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サプライズで贈られた大漁旗を広げる加藤さんと荻野会長

震災時に助け合い、釜石小避難所スタッフ「同窓会」〜絆の強さ確かめ合う、市内外から32人 7年ぶりに再会

サプライズで贈られた大漁旗を広げる加藤さんと荻野会長

サプライズで贈られた大漁旗を広げる加藤さんと荻野会長

 

 東日本大震災から間もなく7年―。発災直後から辛苦を共にした避難所スタッフが6年の時を経て再会の喜びを分かち合った。当時、釜石市大渡町の釜石小避難所の運営に当たった大渡町内会(荻野哲郎会長)、同校教職員、行政職員らが3日、ホテルサンルート釜石で“同窓会”を開き、思い出を語り合いながら互いの労をねぎらった。

 

 県内外から32人が出席。円滑な避難所運営を率いた荻野会長、震災時に釜石小校長だった加藤孔子さん(現・見前小校長)に、それぞれの名前がプリントされたオリジナルの「釜小丸」大漁旗を贈り、感謝の気持ちを表した。津波の爪痕や避難所生活を記録したスライドも上映。生きるため必死だった日々をよみがえらせ、目を潤ませる人もいた。

 

 同校では、2011年3月11日の大地震発生後いち早く、避難者を受け入れる準備を開始。駆け付けた町内会員、教職員、市職員が対策本部を設置し、電気や水、暖房の確保に努めた。自主防災会を組織する同町内会。翌日には長期にわたる避難生活に必要な分担体制を整え、炊き出しや衛生管理、連絡調整などさまざまな活動に奔走した。ピーク時には700人以上が身を寄せ、各教室や体育館はすし詰め状態に。幾多の困難を乗り越えながら、8月10日の閉鎖まで避難者を支え続けた。

 

久しぶりの再会に明るい笑顔を輝かせる元スタッフら

久しぶりの再会に明るい笑顔を輝かせる元スタッフら

 

 当時の教職員約20人と運営を支えた加藤さん(60)は「自らも被災し大変な中で、頑張ってくださった皆さん。陰で涙をぬぐう姿を何度目にしたか…。本当に感謝の思いでいっぱい。“チーム釜小”の力は素晴らしかった」と振り返る。

 

 町内で割ぽう「丸藤」を営む藤田正社長(67)は、店舗や自宅が被災しながらも避難者の食事作りに尽力。地元の米穀店、仕出し店などから食材を提供してもらい、避難者の要望にもできるだけ応えた。「誰かがやらねばという一心で、とにかく前向きになった。7月に店を再開したが、避難所にいた家族が来てくれた時はうれしくてね」と、共に支え合った仲間との絆をかみしめた。

 

 北九州市から同避難所に応援職員として派遣されて以来、釜石とのつながりを持ち続け、昨年4月から長期派遣で市水産課に勤務する藏本英司さん(43)は「釜小の避難所運営は普段の訓練の賜(たまもの)で、他地域の模範となる。こちらで学んだことを九州でも生かしたい」と誓った。

 

 5カ月に及ぶ避難所生活で関係者の心に深く刻まれているのが、1カ月遅れで行った同校の卒業式。学校側は当初、音楽室で卒業証書の伝達だけできればと考えていたが、荻野会長らから「みんなで祝ってやっぺし」との声が上がり、布団などをよけた体育館で開催することに。避難者やスタッフも式を見守り、避難所で毎朝、歌っていた校歌「いきいき生きる」(井上ひさし作詞)を高らかに歌い、42人の卒業生を送り出した。

 

 荻野会長(75)は「大勢の人が集まる避難所では人間関係など苦労もあるが、班編成し連絡系統を明確にすることで混乱を避けられた。有事の際は、やはり普段からの町内会活動がものをいう。この経験を後世にしっかりと伝えねば」と思いを新たにした。

 

(復興釜石新聞 2018年2月7日発行 第662号より)

 

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冬の日差しを背に元気に駆け出す親子の部の参加者。命を守る意識を高めながら高台を目指す

「津波だ、逃げろ」高台へ、教訓胸に駆け上がる〜仙寿院で5回目の新春韋駄天競走、市内外から123人が参加

冬の日差しを背に元気に駆け出す親子の部の参加者。命を守る意識を高めながら高台を目指す

冬の日差しを背に元気に駆け出す親子の部の参加者。命を守る意識を高めながら高台を目指す

 

 津波から命を守る“高台避難”の意識啓発を目的とした「新春韋駄天(いだてん)競走」が4日、釜石市大只越町の日蓮宗仙寿院(芝崎恵応住職)をゴール地点に行われた。同寺の節分行事の一環で、5回目の開催。3~58歳の男女123人が境内に続く急坂を駆け上がり、迅速な津波避難の大切さを体感した。

 

 年齢や性別などで分けた6部門でレースを実施。東日本大震災の津波で浸水した只越町、現消防屯所付近をスタート地点に、津波避難場所となっている標高約30メートルの同寺まで286メートルを駆け抜けた。沿道の声援や只越虎舞の太鼓が参加者を後押し。息を切らせて上ってくる人たちを温かい拍手で迎えた。

 

 八雲町の和田茂さん(58)は「てんでんこ未来へ」と記した鉢巻きを締め、津波で亡くなった元職場の同僚5人の名前を書いた鎮魂のバトンを握りしめて一度も止まることなく走り切った。「『逃げるが勝ち』です。自分の命は自分で守るのが基本。難しい場合は誰かに助けを求めることも必要」と実感を込めた。

 

 各部門の1位には「福男」や「福女」の認定書を授与。同行事のヒントとなり、“福男選び”の開門神事で全国的に有名な兵庫県西宮神社から、福の神「えびす様」の木像が記念品として贈られた。

 

 最もエントリーが多い男性29歳以下の部を制したのは、県沿岸広域振興局に勤務する高橋拓実さん(23)。初任地釜石で舞い込んだ思わぬ福に笑顔を輝かせた。「スタート位置が後方で上位は無理だと思ったが、逆にリラックスして走れた」と勝因を明かし、「農林部で働いているので、台風とかの農業被害がない1年になれば」と福男効果に期待した。

 

 親子の部で「福親子」となった花巻市の後藤竜也さん(46)、尚希君(10)は昨年に続き2回目の参加。大槌町出身の竜也さんは津波で実家が流され、難を逃れた両親を呼び寄せ、共に花巻で暮らす。「息子は津波を経験していない。将来、沿岸部に住むこともあるだろう。津波から逃げることをこの行事で教えたい」と竜也さん。尚希君は「お父さんが引っ張ってくれて最後まで走れた。もし津波にあっても、友達と一緒に避難できるようにしたい」と誓った。

 

各部門で1位になった参加者。周りに福を分け与える1年に

各部門で1位になった参加者。周りに福を分け与える1年に

 

 同行事は、関東在住の釜石出身者らで結成する「釜石応援団あらまぎハート」が企画。津波の教訓を地域に根付いた形で未来に残したいと構想を練り、仙寿院の賛同を得て実現させた。釜石支部長の下村達志さん(42)は「復興が進み日常が急激に戻る中で、震災の風化は避けられない。こういう機会に意識を高めることが大事。震災を知らない子どもに伝えたいと親子で継続参加してくれる人がいるのも意義あること」と話した。

 

 西宮神社開門神事講社の平尾亮講長(41)は、福男選びでも身に着けられる黄色の“えべっさん”手袋を参拝客や中学生が寄せたメッセージカードと共に参加者に贈呈。事故による負傷で右足が不自由ながら、今年も松葉づえをついて坂道を駆け、同行事の趣旨に賛同と感謝を表した。

 

 その他、4部門の1位は次の通り。
 【女性】阿部美由紀(35)北上市【小学生】田村葵里(12)山田町【中高生】長沼琉唯(14)矢巾町【男性30歳以上】遊佐昌由(33)福島市

 

(復興釜石新聞 2018年2月7日発行 第662号より)

 

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郷土の原風景の一つ「本郷の桜並木」の手入れに励む唐丹町住民ら

桜祭りへ並木を手入れ、唐丹町本郷〜地域住民 春待ち望み精を出す

郷土の原風景の一つ「本郷の桜並木」の手入れに励む唐丹町住民ら

郷土の原風景の一つ「本郷の桜並木」の手入れに励む唐丹町住民ら

 

 桜並木の花吹雪の中を大名行列が進む壮観な桜祭りで知られる釜石市唐丹町の本郷地区で28日、並木の手入れが行われた。住民、ボランティアら60人が参加し、植樹から84年を経て老化が進む木の枝打ちに精を出した。東日本大震災後は、2015年以来2回目となる桜祭り(天照御祖神社式年大祭)は今年4月下旬を見込むが、震災の復興途上で、大名行列が桜並木を渡御するかどうかはまだ決まっていない。

 

 午前中行われた桜並木の手入れ作業には、全町で構成する唐丹地域会議(川原清文会長)と本郷町内会(小池直太郎会長)を主体に、市職員らも参加した。電気工事業のアイ・デン社が高所作業車2台、釜石地方森林組合は大型グラップル積載車を出し、それぞれの職員が協力。専門知識を持つNPO法人桜onプロジェクトの樹木医、西山正大(ただし)さん(38)ら4人が指導した。

 

 並木は1933(昭和8)年12月23日の天皇生誕を祝い、翌年に旧唐丹村青年団が村内の幹線道路(旧国道45号)の全区間にソメイヨシノの苗木を植えた。同年3月3日の三陸大津波からの復興機運の醸成も願う大事業だった。

 

 本郷地区の中心部には850メートルにわたる並木がある。満開の桜の下で繰り広げられる大名行列の美しさは長年、祭りの白眉とされてきた。その名勝も、木の老化で失われかけている。

 

 今回の作業の対象となったのは約70本で、うち50本を手入れした。テングス病の枝や朽ちた幹を切除し、根や幹の負荷を軽減。花芽を採取し保存、肥料を施した。住民やボランティアは手作業でせん定し、切り落とした大小の枝を集めた。

 

 樹木医の西山さんらは震災後、3度目の本郷来訪。手入れの指導とともに花芽の採取も行い、唐丹の桜の遺伝子を保管する。「手入れと同時に、唐丹の桜の物語を残すことが大事。それを決めるのは住民であり、その意向によって、私たちが支援できることもあるだろう」と語った。

 

 この活動は、唐丹地域会議に対する宝くじ(自治総合センター)のコミュニティ助成金を活用した。

 

(復興釜石新聞 2018年1月31日発行 第660号より)

 

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広報かまいし2018年2月1日号(No.1681)

 広報かまいし2018年2月1日号(No.1681)

 

 広報かまいし2018年2月1日号(No.1681)

広報かまいし2018年2月1日号(No.1681)

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【目次】
表紙:釜石市制施行80周年記念式典、近代製鉄発祥160周年記念フォーラム、第8回全国虎舞フェスティバルを開催します
P02:復興住宅の入居者を再募集します、空き家有効活用セミナーを開催します
P03:岩手県海洋エネルギーシンポジウム、岩手県海洋エネルギー産業化研究会・講演会を開催します など
P04:意見を募集しています
P06:今月のインフォメーション
P08:第23回釜石市郷土芸能祭を開催します

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/koho/backnumber/detail/1215945_2596.html
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取り組みの成果を野田市長に報告した日本IBMと釜援隊の関係者

「釜石モデル」広めよう、活動成果をまちづくりに〜釜援隊 野田市長に取り組み案報告、地域への還元が今後の課題

取り組みの成果を野田市長に報告した日本IBMと釜援隊の関係者

取り組みの成果を野田市長に報告した日本IBMと釜援隊の関係者

 

 国が東日本大震災からの復興・創生期間終了と位置付ける2020年に向け、釜石リージョナルコーディネーター(釜援隊)の総括と方向性の検討を進めてきた釜石市と日本IBM(東京都中央区)は23日、釜援隊の活動成果や生み出した価値を今後のまちづくりにつなぐための取り組み案がまとまったとして野田武則市長に報告した。

 

 リージョナルコーディネーターは、復興事業やまちづくりの手助けをする復興支援員。釜援隊は市が総務省の復興支援員制度を活用して全国から募集し、13年4月に導入した。まちづくりに取り組む人や組織をつなぐ「調整役」として、これまで26人を受け入れ、うち12人が卒業し、現在14人が活動。メンバーはマスコミ、商社、国際開発機関など多様な経歴を持つU・Iターン者で、前職の経験や民間感覚を生かして地域活動や産業振興などを支援している。同支援員制度は20年度に終了が見込まれる。

 

 復興から地方創生へと移り変わる中、市は釜援隊が担っている役割や得た知見を未来に引き継ごうと、IBM戦略策定助成サービスを活用した「釜援隊の海図プロジェクト」を昨年10月から3カ月間展開。同社社員が隊員、市や隊員の派遣先の担当者ら15人に聞き取りを行い、隊員が提供した価値や残すべき事業と方法などを報告書(80ページ)にまとめた。

 

 報告は市役所で行われ、同社グローバルビジネスサービス事業部の中村健一部長が報告書の概要版で必要な取り組みを説明。「日本の中でも他にない活動。震災復興の中で隊員それぞれが個人事業主として構想を練り実行し、新しい風や人のつながりを生み、それが隊全体の力になった。そこに大きな価値がある。釜石らしいモデルとしてパッケージ化し、日本に広めてほしい」と強調した。

 

 海図としてまとめた取り組み案は、▽3つの総括=釜援隊を振り返る(残すべき組織活動・機能の検討、市・市民に提供した価値の定義など)▽5つの実践=閉じる活動・残すべき活動の整理(市とのコミュニケーション実施、継続活動のための財源確保の検討など)▽1つの開拓=釜石発リージョナルコーディネーター(展開方法の検討など)。20年度までに関係者と協議を進めていく。

 

 釜援隊の二宮雄岳隊長は「よそ者が多い組織を受け入れてくれた地域のおかげで活動できた。きっかけをつくったのは隊員だが、地域とともに起こした事業をどうやって地域に還元するかが課題。必要なものを残していくため取り組みを進めたい」と力を込めた。

 

 野田市長は「未曽有の大災害の中、志を持った人が集まったのが釜援隊。復興を中身の濃いものにしてもらった感がある。地方創生に向けた取り組みにいい効果を生み出してくれた大事なプロジェクト」と評価。報告書作成に協力したとして同社に感謝状を贈った。

 

 同席した山崎秀樹副市長は「次のステップアップとして価値を引き継ぐため、行政としても改めて方向性を考えなければ」と話した。

 

(復興釜石新聞 2018年1月27日発行 第659号より)

 

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《インタビュー》スクラム釜石代表・元新日本製鐵釜石ラグビー部V7戦士 石山次郎さん〜『ラグビーワールドカップ2019特集』チケット先行抽選販売開始

石山次郎

 

〜お知らせ〜
2/3(土) 15:35〜 NHK総合「ぐるっと にっぽん」で、石山次郎さんと伊藤剛臣さんのドキュメンタリー番組「ラガーマンは釜石に夢を見る」が全国放送されます。
※今回の縁とらんすのインタビューと番組内容は直接の関係はありません
※放送時間を13:35〜と誤って記載しておりました。正しくは15:35〜です(1/31 22:04追記)

 

4年に一度開催されるラグビーワールドカップ。第9回大会が2019年に日本で開催されることは、皆さんもうご存知のことでしょう。

 

ティア1と称されるラグビー強豪国以外での初めての開催とあって、どんな大会になるのか世界中のラグビーファンが熱い眼差しを注いでいます。そして、日本に住む私たちにとっては、世界トップレベルの熱戦を間近に見る事が出来る貴重な機会となります。

 

試合観戦チケットの先行抽選販売もスタートし、1月27日からはセットチケット(スタジアムパックとチームパック)の抽選販売の申込みが始まりました。(詳細はこの記事の最後でお知らせしています)

 

全国12会場で開催される全48試合のうち、我がまち釜石市でも2試合が行われます。

 

試合会場となるスタジアムは、釜石市鵜住居地区に現在建設中で、今年1月にシンボルとなるメインスタンドの大きな白い屋根が完成し、開催へ向けての盛り上がりを後押ししています。

 

今回は、昨年7月からこの建設現場で働く、元新日本製鐵釜石ラグビー部V7戦士で釜石ラグビーのレジェンド・石山次郎さんのお話しと共に、スタジアムの現在の様子をお伝えします。

 

ラグビーワールドカップの誘致活動から、スタジアムの建設現場へ

 

スタジアム建設現場

 

ーー石山さんがスタジアム建設現場で働いていると聞きとても驚いたのですが、どういった経緯でこちらへいらしたのですか?

 

石山さん:

まず、はじめに話は遡りますが、東日本大震災の4か月後に釜石市に参りまして、野田市長に「8年後に日本で開催されるラグビーワールドカップを釜石に誘致しましょう。」と提案をしました。

 

もちろん、当時の釜石がこの提案を受け入れられるような状況では無い事は承知していましたので、「外にいる私たちが動きます」という事をお伝えしに来た、という感じでした。

 

そして、ご存知の通り開催が決まりました。実現したわけです。それなのに、自分達で提案しておいて後は“知らん顔”というのは出来ないです。責任の一端として、自分も開催へ向けてのお手伝いがしたい、どんな方法が良いのかと考えていました。

 

私は動くのが好きで、作業するのが好きなんです。だったら、直接建設現場で働くことが出来たらいいなと。

 

ちょうど前職で定年を迎える時期だった事もあり、スタジアム建設を請負う事になった大成建設にいるラグビー仲間のツテを頼り、「働かせてください」と直接お願いしました。

 

資格マニアというわけでは無いのですが、これまでの仕事で様々な資格を取っておりましたので、現場でも何か役に立てるのではないかと思う部分もありました。

 

石山次郎

 

ーーそれでは、現在は資格を活かしたご担当をされていらっしゃるんですか?

 

石山さん:

それが、持っている資格とは全然関係ない事をしています(笑)

 

初めは「安全担当」の任務を頂きましたが、私は管理だとか指示だとかそういった事があまり得意ではなく・・・。やはり、とにかく体を動かしているのが性に合っています。

 

なので、「現場に出て作業をさせて下さい。動かないと窒息してしまいます!」と願い出て、今は測量会社の方に付いて作業補助を主な業務としています。

 

構造物を建てる前の位置、高さ、土をどれくらい削る、というミリ単位の細かな指示を出していくのが測量作業です。

 

私は、測量済みの場所に杭を打ち込み、そこに指示を表示する、というのを繰り返しています。もう、数えきれない程の杭を打ち込みました。多分、地球の軌道がずれると思います(笑)

 

ーー打ち込む衝撃で、ですね(笑)

 

石山さん:

そうですね。思いを込めて力いっぱい打込んでいますから! 指示を出した場所に色々な物が出来上がって行くのを見て、毎日充実感を持ちながら仕事をしています。

 

このスタジアムの存在が「震災の辛いことや悲しいことを払拭するシンボルになってほしい」

 

建設中のスタジアム

 

ーー毎日朝早くから暗くなるまで現場にいらっしゃるということですが、この場所でお仕事をしていて感じる事はありますか?

 

石山さん:

東日本大震災の時、この場所にあった学校に居た中学生・小学生が高台まで率先して逃げて助かりましたよね。ここに立つと、本当に良く逃げる事が出来たなと感心します。自分なら出来ただろうか・・・と。

 

ですから、ラグビーワールドカップを行うことで子供たちが“何か”を感じてくれたらと思いますし、この場所で開催される事の意義を、多くの皆さんが感じてくれたらと思います。

 

スタジアムの裏山の枯れ木が目に入ると、そこまで海の水が来たんだろうなと当時の状況が頭をよぎりますし、それと同時に、盛り土が済み、整地されて、建物が完成してと、復興計画が進んでいく様子をこの目で確認する事が出来ます。

 

私も東日本大震災の2週間後に、静岡から車に積めるだけの物資を積んで片岸地区に入りましたので、当時のこの辺りの景色を実際に見ています。あれから少しづつでも復興していく姿を造ることが出来たら・・・と考えています。

 

そして、このスタジアムの存在が、「震災の辛いことや悲しいことを払拭するシンボルになってほしい」と願っています。

 

ーースタジアムもメインスタンドの大屋根部分が完成して、だいぶ全体図が見えて来ました。やはり、近くで見ると大きくて迫力がありますね!

 

石山さん:

そうですね。もう少しすると、グラウンドの四方を囲むU字溝が完成します。それが出来ると、さらに雰囲気が伝わるようになりますよ。

 

また、今年3月上旬には、芝生を植える為の砂がフランスから届きます。芝生は、日本で初めて導入されるタイプのハイブリット芝です。そして、7月にはいよいよ完成を迎え、引き渡しの予定です。

 

スタジアムの完成、ワールドカップ開催に向けて

 

石山次郎

 

ーーラグビーワールドカップ開催まで、あと1年ちょっと前の時期になるわけですね。石山さんは、釜石で試合が開催される時はどのように過ごそうと考えていらっしゃいますか?

 

石山さん:

多分、ここには居ないです。私が居ると雨が降りますから(笑)

 

元々私には華やかな場所というのが似合わないんです。新日鐵釜石ラグビー部時代も、一緒に大観衆の中に飛び出していくチームメイトの背中を見て、「わぁ、格好良いな!」と他人事のように思いながらいました。

 

そういう感じが好きなので、当日は遠くから、「賑やかになってくれていればいいなぁ」と思っているのではないかと。

 

また、このようなNPO活動で「釜石でワールドカップをやります」と各地でお話しすると、「釜石には絶対に行きます!」という声をたくさん頂いてきました。

 

なので最近は、「釜石の人達に観てもらいたいから、あんまり来なくていいです!」と。まぁ、実際はそこまで言いませんけど(笑)

 

そのくらい反応が大きいのです。そうした事もあって、私自身はスタジアムでの観戦は遠慮しようと思っています。

 
ーー釜石市内にはいらっしゃいますか?

 

石山さん:

この現場の契約が今年の6月までなので、その後は千葉の自宅に戻ろうかなと。
そこからはきっと、釜石市民の皆さんの手で素晴らしい形を作って行ってくれると思いますから!

 

ーー市民の皆さんにはどのように大会を迎えて欲しいですか?

 

石山さん:

まずは、とにかく楽しんで欲しいです。試合を観戦する事だけではなくて、様々な楽しみ方が出来ると思います。

 

風の便りに聞くのですが、釜石市が当日の試合を盛り上げるイベントも検討しているとか・・・。スタジアムに入る人だけではなく、その周りに集まる人達にも空を見上げて楽しんでもらえるようなことも聞きます・・・。なので、雨を降らすわけにはいかないんです(笑)

 

それから、やっぱり「ラグビーって面白いんだな!」という事を感じて欲しいです。釜石を訪れる色々な国の方々とふれ合って欲しいとも思います。

 

そして何より、開催で得られたものが釜石の未来に活かされて欲しい。そこから、更にその先に繋がっていって欲しいと、漠然とですが強く思っています。

 

==========

 

現役時代は、スクラムの最前列で寡黙にチームを支え続け、数々の勝利に貢献して来た石山さん。その当時と同じ気持ちで、今は釜石の復興とラグビーワールドカップの成功に向け、スタジアムの建設現場で日々戦っていらっしゃるんだな、と感じました。

 

<石山次郎さん プロフィール>
1957年生まれ 秋田能代工業高校卒業後、新日本製鐵釜石ラグビー部に入部。ポジションはプロップ。
1979年~1985年のラグビー日本選手権7連覇時代の主要メンバーの一人。日本代表キャプ数19
1988年現役引退。
東日本大震災後V7戦士やラグビー仲間と共に立ち上げた、NPOスクラム釜石の代表を務める。
現在は、大成建設株式会社東北支店に所属し、大成建設・新光建設特定共同企業体が受け持つ、釜石鵜住居復興スタジアム(仮称)の整備工事現場に携わっている。

 

ラグビーワールドカップ2019™ 試合観戦チケットの先行抽選販売開始

 

「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」

 

ラグビーワールドカップ日本大会のキャッチコピーです。石山さんのお話しにあったように、色々な楽しみ方や関わり方が出来るはずです。あなたはその日をどんな風に迎えますか?

 

チケットを入手して絶対に観戦したい!という方は、まずは、公式チケットサイトでID登録をしましょう!
ラグビーワールドカップ2019™日本大会公式チケットサイト
https://tickets.rugbyworldcup.com/

 

そして、ID登録済みのすべての人向けの「セットチケット(スタジアムパック、チームパック)の先行抽選販売」が既にスタートしています!スケジュールは以下の通りです。

 

●申込み受付期間: 2018年1月27日(土)~2月12日(月)
●抽選結果発表日: 2月26日(月)

 

また、試合開催地住民を対象とした「通常チケットの先行抽選販売」もあります。こちらは、居住している都市で行われる試合のみ対象です。ID登録をした岩手県民すべてが対象で、釜石で開催される2試合に一般販売より6ヶ月早く申込が出来ます。

 

●申込み受付期間: 2018年3月19日(月)~4月12日(木)
●抽選結果発表日: 4月26日(木)

ラグビーワールドカップ 公式Facebook
https://www.facebook.com/rugbyworldcupjp/

 

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内

釜石市で最後の着工となる浜町復興公営住宅の建設地

復興住宅 市内最後の着工、浜町で待望の安全祈願〜計画から2年遅れ、12月の完成見込む

釜石市で最後の着工となる浜町復興公営住宅の建設地

釜石市で最後の着工となる浜町復興公営住宅の建設地

 

 釜石市が浜町に整備する東部地区浜町復興公営住宅の安全祈願祭が19日、現地で行われた。現在市内の仮設住宅などに住む31世帯が既に入居者として内定。土地の造成が遅れ、当初の計画から2年遅れとなったが、出席者は神事などで、被災者の住環境改善に向けた事業の万全を期した。県整備分、集合・戸建ても含めた復興公営住宅として市内で最後の着工。12月に見込まれる浜町復興公営住宅の完成をもって全1316戸の整備が完了することになる。

 

 浜町復興公営住宅は当初2016年1月の着工、同12月の完成を予定していたが、ふくそうする埋設管(使用していない管)の撤去に時間を要したことなどから宅地造成工事が遅れていた。

 

 釜石港に近い津波浸水地域を7メートルかさ上げした敷地約3640平方メートルに建設。鉄筋コンクリート造り5階建てで、31戸を設ける。延べ床面積は約2360平方メートルで、間取りは1LDK20戸、2LDK11戸。付帯施設として物置、自転車置き場、駐車場、ごみ置き場、避難デッキも整備する。

 

 民間事業者が設計と施工を行う建物提案型買い取り方式を採用。タカヤ(盛岡市)と山長建設(釜石市)が施工し、事業費は約9億円を見込む。

 

早期完成を祈願した市、工事関係者

早期完成を祈願した市、工事関係者

 

 施行者が主催した安全祈願祭には関係者約30人が出席。くわ入れなどの神事を行った後、発注者の野田武則市長は「震災から間もなく7年。実質は8年で本当に遅くなったが、やっと最後の復興公営住宅の着工を迎えることができた。感無量。住まいができることで、甚大な被害を受けたこの地域に多くの人が戻ってくるきっかけになってほしい」とあいさつした。

 

 市内の復興公営住宅は昨年末までに1214戸(92・2%)が完成。残り102戸は、4月に両石地区の集合(県整備)、5月に東部地区の只越5号が完成する見込み。両石地区の戸建ては2期に分かれ、5月と10月を予定。12月に完成する見通しの今回の浜町で整備が完了する。

 

(復興釜石新聞 2018年1月24日発行 第658号より)

 

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黍原さん夫妻のサポートで乗馬を楽しむ

馬との触れ合い 多様な刺激に、障害児向け療育プログラム提供〜三陸駒舎「ホースセラピー」活用、黍原さん 思いを実現

馬のぬくもりに触れ、命の大切さも感じながら世話をする男児(左)。自然と表情が和らぐ=12日午後

馬のぬくもりに触れ、命の大切さも感じながら世話をする男児(左)。自然と表情が和らぐ=12日午後

 

 馬との触れ合いを通じた心身のケア療法「ホースセラピー」に取り組む釜石市橋野町の一般社団法人三陸駒舎(寄田勝彦代表理事)が、新たに障害児向けの療育プログラムの提供を始めた。昨年12月に国の障害児福祉サービス事業所の指定を受け実施。同サービスにホースセラピーを取り入れた事業所は県内では初めてで、震災のストレスや生活環境の変化に適応が難しい子どもらを馬の力で支援する。

 

 同法人が開設した「児童デイサービスさんこま」は、心身に障害や発達の遅れが見られる18歳以下(場合によって20歳まで)の子どもを対象とする。個人の特性や発達の状況に合わせて療育計画を作成。自主的に取り組めるプログラムで、日常生活における基本的動作の向上、社会性、協調性などの育成を促す。

 

 築90年の古民家を改修した活動拠点で、同法人理事の黍原豊さん(40)と馬房の掃除、ブラッシング、乗馬など約1時間の活動を行う。馬の世話は「他者の役に立てる」という自己有用感を生み、馬具の取り付けなどの作業で手先の器用さや順序立てて考える力も養われる。「体を使うことで脳が刺激され、できることが増えてくると、自信や安心が生まれ、自己肯定感にもつながる」と黍原さん。

 

黍原さん夫妻のサポートで乗馬を楽しむ

黍原さん夫妻のサポートで乗馬を楽しむ

 

 大槌学園4年の男児は、週3回のプログラムを利用する。12日は6回目の活動で、雌の道産子馬アサツキ(7)の世話をして、乗馬を楽しんだ。黍原さん、妻の里枝さん(43)がやさしく声をかけながら活動をサポート。男児は道具の扱いにも慣れてきて、乗馬では見事なバランス感覚を見せ、笑顔を輝かせた。黍原さんによると「回を重ねるごとに馬とのコミュニケーションが深まり、必要な作業も手際が良くなっている」という。

 

 療育の主軸とするのは「感覚統合療法」。感覚統合とは脳に入ってくる感覚を整理したりまとめたりする機能のことで、感覚刺激の体験を増やし、うまく刺激を受け入れられるようになると、周りの状況に応じた行動が取れるようになっていくという。馬との触れ合いには多様な刺激があり、同療法の発祥地米国では多くの療育施設で馬を導入。心身発達に効果を上げている。

 

 2015年の法人設立当初から「いずれは障害を持つ子どもたちのための事業を」と考えていた黍原さん。親子体験会や支援学校でのセラピーを重ねる中で、定期的なプログラムを望む声が増えたことも事業化を後押しした。「馬は周囲の空気を読む力が強く、人間の気持ちを敏感に感じ取る。言葉を使わないコミュニケーションで馬が返してくれる反応は、子どもたちに多くの学びをもたらす」と、馬との出会いを薦める。

 

 個別活動のほかグループでの活動にも対応する。利用料金(自己負担額)は1回687~837円(利用形態による)。原則、水・木曜日が休みで、利用は午前9時~午後6時まで。午後は送迎も可能。問い合わせは黍原さん(電話090・7070・7378)へ。

 

(復興釜石新聞 2018年1月20日発行 第657号より)

 

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宮古〜釜石間18年度開通へ、鵜住居など5駅 今秋までに工事完了〜JR山田線、復旧状況公開

宮古〜釜石間18年度開通へ、鵜住居など5駅 今秋までに工事完了〜JR山田線、復旧状況公開

 復旧、整備が進み、報道陣に公開された陸中山田駅のホーム(前方が釜石方面)

 

 東日本大震災で被災したJR山田線宮古~釜石間(55・4キロ)鉄道復旧工事は、軌道の敷設、駅ホームや橋りょうの構築など作業が続けられている。山田町の陸中山田駅ではこ線橋の構築が完了し、工事を行うJR東日本盛岡支社東北工事事務所は16日、報道関係者に現地を公開。2018年度内の運行再開を目指して順調に作業が進んでいることをアピールした。

 

 同事務所によると、津波による浸水被害を受けた7つの駅と6つの主要な橋りょうで復旧工事が進められており、駅では津軽石駅(宮古市)や織笠駅(山田町)でホームの復旧が進行。鵜住居駅(釜石市)では軌道工事が完了し、今後はホームの復旧工事を行う。

 

 また、吉里吉里~大槌間の大槌川橋りょうでは河川護岸の復旧工事が進行中。これが終わり次第、橋りょう付近へのアプローチ部の工事に着手する。

 

 被災駅舎の復旧は7駅中5駅をJR東日本が担当する。磯鶏駅(宮古市)と津軽石駅は駅舎の修繕で対応し、織笠駅、浪板海岸駅(大槌町)、鵜住居駅は新設。陸中山田駅と大槌駅は自治体側が受け持つことになっている。

 

 JRが担当する5駅の工事については、津軽石駅と織笠駅を皮切りに4月から開始する予定。5月からは磯鶏駅、浪板海岸駅、鵜住居駅でも開始。これらの5駅は8月までには工事が完了する予定となっている。

 

ホームを結ぶ跨(こ)線橋も再建された

ホームを結ぶ跨(こ)線橋も再建された

 

 工事は原形復旧が基本で、200億円をかけた事業が各地で進行。陸中山田駅も同様で、以前とほぼ同じ場所、同規模での工事が進む。16年4月に山田町の区画整理事業による駅周辺のかさ上げ(約3メートル)が終わり、引き渡しを受けて工事を開始。こ線橋の構築、レールやコンクリート製枕木の敷設、相対式2面2線ホーム(長さ70メートル)の施工を終え、現在はホーム上屋、モーターカー庫の整備を行っている。

 

 同事務所三陸復興工事区の瀧内義男区長は、関係自治体のまちづくり事業との連携により工事が円滑、順調に進んでいると強調。今秋に主要な工事を完成させ、検査、試運転を経て運行を再開させたい考えだ。「山田線の復旧は多くの人が待ち望んでいる。安全第一に工事を進め、再開を迎えられるよう、全力で取り組む」と意気込んだ。

 

 同区間の復旧については、JR東日本・三陸鉄道・関係自治体の3者間の合意に基づき、JR東日本が鉄道復旧を担当し、復旧後は三陸鉄道が引き継ぎ、北リアス線・南リアス線と一体運営することが決まっている。

 

(復興釜石新聞 2018年1月20日発行 第657号より)

 

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三鉄の思い出を表現した及川陽也君の作品

「マイレール」を絵で描く〜三陸鉄道「遠足列車」表彰、20点入賞

 「お絵かき遠足列車」の入賞者、出品した子どもたち

「お絵かき遠足列車」の入賞者、出品した子どもたち

 

 三陸鉄道(本社宮古市、中村一郎社長)が沿線の保育園児などを対象に募集した「お絵かき遠足列車」の表彰式は6日、釜石市港町のイオンタウン釜石で行われ、最高賞となる県三陸鉄道強化促進協議会(会長=達増拓也知事)会長賞を受賞した小佐野保育園の及川陽也(はるや)君(6)ら3人にそれぞれ賞状が贈られた。同列車は昨年9月から10月まで運行され、釜石市内から4保育園、保育所、こども園の園児89人が乗車。旅した思い出を詰め込みながら三鉄の絵を描き、「マイレール」に親しんだ。

 

 同列車は1995年から運行。昨年は北、南リアス両線で、9市町村33団体の園児が絵を描き、526点の作品が同社に寄せられた。この中から同協議会長賞1点、三鉄社長賞1点、各市町村特別賞9点、同さんてつくん賞9点が選ばれた。

 

 釜石市内では及川君のほか、市特別賞を中妻子供の家保育園の藤井愛蓮(あれん)君(5)、市さんてつくん賞をかまいしこども園の川村向葵(ひまり)さん(6)が受賞した。表彰式では中村社長、野田武則市長が入賞者に賞状を贈呈。加えて中村社長は、作品を寄せた全園児に贈る参加賞を各園の職員に託した。

 

 及川君は、白い車体に赤と青のラインが入った車両を画用紙いっぱいに描いて「三鉄愛」を表現した。列車が好きな理由は「走っているところがかっこいいから」。頑張ったところは背景の空と海で、水色と青色を使い分けていて「上手にできた」と満足そうだった。

 

三鉄の思い出を表現した及川陽也君の作品

三鉄の思い出を表現した及川陽也君の作品

 

 藤井君、川村さんの作品は列車の旅を楽しむ乗客の笑顔が印象的な、思い出いっぱいの絵に仕上がった。受賞作品は南、北の各線の車内で公開。釜石市内の応募作品は6日までイオン釜石に展示された。

 

 表彰式であいさつした中村社長は来年3月にJR山田線宮古―釜石間が三鉄へ移管されることに触れ、「新しいスタートを間もなく迎える。旅を楽しみ、地域に愛される鉄道を目指していく」と強調。野田市長は「三鉄沿線には見どころ、おいしいものがある。三陸各地の宝物を楽しむ旅をどんどんしてほしい。マイレールの三鉄をこれからも利用してもらいたい」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2018年1月13日発行 第655号より)

 

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さまざまな歌を歌い、復興を願う思いを届けたあんべ光俊さん

ふるさと復興、歌で応援〜あんべ光俊さん、新春ホカホカ来舞

 さまざまな歌を歌い、復興を願う思いを届けたあんべ光俊さん

さまざまな歌を歌い、復興を願う思いを届けたあんべ光俊さん

 

 釜石市出身のシンガーソングライターあんべ光俊さんの「新春ホカホカ来舞(ライブ)」が4日、大只越町の石応禅寺(都築利昭住職)で開かれた。あんべさんの後援会有志による実行委が主催。入場無料の復興応援ミニライブに近隣住民や市内のファンなど約60人が集まり、歌やトークで心温まる時間を過ごした。

 

 前半は、あんべさんと交流のある地元釜石のアコースティックバンド「ブラック★かまリンズ」が演奏。釜石で中学・高校時代を過ごしたミュージシャン、故大瀧詠一さんの「それはぼくじゃないよ」「夢で逢えたら」など5曲を歌い、楽しませた。

 

 あんべさんは代表曲「遠野物語」、震災復興応援歌で岩手銀行のCMソングにも使われた「力は無限大」など7曲を披露。「星の旅」の南部弁バージョンでは、方言に置きかえた歌詞が観客の笑いを誘った。アンコールの「トビウオ」では振り付けした手の動きを観客に教え、会場一体となって体を揺らし、にぎやかなラストを飾った。

 

 あんべさんはこの日、遠野市でコンサートがあり、復興に向かう釜石を元気づけようと古里に足を延ばした。市民ホールの開館など復興の歩みについて「心のよりどころができるのはすごく大事。環境が変わっていくことで、身内などを亡くされた方々の気持ちが少しでも和らいでいけば」と願った。

 

 同寺では昨年9月、市芸術文化協会の岩切潤会長の葬儀があり、あんべさんも歌をささげた。2人は長年親交があり、あんべさんにとって岩切さんは「頼りになる親分だった」という。「亡くなる2日前には大船渡のミニライブにも来てくれていた。訃報を聞いた時は本当にびっくりで…。ご縁があって今回、こちらでライブをさせていただくが、きっとどこかで聞いてくれているはず」と偲(しの)んだ。

 

(復興釜石新聞 2018年1月10日発行 第654号より)

 

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広報かまいし2018年1月15日号(No.1680)

広報かまいし2018年1月15日号(No.1680)

広報かまいし2018年1月15日号(No.1680)

 

広報かまいし2018年1月15日号(No.1680)

広報かまいし2018年1月15日号(No.1680)

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【目次】
表紙:釜石市民ホールこけら落とし公演「かまいしの第九」演奏会
P02:税金の申告が始まります
P04:都市計画案の説明会と縦覧、三陸鉄道両石駅と鵜住居駅の愛称募集など
P05:市職員の給与をお知らせします
P06:まちの話題
P08:保健案内板
P10:まちのお知らせ
P12:ラグビーワールドカップ2019™ミニ通信

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元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/koho/backnumber/detail/1215393_2596.html
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