安倍晋三首相(中央)らが出席し、テープカットとくす玉開きで盛大に開通を祝った式典
東日本大震災の「復興支援道路」と位置付け、国が整備を進める東北横断自動車道釜石秋田線の遠野インターチェンジ(IC)から宮守ICまでの区間(9キロ)が5日、開通した。釜石―花巻間(80キロ)のうち、今回の開通で約8割の62・5キロが通行可能となり、2018年度の全線開通へ期待が膨らむ。釜石港の利用拡大など横断道整備の大きな効果を実感する釜石市の野田武則市長は「被災地の復興だけでなく県全体の振興につながる。三陸沿岸と内陸を結ぶ重要な路線として大いに活用し、効果を十分出せるよう沿線市町と連携し取り組んでいきたい」と決意を新たにする。
午後3時の一般開放を前に午前10時過ぎから宮守IC付近で行われた開通式典には関係者約160人が出席。安倍晋三首相、江島潔国土交通大臣政務官がテープカットなどで地域住民らと盛大に開通を祝った。
遠野IC(遠野市綾織町新里)~宮守IC(同宮守町下鱒沢)間は2007年度に着工。11年の震災を受け釜石―花巻間が復興支援道路とされたことで、事業が加速化された。構造物はトンネル(311メートル)1本、橋4カ所(最大141メートル)。総事業費は237億円。同区間の整備に合わせ、県は遠野ICと国道283号を結ぶ一般県道遠野住田線新里工区(0・7キロ、同24億円)を整備。この日、同時開通を迎えた。
今回の開通で4分ほどの走行時間短縮が見込まれる。達増拓也県知事は「速達性や定時性、災害時の信頼性向上で物流の円滑化、観光振興などが図られるものと期待される。来年の岩手国体のアクセスにも心強い」と喜びを表した。
同横断道整備が進展したことで、釜石港の利用企業数は順調に伸び、内陸や県外企業の利用が増加。11年の国際フィーダーコンテナ定期航路の開設も後押しし、コンテナ取扱量は約10倍に激増した。全線開通を見越した設備投資や企業進出の動きは釜石だけでなく沿岸各地で活発化している。
残る整備区間は遠野IC~遠野住田IC間(11キロ)、釜石西IC(仮称)~釜石ジャンクション(同)間(6キロ)で、共に18年度開通予定。東和IC以東は通行無料となる。全線開通すれば釜石―花巻間の移動は約20分の時間短縮が期待される。
(復興釜石新聞 2015年12月9日発行 第443号より)
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