「みちのく潮風トレイル」の釜石市コースの案内板をお披露目したセレモニー

釜石観光の宝、全国に発信「みちのく潮風トレイル」案内板寄贈〜日本旅行業協会、鉄の歴史館で除幕

「みちのく潮風トレイル」の釜石市コースの案内板をお披露目したセレモニー

「みちのく潮風トレイル」の釜石市コースの案内板をお披露目したセレモニー

 

 東京都千代田区の一般社団法人日本旅行業協会(JATA)=会長・田川博己ジェイティービー会長)=は10月29日、環境省が東北地方太平洋沿岸地域に設定する「みちのく潮風トレイル」(青森県八戸市~福島県相馬市、約700キロ)を活用した旅行商品の開発などを目指し、釜石市内のトレイルコースを視察した。JATAは市内のコースの案内板を市に寄贈。訪問先の大平町、鉄の歴史館で除幕式が行われた。

 

 釜石を訪れたのは、JATAに加盟する首都圏や仙台市の旅行会社の企画担当者ら62人。前日に視察した大船渡市から三陸鉄道で釜石入りし、唐丹町本郷の桜並木や星座石、津波石碑などを視察後、鉄の歴史館に到着した。

 

 セレモニーでJATAの戸川和良副会長(KNTーCTホールディングス社長)は「ご当地には、歴史や景観など注目すべき観光素材が多い。視察をし、全く新しい東北観光を作り出していかねばと決意を新たにしている。1人でも多くのお客さまをご案内できるよう力を合わせていきたい」とあいさつ。野田武則市長は「潮風トレイルは、釜石にも大きな宝があることを全国に発信できるチャンス。案内板を活用し、釜石に来られる方を迎えたい」と歓迎の気持ちを示した。

 

東日本大震災津波の陸地への到達を遅らせた湾口防波堤について説明を受けるJATAの会員ら=鉄の歴史館で

東日本大震災津波の陸地への到達を遅らせた湾口防波堤について説明を受けるJATAの会員ら=鉄の歴史館で

 

 JATA、釜石市、環境省の8人で案内板を除幕。野田市長はJATAに感謝状を贈った。寄贈された案内板は縦150センチ、横110センチ。釜石市区間の▽宝来館~両石バス停(約27・4キロ)▽釜石駅~唐丹駅(約13・5キロ)―の2コースが立ち寄りスポットの写真や標高、所要時間を示すグラフ、歩く際の装備やルールなどとともに紹介されている。案内板は当面、釜石駅周辺施設への設置を予定する。

 

 一行はセレモニー終了後、鉄の歴史館を見学。バスで両石町から鵜住居町の根浜海岸まで足を延ばし、ラグビーW杯の競技場建設予定地や津波浸水地域の復興状況などについて、同行した釜石観光ボランティアガイドから説明を受けた。

 

 JATAは東北復興支援事業として、2014年4月から震災発生10年後の21年3月までの7カ年計画で、みちのく潮風トレイルを活用した「JATAの道プロジェクト」を実施。毎年1回、トレイルコースが設定されている東北沿岸を訪れ、復興状況の視察や新しい旅行素材の発掘、自然環境整備などを行っている。14年は八戸市、階上町、15年は相馬市、新地町を訪問。3年目の今年は大船渡、釜石両市の訪問が実現した。各地で同様の案内板を寄贈しているという。

 

(復興釜石新聞 2016年11月5日発行 第535号より)

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環境省 みちのく潮風トレイル
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参加した810人が完走した第7回仙人峠マラソン、峠コースのスタート=10月30日午前10時

復興への峠を駆け上がれ、仙人マラソン810人完走〜北海道から四国までランナー集う、老若男女 紅葉路ひた走る

参加した810人が完走した第7回仙人峠マラソン、峠コースのスタート=10月30日午前10時

参加した810人が完走した第7回仙人峠マラソン、峠コースのスタート=10月30日午前10時

 

 「復興への峠を駆け上がれ」をキャッチフレーズに、第7回かまいし仙人峠マラソン大会(実行委主催)は10月30日、釜石市甲子町大橋の旧釜石鉱山事務所を発着点とする2コースで行われた。大会にはエントリーした917人のうち810人が参加。冬の到来間近を告げる寒風が吹き付ける中、国道283号仙人トンネルまでを往復する峠コース(17・2キロ)で511人(男性459人、女性52人)、甲子町大松地区で折り返す10キロコースでは299人(男性239人、女性60人)が色づいた紅葉をバックにひた走り、全員がゴールまで完走した。

 

 開会式では、最も遠方から参加した高知市の会社員、海地功さん(57)が「すばらしい紅葉を楽しみながら、無理をせず、諦めないで完走したい」と選手宣誓。午前10時に峠コース、10分後には10キロコースのランナーが一斉に仙人峠路に飛び出した。

 

「無理をせず諦めないで」と選手宣誓する海地さん

「無理をせず諦めないで」と選手宣誓する海地さん

 

 ここから坂道が急になる峠コースの10キロ地点。甲子町の桝沢弥生さん(38)と大輝君(6)、中妻町の前川奈津江さん(45)と航紳君(双葉小2年)親子は、同級生同士で仲良く力走する夫、桝沢俊行さん(39)と前川靖展さん(39)に「がんばれー」と大きな声でエールを送った。2人はいずれも、ゴール地点に回って待っていた息子と手をつなぎながらゴールイン。親子で完走の喜びを味わった。

 

峠コース10キロ地点で声援を送る家族ら

峠コース10キロ地点で声援を送る家族ら

 

 ゲストランナーには、1991年の東京国際マラソンなどで優勝した谷川真理さんと、谷川さんの教え子で今年の北海道マラソンを制した吉田香織さんが参加。沿道に詰めかけた多くの市民の声援に応え、手を振りながら、さわやかな笑顔で峠路を駆け抜けた。

 

「最高の気分」と手を振りながらゴールに入る谷川真理さん

「最高の気分」と手を振りながらゴールに入る谷川真理さん

 

 大会は、主会場の旧鉱山事務所の改修工事のため昨年は中止され、2年ぶりの開催。1年のブランクはあったものの、今回も北は北海道から南は四国まで全国からランナーが集った。選手への給水係など、甲子中生35人、甲子地区の住民70人を含む約350人がボランティアとして大会を支えた。

 

10分遅れでスタートした10キロコースのランナー

10分遅れでスタートした10キロコースのランナー

 

 大会を主管する釜石市体育協会の下村恵寿事務局長は「昨年は中止せざるを得なかったが、大会を再開してほしいとの連絡を全国からいただき感激した。復興はまだ道半ば。被災地を勇気づける大会を今後も継続したい」と意を新たにしていた。

 

峠コースの10キロ地点。ここから仙人トンネルに向け、さらに坂道が急になる

峠コースの10キロ地点。ここから仙人トンネルに向け、さらに坂道が急になる

 

ゲスト谷川真里さん「鳥になった気分」

 

 「チョー、気持ち良かった。峠道はそこそこきつかったけど、山々の紅葉がすばらしく、最後は鳥になった気持ちで走れました」と谷川真理さん。10キロコースのみの参加を予定していたが、気分が乗ったのか、結局17・2キロの峠コースを完走した。

 

 第3回大会にゲストランナーとして参加し、今夏のリオデジャネイロ五輪のマラソンにも出場したタレント猫ひろしさんの推薦を受け、無償でゲストランナーを引き受けたという。 「猫さんが『すばらしい大会』と言っていた意味が分かりました。地元の人たちの温かさが伝わってきて」と谷川さん。

 

「復興のお役に立てれば」富士フィルター工業 韓国の合併会社も

 

 東京都中央区の富士フィルター工業(汐見千佳社長)からは、韓国蔚山市にある合弁会社の社員7人を含む男女21人がエントリー。峠コースの17・2キロを全員完走した。

 

韓国の合弁会社を含め21人が参加した富士フィルター工業のメンバー

韓国の合弁会社を含め21人が参加した富士フィルター工業のメンバー

 

 トライアスロンを趣味にする汐見社長(44)と、釜石で「菜の花プロジェクト」を立ち上げ復興支援活動に取り組む山田周生さんとのつながりから、3大会前から仙人峠マラソンに会社ぐるみで参加。汐見社長は40歳以上女子の部でこれまで2位、6位と上位に入り、今回も4位に食い込んだ。

 

かわいい甲子柿の帽子をかぶり、笑顔でゴールに入る女子ランナー

かわいい甲子柿の帽子をかぶり、笑顔でゴールに入る女子ランナー

 

 「製造しているフィルターで直接お手伝いはできないが、被災地で買い物をし、こうして走ることで復興のお役に立てば」と汐見社長。今後も毎年、同大会への参加を続けたいという。

 

 韓国事業所のI・Bシム社長(53)は「韓国で地震はめったになく、宿泊するホテルの2階まで津波が来たと聞き驚いた。被災地をテレビと見るのと、実際に見るのとでは随分と違う」と認識を新たにしていた。

 

(復興釜石新聞 2016年11月2日発行 第534号より)

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川淵三郎さん(前列中央)とサミットに参加した釜石、釜石商工高生ら

”キャプテン川淵”応援トーク〜「ラグビーのまち」釜石にエール

 川淵三郎さん(前列中央)とサミットに参加した釜石、釜石商工高生ら

川淵三郎さん(前列中央)とサミットに参加した釜石、釜石商工高生ら

 

 日本サッカー協会最高顧問で、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会評議員などを務める川淵三郎さん(79)と釜石市の高校生による「キャプテン・サミット」が23日、大町の情報交流センター釜石PITで開かれた。エンターテインメントを通じた東日本大震災復興支援活動を続ける一般社団法人チームスマイル(東京都渋谷区)の「〝わたしの夢〟応援プロジェクト」の第6弾として開催。”キャプテン”の愛称で有名な川淵さんが高校生らとリーダーシップについて語り合った。

 

 同プロジェクトは、各界の著名人らが被災地の子どもや若者の夢の実現を応援する企画で、釜石では今年8月の布袋寅泰さん(ギタリスト)のトークショーに続く2回目のイベントとなった。

 

 川淵さんは、サッカーやバスケットボールのプロリーグ創設を成し遂げるなど日本スポーツ界を牽引(けんいん)する第一人者。始めに自身のサッカー人生を振り返りながら、高校生に向け没頭できるものを見つける大切さを説き、「自分がこれだと思うものを見つけるまでは三日坊主でも構わない。いろいろと挑戦する中で、本当にやりたいことが見つかる可能性がある」と助言。進みたい道が定まったら、「ビジョンを持ち、そのためにどう一生懸命働くかが成功への秘訣(ひけつ)。自分なりのビジョンを常に念頭に置き行動を」と呼び掛けた。

 

 続いて部活動などでリーダーを務める市内の高校生5人が、活動の様子を撮影した映像を見せながら、団体や個人の目標、目標達成のために取り組んでいること、課題などを説明。さまざまな競技団体で抜群の指導力を発揮してきた川淵さんに、リーダーとしての心構え、メンバーとの接し方など自分が抱える悩みを率直に質問した。

 

 「リーダーはしっかりした考え方のベースを持ち、それを相手に示せることが大事。一番、信頼を無くすのは頼りなさ。自分なりの自信を持った姿勢を見せていけばいい。そのために自分の実力をレベルアップする努力もするべき」と川淵さん。一方で、ストレスを抱え込まないように「自分の能力を超えるものについては深く考えない。無理だと割り切ることも必要」とアドバイスした。

 

 釜石高女子バスケットボール部部長の前川育緒佳さん(2年)は「練習は短時間に集中してやる、目標を高く持つなど川淵さんから学んだことを今後に生かしたい。互いに技術を向上し合える練習環境を作っていかなければ」、釜石商工高硬式野球部の青木優馬君(1年)は「川淵さんの言葉は説得力があり、リーダーの受け答えのポイントなどためになった。教わったことをノートに書き留め、部の中でもしっかり共有していきたい」と、3年生引退後のチーム作りへヒントを得ていた。

 

 川淵さんは来場者の質問にも答え、「3年後のラグビーW杯は新日鉄釜石の七連覇、まちぐるみでラグビーを応援していることを再び全国にアピールする機会になるだろう。”ラグビーのまち”の復権に市民が気概と自信を持って取り組み、W杯を成功させてもらえば。日本代表の試合が釜石で開催されれば、さらにインパクトがある」と期待を込めた。

 

(復興釜石新聞 2016年10月29日発行 第533号より)

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第46回 釜石市民芸術文化祭

第46回 釜石市民芸術文化祭

第46回 釜石市民芸術文化祭

 

第46回 釜石市民芸術文化祭(メーン会場)

開催日時

平成28年11月4日(金)から6日(日)
4日(金) 10:00から17:00(オープニングセレモニー 13:00から)
5日(土) 9:00から17:00
6日(日) 9:00から15:30(エンディングセレモニー 15:00から)

開催場所

シープラザ遊(大型テント)、シープラザ釜石

参加団体及びプログラム

●メーン会場 発表プログラム
11月4日(金)
13:00 岩手吟詠会所属 八雲吟詠会、釜石吟詠会(シープラザ遊)
14:00 MIA & リアスバンド(シープラザ遊)
11月5日(土)
11:00 平稀流舞踊会・古川舞踊教室(シープラザ遊)
14:00 小柳玲子バレエ教室(シープラザ遊)
15:00 ふるさと復興支援グループ釜南44(シープラザ釜石)
11月6日(日)
12:00 釜石市合唱協会(シープラザ遊)
12:30 岩手三曲協会 釜石支部(シープラザ釜石)
13:00 釜石芸能連合会・釜石民謡保存会(シープラザ遊)

 

●メーン会場 展示参加団体
映像:釜石ビデオクラブ
皐月:釜石皐月愛好会
写真:釜石写遊会
絵画:彩美会
水墨:水墨遊心会
原色押花:日本原色押花福祉協会釜石支部
華道:釜石草月会
華道:池坊釜石会
華道:龍生派釜石支部
写真:釜石写光クラブ
茶道:釜石茶道協会
書道:釜石書道協会
山野草:釜石草友会
絵画:釜石市民絵画教室
切り絵:切り絵サークル・はまゆり
その他:MOA美育ネットワーク釜石
リボンフラワー:リボンフラワー石垣教室
切手:日本郵趣協会 釜石支部(JPS釜石)
絵画:美術集団サムディ45
その他:ふるさと復興支援グループ釜南44

駐車場

シープラザの駐車台数(有料)には限りがありますので、公共交通機関のご利用をお願いいたします。

 

メーン会場以外での開催、終了したメーン会場以外での開催については、以下のページをご確認ください。
第46回 釜石市民芸術文化祭を開催します | 釜石市

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 教育委員会 生涯学習文化課
〒026-0031 岩手県釜石市鈴子町15番2号
電話:0193-22-8835 / FAX:0193-22-3633 / メール
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9季ぶりの1部復帰を職場の仲間や家族らとともに喜ぶ新日鉄住金釜石イレブン

東北社会人サッカーリーグ 新日鉄住金釜石、1部復帰決定〜終了間際、花巻に逆転勝ち

9季ぶりの1部復帰を職場の仲間や家族らとともに喜ぶ新日鉄住金釜石イレブン

9季ぶりの1部復帰を職場の仲間や家族らとともに喜ぶ新日鉄住金釜石イレブン

 

 10チームで争う東北社会人サッカーリーグ2部北ブロックの新日鉄住金釜石は23日、釜石市球技場で花巻フットボールクラブ(花巻市)と対戦し、2―1で劇的な逆転勝ち。通算成績を15勝2敗(勝ち点45)とし、最終戦を残して悲願の1部昇格を決めた。2007年度に2部に転落して以来、9季ぶりに1部へ復帰する。松岡新也監督は今季を振り返り、「チャンピオンにふさわしい戦いができた。誇りを持って1部に行ける」と胸を張った。

 

 釜石は試合終了間際、MF板澤優介のフリーキックをMF大田代飛鳥が頭で押し込み、劇的な逆転勝利を決めた。釜石イレブンはスタンドで盛んな声援を送り続けた職場の仲間や家族らのもとに駆け寄り、歓喜のバンザイ。長い低迷期を経て、やっと実現する1部復帰に沸いた。

 

 まさかの展開だった。前半30分、相手ゴールまで攻め上がったDF浦田祐輔がキーパーチャージで一発退場。1人少ない苦しい状況の中で後半20分、花巻に先制点を許す。

 

 この窮地を救ったのは、主将としてチームを引っ張ってきたFW簗場海史。後半30分、MF松井宏樹のシュートがこぼれたところを強引にゴールに押し込み同点。大田代の決勝ゴールにつなげた。

 

キャプテンシーを発揮し、チームを1部昇格に導いた簗場海史

キャプテンシーを発揮し、チームを1部昇格に導いた簗場海史

 

 「ホーム(グラウンド)で1部昇格を決めたかった。(決勝点を)決められて良かった」。FC釜石でサッカーを始め、遠野高、東海大と進み釜石に入団して2年目。大田代は地元ファンの歓声に包まれ、照れ臭そうに喜びをかみしめた。

 

 大田代はこれで今季11得点。ランキングではリーグ3位に付ける。「今季のMVPはメンバー全員」と松岡監督は言うものの、「飛鳥には楽をさせてもらっている」と大田代の献身的なプレーを高く評価する。

 

 苦しい試合展開の中でも、松岡監督は冷静に戦況を見つめていた。「ボールを奪ったあとの攻撃の質の高さ。連動した守備もできるようになっている」。コツコツと積み上げてきた自信が揺らぐことはなかった。

 

 松岡監督は「最近は毎年、新人を採用してもらっている」と、会社(新日鉄住金釜石)のバックアップにも感謝する。仕事の関係で、平日の練習に参加できるのは相変わらずメンバーの半分にも満たない。この日も主力の3人を欠くなど苦しい状況に変わりはないが、「スーパーサブが次々と出てきて、総合力が落ちることはなかった」と今季の充実ぶりを振り返る。

 

 東北社会人サッカー1部リーグ10チームのうち3チームは岩手にホームを置き、来季はこれに釜石が加わる。「ウチの今の実力からすれば1部でも上位に行ける。2、3位を目標にしたい」。松岡監督はもう来季の戦いを見据えている。

 

キャプテン簗場 あわてず同点弾

 

 「最高ですね」。黄色のキャプテンマークを腕に巻いた簗場海史(26)は1部昇格の喜びにひたった。レッドカードを食らいメンバーが1人少ない苦しい状況の中でもあわてず、「全然いける」と最後まで集中を切らさなかった。

 

 主将を任されて2季目。内側じん帯を傷め、シーズン途中でチームを離脱したが1カ月で復帰。膝をテープで補強し、痛みをこらえながら、主将として最前線でチームを鼓舞し続けた。

 

 今季は6ゴールを決め、得点ランキングでは13位。アシストは5で、ランキング7位に付ける。青森県出身で、父・武見さんは釜石と同リーグで戦う七戸サッカークラブの総監督。弟の豪史(24)も兄と同じく遠野高から釜石へと進み、兄弟仲良く夢を追い続ける。

 

(復興釜石新聞 2016年10月29日発行 第533号より)

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思い出いっぱい「橋上市場」にぎわい再現〜盛況『はしのうえ朝市』、釜石のっけ丼大人気

丼にのせる具を求めて長蛇の列ができた朝市

丼にのせる具を求めて長蛇の列ができた朝市

 

 かつての橋上市場のにぎわいを再現し、復興へ向かうまちを市民の力で盛り上げていこうと、「釜石はしのうえ朝市」が23日、釜石市大渡町の大渡橋歩道と橋詰広場で開かれた。午前6時の開店と同時に大勢の市民が詰めかけ、地場の農水産物や加工品の購入、”オリジナル丼”の朝食を楽しんだ。

 

 震災後のまちづくりに尽力する若手市民団体「NEXT KAMAISHI(ネクスト釜石)」が中心となり実行委(平野嘉隆実行委員長)を立ち上げ、企画した。市内各地の事業者ら15店ほどが出店。鮮魚や野菜、総菜、菓子など地元に愛される味や工芸品などが販売された。

 

 中でも、温かいご飯に好みのおかずをのせて食べる「釜石のっけ丼」は大人気。ホタテやサケ、サンマの焼き物、マグロの刺し身、イカの塩辛など釜石の名店が提供する”ご飯のお供”で丼を味わった。300~400食分を用意したご飯は午前8時過ぎには無くなる盛況ぶりを見せた。 旧大渡橋に平行し1958年に開設された「橋上市場」は、国内唯一の橋の上の名物市場として市民や観光客に親しまれたが、河川法上の問題や大渡橋の架け替えに伴い、2003年に閉店。45年の歴史を閉じた。

 

 朝市には、当時の市場で営業していた店も出店。その一つ、現在は鈴子町のサン・フィッシュ釜石内で営業する東鮮魚店の販売ブースには、古くからの常連客が次々に顔を見せた。父親が始めた同店を18歳から支え続けてきた村上英子さん(64)は「橋上市場は人生の半分以上を過ごした場所。いろいろなことを思い出す。お客さんから(市場の撤去を)改めて惜しむ声を聞き、涙が出てきた」とあふれる思いを口にした。

 

東鮮魚店は旬の海の幸の販売で客を喜ばせた

東鮮魚店は旬の海の幸の販売で客を喜ばせた

 

 新町の菊地行男さん(75)は「橋上市場は家庭的な雰囲気で、よく会社帰りに寄ったりしていた」と懐かしみ、「広場もあるこの場所を有効活用し、定期的にイベントをやれば人が集まるのでは」と今後の展開に期待。カナダから帰省した行男さんの長女、真澄さん(43)は旅行業に携わっており、「地元の人だけでなく観光客向けにも魅力的なイベント。すごくいいですね。告知を早めにすることで(集客面など)さらに可能性が広がると思う」と話した。

 

 実行委の予想を大きく上回る人出となった今回の朝市。実現までには関係機関への申請など苦労も多かったというが、平野実行委員長(45)は「あえてこの場所にこだわって開催した。出店者側、客側双方が望む形を考えたが、こんなにいらしていただけるとは。『またやってほしい』という声もあるので、年に2、3回でも開催できれば」と、まちのにぎわい創出に意欲を見せた。

 

(復興釜石新聞 2016年10月29日発行 第533号より)

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広報かまいし2016年11月1日号(No.1651)

広報かまいし2016年11月1日号(No.1651)

広報かまいし2016年11月1日号(No.1651)
 

広報かまいし2016年11月1日号(No.1651)

広報かまいし2016年11月1日号(No.1651)

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【目次】
表紙:津波避難訓練
P02:津波から未来の命を守るための釜石の教訓、釜石地区被災者相談支援センターをご利用ください
P04:平成29年度4月保育施設入所申し込みを受け付けます、アトピー予防と食物アレルギー対策のために知っておきたい子どものスキンケア、子育てボランティア養成講座の参加者を募集します
P06:今月のインフォメーション、おもいをつむぐはなみずき
P08:~はしの四季まつり~第12回水車まつりを開催します、第36回働く婦人の家まつり『作品展示発表会』を開催します、市長のつぶや記

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釜石市 総務企画部 広聴広報課 広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-22-2111 / 0193-22-2686 / メール
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「石割桜」の子孫木を記念植樹する野田武則市長ら

震災の教訓 後世につなぐ、グリーンベルトに桜植樹〜避難路 防災と緑地機能を併せ持つ、グリーンベルトに桜植樹

市内外から集まった植樹会の参加者。「未来の釜石を桜の里に」と協力し合って作業に励んだ

市内外から集まった植樹会の参加者。「未来の釜石を桜の里に」と協力し合って作業に励んだ

 

 東日本大震災の津波で被災した釜石港周辺に築造される盛り土避難路「グリーンベルト」のうち、造成が完了した港町エリアに22日、桜の木が植えられた。釜石市と「釜石に桜を植える会」(中川淳会長、17人)が植樹会を開き、市内外から約100人が参加。震災犠牲者の鎮魂とまちの復興を願い全国から寄付された、さまざまな種類の桜の木74本を芝生の斜面などに植えた。防災と緑地機能を併せ持つ避難路が、震災の教訓を後世につなぐ。

 

 野田武則市長は「この場所を津波避難や日常的な散策に活用し、津波の恐ろしさも忘れない場にしてほしい」とあいさつ。代表が、国の天然記念物に指定されている福島県三春町の「三春の滝桜」(ベニシダレザクラ)、岐阜県本巣市の「根尾谷淡墨(うすずみ)桜」(エドヒガンザクラ)、盛岡市の「石割桜」(同)の子孫木を記念植樹した。

 

 セレモニーの後、参加者は手分けして植樹。記念植樹した3種のほか、オオシマザクラやヤエザクラなど合わせて約7種類を植えた。鈴子町の高橋光子さん(69)は「桜の木が四季折々の風情を見せる姿を思い描きながら植えた。子どものように成長を見守っていけたら。毎年、見に訪れる楽しみが増えた」と、新たに市民の憩いの場ができることを喜んだ。

 

「石割桜」の子孫木を記念植樹する野田武則市長ら

「石割桜」の子孫木を記念植樹する野田武則市長ら

 

 グリーンベルトは、港湾労働者や港周辺に居る人が津波発生時に、いち早く高台の避難場所まで安全に避難できるようにする盛り土緑地。港町から浜町まで延長750メートル、最大幅約60メートル、高さ8~12メートルの整備を計画し、沖の湾口防波堤、港の防潮堤と合わせ3重の防御壁で市東部地区への津波の浸入を低減する効果も期待する。2018年10月の事業完了を目指し、今後、工事が進められるエリアにも桜を植樹する予定。

 

 13年に発足した「釜石に桜を植える会」は復興のシンボルとして桜を植え、未来への遺産とすることを目的に活動してきた。全国から多くの苗木や支援金が寄せられ、これまでに市内の津波被災地区や老人福祉施設、公園などに約140本を植えた。市にも桜を含む樹木が多数寄付されており、復興工事の進展に合わせ、両者の連携による植樹が本格的に始まった。この日は、桜の提供に協力した北海道や青森、栃木県など遠隔地の支援者も駆け付け、作業に加わった。

 

 千葉県市原市の光福寺住職、山本隆真さん(59)と同長南町の長久寺住職、月﨑了浄さん(55)は、日蓮宗千葉県西部宗務所による東北被災地の慰霊巡行で釜石を訪れた際、同会の活動を知った。その後、同宗務所が中心となり地元で桜を寄付するための募金活動を展開。茂原市の大型ショッピングセンターも活動に協力し、各地の市民から寄せられた善意は、750本分もの桜購入費用に生かされた。2人は「みんなが笑顔で集えるような場所になれば」と作業に汗を流し、「千葉に戻ったら協力者に報告し、今後の植樹作業への支援なども検討したい」と話した。

 

 同会の芝崎惠應事務局長は支援の広がりに感謝し、「桜を植えた場所が悲しみを減らす安らぎの場所になってくれれば」と願った。

 

 植樹は23日も行われ、大町の薬師公園斜面と宅地造成が進む鵜住居町根浜地区の山側高台にも桜が植えられた。市は先ごろ、植樹場所や本数などを検討する委員会「桜プロジェクト」も立ち上げており、植える会と協働で植樹を進めていくことにしている。

 

(復興釜石新聞 2016年10月26日発行 第532号より)

 

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