秋の高校野球県大会で準優勝に輝いた釜石ナイン。閉会式で菊池智哉主将を先頭に球場内を行進する=22日、花巻球場
第68回秋季東北地区高校野球県大会最終日は22日、花巻市の花巻球場で決勝が行われ、釜石は盛岡大付に3―6で敗れ、惜しくも準優勝に終わった。釜石は初回に1点を先制。二回、五回にも1点ずつ加えたものの、県大会5連投のエース岩間大(2年)が2本の本塁打を浴び、突き放された。敗れたとはいえ、釜石は盛岡大付を上回る12安打を放つなど最後まで食い下がり、スタンドを埋めた高校野球ファンに「粘りの釜石」を印象付けた。釜石は20年ぶりの春のセンバツ出場を目指し、盛岡大付、3位決定戦を勝ち抜いた一関学院とともに、10月10日から青森市で開かれる東北大会に出場する。
▽決勝
釜 石
1100100003
10203000×6
盛岡大付
(釡)岩間―大尻
(盛)吉田、坪田、井上涼―伊藤
▽本塁打 塩谷、二橋(盛)
▽三塁打 塩谷(盛)
▽二塁打 岡道、平野(釡)平賀、植田、二橋(盛)
釜石は初回2死二塁から4番菊池勇貴(2年)の左前打で先制。二回は守備の乱れを突いて1点を加えた。1点を追う五回には5番新沼康大(1年)の中前打で3―3の同点としたが、六回以降は盛岡大付の継投策にかわされ無得点に終わった。
五回、新沼の中前打で大尻が生還、3—3の同点とする
エースの岩間は三回に2ラン、同点とした後の五回には3ランを浴びるなど一発に泣いたが、「投げさせてもらえたことがうれしかった」と、さばさばとした表情。準決勝まで4試合を一人で投げ抜き、「決勝は楽しもう」とマウンドに上がったという。
得意のスライダーにチェンジアップを効果的に交ぜ、2本のホームラン以外は丁寧な投球。佐々木偉彦監督も「ナイスピッチング」とエースの力投をたたえた。「決勝は点の取り合いになるだろう」と予測した佐々木監督。「投手を中心にきちんと守れたことは良かった」と評価する。
攻撃面では、「初球から積極的に」「フライは上げない」の2点を一貫して言い続けてきた。打線もこれに応えてコツコツと安打を重ね、着実に点を取った。積極策が裏目に出て残塁の山を築く場面もあったが、八回、それまで3打席は凡打と三振に終わっていた小柄な平野雄哉(1年)が左前に二塁打を放つと、ベンチは大いに盛り上がった。「粘りの釜石」を象徴するシーンだった。
釜石の粘りの攻撃に沸く父母会の応援席
「夏までは、先攻されるとなかなか追い付けないチームだったが、今大会では粘り強く戦えるようになった」と佐々木監督。だが、目標はあくまでセンバツ出場。大きな成長を認めつつ、試合終了後に選手を集め、「この負けを悔しいと思わなければいけない」と強調した。
東北大会まで2週間余り。佐々木監督は「県大会では(投手が)抑えることができたが、東北大会では打たれることも覚悟しなければいけない。守備やバントなど細かな点を徹底的に鍛えて臨みたい」と課題を挙げる。
肩の痛みをこらえながら一人で投げ抜いてきた岩間投手も思いは同じだ。「これで終わりじゃない。東北大会までにもっとレベルアップし、この悔しさをぶつけたい」。その向こうには、釜石南時代の1996年以来、20年ぶりのセンバツ晴れ舞台が待っている。
(復興釜石新聞 2015年9月26日発行 第422号より)
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