浜の拠点 新事務所着工、釜石水産物商業協同組合〜一般向け販売コーナーも 来年3月完成予定
釜石水産物商業協同組合の新しい事務所用地。奥の海側に魚市場が建設される
東日本大震災で旧釜石魚市場内の事務所が全壊した釜石水産物商業協同組合(赤崎光男理事長、組合員32人)の新しい施設が浜町2丁目に建設されることになり、新築工事の地鎮祭が1日、水産業共同利用施設復興整備事業でかさ上げ、造成された現地で行われた。新事務所は来年3月の完成を見込む。来年10月の完成に向けて建設中の新魚市場に隣接し、新生「水産釜石」の拠点の一つとして期待される。
地鎮祭には組合員、施工関係者ら約20人が出席。神事で赤崎組合長がくわ入れし工事の安全を祈った。野田武則市長は「浜町、新浜町、東前町一帯は水産振興の拠点地域に位置づけている。水産加工団地が早期に形成されるよう、市も努める」と期待を述べた。
地鎮祭でくわ入れする赤崎光男理事長
新事務所は鉄骨造り平屋建て、延べ床面積198平方メートル。事務所、加工場、倉庫と販売スペースを配置する。総事業費6400万円で、うち5600万円は、国と市が8分の7を負担する水産業共同利用施設復興整備事業の補助を受ける。
同事業は、建設中の魚市場に隣接する浜町一帯の計画面積約3万2千平方メートルで実施。全体で5区画のうち、同組合の用地は2区(1550平方メートル)で、公募により同組合と来年9月の竣工(しゅんこう)を見込む民間事業所1社が承認された。区画内には、自力再建した地元の1社がすでに操業している。
同組合は1971年、中小企業等協同組合法により、釜石市、大槌町、山田町の組合員で設立。地元の海産物、加工品の購入、地域外からの搬入品を扱ってきた。昭和50年代には組合員が100人を超え、販売額は10億円以上にのぼったが、震災直前には組合員50人、販売額も3億円に縮小していた。震災でさらに10人が廃業。現組合員32人のうち3分の1は休業状態にある。
組合事業は震災の4カ月後、大渡町に仮店舗を借り再開した。しかし、魚市場から離れた立地や販売環境の変化など課題が重くのしかかった。組合の経営基盤を強化するため、新魚市場に隣接して新事務所を構えることにした。
赤崎理事長(60)は「浜町一帯は商店も被災。残る住民は”買い物難民”になっている」と指摘。新設する事務所には、一般消費者向けの販売コーナーも設ける考えだ。「来年には完成する魚市場と一体で、『海の駅』的な観光資源にもしたい」と意欲を見せる。
(復興釜石新聞 2015年12月5日発行 第442号より)
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