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緑あふれるにぎやかなジオラマが完成し、笑顔を見せる鵜住居幼稚園の園児たち

防災林の大切さ ジオラマで学ぶ、鵜住居幼稚園 園児ら作って体感

緑あふれるにぎやかなジオラマが完成し、笑顔を見せる鵜住居幼稚園の園児たち

緑あふれるにぎやかなジオラマが完成し、笑顔を見せる鵜住居幼稚園の園児たち

 

 釜石市鵜住居町の鵜住居幼稚園(佐藤順子園長、園児33人)で17日、震災の津波を軽減した防災林の大切さや失われた防災林の再生に向けた取り組みを楽しく学ぶジオラマづくり体験が行われた。

 

 公益社団法人国土緑化推進機構(東京都千代田区)、NPO法人宮城県森林インストラクター協会(利府町)、NPO法人環境パートナーシップいわて(盛岡市)の共催。将来を担う子どもたちに森林や海へ親しみを持ってもらい、海岸防災林再生の取り組みを継承させようと、津波被害の大きかった宮城県を中心に3年ほど前から実施してきた。本県で行うのは今回が初めて。3者の関係者7人が同園を訪れ、津波や塩害を防ぐ防災林の役割や必要性を寸劇で紹介した。

 

 この後、園児はジオラマづくりを開始した。釜石の海岸線をイメージで再現した縦約60センチ、横約1㍍の土台に、木を植え、粘土などで作った乗り物や生き物、家などを配置。森と海、生き物が織りなす風景を伸び伸びと表現したジオラマを完成させた。

 

 ブロックを組み立てた家を作ったという金﨑翔太朗君(6)は「ものをつくることが楽しかった。木を植えれば、海の風から畑を守れることが分かった」、小笠原桃華ちゃん(6)は「かわいいから猫をつくった。動物を大切にしないといけないと思った」と、周りの自然や環境の大切さを感じていた。

 

 震災後、同園の環境整備を支援してきたという環境パートナーシップいわての野澤日出夫代表理事は「園児を対象にしたのは今回が初めてだったが、感性が素晴らしく、きらきらした目で参加してくれた。海、川、山を守り、動物が住める環境をつくることが結果的に人間の生活をつくることにつながる。そういうことを理解するきっかけになれば」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2015年12月19日発行 第446号より)

 

釜石市

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枕木の交換作業から着手した山田線南工区の復旧工事

山田線本格復旧へ着工、宮古ー釜石 2工区で安全祈願 18年度内の全線一括開業目指す

枕木の交換作業から着手した山田線南工区の復旧工事

枕木の交換作業から着手した山田線南工区の復旧工事=17日、釜石市両石町で

 

 東日本大震災で被災し、第三セクター三陸鉄道への移管が決まったJR山田線宮古―釜石間(55・4キロ)の復旧工事は17日、南工区(岩手船越―釜石のうち16・6キロ)と北工区(宮古―浪板海岸のうち29・5キロ)でそれぞれ安全祈願祭が行われた。両区間の復旧工事に当たるJR東日本盛岡支社によると、工事費は約200億円を見込み、2018年度内の全線一括開業を目指す。 

 

 山田線宮古―釜石間の復旧工事はすでに3月7日に宮古市で全体の着工式が行われているが、その後進めてきた測量調査などの準備が整ったことから、2工区に分けて本格的な工事に入ることになった。

 

 両工区では、津波で流失した駅舎やホーム、線路、橋の修繕をはじめ、機能強化に向けた工事を行う。沿線自治体によるかさ上げ事業など、まちづくりとの兼ね合いでルートが未確定の区間(9・3キロ)はJR東日本東北工事事務所が復旧工事を担当する。

 

 釜石市両石町であった南工区の祈願祭には、工事関係者ら約30人が出席。玉串をささげ、工事の安全を祈った。JR東日本盛岡支社設備企画部の阿部徳之企画担当課長は「やっと本格的な工事に入ることができる。地元の期待も非常に大きい。安全第一で工事を進め、三陸鉄道に移管したい」と述べた。

 

 南工区の安全祈願祭であいさつするJR東日本盛岡支社設備企画部の阿部徳之企画担当課長

南工区の安全祈願祭であいさつするJR東日本盛岡支社設備企画部の阿部徳之企画担当課長

 

 安全祈願に続き、老朽化したレールの交換や枕木をコンクリート製に変えるなどの作業から着手した。

 

(復興釜石新聞 2015年12月19日発行 第446号より)

 

復興釜石新聞

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実習で製作した門松を釜石市役所に設置

「被災地に元気を!」復興願う門松設置、花巻農高 釜石市役所前に

実習で製作した門松を釜石市役所に設置

実習で製作した門松を釜石市役所に設置。念入りに仕上げする花巻農高生

 

 花巻市の花巻農高(佐藤文也校長、生徒369人)の生徒らが18日、釜石市役所の入り口に門松を設置した。門松には被災地の復興と明るい新年の訪れへの願いが込められ、野田武則市長は「立派だ。訪れる人に時節を感じてもらえる環境をつくってもらった」と感謝した。

 

 門松づくりと寄贈は授業で学んだ技術を生かして地域に貢献しようと、2009年度から授業の一環として実施。通学で利用する駅などに贈ってきた。震災を受け、「岩手を元気に!被災地に元気を!」との思いを込めて福を呼び込むといわれる門松を贈ることを企画。12年にも釜石に届けている。本年度は同校環境科学科で造園などを学ぶ緑化コース2年生19人が約3週間の実習でわら細工を中心に準備した。

 

 この日は、同コースの生徒7人、教職員ら3人が市役所を訪れ、作業に取り組んだ。門松は高さ1・8メートル。直径約40センチの鉢に稲わらを巻いて作った土台に、異なる高さに切った3本の竹を垂直に差し込み砂で固定し、竹の周りをマツ、造花のウメなどで飾り付け。1時間弱の設置作業で、「松竹梅」のめでたい縁起物が完成した。

 

 瀬川亮太君は「釜石の人の幸せを願って心を込めて作った。達成感が大きい」、佐々木汰一君は「初めて作ったので完璧とは言えないが、心を込めた精いっぱいの作品。被災地の方と触れ合う機会がないので、この門松をきれいに仕上げることで気持ちが伝われば」と話した。

 

(復興釜石新聞 2015年12月23日発行 第447号より)

 

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ミッフィーカフェかまいし オリジナルグッズ

ミッフェーカフェかまいしと釜石情報交流センターの年末年始の営業について

ミッフィーカフェかまいし

 

12月23日にオープンした「ミッフィーカフェかまいし」は連日多くのお客様にご来店頂いております。年末年始は営業時間を変更して営業いたします。

 

ミッフィーカフェかまいし 年末年始の営業時間
12月29日(火) 通常営業(10:00〜22:00)
12月30日(水) 10:00〜17:00
12月31日(木) お休み
1月1日(金) 10:00〜17:00
1月2日(土) 通常営業(10:00〜22:00)
1月3日(日) 通常営業(10:00〜22:00)

 
 

また、ミッフィーカフェかまいしが入店する「釜石情報交流センター」は1月3日まで休館となりますが、受付にてミッフィーカフェかまいしのオリジナルグッズの販売を以下の時間にて行っております。

 

ミッフィーカフェかまいし オリジナルグッズ

 

ミッフィーカフェかまいし オリジナルグッズ 年末年始の販売時間
12月29日(火) 10:00〜20:00
12月30日(水) 10:00〜17:00
12月31日(木) お休み
1月1日(金) 10:00〜17:00
1月2日(土) 10:00〜20:00
1月3日(日) 10:00〜20:00

 
ミッフィーカフェかまいしオリジナルグッズ(全て税込)
・ミッフィーのぬいるぐみ(大)・・・1,800円
・ミッフィーのぬいるぐみ(小)・・・1,200円
・トートバッグ(大)・・・1,300円
・ランチバッグ(小)・・・900円
・マグカップ・・・1,000円
・マスキングテープ(2種)・・・各350円
・クリアファイル・・・150円
 
皆さまのご来店を心よりお待ちしております。

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

06-min

釜石情報交流センター竣工式とミッフィーカフェオープニングセレモニー

釜石情報交流センター竣工式

 

12月23日(水)、釜石市大町に建設された「釜石情報交流センター」の竣工式と、同施設1階に開店した「ミッフィーカフェかまいし」のオープニングセレモニーが執り行われました。

 

釜石情報交流センターは、255インチの大型スクリーンと高輝度プロジェクターを完備し160人収容可能な「チームスマイル・釜石PIT(多目的集会室)」、国内唯一の常設カフェとなる「ミッフィーカフェかまいし」、映像や音楽制作などの様々な市民活動をフォローする「市民スタジオ」、会議やワークショップなどに最適な「会議室(2室)」、個人ブース型の「スタディコーナー(12席)」のほか、フリースペースとして利用可能なライブラリーや大画面でのデジタルサイネージを備えた「ラウンジ」、ミーティングや学習など使える「スタディコーナー」により構成される複合施設です。

 

チームスマイル・釜石PITで行われた竣工式では、関係者約50名が出席し、たくさんの報道機関による取材も行われました。

 

釜石情報交流センター竣工式 記念ムービー

 

釜石情報交流センター竣工式 テープカット

 

竣工式終了後には、開店を心待ちにしていた多いの人々と共に、ミッフィーカフェかまいしのオープニングセレモニーが開催されました。お祝いに駆けつけてくれたミッフィーとの写真撮影会も行われ子どもから大人までたくさんの笑顔で溢れました。

 

ミッフィーカフェかまいしオープングセレモニー

 

ミッフィーカフェかまいしオープングセレモニー

 

ミッフィーカフェかまいし オープニングセレモニー – YouTube

 

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内

広報かまいし2015年12月15日号(No.1630)

広報かまいし2015年12月15日号(No.1630)

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広報かまいし2015年12月15日号(No.1630)

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【目次】
表紙:ずっと忘れないよ園舎に感謝と別れを告げて
P02:「挑戦」で振り返る釜石の2015年
P04:市職員を募集します
P05:平成28年1月からマイナンバーの利用が始まります
P06:平成27年度釜石市市勢功労者表彰、償却資産申告書の受け付けが始まります
P07:被災した人の「医療費の一部負担金」「介護保険の利用者負担金」の免除期間を平成28年12月31日まで延長します、~釜石からの手紙プロジェクト~釜石らしさが伝わる写真を募集、年末年始の休館情報
P08:まちの話題
P10:市民のひろば
P12:保健案内板
P14:まちのお知らせ
P16:かまいし徒然日記

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-22-2111 / 0193-22-2686 / メール
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釜石市

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甲子かきまる 甲子柿イメージキャラクター

愛称は「甲子かきまる」甲子柿イメージキャラクター

甲子かきまる 甲子柿イメージキャラクター

「甲子かきまる」のぬいぐるみを手に、笑顔を見せる藤井会長(右)。甲子柿を活用した活動の活発化に意欲を新たにした

 

 釜石市の甲子地区活性化協議会(藤井サエ子会長)は10日、特産品「甲子柿」のPRを目的に考案したイメージキャラクターの名前を「甲子かきまる」に決定したと発表した。甲子町の道の駅「釜石仙人峠」で開かれた名称発表会で、手作りのぬいぐるみも登場。手にした藤井会長は「末永くかわいがってもらえるよう、大好きな柿を中心に、キャラクターやスタッフと一緒に甲子地区を盛り上げていきたい」と意欲を新たにした。今後は、出荷する際の箱やパック用のシール、物産イベントやリーフレットなどに使用し、市内外に甲子柿をPRする。

 
 
同協議会は甲子柿を守る会や生産組合などで構成し、今年4月に発足。甲子地区ならではの魅力を再発見し、磨き上げ、活用し、発信するのを目的に、甲子柿の新商品開発・販売、観光マップの作成に取り組んでいる。

 

 活動の一環として、キャラクターづくりを企画。震災後の復興支援をきっかけに、釜石の宿泊施設やNPO法人の活動のサポートを続けている福岡市在住の画家ニシノミサさんに作画を依頼した。

 

 キャラクターは、いぶされて渋柿から甘い柿に生まれ変わった甲子柿の妖精(男の子)という設定。「自然豊かな甲子地区のおおらかさやのどかさ、つややかで甘くてぷるりとして、ほっぺたが落ちそうなくらいおいしい甲子柿の豊かさ」をイメージし形にしたという。開いた両手には「夢や希望をつかむ」との意味があり、甲子柿を一つのきっかけに地域が元気に、みんなが夢を持って生きるきっかけの一つになればとの願いを込めた。

 

 名称は、同協議会が10月に開いたイベントで募集。市内外から72件の応募があった。関係者による協議の結果、「柿の丸い形をイメージさせ、言葉の響きの柔らかさや親しみやすさ」との点から埼玉県在住の60代男性が応募した「かきまる」を採用。「甲子」という名字を付けて地域性をプラスした。

 

 名称発表会では、細胞を壊さずに冷凍できるCAS冷凍機を使った冷たい柿、ジェラート、たれやジャムなど加工品づくりの研究を進めていることも説明。今後、商品化に向けた活動を活発化させていく方針だ。

 

(復興釜石新聞 2015年12月16日発行 第445号より)

 

釜石市

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かまいしの第九

思いは一つ「第九」響き渡る、大平中生は校歌を高らかに

かまいしの第九

県内外から集った約150人の合唱愛好者らが「歓喜」の声を上げ、師走の釜石を彩る=6日、釜石高

 

 師走の釜石に今年もベートーベンの「第九」が響き渡った。6日に釜石高校体育館で行われた「かまいしの第九」演奏会(同実行委員会主催、釜石市、市教委共催)。東日本大震災で釜石市民文化会館が被災した後も会場を移して途切れず続き、今年で38回目。県以外から集まった合唱愛好者や釜石高の生徒など約150人が震災からの復興を願い、高らかに声を上げた。「オーケストラと歌おう」のコーナーには大平中(高橋亨校長)の全校生徒124人が出演。最後に客席を埋めた約400人の市民と共に「歓喜の歌」の声を上げ、復興への思いを一つにした。

 

 演奏会は大平中生の歌声で幕開け。同校の校歌のほか、復興支援ソング「花は咲く」をさわやかに響かせた。客席には父母らも詰め掛け、晴れの舞台に大きな拍手を送った。

 

心一つに「校歌」などを歌い上げた大平中の全校生徒

心一つに「校歌」などを歌い上げた大平中の全校生徒

 

 そして、「第九」。約50人編成のオーケストラが第2楽章までを奏でた後、第3楽章から4人のソリストが入場。第4楽章の途中から合唱団が立ち上がり、「歓喜の歌」でクライマックス。150人が一つになり、壮大なハーモニーを響かせた。

 

 大手ゼネコンの熊谷組から派遣され、2年前から嬉石・松原地区のかさ上げ工事など復興事業の現場代理人を務める相見秀毅さん(50)は「みんなの気持ちを一つにする音楽の力に感動した。今後の仕事にも励みになる」と感激に浸った。

 

 鳥取県出身で、釜石に来るまでは音楽とは全く無縁の生活。第九メンバー募集の新聞記事を目にし、「まちの歴史や市民の思いを少しでも知りたい」と昨年から活動に飛び込んだ。しかも、2年目の今年はバスからテノールに転向。見事に歌い切り、「怖いもの知らずです」と大きな体で笑い飛ばした。現場の仲間も舞台づくりなど裏方として全面的に協力した。

 

 相見さんは「(釜石での復興事業は)最低でもあと4年はかかりそう。仕事に区切りが付くまで、まだまだ釜石のみなさんと感動の日々を重ねたい」と意を新たにした。

 

 初めてオーケストラに合わせて歌った大平中2年の堀切友裕君(次期生徒会長)は「最初は合わせるのが大変でしたが、自分たちの思いは届けることができた」と胸を張る。高橋校長は「生徒たちの一生の思い出になる」と感謝した。

 

 6年前の長男に続き二男の今井宙翔君(2年)がステージに立った平田の今井沙織さん(38)は「ちょうど私が生まれた38年も前から続く第九は、その歴史がすごいと思う。その演奏会を2人の息子が体験できて、とてもうれしい」と拍手を送った。

 

(復興釜石新聞 2015年12月9日発行 第443号より)

 

釜石市

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テープカットし吉浜道路の開通を祝った式

三陸道「吉浜道路」開通 復興加速に期待、釜石ー大船渡 距離縮む

テープカットし吉浜道路の開通を祝った式

テープカットし吉浜道路の開通を祝った式典。地元住民や三陸道沿線市町の関係者が喜びに包まれた

 

 東日本大震災の「復興道路」として国が整備を進める三陸沿岸道路の一部、大船渡市三陸町越喜来から吉浜を結ぶ「吉浜道路」(3・6キロ)が11月29日に開通した。これまで利用されてきた急カーブ、急勾配が続く国道45号に比べ約6分の走行時間短縮が見込まれ、安全な通行とともに医療、物流、観光など復興を後押しする多方面での整備効果が期待される。開通式典に出席した釜石市の野田武則市長は「釜石と大船渡の連携が一層強まり、次の吉浜釜石道路につながる非常に大きな一歩。道路整備は地域経済の活性化、特にも震災で大きなダメージを受けた三陸にとっては欠かすことができないもの。引き続きの加速をお願いしたい」と期待を込める。

 

 午後3時の一般車両通行開始を前に、午前10時から吉浜地区で開通式典が行われた。石井啓一国土交通大臣が「吉浜道路は安全、安心な命の道として沿岸地域の再生と振興に大きく寄与するものと期待される。復興まちづくりの希望の光になるよう、一日も早い全線の完成に向け最大限の努力をしていく」とあいさつ。達増拓也県知事、戸田公明大船渡市長が完成までの経過を紹介し、整備による地域への波及効果に大きな期待感を示した。テープカットや地元地権者の親子三代渡り初め、車両パレードが行われ、出席者約300人が念願の開通を盛大に祝った。

 

 同道路は片側1車線の自動車専用道路。越喜来高架橋(584メートル)、吉浜トンネル(1644メートル)、吉浜高架橋(373メートル)と3つの構造物が区間内の約7割を占める。越喜来側はすでに供用されている「大船渡三陸道路」に、吉浜側は2018年度完成予定の「吉浜釜石道路」につながる。三陸、吉浜両インターチェンジ(IC)で国道45号と結節する。今回の開通で大船渡市内すべてのICが完成し、本県南部は陸前高田市竹駒町から大船渡市三陸町までの28・7キロ区間が通行可能となった。

 

 吉浜道路と並行する45号区間は交通の難所とされる羅生峠があり、正面衝突などの事故も多い。今回の開通で、峠越えの回避による重大事故の削減、迅速で安定した救急搬送、海産物輸送の鮮度保持―など生活や産業の質向上に期待が高まる。

 

 県沿岸南部の高度救命救急、周産期医療を担う県立大船渡病院の伊藤達朗院長は「救急、ハイリスク分娩患者の搬送時間の短縮で早期治療、救命率向上が期待でき、患者負担も軽減される。高規格道路は医療資源の少ない沿岸部にとって貴重なインフラ」と歓迎。釜石ロード女性の会の岩切久仁会長は「うれしいですね。(大船渡)病院も近くなるし、これが早く釜石までつながればと切に願う。道路は人の往来を生む。都会からも(地方に)どんどん訪れるようになるのでは」と明るい未来を描いた。

 

(復興釜石新聞 2015年12月2日発行 第441号より)

 

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翳った太陽を歌う会

再び歌える日を願い 震災で中断も、本格練習を開始〜戦争体験に耳傾ける 「翳った太陽」を歌う会

翳った太陽を歌う会

戦争体験者の話を聞き、語り継ぐとの思いを新たに歌声を響かせる翳った太陽を歌う会の会員ら

 

 釜石市の合唱グループ「翳(かげ)った太陽を歌う会」(菊地直美会長、会員17人)は26日、「戦争体験者の話を聞く会」を小川町の働く婦人の家で開き、米英軍による2度の釜石艦砲射撃(1945年)を経験した甲子町の佐々木郁子さん(86)が語る戦争の悲惨さに耳を傾けた。

 

 佐々木さんは、鈴子町にあった釜石製鉄所病院に看護師として勤務していた16歳の時に艦砲射撃を経験。爆撃の始まりから患者を防空壕(ごう)へ避難させる様子、2時間に及ぶ爆撃のあとの変わり果てた街や負傷者が次々運ばれる病院の様子などを生々しく語った。

 

 「苦しい、助けて」。夜間の巡回時、病院に響く患者のうめき声が耳に残り、「ゆっくり治療すると約束したのに、命をなくした人も多く、悔しさ、悲しさでいっぱいだった」と声を詰まらせた。終戦を告げる玉音放送は「無条件降伏で絶望、不安がある一方、解放される喜びや希望も湧いてきた」と、猛勉強し資格を取得した助産師としての活躍についても語った。

 

 佐々木さんは「想像できますか。今は本当に平和。天災は自然なので防げないが、戦争は人災で起こること。体験者でなくても悲惨さを繰り返さないため、戦争は絶対しない、平和国家を守ってほしい」と願った。

 

 同グループは2005年に活動を始め、今年で11年目。市戦没者追悼式での献歌、小学校でのコンサートなどを行ってきた。その中で歌い継いできた合唱組曲「翳った太陽」は、市内の戦争体験者2人の短歌や絵手紙を元に創作されたもの。会員のほとんどが戦争を体験していない世代で、曲への理解を深めようと同様の会をこれまで4回行い、体験者の心に触れながら戦争について学んできた。

 

 震災で活動場所の同家が避難所になるなど活動が中断。戦争の愚かさ、平和の尊さを訴えるこの組曲も、戦災の生々しい惨状が震災直後の情景と重なり、歌えなくなった。「震災の悲しい記憶を呼び起こすようで」と、同グループ講師で作曲者の最知節子さん(72)は振り返る。

 

 計6曲の組曲は全17分。戦後70年を迎えた今年、追悼式で短い前奏曲だけ披露した。市民ホールが完成した際、全曲披露できるよう、10月から本格的な練習を開始。これに合わせ、話を聞く会も再開することにした。

 

 震災当時会長を務め、今は大渡町のみなし仮設住宅で暮らす種市誓子さん(68)は「戦争は普通の当たり前の生活を奪う。混乱期の中を気丈に生き抜いた佐々木さんの姿を見聞きし、若い人に伝えていかなければとの思い、平和への願いが強まった」と感動。最知さんは「全曲歌える日が来るよう、一歩ずつ歩みを進めていきたい」と意欲を見せた。

 

 同グループでは会員を募集している。申し込みは婦人の家(電話23・2017)へ。

 

(復興釜石新聞 2015年11月28日発行 第440号より)

 

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広報かまいし2015年12月1日号(No.1629)

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【目次】
表紙:「釜石情報交流センター」オープン
P02:復興情報 被災地区のまちづくり-vol.6
P05:跡地利用ワークショップを開催します、道路の除雪作業にご理解・ご協力を、釜石市スマートコミュニティフェア2015、平成28年釜石市新年交賀会
P06:今月のインフォメーション、おもいをつむぐはなみずき
P08:身近な防災豆知識19、釜石地区被災者相談支援センターをご利用ください、市長のつぶや記

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釜石市 総務企画部 広聴広報課 広報係
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夢プラン実現へ食の文化祭〜栗林の魅力 料理で発信 芸能発表、バザーもにぎやかに

仮設住宅を含む地域住民手作りの料理の振る舞いは今年も大人気

仮設住宅を含む地域住民手作りの料理の振る舞いは今年も大人気

 

 住民交流と地域の魅力発信を目指す「栗林・食の文化祭」は15日、栗林小体育館で開かれた。釜石市栗林町全域の町内会が連合組織する栗林共栄会(遠野健一会長、約250世帯)、市社会福祉協議会(丸木久忠会長)が主催し、昨年に続き2回目の開催。住民手作りの料理の振る舞いや餅まきに、新たに趣味の作品展示、芸能発表、バザーが加わり、町内外の約300人が心温まるひとときに笑顔を輝かせた。

 

仮設住民も心温まるひととき

 

 開会にあたり実行委員長の遠野会長は、震災後に仮設住宅や住宅の自立再建で同町に暮らす人たちが増えたことに触れ、「住んで良かった、住んでみたいと思われるような古里を後世に残したい。食を通して栗林の自然、歴史、文化を共有し、仲間を増やしてもらえれば」とあいさつした。

 

 健康体操や柳亭左龍さんの落語で身も心もリラックス。地元芸能の丹内神楽、地域住民の歌と踊りで会場が盛り上がる中、お待ちかねの昼食時間を迎えた。豚汁やおにぎりが振る舞われたほか、料理自慢の住民が出品した総菜やおこわ、和・洋菓子など34点の試食があった。地元産の野菜、果物、穀物などを使ったアイデアあふれるメニューが並び、来場者は食欲をそそられながら皿に取り分けた。

 

市指定無形文化財(第1号)に登録されている「丹内神楽」

市指定無形文化財(第1号)に登録されている「丹内神楽」

 

 沢田地区の川崎公夫さん(66)は、アユの腹にウニを詰めたオリジナルの甘露煮、厚焼き卵、スイートポテトを出品。調味料にも工夫を凝らした自信作で、「料理が好きでよくやる。甘露煮は昨年、すぐに無くなったので今年は1皿追加。みんなに喜んでもらえればと卵焼きなどを足した」と振る舞いの機会を楽しんだ。

 

 震災の津波被害を免れた同町には6カ所の仮設住宅が建設され、ピーク時には約200世帯が入居。現在は165世帯が暮らす。被災し同町に自宅を再建しているのは約30世帯。環境の変化に伴うコミュニティー再生などの課題解決につなげようと、地域資源や人と人との絆を生かした「食の文化祭」が企画された。

 

 大槌町で被災し砂子畑地区に自宅を再建した岩間淳さん(62)は「こういう場で住民と交わることで、顔と名前が一致する。妻と娘も昨年から菓子などを出品し楽しませてもらっている」と話し、行事への誘いなど日ごろから声をかけてくれる近隣住民らに感謝。箱崎町で被災し沢田地区に再建した自宅に家族8人で暮らす小林京子さん(62)は「栗林に来てもうすぐ3年。皆さんの料理の腕前に感心した。すごくおいしくて。箱崎で一緒だった人とも久しぶりに会えた」と声を弾ませた。

 

 栗林共栄会は、仮設住宅を含む小学生以上の全住民を対象としたアンケート結果を基に昨年、まちの将来像を描く「くりばやし夢プラン」を策定。スローガン「笑顔と元気と結の里」を実現するため、自然、ふれあい、伝統文化、福祉をキーワードにまちづくりの指針を掲げた。同文化祭にもその理念が込められている。

 

(復興釜石新聞 2015年11月18日発行 第437号より)

 

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