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9競技で熱戦! 釜石大槌地区中総体 サッカー、バドミントンに地域クラブチーム初参戦

3年ぶりに対戦が実現した釜石大槌地区中総体サッカー競技=大槌町営サッカー場

3年ぶりに対戦が実現した釜石大槌地区中総体サッカー競技=大槌町営サッカー場

 
 2024年度釜石大槌地区中学校総合体育大会(中総体)は15日、地区内の公共スポーツ施設や学校体育館で9競技が行われた。日本中学校体育連盟(中体連)が主催大会に学校外の地域クラブ活動団体の参加を認め、各都道府県、地区中体連も同様の措置を取って2年目となる本年度。釜石大槌地区中総体には今回初めて、サッカーとバドミントン競技に地域クラブ各1チームが参加した。
 
 少子化、人口減による生徒数の減少で近年、団体競技の合同チームでの参加や地区予選なしでの県大会出場が顕著になっている同地区中総体。本年度は軟式野球で4校合同、バスケットボール女子で2校合同チームが結成され、地区大会での対戦が行われた。
 
 対戦可能な人数がそろわず、22、23年度と試合ができなかったサッカーは、3年ぶりに競技が行われた。昨年結成された大槌サッカークラブ(9人)が釜石東中(21人)と対戦。地区代表の座をかけて熱い戦いを繰り広げた。同クラブは、地元サッカースポーツ少年団で活動した子どもたちが中学生になっても競技を続けられる環境を作ろうと、地域の指導者らが設立。大槌、吉里吉里両学園の中学生が所属する。試合は互角の戦いとなったが、前半に1点を先取した釜石東中が守り切り、1対0で県大会への切符を手にした。
 
地区中総体に初めて参加した「大槌サッカークラブ」。大槌、吉里吉里学園の生徒で結成

地区中総体に初めて参加した「大槌サッカークラブ」。大槌、吉里吉里学園の生徒で結成

 
釜石東中と大槌サッカークラブの対戦。初夏の日差しが照りつける中、熱戦を繰り広げた

釜石東中と大槌サッカークラブの対戦。初夏の日差しが照りつける中、熱戦を繰り広げた

 
 同クラブの飛田駿丞さん(大槌学園9年)はフルメンバーで挑んだ今大会に「少ない人数でもここまで頑張ってこられた」と仲間に感謝。「負けた悔しさを次のリーグ戦にぶつけたい」と中学最後の大会を見据えた。コーチの古川英紀さん(52)は「少子化の中でも、子どもたちがやりたいスポーツをできる環境をいかに作っていくか。そこはやはり大人の責任」と学校、地域双方の受け皿充実を望む。今後もメンバーの獲得に努め、新人戦への出場を目指す意向を示した。
 
 釜石東中のキャプテン木村翔さん(3年)は中学最後の地区総体で初めて試合ができたことについて、「地区内に切磋琢磨できる仲間がいるのはうれしいこと。相手はみんな経験者で、人数が少なくてもうまいと感じた。県大会はもっとレベルが高いと思うので、次のステージに行けるように練習していきたい」と気を引き締めた。
 
優勝した釜石東中サッカー部。地区代表として県大会に出場する

優勝した釜石東中サッカー部。地区代表として県大会に出場する

 
 バドミントン競技に初参戦したのはKBF(釜石バドミントンフレンズ、12人)。学校部活動の「地域移行」の流れを酌み、「釜石の先駆けに」と市内で活動してきた3団体が合併して、今年4月に発足させた。中学生メンバーは釜石、大平、釜石東の3校から集まる。今大会では女子団体戦、男女の個人戦(シングルス、ダブルス)にエントリー。試合の結果、女子団体戦で1位、女子個人戦ではシングルスで2人、ダブルスで2組が3位以上に入り、県大会出場を決めた。
 
地区中総体バドミントン競技に初めて参加した釜石市のチーム「KBF」

地区中総体バドミントン競技に初めて参加した釜石市のチーム「KBF」

 
小学生から競技に励む選手が実力を発揮=釜石市民体育館

小学生から競技に励む選手が実力を発揮=釜石市民体育館

 
 小学4年からクラブチームで競技を続けてきた平舘杏奈さん(釜石中1年)は中総体初参加。「初めて団体戦をやって楽しくプレーできた。3年生の先輩は最後の中総体なので、いい結果を残せて良かった」と満足そう。個人戦ダブルスでも2位に入った。小学生の時には東北大会出場も経験。「中学3年間の目標は団体、個人の県大会優勝」と意欲を高めた。
 
KBFは女子団体で1位、女子個人シングルスで2,3位、同ダブルスで1,2位を獲得(写真提供:KBF)

KBFは女子団体で1位、女子個人シングルスで2,3位、同ダブルスで1,2位を獲得(写真提供:KBF)

 
 少子化の影響で部員を確保できない部活動の存続、顧問を務める教員の負担軽減などを目的とした「部活動の地域移行」。国は2023~25年度を改革推進期間と定め、実現への取り組みを促すが、実際には課題も多い。地域クラブの中総体参加について、KBFの久保勝幸代表(48)は「学校に部がない生徒が大会への出場機会を得られる、メンバーの対戦経験を増やせる一方、学校の部と地域クラブ双方で活動する生徒がどちらの所属で参加するか判断に迷う部分もある。特に3年生は卒業アルバム掲載の問題も…」と、参入によるメリット、デメリットを指摘。県内では地域クラブの参入が確実に増えている状況もあり、「今大会への試行参加を基に、子どもたちにとってより良い方向性を見いだしたい」と語る。
 
 今大会は各競技とも予定通り行われ、地区代表として県大会に出場する学校、選手が決まった。県大会は7月13~15日に県内各会場で行われる。
 
バドミントン男子の団体戦。大槌学園と対戦する唐丹中(手前)

バドミントン男子の団体戦。大槌学園と対戦する唐丹中(手前)

 
ソフトテニス女子の団体戦。釜石中と対戦する甲子中

ソフトテニス女子の団体戦。釜石中と対戦する甲子中

 
ソフトテニス男子の個人戦。大槌学園と対戦する釜石中

ソフトテニス男子の個人戦。大槌学園と対戦する釜石中

 
2024年度釜石大槌地区中学校総合体育大会成績一覧表

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味わって!うにしゃぶ 釜石でお振る舞いイベント 「新名物にな~れ」期待込め 魚屋応援にも

海の恵みがたっぷり詰まった「うにしゃぶ」を味わう親子

海の恵みがたっぷり詰まった「うにしゃぶ」を味わう親子

 
 釜石の新名物に-と期待される「うにしゃぶ」。ウニが香るスープで三陸の魚介を味わう料理だ。この海の“味力”たっぷりの逸品を知ってもらおうと、地域の魅力発信に取り組む若者がイベントを企画。16日、釜石市鈴子町の駅前橋上市場サン・フィッシュ釜石で市民や観光客らに無料で振る舞った。
 
 うにしゃぶは、焼いたりペースト状にしたりして香りを引きたてたウニを加えた貝だしのスープを温め、白身魚や貝類など三陸の海の幸と野菜を湯通していただく。地元の観光地域づくり会社かまいしDMCが食品加工会社と協力して2020年に開発。その“うにスープ”はDMCが指定管理する魚河岸テラスで販売する。市内では一部の飲食店や宿泊施設で提供されるが、事前の予約が必要。市のふるさと納税返礼品として取り扱われているが、市民の目に触れる機会は多くない。
 
 「名物にするには市民から。おいしさを知ってもらおう」と立ち上がったのが、市地域おこし協力隊として魚食普及活動に取り組む清原拓磨さん(26)と、観光地域づくりコーディネーターの横木寛裕さん(23)の2人。5月の大型連休中にもPRイベントを実施しスープを有料で提供したが、今回はDMCの厚意もあって“お振る舞い”という形でサービスした。
 
サン・フィッシュ釜石で開かれたお振る舞いイベント

サン・フィッシュ釜石で開かれたお振る舞いイベント

 
 市場内の飲食スペースが会場。テーブルにはスープが入った鍋、箸休めのレタス、締め用のご飯が用意された。そして、“しゃぶしゃぶ”する具材の刺し身などは市場内の店舗で調達。「地元の海産物をよく知る魚屋さんとの触れ合いも楽しむ」という仕組みにした。
 
「うにスープに合うのは?」。店員が具材選びをお手伝い

「うにスープに合うのは?」。店員が具材選びをお手伝い

 
新鮮な刺し身を手に笑顔の参加者、企画した清原拓磨さん(右)

新鮮な刺し身を手に笑顔の参加者、企画した清原拓磨さん(右)

 
 タコ、ホタテ、エビ、カンパチ、サーモン、エンガワ、ワカメ…。家族連れらが訪れ、スープに合いそうな魚介類をお好みで選んで鍋にサッとくぐらせ、口に運んだ。「うんま!」「ウニの香りがすごい」「濃厚」。スープのうまみが絡んだ味わいに箸が進み、締めの雑炊までしっかりと堪能した。
 
お好みの具材を濃厚「うにスープ」にくぐらせて味わう

お好みの具材を濃厚「うにスープ」にくぐらせて味わう

 
魚介のうまみが加わったスープで雑炊も!最後までうまい

魚介のうまみが加わったスープで雑炊も!最後までうまい

 
 魚介が好きな山田光葉(みつよ)さん(7)は「おいしい。海の味がする」とうれしそうに頬張った。母親の春葉(はるよ)さん(40)は「ウニの香りがふわっと広がる。ぜいたく感があって映(ば)えるから、名物料理になると思う。食材の組み合わせとか特色のあるメニュー化、提供の仕方、見せ方を工夫したりするといいのでは」と期待を込めた。
 
 今回のイベントでは、市場内の店舗を利用してもらうことで売り上げ増にもなり、事業者から歓迎の声が聞かれた。
 
“魚屋さん”との触れ合い促進もイベントの目的

“魚屋さん”との触れ合い促進もイベントの目的

 
新名物にと「うにしゃぶスープ」をPRする横木寛裕さん(右)

新名物にと「うにしゃぶスープ」をPRする横木寛裕さん(右)

 
 清原さんは「うにしゃぶを初めて食べる人が多かった印象。発信するという意味では達成できたと思う」と肩の力を抜いた。魚のさばき方教室と銘打つ食育活動(月1回)や海にまつわる事業者支援などに携わる中で、魚種の豊かさや鮮度の良さなどから「魚のまち釜石」の魅力を実感。魚を売る人たちの情報の多さにも驚き、「気楽に魚屋に行く仕掛けをつくりたい」と考えて形にした。
 
 企画の発案者でうにしゃぶスープのおいしさを知る横木さんも、「これ、合いますよ」と訪れた人に説明しながら、おもてなし。「飲食店で提供が広がるにはまず客となる地元の人が知って、食べたいと思ってもらわないと。おいしいものは食べに行くし、買うし、人にも勧める」という考えは2人とも共通で、今後も企画を考え発信していく。

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「シナノキ」の“新”巨木 橋野町和山で確認 関係者が市文化財指定の可能性探る

橋野町和山で確認されたシナノキの巨木=6日

橋野町和山で確認されたシナノキの巨木=6日

 
 釜石市北西部、橋野町の和山高原で新たなお宝発見―。これまで“知る人ぞ知る”巨木で、地元の人でもほとんど見たことがなかったという「シナノキ」の大木を、このほど市文化財保護審議会(川原清文会長、委員15人)の委員らが視察した。同高原には1969(昭和44)年に市の文化財(天然記念物)に指定された「和山のシナノキ」があるが、今回確認した“新”シナノキは幹周り、樹高ともそれを上回る大きさ。審議会では今後、新たな文化財指定の候補物件として検討を進めていく予定。
 
 視察には川原会長、同審議会第3専門部会(史跡、名勝、天然記念物)委員、市文化振興課職員ら7人が参加。同地を所有する一般社団法人栗橋地域振興社(菊池録郎代表理事会長)の小笠原明彦監事(釜石観光ガイド会事務局長)が現地を案内した。
 
現地に向かう釜石市文化財保護審議会の委員と市文化振興課の職員ら=林道入り口

現地に向かう釜石市文化財保護審議会の委員と市文化振興課の職員ら=林道入り口

 
 シナノキの巨木があるのは、風力発電事業者ユーラスエナジー釜石の事務所から南西方向に位置する標高761メートルの高原地帯。市道から約3キロの林道を車で上り、終点から歩いて現地に向かった。かつての放牧場に隣接する雑木林を進むと、見えてきたのは周囲の樹木よりはるかに幹が太い1本の大樹。近づくにつれ、参加者はその迫力に驚きの声を上げた。
 
県が整備した林道を車両で進む

県が整備した林道を車両で進む

 
終点からは歩いて現地へ。広葉樹林の斜面を上っていく

終点からは歩いて現地へ。広葉樹林の斜面を上っていく

 
元放牧場沿いに進んでいくと、ひときわ大きな木が目に飛び込んできた

元放牧場沿いに進んでいくと、ひときわ大きな木が目に飛び込んできた

 
 市職員が計測したところ、幹周りは7.3メートル(根元から高さ1.3メートル部分)、根元周りは8.29メートル。大人6人が両手をつないで周る太さだ。根元から1.8メートルほどの高さで4本に枝が分かれ、最も太いものは3.32メートル。樹高は目測で約20メートル、枝幅は約27メートルと推定される。一部に枝の欠損があるが、樹勢の衰えは感じられない。新緑の季節を迎え、枝先には葉が生い茂り、この時期ならではの樹姿を見せている。専門家による年輪調査がないと詳細は分からないが、樹齢は「300年以上ではないか」と推定。
 
市の職員がシナノキの大きさを計測しデータ収集

市の職員がシナノキの大きさを計測しデータ収集

 
周りの木よりはるかに太い幹が年数を重ねてきたことを感じさせる

周りの木よりはるかに太い幹が年数を重ねてきたことを感じさせる

 
幹周りは驚きの7.3メートル(胸元高)

幹周りは驚きの7.3メートル(胸元高)

 
幹周りは大人6人が両手をつないだ長さ!本当に太い

幹周りは大人6人が両手をつないだ長さ!本当に太い

 
 現場は風通しが良く、日光もたっぷり降り注ぐ場所で、樹木の生育にも適しているとみられる。参加者からは「想像以上の大きさ」「立派だ」「勢いがある」など絶賛の声が聞かれた。また「他の木のつるが絡まると弱っていく可能性もある。手入れをして守ったほうが寿命が延びるのでは」という意見もあった。
 
 同委員で、環境省の環境カウンセラーでもある佐々木光壽さん(74)は「和山の(寒冷な)環境で、これだけ太く大きくなったのはすごい。シナノキでここまでの大きさのものは市内では他に確認されていないのではないか」と驚嘆。「間違いなく価値あるものの部類に入る。市の文化財指定の可能性はあると思う」と話した。
 
木の上部には日光がたっぷり降り注ぐ。横に伸びた枝ぶりも見事!

木の上部には日光がたっぷり降り注ぐ。横に伸びた枝ぶりも見事!

 
見上げると木の高さにもびっくり!

見上げると木の高さにもびっくり!

 
 案内した小笠原監事(67、橋野町)は振興社の人から情報を聞き、今年4月に初めて現地を確認。「自分も最初に見た時は感激した。力強さがあり、元気をもらえる木」と地元の宝を誇る。森林資源が豊富な同地域では古くから木炭生産が盛んで、世界遺産になっている「橋野鉄鉱山」でも製鉄の燃料に木炭が使われた。「この辺も木を切り出す人が入っていたと思われるが、地元の人たちは土地の守り神(御神木)としてこのシナノキだけは残したのではないか。先人の思いが詰まっているのでは…」と小笠原監事。
 
写真左:小笠原監事が4月に訪れた時のシナノキ。まだ冬枯れの景色(小笠原監事提供)わずか2カ月で写真右の姿に…

写真左:小笠原監事が4月に訪れた時のシナノキ。まだ冬枯れの景色(小笠原監事提供)わずか2カ月で写真右の姿に…

 
木の全体像を一枚の写真に収めるのもなかなか難しい!?

木の全体像を一枚の写真に収めるのもなかなか難しい!?

 
 和山高原はかつて肉牛の放牧が盛んで、昭和の時代には高原を活用した大規模イベントの開催、市内の学校や町内会の遠足地としての利用などがあり、多くの人が訪れていた。時代の変遷とともに放牧事業は縮小化。人口減も相まってレジャー客も激減した。同振興社は近年、新たな土地利用策の一環で、市指定文化財のシナノキ周辺にサクラやレンゲツツジの植樹を進め、市民や観光客の憩いの場創出に努めている。
 
 振興社の菊池会長(72)は今回注目された“新”シナノキについて、「和山のシンボルが増えた。ぜひ多くの人に知ってほしい」と文化財指定に期待。「現場までの林道を整備すればハイキングコースにもいい」と活用策に考えを巡らす。和山の自然が育んだ2大巨木「シナノキ」、植樹したサクラやツツジ…。「7年後には発電用の新しい風車も完成予定と聞いている。新たな景観を生かし、皆さんに訪れてもらえる和山にしていきたい」と今後を見据える。
 
和山の“新”シナノキを視察した参加者は貴重な光景を目に焼き付けた

和山の“新”シナノキを視察した参加者は貴重な光景を目に焼き付けた

 
シナノキ周辺に広がる景色も絶景。雪の残る早池峰山も見える

シナノキ周辺に広がる景色も絶景。雪の残る早池峰山も見える

 
 市指定文化財(天然記念物)の巨木は現在8件。栗橋地区では「和山のシナノキ」のほか、▽古里の御神楽スギ(1969年指定、橋野町)▽明神かつら(1973年同、栗林町)▽上栗林のサクラ(2007年同、栗林町)が指定されている。

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「いいな」を撮り続け50余年 釜石の鈴木哲さん「これが最後かな…」 “総決算”の写真展

鈴木哲さんの多彩な写真表現を釜石市民らが楽しんだ

鈴木哲さんの多彩な写真表現を釜石市民らが楽しんだ

 
 釜石市只越町のアマチュアカメラマン、鈴木哲(さとし)さん(75)の写真展が14日から3日間、同市大町の市民ホールTETTOで開かれた。東日本大震災以降に撮りためた作品約100点を紹介。写真仲間や友人らが足を運び、身近なモチーフを多様な視点で切り取った写真にじっくりと見入っていた。
 
 個展は2020年以来、4年ぶりの開催。今回は釜石港、三陸海岸の生活、祭り、花、動物、旅の思い出など多様なモチーフの作品を並べた。昨年6月に惜しまれながら定期運行を終えた「SL銀河」の雄姿を残す作品も多数。撮影場所や季節、アングルを複合的に捉えた。作品のほとんどはA4サイズ。大きさをそろえることで統一感を持たせた。
 
鈴木さんの作品がずらりと並んだ釜石市民ホールギャラリー

鈴木さんの作品がずらりと並んだ釜石市民ホールギャラリー

 
旅のスナップや空模様などを題材にした作品に見入る来場者

旅のスナップや空模様などを題材にした作品に見入る来場者

 
JR釜石線を走る「SL銀河」は心引かれるモチーフだった

JR釜石線を走る「SL銀河」は心引かれるモチーフだった

 
 鈴木さんが本格的にカメラを手にしたのは20歳代。市内の印刷会社で働く中、社内に多かった写真愛好者の影響を受けた。同じ頃、職場近くにあったデパートで催された撮影会の写真コンテストに参加、出品したところ、思いかげず入選。「よし!次はもっと上位の賞を」と、撮る楽しさにハマった。
 
 ボーリングに野球、登山、スキーなどもともと趣味が多く、体を動かすことも好きだったが、50年以上たった今でも残る趣味はカメラ。その楽しみが「終わりかな」と思う時期があった。2011年の震災。津波で鵜住居町の自宅を失い、カメラも全て流された。先が見通せない中、「気分転換に」との誘いに乗って親族がいる愛知県名古屋市近隣を周遊。「出かけるなら、カメラが必要だ」と、すぐに新たな“相棒”を迎えた。
 
写真展を開いた鈴木さん。カメラを楽しむ生活は50年を超える

写真展を開いた鈴木さん。カメラを楽しむ生活は50年を超える

 
津波の猛威と、負けない人々の姿を捉えた写真もあった

津波の猛威と、負けない人々の姿を捉えた写真もあった

 
 津波の痕跡を残す震災後のまちを写した数点も並べた。避難所、仮設住宅での生活を経て、復興住宅で暮らす今、日課のようにレンズを向けるのは月。部屋のベランダから目に入る夜空、月明かりがつくり出す高層の建物や構造物の影など、身近な風景をモチーフにする。ふと見上げた空に浮かぶ雲の造形を切り取った作品も。「目に焼き付けるより、記録に残したい」とシャッターボタンを押した。
 
鈴木さんは展示会場でもカシャ。「いいね」と心動いた瞬間

鈴木さんは展示会場でもカシャ。「いいね」と心動いた瞬間

 
 展示会場でも“愛機”を手にファインダーをのぞいていた鈴木さん。「撮りたいと思ったらすぐ!」と瞬間を逃さない。長いキャリアの中で、「そうできるようになった」と頬を緩める。「カメラを向けた時の被写体は無口で何も言ってこないが、シャッターを切ると声が聞こえてくる」と独自の見解。「もっときれいに撮れるよ」「こっちから見て」と話しかけてくるとか。そんな対話ができるのが写真の魅力だという。
 
 「さとちゃんらしい、優しい写真だね」。親しい間柄の来場者から聞こえてきた声に、鈴木さんは照れ笑い。「見たり見られたりすることでレベルアップになる。自分だったら、こう撮る…と考えたり、自分にないものを求める」。カメラを楽しむ仲間とは写真談義を交わした。
 
写真を通じてたくさんの笑顔と会話が生まれた展示会場

写真を通じてたくさんの笑顔と会話が生まれた展示会場

 
「総決算」の個展で来場者にプレゼントされた作品たち

「総決算」の個展で来場者にプレゼントされた作品たち

 
 意欲的な鈴木さんだが、個展は「最後になるだろう」とのこと。3回目の今回を「総決算」とし、会場に並べた作品のうち、過去の展示で公開した作品40点ほどを最終日に希望した来場者にプレゼントした。
 
 保有するカメラは4台。独自の“撮影日和”にカメラを肩に歩いたり、自転車や路線バス、鉄道に乗って「いいな」と思うものを探す生活スタイルは変わらない。写真好きの友人との外出も継続。市内のグループ展での作品公開を続ける。

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広報かまいし2024年6月15日号(No.1834)

広報かまいし2024年6月15日号(No.1834)
 

広報かまいし2024年6月15日号(No.1834)

広報かまいし2024年6月15日号(No.1834)

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【P1】
表紙

【P2-7】
子育てを頑張るパパママを全力応援!

【P8-9】
地域活性化起業人の池井戸葵さんの活動を紹介します 他

【P10-11】
土砂災害に備えましょう

【P12-13】
まちの話題

【P14-17】
保健案内板
まちのお知らせ

【P18】
市民百景

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2024061100019/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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日本製鉄釜石SW リーグワン3季目総括「課題はディフェンス」 6季内の1部昇格目標も示す 

日本製鉄釜石シーウェイブス 2023-24シーズン総括記者会見=市球技場クラブハウス

日本製鉄釜石シーウェイブス 2023-24シーズン総括記者会見=市球技場クラブハウス

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は7日、2023-24シーズンの総括会見を行った。6チーム中6位(1勝11敗)、3部との入れ替え戦(2勝0敗)で2部残留を決めたリーグワン3季目。坂下功正総監督は失点の多さを敗因に挙げ、来季に向け「ディフェンス(防御)の強化」を最重要課題とした。会見では、来季から6季以内の1部昇格を目指すチーム目標も示された。
 
 桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(GM)、坂下総監督、須田康夫ヘッドコーチ(HC)が会見。試合内容、集客など事業面についてデータを示しながら説明した。SWのレギュラーシーズン10試合の得点は210、失点は457(得失点差-247)で勝ち点7。プレー成績ではチームトライ数4位、オフロードパス回数2位、ボールキャリー数2位、ゲインメーター総距離3位(いずれも6チーム中)。攻撃面では成長が見られたものの、目標としていた“3位以上”には届かなかった。
 
3月10日の試合で決勝点となるトライを決めたWTBヘンリージェイミー選手(右)。2部の最多トライゲッターを受賞した

3月10日の試合で決勝点となるトライを決めたWTBヘンリージェイミー選手(右)。2部の最多トライゲッターを受賞した

 
 坂下総監督は「アタック(攻撃)面は向上しているが、失点数が非常に多い。この得失点差が結果としてチームが勝てないことにつながっている」と分析。来季の課題として「ディフェンス面の強化」を最大のポイントに挙げ、「しっかり克服し、強い組織力を持ったチームにしていかねばならない」とした。
 
 「望む結果を得られず、責任を感じている」と須田HC。タックルの成功率は上がっているものの、組織としてのディフェンス力が足りなかったことを反省点に挙げた。「重要な局面でのエラーでチームが勢いを失ってしまった部分がある」とも。ハンドリングエラーからディフェンスに転じてしまう局面もあり、「もう一度精査し、改善を図りたい」と述べた。
 
リーグワン3季目を振り返る(写真上段左から)桜庭吉彦GM、坂下功正総監督、須田康夫HC

リーグワン3季目を振り返る(写真上段左から)桜庭吉彦GM、坂下功正総監督、須田康夫HC

 
 23-24シーズンのホストゲーム(公式戦)5試合の平均観客数は1642人(前季比147%)。3月10日に釜石鵜住居復興スタジアムで行われた東日本大震災復興祈念試合(対九州電力キューデンヴォルテクス戦)は3947人が来場した。桜庭GMは集客増加の要因として「昨年から始めた釜石・大槌地区の小中学生向けドリームパスポートの定着、スポンサーや地域との連携が背景にある」とし、「恒常的に増やしていくのが今後の課題。『うのスタ6千人満員』を達成できるよう施策を重ねたい」と話した。
 
3947人が来場した3月10日の東日本大震災復興祈念試合。ホーム戦初勝利に沸く観客

3947人が来場した3月10日の東日本大震災復興祈念試合。ホーム戦初勝利に沸く観客

 
 会見では1部昇格までの段階的期間目標も示された。①2024-25、25-26シーズン=2部3位以内、②26-27、27-28シーズン=2部首位、1部入れ替え戦勝利・昇格、③28-29、29-30シーズン=1部参入―。坂下総監督は「組織の経営状況、予算を含めた議論の中で設定した目標」とし、達成に向け努力していく考えを示した。
 
 リーグワン2部は来季、3チームが新たに参入し、8チームで戦う。今季以上に「熾烈(しれつ)な戦い」が想定される。
 
▽リーグワン2部2024-25シーズン所属チーム
花園近鉄ライナーズ(23-24シーズン1部12位)
豊田自動織機シャトルズ愛知(同2部2位)
NECグリーンロケッツ東葛(同2部3位)
レッドハリケーンズ大阪(同2部4位)
九州電力キューデンヴォルテクス(同2部5位)
日本製鉄釜石シーウェイブス(同2部6位)
日野レッドドルフィンズ(同3部1位)
清水建設江東ブルーシャークス(同3部2位)

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空高く“水のカーテン” 守る!心構え示す一斉放水 釜石市消防団演習 任務遂行へビシッと

空に向けた一斉放水で防火への心構えを示す釜石市消防団員

空に向けた一斉放水で防火への心構えを示す釜石市消防団員

 
 釜石市消防団(坂本晃団長、全8分団36部、団員524人)の2024年度消防演習は9日、鈴子町の釜石消防庁舎駐車場などで行われた。団員443人、ポンプ車など38台が出動。ビシッと姿勢を正して観閲を受けたり、空に向けた一斉の放水訓練などを繰り広げ、災害や火災から「住民の安全安心を守る」と心構えを示した。
 
 開会行事で、統監の小野共市長が訓示。全国各地で頻発する地震や近隣自治体で発生した山林火災などに触れながら、「いざという時に頼れるのは消防団。地域に密着した防災活動の中核として職務に尽力してほしい」と求めた。統監らによる閲覧を受けた団員たち。姿勢を正し、任務遂行へ士気を高めた。
 
統監の小野共市長の訓示(左下写真)に聞き入る団員ら

統監の小野共市長の訓示(左下写真)に聞き入る団員ら

 
消防団を背負う団員たち。敬礼し、職務遂行へ気を引き締める

消防団を背負う団員たち。敬礼し、職務遂行へ気を引き締める

 
 災害現場や火災予防で優秀な活動をした団員や部をたたえる市長表彰として、17人に功績章、5つの部に竿頭綬(かんとうじゅ)を授与。在職3年以上で職務精励、消防技能に優れた5人に市消防団長表彰の精勤章を贈った。
 
 新規入団者4人が辞令を受け、代表して第8分団2部(唐丹町本郷)所属の伊藤康生さん(22)が「良心に従って誠実に消防の義務を遂行する」と宣誓した。
 
表彰では優れた活動を続ける部や団員をたたえた

表彰では優れた活動を続ける部や団員をたたえた

 
坂本晃団長の前で宣誓を行う新入団の伊藤康生さん

坂本晃団長の前で宣誓を行う新入団の伊藤康生さん

 
 千鳥町の甲子川河川敷にポンプ車を並べ、豪快な放水訓練を実施。川からくみ上げた水を天高く放ってつくった“水のカーテン”に、見守る市民から大きな拍手が送られた。近くに住む大澤七奈さん(9)は「生で見るのは初めて。水の勢いがすごかった」と目を大きくし、父賢一さん(43)は「このような放水が行われることがないようにしなければいけないが、身近にたくましい人たちがいるのを感じてもらえただろう」とうなずいた。
 
川に向かって一斉放水。訓練で身に付けた技能を発揮した

川に向かって一斉放水。訓練で身に付けた技能を発揮した

 
 岩手県防災ヘリコプターによる救助救出訓練もあった。風水害や大雨による河川氾濫、津波の浸水などが発生し、ビル(建物)の屋上で孤立している要救助者がいるとの想定。消防庁舎訓練棟周辺の上空に到着した防災ヘリから航空隊員がロープで降下し、要救助者役の釜石消防署員を抱えるなどしてヘリに引き上げた。団員や市民らは離れた場所から救助の様子を見つめた。
 
岩手県防災ヘリとの連携を確認する救助救出訓練

岩手県防災ヘリとの連携を確認する救助救出訓練

 
放水訓練や消防車両を見ようと釜石消防署周辺に市民が集った

放水訓練や消防車両を見ようと釜石消防署周辺に市民が集った

 
 釜石市内では昨年、10件の火災があり、1人が死亡、3人が負傷した。今年はこれまでに5件の火災が発生。前年の5月末までと比べると1件少ないだけで、警戒が必要だ。坂本団長は「頼られる団であるよう団員一丸となって訓練に励み、組織の充実、強化を図っていく」と気を引き締めた。

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母校の後輩にエール! 釜石高同窓会宮城支部 空手防具を寄贈 16年連続のインターハイ出場に力

支援の防具を空手道部の男女部長に手渡す釜石高同窓会宮城支部の大久保賢蔵支部長(左から2人目)と佐々木達也事務局長(左)

支援の防具を空手道部の男女部長に手渡す釜石高同窓会宮城支部の大久保賢蔵支部長(左から2人目)と佐々木達也事務局長(左)

 
 釜石高同窓会宮城支部(大久保賢蔵支部長、会員約300人)は4日、母校の空手道部(男10人、女12人)に組手試合で使う防具を寄贈した。2018年に開始した部活支援の一環。同部は1、2の両日に行われた県高総体団体組手で男女ともに優勝。16年連続のインターハイ出場を決めている。先輩方の応援の気持ちを受け取り、全国の舞台での活躍を誓う。
 
 贈呈式は釜石高(青木裕信校長、全日制387人、定時制16人)の校長室で行われた。同支部の大久保支部長(74、1968年卒)、佐々木達也事務局長(57、1985年卒)が同校を訪れ、空手道部男子の倉澤威琉部長(3年)、同女子の石村海鈴部長(同)に防具を手渡した。寄贈したのは足の甲と脛(すね)に装着するもので、サイズ違いの計12セット(10万円相当)。
 
 倉澤部長は「今まで使っていたのはつま先がないタイプ。新しい防具でけがも少なくなると思う」と喜び、「先輩方の応援は自分たちの力になる。常に応援されるチームでいられるよう、伝統ある部活をつなげていきたい」と意気込んだ。石村部長は「自分たちの部に支援をいただき、本当にうれしい。これを使って早く試合がしたい」と胸を躍らせ、「インターハイに向け、全員で練習を頑張る」と誓った。
 
校長室で行われた贈呈式。県大会で何度も手にしてきた優勝旗のペナントには釜石高の名前が…

校長室で行われた贈呈式。県大会で何度も手にしてきた優勝旗のペナントには釜石高の名前が…

 
防具寄贈に感謝する青木裕信校長(左)、空手道部男子の倉澤威琉部長(右から2人目)、同女子の石村海鈴部長(右)

防具寄贈に感謝する青木裕信校長(左)、空手道部男子の倉澤威琉部長(右から2人目)、同女子の石村海鈴部長(右)

 
 同支部は同校伝統の“文武両道”を貫く後輩たちを応援したいと、2018年から部活支援を開始。年1回の支部総会で集めた会員の募金(毎年5万円)を母校に寄付してきた。新型コロナウイルス禍でしばらく総会をできずにいたが、今年1月、5年ぶりに開催。支援活動の復活について協議したところ、「今、必要な物を形で」との声が上がり、部から要望を聞いての現物寄贈に切り替えた。その第一弾が長年、全国大会連続出場を果たしている空手道部。
 
大久保支部長、佐々木事務局長は空手道部の部員らとも対面

大久保支部長、佐々木事務局長は空手道部の部員らとも対面

 
釜石高の先輩方からの支援を喜ぶ部員ら

釜石高の先輩方からの支援を喜ぶ部員ら

 
 贈呈式後、大久保支部長らは県大会を終えたばかりの部員らと顔を合わせ、インターハイ出場決定を祝福。「全国大会出場を何年も成し遂げているのは実に素晴らしい。ぜひ、この調子で頑張って」とエールを送った。仙台市を中心に宮城県には多くの釜高同窓生がいて、さまざまな分野で活躍中。「集まると、母校のために何かしたいという話になる。少しでもお役に立てて良かった」と大久保支部長。
 
 佐々木事務局長は「野球の甲子園出場時には各方面から支援が集まるが、他にも活躍している部活はある。今後も各部が必要とする支援を続け、頑張っている生徒たちをできる限り後押ししていきたい」と意を強くした。
 
 同校空手道部は今年の県高総体で団体組手の男女優勝のほか、個人形、個人組手で男女合わせて5人が上位入賞を果たし、インターハイ出場を決めた。インターハイ空手道競技は8月1~4日まで長崎県佐世保市で行われる。
 
部は贈られた防具を手にする姿を写真に収め、宮城支部に送った(写真提供:空手道部)

部は贈られた防具を手にする姿を写真に収め、宮城支部に送った(写真提供:空手道部)

 
部員らは支援に力をもらい、8月のインターハイに向け、さらなるレベルアップを目指す 

部員らは支援に力をもらい、8月のインターハイに向け、さらなるレベルアップを目指す 

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自然を感じ歩く、味わう 開通5周年!みちのく潮風トレイル 釜石で記念イベント

潮風を感じながら根浜海岸沿いを歩く参加者たち

潮風を感じながら根浜海岸沿いを歩く参加者たち

 
 岩手県沿岸部を含む長距離自然歩道「みちのく潮風トレイル」の全線開通5周年を記念した「鵜住居トレイル&畜養ウニ剝(む)き体験ウォーク」が1日、釜石市鵜住居町で行われた。地元の観光地域づくり会社かまいしDMCと市が共同で企画。県内外から約20人が参加し、海沿いの景色や旬の味を楽しみながら歩いた。
 
 潮風トレイルは、青森県八戸市から福島県相馬市までの太平洋沿岸をつなぐ全長1025キロの自然歩道。東日本大震災を経て、被災地に人を呼び込む復興支援策として検討が進み、2019年6月9日に全線が開通した。
 
 釜石区間は国指定天然記念物の三貫島や太平洋を望む海岸線、江戸時代から三陸を結ぶ生活の道として多くの旅人が往来した浜街道、震災後の復興の歩みを感じる市街地をめぐる約68キロのコース。市関係者らによると、「景色がよく自然を体感できるが峠道が多く、どちらかと言えば玄人向けかな」ということだ。
 
みちのく潮風トレイルは海景や自然を体感できるのが魅力

みちのく潮風トレイルは海景や自然を体感できるのが魅力

 
 そこで、初心者や歩き慣れていない人にトレイルの楽しみ方を知ってもらおうと、アップダウンの少ない特別コースを用意。鵜住居地区の海岸沿いの景観を楽しみつつ、復興まちづくり、震災の教訓にも触れることができる往復約6キロのルートで、同社の菊池啓さん(56)がガイドを務めた。
 
スタート前に三陸鉄道鵜住居駅前の広場で集合写真をパチリ

スタート前に三陸鉄道鵜住居駅前の広場で集合写真をパチリ

 
 三陸鉄道鵜住居駅をスタートした参加者は、片岸海岸の防潮堤や鵜住居川水門の上を通って根浜海岸へ。地元で「夫婦岩(めおといわ)」と呼ばれる岩石、震災の津波や地盤沈下で失われたものの人工的に再生された砂浜を眺めながら歩いた。
 
釜石鵜住居復興スタジアムを背に鵜住居川沿いを進む

釜石鵜住居復興スタジアムを背に鵜住居川沿いを進む

 
鵜住居川水門を見学して防災・減災に理解を深めながら歩く

鵜住居川水門を見学して防災・減災に理解を深めながら歩く

 
古い時代の地層⁉…参加者は「夫婦岩」に興味津々

古い時代の地層⁉…参加者は「夫婦岩」に興味津々

 
 観光施設「根浜シーサイド」のレストハウスではウニ剝きに挑戦。唐丹湾で人工的に育てられた畜養のキタムラサキウニが提供され、参加者はキッチンバサミを使って殻を割り、中に残る海藻などをピンセットで丁寧に取り除いた。スプーンで身をすくってパクリ。「おいしい」と顔をほころばせた。
 
レストハウスで畜養ウニの殻むきを体験し満足げな参加者

レストハウスで畜養ウニの殻むきを体験し満足げな参加者

 
 海の恵みを堪能してウオーキングは後半戦に。震災で被災した鵜住居小と釜石東中の跡地に建てられた釜石鵜住居復興スタジアムへ移動し、施設の特徴など説明を聞いた。そして、同小中の児童生徒が津波から避難した経路をたどって追体験。新しい街並みを進んで、駅に戻った。
 
 同市浜町の藤元裕一さん(71)、福子さん(71)夫妻は普段からウオーキングを楽しんでいて、潮風トレイルに興味があった。「車で通る時には気づかなかったことを発見したり、感動がたくさん。歩くことで釜石の良いところを知った。鳥のさえずりを聞いたり風を感じたり、自然を体験するぜいたくな時間だった」と笑顔を重ねた。ウニ剝きでは漁業者の細やかな仕事ぶりを実感。おいしさを届けてくれていることに感謝した。
 
松林が美しい根浜海岸を通り抜ける足取りは軽やか

松林が美しい根浜海岸を通り抜ける足取りは軽やか

 
潮風トレイルの魅力を体感し笑顔を見せる参加者たち

潮風トレイルの魅力を体感し笑顔を見せる参加者たち

 
 5周年を迎えた潮風トレイルは、英紙タイムズが掲載した記事「日本で訪れるべき場所14選」で取り上げられるなど、海外からも注目を集める。同社や市では誘客に期待し、コース整備に取り組む考え。今回の企画のような魅力発信につなげるイベントを秋頃にも催したいとしている。

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クマ被害防止へ対策を! 釜石市内でも目撃情報多数 自宅周辺、入山時、寄せ付けない工夫を

釜石市内で目撃されたツキノワグマ(資料写真提供:三浦勉さん)

釜石市内で目撃されたツキノワグマ(資料写真提供:三浦勉さん)

 
 釜石市内でも春以降、ツキノワグマの目撃情報が相次いでいる。目撃件数が大幅に増加した昨年同時期よりは少ないものの、市内各地で目撃があり、市は注意を呼び掛ける。例年5~6月は目撃件数が増加する時期。地形上、民家の背後に山が接近する同市では、登山や山菜採りなど意図して入山する以外にも、家屋周辺にクマを寄せ付けるものを放置しないなどの日常生活での対策も求められる。
 
 市水産農林課によると、今年に入り同市に寄せられたクマの目撃件数は74件(6月9日現在)。春を迎えてからは4月が6件(昨年同月16件)、5月が26件(同47件)で、昨年同時期に比べるとほぼ半減しているが、餌となるクワの実がなる6~7月は例年、目撃情報が多くなることから注意が必要。
 
クマは餌となる木の実などを求めて樹木に登る。頭上にも注意(資料写真提供:三浦勉さん)

クマは餌となる木の実などを求めて樹木に登る。頭上にも注意(資料写真提供:三浦勉さん)

 
クマの目撃情報は市内各地である。防災行政無線や市のLINEなどで情報収集を

クマの目撃情報は市内各地である。防災行政無線や市のLINEなどで情報収集を

 
 同市の2023年度のクマ目撃件数は、前年度の2倍以上となる321件。人身被害は10、11月に計2件発生し、高齢女性2人が負傷した。自宅近辺のカキの木が誘引物になったとみられている。5月には只越町の市役所付近で、クマ1頭がアパート駐車場に居座り、約3時間後に捕獲されるという事案もあった。
 
 釜石警察署によると、市内では今年、クマによる人身被害は今のところ発生していないが、6月に入り、米ぬかを保管していた倉庫が荒らされるクマによるものとみられる被害が発生している。
 
 クマの目撃は例年、夏場は減少するが、カキやクルミ、クリなどの実がなる秋は再び増加傾向にある。山に入る際はクマよけの鈴や笛、ラジオなど音の出るもの、クマ撃退スプレーを携帯し、複数人で行動。見通しの悪い場所、周りの音が消される沢沿いでは特に意識して音を出し、人間の存在をクマに知らせることが大切だ。クマの目撃情報がある場所は避け、ふんや爪痕を見つけたら引き返す判断も。
 
クマが引っかいたとみられる爪痕が残る樹木

クマが引っかいたとみられる爪痕が残る樹木

 
クマの目撃情報がある場所では特に注意が必要

クマの目撃情報がある場所では特に注意が必要

 
 被害に遭わないためには自宅周辺の対策も必要。▽納屋などに果物、穀物、アルコール類など、においが強いものを保管しない▽生ごみは収集日の朝に出す▽庭や家庭菜園に果実などを放置しない(クマが寄り付く前に収穫など)▽墓の供え物は持ち帰る―。人間の居住区にクマを寄せ付けないことが重要だ。
 
 市では目撃情報が寄せられるたびに地元猟友会などと現場に出向き、状況把握や原因分析、爆竹を鳴らすなどの追い払いを行っている。市水産農林課の清藤剛林業振興係長は「民家近くへの出没の多くがカキ目当て。誘引物をなくすと来なくなるケースがほとんど。木の所有者には適正な管理をお願いしたい」と呼び掛ける。入山時については「(クマが)いる所に入っていくということを意識してほしい。目撃が多い朝、夕は避け、出没情報がある場所にはできるだけ行かないことも大事」と警戒を促す。
 
伐採した木など朽ちた木片に集まるアリもクマの誘引物となるので注意(資料写真提供:三浦勉さん)

伐採した木など朽ちた木片に集まるアリもクマの誘引物となるので注意(資料写真提供:三浦勉さん)

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祝・かまいしこども園開設10年 人気絵本作家サトシンさんが記念の読み聞かせライブ

絵本作家サトシンさんのライブを楽しんだかまいしこども園児と保護者

絵本作家サトシンさんのライブを楽しんだかまいしこども園児と保護者

 
 釜石市天神町のかまいしこども園(藤原けいと園長、園児80人)は本年度、開設から10年目を迎える。5月29日、記念イベントとして、人気絵本作家のサトシン(本名:佐藤伸)さん(61)を招いての読み聞かせライブが園内で行われた。作品を歌で伝えたり、物語を作る面白さを園児に体験させたりと、絵本のさまざまな楽しみ方を提案。この日は保育参観日で、園児と保護者がかけがえのない時間を過ごした。
 
 サトシンさんは新潟市出身、在住。広告制作プロダクション勤務、専業主夫、フリーのコピーライターを経て40代前半から絵本作家に。これまでに50作品以上を手掛ける。2010年に出版した「うんこ!」は数々の賞を受賞。大きな反響を呼んだ。テレビやラジオ番組、全国を回ってのライブなどで、絵本の楽しさや大切さを伝えている。
 
 今回は釜石では初のライブ。自身の代表作をさまざまな手法で聞かせた。あいさつの大事さを表現した作品「こんにちは、ばいばい」は同園の教諭と掛け合い。登場する動物の鳴き声で楽しませた。いろいろな曲調で物語を歌で伝える活動もしているサトシンさんは、「とこやにいったライオン」などを歌って聞かせた。虫好きが高じて作った「はやくおおきくなりたいな」、子どもたちへのメッセージが込められた「おとなからきみへ」も披露した。
 
トレードマークの王冠帽子とマント姿で、園の先生と絵本を読み聞かせるサトシンさん(写真右)

トレードマークの王冠帽子とマント姿で、園の先生と絵本を読み聞かせるサトシンさん(写真右)
 
日本昔ばなしや自身の作品を歌で披露。「ソング絵本」としてCDも発売している

日本昔ばなしや自身の作品を歌で披露。「ソング絵本」としてCDも発売している
 
スクリーンにページを写しながら読み聞かせ(写真上)。物語の世界に引き込まれる親子(同下)

スクリーンにページを写しながら読み聞かせ(写真上)。物語の世界に引き込まれる親子(同下)

 
 サトシンさんを一躍有名にした「うんこ!」は楽しい絵本の代表格。近寄ってきたネズミやヘビ、ウサギに「くっさーい」と敬遠されながらも、仲間を探す旅に出るうんこが主人公。最後は農家さんに出会い、肥やしになっておいしい野菜を育てるのに役立つ。悔しがる時に発する「くっそー」、考える時の「うん、こーしよう」など駄じゃれを交えたセリフもあり、会場の親子は一緒に声を出して楽しんだ。
 
発売から10年で50万部売れた人気作品「うんこ!」。掛け声で楽しめるのはライブならでは

 発売から10年で50万部売れた人気作品「うんこ!」。掛け声で楽しめるのはライブならでは

 
サトシンさんのエネルギッシュなライブに拍手と笑顔

サトシンさんのエネルギッシュなライブに拍手と笑顔

 
 サトシンさんが考案した「おてて絵本」という遊びも紹介。手のひらを絵本に見立てて即興で物語をつくるもので、園児も体験した。この日は好きな動物から話を展開。サトシンさんが園児に質問しながら会話するうちに、自然と1つの“お話”が出来上がった。「子どもは大人に話を聞いてもらいたい生き物。親がその気持ちを受け取り、やり取りする中でコミュニケーションが生まれ、子どもは満足する。作っている話の中で日常では見えなかった子どもの気持ちが見えてくることもある」とサトシンさん。絵本を読んだり物語を考えたりすることで「想像力が育まれる」とも。
 
「おてて絵本」で“物語作り”体験。希望した園児と藤原園長が挑戦した

「おてて絵本」で“物語作り”体験。希望した園児と藤原園長が挑戦した

 

 
 言葉遊びの面白さ、何げないやり取りの中に込められた自分らしく生きるためのヒント…。子どもだけでなく大人にも響く作品を存分に楽しんだ親子は、たくさんの笑顔を広げた。サトシンさんの作品に初めて触れた久保梓ちゃん(4)は「楽しかった!絵本大好き」とにっこり。母静樺さん(27)は「子ども向けの絵本だけど、深いメッセージが込められている。サトシンさんご自身の言葉で聞けて良かった」と大満足。夜、寝る前の読み聞かせを習慣にしていて、「絵本は子どもとの貴重なコミュニケーション。忙しい中でもその時間は大事にしている。今日聞いたことも今後に生かしたい」と話した。
 
 ライブ後は本の販売やサイン会、記念撮影も行われた。サトシンさんは「自分の人生を自分のカラーで切り開いていって」などと声を掛けながら、親子と親しく会話。思い出に残るひとときを提供した。この日は、同園が開設する子育て支援センターバンビルームの記念イベントとしても同ライブが行われ、大町の市民ホールTETTOで市内の親子連れや大槌町のこども園の園児らが楽しんだ。
 
会場では絵本の販売も。サトシンさんからサインももらった

会場では絵本の販売も。サトシンさんからサインももらった

 
一緒に写真も撮って思い出づくり。かけがえのない時間となった

一緒に写真も撮って思い出づくり。かけがえのない時間となった

 
 両ライブでサトシンさんは「絵本を読む時間はほんの3~4分。忙しい中でもできる。子どもにとって一番うれしいのは、大好きなお父さん、お母さんが寄り添って言葉や愛情をかけてくれること。家庭でもぜひ、親子で絵本を楽しんでほしい」と呼び掛けた。
 
 かまいしこども園は2015年に開園した。前身の釜石保育園(大渡町)が11年の東日本大震災津波で被災。甲子町の旧釜石南幼稚園舎を借りて保育を続けた後、幼保連携型認定こども園に衣替えし、現在地で新たな歴史を刻む。藤原園長は「多くの人の助けがあってここまでこられた。応援してくれる方、頑張ってやってきてくれた職員がいるからこその10年。本当に感謝」と目を潤ませる。7月には10年の歩みを振り返るイベントも開催予定。19日は同園の施設見学、20日は市民ホールTETTOで夏まつりを企画する。

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9カ月間事故死ゼロ 岩手県警本部、釜石市に賞賛状 記録伸長へ「気を引き締め」

 「交通事故死ゼロ」継続へ気持ちを引き締める関係者

「交通事故死ゼロ」継続へ気持ちを引き締める関係者

 
 釜石市は、交通死亡事故ゼロ9カ月を5月24日に達成し、31日に岩手県警察本部(増田武志本部長)から賞賛状が贈られた。同市役所で伝達式が行われ、小野共市長や同席した交通安全関係者らが事故防止に向けてさらに意識を高めた。
 
 釜石署の三浦正人署長、八重樫徹交通課長らが市役所を訪ねた。菊池重人釜石地区交通安全協会長、佐藤鉄太郎市交通指導隊長らが見守る中、三浦署長が小野市長に賞賛状を伝達。「官民一体の事故防止活動によって地域の安全な交通環境が確保された。この記録がさらに伸長されるのを期待する」と引き続きの協力を求めた。
 
三浦正人署長が小野共市長(左)に賞賛状を伝達した

三浦正人署長が小野共市長(左)に賞賛状を伝達した

 
 小野市長は「市民、警察、交通安全関係者の協力のおかげ」と強調。一方で、全国的には子どもたちを巻き込んだ事故、あおり運転、飲酒運転などさまざまな事故を誘発する行動が連日報道されているとし、「交通死亡事故抑止を9カ月で終わらせず、長く続くよう力を尽くしていきたい」と気を引き締めた。
 
 同署によると、市内では2023年8月24日に鵜住居町内の主要地方道で農業用運搬車を運転していた高齢の男性が車両の下敷きになり犠牲となる事故があって以来、死亡事故が発生していない。ただ近年はこのケースのように想定外、思いがけない事故が発生。防波堤からの転落など沿岸部特有の事故も目立つという。
 
 交通安全・事故抑止の広報啓発は人や車両の通行が多いところで展開されるが、菊池会長や佐藤隊長は想定外の事故発生を見据えた取り組みの必要性を指摘。高齢の独居者が増える市内の状況を踏まえた呼びかけ強化についても連携して実行したい考えを伝えた。
 
懇談では事故抑止への思いを語り合った

懇談では事故抑止への思いを語り合った

 
 今年4月に甲子町内の東北横断道で高齢者による死亡事故が発生しているが、高速道路上での事故はこの制度では含まないとのこと。ただ、利用も多いうえ、「油断した時に事故は起きる」ことから、同署では高速道路交通警察隊などとも協力して事故抑止を図る考えだ。
 
 県警による顕彰制度は基準日数(人口規模によって異なる)に達した市町村に贈られる。17年4月に改正され、抑止期間が1年から9カ月に変更。釜石市は、23年3月にも9カ月達成の賞賛状を受けている。