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受験のお守りにと、釜石駅で配布している「すべらせない砂」

すべらせない”砂” 今年も配布、JR釜石駅

受験のお守りにと、釜石駅で配布している「すべらせない砂」

受験のお守りにと、釜石駅で配布している「すべらせない砂」

 

 釜石市鈴子町のJR釜石駅(角谷公博駅長)で、線路の「滑り止め」用の砂に合格祈願を込めた「すべらせない砂」を配布している。同駅改札前にある神社を模した配布コーナーで、自由に入手できる。配布は3月中旬ごろまで。

 

 砂は本来、落ち葉で車輪が空転するのを防ぐためレールにまかれるもの。同駅では験担ぎにと、受験シーズンに合わせて受験生への応援グッズとして配布している。市内の神社でおはらいし、合格特急券「釜石駅から合格駅ゆき」と書かれた片道切符とともに袋詰めした。

 

 砂をもらうために訪れる人も多いといい、今年は1500個を用意。入社2年目という窓口担当の小林諭さん(25)は「全駅員が真心を込めて作りました。気休めのお守りになれば。努力は報われると思うので、平常心で落ち着いて戦ってほしい」と受験生にエールを送る。

 

 砂の配布と合わせて同駅では、絵馬風メッセージシートに今年の決意や目標、願いを書くスペースも設けている。早速書き込まれた絵馬には復興や一年の幸せといった願い事や、「立派な大人になって帰ってきます」との決意も。小林さんら若い駅員の発想を取り入れた取り組みで、「駅に足を運んでもらえるよう、楽しくなることを考えた。新しい年への思いを書きに来てほしい」と呼びかけている。

 

(復興釜石新聞 2016年1月16日発行 第453号より)

 

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「検事の死命」テレビ放送、柚月裕子さん(釜石出身)「孤狼の血」は直木賞候補に

「検事の死命」テレビ放送、柚月裕子さん(釜石出身)「孤狼の血」は直木賞候補に

「検事の死命」テレビ放送、柚月裕子さん(釜石出身)「孤狼の血」は直木賞候補に

「検事の死命」がドラマ化された柚月裕子さん。直木賞候補にもノミネートされている

 

 釜石市出身の作家、柚月裕子さん(47)=山形市在住、釜石応援ふるさと大使=の推理小説を原作にした「検事の死命」が、あす17日午後9時からテレビ朝日系(本県は岩手朝日テレビ)のドラマスペシャルとして放送される。柚月さんは第154回直木賞の候補にも決定、19日の発表を待つ。

 

「検事の死命」は、柚月さんが弁護士・佐方貞人を主人公に描いた人気シリーズの3作目。第1作の「最後の証人」は昨年1月に放送され、上川隆也が勝算ゼロの裁判に挑む佐方を演じ、大きな反響があったという。

 

 これを受け、今回は「検事の死命」から短編「死命を賭ける」「死命を決する」をドラマ化。前回は”ヤメ検弁護士”としての佐方の法廷闘争を描いたが、今回は検事時代の苦闘を法廷サスペンスとして仕上げた。前回に続き、主人公の佐方を上川隆也が演じる。

 

 試写を見た柚月さんは「原作にはないエピソードも加えられ、驚きの連続。とても面白いドラマに仕上がった」と放送に期待する。

 

 柚月さんは2008年、「臨床真理」で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、09年に作家デビューした。12年、「検事の本懐」で山本周五郎賞にノミネート。13年には同作品で大藪春彦賞を受賞した。

 

 昨年暮れに発表された第154回芥川賞・直木賞の候補作では、第5作の「孤狼の血」(KADOKAWA)が直木賞にノミネートされた。受賞作は19日に発表されるが、柚月さんは「まさか、まさかのノミネート。候補に挙げられただけで、ありがたい。たとえ受賞できなかったとしても、選考委員が下さる選評が、作家としての私の今後の大きな財産になる」と話す。

 

(復興釜石新聞 2016年1月16日発行 第453号より)

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釜石情報交流センターの多目的集会施設としてオープンした「チームスマイル・釜石PIT」

「心の復興」エンタメで支援 チームスマイル、大町に釜石PITオープン〜貴重なステージ 幅広い市民の活用期待

釜石情報交流センターの多目的集会施設としてオープンした「チームスマイル・釜石PIT」

釜石情報交流センターの多目的集会施設としてオープンした「チームスマイル・釜石PIT」

 

 音楽や演劇などエンターテインメントを通して東日本大震災の復興支援活動を展開している一般社団法人チームスマイル(東京都渋谷区、矢内廣代表理事)が本県での活動拠点とするライブシアター「釜石PIT」が9日、釜石市大町にオープンした。同法人が運営に協力。さまざまなジャンルのコンサートや映画上映、首都圏でのライブビューイングなどを行い、被災地の「心の復興」を支援する。市内では釜石市民ホール(仮称)が完成する2年先まで発表の場の不足が懸念され、市民が利用できる貴重なステージとしても幅広い活用が期待される。

 

 釜石PITは東京と被災3県に開設する4カ所の活動拠点のうち、豊洲(東京)、いわき(福島県)に続く3番目のオープン。チームスマイルが2014年9月に釜石市と結んだ支援協定に基づき、釜石情報交流センターの多目的集会施設として併設された。息の長い活動ができるよう、豊洲PITの事業収益を釜石など被災3県の施設運営や支援活動に充てる。

 

 約200平方メートル、収容客数(着席)約150人のホールにステージや255インチの大型スクリーンなどを設置。外壁は、チームスマイルの制作委員で震災後から釜石の復興支援活動を続けているアーティスト日比野克彦さん(東京芸術大教授)がハートマークのコラージュを施し彩った。

 

 落成披露式には関係者約150人が出席。主催者を代表して矢内代表は「復興とは地元の人たちが自分の足で立つことだと思う。釜石PITは心の復興を支援する。復興のシンボルとして地元の人たちに愛される施設になってほしい」とあいさつ。野田武則市長は「釜石PITを拠点に、市民が自分の力で新しい展開ができるようサポートしていきたい」と決意を述べた。来賓として出席した遠藤利明五輪担当相は「東京オリンピックはスポーツの祭典であるとともに文化の祭典でもある。文化の力は大きい。釜石PITを中心に大きなうねりにしてほしい」と期待を述べた。

 

釜石PITのオープンを祝うチームスマイルの矢内廣代表、遠藤利明五輪相、野田武則市長(右から)

釜石PITのオープンを祝うチームスマイルの矢内廣代表、遠藤利明五輪相、野田武則市長(右から)

 

 落成式に続き、釜石市民によるオープニングイベントが開かれた。かまいしこども園の園児らによる「虎舞」で開幕し、地元のダンスチーム「いがったんたら」の子どもらがレゲエのリズムに乗せて躍動感あふれるダンスをステージいっぱいに披露。釜石高校の音楽部員らはステージから降り、客席を埋めた市民とともに復興支援ソング「花は咲く」などを歌った。最後に尺八やギター、ベース、太鼓と和洋の楽器が融合したグループ「和(なごみ)」の演奏で締めくくった。

 

釜石PITのオープニングイベントは、かまいしこども園の園児らによる「虎舞」で開幕

釜石PITのオープニングイベントは、かまいしこども園の園児らによる「虎舞」で開幕

 

釜石PITの落成を記念し、ダンスを披露する「いがったんたら」の子どもたち

釜石PITの落成を記念し、ダンスを披露する「いがったんたら」の子どもたち

 

 震災後からダンスを習い始めたという中村美咲さん(釜石中2年)は「客席がとても近く感じ、みんなの笑顔で気持ちよく踊れた。これから、このステージでいろんなイベントが開かれるのが楽しみ」と期待。釜石高音楽部の萬海果部長(2年)は「お客さんもたくさんいて、とても楽しかった。震災後は老人ホームなどで歌ってきましたが、今後はこのステージでもコンサートを開きたい」と声を弾ませた。

 

釜石高音楽部はステージから降り、客席の市民と声を合わせる

釜石高音楽部はステージから降り、客席の市民と声を合わせる

 

和洋融合の音楽で締めくくったグループ「和」のステージ

和洋融合の音楽で締めくくったグループ「和」のステージ

 

 釜石PITではチームスマイルが企画する映画上映やライブビューイングなど年間20回余りのイベントを開くほか、各界の著名人有志88人でつくる「チームスマイル東北応援団」による講演会なども予定。市内の各種団体や一般市民にも有料で貸し出す。

 

 施設は釜石情報交流センター指定管理者の釜石まちづくり会社が運営し、一般向けの予約は半年前から受け付ける。すでに土日を中心に予約が入り始めており、今月30日には長唄三味線の発表会を予定する。

 

(復興釜石新聞 2016年1月13日発行 第452号より)

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記念撮影で弾ける笑顔を輝かせるグループ

復興願い大人の一歩〜信じる道へ決意新たに、釜石市成人のつどい 275人の門出祝う

華やかな振り袖、スーツなどに身を包んだ新成人

華やかな振り袖、スーツなどに身を包んだ新成人は、多くの来賓、家族らに見守られながら大人としての第一歩を踏み出した

 

 11日の成人の日を前に釜石市では10日、市と市教育委員会主催の「成人のつどい」が県立釜石高校体育館で開かれた。中学校卒業間近に東日本大震災を経験し、大きな環境の変化の中で自分の人生を切り開いてきた今年の新成人。震災から5年となる年に踏み出す大人の一歩にそれぞれの誓いを秘め、信念を持って邁(まい)進する姿勢を示した。

 

東日本大震災から4年10ヶ月

 

 今年の新成人は1995年4月2日から96年4月1日までに生まれた人で、式典には男性146人、女性129人の計275人が出席した。震災犠牲者に黙とうをささげて開式。あいさつした野田武則市長は、限りある人生をどう生きるかを問いながら、「震災」「釜石人の誇り」「復興まちづくり」に言及。「震災の教訓を決して忘れず、次世代にも命の大切さを伝えてほしい。釜石は日本の近代化の原点。戦災、津波を乗り越えてきた不撓(とう)不屈の精神がある。できることから始め、皆さんの力をまちづくりにいただきたい」と期待した。

 

記念撮影で弾ける笑顔を輝かせるグループ

記念撮影で弾ける笑顔を輝かせるグループ

 

 新成人が歩んできた20年間は道路、港湾、発電など釜石発展につながる大事業が成し遂げられた一方、学校、病院統合で教育、医療環境の転換期を迎えた。新しいまちづくりが進もうとする矢先、震災が発生。中学校の卒業式は延期され、不安や苦難を抱えながらの高校生活スタートとなった。

 

 高校卒業後、進学、就職先で精進を重ねる新成人。古里の復興を願いながら、自分自身の夢に向かっている。出席者を代表し抱負を発表した柏崎晴香さん(19)と藤井みちるさん(20)は、共に釜石商工高出身で高校時代はなぎなた部で活躍した。柏崎さん(茨城県、晃陽看護栄養専門学校在学)は「つらい時、支えてくれるのは釜石で過ごした18年間の土台。将来は災害医療に関わるのが目標。震災を経験した自分だからこそできる看護がきっとある」、藤井さん(イオンスーパーセンター釜石店勤務)は「今まで以上に感謝の気持ちを忘れず、自分自身を成長させていきたい。釜石は思い出が詰まった温かい場所。いつか自分なりの形で恩返ししていきたい」と決意を表した。

 

釜石の伝統芸能「虎舞」で式典を盛り上げた新成人有志

釜石の伝統芸能「虎舞」で式典を盛り上げた新成人有志

 

 男女11人の有志は、支えてくれた家族や地域の人たちに感謝の気持ちを込め、虎舞を披露。釜石市民歌の斉唱で式典の幕を閉じた。終了後は同級生との再会を喜び、近況などを報告し合う光景が広がり、華やかな雰囲気に包まれた。

 

(復興釜石新聞 2016年1月13日発行 第452号より)

 

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広報かまいし2016年1月15日号(No.1632)

広報かまいし2016年1月15日号(No.1632)

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【目次】
表紙:釜石情報交流センターオープン!国内初のミッフィーカフェ誕生!
P02:間もなく税の申告です~準備はお早めに~
P04:市職員の給与の状況をお知らせします
P05:平成26年度釜石大槌地区行政事務組合会計 決算のあらまし
P06:軽自動車税の税額を変更します
P07:災害危険区域を指定しました、市の臨時職員、非常勤職員を募集します、釜石・大槌地域産業育成センター情報便10
P08:まちの話題
P10:市民のひろば
P12:保健案内板
P14:まちのお知らせ
P16:跡地利用ワークショップを開催します、被災者支援フォームラムを開催します、灯油購入費の一部を助成します

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仕事始めで「釜石情報交流センター」を視察した達増拓也知事(左)

本格復興完遂へ決意新た、達増知事 今年も被災地から始動〜情報交流センター視察、林業再生でも意見交わす

仕事始めで「釜石情報交流センター」を視察した達増拓也知事(左)

仕事始めで「釜石情報交流センター」を視察した達増拓也知事(左)

 

 2016年の仕事始めとなった4日、達増拓也知事は今年も沿岸の被災地から始動した。陸前高田市から北上し、正午前に釜石入り。昨年12月にオープンした「釜石情報交流センター」を視察したあと、釜石地方森林組合で組合員らと懇談。今年は県復興計画(8年)の第2期(本格復興期間、2014~16年度)の締めくくりとなり、「一年の計は沿岸にあり。本格復興期間をやり遂げる意思を込め、沿岸からスタートした」と新年の決意を示した。

 

 大町の交流センターでは野田武則市長らが達増知事を出迎え、施設を案内。オランダ生まれのウサギのキャラクターをモチーフとした国内唯一の「ミッフィーカフェ」でランチを味わいながら懇談した。

 

 先月23日にオープンしたカフェの客入りは1日平均約300人といい、この日も家族連れなどでにぎわった。野田市長は「これまで釜石になかった形。にぎわいの持続、多くの人が集まる形を定着させるのが今後の課題」と説明。災害公営住宅の建設は進んでいるものの、自力再建に向けた土地のかさ上げなどで手つかずの地区があることにも触れ、「世界遺産登録、ラグビーワールドカップ開催地決定といいニュースがあったといっても、被災された人にとっては再建が先。復興が遅れれば評価されない」と気を引き締めた。

 

 達増知事は市の復興スケジュールが遅れていることについて、「順調にいくようにしなければ」と一層の奮起を促した。

 

 片岸町の釜石地方森林組合(佐々木光一組合長)では、高橋幸男参事が林業を通じた雇用拡大や人材育成、被災者の生活再建を後押しするための高品質低価格な住宅の提案など取り組みを説明した。

 

釜石地方森林組合では組合員らを激励した

釜石地方森林組合では組合員らを激励した

 

 達増知事は約20人の職員を前に、「本県は北海道に次ぐ森林面積を持っており、林業を復興、ふるさと振興の大きな柱にしたいと考えている。釜石は先端的な取り組みを行っており、今後もぐいぐい引っ張っていってほしい」と激励。「今年は国体の年で、県民が岩手、地元のことを考えるいい機会となる。地域の宝という森林資源、林業という生業についても理解を深めてもらう年でもあり、県民、住民に支えられながら力強く前進する林業をつくっていくため、頑張っていきましょう」と呼びかけた。

 

(復興釜石新聞 2016年1月9日発行 第451号より)


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待ちわびた初日の出に手を合わせ、写真に収める初詣客=元日午前7時2分

御来光に願い込め、震災5年 希望の年に〜釜石大観音 初日の出

釜石大観音から望む初日の出。新年の希望の光が降り注ぐ

釜石大観音から望む初日の出。新年の希望の光が降り注ぐ

 

 東日本大震災から5年目となる2016年が幕を開けた。釜石市内は元日の最高気温が平年並みの6・5度、2日は4月上旬並みの9・6度となるなど、穏やかな「初春」を迎えた。各地の神社やお寺は初詣の人たちでにぎわい、復興の加速、景気の上向き、家族の健康などを祈り、新しい一年に希望を膨らませた。

 

 眼下に釜石湾が広がる釜石市大平町の釜石大観音には元日朝、初詣と初日の出をお目当てに市内外から参拝者が訪れ、震災以降の同日同時間帯としては一番の人出となった。元日は午前10時半ごろから夕方にかけて家族連れを中心に混雑。正月三が日で昨年並みの約1万3千人が訪れた。

 

 2013年以来の好天に恵まれた元日。初日の出への期待を胸に、早朝から初詣客の動きも活発化し、大観音境内は御来光を拝もうという人たちであふれた。水平線や尾崎半島を染める赤色が次第に濃くなり、午前7時ごろ半島部から太陽が顔を出すと、神々しい光が湾内を照らした。待ちわびていた人たちは、しきりにカメラのシャッターを切り、美しい光景を目に焼き付けた。

 

待ちわびた初日の出に手を合わせ、写真に収める初詣客=元日午前7時2分

待ちわびた初日の出に手を合わせ、写真に収める初詣客=元日午前7時2分

 

 初詣客は今年一年の無病息災、目標達成、復興加速などそれぞれの願いを込めて手を合わせ、新年の誓いを新たにした。参拝後はおみくじを引いたり、お守りやお札を買い求めたりし、幸多き年へ期待を膨らませた。

 

 同観音への初詣は初めてという遠野市の川島充さん(58)は「昨年は家族みんな健康で過ごせた。今年も何事もなく、あっという間の一年になるように」と願い、長女の美波さん(15)は「成績を上げる、友達ともっと縁をつなげる年にしたい」と高校生活の充実を誓った。

 

 愛知県東海市から帰省した高澤洋哉さん(25)は「製鉄所で働いている。後輩もでき教える立場になってきたので、さらに仕事を頑張っていきたい」と新年の抱負。震災で平田の実家が津波に襲われ、家族は定内町に再建した自宅で暮らす。古里釜石の復興について「若い人が力を発揮し、活気のあるまちになってほしい」と思いを寄せた。

 

 釜石大観音は昨年、落慶45周年を迎えた。建立された1970年は本県で初めて国体が開かれた年で、今年は2回目の岩手国体の開催年。節目の年が続く。

 

(復興釜石新聞 2016年1月6日発行 第450号より)

関連情報 by 縁とらんす
釜石大観音 公式サイト
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震災から5年の節目へ、復興を実感できる年に〜2016年新年交賀会 各界代表、市民ら200人誓い合う

震災から5年の節目へ、復興を実感できる年に〜2016年新年交賀会 各界代表、市民ら200人誓い合う

震災から5年の節目へ、復興を実感できる年に〜2016年新年交賀会 各界代表、市民ら200人誓い合う

新年交賀会で乾杯し、本格復興の推進を誓い合う釜石市内各界の代表

 

 2016年仕事始めの4日、釜石市の新年交賀会が大町のホテルサンルート釜石で開かれた。市、市議会、釜石商工会議所が主催する年頭の恒例行事。市内各界の代表や市民ら約200人が出席し、東日本大震災から5年の節目を迎える今年こそ本格復興を実感できる年にしようと誓い合った。

 

 「君が代」を斉唱したあと野田武則市長が年頭のあいさつ。「昨年は『復興が遅れている』とのお叱りや提言を受け、申し訳ない思いをした」と振り返った上で、「今年こそ被災者が復興を実感できる年にしたい」と決意を述べた。

 

 今年は市が10年をめどに進める復興計画中期(2014~16年度)の最終年に当たる。野田市長は、橋野鉄鉱山の世界遺産登録、ラグビーワールドカップ(W杯)開催地決定、海洋エネルギー実証フィールド選定、岩手大の水産系学部開設―の4つを「希望の可能性」として挙げる一方、「今なお多くの被災者が仮設住宅で不便な暮らしを強いられている。暮らしの再建を第一に全力で取り組みたい」と強調した。

 

 被災した中心市街地を3つのブロックに分けて進めている復興事業にも言及。「水産のまちの復活を目指すとともに、外からやって来た人たちの力も借りながら、安心して暮らせるコミュニティーづくりにも取り組んでいく。三陸全体で手を携えて進む、新しい形も示したい」などと述べた。

 

 佐々木義昭・市議会議長のあいさつに続き、釜石商議所の山崎長也会頭が「地域経済は市民の努力で着実に歩みを進めている。今年は復興へ正念場の一年。市の施策を積極的に支援していきたい」と意欲を示した。沿岸広域振興局の佐々木和延局長らが加わり、威勢よく鏡開き。小野共県議の発声で乾杯し、復興と躍進を誓った。

 

(復興釜石新聞 2016年1月6日発行 第450号より)

 

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広報かまいし2016年1月1日号(No.1631)

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【目次】
表紙:市長年頭あいさつ
P02:復興情報 被災地区のまちづくり-vol.7
P06:今月のインフォメーション、おもいをつむぐはなみずき
P08:身近な防災豆知識20、松飾りを収集します

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国内唯一のカフェのオープンをミッフィー(左)も祝う(

にぎわい創出 交流拠点に〜釜石情報交流センターオープン、多様なイベントに活用「釜石PIT」

にぎわい創出の拠点となる釜石情報交流センターのオープンをテープカットで祝う野田武則市長(中央)ら

にぎわい創出の拠点となる釜石情報交流センターのオープンをテープカットで祝う野田武則市長(中央)ら

 

 釜石市が市内中心部のにぎわいや交流創出の拠点として大町に整備を進めてきた「釜石情報交流センター」が完成し、23日にオープンした。センターは、映画やコンサートなどイベントに使用される多目的集会室と、オランダ生まれのウサギのキャラクターをモチーフとした国内唯一の「ミッフィーカフェ」を中心に構成。隣接して整備する「釜石市民ホール」(仮称)と連動し、市民活動の活性化を図る。カフェには釜石でしか買えないオリジナルグッズもあり、初日から家族連れなど大勢の市民でにぎわった。

 

 センターは鉄骨造り2階建て、延べ床面積約970平方メートル。会議室(2室)、ポスターの印刷や映像・音楽が編集できる市民スタジオ、仕事や勉強に使えるワークスペース(12席)のほか、無料で使えるラウンジ(約200平方メートル)もある。館内はどこでも公衆無線LANが利用できる。

 

 多目的集会室は約160人収容で、市と復興支援協定を結んだ一般社団法人との契約で「チームスマイル・釜石PIT」と命名。来年1月9日にオープンし、映画や首都圏でのライブ上映などイベントが年間40回程度実施される計画だ。オープニング記念イベントとして1月11日にはゴスペラーズのツアーも予定されているが、チケットはすでに完売したという。

 

映画上映など多様なイベントに使用する「釜石PIT」

映画上映など多様なイベントに使用する「釜石PIT」

 

目玉は国内唯一の「ミッフィーカフェ」

 

 多目的集会室で行われた竣工(しゅんこう)式には関係者約50人が出席。野田武則市長は「これまで釜石にはなかった、若い女性や子どもにも愛される施設ができた。多くの市民に親しまれる施設として末永く活用したい」とあいさつ。ミッフィーカフェの開設に尽力したオランダ大使館経済部の小松原和世商務補佐官は「かわいいミッフィーが、人のつながりの仲人になった」と喜んだ。

 

 目玉テナントとなるカフェには、正午のオープンを前に家族連れなど約100人が列を作った。3人の娘と3時間以上も前から並んで一番乗りとなった鵜住居町の金野宏美さん(39)は「復興の第一歩。これをきっかけに釜石が発展してほしい」と願った。長女の恭佳さん(釜石小5年)は「ミッフィー大好き。でも、(キャラクターの形をしたスイーツは)かわいそうで食べられないかも」と複雑な表情。

 

国内唯一のカフェのオープンをミッフィー(左)も祝う

国内唯一のカフェのオープンをミッフィー(左)も祝う

 

 カフェでは、ミッフィーがラグビーボールを抱いたぬいぐるみやマグカップなどオリジナルグッズも販売する。受付カウンターでは、若い女性らが次々にグッズを買い求めていた。

 

2階ラウンジから望むミッフィーカフェ。ガラス張りで目抜き通りが見える

2階ラウンジから望むミッフィーカフェ。ガラス張りで目抜き通りが見える

 

 指定管理者として同センターを運営する釜石まちづくり株式会社の谷澤栄一事業部長は「ハードはできたが、今後はソフトの充実が課題となる。このにぎわいが続くよう、若い人だけではなく、お年寄りも気軽に利用できるような仕掛けを工夫していきたい」としている。

 

(復興釜石新聞 2015年12月26日発行 第448号より)

 

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緑あふれるにぎやかなジオラマが完成し、笑顔を見せる鵜住居幼稚園の園児たち

防災林の大切さ ジオラマで学ぶ、鵜住居幼稚園 園児ら作って体感

緑あふれるにぎやかなジオラマが完成し、笑顔を見せる鵜住居幼稚園の園児たち

緑あふれるにぎやかなジオラマが完成し、笑顔を見せる鵜住居幼稚園の園児たち

 

 釜石市鵜住居町の鵜住居幼稚園(佐藤順子園長、園児33人)で17日、震災の津波を軽減した防災林の大切さや失われた防災林の再生に向けた取り組みを楽しく学ぶジオラマづくり体験が行われた。

 

 公益社団法人国土緑化推進機構(東京都千代田区)、NPO法人宮城県森林インストラクター協会(利府町)、NPO法人環境パートナーシップいわて(盛岡市)の共催。将来を担う子どもたちに森林や海へ親しみを持ってもらい、海岸防災林再生の取り組みを継承させようと、津波被害の大きかった宮城県を中心に3年ほど前から実施してきた。本県で行うのは今回が初めて。3者の関係者7人が同園を訪れ、津波や塩害を防ぐ防災林の役割や必要性を寸劇で紹介した。

 

 この後、園児はジオラマづくりを開始した。釜石の海岸線をイメージで再現した縦約60センチ、横約1㍍の土台に、木を植え、粘土などで作った乗り物や生き物、家などを配置。森と海、生き物が織りなす風景を伸び伸びと表現したジオラマを完成させた。

 

 ブロックを組み立てた家を作ったという金﨑翔太朗君(6)は「ものをつくることが楽しかった。木を植えれば、海の風から畑を守れることが分かった」、小笠原桃華ちゃん(6)は「かわいいから猫をつくった。動物を大切にしないといけないと思った」と、周りの自然や環境の大切さを感じていた。

 

 震災後、同園の環境整備を支援してきたという環境パートナーシップいわての野澤日出夫代表理事は「園児を対象にしたのは今回が初めてだったが、感性が素晴らしく、きらきらした目で参加してくれた。海、川、山を守り、動物が住める環境をつくることが結果的に人間の生活をつくることにつながる。そういうことを理解するきっかけになれば」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2015年12月19日発行 第446号より)

 

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枕木の交換作業から着手した山田線南工区の復旧工事

山田線本格復旧へ着工、宮古ー釜石 2工区で安全祈願 18年度内の全線一括開業目指す

枕木の交換作業から着手した山田線南工区の復旧工事

枕木の交換作業から着手した山田線南工区の復旧工事=17日、釜石市両石町で

 

 東日本大震災で被災し、第三セクター三陸鉄道への移管が決まったJR山田線宮古―釜石間(55・4キロ)の復旧工事は17日、南工区(岩手船越―釜石のうち16・6キロ)と北工区(宮古―浪板海岸のうち29・5キロ)でそれぞれ安全祈願祭が行われた。両区間の復旧工事に当たるJR東日本盛岡支社によると、工事費は約200億円を見込み、2018年度内の全線一括開業を目指す。 

 

 山田線宮古―釜石間の復旧工事はすでに3月7日に宮古市で全体の着工式が行われているが、その後進めてきた測量調査などの準備が整ったことから、2工区に分けて本格的な工事に入ることになった。

 

 両工区では、津波で流失した駅舎やホーム、線路、橋の修繕をはじめ、機能強化に向けた工事を行う。沿線自治体によるかさ上げ事業など、まちづくりとの兼ね合いでルートが未確定の区間(9・3キロ)はJR東日本東北工事事務所が復旧工事を担当する。

 

 釜石市両石町であった南工区の祈願祭には、工事関係者ら約30人が出席。玉串をささげ、工事の安全を祈った。JR東日本盛岡支社設備企画部の阿部徳之企画担当課長は「やっと本格的な工事に入ることができる。地元の期待も非常に大きい。安全第一で工事を進め、三陸鉄道に移管したい」と述べた。

 

 南工区の安全祈願祭であいさつするJR東日本盛岡支社設備企画部の阿部徳之企画担当課長

南工区の安全祈願祭であいさつするJR東日本盛岡支社設備企画部の阿部徳之企画担当課長

 

 安全祈願に続き、老朽化したレールの交換や枕木をコンクリート製に変えるなどの作業から着手した。

 

(復興釜石新聞 2015年12月19日発行 第446号より)

 

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