小野 航大(おの こうだい)選手・所属先:NSテックスエンジ釜石(株) プロフィール
2014年加入/1991.12.15生(26歳)/170㎝/80㎏/福島県いわき市出身/磐城高校→東海大学卒
●ラグビーを始めたきっかけ:8歳の時、父にすすめられて
●ポジションの遍歴:SO→WTB
●ニックネーム:オノ、オノちゃん
●趣味:読書・好きな食べ物:フルーツ
●釜石のオススメ:まきば(飲食店)
●出身地のオススメ:ハワイアンズ(スパリゾートハワイアンズ)
●試合前のルーティンワーク:同じ服で寝る
●ストロングポイント:ラン、コミュニケーション
●サポーター、ファンへメッセージ:2019年のラグビーW杯に向けて、ラグビーで釜石を盛り上げて行けるように頑張ります。応援よろしくお願いします。
フラストレーションが溜まったシーズン
ーーまずは、昨シーズンを振り返って、今の率直な気持ちを教えて下さい。
小野選手:
率直に言うと、シーズンを通してチームがまとまり切れなかった、というのが正直な所で、それが試合の結果に直接表れてしまったと感じます。コーチが変わり、練習方法や戦術が変わったことで、チーム間のコミュニケーションが上手く取れていなかったというのがあって、納得のいく形で1シーズンやり切れなかった所がありました。
ーー昨シーズン、プレーで心がけていた事、重点を置いていた部分はどんな所でしたか?
小野選手:
ウィングとして、やはり点を獲ることと、一番外側から全体を見るということを意識していました。ただ、戦術的な部分でチームとしてボールを上手く運べていないという事がダイレクトに影響するポジションなので、正直なところフラストレーションの溜まるシーズンでした。
ーーそうですよね。繋がったボールを小野選手が縦に突破し、サイドを駆け抜けてトライを決める・・・というシーンを昨シーズンはあまり観る事が出来ず気になっていました。
小野選手:
ボールを動かすという点では、インサイドで仕事をする事も心掛けてはいたんですが、外側にいるポジションとしては、やはり自分だけではどうにもならない部分がありました。いいシチュエーションで外でフリーになるように、余らせてもらうという感じなので。本当はそういう部分も自分でコントロールできるようでなくては・・・と考えながらやってはいたのですが。
空いたスペースにボールを運んでゲインを切る、というプレーが少なかったので、その辺りをもっと上手く出来れば良かったです。
また、対戦相手のレベルが上がっているので、簡単には外側でボールを貰えないという事もあったと思います。
ーーディフェンスの面はどうですか?
小野選手:
コンタクトの部分は練習でもかなりやっていて、試合でもそこで当たり負けするような感じは無かったです。そういう部分より、システムが崩れた所を突かれてゲインを切られてしまうケースが多かった。
あとは、ゲーム中の集中力ですね。「ここで獲られてはいけない」「ここで獲らなくちゃいけない」という、要所を押さえる時のスイッチの切替が上手くいっていなかったと感じています。
今年は、春からそういう所にフォーカスを当ててやっています。スイッチの切替は、練習の時に出来ていないと試合でも出来ないと思うので。
ルーキーイヤーから大活躍!リーダーからキャプテンへ
ーールーキーイヤーの2014年から大活躍の小野選手ですが、2017年シーズンまで公式戦全試合にスタメンで連続出場されていますね。毎年選手が入れ替り、ポジション争いも激しい中で本当にすごい事だと思うのですが、これについてご自分ではどう感じていますか?
小野選手:
連続出場がどうとかは、特に意識したことはないですね。常に「試合に出る」という事を一番に考えてやってきた結果だと思います。それと、試合に出られなくなるような大きなケガをしなかった事も大きいですね。
ーーこれまでのラグビー人生でも大きな怪我は無かったんですか?
小野選手:
いや、それが結構多くて。骨折も何度かしましたし、大学の時に膝のケガで手術もしました。でもまぁ、色々あってケガしなくなったと言う感じと、ケガに対する“慣れ”もありますね。
ーー慣れですか?
小野選手:
そうですね。経験していくうちに、「ここまでの状態だったらプレー出来る」と言う範囲が広がってくる感じでしょうか。
試合にずっと出場している選手は、大なり小なり何かしらのケガを抱えていると思いますが、ラグビーは15人いるので、お互いにカバーしあいながらプレー出来る部分も大きいです。
ーー加入5年目を迎え、若手がどんどん増える中で、今シーズン就任した桜庭監督にリーダー4人の中の1人(ほか、高田裕雅選手、中村良真選手、高橋聡太郎選手)に指名されました。これについては?
小野選手:
春シーズンの始めに、桜庭さんから「今年もリーダーをやって欲しい」というお話しを頂き、「やらせていただきます」と快諾しました。昨年の様に、BKリーダー、バイスキャプテンという立ち位置だという認識でした。
その後に「今年は当面4人のリーダー体制で行きます」という話があり、僕もまだこの時期にキャプテンを決めなくてもいいかな思っていたので、しばらくはこの4人でチームを回して行こうという感じでした。
何より、若手選手が自覚を持ってチームを引っ張る良い機会だなと思いました。これだけ若い選手が増えてきた中で、その世代が高いモチベーションでチームを盛り上げて行くことは、チームに好影響を与えると思うので。
ーーそして、先日正式にキャプテンに小野選手、そしてバイスキャプテンに高田裕雅選手が任命されましたね。
小野選手:
僕の中では、裕雅さんがキャプテンかなと考えていた部分もありました。今年加入してチームに新しい風を吹かせてくれていますし、チームにとってプラスだと思う事を最後まで曲げずにやり通す姿勢を見せてくれていて、既にチームにも受け入れられています。
ーー高田選手はどういう選手ですか?やはり“キャプテンシー”があふれているというか・・・。
小野選手:
そうですね、“キャプテンシー”に溢れている方ですね。チームを明るくし、良い方向に導いてくれる存在です。
“求められている事をやり続ける”“与えられた事をやり抜く”それを背中で見せてくれる選手です。まだ1ヶ月ですけど、皆の信頼は厚いです。
ーーという事は、今言ったことが、小野選手がキャプテンを務める上で自分に対しても求める事ですか?
小野選手:
キャプテンとして求められる事はチームをまとめるとか色々あると思うんですけど、正直あまり難しくは考えていなくて、今まで通りにまずは自分がやるべき事をやるという所かなと。それにプラスして、いつもより気配りをするという感じくらいですね。まぁ、ある程度覚悟はしていたので、何とかします!(笑)
ーー4月から本格的にチームが始動し、ここまで1ヶ月。チームの雰囲気、チームビルドについてはどうですか?
小野選手:
チームの雰囲気は、若手のリーダーが引っ張っている効果が出ています。氏家が自ら立候補して選手会長になるなど、若手が盛り上げてくれています。練習からいい雰囲気で出来ています。
戦術的な部分も昨年とは変わります・・・というか、メンバーが20人入れ替わればそこも変わらざるを得ないという所で、やりながら詰めて行く段階で、トレーニングを重ねるごとにだんだん良くなって来ているという印象です。
チームビルドという点では、チームの文化や核(コア)となる部分が薄まってきているかなぁという事を感じています。
東日本大震災の時の事を知っている選手、スタッフも少なくなる中で、ミーティングで話そうとしてもなかなか難しいです。なので、そういう部分を伝えてくれる、佐伯さんや益基也さん(井上選手)がチームに残ってくれた事がとても大きいです。釜石シーウェイブスは、そうしたバックグラウンドがあってのチームだという事を忘れずに、これからも大事にして行かなければならないと思うので。
春シーズンはこの試合からスタート
ーーそして、春シーズン恒例の“IBC杯”がやってきます。この試合の位置づけは?
小野選手:
そうですね、IBC杯に向けてという事よりは、どちらかと言うとIBC杯から春シーズンの試合が始まるという感じです。準備期間という点では難しい部分もありますが、「今年のチームのベースを知る」と言うか、「今の立ち位置を知る」という意味では、とても貴重な機会になっていると思います。大学生との対戦はいい刺激を貰えますし。
昨年のこの時期はケガ人が多くて、ほとんど若手しか出場出来なかったんですが、今年はそういう事にならないよう気を付けて臨みたいと思っています。
今年は相手が母校の東海大学ですし、勝っていいスタートを切りたいですね!
ーーそうですよね。母校との対戦については正直な所どうですか?
小野選手:
僕は5年目になりますけど、東海大学とは毎年試合しているかな? 加入した2014年にラグビッグドリームで対戦して、翌年2015年は東京遠征の時、あ、2016年はないかな?で、昨年がまたラグビッグドリームで戦って。
(小声で)イヤですけどね・・・。あんまり、やりたくないですけど・・・(笑)
ーーえ?やりたくないんですか?(笑)
小野選手:
今はもう選手が入れ替わって知らないチームになりましたけど、卒業してすぐは知った顔だらけでしたから(笑)。アタックディフェンスの練習?みたいな不思議な感じで、違和感の塊でしたね。最近は、「あー監督観ているなぁ」とか「コーチの声気になるなぁ」とかくらいですね(笑) まぁ、試合に入って集中してしまえば、あんまり関係ないですけど。
トップの位置に立つ意識を自分もチームも常に持つ
ーー今シーズンの目標、抱負を教えて下さい。
小野選手:
個人的には、昨年全然トライしていないので、トライを決めます!その為に自分に何が必要なのかベクトルをそこへ向けて成長して行きたいと思います。
チームとしては、上位4チーム以内を目標に掲げているので、その為の試合やトレーニングだという事を忘れずに、1年間ブレることなく継続して取り組んで行きます。
これからトップリーグのチームとの対戦も出て来ますが、その際に「相手は格上だから負けてもしょうがない」という気持ちではなく、「勝つ」と強い気持ちで臨みます。そうじゃないと、負け慣れて“負け癖”がついてしまう。それが少なからず、昨シーズン惜しい試合で勝つ事が出来ない“あと少し”の所に出ていたと思うので。チャレンジして本気で勝ちに行き、その結果が例えば5点差か20点差かわからないですけど負けたとしても、そこでチームが得られるものも違うと思うし。
「トップの位置に自分たちが行くんだ」という意識を常に持つ。その事を、自分にもチームにも求め続けたいと思います。
今年も厳しい試合が多くなると思いますが、観に来て下さった皆さまに喜んでもらえる試合をお見せし、応援して下さる方々に満足して頂ける結果が残せるよう、良いチームを作って行きます!
インタビューでご紹介した今年のIBC杯ラグビー招待試合は5月13日(日)にいわぎんスタジアム(盛岡南公園球技場)で開催されます。詳しくはこちらからどうぞ。
岩手県ラグビーフットボール協会
https://iwate-rugby.r-cms.jp/topics_detail1/id=259
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