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広報かまいし2025年11月15日号(No.1868)

広報かまいし2025年11月15日号(No.1868)
 

広報かまいし2025年11月15日号(No.1868)

広報かまいし2025年11月15日号(No.1868)

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【P1】
表紙

【P2】
かまいしエール券を販売します

演劇のお仕事体験プログラム

ふゆぬくしいち

【P3-7】
特集 橋野鉄鉱山世界文化遺産登録10周年 ~これまでの10年、これからの10年~

【P8-9】
釜石まんぷくフェス

海と希望の学園祭 in Kamaishi

【P10-11】
令和7年秋の叙勲

令和7年度釜石市市勢功労者表彰 他

【P12-13】
令和6年度決算報告

【P14-15】
こどもはぐくみ通信

医療に関する住民アンケート調査結果をお知らせします

【P16-17】
​​​​​釜石特産品セレクション対象商品を募集します

ツキノワグマの被害に遭わないために 他

【P18-19】
まちの話題

【P20-21】
保健案内板

世界遺産登録10周年記念コラム

教育部長のおすすめ本

【P22-23】
まちのお知らせ

【P24】
市民百景

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 オープンシティ・プロモーション室
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8463 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2025111100034/
釜石市

釜石市

釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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岩手大釜石キャンパス学生が地元水産資源をPR 今年は街なか開催 2年目のおさかなフェス盛況

「釜石の魚、おいしいよ~」地元の海の幸をPRする岩手大の学生ら=9日、おさかなフェス

「釜石の魚、おいしいよ~」地元の海の幸をPRする岩手大の学生ら=9日、おさかなフェス

 
 釜石市平田の岩手大釜石キャンパスで水産を学ぶ学生らが9日、市中心市街地の大町広場で地元海産物の魅力をアピールする「おさかなフェス」を開いた。昨年の同キャンパス敷地内での開催に次ぐ2年目の取り組み。釜石の海で漁獲された鮮魚の販売、海の生き物に触れられるタッチプール、地元業者の出店などで会場はにぎわいを見せ、学生と市民らの交流、釜石の魅力再発見の場となった。
 
 同大農学部食料生産環境学科水産システム学コースの3、4年生24人が企画から運営までを担うイベント。昨年も好評だった鮮魚販売には約20種類の魚が並んだ。浜町の廻船問屋マルワの協力で仕入れた魚介類は、釜石湾や唐丹湾の定置網漁、かご漁で取れたもの。サバやマダイ、タナゴ、ドンコなどおなじみの地魚のほか、ヤガラ、カスベ、マトウダイなど普段、店頭ではあまり目にする機会のない種が目を引いた。学生らは各魚の特徴やおいしい食べ方なども客に教えた。
 
定置網やかご漁でとれた魚介類を販売。学生らが来場者に説明も

定置網やかご漁でとれた魚介類を販売。学生らが来場者に説明も

 
珍しい魚や価格の安さも来場者の目を引いた

珍しい魚や価格の安さも来場者の目を引いた

 
展示用の(下段左から)マンボウ、チカメキントキ、ハリセンボンに興味津々

展示用の(下段左から)マンボウ、チカメキントキ、ハリセンボンに興味津々

 
 鮮魚のほか、サクラマスやサバのみりん干しも販売。サクラマスは早々に完売する人気ぶりだった。魚類の販売価格は100円から1200円。通常価格の半額近いものもあり、来場者は好みのものを複数買い求めた。ウオーキングの帰りに立ち寄ったという、会場近くの復興住宅に暮らす女性(76)はサバとイナダ(ブリの若魚)を購入。「普段より安いよね。子ども2人も岩手大を卒業しているので親しみを感じる。若い人たちがまちを盛り上げてくれるのはうれしいこと」と喜んだ。
 
 今や釜石キャンパス学生の代名詞となった「タッチプール」には、学生が釜石の海で釣った魚、交流のあるかご漁漁師が提供してくれた珍しい魚介類が放たれた。生きた状態を見られる機会はなかなかないだけに、子どもも大人もその動きに注目しながら観察。もちろん、触れるのもOKで、来場者は地元の海の豊かさも感じながら“タッチ”を楽しんだ。
 
研修で釜石を訪れた外国人学生も釜石の海の生き物にびっくり!

研修で釜石を訪れた外国人学生も釜石の海の生き物にびっくり!

 
カイメンを住みかにしたヤドカリ(右上)やキタムラサキウニ(右下)も登場。さまざまな海の生き物に触れられるタッチプール

カイメンを住みかにしたヤドカリ(右上)やキタムラサキウニ(右下)も登場。さまざまな海の生き物に触れられるタッチプール

 
学生(右)は子どもたちに生態なども教えながら釜石の海の素晴らしさを伝えた

学生(右)は子どもたちに生態なども教えながら釜石の海の素晴らしさを伝えた

 
 「岩手大との付き合いは15年ぐらい」という釜石湾漁協白浜浦女性部は昨年に続いて出店協力。えびせんべい、タコの唐揚げ、ウニご飯などを販売した。いち推しは「アカモク」の加工品。塩分の排出効果があるカリウムを多く含む海藻で、この日は、ふりかけや各種料理にアレンジ可能な湯通しした商品を並べた。アカモクを入れたみそ汁のお振る舞いも。同女性部は商品化の取り組みを始めて9年目になるといい、今では同市ふるさと納税の返礼品にも採用される。
 
アカモクの加工品などをPRする釜石湾漁協白浜浦女性部のメンバー

アカモクの加工品などをPRする釜石湾漁協白浜浦女性部のメンバー

 
浜の食文化を伝える機会にもなったおさかなフェス。白浜浦女性部自慢の味覚が並ぶ

浜の食文化を伝える機会にもなったおさかなフェス。白浜浦女性部自慢の味覚が並ぶ

 
 同女性部長の佐々木淳子さん(70)は「釜石市は脳卒中の罹患率が高い。アカモクの普及で市民の健康を守る手助けができれば」とアピール。地元水産物の魅力発信に積極的な岩大生を「頼もしい。同じ仲間として心強いし応援したい」と話し、継続的な連携を望んだ。
 
 水産システム学コースの学生は3年の秋から卒業までの1年半、釜石キャンパスで学ぶ。学生らは学業のかたわら、地元水産業者とタイアップしたイベント開催や小中学生の水産授業のサポートなど、地域住民とつながる各種活動を展開。おさかなフェスもその一つで、学生らは多くの学びを得て成長につなげている。
 
 3年の大友梨央さん(21)は釜石で学び始めて1カ月余り。初めての同フェスでは鮮魚販売を担当した。「思った以上に皆さん買ってくれてびっくり。魚の紹介をしたり、コミュニケーションを取りながら販売できるのがいい」と市民との交流を楽しんだ。人口、若年層の減少が続く沿岸地域において、「学生の出店が集客やにぎわいを生むのなら、地域にある大学として貢献できているのではないか」とも感じた。
 
会場では来場者にアンケートも実施。後輩たちの活動に役立てられる

会場では来場者にアンケートも実施。後輩たちの活動に役立てられる

 
地元販売店や漁師も出店し、にぎわいを見せた大町広場

地元販売店や漁師も出店し、にぎわいを見せた大町広場

 
 「水産のみならず釜石の魅力を幅広く発信できるように」と企画した今年の同フェス。会場には精肉店や菓子店なども出店し、学生企画のイベントを盛り上げた。イベントリーダーを務めた4年の浅野蒼矢さん(22)は「各種申請など事務手続きも全部、自分たちでやった。社会に出てから経験するようなことを先取りできたのは大きい。地域の方とのコミュニケーションの仕方も学べた」と貴重な体験を心に刻む。自分たちの経験は後輩にも伝えたい考えだ。

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よりよい釜石へ 中学生が提案「絆議会」初開催 一般質問で語る未来、まちづくり共に

中学生が議員となり、思いを発信した「かまいし絆議会」

中学生が議員となり、思いを発信した「かまいし絆議会」

 
 釜石市の子どもたちが意見を発信する子ども議会「かまいし絆議会」が7日、市役所内の議場で初めて開かれた。市内14小中学校(9小学校、5中学校)の児童生徒でつくる「かまいし絆会議」を代表し、中学生12人が議員(うち2人は議長)となって「一般質問」に挑戦。教育や防災などをテーマに日々感じている疑問を市当局に投げかけ、より良いまちにするための提案をした。
 
 子どもの目線や声を議会に生かすとともに、まちの事業に関心を高め、学校や地域をより良くしようとする意識を育むことが目的。「自分が生まれたまちを自分たちでつくっていくという気概、認識を若いうちから持ってほしい」と期待を込め、小野共市長が発案した。
 
 14校の児童生徒代表28人が集う絆会議を8月に開いた際に、各校で決めた▽教育▽防災▽交通安全▽まちづくり▽福祉―のテーマごとに市担当者から各種事業や課題などを聞き取った。感じたことや気になったことを話し合うワークショップも実施。中学生が中心となり学校に持ち帰り、一般質問に向け疑問や意見の検討、まとめ作業などを行いながら準備を進めてきた。
 
釜石市役所議場で開かれた中学生による絆会議

釜石市役所議場で開かれた中学生による絆会議

 
 絆議会は中学校区ごとに25分の持ち時間で進められた。議員役の生徒らは日々の暮らしの中で感じていることや自らの体験、学校の取り組みを交えながら、「交通安全に関する計画を立てる中で具体的にどのような調査を行っているか」「過去に開かれていた防災士の資格取得のための研修を再開できないか」「毎年、国道の清掃を行っているが、ごみは減らない。市として現状をどのようにお考えですか」などと、市事業について質問をした。
 
代表生徒が登壇して一般質問。議長役の生徒(後方)が進行

代表生徒が登壇して一般質問。議長役の生徒(後方)が進行

 
ピシっと手を挙げ意思表示。自席から再質問をする生徒

ピシっと手を挙げ意思表示。自席から再質問をする生徒

 
 幅広い分野にわたる意見や要望も伝えた。学校給食について「小中学校ともフードロスに問題を感じている」とし、「わたしたちの希望を聞くアンケートを行い、みんなが食べやすい味付けやメニューを取り入れてほしい」とリクエスト。小中学校が連携して継続する高齢者への交通安全の呼びかけ活動など、各校の取り組みを地域に知ってもらうため市広報紙での紹介など協力を求める声も上がった。
 
 中学生議員らの発表に対して、市の各担当部長や課長が答弁。まちの現状や抱えている課題などを丁寧に説明した上で、前向きな方針を示す場面もあった。
 
生徒らは市担当者の答弁に真剣な表情で耳を傾けた

生徒らは市担当者の答弁に真剣な表情で耳を傾けた

 
市当局の考えを引き出すために作戦を練る場面も

市当局の考えを引き出すために作戦を練る場面も

 
 唐丹中3年の齊藤瑛飛斗さんは「緊張したが、しっかり思いを伝え、議論ができた」と達成感をにじませた。海に面した地域には釣り人の姿が多く、漁港にごみ箱の設置を提案。「簡単に思っていたが、デメリットもあることを知った。課題だと思うことを調べて話し合うことは大事だと思った」と学びを深めた。
 
 釜石東中3年の千葉心菜さんは、他校の質問内容にも関心を持った様子。「不便さとか地域に向けての考えがたくさんあった。自分たちにできることを考え、みんなと一緒によりよい釜石をつくっていけたらいい」と将来を見据えた。
 
中学生の思いを受け止めた小野共市長(手前)

中学生の思いを受け止めた小野共市長(手前)

 
絆議会で釜石の未来を語った中学生、市幹部職員ら

絆議会で釜石の未来を語った中学生、市幹部職員ら

 
 高橋勝教育長は「どの学校も自分たちの生活や、まちを良くしたいという気持ちが伝わってきた。気づかなかったところ、もっとやらなければならないことがあると皆さんの質問を通して感じた」と講評。今回をスタートとし、「今度はみんなから『声を届けたい』と(絆議会の開催を)提案してほしい」と期待した。

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元プロ選手の指導に目キラキラ! 釜石で野球教室 4市町のスポ少団員レベルアップへ気合十分

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釜石リアスライオンズクラブなど5クラブが開いた野球教室=8日、平田公園野球場

 
 元プロ野球選手がスポ少団員を指導する野球教室が8日、釜石市の平田公園野球場で開かれた。釜石リアスライオンズクラブ(LC、大澤賢一会長、会員20人)が青少年健全育成事業として初めて企画。釜石、遠野、大槌、陸中山田4LCが共催した。講師として招かれたのは現役時代、読売ジャイアンツ(巨人)や横浜DeNAベイスターズに所属し、現在はジャイアンツアカデミーコーチを務める東野峻さん(39)と大田泰示さん(35)。4市町から6チーム計80人が参加し、憧れのプロ経験者からの指導を受けた。
 
講師として招かれたジャイアンツアカデミーコーチの東野峻さん(左)と大田泰示さん

講師として招かれたジャイアンツアカデミーコーチの東野峻さん(左)と大田泰示さん

 
 教室は午前と午後の2時間ずつ行われ、午後からは釜石野球団Jrとおおつちタイガース(大槌町)の計35人が参加した。教室は投球、捕球、打撃の3本立て。2人は各フォームの良い例と悪い例を示して、どれが正解かを団員らに問いかけながら、正しい姿勢を保つために意識すべきポイント、練習方法などを教えた。3球団で投手として活躍した東野さんは、肘のけがを防ぐためのボールの投げ方を指導。「トップの形をつくる時は肩の位置より肘が高くなるように。ボールは外側に向けて。肘が下がるとけがをしやすくなる」とし、意識しながらのキャッチボールを促した。
 
投球フォームを学び、実践してみる釜石野球団Jrの団員

投球フォームを学び、実践してみる釜石野球団Jrの団員

 
トップの形を意識しながらキャッチボールに励むおおつちタイガースの団員

トップの形を意識しながらキャッチボールに励むおおつちタイガースの団員

 
 大田さんはゴロの捕球について、「グローブは必ずボールの真正面に出して。送球に移る時はグローブの真下に右足を出してステップ」と教えた。団員らは捕って投げる一連の動作を繰り返し練習。大田さんと東野さんが足の開き具合や体の向き、ステップの良し悪しをチェックした。来季の巨人二軍打撃コーチ就任が発表されたばかりの大田さんはバッティングも指導。構え→テイクバック(力をためる予備動作)→トップと動作の流れを示し、弓矢をたとえに「手の位置が後ろにあるほうがいい。トップの形を大きく取って大きく振って」と呼びかけた。素振りの練習の一つとして、歩きながらスイングする方法を紹介。「1、2、3」の掛け声に合わせ、団員らが実践した。「練習から相手ピッチャーをしっかりイメージし、タイミングを取って振ることが大事」と大田さん。
 
大田さん(左)から捕球の仕方を学ぶ。基礎習得の重要性も伝えられた

大田さん(左)から捕球の仕方を学ぶ。基礎習得の重要性も伝えられた

 
大田さんと東野さんが見守る中、捕球の実践練習。コツをつかむと動作もスムーズに

大田さんと東野さんが見守る中、捕球の実践練習。コツをつかむと動作もスムーズに

 
スムーズな体重移動など打撃力向上に有効なトレーニング「ウオーキングスイング」に挑戦

スムーズな体重移動など打撃力向上に有効なトレーニング「ウオーキングスイング」に挑戦

 
 2人の特別講師の話に熱心に耳を傾けた団員ら。短時間の指導ながら、コツをつかんで改善につなげる子も多く、今後の成長への期待が高まる貴重な時間となった。釜石野球団Jrに所属する佐々木耀太さん(鵜住居小5年)は「分かりやすく教えてもらった。守備の基礎練習で、今までできていなかったところも改善できた」と満足げ。「歩きながら素振りをするとか、家でもできる練習を教わったのでやってみたい」と上達への意欲を見せ、「野球は長く続けたい」と願った。
 
 同団Jrコーチの阿部駿さん(32)も2人の教え方に感動。「子どもたちを引き付ける力がすごい。まとめるのもうまい」と、指導者目線でも多くの学びがあったよう。野球人口が減っている中でも「まずは楽しく。野球の楽しさを感じながら、どんどん打ち込んでいってほしい」と期待を寄せた。
 
「うまくなりたい」と熱心に練習する団員。元プロ選手からの学びは大きな糧に…

「うまくなりたい」と熱心に練習する団員。元プロ選手からの学びは大きな糧に…

 
 閉会式で、父母ら家族や一緒にプレーする仲間への感謝の気持ちを持つことの大切さを説いた2人。「プロ野球選手になりたい人!」との問いには複数の団員が手を挙げた。同地域からは30年ぐらいプロ野球選手が出ていない。東野さんは「震災があったことも忘れずに、誰よりも努力してプロ選手を目指してほしい」。大田さんは「プロ野球に憧れを持ってほしい。ドラフトにかかるような選手が1人でも多く輩出されることを願う」とし、野球選手の輩出がまち自体の活力を生むことも示した。
 
大田さんのバッティングを見学。その飛距離に驚きの声を上げた

大田さんのバッティングを見学。その飛距離に驚きの声を上げた

 
希望者は東野さんからトスされたボールを打ってみた

希望者は東野さんからトスされたボールを打ってみた

 
 釜石リアスLCの大澤会長(45)は紫波町出身。2001~17年度まで、母校の不来方高(当時)で野球部のコーチをしていた。その間、11年度から3年間、同部のマネジャーをしていたのが本年度、釜石市地域おこし協力隊に着任した佐々川有妃さん(日本製鉄釜石シーウェイブス広報担当)。2人の釜石での再会が今回の野球教室実現のきっかけとなった。LCの奉仕活動として「未来ある子どもたちに何かできれば」と考えていた大澤会長に、前職でDeNAの二軍場内アナウンスをしていた佐々川さんが東野さんを紹介し、同クラブ初の企画に至った。
 
 大澤会長は「子どもたちがキラキラした目で教わっていたのが印象的。指導者からも感謝の声をいただき、やって良かった」と肩の荷を下ろした。野球指導の経験者の立場から「野球を選んでくれた子たちが高校までやってくれるようなきっかけを作ってあげたい」とも話し、今後、教室の継続開催への道も探っていきたい考えだ。

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ペットと一緒が「当たり前」 釜石で学び、考える備え 同行避難の“カタチ”

セラピードッグと同行避難について学ぶ来場者

セラピードッグと同行避難について学ぶ来場者

 
 災害時にペットを連れて逃げる「同行避難」について考える催しが3日、釜石市大町の市民ホールTETTOであった。環境省のガイドラインでは推奨されているが、「認識の低さ」があってか課題とされるケースが多いのが実情。行政、飼い主、地域の人たちへの理解を広げようと、地元の動物愛護団体「人と動物の絆momo太郎」が主催した。災害救助犬の育成などをする認定NPO法人日本レスキュー協会(本部・兵庫県)が共催し、セラピードッグと触れ合いながらいざという時のための備えを学んだ。
 
 「迷わず、ためらわず同行避難を」。同協会の動物福祉事業責任者、辻本郁美さんが講話で、来場者に呼びかけた。2024年1月の能登半島地震や今年2月に発生した大船渡市の山林火災などを例に、同行避難の方法や心構えを解説。重要なことは、「公助」としての行政側の体制づくりと、「自助」としての飼い主の備えで、「車の両輪のように考えることが重要だ」と強調した。
 
 自治体が避難所にペットを受け入れるための仕組みを整えるとともに、飼い主も▽ペット用の非常用品を備えておく▽ハウストレーニング(ほかの犬や人に対し、ほえないなど)▽ペットとともに避難する際の行動は事前に決めておく―という3つのことが必要になると指摘。「ペットは大事な家族。備えが不十分で避難できないとならないよう、災害が起きていない今の時期に必要なことを調べ、一緒に逃げられるようにしてほしい」と求めた。
 
ペット避難につなげるためにはケージに入る習慣づけが大事

ペット避難につなげるためにはケージに入る習慣づけが大事

 
 辻本さんはハウストレーニングの一例として、ゲージに入る習慣づけをセラピードッグとともに実演。入ったら、えさをあげるといったコツを紹介した。日常の中で取り入れることで「ケージ=安心安全な場所」と認識しリラックスできるとし、慣れない場所でも大きなストレスを感じずに過ごせるようになると解説。来場者も実際に体験してみたりした。
 
セラピードッグと触れ合いながら同行避難を学ぶ子どもたち

セラピードッグと触れ合いながら同行避難を学ぶ子どもたち

 
 パネル展示では、momo太郎など民間有志が行った大船渡市の山林火災での活動を紹介。当初は避難所でペットを受け入れなかったというが、有志らが行政に働きかけて同伴可能な避難所が開設されたこと、開設場所が離れていたことなどから同行避難を断念した飼い主もいたため民間有志が預かった経緯などを分かりやすく示した。
 
大船渡市の山林火災での活動を紹介するパネル展示

大船渡市の山林火災での活動を紹介するパネル展示

 
備えが大事なのは人もペットも同じ。非常用品を紹介

備えが大事なのは人もペットも同じ。非常用品を紹介

 
 津波の恐れがある際に避難が必要な地域で愛犬と暮らす鈴木祐美さん(41)は、いざという時にすぐ逃げられるよう必要な準備を知りたくて来場した。東日本大震災時には同行避難は無理と考え、後ろ髪を引かれる思いで連れずに避難。今も「同行避難ができるのか自体、分からない」ため、もし災害が発生したら愛犬と一緒に車中泊と考えている。辻本さんの「ためらわずに」との言葉を受け、「自助について家族と考えたい」と、ペットの非常用品などの展示を熱心に見つめた。
 
 マルシェ「かまいしワンにゃんフェス」も同時開催。猫や犬をあしらった手芸品や菓子、ペットの占いなど約30店が並んだ。同行避難への理解を広げるもう一つの要素とされるのが「共助」。飼い主同士、そして行政や地域住民との助け合いは必要となり、イベント化することで参加の間口を広げ、「知ってもらうための情報交換の場」「交流の機会」とした。
 
同時開催のマルシェ。動物好きが交流を楽しんだ

同時開催のマルシェ。動物好きが交流を楽しんだ

 
セラピードッグのモフモフ感、愛くるしさにみんな笑顔

セラピードッグのモフモフ感、愛くるしさにみんな笑顔

 
 「気持ちを切り替えるきっかけに」と話すのは、momo太郎の鈴子真佐美代表。ペットの同行避難は国で推奨されているものの、全国的に避難所でペットの受け入れは拒否される事例はあり、「行政の認識は低い。飼い主側にもいる」と感じている。
 
 そして地域によって温度差もあり、隣町の大槌町ではペット同行避難のため避難所でのスペースを確保する動きは進んでいるが、釜石市では検討が始まり模索の真っ最中。同団体など有志らは行政側に要望する一方で、鳴き声や臭いといった衛生上の問題などの課題をやわらげるため、飼い主が普段の生活でできるペットのトレーニング法を伝える活動も続ける。
 
 鈴子代表は「ペットは家族のパートナー。一緒が当たり前。災害時、被災地域に残したペットのもとへ戻らないことは人の命を守ることにもなる」と話し、ペットを飼っていない人も含め広く知ってもらうため、「こつこつと取り組みを進めなければ」と先を見据えた。

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刺激届ける!ENEOSバスケクリニック 釜石・小佐野ミニバス「苦手、克服するぞ」

釜石市民体育館で開かれたENEOSバスケクリニック

釜石市民体育館で開かれたENEOSバスケクリニック

 
 釜石市鵜住居町の市民体育館で4日、女子バスケットボールWリーグのENEOSサンフラワーズの元選手らによる教室「ENEOSバスケットボールクリニック」があった。市内で競技に熱中する小佐野ミニバスケットボールスポーツ少年団(菊池亮太監督)のメンバー約40人が参加。一流の技に触れながら、夢中になって練習した。
 
 この教室は、ENEOSが社会貢献活動の一環として全国各地で開いており、競技の普及や次世代選手の育成などを目的にする。1995年に始まり、年間50~60カ所で実施。今回は、小佐野ミニバスのコーチ小林光宏さん(36)が応募サイトを目にし、申し込み実現した。
 
 特別コーチとして来釜したのは、アトランタ・アテネ五輪に出場した大山妙子さん、アテネ五輪出場の矢野良子さん、Wリーグ優勝などの経験を持つ小池清美さんの3人。大山さんが「体をしっかり動かし、分からないことは聞いて。いろんな練習を楽しんでやろう」と子どもらに声をかけ、ウォームアップで体全体をほぐすことから始めた。
 
手を振り上げると同時に床を蹴って足を上げ全身運動

手を振り上げると同時に床を蹴って足を上げ全身運動

 
 「ボールを持ったら低い姿勢で」「パスは相手の動きに合わせて」「走っている人のスピードが変わらないよう動きをイメージしてパスを出す」「パスをしてから動くんじゃない。しながら動き出す」。小佐野の課題、「パスをした後の動きが身に付いていない」と事前に聞いていた3人は“パスラン”(パスした後にゴールへ向かって走り込む)に特化した練習メニューを用意し、足の使い方や目線など小学生にも分かりやすいよう解説を加えながら教えた。
 
「重心は低いまま」。実演しながら教える大山妙子さん(手前)

「重心は低いまま」。実演しながら教える大山妙子さん(手前)

 
パスをしながら動き出す。体を押して感覚を伝える小池清美さん

パスをしながら動き出す。体を押して感覚を伝える小池清美さん

 
子どもたちの動きを見ながらアドバイスする矢野良子さん

子どもたちの動きを見ながらアドバイスする矢野良子さん

 
 数人でのパスランを何度も繰り返し練習。女子主将の外川凜々香さん(12)は「パスしながら動くとシュートにつながる。パスランは大事だと改めて感じた」とうなずいた。スムーズな動きの感覚をつかんだ様子で、「褒められたからうれしかった。言われたことを伝え合って、みんなで高め合いたい」と笑顔を見せた。
 
 男子主将の那須友馬さん(12)は、特別コーチ3人の動きの素早さに目を丸くし「すごかった」と感心。普段とは違った練習メニューは刺激になったようで、「声を出したりして、ミート(自分からボールを受けに行ったり、パスをもらいやすい場所に移動したりすること)すると、シュートにつながる。低学年に教えてレベルを高めたい」と気合を入れた。
 
小学生にも分かりやすいように解説しながら丁寧に指導

小学生にも分かりやすいように解説しながら丁寧に指導

 
 終了後には記念撮影やサイン会も行われた。矢野さんはパスランやドリブルといった基本や日々の練習の大切さを伝え、「嫌になることがあるかもしれないが続けて。身に付けば、とても楽しくなるから」と助言した。
 
 練習中は指導に集中していた大山さんは、子どもたちが楽しみながら取り組む様子に「笑顔がたくさん。ほっとした」と表情をやわらげた。釜石への来訪は2017年に同教室を隣町の大槌町で行って以来。東日本大震災から復興しつつある当時の街並みを思い出したようで、スポーツに取り組める環境が整ったことを喜ぶ。「必要なことを持ち帰って、しっかり練習してほしい。チームが勝てば、頑張れる」とエールを送った。
 
笑顔でパチリ。小佐野ミニバスのメンバー、特別コーチ陣

笑顔でパチリ。小佐野ミニバスのメンバー、特別コーチ陣

 
子どもたちは指導やサインの感謝を伝えながら交流を楽しんだ

子どもたちは指導やサインの感謝を伝えながら交流を楽しんだ

 
 今月下旬にミニバス地区予選がある。男子は4チームが出場予定で、小佐野が目指すのは「優勝」。来年1月にある県大会への出場切符を手にすべく、那須さんは「いろんな練習をしっかりして、力を発揮できるようにする」と意気込む。女子は3チームで競う。夏の大会で女子は県大会に出場し1勝した。外川さんは控えめに「今度は県大会で2勝したい」と話しつつ、最終目標は「ベスト8」と定めた。
 
みんなでレベルアップを!意識を高め練習に励む

みんなでレベルアップを!意識を高め練習に励む

 
 「子どもたちの刺激になれば」と見守った小林さん。3人の指導は「シンプルで、当たり前なこと」だが、子どもらがいつも以上に集中し静かに話を聞こうとする姿勢が見られ、うれしく感じた。チーム外から「弱点を指摘され、意識した」と確信。充実した学びの機会を得た子どもらの成長に期待していた。

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ふるさとの味に舌鼓 釜石・橋野で水車まつり 農作物の恵みに感謝し「いただきます!」

晴天に恵まれた第19回水車まつり=2日、橋野どんぐり広場

晴天に恵まれた第19回水車まつり=2日、橋野どんぐり広場

 
 農作物の収穫を祝う釜石市橋野町の「第19回水車まつり」は2日、産地直売所橋野どんぐり広場駐車場で開かれた。季節ごとに地域の魅力を発信する「はしの四季まつり」の1年の締めくくりイベント。今年も地元の秋の恵みをふんだんに使った各種メニューが用意され、約300人が青空の下で古里の味を堪能した。
 
 橋野町振興協議会(菊池郁夫会長)、栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が共催。菊池会長が歓迎のあいさつをし、恒例の餅まきからスタートした。軽トラックの荷台からまかれた紅白餅は約800個。老若男女が手を伸ばし、昔ながらの祝いムードが広がった。
 
釜石の祝い事には欠かせない“餅まき”。子どもも大人も楽しむ

釜石の祝い事には欠かせない“餅まき”。子どもも大人も楽しむ

 
宙を舞う紅白餅。ダイレクトキャッチも? 手前の女の子は洋服の前見頃を袋代わりに…

宙を舞う紅白餅。ダイレクトキャッチも? 手前の女の子は洋服の前見頃を袋代わりに…

 
 お振る舞いは地元産の野菜を使った同振興協女性部手作りの豚汁。この味を求めて足を運ぶ客も多く、約300食の提供に今年も長蛇の列ができた。2種のおにぎり、手打ちそば、きびの焼き団子は安価で販売。来場者は好みのものを買い求め、豚汁とともに味わった。
 
食欲をそそる橋野自慢の味「どうぞ、召し上がれ~」

食欲をそそる橋野自慢の味「どうぞ、召し上がれ~」

 
無料の豚汁には長い列が…。炭火で焼くきび団子は香ばしさ満点

無料の豚汁には長い列が…。炭火で焼くきび団子は香ばしさ満点

 
 さらに今年は、同町和山地内に同市2カ所目となる養鶏農場を建設中の一関市のオヤマが初出店。自慢の「いわいどり」ももの唐揚げを販売した。用意した約100パックは早々に完売。同社商品開発課の加藤寛美係長(54)は「まだお客さまが並ばれていたところをお断わりする形になってしまって…」と予想以上の売れ行きにうれしい悲鳴。地域密着のまつりの雰囲気にも感激し、「とてもいいおまつり。皆さんに温かく迎えていただきありがたい。新しい農場もできるのでさらに交流を深められたら」と願った。
 
水車まつり初出店のオヤマ(一関市)。からあげグランプリ最高金賞の一品を多くの客が買い求めた

水車まつり初出店のオヤマ(一関市)。からあげグランプリ最高金賞の一品を多くの客が買い求めた

 
 会場周辺の山々は紅葉シーズン本番。駐車場の植え込みも赤く色づき、秋本番の景色を愛でながら、食事を楽しむ来場者。子ども2人と二戸市から橋野町の実家に帰省した佐藤優美さん(35)は、地元のいとこらと計8人でまつりを楽しんだ。「子どもたちは豚汁が大好き。こうして外で食べるのもいいですね」と声を弾ませ、「橋野は人口が減っているが、イベントなどで多くの人が足を運んでくれるのはうれしいこと」と古里のにぎわいを喜んだ。
 
紅葉や青空に囲まれて食べる豚汁は最高のごちそう。子どもたちの箸も進む

紅葉や青空に囲まれて食べる豚汁は最高のごちそう。子どもたちの箸も進む

 
 大只越町の和田美穂さんは妹親子に誘われて来場。3人で豚汁のほか3メニューをいただき、「そばは手打ちの麺がおいしい。おかわりしました」と舌鼓。会場までの道中は美しい紅葉も楽しみ、「周りの景色に癒やされて、お腹も満たされて…。最高ですね」と秋の休日を満喫した。
 
豚汁、唐揚げ、雑穀おにぎり…。「みんなで食べるとおいしいね!」

豚汁、唐揚げ、雑穀おにぎり…。「みんなで食べるとおいしいね!」

 
 橋野どんぐり広場の藤原英彦組合長によると、今年の地域の農作物は「米は例年並みの収量ながら、野菜は夏の高温、日照りの影響であまり良くなかった」という。今はダイコンやサツマイモが出始め、これからハクサイも並ぶ。この日は店頭に干し柿用のカキも並んだ。
 
 同地域は市内でも有数の農業地帯だが、生産者の高齢化で近年は休耕地が増加。産直への出荷も減っており、担い手確保が最重要課題となっている。昨年6月から漬物の製造販売に保健所の営業許可が必要になったことも影響する。国が定める衛生基準を満たすには設備投資が必要で、個人生産者はほぼ販売をやめてしまった。藤原組合長は「現在、地域の漬物販売の復活に向け動いているところ。近い将来、また橋野ならでは味をお届けしたい」と希望を見いだす。「学校がなくなり、商店も減った今、産直は最後のとりで。地域を維持していくためには絶対必要」と継続への模索が続く。

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個性豊かに 釜石市民芸術文化祭 キーワードは「かけあわせ」 年代・ジャンル超え

絵画や書道など多彩な作品が並んだ釜石市民芸術祭

絵画や書道など多彩な作品が並んだ釜石市民芸術祭

 
 釜石市民芸術文化祭(釜石市芸術文化協会主催、市共催)は1、2日、同市大町の市民ホールTETTOで開かれた。秋めく街を彩る芸術の祭典は55回目。「子供達の笑顔、未来に紡ぐ芸術の心!!」をテーマに、作品展示や舞台発表などで日ごろの活動の成果を披露した。
 
 展示では書道や絵画、切り絵、ステンドグラス、生け花、郵趣品、編み物、写真など多彩なジャンルの作品がずらりと並んだ。加盟団体に加え、一般参加、学校単位での出品も。岩手芸術祭など県内外の公募展で入賞した美術作品も紹介され、来場者は幅広い年代がみせる豊かな表現力を堪能した。
 
美を追求⁉簡素化された生け花に興味津々

美を追求⁉簡素化された生け花に興味津々

 
ステンドグラスや郵趣品、編み物など多彩な作品がずらり

ステンドグラスや郵趣品、編み物など多彩な作品がずらり

 
 創作活動に触れられる体験コーナーも人気。文字の書き順にこだわらず自由に筆を走らせる「脳活書道」は大人たちを刺激し、タブレット端末と電子ペンを使ったデジタルイラストの塗り絵は子どもたちが夢中になった。
 
デジタルイラスト体験コーナーは子どもに人気

デジタルイラスト体験コーナーは子どもに人気

 
 ステージ発表では大正琴やバンド演奏、バレエ、民謡・舞踊などが連日繰り広げられた。1日に登場した「KIKI(キキ)ダンススクール」の子どもらはキレのある動きで格好良くてかわいらしいパフォーマンスを見せ、社交ダンスサークル「プリンセス釜石」は大人の優雅な踊りで魅了した。
 
息を合わせて踊るキキダンススクール

息を合わせて踊るキキダンススクール

 
華麗なダンスで魅せたプリンセス釜石

華麗なダンスで魅せたプリンセス釜石

 
 初参加の「Dance & Music Departure」は市内で音楽活動を行っている社会人と現役高校生による4人組のグループ。会社員の新谷詩乃さん(38)がピアノと歌、公務員の村井大司さん(65)がカホン(パーカッション)を担当し、高校2年生の菅田悠真さん(17)がサックスの音を重ねた。「星に願いを」はダンスをかけ合わせたステージに。高校1年生のSARAさん(16)がバレエなどの要素を取り入れたオリジナルの振り付けで曲の世界観を表現した。
 
音楽とダンスを組み合わせた「Dance & Music Departure」

音楽とダンスを組み合わせた「Dance & Music Departure」

 
 発表を終えたSARAさんは「ほっとした」と肩の力を抜いた。所属するキキダンススクールではソロとしての活動も始めていて選曲、振り付け、構成などをこなし、今回のステージは「貴重な経験になった。より一層ダンスを極めたい」と刺激にした。
 
 学校の部活動で吹奏楽に熱中する菅田さんは仲間がいない状況に緊張したものの、「頼るのは自分だけ。今までにない感じでサックスを演奏できたのがうれしい」と自信を深めた。「音楽との出合いで生活が変化した」と感じる自身の経験や思いをのせた音色を届けるため、挑戦を続ける。
 
ステージ後に笑顔を見せる(左から)村井大司さん、SARAさん、菅田悠真さん、新谷詩乃さん

ステージ後に笑顔を見せる(左から)村井大司さん、SARAさん、菅田悠真さん、新谷詩乃さん

 
 「若い力っていいな。みずみずしくて、見ていると気持ちがいい」と村井さん。市民吹奏楽団で音の重ね合いを楽しんでいて、「まだしぼんでいられない」と高校生の姿に触発された。
 
 このグループは、SARAさんの希望を実現した形。メンバーの声がけに手を貸した新谷さんは「夢に向かって頑張っていたり、何かに挑戦しようとする若者をサポートする機会になれば。発表の場を作り、経験や人との出会いを手伝いたい」と、継続した取り組みへの進化を思い描いた。
 
鑑賞や体験を楽しみながら表現活動に触れる芸文祭

鑑賞や体験を楽しみながら表現活動に触れる芸文祭

 
 同ホールの常設展示コーナーの一角には画用紙やクレヨンなどが用意された。市内の小学生岩﨑一平さん(6)は画用紙に熱視線。絵を描くことが大好きな理由を聞くと、「想像いっぱいできて楽しいから。もっとうまくなりたい」とはにかんだ。姉花乃さん(10)はステージ上で輝く友達の姿に感化。自身が熱中するレスリング競技へ「楽しむ」と意欲を高めた。母小耶さん(38)は「いろんなものを見て経験し、人に優しい子に、そして強く育ってほしい」と見守った。
 
 芸文協には28団体が所属し、約390人が活動を楽しむ。開会セレモニーで、各団体で貢献してきた17人を功労者として表彰。釜石ビデオクラブの阿部秀次さん(85)は街の話題、芸文祭の様子などを約30年映像に残してきた。撮影だけでなく、音楽やナレーション、字幕など編集に欠かせない技術を学ぶ「視野の広さ」にハマった。最近は静止画のデジタルカメラが相棒となったが、「撮れば、人が喜ぶ。それが財産」とにっこり。ファインダー越しに「思い出を撮る」活動はこれからも続ける。
 
長年にわたり芸術文化に親しむ市民らを功労者として表彰

長年にわたり芸術文化に親しむ市民らを功労者として表彰

 
表彰された阿部秀次さん。カメラを持つ日々は続く

表彰された阿部秀次さん。カメラを持つ日々は続く

 
 芸文協の河東眞澄会長は「芸術文化の素晴らしさを未来に引き継ぎたい」と話し、若い世代の参加を増やしたい考えを示した。複数の団体をかけ持ちする人がいる一方で、「気の置ける人同士での活動も増えているようだ」とし、個人や少人数で活動するグループの参加も受け入れている。課題として感じるのは、小中学校との連携。「子どもたちの作品も並ぶといい。小さいうちからのつながりを大事にできれば」と模索する。

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海辺地域の活性化へ 釜石の箱崎・根浜で障害児家族対象に初の“海業”モニターツアー

釜石初開催の「海業モニターツアー」で漁船クルーズを楽しむ家族連れ=3日

釜石初開催の「海業モニターツアー」で漁船クルーズを楽しむ家族連れ=3日

 
 海や漁村の資源を活用し地域振興を図る「海業(うみぎょう)」。国が推進し、全国的な広がりを見せる中、本県では2024年度から海での各種体験をメニューとした一般向けのモニターツアーを実施している。釜石市で2、3の両日、開催されたのは障害児とその家族を対象とした初の同ツアー。県内各地から4家族が参加し、漁船クルーズや海の生き物タッチプールなどで楽しい“海旅”時間を過ごした。主催した県農林水産部漁港漁村課は「いずれは各地域で自走化を」と期待を寄せる。
 
 海業は、気候変動による不漁が続く漁業者の所得向上、漁村地域の活性化などを目指す取り組み。1泊2日のモニターツアーはこれまでに大槌町と山田町で開催。3カ所目となる釜石市では鵜住居町の根浜海岸周辺と箱崎町の箱崎漁港が海業推進地区になっていて、現地パートナーの観光地域づくり法人かまいしDMCが企画を担当した。同社は地元の障害児支援NPOと連携し、障害の有無にかかわらず誰でも海を楽しめる「ユニバーサルビーチプロジェクト」を進行中で、その取り組みを海業にも生かしたいと考えた。
 
 参加者は2日に釜石入り。オリエンテーションの後、市内の3宿泊施設に泊まった。3日は2班に分かれ、漁船クルーズとタッチプールを交互に体験した。大槌湾内を巡るクルーズは箱崎漁港から出発。スロープを使って車いすやバギーのまま、家族と一緒に乗り込んだ。船上では船主の説明を聞きながら、リアス海岸特有の景観や定置網漁場を見学。震災後の漁港の復興状況についても教わった。
 
参加者は車いすやバギーに座ったまま乗船可能。いざ、大海原へ!

参加者は車いすやバギーに座ったまま乗船可能。いざ、大海原へ!

 
船上では地元漁師が大槌湾内の漁業や海岸線の景観、震災復興の様子などを説明

船上では地元漁師が大槌湾内の漁業や海岸線の景観、震災復興の様子などを説明

 
大槌町赤浜の名勝「蓬莱島」(ひょうたん島)も海上から見学。シンボルの赤い灯台は震災の津波で倒壊し、その後再建されたもの

大槌町赤浜の名勝「蓬莱島」(ひょうたん島)も海上から見学。シンボルの赤い灯台は震災の津波で倒壊し、その後再建されたもの

 
 船を出した漁業者の一人、柏﨑之彦さん(71、片岸町)は震災前、根浜地区で行われていたグリーン・ツーリズム事業に参加。震災後は復興支援で訪れた人たちなどを船に乗せて案内してきた。「自分たちの仕事や自然を見せられるのはうれしいこと。人とのつながりもでき、その後、交流が続いている人たちもいる」。海業ツアーが事業化され、収入につながることも期待するが、「何より乗った人が喜んでくれるのが一番」とおもてなしの心をのぞかせる。
 
湾内の定置網漁について教える柏﨑之彦さん(右)

湾内の定置網漁について教える柏﨑之彦さん(右)

 
 根浜海岸レストハウスでは、岩手大釜石キャンパスで学ぶ3、4年生3人が準備した“海の生き物”タッチプールを楽しんだ。学生らが釜石の海で釣り上げた魚を中心に16種類の生き物が放たれた。子どもたちは恐る恐る水中に手を伸ばし、魚貝類の手触りを確かめた。
 
岩手大釜石キャンパスの学生らが釣った魚やナマコ、ウニなどが放たれたタッチプール

岩手大釜石キャンパスの学生らが釣った魚やナマコ、ウニなどが放たれたタッチプール

 
マダコの感触にびっくり仰天!笑顔を広げる親子

マダコの感触にびっくり仰天!笑顔を広げる親子

 
 北上市の医療的ケア児、羽藤凰ちゃん(3)は両親、祖母、兄2人と参加した。保育施設での誤えん事故で低酸素脳症となり、後遺症の重い障害のため家族の介助で暮らす凰ちゃん。船上では視線を左右に向け、手に乗せてもらった海の生き物もじっと見つめた。母緋沙子さん(37)によると、凰ちゃんの退院後、宿泊を伴う家族旅行は初めて。これまでは外出の際、あきらめざるを得なかった場面が多々あったが、「漁船に乗せてもらい、人の手を借りれば(凰ちゃん)何でもできるんだ」と実感できたという。宿泊先の宝来館でも積極的に要望を聞いてくれて、夜間に必要な呼吸器など多くの荷物の搬入も手伝ってもらった。「聞いてもらうことで、逆に『これが足りなかった』とか、自分たちも気付けなかった課題が見えた」と話す。
 
初めての漁船クルーズを楽しむ羽藤さん一家。次男杏くんはおひさまの光と波の揺れに身をまかせウトウト?(左)

初めての漁船クルーズを楽しむ羽藤さん一家。次男杏くんはおひさまの光と波の揺れに身をまかせウトウト?(左)

 
さまざまな海の生き物に触れ、たくさんの思い出を作った

さまざまな海の生き物に触れ、たくさんの思い出を作った

 
 兄弟3人で同じ体験をさせてあげられたことも喜ぶ緋沙子さん。海が好きだという長男優さん(10)は初めて見る船上からの景色に目を輝かせ、「水しぶきを飛ばしながら走る船が楽しかった。面白かったのは、漁師さんが教えてくれた鬼の伝説の話。また乗りたい」と心を躍らせた。家族で夢のような時間を過ごせたことに感謝する羽藤さん一家。緋沙子さんは「モニターとしての自分たちの経験が、同じ悩みを持つご家族の役に立てば。当事者家族にとってこうした情報が得られるかどうかも大きなポイント。積極的な情報発信にも期待したい」と話した。
 
 レストハウスでは、箱崎町白浜の漁業者がマダラやアイナメ、イカのさばき方を実演。昼食は参加者全員でバーベキューを楽しんだ。
 
地元漁師が魚のさばき方を実演。プロの手際に興味津々

地元漁師が魚のさばき方を実演。プロの手際に興味津々

 
 県が補助金を入れて行う同モニターツアーは各地区で2年間実施。釜石市では今回の参加者のアンケートをもとに修正を加え、来年度も実施する計画。かまいしDMC地域創生事業部の佐藤奏子さん(根浜・箱白地域マネジャー)は「ユニバーサルビーチの取り組みを土台にした新たなチャレンジ。参加者の声をもらいながら、持続可能な形でどう実現できるか検討していきたい」と今後の展開を見据える。

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CINE PIT SPECIAL にゃんこ映画2本立て!

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【Flow】
大洪水になった世界に迷い込んだ猫、それは想像を超えた冒険の始まりだったー。第97回アカデミー賞長編アニメーション賞の他、多くの映画賞を受賞!
2024年制作/85分/G/ラトビア・フランス・ベルギー合作 配給ファインフィルムズ
©️Dream Well Studio,Sacrebleu Productions & Take Five.

 
映画『Flow』公式サイト

 

 

【旅猫リポート】
人気作家・有川浩の同名ベストセラーを実写映画化!心優しき青年とツンデレ猫が織りなす旅の行方を描いたロードムービー。
2018年製作/118分/G/日本 配給:松竹
©️2018「旅猫リポート」制作委員会 ©️有川浩/講談社

 
映画『旅猫リポート』公式サイト

 

 

日時/上映スケジュール

2025年11月15日(土)
① 10:30~11:55 『Flow』
② 13:30~15:30 『旅猫リポート』

会場

釜石PIT(50席)
(釜石市大町1-1-10釜石情報交流センター)
●発熱・体調の悪い方のご入場はご遠慮下さい。
●可能な限りマスク着用の上(任意です)、上映中の発声はご遠慮下さい。
●入場の際は手指消毒をお願いします。

料金

大人1,000円/小中高生500円(未就学児は無料)
 
【特別割引(大人用のみ)】
2作品セット券1,500円
※ご本人が2作品鑑賞される場合に限ります。
チケットの前売りはございません。当日会場にてご購入下さい。

特別企画

上映と併せて「保護猫アンドゥ」さんによるグッズ販売と保護猫活動等のご紹介をいたします。
(グッズの売上げは保護猫活動に充てられます)

主催・お問い合わせ

CINEPIT運営委員会(釜石まちづくり株式会社)TEL 0193-22-3607

作品コーディネート・映写担当

NE-PROJECTION 櫛桁 TEL 090-4476-8636

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

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いわてグルージャ盛岡 パブリックビューイング in 釜石PIT vol.11 アトレチコ鈴鹿戦

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対象試合

2025年 第27回日本フットボールリーグ JFL 第28節
vs. アトレチコ鈴鹿 AWAY戦 

日時

2025年11月9日(日) 13:00 キックオフ(開場 12:30)

場所

釜石PIT(岩手県釜石市大町1-1-10)

 

【駐車場について】
・斜向かいにある釜石大町駐車場または周辺の有料駐車場をご利用ください。
・自転車およびバイクは、釜石PITに隣接する駐輪駐車スペースをご利用ください。

参加費(運営協力費)

大人300円/高校生以下無料
※運営協力費は本パブリックビューイング開催の為の運営費の一部として使用いたします。

特典

特典① 来場者全員にグルージャ盛岡のホームゲームチケットプレゼント!
特典② グッズ購入された方は、グルージャオリジナル缶バッジガチャが引ける特典付きです。(1購入につき1回)

主催

釜石まちづくり株式会社
協力:株式会社いわてアスリートクラブ

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

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色づく紅葉 ランナー後押し かまいし仙人峠マラソン キツさ楽しみ、坂道ひた走る

延々と続く⁉上り坂に挑む「かまいし仙人峠マラソン大会」

延々と続く⁉上り坂に挑む「かまいし仙人峠マラソン大会」

 
 第16回かまいし仙人峠マラソン大会(同実行委主催)は10月26日、釜石市甲子町大橋の旧釜石鉱山事務所を発着地点に開かれた。平坦な道がほとんどない2つの難コースに293人がエントリーし、うち250人が出走。あいにくの雨模様となったが、色づいた紅葉を背景に挑戦者たちが健脚を競った。
 
 昨年の16.9キロから従来の形に戻した17.2キロの峠コースと、家族で参加し走ることを楽しんでもらおうと復活させた10キロコースで実施。国道283号仙人トンネルまでを往復する峠コースに156人、甲子町大松で折り返す10キロコースには94人が挑んだ。
 
 開会式で実行委の小泉嘉明会長、開催市を代表し小野共市長があいさつに立ち、16回と歴史を刻む大会に全国各地から集ったランナーを歓迎した。最も遠方から参加した愛知県名古屋市の菊池竹美さん(76)は、走者仲間に気合を入れる役目を担い登壇。幼少期を過ごした古里や、東日本大震災から立ち上がり復興を進めた人々への思いを込め「フレーフレー釜石。ファイトー仙人峠マラソン」とエールを送った。
 
峠コース(17.2キロ)の参加者が駆け出す

峠コース(17.2キロ)の参加者が駆け出す

 
 午前10時に峠コース、10分遅れで10キロコースのランナーがスタート。5キロの折り返し地点まで勢いよく駆け下りた。標高差約400メートル、平均斜度5%の坂上がりでは、沿道の声援を受けながら一歩一歩力強く前進。序盤は控えめだった紅葉も、上るにつれ彩りが増し、ランナーたちの背を押した。
 
仙人大橋手前の上り坂を駆け上がる峠コースの参加者

仙人大橋手前の上り坂を駆け上がる峠コースの参加者

 
歯を食いしばり一歩一歩前へ(右)。勾配が少ない高架橋で一息(左)。ここから折り返し地点の頂上まで急坂が続く

歯を食いしばり一歩一歩前へ(右)。勾配が少ない高架橋で一息(左)。ここから折り返し地点の頂上まで急坂が続く

 
橋を渡り給水ポイントへ。ボランティアの声援を力に必死に頂上を目指す。タイガーマスクもこの表情!(右上)

橋を渡り給水ポイントへ。ボランティアの声援を力に必死に頂上を目指す。タイガーマスクもこの表情!(右上)

 
雨にぬれた紅葉もオツなもの?! 美しい秋景色が参加者の疲れを癒やす

雨にぬれた紅葉もオツなもの?! 美しい秋景色が参加者の疲れを癒やす

 
 「年に1回の再会を楽しみに」。地元釜石から参加を重ねる介護士の上村健さん(58)は東京や新潟の知人ランナーと峠コースに飛び出した。時に歩きも入れながら無事完走。「苦しいけど、走るのに夢中になる。紅葉もきれいだった。地元の大会だから参加し続け盛り上げたい」と話した。帰り際、知人に向けガッツポーズを掲げ、「会うぞ!」とひと言。早くも来年を見据えていた。
 
地元釜石市からの峠コース参加者。カメラを向けるとこの笑顔(右)

地元釜石市からの峠コース参加者。カメラを向けるとこの笑顔(右)

 
数少ない峠コースの女性参加者。20~60代まで幅広い年齢層が元気な走り

数少ない峠コースの女性参加者。20~60代まで幅広い年齢層が元気な走り

 
青森県から参加した外国人男性はすれ違うランナーに「ナイスラン!」と声がけ

青森県から参加した外国人男性はすれ違うランナーに「ナイスラン!」と声がけ

 
白い霧にかすむ頂上周辺。来年の大会は晴天になりますように…

白い霧にかすむ頂上周辺。来年の大会は晴天になりますように…

 
 3回目の挑戦となった松田美紀さん(49)は今回、10キロコース女子40歳以上59歳以下の部で1位を獲得。地元の力を見せた結果に「びっくり。でも、やっぱりうれしい」と笑顔を見せた。峠コースほどではないが、標高差は約160メートルあり「ラスト1キロがきつい」と苦笑。子育てをしながら大好きな走ることを継続中で、「いつか峠コースに挑戦してみたい」と思い描いた。
 
色づき始めた木々を背に走る10キロコースの参加者

色づき始めた木々を背に走る10キロコースの参加者

 
 6カ所に設けられた給水ポイントのうち、5カ所でバナナや菓子など食品も提供された。立ち寄ったランナーがエネルギーを補給した一品には、手土産として人気の「東京ラスク」も。釜石に製造工場があることから、製造販売のグランバー(本社・千葉県)はチームで参加した。
 
給水ポイントは交流の場。提供品の「東京ラスク」もしっかりPR

給水ポイントは交流の場。提供品の「東京ラスク」もしっかりPR

 
「東京ラスク」が力。完走を喜ぶグランバーチーム

「東京ラスク」が力。完走を喜ぶグランバーチーム

 
 その一人、神尾拓真さん(23)は社内のマラソンクラブに所属し、ゆかりのある地域の大会に出場しているランナー。アップダウンが激しいコースは初挑戦だった。「想像以上に大変だったけど、高いところから見下ろす景色はすごかった」と笑い話にした。沿道の応援があたたかく、「ラスク、おいしい」との声にはうれしくなった。地域に根差し、支えられている会社だと改めて感じたようで、「来てよかった」と満足げにうなずいた。
 
 釜石工場で働くファジャル アラムシャーさん(26)は10キロを走り終え、「めっちゃ楽しい」と満喫した。インドネシアから来日し、釜石生活2年目で初参加。「みんなと走れてよかった。今度は峠コースを。夢は大きい方がいい」と明るい笑い顔を残した。
 
給水ポイントでランナーを支えた甲子中の生徒有志。応援にも力が入る

給水ポイントでランナーを支えた甲子中の生徒有志。応援にも力が入る

 
 大会運営には例年、多くの市民ボランティアが協力する。地元甲子中の生徒有志の協力もその一つ。今年は1~3年生の男女12人が活動を希望し、仙人大橋付近の給水ポイント2カ所で選手のサポート、応援にあたった。1年の奥寺叶愛さんは大会を見るのも初めての経験。急坂を駆け上がる選手たちに大きな声で声援を送り、「あきらめずに一生懸命走っているのがすごい。自分も力をもらった」と目を輝かせた。学校では特設ラグビー部で活動。「走るのは好き。将来、仙人マラソンにも挑戦してみたい」と刺激を受けていた。
 
足元は…なんと“一本歯”のげた!!応援に訪れた甲子町住民と記念撮影

足元は…なんと“一本歯”のげた!!応援に訪れた甲子町住民と記念撮影

 
年齢に負けじ!必死の形相でゴールに駆け込むランナー

年齢に負けじ!必死の形相でゴールに駆け込むランナー

 
開会式で参加者にエールを送った菊池竹美さんは走りも元気

開会式で参加者にエールを送った菊池竹美さんは走りも元気

 
 第1回大会が行われたのは2010年で、当時は岩手県主体だった。他にはない特徴的なコースを発案したのが県職員の村上正さん(63)=紫波町。16回目の今大会に出走した。「こんな(大変な)コース考えなければよかった」と自嘲気味な笑みを浮かべつつ、「ゴール後の爽快感はやっぱり格別」と余韻に浸った。
 
仙人峠マラソン発案者の村上正さん(右)、ねぎらう大会関係者

仙人峠マラソン発案者の村上正さん(右)、ねぎらう大会関係者

 
村上さん(左)は峠コース男子60歳以上の部で3位に入賞

村上さん(左)は峠コース男子60歳以上の部で3位に入賞

 
 村上さんいわく、復興支援道路・釜石道の開通により交通量が減った国道283号仙人峠道路の活用と地域のにぎわい創出をもくろむイベントは時期もポイント。紅葉という景色を楽しみながら険しい道のりに挑む大会の継続を願う。