六回無死一塁、3番三浦潤太の左中間二塁打で鈴木孝輔が生還。菅原昌也⑧に迎えられ、1─1の同点とする=18日、花巻球場
第97回全国高校野球選手権岩手大会第8日の18日、ベスト16に進んだ釜石商工は花巻市の花巻球場で一関工に1―5で敗れ、8強入りはならなかった。釜石商工は菅原昌也(3年)が満を持して先発。四回、暴投で先制点を奪われたものの、六回には三浦潤太主将(3年)の長打で追いつき、接戦に持ち込んだ。しかし、八回に2点本塁打を浴び、エースナンバーを背負った平松岳(3年)に継投した九回も2失点。七回以降は無安打に抑えられ、4回戦で涙をのんだ。
菅原昌也、力投報われず 一発浴び敗戦も「悔いなし」
同点で迎えた八回の1球が試合の流れを決めた。「外に投げるつもりが内側に入ってしまって」と先発の菅原昌也。甘いカーブを左翼スタンドに運ばれ、この1球を最後にマウンドを譲った。
力投する菅原昌也。七回までは最少失点に抑えたが、八回に勝負を決める一発を浴びた
強肩強打で、1年のときから中堅手兼任でマウンドに上がった。ところが最上級生になった今春は調子がいま一つ上がらず、昨秋から背負ったエースナンバーを譲って夏の大会を迎えた。
140キロ近い球速を誇る本格派だが、「力まかせのストレートで押すだけでは通用しない」と自覚。コントロールを意識し、変化球でカウントも取れるようになった。
4回戦では、昨夏”煮え湯”を飲まされた一関工打線を相手に、「一番自信がある」というカットボールを駆使。七回までは最少失点に抑えたが、力投は報われなかった。腕力を生かした豪快なスイングも、ピッチングに気を取られ無安打に終わった。
「控えに岳(平松)がいたから、思い切り投げることができた」と感謝する。一発を浴びた後もまだ力は残っていたが、「頼むぞ」と笑顔で後を託した。
「やれるだけのことはやったので悔いはありません」。大学に進み、まだ届いていない球速140キロを目指す。
▽4回戦(花巻球場)
一関工
0001000225
0000010001
釜石商工
(一)千葉健、菅原英―吉田拓
(釡)菅原、平松―菊池健
▽本塁打 小野寺将(一)
▽三塁打 三浦(一)
▽二塁打 菅原峻(一)三浦(釡)
昨年と同じ7月18日、同じ相手の一関工に力負け。釜石商工の2年ぶりベスト8は夢と散った。
「接戦に持ち込みたかった。序盤は思い通りだったが、相手が一枚も二枚も上でした」
この春から指揮を執る久保田達也監督は力負けを認めつつも、「もう少し勝たせてあげたかった。力のある選手たちなので、それを生かすことができなかったのは自分の責任」と悔やんだ。
勝負を分けたのは終盤八回、先発の菅原が一関工の3番に投じた1球。内角高めに入ったカーブが左翼スタンドに放り込まれた。2点本塁打。「あの1球でしょうね。自分がしっかり指示していれば」。久保田監督は重ねて悔やんだ。
3回戦までの2試合で打率4割を超えた強力打線も、この試合はわずか4安打に抑え込まれた。3試合連続で打点を挙げ、同点に追いつく左中間二塁打で気を吐いた三浦主将は「ピッチャーを助けようと、みんなで声をかけ合ってがんばったが」と唇をかんだ。
二塁手鈴木孝輔(2年)と鉄壁の二遊間で何度もピンチをしのいできた連係が珍しく乱れる場面もあった。
三浦主将は、先発した菅原とは釜石中時代にチームメートとして県大会で優勝。高校では1年のときから共にレギュラーとして活躍し、「二人で甲子園へ」と誓い励まし合ってきた。しかし、ベスト8まで進んだ2年前は一関学院、昨年、今年は一関工と、いずれも一関勢に進撃を阻まれた。
「ついてきてくれた仲間には感謝の言葉しかない。後輩たちには優勝してほしい」と夢を託した。
(復興釜石新聞 2015年7月22日発行 第404号より)
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