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釜石から夢かなえて! タレント養成所「C-Zeroアカデミー」4月開校へ 芸能界への道、自己実現を応援

11日に開かれた「C-Zeroアカデミー」の無料体験レッスン=TETTO

11日に開かれた「C-Zeroアカデミー」の無料体験レッスン=TETTO

 
 釜石市初のタレント養成所「C-Zero(シーゼロ)アカデミー」(菊池由美子校長)が4月20日に開校する。演技、ボイストレーニング、ダンス・日本舞踊、礼儀作法など多彩なレッスンで、エンターテインメント人材を育成。修了生の活動も支援する。基礎科第1期生を3月3日まで募集。11日は学校説明会と無料体験レッスンが市民ホールTETTOで行われ、4~76歳まで20人余りが参加した。
 
 養成所は、東京で俳優やモデル、舞台や映像制作の仕事をしてきた釜石出身の菊池校長(57)が、「地方から芸能の世界を目指す人たちの力になりたい」と立ち上げた。芸能活動に必要な知識や技能を基礎から学べるカリキュラム(1年)を用意。5歳以上(4月1日時点)を対象とし、年代別に5つのクラスを設ける。レッスンは必須科目(演技、ボイトレ、和文化体験)が月5~6回、選択科目(ダンスor日本舞踊・着付け)が月2回。釜石、大槌で活動する各分野の専門家らが講師を務める。ゲスト講師による特別レッスンも予定。1年の成果を確認する発表(舞台or映像)の場もある。
 
「C-Zeroアカデミー」校長の菊池由美子さん。演技や日本舞踊の講師も務める

「C-Zeroアカデミー」校長の菊池由美子さん。演技や日本舞踊の講師も務める

 
 基礎科修了生は、次のステップとして研究科でのレッスン継続が可能。プロとしての活動を目指す「C-Zero登録生」はプロモーション活動を開始し、仕事の依頼を受けるほか、菊池校長が代表を務める芸能事務所「FUKUプロモーション」所属タレントのオーディションを受けることができる。趣味でレッスンを継続したい人は「研修生」として在籍し、イベントや映像のエキストラ出演も可能。生徒の意向に応じ、進みたい道を後押しする。
 
中学生以上を対象に開かれた午後の学校説明会

中学生以上を対象に開かれた午後の学校説明会

 
 開校を前にした学校説明会と体験レッスンには、市内外から幅広い年代の人たちが集まった。菊池校長がカリキュラムや年間スケジュール、費用などを説明した後、参加者が演技レッスンを体験した。ジェスチャーを交えた自己紹介リレーに続き、「ロボットになって」「酔っ払いになって」などのお題のもと歩きながらあいさつを交わしたり、「桃太郎」をベースにしたセリフのやり取りをさまざまな設定で演じたりした。
 
ジェスチャーを交えて自己紹介。自分より前の人たちの動きを再現しながら…

ジェスチャーを交えて自己紹介。自分より前の人たちの動きを再現しながら…

 
「泣きながら」「ロボットになって」など出されたお題で歩く

「泣きながら」「ロボットになって」など出されたお題で歩く

 
2人1組で短いセリフのやり取りを体験。自分たちで設定を考え交替で発表し合った

2人1組で短いセリフのやり取りを体験。自分たちで設定を考え交替で発表し合った

 
 同市出身、在住の佐々木瑠奈さん(22)は声優を目指し、盛岡の養成所に通っていたが、地元にできると聞き、この日の説明&体験会に参加。「最初は緊張していたが、他の参加者と話したり、演技していくうちにどんどん楽しくなって」と目を輝かせた。「意欲があっても(環境的に)あきらめていた人もいると思う。近くに(養成所が)あれば、学生とかも通いやすい。地元でレッスンできるのが一番大きい」と開校を楽しみにする。「舞台での芝居にも興味がある。声優と俳優、両方を目指してやってみたい」と入校へ前向きな姿勢を見せた。
 
 2023年にUターンした菊池校長。自身がこれまで培ってきたものを古里に還元し、エンターテインメントによるまちづくりにも貢献したいと、同養成所開設へ奔走してきた。地元企業や芸能関係者などの協力で実行委を組織。4月開校に向けての準備が整った。「まずは基礎をしっかり学んでもらい、それぞれの個性を伸ばすような指導ができれば。人生100年時代。社会人やシニアの方は自分磨きをしながら生き生きとした人生を送る、子どもたちには好きなことや得意なことを見つけるきっかけにもなれば。芸能界への夢を抱く人たちには、かなえられるようなサポートをしていく」と菊池校長。
 
参加者が考えた設定の芝居を演技講師(中央手前:小笠原景子さん、同奥:菊池校長)が見守る

参加者が考えた設定の芝居を演技講師(中央手前:小笠原景子さん、同奥:菊池校長)が見守る

 
参加者にアドバイスする演技講師の横濱千尋さん(中央)。レッスン体験は終始楽しい雰囲気で進んだ

参加者にアドバイスする演技講師の横濱千尋さん(中央)。レッスン体験は終始楽しい雰囲気で進んだ

 
 生徒の募集は年1回。学校案内、募集に関する問い合わせ方法などは「C-Zeroアカデミー」公式サイトで見ることができる。FUKUプロモーションは、キャスティングを手掛ける東北芸能企画事務所(秋田県)との契約が実現。すでに仕事のオファーも来ているという。

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【釜石発】子どもたちが主役!「かまっこまつり」大盛況 手作りのお店で交流楽しむ

会話を楽しみながら手作り品をPRする子どもたち

会話を楽しみながら手作り品をPRする子どもたち

 
 釜石市の子どもたちが主役となってつくる「かまっこまつり」が9日、同市大町の市民ホールTETTOで開かれた。約30人がチームを組み、多彩なお店や遊びコーナーを開設。「やってみたい」という思いをかなえながら、来場者との交流も楽しんだ。
 
 小学生らが中心となって企画し、中高生がサポート。まつり限定通貨「かまっコイン」で客とやりとりする。ヘアゴムや写真立てなど雑貨販売、射的やくじ引きといった遊びのコーナーなど手作りの9店が並び、約370人が来場。スライムづくりが人気で順番待ちの列ができたり、用意した手作り品が1時間足らずで完売してしまう店もあり、にぎわった。
 
まつり限定の仮想通貨「かまっコイン」でやりとり

まつり限定の仮想通貨「かまっコイン」でやりとり

 
人気のスライムづくり。店番の子どもがサポート

人気のスライムづくり。店番の子どもがサポート

 
輪ゴムが飛んだ先に視線が集中。盛り上がった射的コーナー

輪ゴムが飛んだ先に視線が集中。盛り上がった射的コーナー

 
 手づくりのキャンドルや香水を販売した小学6年の鈴木楓さん(12)は「楽しい。『きれい』『いいにおい』とか、お客さんの反応がうれしい」と笑顔を見せた。3回目の参加で、今回は同じ学校の友達ら6人で準備。売り物として並べるまでに何度も失敗したり、意見を言い合ったり、いろんなことがあったようだが、「充実感がすごい。思いが同じ友達と出会えたし、人との付き合いもうまくなった」と満足げに話した。
 
「やりたいこと」をかなえ、笑顔でピースサイン

「やりたいこと」をかなえ、笑顔でピースサイン

 
多くの人でにぎわった「かまっこまつり」

多くの人でにぎわった「かまっこまつり」

 
 まつりは釜石まちづくり株式会社が主催。東日本大震災後、放課後子ども教室を運営する市民団体が子どもたちの主体性を育むきっかけづくり、地域コミュニティーづくりとして2013年に始めた。その後、同社が引き続ぎ今回で11回目となった。
 
 「いらっしゃいませー」「限定ですよ」などと元気な呼び込みが飛び交うのも、まつりならでは。同まつり担当で1回目の開催から見守る山口未来さん(39)は、やりたいことを実現させようと挑戦する子どもたちの成長を喜ぶ。継続には、大人の力も必要だと感じていて、「大人の皆さん、一緒に子どもたちを応援しましょう」と、サポーターを求める。

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冬のあったか 釜石サクラマスフェア(2/14~2/27)

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釜石湾で養殖されている釜石はまゆりサクラマスを存分に堪能できる『冬のあったか 釜石サクラマスフェア』を開催します。市内飲食店等の19店舗で様々なジャンルの体温まるお料理が提供されます。
是非、この機会に美味しい釜石はまゆりサクラマス料理をご賞味ください。
 
チラシのPDFはこちら[PDF:10.1MB]

参加店舗

❶U-TEC釜石
❷CHEZ MARCO
❸廻船問屋マルワ
❹HAMAYUI
❺居酒屋マミー
❻呑み食い処 宗次郎 
❼糀のカフェ&バー Comehana
❽Music Bar Aqua Marin
❾三陸うまいもんや つぼ八 釜石大町店
❿養老乃滝 釜石店
⓫三陸ぱすた
⓬三陸居酒屋 漁火
⓭ヒカリ食堂
⓮魚河岸 庄五郎
⓯リヴァル
⓰和の膳 みや川
⓱よしよし 
⓲かまいし浜前料理処 多田旅館
⓳海舟  
 
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※⓮魚河岸 庄五郎での提供メニューが変更となります。
「サクラマスのフライとつみれ汁」・・・1,100円
フライはさっぱりサクッとつみれ汁はまだまだ寒い日に心も体も温まります!
 

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 水産農林課
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8427 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2025012100010/
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冬のごちそう祭り!釜宴会キャンペーン(第2弾)を開催します!

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市は、エネルギー・原油価格や物価高騰の影響を受ける市内飲食事業者等の持続的な経営を支援するため、2人以上で飲食店等を利用した場合の飲食代金を割引するキャンペーンを開催します。
皆様のご利用が地元の飲食店等の支援につながります!釜宴会で、友達や家族、会社の同僚などと一緒に釜石の冬の味覚を楽しみましょう!

割引条件(いずれかを適用)

①2人以上で対象店舗を利用し、人数×4,000円以上(税込)の利用金額の場合
1人当たり 2,000円 割引
②2人以上で対象店舗を利用し、人数×2,000円以上(税込)の利用金額の場合
※7~14時の間に入店し飲食店を利用した場合に限る
1人当たり 1,000円 割引

割引期間

令和7年2月14日(金)~3月16日(日)
※2月11日(火・祝)から申請受付を開始します(窓口申請は2月12日(水)から)。
※予算額に達し次第、終了します。

対象店舗

市内飲食・宿泊事業者のうち、当キャンペーンに参加している店舗
参加店舗の一覧は釜石商工会議所のホームページで確認できます。
(対象店舗一覧は随時更新します)

利用方法

飲食店等を予約後、会食実施の3日前の15時までに利用予定のお店の名称、利用日、利用人数、1人当たりの予算額を、申込フォームまたは釜石商工会議所へ申請書にて申請ください。
※年齢、居住地等問わず、対象店舗をご利用する全ての方がご利用いただくことができます。
申請がない場合、割引の適用ができません。

様式ダウンロード

申請書(飲食店利用確認書)[DOCX:20.6KB]

事務局(お問い合わせ先)

釜石商工会議所 TEL:0193-22-2434

この記事に関するお問い合わせ
産業振興部 商工観光課 商工業支援係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-22-2111 / Fax 0193-22-2762 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2025012300069/
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広報かまいし2025年2月15日号(No.1850)

広報かまいし2025年2月15日号(No.1850)
 

広報かまいし2025年2月1日号(No.1850)

広報かまいし2025年2月15日号(No.1850)

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【P1】
表紙

【P2-5】
特集 二十歳の気持ち

【P6-7】
東日本大震災復興祈念試合

【P8-9】
東日本大震災犠牲者追悼式
まなびぃ釜石 他

【P10-11】
まちの話題

【P12-15】
保健案内板
まちのお知らせ

【P16】
市民百景

 


【令和7年はたちのつどい写真】
広報の紙面で紹介しきれなかった「はたちのつどい」の写真を掲載しています。
はたちのつどい[PDF:290MB]

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2025020300020/
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震災命日まで1カ月― 犠牲者追悼、防災の願い込め、根浜津波避難階段に竹灯籠点灯開始

根浜の津波避難階段で始まった竹灯籠の点灯=11日、鵜住居町

根浜の津波避難階段で始まった竹灯籠の点灯=11日、鵜住居町

 
 東日本大震災からまもなく14年―。津波で大きな被害を受けた釜石市鵜住居町根浜地区に、今年も震災犠牲者を追悼する竹灯籠が設置された。温かな明かりで浮かび上がるのは震災後に設けられた津波避難階段。“命を守る道”の周知も目的とした取り組みは今年で4年目を迎える。震災命日まで1カ月となった11日、点灯式が行われ、集まった人たちが同震災の記憶の継承、教訓の実践に思いを新たにした。
 
 灯籠作りから点灯までを手掛けるのは、キャンプ場などの観光施設を管理する、かまいしDMC。1月25、26の両日、根浜レストハウスで製作体験会を開き、市民にも協力してもらった。30日には今回初の試みとして、地元の放課後子ども教室でも製作。鵜住居小の児童9人が電動ドリルで竹に穴を開ける作業に挑戦した。1年の小笠原彩夏さんは「力が要って大変だったけど、物を作るのが好きなので楽しかった。飾るのも見てみたい」と期待を膨らませた。
 
放課後子ども教室で行われた竹灯籠作り=1月30日、長内集会所

放課後子ども教室で行われた竹灯籠作り=1月30日、長内集会所

 
型紙の模様に合わせて電動ドリルで竹に穴を開ける児童

型紙の模様に合わせて電動ドリルで竹に穴を開ける児童

 
 みんなで手作りした竹灯籠は約60本。避難階段の手すりや地区の高台避難場所を示す標識の足元に取り付けられた。点灯式には灯籠作りに参加した市民など約20人が集まった。設置目的などが説明された後、カウントダウンで点灯。夕闇に美しい光の階段が浮かび上がると、キャンプ場から海抜20メートルの市道につながる111段を上った。
 
竹灯籠の明かりで照らされた避難階段を上ってみる。津波発生時はここから高台へ

竹灯籠の明かりで照らされた避難階段を上ってみる。津波発生時はここから高台へ

 
放課後子ども教室で作った竹灯籠は津波避難場所の標識の足元に設置

放課後子ども教室で作った竹灯籠は津波避難場所の標識の足元に設置

 
 同市の新谷詩乃さん(37)は長男拓己君(6)と灯籠を作った。「釜石にいるからには、子どもに震災や防災の話もしていきたいと思って参加した。作業は大変だったが貴重な経験ができた」と振り返る。拓己君はこども園で毎月、高台避難の訓練もしている。「津波という言葉とかは身近に感じているだろうが、実際見たことはないので(どこまで理解しているか)。家では、地震があれば自分から机の下に隠れたりしている。こういうイベントも機に、少しずつ(身を守る方法を)覚えていってもらえれば」と期待する。
 
 津波避難階段は2021年に完成。竹灯籠の点灯は根浜を訪れる人に階段の場所を知ってもらい、いざという時の迅速避難を促す狙いもある。かまいしDMC地域創生事業部の佐藤奏子さんは「避難路は実際に歩く機会があまりなかったりする。こうして1回歩くことで皆さんの記憶に残り、災害時の避難に役立てば」と話した。
 
 竹灯籠はLED豆電球で明かりをともす。電力は家庭から出る廃食油を精製したバイオディーゼル燃料で発電。竹は地域の間伐材を用い、脱炭素や資源循環を意識した取り組みとなっている。
 
LED電球の明かりでさまざまな模様が浮かび上がる。避難誘導の言葉と矢印を配した灯籠も(写真左)

LED電球の明かりでさまざまな模様が浮かび上がる。避難誘導の言葉と矢印を配した灯籠も(写真左)

 
この日は月明かりともコラボ。真っ暗になると幻想的な光景が広がった

この日は月明かりともコラボ。真っ暗になると幻想的な光景が広がった

 
 竹灯籠は3月まで土日祝日の午後5時から同7時まで点灯。震災命日の3月11日も同様に点灯し、追悼の祈りの場とする。

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釜石から世界の舞台へ― 高橋潤さんベンチプレス競技で日本代表候補に 狙うは“一番いい色”のメダル

全日本ベンチプレス選手権60代男子93キロ級で3位となり、国際大会への出場権を得た高橋潤さん

全日本ベンチプレス選手権60代男子93キロ級で3位となり、国際大会への出場権を得た高橋潤さん

 
 地元釜石市でパワーリフティング競技を続ける会社員高橋潤さん(60)が、同競技の種目の一つ「ベンチプレス」で、2025年に開催される3国際大会への出場権を獲得した。本格的に筋力トレーニングを始めて10年ほどという高橋さん。3年前から同競技での全国大会出場を果たし、世界に通用する力をつけてきた。「釜石から世界王者に」と目標を掲げ、勝負の年に「必ず結果を残したい」と意気込む。
 
 高橋さんは、1月24~26日に茨城県つくば市で開かれた全日本ベンチプレス選手権大会「第26回クラシック部門」(日本パワーリフティング協会主催)に出場。マスターズ3(60代)の男子93キロ級で140キロのバーベルを挙げ、3位に入った。同大会は本年5月の世界大会(ノルウェー)、7月のアジア・アフリカ大会(日本/兵庫県姫路市)、10月のアジア大会(香港)の日本代表選考を兼ねており、高橋さんはその出場権を獲得した。
 
1月につくば市で開かれた全日本ベンチプレス選手権大会「第26回クラシック部門」=写真提供:高橋潤さん

1月につくば市で開かれた全日本ベンチプレス選手権大会「第26回クラシック部門」=写真提供:高橋潤さん

 
自身の競技時の映像を見せ、大会の様子を話す高橋さん

自身の競技時の映像を見せ、大会の様子を話す高橋さん

 
 ベンチプレスはベンチ台にあおむけになり、ラックからバーベルを外し、一度胸まで下ろした後、肘がしっかり伸びるまで押し上げ、再びラックに戻す競技。全ての動作は審判員の合図で行い、合図の前に動かすと反則。尻や頭が台から浮いてしまったり、バーの挙動が乱れると失敗とみなされる。試技は一人3回。申請した重量で行う。
 
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市営プールのトレーニングルームでベンチプレスを見せていただきました!

 
ベンチプレス一連の流れ。①ベンチ台にあおむけになりバーベルを握る ②ラックから外して肘を伸ばして構える ③バーを胸まで下ろして静止させる ④肘がしっかり伸びるまで押し上げる

ベンチプレス一連の流れ。①ベンチ台にあおむけになりバーベルを握る ②ラックから外して肘を伸ばして構える ③バーを胸まで下ろして静止させる ④肘がしっかり伸びるまで押し上げる

 
 今大会で高橋さんは1回目135キロ、2回目140キロを成功させたが、145キロに挑戦した3回目で持ち手のミスのためやり直しとなり、競技時間1分をオーバー。悔しくも試技ができずに終った。同階級には4人が出場。1位の選手は150キロを挙げた。
 
 ウエイトトレーニングの集大成とされるパワーリフティング競技は、スクワット(脚力)、ベンチプレス(腕力)、デッドリフト(背筋力)の3種目があり、持ち上げたバーベルの総重量を競う。3種の大会のほか種目別の大会があり、中でもベンチプレスは一番人気の種目。日本の競技レベルは世界トップクラスで、国際大会での優勝者も多数。団体優勝もしている。
 
 初の国際大会出場権を得た高橋さんは「3年前に3種の全国大会で8位になってから、頑張れば国際大会にも行けると確信していた。やっと夢がかなう…」。自身のベンチプレス公式自己ベストは142.5キロ。「私の年代・階級だと、直近3年の国際大会優勝者の記録は135キロぐらい。しっかり準備して、自分の持てる力を確実に出せればトップは狙える」とみる。だが、「実際の大会では、みんな前評判よりも伸びてくる。それを上回らなければ」と、さらなる成長を期したい考え。
 
大会で獲得した銅メダルを手にする高橋さん。全日本チームのTシャツを着用

大会で獲得した銅メダルを手にする高橋さん。全日本チームのTシャツを着用

 
 高橋さんは学生時代から野球やスキーに打ち込んできた。東日本大震災前まではテニスをしていたが、震災後、市内にテニスコートがなくなり競技を断念。3年ほどウオーキングを続けていた時に、筋力トレーニングに興味を持った。2016年の岩手国体で、久慈市の選手がパワーリフティング(公開競技)で優勝したことにも刺激を受け、本格的に全国大会を目指し始めた。
 
 現在は市営プール(大平町)内のトレーニングルームでの週2回の練習、職場の廃材で自作したバーベルを使ってのトレーニングなどで、競技のための体づくりや技の鍛錬に励む。2~3カ月に一度、東京や大阪、札幌にも遠征。世界チャンピオンの選手から直接指導も受けている。国際大会出場のための協会の教育プログラムにも目下奮闘中。
 
身長175センチ、体重88キロ。トレーニングとともに食事にも気を付け、体を作る

身長175センチ、体重88キロ。トレーニングとともに食事にも気を付け、体を作る

 
 パワーリフティング競技では本県から国際大会出場者が複数出ていて、優勝、準優勝と上位成績を収めている。釜石市からは高橋さんが初。「岩手では世界レベルで活躍するスポーツ選手が各地から出ている。自分が国際大会でいい成績を残すことで、地元の若い世代が世界を身近に感じ、スポーツで上を目指す選手が増えてくれれば」と高橋さん。「国際アスリートの経験を後進のために役立てたい」との思いもあり、世界の舞台での活躍を誓う。

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夢をカタチに!高校生の挑戦 レンタルスペース×古着屋オープン 釜石大観音仲見世に新風

釜石大観音仲見世通りに開店した古着店とレンタルスペース

釜石大観音仲見世通りに開店した古着店とレンタルスペース

 
 高校生とその母親がそれぞれ店長を務める2つの店が、釜石市大平町の釜石大観音仲見世通りに開店した。レンタルスペース「crush on(クラッシュオン)」と、古着屋「たすいち」。親子がタッグを組んで営業する。「若者の居場所をつくりたい」「みんなのやりたいを応援したい」「釜石を盛り上げたい」という思いを形にした。
 
 クラッシュオン店長は市内在住の小笠原皐さん(16)=一関学院高通信制課程1年。たすいちは母・梓さん(39)が店長だが、主導権を握るのは皐さんだ。
 
古着店に立つ小笠原皐さん(右)と母親の梓さん

古着店に立つ小笠原皐さん(右)と母親の梓さん

 
「crush on」(手前)と「たすいち」が入る建物の外観

「crush on」(手前)と「たすいち」が入る建物の外観

 
 幼い頃にダンスを始め、その衣装に使う古着が好きだった皐さん。中学生の頃には店を持つ夢を持っていた。「本当にやりたいことは?」。進路選択の際、自分自身に問いかけた。「もとからあるものは変えたくなる。ゼロから生み出したい。やっちゃえ」。起業を見据え通信制の高校への進学を決めた。学業の傍ら、市主催の起業塾も受講し、経営のノウハウを学んで準備した。
 
 旧土産物店を改装し、広さは“はんぶんこ”。1月1日にプレオープン、31日に本格的に営業を始めた。古着店にはレディース、メンズ、キッズ用の衣類が並び、バッグやアクセサリーといった雑貨もある。置かれているものは、皐さんが「ビビッときたもの」ばかり。同年代の人たちに手に取ってもらえるよう、価格は1000~4000円を中心に設定する。
 
仕入れのポイントは「かわいさ」とPRする小笠原皐さん

仕入れのポイントは「かわいさ」とPRする小笠原皐さん

 
昭和感あり⁉土産物店時代に使われた棚や置物が活躍中

昭和感あり⁉土産物店時代に使われた棚や置物が活躍中

 
 レンタルスペースには4枚の大きな鏡を設置しており、ダンスや演劇などの練習での利用を見込む。冬場の現在は、こたつを持ち込んでいて、「ただ、のんびりしてもらう」要素を演出。誕生会などイベント利用も歓迎する。利用人数に関わらず、大人は1時間660円、高校生以下は550円。グループ利用で大人がいる場合は660円とする。
 
 クラッシュオンは英語で「夢中になる」という意味で、その言葉を使ったオリジナルブランドを、クリエーターとしても活動する梓さんと考案。関連グッズ(Tシャツ、スエットなど)を古着店に並べている。
 
「使い方は自由に」。小笠原皐さんが経営するレンタルスペース

「使い方は自由に」。小笠原皐さんが経営するレンタルスペース

 
オリジナルブランド「crush on」のロゴ入りスエット

オリジナルブランド「crush on」のロゴ入りスエット

 
 開店から数日たった2月のある日。2人は、来店した人の希望を聞きながら品出ししたり、おしゃべりを楽しんでいた。が、実はこの通り、人影はまばら。かつては約20軒の店が営業していたが、今は2軒だけ。初詣やイベントなど行事があれば人出も伴うが、理由がなければ市民が訪れる機会は多くない。なぜ、ここなのか…。
 
シャッターが下りたままの建物が並ぶ釜石大観音仲見世通り。左側の手前が新店舗

シャッターが下りたままの建物が並ぶ釜石大観音仲見世通り。左側の手前が新店舗

 
 「面白くて、なじみがある場所だから」と皐さん。この通りでは、大人たちがにぎわいを取り戻そうとマルシェやアートイベントなどを催していて、子どもの頃から一家で参加していた。楽しさ、何かに夢中になる人たちの姿を記憶にインプット。そこに集う人たちのように「自分も何かしたい。できることでまちを元気にしたい」と淡い思いを抱いてきた。そして、本当は自分がやりたかった「古着屋がマッチする場所」でもあったから。
 
 釜石が好き―。そんな思いが、皐さんから伝わってくる。そこには、東日本大震災時に支えてもらったことへの感謝がある。津波で自宅が全壊。「当時は守ってもらった立場。まちは復興したけど、元気がない。今度は私がまちを盛り上げる番」と凛とした表情を見せる。
 
 そんな皐さんを、少し離れたところから見守る梓さん。「やってみたらいい。楽しいことをどんどん。やれるタイミングがベストだと思うから。こうした新しい動きがまちの起爆剤になればいい」と、あたたかい視線を送る。
 
ほほ笑ましい親子のやりとりを見られるのも売り!

ほほ笑ましい親子のやりとりを見られるのも売り!

 
 学業があるため、店を開くのは週4回。金曜~月曜の午前11時~午後6時までが基本。「ゆる~く、気負わずにやっていきたい。高校生ならではの目線で、気軽に集まれる場所をつくっていけたら」と皐さん。「世間話をしに立ち寄って」とアピールする。
 
「一般的じゃないかも。でも、いろんな選択肢があるんです」と話す小笠原皐さん

「一般的じゃないかも。でも、いろんな選択肢があるんです」と話す小笠原皐さん

 
 自分たちが楽しいと思うことで、お客さんもハッピーになってくれたら―。一つの願いをかなえると、やりたいことが増えてきた皐さん。編み物、釣り、ネイル、ダンス教室、パン作り…。この空間を生かした活動も思案中だ。「時間が足りない」。笑顔が印象的な16歳の挑戦はまだ続く。「釜石には知らないだけでたくさん面白いことがある。それを伝え、つなげていきたい」

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「津波だ、逃げろ!」高台避難の教訓 震災知らない世代にも 新春韋駄天競走111人が坂道駆ける

韋駄天競走は親子の部からスタート。「走れ、逃げろ」と子どもに声掛けする親も

韋駄天競走は親子の部からスタート。「走れ、逃げろ」と子どもに声掛けする親も

 
 「津波から命を守る行動を―」。津波発生時の迅速な高台避難を促すことを目的とした「新春韋駄天競走」が2日、釜石市で行われた。東日本大震災の教訓を後世につなぐ節分行事で、同市大只越町の日蓮宗仙寿院(芝﨑恵応住職)、釜石仏教会が主催。12回目の今年は、コロナ禍以降では最多の111人が参加した。同震災を経験していない子どもたちの姿も多く、いざという時の避難の大切さを体で覚える貴重な機会となった。
 
 参加者は津波浸水域の只越町、消防屯所付近から最も近い津波避難場所、仙寿院境内までを駆け上がる。距離にして286メートル、高低差は約26メートルで、途中に急カーブやきつい勾配がある難コースだ。1~80歳の参加者は6部門に分かれてスタート。小学生以下の子どもと保護者が対象の親子の部は、幼児が父母と手をつないだり、おんぶや抱っこをしてもらいながら、高台の境内を目指した。小中高生や一般の男女は、それぞれのペースで坂を駆け上がり、津波避難意識を高めた。
 
小学生も懸命に急坂を駆け上がる。沿道の声援を力に変えて…

小学生も懸命に急坂を駆け上がる。沿道の声援を力に変えて…

 
日ごろのスポーツ活動で脚力を鍛える中高生らはさすがのスピード

日ごろのスポーツ活動で脚力を鍛える中高生らはさすがのスピード

 
毎年参加の中学生硬式野球チーム「釜石ボーイズ」。この表情は「きつーい」「余裕」さあどっち?

毎年参加の中学生硬式野球チーム「釜石ボーイズ」。この表情は「きつーい」「余裕」さあどっち?

 
男性35歳以上の2位争いはデッドヒート!ラストスパートにかける

男性35歳以上の2位争いはデッドヒート!ラストスパートにかける

 
 釜石市国際外語大学校で昨秋から日本語を学ぶネパール人留学生5人は初めての参加。学校で同行事の目的を教えてもらい、17~20歳の男女が手を挙げた。一度練習して本番に挑んだカトワル・スザンさん(17)は「釜石に津波がきたこと、津波の時は逃げることを勉強しました。ちょっと疲れましたが、楽しかったです。来年、またチャレンジして1番欲しいです」と日本語で感想。日本の文化に触れるため、応援に駆け付けた留学生仲間と一緒に、午後から行われた節分の祈祷(きとう)、豆まきにも参加した。
 
国際外語大学校のネパール人留学生も力走。初めての津波避難模擬体験

国際外語大学校のネパール人留学生も力走。初めての津波避難模擬体験

 
楽しみながら、いざという時の避難行動を学んだ釜石在住のネパール人学生ら

楽しみながら、いざという時の避難行動を学んだ釜石在住のネパール人学生ら

 
 同市の小学校教諭川村悠平さん(33)は釜石赴任を機に家族で初参加。「(高台避難は)こんなにきついんだなと。それでも実際に(津波に)あったら自分の命を守らないといけない。子どもたちにも津波がきたら逃げること、日ごろの備えの大切さを教えていきたい」と身に染みた様子。次女(1)をおんぶ、長女(2)の手を引いて坂を上がった妻紀子さん(32)は「この子(長女)が上まで行けるか不安だったが、最後まで上り切れた。自分が逃げられるのは当たり前だが、一番守りたい命(子ども)を守れるよう常に考えていきたい」と経験を心に刻んだ。
 
親子4人で参加した川村さん家族。「子どもたちが成長したら震災のことも教えたい」と父悠平さん

親子4人で参加した川村さん家族。「子どもたちが成長したら震災のことも教えたい」と父悠平さん

 
 各部門の1位には「福男」「福女」などの認定書が芝﨑住職から贈られた。小学生の時に父と「福親子」3連覇を成し遂げた花巻市の後藤尚希さん(17)は高校2年になった今年、中高生の部で2回目の1位に。兄妹で「福男」「福女」となった八幡平市の山本雄太郎さん(30)は男性34歳以下の部で4回目、妹恵里さん(28、盛岡市)は女性の部で3回目の1位。2年ぶり3回目の“ダブル福”を手にした。
 
写真上:各部門で1位になり、感想を述べる参加者ら 同下:最後は海の方角に向かい震災犠牲者へ黙とうをささげた

写真上:各部門で1位になり、感想を述べる参加者ら 同下:最後は海の方角に向かい震災犠牲者へ黙とうをささげた

 
 男性35歳以上の部1位は山田町の漁業、渡邊強輝さん(37)。これまでに2位を3回経験し、初の「福男」となった。13年前の震災では自宅が全壊。別宅に暮らしていた祖母が津波の犠牲になった。「時間がたっていくと自分自身、避難意識が低くなっているような気がして」と同行事への参加を継続。「あの時、逃げていれば…(助かった)という人がたくさんいた」と悔やまれる思いを口にする。高校2年の長男は当時の記憶はなく、中学1年の長女は震災の3カ月後に生まれた。「知らない世代に自分の行動を示し、とにかく伝え続けることが大事」と教訓伝承に思いを込めた。
 
写真左:初の「福男」となった渡邊強輝さん 同右上:釜石陸上のレジェンド長岡直人さん(80)も元気にゴール

写真左:初の「福男」となった渡邊強輝さん 同右上:釜石陸上のレジェンド長岡直人さん(80)も元気にゴール

 
ゴールまであと少し。力を振り絞り前に進む女性参加者

ゴールまであと少し。力を振り絞り前に進む女性参加者

 
手を取り合い、最後まで頑張る女性参加者に沿道から温かい拍手が送られた

手を取り合い、最後まで頑張る女性参加者に沿道から温かい拍手が送られた

 
 同行事は兵庫県西宮市、西宮神社の新年開門神事「福男選び」をヒントに2014年から始まった。同神社開門神事講社講長の平尾亮さん(48)が足を運び、運営に協力。コロナ禍などでしばらく来られなかったが、今年5年ぶりに訪問が実現した。平尾さんは事故による後遺症で右足が不自由ながら、毎回、参加者と一緒に釜石のコースに挑む。今回も松葉づえをついて、急坂を懸命に駆け上がった。
 
参加者に交じり、5年ぶりに韋駄天のコースを駆け上がった平尾亮さん(写真右)。西宮神社開門神事講の赤いはんてんとジャージー、「ガッツくん」トレーナーは釜石でもおなじみとなったスタイル

参加者に交じり、5年ぶりに韋駄天のコースを駆け上がった平尾亮さん(写真右)。西宮神社開門神事講の赤いはんてんとジャージー、「ガッツくん」トレーナーは釜石でもおなじみとなったスタイル

 
 「走る前に『競走ではあるが、津波避難の教訓を後世に残すことが大きな目的』と、繰り返し伝えているのが印象的。福男選びも本来、1年の初めにえびすさんに福をもらいにいくという初詣に似た意味合いがあるが、あまりにも競う部分がクローズアップされすぎて…。釜石は理想の形」と平尾さん。
 
 今年は阪神・淡路大震災(1995年)から30年―。「震災の記憶、教訓をどう継承していくかは被災地共通の課題。大切な命を守るために私たちができることをしっかりやっていきたい」。遠く離れた両市に思いを寄せ、末永い交流を願った。西宮神社からは今回、同震災復興支援のシンボルキャラクター「ガッツくん」がデザインされたタオルが釜石の参加者に贈られた。

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文化財をひもとく 見えた!5つのストーリー 釜石の歴史文化を伝える展示、講演

釜石の歴史文化にまつわる文化財を紹介する展示

釜石の歴史文化にまつわる文化財を紹介する展示

 
 地域の先人たちが残し、暮らしの息づかいを想像させてくれる文化財。釜石市では保存はもちろん、活用することで、まちの魅力を再認識し、未来につなげる取り組みが進められている。昨夏、「釜石市文化財保存活用地域計画」が文化庁長官認定を受けたことによるもの。同計画には、釜石の歴史文化の特徴から見いだした「5つのストーリー」が存在し、それを伝える関連文化財の展示や専門家による記念講演が1、2日にあった。
 
 市、市教育委員会、市文化財保護審議会が主催。計画の周知や地域遺産を市全体で保存・活用し、地域づくりや観光に生かしていく機運を高ようと、20回目の有形文化財公開事業として行われた。また、2025年は、釜石市が甲子、唐丹、鵜住居、栗橋の4つの村と合併して70周年の節目の年。さらに、太平洋戦争終戦から80年、橋野鉄鉱山を含む「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録10周年も重なる。地域の歴史文化を振り返ることで、新しい未来の創造へつなげてもらう狙いもある。
 
 昨年7月に認定された同計画で、釜石は「豊かな自然に恵まれ、古くから人々の交流や文化が根づき、鉄を起点として近代化を遂げたまち」とする。郷土芸能やまつり、岩手県内陸部など域外との交流でにぎわう一方、戦争や津波による災禍といった苦難を乗り越えてきた歴史も存在。多種多様なものが関わり合い、融合し、脈々と歴史がつながっていることを示す数多くの文化財から5つの群を抽出し、それぞれストーリー性を持たせた。
 
TETTOで開かれた「かまいしの歴史文化 5つのストーリー展」

TETTOで開かれた「かまいしの歴史文化 5つのストーリー展」

 
 それらの物語を紹介する展示は大町の市民ホールTETTOで2日間実施。▽三陸沿岸の豊かな自然とめぐみ▽海をわたり、浜をたどり、峠をこえる▽まつりと信仰で育まれる▽近代都市の形成▽逆境に耐え前進する―との5つの章立てに沿って、市指定文化財や地域に伝わる資料(個人所蔵)などをずらりと並べた。
 
 「南部藩平田村仙台領唐丹村境絵図」(南部、仙台両藩が境を改めて絵図面を取り替え、唐丹村側を書いたもの)、「大橋磁石岩絵図」(今では見ることができない大橋地区にあった磁石岩の形状などを記したもの)、「細布(せばぬの)」(南部藩領・鹿角地方の名産。この麻布には『錦木由来』と題した悲恋物語がつづられている)など、さまざまな視点から歴史、文化に触れることができるつくり。嘉永6(1853)年の三閉一揆の指導者の一人、三浦命助関連資料(獄中記など)、釜石艦砲射撃で実際に使用された砲弾などもあった。
 
他地域との盛んな交流を感じさせる展示コーナー

他地域との盛んな交流を感じさせる展示コーナー

 
昔の街道や海路の様子を記した絵図に見入る来場者

昔の街道や海路の様子を記した絵図に見入る来場者

 
「まつりや信仰」「逆境に耐え前進」などテーマごとに見せた

「まつりや信仰」「逆境に耐え前進」などテーマごとに見せた

 
 来場者の目を引いたのは、「南部領惣絵図(複製)」(縦732センチ、横381センチ)と「仙臺藩領内圖(複製)」(縦516センチ、横841センチ)。正保年間(1644~48年)、元禄14(1701)年にそれぞれ作製されたものという。1市4村合併で現在の釜石市域が形づくられたのは昭和30(1955)年4月のこと。70年となるのを記念し、それぞれの絵図を所蔵する、もりおか歴史文化館、宮城県図書館の協力で複製をつくった。
 
 歴史をひもとくためには、2つの絵図が必要―。市域の大部分は南部藩領だが、南に位置する唐丹は仙台藩だったから。それぞれのぞいてみると、南部の図は宿駅や港間の距離、川幅、港口の状況などが記され、仙台のものには街道や海岸の様子に加え、地形の特色、樹木などの絵も描かれている。「異なる要素が関わり合い、融合」。計画に示された通りで、「物語がないわけない」と主催者たちは楽しそうに話していた。
 
南部藩、仙台藩の情報が記された2枚の絵図(複製)は迫力あり

南部藩、仙台藩の情報が記された2枚の絵図(複製)は迫力あり

 
仙台藩の絵図(左の写真)には「小白濱」、南部藩の絵図には「平田村」とある

仙台藩の絵図(左の写真)には「小白濱」、南部藩の絵図には「平田村」とある

 
 記念講演は2日に開催。同計画の策定に加わった盛岡大の熊谷常正名誉教授が明治時代以降の文化財保護の歩み、新しい動きを解説した。近年は美術品、建造物といった“点”ではなく、群や景観など地域環境や社会性を踏まえ“面”として捉えられているとし、「住民主体の地域づくり、観光資源として活用することが重要だ」と強調。一方、保存の視点では「守らなければなくなるものと考えるのであれば、まず守るべきは私たちの暮らし。生活を守ることで、文化財も守られる」と指摘した。
 
文化財の保存や活用について講演した盛岡大の熊谷常正名誉教授

文化財の保存や活用について講演した盛岡大の熊谷常正名誉教授

 
 計画のキャッチコピー「歴史文化をいかし未来をつくるまち釜石」の実現に向け、助言。「製鉄を中心にしたストーリーは釜石ならでは。同じ歴史はなく、個性、独特な面を持ってつくられている。その代表が文化財。地域のプラスになるよう、新たな価値の発見や魅力の発信にいかしてほしい」と期待した。会場の釜石PITで、市民ら約70人が耳を傾けた。
 
文化財を生かした地域づくりに関心を持つ市民らが聴講した

文化財を生かした地域づくりに関心を持つ市民らが聴講した

 
 計画の認定は、国の補助事業で優先して採択されるなどの利点がある。釜石では、5つのストーリーに沿って「文化財保存活用区域」を設け、住民らと協力しながら歴史文化遺産を生かした取り組みを考えていく。「計画をつくって終わりではなく、まだ続きがある」と市文化振興課の手塚新太課長補佐。同審議会の藤原信孝会長も「地域の文化財を知って関心を持ってもらうことが保護につながる」とし、市民の目に触れる機会を増やしていく考えだ。

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釜石・唐丹出身 河東慶子さん満100歳に 「これからもみんなと仲良く」 入居中のあいぜんの里でお祝い

小野共市長から100歳の祝い状を贈られた河東慶子さん(右)

小野共市長から100歳の祝い状を贈られた河東慶子さん(右)

 
 釜石市平田の特別養護老人ホームあいぜんの里(菊池公男施設長/長期利用70人、短期同20人)で暮らす河東慶子さんが1月31日、満100歳を迎えた。今月4日、同施設でお祝いの会が開かれ、駆け付けた家族や親族らとともに多くの祝福を受けた。この日は小野共市長が訪れ、市からの祝い金や記念品を贈呈。思わぬ“晴れ”の場に照れた様子の河東さんは「皆さんのおかげで…」と周囲への感謝の気持ちを表した。同施設の100歳以上の利用者は河東さんを含め4人となった(最高齢102歳)。
 
 祝う会には利用者、職員らが集まった。施設を運営する社会福祉法人清風会の小泉嘉明理事長は「河東さんは礼儀正しく、いつも丁寧なお辞儀をして恐縮される方。これからも元気で、みんなの中心となって明るく生きてほしい」とあいさつ。小野市長は「健康に留意し、ますます長寿を重ね、心豊かな人生を」と願い、市からの特別敬老祝い金(5万円)と記念の額入り祝い状、羽毛肌掛け布団を河東さんに手渡した。施設からも花や職員手作りの祝い品が贈られた。
 
市からは特別敬老祝い金と羽毛肌掛け布団、施設からは花のプレゼントも

市からは特別敬老祝い金と羽毛肌掛け布団、施設からは花のプレゼントも

 
 河東さんは1925(大正14)年1月31日、同市唐丹町花露辺に生まれた。4人きょうだいの長女で弟が3人。漁協組合長の父の体を気遣い、母の家事を手伝いながら弟たちの面倒を見た。23歳で、同町片岸の天照御祖神社の宮司を務める河東家の長男栄光さんと結婚。栄光さんは11人きょうだいの3番目。結婚当初は大家族で、神社の仕事を手伝いながら家事全般をこなした。男3人の子宝に恵まれ、子育てもしながら忙しい毎日を送った。
 
 長男で現宮司の直江さん(75)は「神社では年中行事が次々にあり、母はその準備で大忙しだった。そんな母をねぎらい、父はいつも正月明けに旅行に連れて行ってくれた。母はとても喜び、感謝していたようだ」と話す。
 
 河東さんは昭和三陸大津波(1933年)、東日本大震災(2011年)と2度の津波も経験した。13年前の震災時は高台の神社兼自宅で療養していた。周辺の小学校や児童館、住宅は黒い波にのまれ、引き波で海底が見えるほどの大津波。ベッドから飛び起き、眼下の惨状に心を痛めていたという。神社には約100人の地域住民らが避難。1カ月余りにわたって避難生活を送った。
 
たくさんのお祝いを受け、記念の一枚!

たくさんのお祝いを受け、記念の一枚!

 
 市内外の2施設を経て、2014年4月にあいぜんの里に入った。担当介護士の板澤広好さん(33)は「施設で使うおしぼりの畳み方とか、職員の仕事をいつも手伝ってくれる。家事的なことをしたいようで、『畳みものをしないと午後寝られない』と話す」と笑う。食欲もあり、甘いものが好き。テレビは「水戸黄門と大相撲」がお気に入りで、他の利用者との会話も多いという。「具合が悪い利用者さんを気遣ったり、職員の心配をしたり、とても気配りをされる方」と板澤さん。河東さんは施設行事のドライブを楽しみにしているといい、「家(神社)のことを一番気にかけているので、近くにも連れて行ってあげたい」と話した。
 
 祝う会では終始うつむき加減だった河東さん。終了後、話しかけると「緊張したぁー」と、やっと表情を緩ませた。「おかげさまで(ここまで生きられた)。ありがとうございます。これからも皆さんと仲良く暮らしたい」。はきはきと話す河東さんに職員らも安心した様子で笑顔を重ねた。
 
施設職員に囲まれ、顔をほころばせる河東さん。緊張が解け、和らいだ表情に…

施設職員に囲まれ、顔をほころばせる河東さん。緊張が解け、和らいだ表情に…

 
 会には長男直江さんのほか、夫栄光さん(故人)の末弟河東眞澄さん(84)と妻智子さん(81)が駆け付けた。母が100歳を迎えられたことに「思ってもいなかったこと。しかもこんなに元気でね。これからも穏やかに暮らしてくれれば」と直江さん。義姉について眞澄さんは「こんなにしっかりした100歳も珍しいのでは。一時、命の危険もあったが、そのこともちゃんと理解し、医師の言うことを守ってきた。さすが苦労してきただけある」と感心。親族で100歳まで生きたのは初めてで、「あやかりたいものだね」とほほ笑んだ。
 
 3人は「本当に施設のおかげ。医療体制などバックアップも整っていて、職員がちゃんと面倒を見てくれている」と感謝。この日の会も「まさかこんなに本格的とは」と驚き、「本人は華やかな式的ものは辞退したがるので、今日はびっくりしたのかな。いつもより言葉少なめ」と顔を見合わせた。
 
会に出席した長男直江さん(後)と義弟眞澄さん(右)、智子さん(左)夫妻から、お祝いの言葉をかけられ、ちょっぴり照れ気味の河東慶子さん

会に出席した長男直江さん(後)と義弟眞澄さん(右)、智子さん(左)夫妻から、お祝いの言葉をかけられ、ちょっぴり照れ気味の河東慶子さん

 
 釜石市の100歳以上の方は河東さんを含め29人(男2、女27)となった。最高齢は105歳の女性。(2月4日現在)

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岩手ビッグブルズ パブリックビューイング in 釜石PIT 横浜エクセレンス戦

岩手ビッグブルズ パブリックビューイング in 釜石PIT 横浜エクセレンス戦

 

パブリックビューイング in 釜石PIT
岩手ビッグブルズを一緒に応援しよう!

対象試合

B3 LEAGUE 2024-25 SEASON 第21節
岩手ビッグブルズ vs 横浜エクセレンス(AWAY戦)

日時

2025年2月15日(土) 14:00 TIP OFF
開場 13:30〜

場所

釜石PIT(岩手県釜石市大町1-1-10)

 

【駐車場について】
・斜向かいにある釜石大町駐車場または周辺の有料駐車場をご利用ください。
・自転車およびバイクは、釜石PITに隣接する駐輪駐車スペースをご利用ください。

入場料

・入場無料
1ドリンク制:ご入場後ソフトドリンク(¥150)orノンアルドリンク(¥200)をご購入いただきます。

その他

・来場者全員にスタンプカードを進呈
来場するほどお得!スタンプをためて特典GET!

主催

釜石まちづくり株式会社
協力:株式会社岩手ビッグブルズ

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト