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今年も優勝するぞ! ラグビーキッズ始動 釜石SWジュニア 新入団員迎え開校式

「1年間頑張るぞ!おぉー」 今季の活動へ意欲を高める釜石シーウェイブスジュニアの団員=5日、市球技場

「1年間頑張るぞ!おぉー」 今季の活動へ意欲を高める釜石シーウェイブスジュニアの団員=5日、市球技場

 
 小学生ラグビースクールの釜石シーウェイブス(SW)ジュニアは5日、釜石市甲子町の市球技場で2026年度の開校式を行った。新入団員2人を迎え、24人で始動。今季の目標を掲げ、練習をスタートさせた。チームは、前身の釜石ラグビースクールから数え50周年となった昨年度、東北レベルの大会で優勝するなど躍進した。指導員らは今季も子どもたちにラグビーの楽しさを伝えながら、競技力やチームワーク向上を図り、各種大会での勝利を目指す。
 
 開校式には団員と保護者、指導員ら運営スタッフ計約60人が参加した。大畑勇校長は「今日から51回目のスタートになる。ラグビーは体をぶつけたり走ったりでつらい時もあるが、一生懸命頑張ればきっと楽しいことが待っている。みんなで励まし合って楽しい1年にしよう」と団員らに呼びかけた。トップチームの日本製鉄釜石SW、坂下功正総監督も「たくさんチャレンジして一歩一歩うまくなるように。ラグビーは1人ではできない。新しい仲間を守り、ラグビーをする環境をつくってくれる人たちに感謝の気持ちを持って1年間頑張っていこう」と激励した。
 
団員を激励する大畑勇校長(右上)と坂下功正総監督(左上)

団員を激励する大畑勇校長(右上)と坂下功正総監督(左上)

 
本年度新たに仲間入りした3年女子団員。「よろしくお願いします!」とあいさつ

本年度新たに仲間入りした3年女子団員。「よろしくお願いします!」とあいさつ

 
 釜石SWジュニアは幼児(年長)から小学6年生までの男女が対象。本年度は3年生の三浦唯花さん(釜石小)、山﨑衣千花さん(大槌学園)が新たに入団し、開校式で紹介された。三浦さんは「同級生の友達がやっていて楽しそうだったから」と入団を決め、「すごくワクワクしている。たくさんトライを決める選手になりたい」と目を輝かせた。高校1年の兄がジュニア出身という山﨑さんは母の勧めで入団。「(自分も)走ったり体を動かすのが好き。みんなとやるの、楽しみ」と期待した。
 
2026年度の目標を寄せ書きする高学年団員。1年後の達成を目指して…

2026年度の目標を寄せ書きする高学年団員。1年後の達成を目指して…

 
開校式後、さっそく練習開始。元気に体を動かし笑顔を見せる

開校式後、さっそく練習開始。元気に体を動かし笑顔を見せる

 
 本年1月、初めて企画された小学校高学年対象の大会「IWATE RIZING CUP(いわてライジングカップ)」で、チームは初代チャンピオンに輝いた。昨年11月に開催した50周年記念の交流試合では、県内全チームとヒーローズカップ東北大会で優勝した高清水(秋田県)を迎える中、全勝。チーム、選手の成長を感じさせる1年となった。
 
 今季、キャプテンを務める及川結心さん(小佐野小6年)は「昨年の6年生に負けないよう、もっと力をつけて大会でいっぱい優勝したい。新入団員にはやさしく教えていきたい」と意気込みを語り、開校式では「全学年を通して楽しくラグビーをしよう。エンジョイ、ラグビー!」とこぶしを突き上げた。
 
ボールを持ってグラウンドを駆け回る中学年以下の団員。タッチされたら仲間にパス

ボールを持ってグラウンドを駆け回る中学年以下の団員。タッチされたら仲間にパス

 
トライ!? 先輩団員はグラウンディングもしっかりと

トライ!? 先輩団員はグラウンディングもしっかりと

 
 チームは今年度も各種大会や強化練習会、地元開催のラグビーイベントへの参加、トップチームが所属するリーグワン2部公式戦のサポート、応援などを予定。季節ごとのお楽しみイベントも計画する。団員は随時募集中。練習の見学や体験も受け入れる。
 
 練習は、毎週日曜日午前9時から同11時まで(幼児、全学年)と、同水曜日午後6時半から同8時まで(3~6年)。場所は市球技場。冬季(12~3月)の水曜練習は鵜住居町の市民体育館で行う。入団や見学などの問い合わせは一般社団法人釜石シーウェイブスRFC事務局(電話0193・22・1173)へ。
 
高学年のパス練習。両手指をしっかり広げてキャッチ。ジュニア卒団生(後方)も練習をサポート

高学年のパス練習。両手指をしっかり広げてキャッチ。ジュニア卒団生(後方)も練習をサポート

 
学年を1つ上げ、51年目の活動にスタートダッシュ!大会優勝を狙う

学年を1つ上げ、51年目の活動にスタートダッシュ!大会優勝を狙う

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令和生まれ小学1年生に 釜石9校に112人入学 栗林小 4人の新入生迎え最後の1年へ

栗林小学校に入学した笑顔弾ける新1年生=8日

栗林小学校に入学した笑顔弾ける新1年生=8日

 
 釜石市内の9小学校は7、8の両日で、2026年度の入学式を行った。新入学児童は計112人。このうち来年度、鵜住居小と統合する栗林小(高橋昭英校長、児童24人)は最後の入学式で、4人の新入生を迎えた。児童、教職員、保護者は同校の最後を飾るメモリアルイヤーを有意義で思い出深い1年にしようと、心を一つに新年度をスタートさせた。
 
 栗林小の入学式は8日、同校体育館で行われた。会場を彩った花々は、校名の漢字が同じという縁で震災後、交流が続く香川県高松市の栗林(りつりん)小から贈られたもの。新入生4人は在校生や保護者らの拍手に迎えられて入場し、ちょっぴり緊張しながら席に着いた。1年担任の万城目遥教諭が一人一人名前を呼ぶと、新入生は「はい」と元気よく返事をして立ち上がり、高橋校長に一礼した。
 
在校生や保護者の拍手に迎えられ入学式会場の体育館に入場

在校生や保護者の拍手に迎えられ入学式会場の体育館に入場

 
新入生は名前を呼ばれると、返事をして立ち上がりお辞儀をした

新入生は名前を呼ばれると、返事をして立ち上がりお辞儀をした

 
 高橋校長は「入学おめでとう。今日からみんなは栗林小の児童です」と歓迎。演台の下から手製のクラフト「栗っ子号」を取り出し、乗車する新入生にメッセージを送った。大切にしてほしいこととして挙げたのは自分、友達や家族(周りの人)、あいさつや返事、命。「栗っ子号は誰一人取り残しません。みんなで支え合って未来に向かって進んでいきます」と話した。保護者には来年度の統合を見据え、「子どもたちにとってより良い環境となるよう準備を進めていきたい」と協力を願った。
 
高橋昭英校長(左)は児童全員が乗る未来行きバス「栗っ子号」のクラフトを見せながらあいさつ

高橋昭英校長(左)は児童全員が乗る未来行きバス「栗っ子号」のクラフトを見せながらあいさつ

 
 市教委の川﨑浩二教育部長、同校の栗澤敬太PTA会長が祝いの言葉を述べた。在校生を代表し、藤原柚夏児童会長(6年)は「皆さんが入学してくるのをとても楽しみに待っていました」と迎え、「小学校はいろいろな勉強や運動ができるところです。栗林小には素敵な行事もたくさんあります。元気に登校して楽しい学校生活にしましょう」と呼びかけた。本年度の教職員9人も紹介された。
 
藤原柚夏児童会長(左上)が歓迎の言葉。校歌を歌い、教職員9人を紹介して式を閉じた

藤原柚夏児童会長(左上)が歓迎の言葉。校歌を歌い、教職員9人を紹介して式を閉じた
 
式を終え、記念撮影前のひととき。高橋校長が手にする「栗っ子号」に目がくぎ付け

式を終え、記念撮影前のひととき。高橋校長が手にする「栗っ子号」に目がくぎ付け

 
 式を終え教室に戻った新入生は緊張も和らいだ様子で、担任の万城目教諭のホームルームに臨んだ。机の上には交通安全の黄色い帽子やワッペン、教材、PTAからの入学祝い品などが並べられていて、担任の話を聞いたあと、真新しいランドセルにそれらをしまい込んだ。
 
 川﨑琴和さんは「1年生になってうれしい気持ち。サッカーを頑張りたい。お友達みんなで仲良くする」とにっこり。栗澤学希さんは同校に通う姉(5年)から学校の話を聞いていて、「ずーっと楽しみにしていた」という。物を入れたランドセルは「ちょっと重たい」とはにかみ、「小学校で楽しみなのは遠足。勉強では算数と体育を頑張る」と胸を躍らせた。学希さんの母幸紀さん(31)は「栗林小での学校生活は残り1年ですが、いろいろな行事などで周りの人とコミュニケーションを取って楽しんでほしい。本人のペースでやりたいことをさせてあげたい」と望んだ。
 
教室に戻り、初めてのホームルーム。担任の万城目遥教諭の話を聞く

教室に戻り、初めてのホームルーム。担任の万城目遥教諭の話を聞く

 
たくさんのお祝い品を贈られた新入生。ピカピカのランドセルに大事にしまう

たくさんのお祝い品を贈られた新入生。ピカピカのランドセルに大事にしまう

 
平田の「釜石トラ作りの会」が市内全小学校の新1年生に贈った虎舞を模したキーホルダーも児童らの手元へ

平田の「釜石トラ作りの会」が市内全小学校の新1年生に贈った虎舞を模したキーホルダーも児童らの手元へ

 
 同校の学校教育目標は▽よく考えやりぬく子(かしこく)▽豊かな心と思いやりのある子(やさしく)▽健康で明るい子(たくましく)。児童24人は友情を育みながら、教職員らの指導のもと閉校までの1年を元気に明るく大切に過ごしていく。
 
初めての小学校生活にワクワク、ドキドキ! 期待を膨らませる栗林小1年生。「1年間、がんばるぞ!」

初めての小学校生活にワクワク、ドキドキ! 期待を膨らませる栗林小1年生。「1年間、がんばるぞ!」

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祝・満100歳 板澤サツ子さん(釜石・仙人の里に入居中) 生きる力は…食べる、寝る

100歳の板澤サツ子さん(中)、長男の洋一さん(左)と長女の永木成子さん

100歳の板澤サツ子さん(中)、長男の洋一さん(左)と長女の永木成子さん

 
 釜石市甲子町の特別養護老人ホーム仙人の里(千葉敬施設長、長期利用66人、短期利用14人)で生活する板澤サツ子さんが1日、満100歳を迎えた。誕生日に合わせ、同施設で「百歳を祝う会」が開かれ、駆け付けた家族、入居する仲間や施設の職員から、あたたかい祝福を受けた。
 
入居する仙人の里で誕生日を祝う会が開かれた

入居する仙人の里で誕生日を祝う会が開かれた

 
100歳の板澤さん。凛とした居ずまいが印象的

100歳の板澤さん。凛とした居ずまいが印象的

 
 板澤さんは1926(大正15)年に同市大渡町で生まれ、学校を卒業後は釜石製鉄所で給仕の仕事に就いた。そこで出会った房雄さんと結婚し、甲子町で生活。2男1女の子宝を授かった。子育てのため専業主婦となったが、子どもたちが手を離れると、水産加工会社で働いて家計を支えた。退職後は地区の公民館で、コーラスや水彩画のサークル活動に熱中。2016年に房雄さんが96歳で亡くなり、一人での生活となった。
 
 趣味を楽しみつつ元気に暮らしていたが、20年に体調を崩し、病院での入院や福祉施設での生活を経て、21年に仙人の里に入所。現在は「1日3食」の健康的な食事と睡眠をしっかりとって健康維持に努めている。また、2週間に1回、東京で暮らす長女とのテレビ電話によるオンライン面会が長寿につながる一因に。喜びに表情を和ませながら、ゆったりと時間を過ごしているという。
 
桃色のちゃんちゃんこ姿の板澤さんを家族が囲む

桃色のちゃんちゃんこ姿の板澤さんを家族が囲む

 
 この日、近くで暮らす長男の洋一さん(77)、澄子さん(77)夫婦と、東京都江戸川区からから訪れた長女の永木成子さん(72)に囲まれ、やわらかい笑みを浮かべた板澤さん。市地域包括ケア推進課の小田島史恵課長も出席し、「お召しもの、すてきですね」と声をかけられると、小さくうなずいた。
 
 板澤さんには市から特別敬老祝い金や記念の額入り祝い状、羽毛肌掛け布団が贈られた。同施設を運営する社会福祉法人陽風会の清野信雄理事長は「これからも健康で楽しく毎日を過ごしてください」と声をかけ、花束を手渡した。
 
祝う会では釜石市や仙人の里から記念品が贈られた

祝う会では釜石市や仙人の里から記念品が贈られた

 
娘が母親にささやく。あたたかい一場面が見られた

娘が母親にささやく。あたたかい一場面が見られた

 
 施設を挙げたお祝いの気持ちを受け取った洋一さんは感謝を込め、あいさつ。「母は15人きょうだいで、記憶は定かではないが、下に妹が2人、弟は3人いた。小さい時から、たぶん今まで、戦前、戦中、戦後、その中を力強く生きてきたと推察する。こうして100歳を迎えられたのは、支えていただいた皆さまのおかげ」と感慨深げに話した。
 
 祝う会の後の食事の時間。洋一さんは、赤飯やケーキなどを頬張る母の姿に「すごい勢いで食べている。生きる力を感じる」とうれしそうに話した。同施設での生活は5年になり、そのリズムに慣れたのか、最近は「表情が安定。ストレスがないのだろう」と推測。「一人で頑張ってきた時期もあるから」と思いをはせ、「心配事もなく、日々を過ごしてほしい。笑って穏やかに」と願った。
 
板澤さんの100歳を祝う家族、施設や市の関係者ら

板澤さんの100歳を祝う家族、施設や市の関係者ら

 
 同施設の100歳以上の利用者は板澤さんを含め3人。市内でみると、100歳以上は板澤さんを含め35人(男4、女31)となった。最高齢は106歳の女性。(3月23日現在)

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釜石・うのスタに集合!高校ラガーマン 交流試合で刺激し合う 地元高校生ら語り部活動も

釜石市で開かれた東北復興高校ラグビー交流会=2日、釜石鵜住居復興スタジアム

釜石市で開かれた東北復興高校ラグビー交流会=2日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 高校ラグビーの強豪校が釜石市に集う東北復興高校ラグビー交流会(同実行委主催)は1日から3日までの日程で、同市鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアム(通称・うのスタ)など3会場で行われた。4回目となる今回は北海道から九州まで各地の高校に加え、地元岩手県は各校で合同チームを組んで参加。全国20校、約540人が冷たい雨にも負けず、泥だらけになりながら熱い戦いを繰り広げた。
 
 選手たちの出場機会を増やし、できるだけ多くのチームと対戦できるよう、1試合20分のルールで交流試合を実施。うのスタのほか、根浜シーサイド多目的広場、市球技場に分かれ、楕円(だえん)球を追いかけた。
 
悪天候に負けずはつらつとプレーする選手たち

悪天候に負けずはつらつとプレーする選手たち

 
 2日は各校の選抜選手でつくる2チームによるドリームマッチが行われた。冷たい雨が降り続く中、ボールの扱いに苦戦したり思うような動きができずとも互いに声をかけ合い、迫力あふれるプレーを見せた。
 
熱戦!各校の選抜選手によるドリームマッチ

熱戦!各校の選抜選手によるドリームマッチ

 
トライ!一進一退の攻防が繰り広げられた

トライ!一進一退の攻防が繰り広げられた

 
 例年通り、防災学習も実施。町内にある震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」スタッフの川崎杏樹さんが体験を伝えた。さらに今回は、釜石高の生徒らでつくる防災活動グループ「夢団」の語り部活動も。災害への備え、心構えなど大切にしてほしいことを高校生ラガーマンたちに届け、考えてもらう機会にした。
 
防災学習に臨む選手たち。体験談にじっと耳を傾けた

防災学習に臨む選手たち。体験談にじっと耳を傾けた

 
「災害への備えを」と呼びかけた釜石高の生徒たち

「災害への備えを」と呼びかけた釜石高の生徒たち

 
 常翔学園高(大阪市)の南方海至人さん(2年)は、同年代の語り部の話を自身が暮らす地域に置き換えながら耳を傾けた。津波の心配はないが、土砂災害は起こりうると想像。「災害の種類は違っても、その恐ろしさを知った。なめず、油断せず、判断して命を守りたい」と受け止めた。
 
 そんな南方さんはドリームマッチに出場。「みんなうまい。試合で何をすべきか分かっているから、プレーしていて楽しい。このグラウンドで、新しい仲間ができた。ラグビーが好きな者同士、交流できてよかった」と充実感をにじませた。
 
交流試合で強豪校に挑む釜石高の菊池眞暖さん(左の写真)=2日、根浜シーサイド多目的広場

交流試合で強豪校に挑む釜石高の菊池眞暖さん(左の写真)=2日、根浜シーサイド多目的広場

 
 常翔学園高の胸を借り、レベルアップを図ったのは釜石高の菊池眞暖さん(2年)。黒沢尻工業高(北上市)や釜石商工高との合同チームで試合に臨み、「視野が広がり、刺激になった」と目を輝かせた。本格的にラグビー競技に打ち込むのは高校に入ってから。中学3年生の時に活動した特設ラグビー部で、その魅力にハマった。「チームの団結を他の競技より強く感じられた。仲間を信じ、信頼関係を築ける競技だと思う。ノーサイドの精神にも引かれた」と熱を込める。
 
ずぶぬれ、泥だらけでも笑顔の菊池さん(左)、チームメートで同級生の佐藤和希さん

ずぶぬれ、泥だらけでも笑顔の菊池さん(左)、チームメートで同級生の佐藤和希さん

 
「夢団」の語り部として他県の選手と交流する菊池さん(右)

「夢団」の語り部として他県の選手と交流する菊池さん(右)

 
 「普通なら、対戦できない相手」と話し、全国各地からこの地に集ってくれたことへの感謝を口にした菊池さん。「ありがとう」の気持ちも込め、夢団の語り部として「今ある幸せを大切に、精いっぱい生きて」「思っていること、気持ちを言葉にして伝えて」と、競技を通して出会った仲間にそんな呼びかけをした。
 
うのスタに集った高校ラガーマン。応援も元気に

うのスタに集った高校ラガーマン。応援も元気に

 
 交流会は、うのスタが会場となったラグビーワールドカップ2019年日本大会のレガシー(遺産)や、東日本大震災の復興支援を目的として2023年に初開催された。発案者で参加校幹事の代表幹事も務める常翔学園中・高の野上友一校長(67)は「全国どこにいても災害はある。彼ら(参加した選手たち)には15年前に被害があった地域を見て、話を聞いて防災意識を持ってほしい。いざという時、若い力は救助隊として力を出すこともできるから」と期待。「復興のシンボル」と強調するうのスタで、「ラグビーを通してアピールした元気が地域の方たちに届くといい」とも願う。
 
 実行委員長を務めた釜石市ラグビーフットボール協会の小笠原順一会長(66)は強豪校が集う機会を歓迎し、もてなしに力を入れる。「他県のチームの強さを感じ、岩手の各校も刺激を受けたはず」と確信。「継続が大事」と話す野上校長と思いを再共有したようだ。

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作業現場のクマ対策 青紀土木社員らが寄せ付けない工夫、遭遇時の対処学ぶ 一般にも公開

クマ撃退スプレー(練習用)の噴射を体験する青紀土木の社員=1日、大町広場

クマ撃退スプレー(練習用)の噴射を体験する青紀土木の社員=1日、大町広場

 
 釜石市鵜住居町の建設業、青紀土木(青木健一代表取締役社長)は1日、作業現場でのクマ対策を学ぶ座学と実習を行った。鉄道や県道の路線維持を請け負い、山間部に入っての作業も多い同社。春を迎え、冬眠明けのクマが動き出す時期に入ることから、例年開く新年度の安全衛生大会の中に組み込む形で初めて実施した。昨年は各地でクマの目撃情報が相次ぎ、重大な人身被害も発生。社員らは講師からクマの生態や寄せ付けない対策、いざという時に身を守る方法などを学び、作業時の安全意識を高めた。
 
 同大会は釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。クマ対策講習は一般にも公開。同社と協力企業の社員、興味のある市民ら約70人が参加した。講師として招かれたのは農林水産省農作物野生鳥獣被害対策アドバイザーで雫石町職員の谷崎修さん(48)。始めに本州に生息するツキノワグマ(以下クマ)の生態について説明した。
 
クマ対策の座学。講師の谷崎修さんは自作のクマパネル(ツキノワグマ成獣、体長1メートル)を示し、「大きさをぜひ覚えておいて」と話した(左下写真)

クマ対策の座学。講師の谷崎修さんは自作のクマパネル(ツキノワグマ成獣、体長1メートル)を示し、「大きさをぜひ覚えておいて」と話した(左下写真)

 
 クマは学習能力が高く、目、耳、鼻は人間の能力を上回る。嗅覚は人間の2400倍、夜間視力は50倍にもなるとされ、「暗くても餌を探すことができる」という。雄と雌では体の大きさが違い、雌は成長が遅いため、「子イヌ(体長40~50センチ)より少し大きい程度でも成獣の可能性がある」。雌は妊娠期間がわずか2カ月で、冬眠中に巣穴の中で出産。子どもが外敵に襲われにくい大きさになってから巣穴を出るため、冬眠明けは雄より遅く、5月上旬ごろ。子グマの近くには必ず母グマがいるので、絶対に近づかないことが肝心。
 
クマ対策について学ぶ青紀土木、協力企業の社員、一般市民ら

クマ対策について学ぶ青紀土木、協力企業の社員、一般市民ら

 
 谷崎さんはクマと出会わないための対策として、▽自分(人間)の存在を知らせる▽クマの生態や行動をよく知る▽目撃・出没情報があった場所には近づかない▽新しい痕跡(ふん、食痕、爪痕など)があった際は十分気をつける―ことを挙げた。
 
 存在を知らせる方法としてはクマ鈴やラジオの携帯があるが、「鈴は高い音が鳴るものを選んで。ラジオは音量が大きすぎるとクマの接近に気付かない可能性があるので要注意」と助言した。他に定期的に手をたたく、大声を出すことも推奨。特に沢沿いや見通しの悪い場所ではしっかり音を発し、人間が近づいていることをクマに知らせることが大事。大きな音を出すクマよけ用品にはガス式、USB充電式のホーン、爆音クラッカーもあり、「作業に入る前、また、作業中も休憩時間などに合わせて何回か鳴らすと効果的」と谷崎さん。
 
クマと出会わないためには、人間の存在(近づいていること)をクマに知らせることが大事。また、クマの食べ物や新しい痕跡がある場所には近寄らないのが一番

クマと出会わないためには、人間の存在(近づいていること)をクマに知らせることが大事。また、クマの食べ物や新しい痕跡がある場所には近寄らないのが一番

 
クマ鈴や追い払い用花火(大きな音と火薬臭が出るもの)なども紹介

クマ鈴や追い払い用花火(大きな音と火薬臭が出るもの)なども紹介

 
 だが、対策を講じていても、不意に出会ってしまう可能性もある。その場合、どう対処すべきか?「20メートル以上離れていれば、こちらが刺激しない限り、クマの方から逃げていく。クマから目を離さず、ゆっくりと静かに後ずさりし、建物や車まで避難して」と谷崎さん。予期せぬ鉢合わせなどでクマが突進してきたら、「クマの顔(目や鼻)を目がけて『クマ撃退スプレー』を噴射する」。スプレーがないなど最悪の場合は命を守るため、「うつ伏せになり、顔や首を守って、体をひっくり返されないよう足を広げる」防御姿勢を取る。これで、致命傷となる顔面への攻撃を防ぐ。谷崎さんは「スプレー噴射も身を守る姿勢も実際にやったことがないとなかなかできない。練習しておくことが必要」と話した。
 
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座学の後に行われたクマ撃退スプレーの操作実習。谷崎さんがポイントを解説

 
 座学の後は大町広場に移動し、練習用クマスプレーで噴射までの操作を体験した。腰に装着したホルダーからスプレーをはずし、ロックを解除。5メートル先に置いたクマのパネル目がけてスプレーを噴射した。スプレー使用時はクマから目を離さないことが大切。購入する際は「噴射までの動作が少なく、片手でも操作できるものを選んでほしい」とのこと。谷崎さんは射程距離について「強風の時は良くて5メートルほど。噴射体勢を取りつつ後ずさりし、5メートルに近づいた瞬間に噴射できれば効果的」とした。クマがいなくなっても噴き続け、中身は全部使い切る。
 
クマスプレーをホルダーごと腰に装着。いざという時にすぐ使えるように…

クマスプレーをホルダーごと腰に装着。いざという時にすぐ使えるように…

 
ホルダーからはずし、ロックを解除。クマの顔をめがけて噴射する。操作する時はクマから目を離さない

ホルダーからはずし、ロックを解除。クマの顔をめがけて噴射する。操作する時はクマから目を離さない

 
クマのパネルまで5メートル。奥のカラーコーンまで10メートル。距離感をつかんでおくことも大事

クマのパネルまで5メートル。奥のカラーコーンまで10メートル。距離感をつかんでおくことも大事

 
 同社の倉澤久美土木課長(55)はスプレー操作を体験し、「もっと素早くできるイメージだったが、ちょっと時間がかかった。クマスプレーを使うのはあくまで最終手段。まずは寄せ付けないことが重要」と実感。作業現場でクマを目撃したことがあるが、その時は20~30メートル離れていて、クマはそのまま逃げていった。昨年の出没増で、「やはり不安は大きい。自分もですが、作業員さんの身も守らないといけないので、しっかり対策をしていかなければ」と気を引き締める。
 
実際に操作してみないと感覚がつかめない。スムーズに使えるよう練習用スプレーなどで噴射までの動作を練習しておくことが必要

実際に操作してみないと感覚がつかめない。スムーズに使えるよう練習用スプレーなどで噴射までの動作を練習しておくことが必要

 
 同社はJRの在来線(釜石線、山田線など)、東北新幹線、三陸鉄道のほか、県道の路線管理を担う。峠など山間部に入っての作業が多く、必然的に野生動物との接点も増える。作業員は現場に向かう際、クマ鈴とクマスプレーを装備しているが、実際のスプレー噴射はほぼ初体験。「“知っている”と“できる”は違う。学んだことを実践し、正しく使えるようになることが大事。空スプレーでの操作練習も対策の一環として取り入れたい」と青木社長。講習の一般公開について、「クマ問題は地域住民にも関わること。同じ課題の解決につながるような事案は、今後も共に学べる場を提供したい」と地域貢献も望んだ。

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夢実現へ出発!三陸鉄道(宮古)で入社式 「憧れの運転士に」釜石出身者も仲間入り

三陸鉄道に入社した南舘琉空さん(左)と北村侑彩さん

三陸鉄道に入社した南舘琉空さん(左)と北村侑彩さん

 
 岩手県沿岸を走る三陸鉄道(本社・宮古市)に1日、高校を卒業したばかりのフレッシュマンたちが仲間入りした。通称「三鉄」として地域に親しまれる同社に愛着を持つ2人。そのひとりが釜石市出身の南舘琉空(たく)さん(18)で、憧れの「運転士」になるための出発点に立った。「笑顔を忘れず、あたたかい気持ちが伝わるような運転をしたい」。夢に向かい、同期入社した宮古市出身の北村侑彩(ありさ)さん(18)とともに前へ進む。
 
 宮古市栄町の本社事務所内であった入社式。2人は真新しい制服に身を包み、引き締まった表情で臨んだ。石川義晃社長は1人1人に辞令を手渡し、歓迎。地域の生活の足として役割を担っていること、豊かな自然の景観を生かしたトレイルや宮古港へのクルーズ船寄港などで外国人観光客が増えていることに加え、東日本大震災から15年目の節目を迎えたことにも触れ、「沿岸地域の復興と発展の一端を担っているという誇りを持ち、会社と一緒に成長を目指していこう」と激励した。
 
石川義晃社長から辞令を受け取る南舘さん(中)

石川義晃社長から辞令を受け取る南舘さん(中)

 
新入社員2人を先輩たちがあたたかく迎え入れる

新入社員2人を先輩たちがあたたかく迎え入れる

 
 運転士候補生として入社した南舘さんは、釜石商工高(機械科)の出身。三鉄沿線の地域に住んでいることや家族の影響もあって、幼い頃から鉄道が大好きだった。走行する車両を見るのもいいが、車窓から見る景色が特別で魅力なのだという。好きを身近にした環境で、「運転士」は憧れの職業に。「地域に貢献できる仕事に就きたい」と思っていたこともあり、「三鉄一択」で就職活動をした。
 
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先輩社員から敬礼のやり方を教えてもらう南舘さん(右)

 
 夢実現の入り口に立ち、「ずっと憧れてきた会社に入ることができた」と素直にうれしさを表す南舘さん。配属は運行部。車両清掃や連結作業など見習い業務に携わりながら、運転士になるための勉強に励む。資格を得るまで2年~2年半かかるといい、「先輩たちの力を借りながら、早く一人前の運転士になれるよう努力する」と背筋を伸ばした。
 
ビシッと敬礼して石川社長(中)と記念撮影する新人2人

ビシッと敬礼して石川社長(中)と記念撮影する新人2人

 
 宮古商工高を卒業した北村さんは、宮古駅の駅務係に配属。乗客の案内など窓口、改札業務に当たる。「地域のため」と、震災後に三鉄がいち早く運転を再開させたことを知り、「私もこんな勇敢な方々のもとで働きたい」と入社を希望。「三鉄の魅力を発信したい。笑顔を届けて、また来たいと思ってもらえるような案内をしたい」と未来を思い描き、笑顔を弾けさせた。
 
「笑顔を忘れず、共に成長を」とエールを送る石川社長(中)の期待に応え、ほほ笑む南舘さん(左)と明るい笑みを広げる北村さん

「笑顔を忘れず、共に成長を」とエールを送る石川社長(中)の期待に応え、ほほ笑む南舘さん(左)と明るい笑みを広げる北村さん

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釜石PIT 2026年4月のスケジュール

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太字で表示されているイベントは一般の方も参加できます。イベントに関するお問い合わせは、各主催者までお願いいたします。
 
施設に関する詳細はこちらのページをご覧ください。

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

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新年度始まる 釜石市役所に21人入庁 市民のため貢献誓う/小野市長 幹部職員に訓示

服務宣誓書を全員で読み上げる釜石市の新規採用職員=1日、辞令交付式

服務宣誓書を全員で読み上げる釜石市の新規採用職員=1日、辞令交付式

 
 2026年度のスタートとなった1日、釜石市内でも新社会人らがそれぞれの職場で入庁式や入社式に臨んだ。釜石市役所には新規採用職員21人が入庁。小野共市長から辞令を受け取り、市職員としての第一歩を踏み出した。同市は本年度、第6次市総合計画後期基本計画(5カ年)の初年度を迎えるほか、建設中の新市庁舎が完成し9月から稼働する。小野市長は幹部職員への訓示で、今後10年の市発展に必要な施策の3本柱を示し、さらなる尽力を求めた。
 
 新規採用職員の辞令交付式は市役所大会議室で行われた。小野市長が一人一人に辞令を交付後、代表の佐久間洸土(ひろと)さん(23)が先導し服務宣誓。「全体の奉仕者として誠実かつ公正に職務を執行する」と全員で声を合わせた。小野市長は市政の軸とする「地域医療、子育て、産業振興、教育、防災」について説明。「20年後の釜石をつくるのは皆さん。釜石の将来を担うという覚悟を持って、仕事にあたっていただきたい」と激励した。
 
小野共市長から辞令を受け取る2026年度新規採用職員

小野共市長から辞令を受け取る2026年度新規採用職員

 
男女21人が釜石市職員として新たな一歩を踏み出す

男女21人が釜石市職員として新たな一歩を踏み出す

 
 佐久間洸土さんは同市浜町出身。「地元で働きたい」と考え、「マルチにいろいろなことに関われる市職員」を志望した。辞令を受け、公務員としての責任を自覚。総合政策課に配属された。「まずは与えられたことをしっかりコツコツとやること」と目標を掲げる。東日本大震災時は釜石小の2年生。同5年の兄、祖母と自宅近くの高台に逃げ、津波から命を守った。市職員となった今、「浜の方にも安心して家を構えられるようになれば。魅力あるまちをつくり、人口流出を防ぐことが重要」と将来を見据える。
 
小野市長の前で宣誓書を読み上げる佐久間洸土さん

小野市長の前で宣誓書を読み上げる佐久間洸土さん

 
 生活環境課からスタートする三浦花音さん(20)は新社会人の船出に「心配より楽しみの方が大きい」と期待を高める。「生まれ育った故郷に、市民と一番近い距離で直接的に貢献できるのでは」と思い、市職員の道を選んだ。「市民に寄り添った対応ができる職員に。ぜひ、力添えできれば」と理想像を描く。幼稚園年中の時に震災を経験。まちの復興とともに小中学生時代を過ごしてきた。「昔ほどの活気を取り戻すのは難しいかもしれないが、今ある資源を最大限活用し、まちを盛り上げていければ」。趣味の旅行で見聞も広め、地元に還元していきたいと望んだ。
 
新社会人として故郷への貢献を誓う三浦花音さん。被災した鵜住居小の新校舎卒業一期生

新社会人として故郷への貢献を誓う三浦花音さん。被災した鵜住居小の新校舎卒業一期生

 
 辞令交付式を終えた小野市長は、新年度スタートにあたり、幹部職員約40人を前に訓示した。新市庁舎へ移転する本年度は「業務の効率化、市民サービス向上への大きな転機」とし、後期基本計画の3本柱▽交流人口拡大▽地域力拡充▽人材育成―を改めて強調。「外部の知恵を釜石発展の力に変える」「地域の自発的な力を引き出す」「持続可能なまちを支える人材を育てる」。これらを念頭に市政運営にまい進するよう促した。指摘される人口減少については「人口の増減だけで判断されるのは不本意。大事なのは『ここに住んで良かった』と、誇りと自信を持って言える釜石であること。住民が満足し、プライドを持って生きられるような施策を考えていく必要がある」と述べた。
 
小野市長(右上写真)が幹部職員を前に訓示。「釜石発展のストーリー」を描き、必要な施策3本柱を説明した

小野市長(右上写真)が幹部職員を前に訓示。「釜石発展のストーリー」を描き、必要な施策3本柱を説明した

 
 同市は新市庁舎への移転を好機とし、新たな部局間連携や業務の効率化を図る方針で、保健福祉部を中心とした組織改編を実施。係の統合、新設などで、市民にとって分かりやすい組織体制を構築する。人材育成のため、国などへの職員派遣も実施する。1日時点の職員数は373人(任期付き、再任用含む)。

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自然災害の語り継ぎは挑戦!? 大震災かまいしの伝承者、研修で考える「教訓としてのメッセージ」

講義に聞き入り、震災を語り継ぐための工夫を考える参加者

講義に聞き入り、震災を語り継ぐための工夫を考える参加者

 
 災害の伝承とは―。東日本大震災から15年が経過した。被災の経験や教訓は世代(年齢)、場所によって内容はさまざま。そして月日が流れ、直接の経験、記憶を持たない人たちも増えている。だが、そうした若い世代でも伝承活動に関わることはできる。一人ひとりの体験、考えは異なっても、「後世に伝える」意義、重要性は変わらない。何を伝承し、発信していくのか。震災とは異なる時代や他地域の事例から、伝える意義を考える研修会が3月29日に釜石市であった。
 
 「人は忘れる。だから考えなければいけない、何を伝え継承するのか、教訓として残していくべきか。語り継ぎはある意味、挑戦でもある」。震災の教訓を伝える市公認の語り部「大震災かまいしの伝承者」ら約30人を前に、講師の東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター長、関谷直也教授(50)=災害社会学・社会心理学=は、そう訴えた。
 
「震災の教訓と伝承」をテーマに講義した関谷直也教授

「震災の教訓と伝承」をテーマに講義した関谷直也教授

 
 かまいしの伝承者の養成は2019年にスタート。震災の記憶の風化防止や市民の防災意識向上などを目指している。震災を語り継ぐ意欲があり、地震のメカニズムや市防災市民憲章などへの理解を深める基礎研修を修了すると、伝承者に認定。これまでに5期の研修が行われており、10~80代の計117人が修了した。認定期間はおおむね2年間で、現在62人が継続。伝え方の工夫など実践的な知識、技能を身につけてもらおうと、任意のステップアップ研修も行っている。この日開催されたのはステップアップ研修で、会場は小佐野町のコミュニティ会館を使った。
 
「大震災かまいしの伝承者」のステップアップ研修

「大震災かまいしの伝承者」のステップアップ研修

 
 関谷教授の講義は約100年前に発生した関東大震災や、東日本大震災被災地の福島県や宮城県の事例を挙げながら、受講者と一緒に「伝える意義」を考えるような内容だった。
 
 災害時の人間の心理について、1991年発生の雲仙普賢岳(長崎県)噴火による火砕流災害や、自身も親族らを亡くした東日本大震災などを例えに、「災害直後は関心を持つが、人は鈍感。いつの間にか忘れる。10数年たったら状況も少し変わっていく。普段は災害を忘れて過ごしている」と解説。人は普段「明日地震が発生する」とか「自分の生命を奪うような災害が起きる」とは考えない「正常化の偏見」が働くという。
 
 しかしひとたび災害が発生すると、過度に不安を抱く「過大視の偏見」に捉われる。関谷教授は「人は災害やトラブルを意識し、忘れる、という繰り返しで生きている」としたうえで「忘れるというのはつらいものを乗り越える知恵でもある。だからこそ人間の心理で言うと、災害の経験や教訓を伝えるのは難しい」と指摘した。
 
メモを取ったりしながら講義に熱心に耳を傾けた

メモを取ったりしながら講義に熱心に耳を傾けた

 
 伝承とは―。広島や長崎で展開される原爆体験の伝承活動に触れ、「反原爆から反戦へ、そして平和というように、忘れないために伝えるべきメッセージをきちんと整えていくことができた。それにより戦後80年となっても語り継ぎはできている」と関谷教授。関東大震災の話に戻り、「それ以前にあった災害のことを伝え、引き継ぐのに失敗した。自然災害の場合、いろんなところで起こるので風化していく傾向がある」と持論を展開するも、次に起こりうる災害に備えた語り継ぎは重要だとした。
 
 人は忘れる。個人だと忘れる。だから社会として、地域としてどうしていくか。「答えはありません。誰に、何を、どう残すか、考え続けていくことが大事なのだろう」と締めくくった。
 
釜石市防災市民憲章を唱和して語り継ぎへ思いを共有

釜石市防災市民憲章を唱和して語り継ぎへ思いを共有

 
 大学生の菊池音乃さん(19)は2年前に伝承者に認定された。今年2月、小学生時代の恩師の協力で平泉町の小学校で語り部として活動。震災の出来事に加え、命を守る大切さを伝えた。その際、「話にリアルさがなければ想像できないのではないか」と考え、震災の津波で祖父母を亡くした自身の心情も打ち明けた。
 
 講義を受け、「自分事ではないから忘れる」「地域によって伝え方が分かれる」と実感した。看護師を目指し、群馬大医学部(看護学専攻)で学ぶ菊池さん。同世代の学生に震災の記憶はほとんどなく、防災への意識にも格差を感じることがあるという。「どんな災害でも命を守ることは同じだから、伝承者として伝えたい。災害で悲しむ人を少しでも減らしたい」。こうした研修に参加したり、独自に理解を深めながら、「できることを続けていく」と思いを強めた。
 
研修を終えた伝承者に修了証明書が手渡された

研修を終えた伝承者に修了証明書が手渡された

 
修了証明書を手に今後の活動に意欲を見せる伝承者ら

修了証明書を手に今後の活動に意欲を見せる伝承者ら

 
 かまいしの伝承者の事務局は今年度から市防災危機管理課が担う。同課の土橋照好課長は、震災経験者の高齢化と減少、知らない世代の増加といった現状を踏まえ「語りつないでいく重要性は増しており、伝承者は貴重な存在」と強調。研修後の実践の場は限られるとするが、家族や学校、職場、地域など身近な語り継ぎ活動に期待する。
 
 次年度、6期目の基礎研修を予定。伝承者たちの語り手としての「質を高めたい」とも考え、ステップアップ研修も続けていく方向だ。

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楽しい!安い!「かまいし百円市」祝10回 お宝ゲット、リユース推進、交流人口増市内外から注目

100円握ってお宝探し! 10回目を迎えた「かまいし百円市」=3月29日、TETTO前広場

100円握ってお宝探し! 10回目を迎えた「かまいし百円市」=3月29日、TETTO前広場

 
 釜石まちづくり会社主催のフリーマーケット「かまいし百円市」は3月29日に開かれ、市内外からの来場者でにぎわった。2022年夏から始まった同イベントは、年3回のペースで続けられ、今回で10回目を迎える。商品は全て“100円”という誰でも気軽に買える価格、家庭に眠っている物を必要な人に使ってもらえるリユース実践と買う側、売る側双方にうれしい企画は、近年の物価高、資源循環型社会推進も背景に注目を集める。主催者は今後も定期的に開催し、「来れば必ず楽しみと発見がある」場を提供していきたい考え。
 
 百円市の会場は釜石市大町の市民ホールTETTO前広場。午前10時の開店を前に大勢の人たちが詰めかけた。今回は釜石、遠野、大船渡の3市から12店が出店。衣類、おもちゃ、食器、古本、ハンドメイド雑貨…など多彩な品物が並んだ。来場者は各店を回り、気になったものを品定め。子どもたちはシールやステッカー、ぬいぐるみなどに夢中になり、親子でお得な買い物を楽しんだ。
 
市内外から12店が出店。来場者が各店を回って掘り出し物を求めた

市内外から12店が出店。来場者が各店を回って掘り出し物を求めた

 
一番人気は衣類。開店と同時に人だかりができた

一番人気は衣類。開店と同時に人だかりができた

 
子どもたちは人気ゲームのカードやステッカーに目がくぎ付け

子どもたちは人気ゲームのカードやステッカーに目がくぎ付け

 
 釜石市の工藤久さん(67)は初出店。趣味で30年ほど続けてきた小鳥飼育の用品を持ち寄った。鳥かご、つぼ巣、餌入れ、足輪…。「趣味が高じて、いろいろ集めてしまった。使い切れず、捨てるのももったいないので、使っていただける方があればと思って」。ジュウシマツやベニスズメなど小型の鳥を代替わりしながら飼育。数か月前、最後の1羽が旅立った。フリマでは珍しい品だけに興味津々で足を止める客も。鳥飼育以外にも応用できそうなものもあり、視線が集まった。
 
小鳥の飼育用品を並べた工藤さんのブース。大型の鳥かごは早々にお買い上げ。発想次第でさまざまな用途に活用できそう

小鳥の飼育用品を並べた工藤さんのブース。大型の鳥かごは早々にお買い上げ。発想次第でさまざまな用途に活用できそう

 
 今回の出店者の3分の1は過去にも出店経験のある“常連さん”。遠野市の菊池陽絵さん(36)は友人と2人で、衣類やアクセサリー、雑貨などを並べた。中には一度も着ることなくタグがついたままタンスで眠っていた洋服も。副業の弁当・焼き菓子店で販売しているクッキーなども販売した。「自分たちも楽しいし、お客様にも喜ばれているよう。さまざまな方々と交流できるのも魅力」と隣町での出店を重ねる。
 
遠野市で「AYAORI HOT CAT」という店を開く菊池さん。家庭で眠っていた衣類や雑貨のほか、店で出している焼き菓子も販売した

遠野市で「AYAORI HOT CAT」という店を開く菊池さん。家庭で眠っていた衣類や雑貨のほか、店で出している焼き菓子も販売した

 
 イベントの周知はチラシの市内新聞折り込みのほか、同社のインスタグラム、フェイスブックなどで行っている。SNSでの情報発信は予想以上に目にしている方が多いようで、会場には市外から足を運んだという人も。定期開催しているのを知ると、「また、ぜひ」と会場を後にした。
 
 花巻市から家族4人で初めて訪れた女性(36)は「フリマってよくあるけど、100円というのが分かりやすくていい。悩まないで買えるし…」とにっこり。子ども服、絵本、ぬいぐるみなどを購入した。幼児用品は使用期間も限られるため、子育て世代にとって安く手に入れられるのはうれしい限り。「見るだけでも楽しい」と声を弾ませた。宮城県気仙沼市の熊谷牧子さん(50)は友人と3人で訪れた。「これが目当てで」。昨年に続いて2回目の来場と明かし、金魚鉢や食器、鉄鍋などバラエティーに富んだ袋の中を見せてくれた。「100円で買えるのはうれしいですよね。掘り出し物を探すのも楽しい。それぞれ特色あるお店で面白かった」と満喫。「また、おじゃまします」と再訪を望んだ。
 
子育て世代にうれしい子ども服やおもちゃ。出店者にとってもまだ使えるものを次の利用者につなげられるのは最高の喜び

子育て世代にうれしい子ども服やおもちゃ。出店者にとってもまだ使えるものを次の利用者につなげられるのは最高の喜び

 
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過去にも複数回出店している古本屋さん。来場者には内容や感想を聞いて購入できるメリットも

 
初企画の100円詰め放題コーナーも盛況!「ふりかけ何個入るかな?」

初企画の100円詰め放題コーナーも盛況!「ふりかけ何個入るかな?」

 
 今回は10回記念として、主催者が用意した“100円詰め放題”コーナーもあった。手のひらサイズの小袋にふりかけ、おやつサラミ、キラキラストーンのいずれかを、入るだけ詰めるお楽しみ企画。大人も子どもも夢中になった。
 
 同社の下村達志事業部長は「リサイクル、リユースが推奨される時代というのもあり、そういう意識で出店される方も増えている。出店者、来場者ともに市外から来てくれる方もいて、交流人口拡大にも貢献できているよう。今後も周知を広げ、安定的に継続していきたい」と意欲を見せる。
 
開店から20分ほどで空になるハンガーも続出。お目当てのものをゲットしたい方は早めの来場がおすすめ

開店から20分ほどで空になるハンガーも続出。お目当てのものをゲットしたい方は早めの来場がおすすめ