る(逆走)のは危ないから、やらないようにする」「イヤホンは耳が聞こえなくなるのもあるから、使うのは注意する」「また伝えてもらえてよかった。事故を無くすことにつながるから。気を引き締めたい」などと受け止めた。
 
国道283号沿いの歩道に立ち手持ち看板を掲げて啓発

国道283号沿いの歩道に立ち手持ち看板を掲げて啓発

 
 また、県警では毎月第2水曜日を「横断歩道の日」としており、新町のジョイス釜石店前の横断歩道近くでも活動。数年前に死亡事故が発生しており、釜石署と連携した交通安全・防犯関係団体の関係者らが手持ちの看板を掲げて注意喚起した。
 
自転車の交通ルールや青切符制度を知らせるチラシ

自転車の交通ルールや青切符制度を知らせるチラシ

 
 同制度は16歳以上の自転車の交通違反に、反則金納付を通告できる。青切符の対象となる違反は113種類。口頭指導や警告が基本で、従わない場合は反則金を科す。交通事故の原因となるような悪質、危険なケースは摘発対象となる。
 
 釜石署交通課の三浦課長は「自転車利用のルールが変わったわけではい。形骸化したルールを青切符制度の導入により思い出すきっかけにしてほしい。ルールを守れば、命を守れることがたくさんある。自分自身の意識づけが大事で、周知、浸透させるため指導を中心に行っていく」と強調した。
 
交通安全や防犯の呼びかけは運動期間にかかわらず継続する

交通安全や防犯の呼びかけは運動期間にかかわらず継続する

 
 交通安全運動の重点項目は▽通学路・生活道路の歩行者の安全確保▽走行中に携帯電話を使う「ながらスマホ」の根絶や安全運転の意識向上▽自転車などの交通ルールの理解や順守の徹底。「交通事故死ゼロを目指す日」(10日)に合わせた「ドーナツ運動」なども行った。
 
 地域安全運動は▽子どもや女性、高齢者の犯罪被害防止▽鍵かけの励行-が重点。関連で、釜石署は8日に釜石市や大槌町の4町内会へ「鍵かけモデル地区」指定書を交付、防犯意識を高めてもらい施錠の習慣化を図った。

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開放的に新装!釜石・野田中央公園 震災後の仮設住宅用地から復旧 利用再開に歓声

新しくなった野田中央公園で遊ぶ子どもたち

新しくなった野田中央公園で遊ぶ子どもたち

 
 東日本大震災後に被災者向けの仮設住宅用地となった釜石市野田町の野田中央公園の復旧整備工事が完了し、9日、現地で開園式が開かれた。生い茂っていた樹木を伐採し、グラウンドを新しくするなど、市民の憩いの場は明るく開放的な空間にリニューアル。久しぶりの開放を待ちわびた子どもたちがさっそく公園内を元気に駆け回っていた。
 
 住民や関係者ら約60人が出席。小野共市長は「地域の憩いの場として幅広い世代に愛される公園に。子どもたちの健やかでたくましい成長の一助となることを願う」とあいさつした。
 
開園式に参加した野田町の住民や釜石市の関係者ら

開園式に参加した野田町の住民や釜石市の関係者ら

 
 「お花見スポット」としても地域に親しまれる公園では、早咲きのサクラがちょうど見頃に。木の下でひと休みする大人たち、風に舞った花びらを拾い集めて遊んだりする子どもらの姿も見られた。
 
 小佐野小6年の石田晃悠さんは「久しぶりに開放された。気分、いい感じ。友達とキャッチボールとかして遊びたい」と笑顔を見せた。
 
花見スポットとしても地域に親しまれる野田中央公園

花見スポットとしても地域に親しまれる野田中央公園

 
子どもたちは桜の花びらを集めたり、グランドを駆け回ったり

子どもたちは桜の花びらを集めたり、グランドを駆け回ったり

 
 公園は老朽化したフェンスの更新や、周囲を覆っていた大木化した樹木(ヒマラヤスギを中心に)の伐採などで見通しを確保。水はけ力が低下していたグラウンドは土を入れ替え、排水設備も整えた。新たに駐車場(10区画)を設け、利便性の向上を図った。整備面積は約6000平方メートル。事業費は約5000万円。
 
利用しやすいようにと新たに駐車場が設けられた

利用しやすいようにと新たに駐車場が設けられた

 
 野田集会所に隣接する同公園は1986年に供用が始まり、地域住民の活動の場として利用されてきた。震災後は被災した人たちの生活再建を支える仮設住宅用地として使用され、市は6棟36戸を整備。2019年12月まで使われ、20年10月に撤去された。
 
2019年の桜の季節には仮設住宅が並んでいた

2019年の桜の季節には仮設住宅が並んでいた

 
憩いの場としてリニューアルした野田中央公園

憩いの場としてリニューアルした野田中央公園

 
 公園の復旧整備に向け、市は地域住民らを交えたワークショップなどを実施。寄せられた声をもとに整備内容を検討し、昨年9月に工事に着手。今年3月に整備を終えた。
 
 近くに住む野田十和町内会の木谷哲会長(78)は「さっぱりしたいい公園が戻ってきた。子どもたちが自由に遊びまわる姿を見るのが楽しみ。どんどん使ってほしい」と願った。
 
子どもたちをうれしそうに見守る木谷哲さん(左)

子どもたちをうれしそうに見守る木谷哲さん(左)

 
 野田中央公園の近くにはほかにも仮設住宅用地として使われた公園が2カ所あり、市は同時に整備内容を検討。まず野田中央を憩いの場として再整備し、今後予定する野田西は子どもの遊び場、向定内は運動の場としての利用を見込み、復旧整備事業を進める。

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市指定文化財「上栗林のサクラ」 堂々の巨木 14年目のライトアップ 夜空に浮かぶ花姿圧巻

ライトアップ14年目を迎えた「上栗林のサクラ」=11日撮影

ライトアップ14年目を迎えた「上栗林のサクラ」=11日撮影

 
 釜石市栗林町の市指定文化財(天然記念物)「上栗林のサクラ」は、今年も花の開花に合わせ、夜のライトアップが行われている。地元住民組織、上栗林振興会(三浦栄太郎会長)が2013年から始めた取り組みは春の風物詩として定着。樹齢400年以上と推定される巨木の見事な花姿と枝ぶりを暗闇に浮かび上がらせている。ライトアップは葉桜になる一歩手前ごろまで実施予定。点灯時間は午後6時半から同9時半まで。
 
 上栗林集会所そばの私有地に自生する同桜はエドヒガン種。2006年の市の調査では胸高幹周りが約4.9メートル、根元周りは約8メートル。07年に市の文化財に指定された。地元では「種蒔(たねまき)桜」と呼ばれ、開花は農事の目安とされてきた。住民によると、以前は4月下旬に満開を迎えていたが、近年は地球温暖化が影響してか開花が早まっている。
 
 今年はつぼみ状態の5日に照明機器を設置。翌6日から花が開き始めた。週末の11日には見頃を迎えたが、この日の市内は強風に見舞われ、早めに開花した花は花びらを散らしてしまった。夜も風の強い状態が続き、見物客はまばらだったが、いい状態の桜を愛でようと市民らが足を運んだ。
 
さまざまな角度からの照明で樹形を浮かび上がらせる

さまざまな角度からの照明で樹形を浮かび上がらせる

 
枝いっぱいに薄桃色の花をつけ、美しい光景をみせる

枝いっぱいに薄桃色の花をつけ、美しい光景をみせる

 
開花後、最初の週末となった11日はあいにくの強風となったが、楽しみにしていた見物客がマイカーなどで訪れた

開花後、最初の週末となった11日はあいにくの強風となったが、楽しみにしていた見物客がマイカーなどで訪れた

 
 橋野町の83歳女性は「車で(県道を)通行する際に見てはいたが、近づいて見るのは今日が初めて」と、頭上高く枝を伸ばした桜を見上げた。「素晴らしいねぇ。これだけ太い幹もなかなか無い。本当に立派。地域の誇りだね」と感嘆の声。同所より標高が高い橋野の桜はこれからが開花時期で、「あとは地元の桜を楽しみに…」と一緒に訪れた友人と顔を見合わせた。
 
 同桜のライトアップは、振興会の夜の会合後、役員が懐中電灯で試しに照らしてみたのがきっかけ。当初は地元建設会社の協力で工事用投光器を用いていたが、後に花の色がより美しく見えるよう光源の種類や数、角度など試行錯誤を重ね、2色のLED照明による現在の形を確立した。始めた頃は震災復興のさなかで、沿線の県道釜石遠野線を工事関係車両が行き交い、仕事帰りに足を止める人も。上栗林集会所で避難生活を送った被災者らも仮設住宅から足を運び、交通整理をするほどのにぎわいだった。復興工事の終了、高速道路網の整備で同県道の通行車両が減り、見物客も少なくなったが、今でも市内外から訪れる人が後を絶たない。
 
2色の照明で幻想的な姿を生み出す。幹の太さが長い年月を積み重ねてきたことを物語る

2色の照明で幻想的な姿を生み出す。幹の太さが長い年月を積み重ねてきたことを物語る

 
真っ暗になる前は背後の空色ともコラボ。暗くなってからは、晴れていれば星や月との競演も

真っ暗になる前は背後の空色ともコラボ。暗くなってからは、晴れていれば星や月との競演も

 
 「毎年楽しみに見に来る人のほか、初めて足を運ぶ人もいる。美しい里山の風景を後世につなぎ、地域に活力を生む一助にしたい」と三浦会長(75)。同桜は古木ながら樹勢は衰えず、毎年花を咲かせている。「市と連携し防虫対策などもしっかり行い、今後も注意深く見守っていきたい」と話した。

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春ですね!釜石からお届け、桜の便り 定番スポットで散策、花見「楽しんでいます」

釜石市を流れる小川川流域の桜並木=12日

釜石市を流れる小川川流域の桜並木=12日

 
 春、桜の季節―。釜石市の花姿がきれいなお花見スポットをめぐってきた。4月に入り、あたたかさに早咲きの桜が花開き始めたものの、冷たい空気が流れ込む日もあったりし、市内に多い桜、ソメイヨシノの開花は足踏み。それでも、暖気と冷気を行ったり来たりしながら、6日頃には花がほころんだ。第2週の週末は青空が広がり、花見日和に。多くの人たちが花をめで、「今だけの瞬間」を楽しんでいた。
 
大渡橋のたもとで一本桜の花見を楽しむ親子ら=8日

大渡橋のたもとで一本桜の花見を楽しむ親子ら=8日

 
小学校の入学式を終えた親子が記念に写真を撮る光景も

小学校の入学式を終えた親子が記念に写真を撮る光景も

 
 「きれいだね~」。大渡町の大渡橋たもと、橋詰広場に立つ“一本桜”周辺では、少し早めに花見気分を味わう人たちの姿がみられた。花とつぼみが半々だった8日に訪れた鵜住居町の袰岩綾華さんは「長く楽しめそう」とにっこり。2歳になる長男の廉ちゃんがはしゃぐ様子を見つめ、「四季の変化を楽しめる大人に」と願った。
 
見ごろを迎えた釜石市内のソメイヨシノ

見ごろを迎えた釜石市内のソメイヨシノ

 
定内公園の桜の木の下でジャンプ!元気な子どもたち

定内公園の桜の木の下でジャンプ!元気な子どもたち

 
 「桜餅、食べたーい」。8日、定内町の定内公園で小佐野小の児童が桜の花びらに触れようと手を伸ばしていた。ジャンプしても手は届かなかったが、仲良し3人組(小学3年生)は「また来ようね」と約束。「サンドイッチとか持って来よう」と、“花より団子”だった。
 
小川川に架かる歩行者専用のつり橋から眺めた桜=12日

小川川に架かる歩行者専用のつり橋から眺めた桜=12日

 
咲き誇る桜並木を散策する人たち。川側に張り出す枝ぶりも魅力

咲き誇る桜並木を散策する人たち。川側に張り出す枝ぶりも魅力

 
 小川川流域(小川町・桜木町)や甲子町松倉の甲子川沿い、そして唐丹町本郷の桜並木…。桜ポットめぐりをした12日、各所の花はほぼ満開。多くの人たちが桜と青空を背景に写真を撮ったり、「桜ロード」を散策したり、思い思いに季節を感じていた。
 
甲子町松倉の川沿いに続く並木道は桜の名所の一つ

甲子町松倉の川沿いに続く並木道は桜の名所の一つ

 
桜並木のアーチは散策、サイクリングに絶好のコース

桜並木のアーチは散策、サイクリングに絶好のコース

 
桜のトンネルが出来上がり!唐丹町本郷の並木道

桜のトンネルが出来上がり!唐丹町本郷の並木道

 
春の本郷地区は風情漂う景色をより楽しめる

春の本郷地区は風情漂う景色をより楽しめる

 
大町の薬師公園頂上広場のソメイヨシノ

大町の薬師公園頂上広場のソメイヨシノ

 
 中心市街地を一望できる大町の薬師公園では、遊歩道をちょうちんで彩る恒例の「桜まつり」を25日まで実施。昼は空をバックにした桜のパノラマを楽しむことができ、夜は明かりに浮かび上がる花姿を静かに味わえる。
 
昼も夜もめでる!ちょうちんが揺れる薬師公園桜まつり

昼も夜もめでる!ちょうちんが揺れる薬師公園桜まつり

 
 市内にはこのほか、橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」や甲子町大橋の旧釜石鉱山事務所の周辺など、少し時期をずらして楽しめるスポットもある。