「最後に役に立てた」と感慨、紀州造林OB会 市に寄付金
野田市長に寄付金を届けた的場会長(中央)ら
物流関連資材製造販売業、紀州造林(本社・東京都中央区)の退職者らでつくる紀州造林OB会(的場香会長、会員55人)は7日、復興に役立ててもらおうと釜石市に8万円を寄付した。的場会長ら3人が釜石市役所を訪れ、野田武則市長に寄付金を手渡した。
同社は釜石市の誘致企業第1号だったが、資材の調達が困難になったことなどから2009年に鵜住居町にあった工場を閉鎖。その工場跡地は現在、被災した鵜住居小・釜石東中の仮設校舎として活用されている。
寄付金は6日に鵜住居町の宝来館で開いたOB会で募った。釜石工場に12年間勤務した花巻市の小松義次さんが呼びかけ、地元の10人のほか、市外に暮らす釜石の勤務経験者、大阪や九州からも参加し約40人が旧交を温めたという。
今回の会は震災から自力再建している企業などの視察研修も目的で、市内の車検工場や水産加工業者などを回った。市役所を訪問する前には工場跡地にある仮設校舎も見学。小松さんは「工場を撤退して申し訳ない気持ちだったが、最後に役に立てたと思い感慨深い」と話した。
釜石工場の工場長を務めた経験を持つ同OB会の新田修之(しゅうし)副会長は、震災の年にあった台風による豪雨で和歌山県新宮市の自宅が被災したといい、「南海トラフ地震の発生も懸念されており、災害は人ごとではない」と語った。
的場会長は震災後に釜石を訪れたのは初めてで、「風景が全く変わっていてびっくりしたが、復興作業が進んでいるのを見ることができて良かった。寄付金は少額だが、会員の『頑張れ釜石』との気持ちが込められている。福祉やラグビーの会場整備など皆さんの役に立つよう使ってほしい」と願った。
野田市長はこれまでの同社の協力に感謝し、「年追うごとに変化すると思うので見守ってほしい」と願った。
(復興釜石新聞 2015年10月10日発行 第426号より)
紀州造林株式会社
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