市中心部の防災拠点となる第1分団第3部屯所の完成を喜ぶ関係者。2階には只越集会所が併設された
釜石市の中心市街地を管轄する市消防団第1分団第3部(佐々木毅部長、団員13人)の屯所竣工(しゅんこう)式は15日、只越町3丁目の現地で行われた。旧屯所は東日本大震災の津波で全壊し、新築された建物は1階を消防屯所、2階を只越集会所とする複合施設。集会所は11月から使用を開始する。完成を祝う式には市や消防団関係者、地域住民ら20人が出席し、地域防災拠点の復活を喜び合った。
新しい屯所は旧屯所より広く、震災で全壊した旧屯所の北側へ約50メートル移動した。銭湯などがあった民有地を市が買い取り、約280平方メートルの敷地に木造(延べ床面積236平方メートル)で建設。車庫、会議室、和室の休憩室、シャワー室などを備える。2階の集会所(約120平方メートル)には和室の集会スペース、給湯室などを備える。
竣工式で野田武則市長は「中心部にある3部は震災で住民の避難誘導、車や建物の消火活動、その後の捜索や搬送業務に全力を尽くした。地域住民の安全安心を守る拠点の完成を喜ぶ」とあいさつ。釜石大槌地区行政事務組合消防本部の猪又康洋消防長、山﨑長栄団長、第3部消防後援会の菊池新之助会長が祝辞を述べた。前部長の坂本晃・第1分団長の発声で万歳三唱。佐々木部長(59)は「新しい屯所に感無量。市民の生命、財産を守る活動に日々精進する」と決意を伝えた。
神事で屯所の完成を祝う野田武則市長ら関係者
第3部の前身は1877(明治10)年に町内の防災組織として結成された「只越組」で、市内で最古。坂本分団長(61)によると、集会所と併設の旧屯所は老朽化が進み、震災前から市に改築を陳情、2011年度中に完成する予定だった。震災後、仮設屯所を天神仮設団地の一角に置き、日常の防災活動を続けてきた。
佐々木部長は「震災では避難誘導の後、大津波を予測してポンプ車を仙寿院に移し、守った。おかげで無線を使い、情報交換ができた」と震災当時を振り返る。新しい拠点の完成を受け、「最大の課題は団員の確保。とにかく若手が欲しい。震災の体験から、『命なくして人は守れず』と思う。団員の命を守りながら、防災活動に取り組んでいく」と力を込めた。
3部消防後援会は、只越町、大只越町、天神町の各町内会や商店会など11団体で組織する。只越町内会の長柴政義会長によると、震災前の会員は142世帯だったが、現在はほぼ3分の1の50世帯に減った。
市内で被災した消防屯所は17カ所(うち資材置き場2カ所)で、復興したのは昨年の第1分団第4部(大渡地区)に次いで2カ所目。
(復興釜石新聞 2015年10月17日発行 第428号より)
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