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東日本大震災の教訓、世代を超えて 釜石の語り部3人に復興庁から感謝状

感謝状を受けた藤原信孝さん(右)、佐々木智恵さん(中)と娘の智桜さん

感謝状を受けた藤原信孝さん(右)、佐々木智恵さん(中)と娘の智桜さん

 
 東日本大震災の語り部として活動する釜石市の藤原信孝さん(76)=釜石ガイド会、佐々木智恵さん(42)=かまいしDMC=と長女で小学生の智桜(ちさ)さん(10)の3人にこのほど、復興庁から感謝状が贈られた。震災伝承、防災への備えを伝えようと取り組む姿が評価。震災から13年と時が経過する中、3人は「3世代で受賞できたのがうれしい。こんな風に世代をつなげて伝えていきたい」と継続へ気持ちを重ねた。
 
 震災以降、各被災地では多くの語り部が活動。自らの被災体験や地域の被害状況、復旧・復興の取り組みを発信することで、防災の知識の普及に貢献してきた。復興庁では、そうした取り組みに謝意を示し、活動の充実を期待するとともに、記憶と教訓を次代へ伝えて防災・減災対策に生かすため担い手の確保にもつなげようと、感謝状を贈呈。今回、岩手、宮城、福島各県の伝承団体や市町村からの推薦を受け、計52人を選んだ。受賞者は昨年12月に公表され、それぞれに感謝状を伝達。岩手では釜石の3人のほか、宮古、陸前高田、山田の3市町で活動する計4人にも贈られた。
 
 藤原さんは釜石ガイド会に所属して長年、地域の魅力を伝えてきた。震災の津波で被害が大きかった鵜住居町の隣にある栗林町に住み、発災直後は避難者の受け入れなどに取り組んだ。「実体験をしていない」と震災の語り部活動に悩んだこともあったというが、「体験した人がいなくなってからでは遅い。被害状況を目の当たりにした一人として伝えていくことは自分の義務だ」と感じ、活動を重ねている。
 
鵜住居町を訪れた外国人らに震災の被災状況を説明する藤原信孝さん(手前右)=2014年6月

鵜住居町を訪れた外国人らに震災の被災状況を説明する藤原信孝さん(手前右)=2014年6月

 
 震災を知らない世代が増える中、語り部活動で必ず話すことは避難訓練の大切さ。大人でも知らないことや勘違いしていることがあると感じていて、「普段の訓練が生かされれば、生きられる。体験、やってみるという備え、心構えを持ってほしい」と強調する。
 
 「伝承は、次の世代につないでいくことが大事」。気持ちを切り替えて活動してきたことが評価され、「地域を代表していただいた」と喜ぶ。そして今回、「おじいさんの私、お母さんの智恵さん、孫のような智桜さんと、3世代で評価されたのはよいことだ」と目じりを下げた。
 
 智恵さんは、鵜住居町の震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」に勤務。来場者への伝承活動は3年目となる。修学旅行などで訪れる児童生徒や、学生らに話す機会が多く、「防災」という言葉に身構える様子が感じられるという。「難しいことではないんだよ。自分の持ち物に何か一つ加えてみよう」などと、身近で取り組みやすい視点をヒントとして残すよう伝え方に工夫。そうした活動が評価され、「励みになる。地震、津波だけでなく、災害全般の防災について伝えていきたい」と気を引き締めた。
 
いのちをつなぐ未来館で絵本の読み聞かせをする佐々木智恵さん(右)=2023年3月

いのちをつなぐ未来館で絵本の読み聞かせをする佐々木智恵さん(右)=2023年3月

 
 鵜住居小5年の智桜さんは、感謝状をもらって「うれしいです」と素直に喜ぶ。震災からちょうど3年後の2014年3月11日生まれ。誕生日でもあるその日は、祖母と伯母が津波の犠牲になった日でもあり、家族や学校で日々教えられている「命の大切さを伝えたい」と、智恵さんと共に市主催の研修を受講。「大震災かまいしの伝承者」として2年前の春から活動し、未来館でガイドしたり、企業研修などで語り部をしたりする。
 
いのちをつなぐ未来館で企業研修の語り部を務めた佐々木さん親子(右)=2023年10月

いのちをつなぐ未来館で企業研修の語り部を務めた佐々木さん親子(右)=2023年10月

 
防災士に必要な救命技能を生かした活動も行う佐々木智桜さん=2024年9月

防災士に必要な救命技能を生かした活動も行う佐々木智桜さん=2024年9月

 
 昨年秋には民間資格の防災士を県内最年少で取得するなど防災学習も深めている。「学んだことをしっかり引き継ぎたい」と気持ちは前向き。語り部は緊張するが、話しているとほぐれてくるといい、「聞き取りやすい語り」を心がける。将来の夢を聞くと、「未来館で働きたい」と即答。英語も勉強中で、たくさんの人に自分の言葉で伝えていくつもりだ。
 
市役所を訪れた3人。小野共市長らに受賞を報告した

市役所を訪れた3人。小野共市長らに受賞を報告した

 
 藤原さん、佐々木さん親子は2月20日、釜石市役所を訪れ、小野共市長に受賞を報告した。小野市長は「震災時に何があったのか、学んだことを後世に伝え、つなげていくことが重要。語り部の皆さんが発信することで、災害に備え、考えるきっかけになれば。これからも全国に伝えてほしい」と期待した。

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釜石で洋式高炉操業成功 大島高任の知識はどこから? 鉄の歴史館・小野寺英輝名誉館長が講演

講演した鉄の歴史館名誉館長の小野寺英輝さん(岩手大理工学部准教授)

講演した鉄の歴史館名誉館長の小野寺英輝さん(岩手大理工学部准教授)

 
 釜石市立鉄の歴史館の名誉館長を務める小野寺英輝さん(岩手大理工学部准教授)の講演会が15日、同市大平町の同館で開かれた。2019年の就任以降、年1回実施する同館主催事業。今回は「教育面から見た大島高任」と題し、釜石で鉄鉱石が原料の洋式高炉による鉄づくりに成功した大島の学びの軌跡にスポットを当てた。市民ら22人が聴講した。
 
 1857(安政4)年、盛岡藩甲子村大橋(現釜石市甲子町同)に洋式高炉を築造し、日本初の鉄鉱石を原料とした連続出銑に成功した大島高任(1826-1901)。後に“近代製鉄の父”と称される大島は、全国の主要鉱山の開発も手掛け、日本鉱業界の第一人者としても知られる。その活躍の裏にあるのが、各地に出向いて得た豊富な知識。小野寺さんはその遊学の歩みについて解説した。
 
10代から学びを深め、日本鉱業界に数々の足跡を残した大島高任

10代から学びを深め、日本鉱業界に数々の足跡を残した大島高任

 
 盛岡生まれの大島は藩校「明義堂」で学んだ後、医学修行のため17歳で江戸に留学。オランダ医学やオランダ語、西洋史、兵学、宗教学に精通した箕作阮甫(みつくりげんぽ)に入門、医学は坪井信道にも教わった。一度、盛岡に戻ったが、砲術の習得を命じられ1846年に長崎へ。砲術の大家・高島秋帆の子息浅五郎に学び、発砲の免許皆伝を受けたとされる。3年後、長崎から大坂(大阪)に向かい、緒方洪庵の適塾(西洋医学、オランダ語)で1年ほど学んだ。滞在中、依頼を受け大砲の鋳造を指導。帰藩後、「西洋操銃編」などの冊子を作った。大島唯一の著作物とされる。
 
大島は20代前半に長崎で砲術を学び、免許皆伝を受ける

大島は20代前半に長崎で砲術を学び、免許皆伝を受ける

 
大坂(大阪)から帰藩後、再び江戸へ。伊東玄朴に師事する

大坂(大阪)から帰藩後、再び江戸へ。伊東玄朴に師事する

 
 1852年、西洋砲術研究のため再び江戸へ。入門した伊東玄朴は、オランダ人技師ヒュゲーニンが執筆した大砲鋳造法や高炉技術についての書物を翻訳した一人。小野寺さんは「ヒュゲーニンの著書を翻訳したもののうち、主要な3つ全てに大島が関わっている。本を読むだけでなく、訳した人からも話を聞ける環境にあった」とした。
 
 大島は長崎などで共に学んだ仲間らと水戸藩那珂湊の反射炉建設に従事。1856年、鉄製大砲の鋳造に成功したが、従来の砂鉄原料によるたたら銑では強度に問題があったため、磁鉄鉱を用いる洋式高炉の建設に乗り出した。翌57年、良質な鉄鉱石が産出される釜石・大橋に高炉を築造。国内で初めて連続出銑に成功した。
 
大島はヒュゲーニンの著書を翻訳した「鐵熕鋳鑑(てっこうちゅうかん)」を参考に釜石・大橋の洋式高炉を造ったとされる

大島はヒュゲーニンの著書を翻訳した「鐵熕鋳鑑(てっこうちゅうかん)」を参考に釜石・大橋の洋式高炉を造ったとされる

 
 1862年、江戸幕府が洋書翻訳と洋学研究、教育のために設立した「蕃書調所(ばんしょしらべしょ)」の出役教授となり、新設された製錬学を担当。幕府お雇いの米国人技師パンペリー、ブレークらと蝦夷地(北海道)の炭鉱調査に行き、発破技術も学んだ。時を同じくして、医学と洋学教育を行う私塾「日新堂」を盛岡に設立。藩校・明義堂は武士のみの入校だったが、日新堂は町人も受け入れた。当時の日本の就学率は60~80%(米、仏は30%)。寺子屋は6歳ごろから通え、さらに勉強したい人は私塾に進んだ。大島はパンペリーが箱館(函館)に設立した坑師学校(鉱山技術者養成)にも関わっていたとみられる。
 
 この後も尾去沢、小坂鉱山などの開発に着手。明治に入ると新政府の鉱山権正(鉱山局次長)、大学大助教(筆頭助教授)に任じられ、岩倉使節団に随行。米国や欧州を歴訪し、ドイツのフライベルク鉱山学校も視察した。帰国後の1874年、官営製鉄所の立地調査で釜石を訪れるが、大島の計画案は採用されなかった。後に阿仁銀山や佐渡金山など全国の主要鉱山の開発に尽力し、日本鉱業会の初代会長となった。
 
鉄の歴史館で開かれた名誉館長講演会。来場者は興味深い話に聞き入った

鉄の歴史館で開かれた名誉館長講演会。来場者は興味深い話に聞き入った

 
 小野寺さんによると、大島の若年時の行動が分かるのは自身が書いた精書履歴(履歴書文案)しかないが、履歴には各地の遊学の記述があり、師事した人物と時代から知識獲得の流れが読み取れる。「日本への西洋技術導入は蘭学から。江戸時代の外国語はオランダ語がメインで、多くの蘭書が日本語に翻訳された。大島高任が釜石で高炉を造る時に参考にしたのもオランダのヒュゲーニンの本」と小野寺さん。江戸時代の日本には海外新聞も入ってきていて、翻訳や手彫り印刷などで時間はかかったものの、世界情勢も知ることができた。大島は外国船の入港で海外の製品や技術、情報がもたらされる中で学びを深めていったと考えられる。

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スポーツで活躍 個人・団体たたえる 釜石市民体育賞「明るいまちに、前向きに」

釜石市民ホールで開かれた市民体育賞表彰式

釜石市民ホールで開かれた市民体育賞表彰式

 
 釜石市体育協会(小泉嘉明会長)の2024年度市民体育賞表彰式は16日、同市大町の市民ホールTETTOで開かれた。功労賞で1人、奨励賞では20人、4団体を表彰。受賞者の栄誉をたたえるとともに、さらなる飛躍を願った。
 
 受賞者ら約40人を前にあいさつした小泉会長は「近年は若い人たちの頑張りを感じる。運動による明るい話題はまちづくりにもつながると思う。体を動かし、頭を使って、まちを明るくし、前向きに進んでいこう」と期待を込めた。同賞顕彰委員会による選考経過の報告を受け、小泉会長が受賞者に表彰状と記念の盾などを手渡した。
 
各種スポーツで活躍した受賞者と釜石市体育協会関係者ら

各種スポーツで活躍した受賞者と釜石市体育協会関係者ら

 
 奨励賞は、岩手県や東北など各種大会で優勝もしくはこれに準ずる優秀な成績を収めた人(団体)が対象。功労賞は一競技で長年活躍し、その競技の普及や団体の発展に貢献した人に贈られる。
 
 奨励賞の中で、多かった競技は空手道。小学生では、佐々木惟楓さん(鵜住居・4年)、川崎煌聖さん(同・6年)、阿部桜之輔さん(白山・1年)、柏統利さん(平田・1年)、照井陽己さん(同・2年)、三浦陽翔さん(同)、大久保亜美さん(小佐野・4年)、阿部颯太さん(双葉・6年)、木村有那さん(平田・6年)が表彰された。
 
 中学生は照井心陽さん(大平・2年)、人首瑠生さん(釜石・3年)、三浦里菜さん(大平・3年)が受け、高校生では髙橋愛里さん(釜石・2年)が受賞。釜石高空手道部は団体でも男女そろって同賞を受けた。若年層の活躍が目立つが、一般では山正留維さん(23)が入り、大人も負けていない。
 
 「来年もまた」と子どもたちを激励した小泉嘉明会長(中)

「来年もまた」と子どもたちを激励した小泉嘉明会長(中)

 
 釜石に練習環境がなく、地域外の拠点で競技に励む受賞者もいた。相撲では、大槌町の道場で鍛錬する小学生の住久悠仁さん(小佐野・4年)と中学生の荒屋和成さん(甲子・1年)。レスリングに打ち込む小学生の藤原奏多さん、岩﨑花乃さん(ともに鵜住居・3年)は山田町の団体で技を磨いている。
 
 このほか個人では、ボクシングで高校生の菊地瑠衣さん(釜石・3年)、バウンドテニスの阿部なみ子さん(76)も表彰。団体ではスポーツ雪合戦の全国大会に初出場、初優勝したジュニアチーム「ウル虎ジュニア釜石」と、県中総体2連覇の釜石中特設ラグビーフットボール部も選ばれた。
 
小泉会長の激励に笑顔で応える「ウル虎ジュニア釜石」のメンバー

小泉会長の激励に笑顔で応える「ウル虎ジュニア釜石」のメンバー

 
代表して謝辞を述べた黍原ゆらいさん

代表して謝辞を述べた黍原ゆらいさん

 
 代表して謝辞に立ったのは、ウル虎ジュニア釜石の主将を務めた黍原ゆらいさん(釜石東中1年)。昨年の大会を振り返り、応援が力になったことや喜びを素直に伝えた。今シーズンの全国大会(2月22―23日)には一般、レディース、ジュニアと釜石から3チームがそろって出場予定。「みんなで出場できるのは初めてで、選手一同、精いっぱい頑張ります。これからも応援を」と背筋を伸ばした。
 
水泳競技の普及に貢献し功労賞を受けた藤原浩司さん

水泳競技の普及に貢献し功労賞を受けた藤原浩司さん

 
 功労賞を受けたのは、藤原浩司さん(66)。水泳協会理事、主任競技役員として各種大会の運営や若手の育成などに35年以上携わり、競技の普及に貢献する。市外で開かれる大会にも積極的に出向いたというが、理由は「大会に出場する地元の子どもたちが、知った顔を見れば安心して競技に集中できると思ったから」。そんなあたたかい気持ちは、今回の受賞者たちにも向けられ、「練習環境、指導者を含めて整っていない中で頑張っていて、すごい」と感心。自身の表彰については「釜石を代表してやってきたことが認められたのかな」と控えめに喜びを語った。

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「助けられる人から助ける人へ」 釜石東中が自主防災組織結成 災害発生時、生徒自ら初動対応

自主防災組織結成を市に届け出た釜石東中生徒会の役員ら=17日、釜石市役所市長室

自主防災組織結成を市に届け出た釜石東中生徒会の役員ら=17日、釜石市役所市長室

 
 釜石市鵜住居町の釜石東中(佃拓生校長、生徒84人)生徒会が、災害発生時の初動対応を行う自主防災組織(自主防)を立ち上げた。防災学習や訓練で得た知識、技能を生かし、生徒が主体的に災害時の避難所開設や避難者誘導を行おうとするもの。1月の生徒会総会で決議し、2月17日、千葉心菜生徒会長(2年)ら役員5人が市に設置届を提出した。学校単位での自主防登録は県内初。同市では48番目の結成となった。
 
 同校は2011年の東日本大震災津波で校舎が全壊。仮設校舎を経て17年、町中心部に整備された高台造成地に、鵜住居小と併設する形で移転再建された。小中が利用する校庭、体育館は市により、地震津波や洪水、土砂災害時の緊急避難場所、拠点避難所に指定されている。
 
 同震災前から防災教育が盛んだった同校。震災では生徒らが隣接する同小児童の手を引いて高台を目指し、迫り来る津波から命を守った。その教育理念は震災後も受け継がれ、下校時津波避難訓練や総合防災訓練を小中合同で毎年実施。総合防災訓練では、校内にいる時の地震、津波発生を想定したシェイクアウト、より高い場所への避難のほか、体育館での避難所開設、避難者誘導、校庭での炊き出し訓練などを行っている。積み重ねてきた防災の取り組みをより深化させ、「地域の支えになりたい」と結成したのが、生徒会による自主防。全校生徒と教職員で組織し、生徒会長が自主防の会長を務める。
 
釜石東中、鵜住居小合同で行われる総合防災訓練。(左上から時計回りに)高台避難、避難者誘導、仮設トイレ組み立て、炊き出し=資料写真(2021年撮影)

釜石東中、鵜住居小合同で行われる総合防災訓練。(左上から時計回りに)高台避難、避難者誘導、仮設トイレ組み立て、炊き出し=資料写真(2021年撮影)

 
生徒会役員らは小野市長に同校の防災の取り組みなどを説明した

生徒会役員らは小野市長に同校の防災の取り組みなどを説明した

 
自主防災組織結成への思い、今後の活動に対する決意を述べる千葉心菜生徒会長

自主防災組織結成への思い、今後の活動に対する決意を述べる千葉心菜生徒会長

 
 17日、小野共市長に設置届を手渡した千葉生徒会長(自主防同)は「身が引き締まる思い。地域の方々にアドバイスをもらいながら少しずつ成長し、地域の自主防災組織と肩を並べられるように強い意志、覚悟を持って活動していきたい」と決意を述べた。小野市長は「自分たちの地域は自分たちで守るという気概がとてもうれしい。皆さんの活動は市の大きな助けになっている。今後も被害を少なくできるようご協力を」と願った。
 
 東日本大震災発生から間もなく14年―。「防災活動の発展」を重点目標に掲げた生徒会に自主防結成を提案した佃校長は「中学生も震災を知らない世代になってきて、防災学習にも難しい側面が出てきている。自主防結成が新たな決意で防災に取り組むきっかけになれば」と期待。地元住民組織、鵜住居地域会議の古川幹敏議長は今後、高い確率で発生が懸念される日本海溝・千島海溝沿い地震を見据え、「地域としても心強い。生徒の皆さんの気持ちを生かし、一緒に命を守る活動を展開していきたい」と意を強くする。
 
鵜住居地域会議の古川幹敏議長(右)も地元中学生の取り組みを歓迎。若い力を得て地域の防災力アップを願う

鵜住居地域会議の古川幹敏議長(右)も地元中学生の取り組みを歓迎。若い力を得て地域の防災力アップを願う

 
髙橋勝教育長らの励ましを受け、自主防としての活動へ意欲を高める生徒ら

髙橋勝教育長らの励ましを受け、自主防としての活動へ意欲を高める生徒ら

 
 大規模災害発生時は、市職員がすぐに各避難所に駆け付けることが困難になる状況も予想され、地域住民による初動対応は必要不可欠。特にも学校が避難所の場合、校内をよく知り、普段から訓練を重ねている生徒が率先して行動できれば、地域にとって非常に大きな力となる。
 
「助けられる人から助ける人へ―」。災害に対する危機意識の醸成、各種訓練の充実、発災時の主体的行動などに意欲を見せる釜石東中生徒会。震災後に生まれた佐々木一真副会長(1年)は「小学生のころから親や先生に震災のことを教わり、当時の映像も見ている。自然災害はとても怖く、犠牲者をなくすために訓練していかねばと思う。上級生から学んできたことを下の学年にも伝えていきたい」と話した。
 
 釜石東中生徒会は3月2日に市が実施する地震・津波避難訓練にも参加。高台避難のほか、避難所開設を想定した段ボールベッドや仮設トイレの設置などに取り組む予定。

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空に描く希望のメッセージ ガザへ届け「忘れていないよ」 釜石で続くたこ揚げ

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ガザの平和を願って釜石で行われたたこ揚げ

 
 戦闘や封鎖で長期にわたり厳しい生活を強いられるパレスチナ自治区ガザの平和を願うたこ揚げイベントが16日、釜石市鵜住居町の「うのすまい・トモス」であった。東日本大震災を機に、互いを励まそうと続いている活動で、参加者は空に舞うたこを見上げ、穏やかな日常へ祈りを込めた。
 
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空高く揚がるたこがガザと釜石の思いをつなぐ

 
 市内外の有志でつくる「ガザ・ジャパン希望の凧(たこ)揚げ交流会実行委員会」が主催。子どもから大人まで約20人が参加した。「平和」「正義」「忘れない」。思い思いにメッセージをつづり、好きなキャラクターなど絵を描いたり、桜の花びらをイメージした折り紙を貼ったりして、たこを作った。
 
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たこ作りに取り組む参加者。それぞれ思いをつづった

 
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さまざまな願いを込め、たこを掲げる参加者

 
 「不屈の意志で復興を」と願う中澤大河さん(釜石高2年)は、「ネバーギブアップ」を意味するアラビア語を調べて、たこに書き込んだ。町内に住んでいて、震災の津波で自宅は流失。当時は3歳だったが、家族とともに逃げた記憶が少しだけ残っているという。今回、「応援してもらった恩返し」と参加。戦禍、自然災害と原因は異なるが、「暮らしの復興」という点では同じだと感じていて、「ゼロからのスタート。立ち上がってもらえたら」と思いを寄せた。
 
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ガザへの思いを込め、たこを揚げる参加者たち

 
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参加者は空高く揚がるたこに思いを託した

 
 両地域の交流は2012年3月、震災復興を願ってガザの子どもたちがたこを飛ばしたのが始まり。これに応える形で、釜石でも15年からガザに向けたたこ揚げを続けている。
 
 実行委メンバーで、同市出身の野呂文香さん、高橋奈那さん(ともに23)は、高校時代からこの活動に関わってきた。「震災からの復興を願ってくれたガザに、たこ揚げを通じて何かを伝えられたら」。2人とも思いは変わらず、参加してくれた人たちの姿をうれしそうに見つめた。
 
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参加した親子を見つめる野呂文香さん(右)。活動継続へ思いを「繋」

 
「ガザのことを知るきっかけに」と企画されたイベントの参加者

「ガザのことを知るきっかけに」と企画されたイベントの参加者

 
 社会人として市内で働く野呂さんは今回、運営の中心を担った。これまで引っ張ってきたメンバー佐藤直美さん(51)=仙台市=から引き継ぎ、継続への気持ちを新たにする。現地の情勢は今なお緊迫しており、届けたい共通の思いを佐藤さんと確認。「忘れていないよ」。その気持ちをたこに込め、ガザにつながる空に高く揚げ続ける。

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いわてグルージャ盛岡 パブリックビューイング in 釜石PIT ヴィアティン三重戦

 

\ いわてグルージャ盛岡を一緒に応援しよう! /

スペシャル企画①

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開幕戦となる今回はグルージャ選手OB 益子義浩(MF)さんが来場予定!
選手目線での解説やミニトークを交え、楽しくサッカー観戦をお楽しみ頂けます。
この他、グルージャグッズのプレゼント抽選会も開催予定です!
J復帰を目指すいわてグルージャ盛岡の戦いを釜石PITで一緒に応援しましょう!

スペシャル企画②

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PV会場限定販売!! ここでしか買えない、オリジナルのクルージャ応援グッズを数量限定で販売いたします!この機会に是非GETしちゃいましょう!
 
祈鶴札(キヅール札) 1,400円
 
昇格の願いと祈りを込めた祈鶴(キヅール)の木札です。
・デザインは2種(縦1種、横1種)
・岩手県産のヒノキ材を使用
・紐の部分は稲穂カラー(1色のみ)です。
 
【裏面にお好きな文字を入れるオーダーも可能!】
・指定可能な定形フォントによる文字のみ(イラストは不可)
・字数制限あり
・別途600円の追加の料金がかかります。
・オーダーの方は当日お持ち帰り出来ません。後日発送となります。

対象試合

2025年 第27回日本フットボールリーグ 開幕戦
vs. ヴィアティン三重 AWAY戦

日時

2025年3月9日(日) 13:00 キックオフ
開場 12:30

場所

釜石PIT(岩手県釜石市大町1-1-10)

 

【駐車場について】
・斜向かいにある釜石大町駐車場または周辺の有料駐車場をご利用ください。
・自転車およびバイクは、釜石PITに隣接する駐輪駐車スペースをご利用ください。

参加費(運営協力費)

大人300円/高校生以下無料
※運営協力費は、本パブリックビューイング開催のための運営費の一部として使用いたします。会場でお支払いください。

その他

・いわてグルージャ盛岡公式グッズを会場にて販売!
・会場内にてソフトドリンクとノンアルドリンクを販売!

主催

釜石まちづくり株式会社

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

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釜石ラーメン×スタンプ=最高! 3月29日までラリー展開中 楽しみ尽くす旅、やってみた

釜石人のソウルフード「釜石ラーメン」

釜石人のソウルフード「釜石ラーメン」

 
 岩手県釜石市、ご当地の味と言えば…?その一つに挙がるのが「釜石ラーメン」だ。細めの縮れ麺と琥珀色(こはくいろ)の透明感あるスープが特徴の、あっさりとしたしょうゆラーメン。シンプルながらも奥深い味わいで、地元で長く愛されてきた。その味を食べ尽くすスタンプラリーが市内で展開中。食べ歩きを楽しめるうえ、景品というおまけ付きにつられ、記者も挑戦してみた。
 
 スタンプラリーは、映画「釜石ラーメン物語」の公開に合わせ2023年に始めた取り組みで、今回は第2弾。釜石観光物産協会が主催し、期間は1月25日から3月29日までの約2カ月間。市内のラーメン店など対象店(28店舗)でラーメン(釜石ラーメン以外も可)を食べ、台紙に押印をもらう。スタンプ台紙は対象店のほか、市内の観光施設で配布している。
 
 全店制覇の景品は、特製の「釜石ラーメンどんぶり」(先着60人)か「釜石ラーメンれんげ」(同100人)から選ぶ。台紙1枚につき、景品の交換は1回のみ。全店制覇以外にも3店、10店、20店以上達成には地酒や水産加工品などが用意されている。
 
 初参戦の記者は手始めに3店めぐって、オリジナル缶バッジの入手を狙うことに。対象店は市内全域に点在していて、今回は市中心部の大町を歩いた。
 
発祥の店・新華園本店の釜石ラーメン

発祥の店・新華園本店の釜石ラーメン

 
 最初に訪れたのは、その“元祖”ともいえる「新華園本店」。王道の釜石ラーメンを注文した。コシがある極細の縮れ麺、あっさりとしたやさしいしょうゆ味のスープは、どこか懐かしさを感じさせる望郷の味だった。「やっぱり、うまい」
 
 同店は1951年に創業。先代の味を受け継ぐ店主の西条優度(まさのぶ)さん(75)が腕を振るう。「これしかできない。作ったものを喜んでもらえたらいい」。2011年の東日本大震災で厨房(ちゅうぼう)などが傷ついたが、その爪痕を残したまま、その年のうちに再開した。「安否確認などコミュニティーの場にもなっていた」。そんな温かみのある店内の雰囲気は変わらない。
 
「また来るね」の声を励みにする店主の西条優度さん(手前)

「また来るね」の声を励みにする店主の西条優度さん(手前)

 
 コロナ禍以降、商売の厳しさを感じているが、宴会需要を見込んで、中断していた2階部分の開放を思案中。スタンプラリーの実施も歓迎し、「釜石ラーメンと言っても、シバリは緩く、それが面白い。各店舗のこだわり、異なる味わいを楽しんでほしい」と笑う。「全店制覇して、どんぶりをもらったら見せにくるね」という客の再来を楽しみにしている。
 
店名を冠した「あいどるラーメン」

店名を冠した「あいどるラーメン」

 
 次に向かったのは、「らーめん&コーヒー あいどる」。店名はかわいらしいが、意表をついて本格的なラーメンが楽しめる喫茶店だ。厚切りで存在感のあるチャーシュー2枚がのったラーメンが人気だというが、記者は「あいどるラーメン」を注文。ホタテと海老、野菜が入ったあんかけ海鮮スープ(塩味)が細麺にマッチしていた。「おいしい」
 
 店主の金澤重子さん(年齢は秘密)が50年ほど前から切り盛りしている。当初は食堂だったというから、ラーメンがあるのも納得。こちらも震災で被災し、「もう商売は…」と思ったというが、現在、厨房に立つ夫が「やろう」と引っ張り、再開した。
 
外観も店内も、かわいらしい雰囲気が魅力の喫茶店

外観も店内も、かわいらしい雰囲気が魅力の喫茶店

 
 店名の由来を聞くと、「花の名を付けようとしたが却下され、たまたま見かけた花屋からもらった。うちは、やわらかいイメージで平仮名に」とほほ笑む金澤さん。「釜石のラーメンはしょうゆ味でなくとも、あっさり系。細麺だからかな。いろいろ食べ比べて、おいしさを知ってほしい」。店内は昔ながらの喫茶店そのもので、ゆったりと過ごせる空気感も魅力だ。
 
青龍の看板メニュー「味噌チャンポン」

青龍の看板メニュー「味噌チャンポン」

 
 締めとして行ったのは、「中華飯店 青龍」。こちらでは店主おすすめであり、ファンの多い看板メニュー「味噌チャンポン」を味わった。イカ、タコ、豚肉、野菜など具だくさんで、とろみのある卵とじスープが特徴。お好みで特製「辛み」を加えれば、“味変”も楽しめる。この辛みが絶品で、スープも飲み干し完食。「口福」
 
 1981年創業。震災で自宅兼店舗を失ったが、同じ大町内で移転、再出発し、震災前と変わらぬメニューを提供している。味噌チャンポンは店主の池田恭也さん(77)が「店の売りとなるものが1つあればいい」と考案した自慢の味。辛みもしかり。「ピリッとして、おいしさが増す」と作り上げた味を目当てにする人も多いとか。
 
自慢の味を提供し続ける店主の池田恭也さん

自慢の味を提供し続ける店主の池田恭也さん

 
 池田さんを「マスター」と呼びながら、手際よく動く店員の姿も印象に残った。「チャンポンに細麺は意外と思うかもしれないけど、あっさりでいいでしょ。とろみのあるスープと麺もよく絡まる。最後まで飲み切って、エコにもなるし」としっかりPR。気さくな人柄に触れ、心もほんわかあたたまった。
 
 3つのスタンプを集め、景品を交換すべく、釜石観光案内所(鈴子町・シープラザ釜石内、午前9時~午後6時)へ。目当ての缶バッジを手にした。短い味めぐりの旅だったが、「やり切った」という達成感を得た。そして、釜石ラーメンの奥深さを改めて実感。店ごとに味わいが異なり、個性豊かだった。地元の味を知るだけでなく、店主らとの会話を楽しめるのも魅力。今回、記者は出会わなかったが、同じラーメンを求め歩く人との交流もあるらしい。
 
景品と交換。缶バッチは直径約8センチと意外に大きい

景品と交換。缶バッチは直径約8センチと意外に大きい

 
釜石ラーメンスタンプラリーをPRする釜石観光物産協会の職員

釜石ラーメンスタンプラリーをPRする釜石観光物産協会の職員

 
 記者が景品を交換したのは2月10日の昼過ぎ。同協会によると、その時点で記者より先に5人いて、うち3人が全店制覇で市外の人もいるという。仕事で訪れ、いくつか回って記念にする人もいるらしく、あらためて19日に交換者数を問い合わせると、3人増えていた。全制覇は計5人となり、そのうち1人がれんげを選択したとか。ゆるりとしたペースかと感じるも、協会では「特にどんぶりは限りがあるので、お早めに」と呼びかける。
 
 今回のスタンプラリーは観光客が減る冬季の消費活性化が狙い。協会の横木寛裕さん(24)も挑戦中で、こつこつとスタンプを集めている。目指すは全店制覇。「ラーメンを食べながら、あったまってもらえたら。行ったことのない店に足を運ぶきっかけにして新しい発見、お気に入りの味を見つけたり楽しみましょう」と意欲を見せた。
 
 記者は…。食したい店は確かにあるが、財布と相談かな…

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第38回釜石市民劇場23日公演 甲子大畑「不動の滝」を舞台に創作ファンタジー

23日の公演に向け稽古に励む釜石市民劇場のキャストら=15日、TETTO

23日の公演に向け稽古に励む釜石市民劇場のキャストら=15日、TETTO

 
 第38回釜石市民劇場(同実行委主催)は23日、釜石市大町の市民ホールTETTOで上演される。大畑・不動の滝「女神と木伐(きこ)る男」伝奇―と題した物語は、同市甲子町大畑にある市民なじみの滝で繰り広げる創作ファンタジー(3幕10場)。キャスト、スタッフら総勢約50人で舞台を創り上げる。
 
 物語の時代設定は明治初期。鈴子(釜石駅周辺)で製鉄所が稼働し、燃料の木炭生産が盛んになった時期を背景とする。主人公は甲子村(当時)大畑で炭焼きに従事する正直者の男性・良吉。良吉親子とそれを取り巻く村民が地域のシンボル「不動の滝」で不思議な体験をする空想世界を描く。滝の近くに実在する祠(ほこら)にヒントを得て、物語を創作した。
 
 キャストは小学4年生から79歳までの男女15人。初出演は3人。昨年11月末から稽古を重ねてきた。公演まで約1週間となった15日夜は、実際の舞台上で各場面を稽古。舞台装置、道具類、衣装を手掛けるスタッフらも集まり、キャストと一緒に各種確認作業を行った。
 
本番まで残り1週間となり、演技も総仕上げの段階に…

本番まで残り1週間となり、演技も総仕上げの段階に…

 
裏方スタッフとキャストがステージ上の立ち位置などを確認

裏方スタッフとキャストがステージ上の立ち位置などを確認

 
劇中で使う小道具を手に気合い十分のキャスト、スタッフ

劇中で使う小道具を手に気合い十分のキャスト、スタッフ

 
 主人公良吉を演じるのは釜石高2年の菊池圭悟さん(17)。昨夏、宮古市で行われた高校生による演劇づくりに参加したのを機に「地元釜石でも」と応募。演出希望だったが、同実行委の久保秀俊会長(76)からキャストのオファーを受け、挑戦を決めた。演技の基礎を学び、せりふ覚え、立ち稽古と段階を踏んできた。「せりふは頭に入った。後は感情表現と動きの部分」と菊池さん。さまざまな年代の人が集う場で「アドバイスをもらい、自分の中の疑問も解決できている」と周囲の支えに感謝する。残り少ない稽古で「もっと人物像をつかみ、完全に役になりきって全力で演じられたら」と意気込む。
 
初出演で主人公・良吉を演じる菊池圭悟さん。山仕事や夫婦のやり取りなど各場面の演技を練習"

初出演で主人公・良吉を演じる菊池圭悟さん。山仕事や夫婦のやり取りなど各場面の演技を練習

 
 市内の会社員池端愛音さん(19)は2回目の出演。前回は2年前、釜石商工高なぎなた部の一員として、戦時下の高等女学生役を演じている。今回の役は山仕事をこなす男勝りな女性・マサ。「自分の性格とは正反対。役作りも難しかった」と明かす。それでも仲間の演技を見ながら学びを深め、新たな挑戦を楽しむ。「不安や緊張もあるが、最後までやり遂げて、いい舞台をお見せしたい。今までの成果を本番にぶつける」と菊池さん。
 
 大畑不動の滝は遊歩道も整備され、自然散策や写真撮影など手軽に訪れることができる場所。子どもたちの遠足地としても活用され、地元住民だけでなく多くの市民に親しまれてきた。劇の脚本を書いた久保会長は「滝に関する詳しい資料や言い伝えは見つからなかったが、祠があることからも、滝を中心とした人々の暮らしがあったのではないかと考える。現実離れした物語ではあるが、人間社会における正直者と嘘をついた人間の差、家族の絆や未来への希望が表現できれば」と語る。
 
キャストは常連組、久しぶりの出演、初めての参加と多彩な顔ぶれ

キャストは常連組、久しぶりの出演、初めての参加と多彩な顔ぶれ

 
演技を引き立てる舞台装置や照明、衣装、効果音担当のスタッフらも入念に準備

演技を引き立てる舞台装置や照明、衣装、効果音担当のスタッフらも入念に準備

 
 第38回釜石市民劇場は23日午前10時半、午後2時半からの2回公演(各回開場は30分前)。入場料は前売り券1000円(当日1300円)、中学生以下は無料。プレイガイドはTETTO、イオンスーパーセンター釜石店、市内各地区生活応援センター、桑畑書店、シーサイドタウンマスト(大槌町)。

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冬に味わう釜石はまゆりサクラマス!フェア開催中 あったかメニューが勢ぞろい

釜石はまゆりサクラマスを使った「漁火」のちゃんちゃん焼き

釜石はまゆりサクラマスを使った「漁火」のちゃんちゃん焼き

 
 釜石湾で養殖される「釜石はまゆりサクラマス」を味わえるフェアが14日から、釜石市内で展開されている。2023年度に続く第2弾企画で、冬季開催の今回は「あったか」がキーワード。飲食店や旅館など19店舗が、鍋や揚げ物など工夫を凝らした多彩なメニューを提供していて、27日まで楽しめる。
 
 釜石でのサクラマスの養殖は2020年に試験的に始まり、22年に事業化。23年は160トン、24年は145トンを水揚げし、安定的な生産を維持している。そして、養殖生産量としては日本一。水揚げは例年6~7月だが、冷凍による長期保存でシーズンを問わず食べられる。
 
釜石湾で養殖された釜石はまゆりサクラマス

釜石湾で養殖された釜石はまゆりサクラマス

 
 そんな強みを地域内外に発信し、消費拡大につなげようと、フェアを企画。初開催時は、養殖魚ならではの“生食”に注目したメニューがいくつも提供されたが、釜石産は「脂がのっているのにさっぱりとしていて、焼き料理にもいい」との声もある。
 
 同市大町の三陸居酒屋「漁火(いさりび)」では、野菜もたっぷり食べられる「サクラマスのちゃんちゃん焼き」を提供する。サクラマスの切り身、キャベツ、ネギをアルミホイルに包み、卓上に用意されたカセットコンロで焼いて味わう一品。みそとバターの“黄金コンビ”で濃いめの味付けにしており、具材としっかり絡めて食せば、ご飯はもちろん、お酒も進む。
 
具材を包んだアルミホイルをコンロにのせて焼くこと数分。ホイルを開いて…

具材を包んだアルミホイルをコンロにのせて焼くこと数分。ホイルを開いて…

 
特製のたれをしっかり絡めれば、濃厚なちゃんちゃん焼きが完成

特製のたれをしっかり絡めれば、濃厚なちゃんちゃん焼きが完成

 
 マスを使うのは初めてだったという店主の東裕也さん(39)は「サケや他のサーモン系に比べると、火の通りが早く、身もやわらかい。味もあっさりしていたから、バターを加えた。コク、濃さ、おいしさが増す」と、工夫の様子をうかがわせた。卓上に置かれたコンロで客が自ら食材を焼いて「熱々を食べる」のが、同店の売り。三陸、釜石産の食材に付加価値を持たせたいと、アイデアを込めた料理を提供していく構えで、「とにかく楽しんでもらえたら」と目を細めた。
 
 他店ではパスタやみそ鍋、ムニエル、フライなど多彩な料理がテーブルに並ぶ。価格も400円台から6000円台までと幅広い。
 
「冬のあったか釜石サクラマスフェア」をPRする釜石市水産農林課の職員

「冬のあったか釜石サクラマスフェア」をPRする釜石市水産農林課の職員

 
 フェアは市水産農林課が主催。水産振興係の萬大輔係長は「養殖魚ということもあって生食系で押してはいるが、加熱してもおいしいことを知ってほしい」とアピール。旬はあるが、通年で味わえるよう特産品化に取り組んでおり、「冬メニューで違った魅力を打ち出し、ファンになってもらえたら」と期待する。

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釜石から夢かなえて! タレント養成所「C-Zeroアカデミー」4月開校へ 芸能界への道、自己実現を応援

11日に開かれた「C-Zeroアカデミー」の無料体験レッスン=TETTO

11日に開かれた「C-Zeroアカデミー」の無料体験レッスン=TETTO

 
 釜石市初のタレント養成所「C-Zero(シーゼロ)アカデミー」(菊池由美子校長)が4月20日に開校する。演技、ボイストレーニング、ダンス・日本舞踊、礼儀作法など多彩なレッスンで、エンターテインメント人材を育成。修了生の活動も支援する。基礎科第1期生を3月3日まで募集。11日は学校説明会と無料体験レッスンが市民ホールTETTOで行われ、4~76歳まで20人余りが参加した。
 
 養成所は、東京で俳優やモデル、舞台や映像制作の仕事をしてきた釜石出身の菊池校長(57)が、「地方から芸能の世界を目指す人たちの力になりたい」と立ち上げた。芸能活動に必要な知識や技能を基礎から学べるカリキュラム(1年)を用意。5歳以上(4月1日時点)を対象とし、年代別に5つのクラスを設ける。レッスンは必須科目(演技、ボイトレ、和文化体験)が月5~6回、選択科目(ダンスor日本舞踊・着付け)が月2回。釜石、大槌で活動する各分野の専門家らが講師を務める。ゲスト講師による特別レッスンも予定。1年の成果を確認する発表(舞台or映像)の場もある。
 
「C-Zeroアカデミー」校長の菊池由美子さん。演技や日本舞踊の講師も務める

「C-Zeroアカデミー」校長の菊池由美子さん。演技や日本舞踊の講師も務める

 
 基礎科修了生は、次のステップとして研究科でのレッスン継続が可能。プロとしての活動を目指す「C-Zero登録生」はプロモーション活動を開始し、仕事の依頼を受けるほか、菊池校長が代表を務める芸能事務所「FUKUプロモーション」所属タレントのオーディションを受けることができる。趣味でレッスンを継続したい人は「研修生」として在籍し、イベントや映像のエキストラ出演も可能。生徒の意向に応じ、進みたい道を後押しする。
 
中学生以上を対象に開かれた午後の学校説明会

中学生以上を対象に開かれた午後の学校説明会

 
 開校を前にした学校説明会と体験レッスンには、市内外から幅広い年代の人たちが集まった。菊池校長がカリキュラムや年間スケジュール、費用などを説明した後、参加者が演技レッスンを体験した。ジェスチャーを交えた自己紹介リレーに続き、「ロボットになって」「酔っ払いになって」などのお題のもと歩きながらあいさつを交わしたり、「桃太郎」をベースにしたセリフのやり取りをさまざまな設定で演じたりした。
 
ジェスチャーを交えて自己紹介。自分より前の人たちの動きを再現しながら…

ジェスチャーを交えて自己紹介。自分より前の人たちの動きを再現しながら…

 
「泣きながら」「ロボットになって」など出されたお題で歩く

「泣きながら」「ロボットになって」など出されたお題で歩く

 
2人1組で短いセリフのやり取りを体験。自分たちで設定を考え交替で発表し合った

2人1組で短いセリフのやり取りを体験。自分たちで設定を考え交替で発表し合った

 
 同市出身、在住の佐々木瑠奈さん(22)は声優を目指し、盛岡の養成所に通っていたが、地元にできると聞き、この日の説明&体験会に参加。「最初は緊張していたが、他の参加者と話したり、演技していくうちにどんどん楽しくなって」と目を輝かせた。「意欲があっても(環境的に)あきらめていた人もいると思う。近くに(養成所が)あれば、学生とかも通いやすい。地元でレッスンできるのが一番大きい」と開校を楽しみにする。「舞台での芝居にも興味がある。声優と俳優、両方を目指してやってみたい」と入校へ前向きな姿勢を見せた。
 
 2023年にUターンした菊池校長。自身がこれまで培ってきたものを古里に還元し、エンターテインメントによるまちづくりにも貢献したいと、同養成所開設へ奔走してきた。地元企業や芸能関係者などの協力で実行委を組織。4月開校に向けての準備が整った。「まずは基礎をしっかり学んでもらい、それぞれの個性を伸ばすような指導ができれば。人生100年時代。社会人やシニアの方は自分磨きをしながら生き生きとした人生を送る、子どもたちには好きなことや得意なことを見つけるきっかけにもなれば。芸能界への夢を抱く人たちには、かなえられるようなサポートをしていく」と菊池校長。
 
参加者が考えた設定の芝居を演技講師(中央手前:小笠原景子さん、同奥:菊池校長)が見守る

参加者が考えた設定の芝居を演技講師(中央手前:小笠原景子さん、同奥:菊池校長)が見守る

 
参加者にアドバイスする演技講師の横濱千尋さん(中央)。レッスン体験は終始楽しい雰囲気で進んだ

参加者にアドバイスする演技講師の横濱千尋さん(中央)。レッスン体験は終始楽しい雰囲気で進んだ

 
 生徒の募集は年1回。学校案内、募集に関する問い合わせ方法などは「C-Zeroアカデミー」公式サイトで見ることができる。FUKUプロモーションは、キャスティングを手掛ける東北芸能企画事務所(秋田県)との契約が実現。すでに仕事のオファーも来ているという。

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【釜石発】子どもたちが主役!「かまっこまつり」大盛況 手作りのお店で交流楽しむ

会話を楽しみながら手作り品をPRする子どもたち

会話を楽しみながら手作り品をPRする子どもたち

 
 釜石市の子どもたちが主役となってつくる「かまっこまつり」が9日、同市大町の市民ホールTETTOで開かれた。約30人がチームを組み、多彩なお店や遊びコーナーを開設。「やってみたい」という思いをかなえながら、来場者との交流も楽しんだ。
 
 小学生らが中心となって企画し、中高生がサポート。まつり限定通貨「かまっコイン」で客とやりとりする。ヘアゴムや写真立てなど雑貨販売、射的やくじ引きといった遊びのコーナーなど手作りの9店が並び、約370人が来場。スライムづくりが人気で順番待ちの列ができたり、用意した手作り品が1時間足らずで完売してしまう店もあり、にぎわった。
 
まつり限定の仮想通貨「かまっコイン」でやりとり

まつり限定の仮想通貨「かまっコイン」でやりとり

 
人気のスライムづくり。店番の子どもがサポート

人気のスライムづくり。店番の子どもがサポート

 
輪ゴムが飛んだ先に視線が集中。盛り上がった射的コーナー

輪ゴムが飛んだ先に視線が集中。盛り上がった射的コーナー

 
 手づくりのキャンドルや香水を販売した小学6年の鈴木楓さん(12)は「楽しい。『きれい』『いいにおい』とか、お客さんの反応がうれしい」と笑顔を見せた。3回目の参加で、今回は同じ学校の友達ら6人で準備。売り物として並べるまでに何度も失敗したり、意見を言い合ったり、いろんなことがあったようだが、「充実感がすごい。思いが同じ友達と出会えたし、人との付き合いもうまくなった」と満足げに話した。
 
「やりたいこと」をかなえ、笑顔でピースサイン

「やりたいこと」をかなえ、笑顔でピースサイン

 
多くの人でにぎわった「かまっこまつり」

多くの人でにぎわった「かまっこまつり」

 
 まつりは釜石まちづくり株式会社が主催。東日本大震災後、放課後子ども教室を運営する市民団体が子どもたちの主体性を育むきっかけづくり、地域コミュニティーづくりとして2013年に始めた。その後、同社が引き続ぎ今回で11回目となった。
 
 「いらっしゃいませー」「限定ですよ」などと元気な呼び込みが飛び交うのも、まつりならでは。同まつり担当で1回目の開催から見守る山口未来さん(39)は、やりたいことを実現させようと挑戦する子どもたちの成長を喜ぶ。継続には、大人の力も必要だと感じていて、「大人の皆さん、一緒に子どもたちを応援しましょう」と、サポーターを求める。

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冬のあったか 釜石サクラマスフェア(2/14~2/27)

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釜石湾で養殖されている釜石はまゆりサクラマスを存分に堪能できる『冬のあったか 釜石サクラマスフェア』を開催します。市内飲食店等の19店舗で様々なジャンルの体温まるお料理が提供されます。
是非、この機会に美味しい釜石はまゆりサクラマス料理をご賞味ください。
 
チラシのPDFはこちら[PDF:10.1MB]

参加店舗

❶U-TEC釜石
❷CHEZ MARCO
❸廻船問屋マルワ
❹HAMAYUI
❺居酒屋マミー
❻呑み食い処 宗次郎 
❼糀のカフェ&バー Comehana
❽Music Bar Aqua Marin
❾三陸うまいもんや つぼ八 釜石大町店
❿養老乃滝 釜石店
⓫三陸ぱすた
⓬三陸居酒屋 漁火
⓭ヒカリ食堂
⓮魚河岸 庄五郎
⓯リヴァル
⓰和の膳 みや川
⓱よしよし 
⓲かまいし浜前料理処 多田旅館
⓳海舟  
 
sakuramasu2025_2

※⓮魚河岸 庄五郎での提供メニューが変更となります。
「サクラマスのフライとつみれ汁」・・・1,100円
フライはさっぱりサクッとつみれ汁はまだまだ寒い日に心も体も温まります!
 

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 水産農林課
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8427 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2025012100010/
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