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新釜石魚市場の魚河岸地区荷さばき施設の建設予定地

新釜石魚市場 起工、「魚のまち」復活へ拠点整備

新釜石魚市場の魚河岸地区荷さばき施設の建設予定地
新釜石魚市場の魚河岸地区荷さばき施設の建設予定地

 

 釜石市が水産業の新たな拠点として整備する新釜石魚市場の魚河岸地区荷さばき施設の起工式は2日、現地で行われた。2016年度内の完成、供用開始を予定。13年4月に再開した新浜町地区の施設と共に「魚のまち」復活を目指す。

 

 起工式には関係者ら約30人が出席。神事でくわ入れなどを行い、工事の安全を祈った。

 

16年度内の完成目指す 新浜町施設と機能分担

 

 野田武則市長は「新浜町の荷さばき施設と機能を分担し、相乗効果で水揚げの回復につながる。『魚のまち』復活の拠点、新しい釜石の魅力を発信していく施設にしていきたい」とあいさつした。

 

水産業の新たな拠点となる施設の完成を待ち望み、神事でくわ入れして工事の安全を願う野田市長
水産業の新たな拠点となる施設の完成を待ち望み、神事でくわ入れして工事の安全を願う野田市長

 

 魚河岸地区の施設は鉄骨造り2階建て、延べ面積約6300平方メートル。定置網を中心とした地元漁船による沿岸漁業に対応する。陸揚げから計量、陳列・販売、搬出の一連の作業をスムーズにできるようライン化するなど衛生管理に配慮した構造、積み込みスペースはトラック荷台に合わせたプラットホーム型にするなど用途に応じた空間を確保。工事費は約35億円で、2分の1は国の水産流通基盤整備事業の補助を受ける。

 

 釜石魚市場の年間水揚げ額は、最盛期の1980年代前半に100億円を超えていたが年々減少。魚のまちを復活させるため魚河岸地区と2場体制にしようと、震災前から新浜町地区に大型漁船の水揚げ拠点として荷さばき施設の整備を進めていた。完成間近だったが、震災の津波で両施設とも被災。比較的被害が少なかった、市漁連が運営する第2魚市場を11年8月に再開、代替えとして活用しながら、新浜町地区の魚市場も再開させた。

 

 震災前の旧市場の水揚げは年間約1万7千トン、30億円で、現在は新浜町地区のみで年間26億円と8割ほどまで回復している。市は、魚河岸地区が完成すれば、年間2万トン、36億円の水揚げを見込んでいる。

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

酒造りのスタートとなる田植えに精を出す参加者

酒造り 田植えで理解、県内外から過去最高110人参加

酒造りのスタートとなる田植えに精を出す参加者
酒造りのスタートとなる田植えに精を出す参加者

 

 釜石市小川町の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)が一般向けに開く「酒造り体験塾」が今年も始まった。5月31日、第1弾の田植え体験会が大槌町で開かれ、過去最高の約110人が参加。泥田での慣れない作業に汗を流しながら、酒米作りに理解を深めた。

 

 体験会場は、同社に岩手県オリジナルの酒米「吟ぎんが」を提供している大槌酒米研究会(8人)の佐々木重吾会長(58)の田んぼ。田植え神事の後、合わせて約15㌃の田んぼ2面に参加者が分かれ、1列になって苗を植えた。ロープの印を目安に、約15㌢に成長した苗を5本ぐらいずつ手植えした。

 

 今年は、遠くは宮城、秋田県から参加者が集まった。釜石市からはボーイスカウト釜石第2団の団員と保護者ら約30人が初参加。同団の高木海里君(釜石小5年)は2時間弱の作業を終え、「まだ腰が痛い。泥に足が埋まって大変だったけど楽しかった。収穫もやってみたい」とさわやかな表情を見せた。

 

 同団と一緒に夫婦で参加した、米国出身で上平田在住のコービ・ワイン・ホーフさん(32)は、震災復興支援で3年前に釜石に来たNPO職員。「お米は日本の基本。浜千鳥の酒も飲んだことがあり、酒造りにも興味がある。田植えは初めて。一番面白いのは泥の感触」と日本の伝統文化を満喫していた。

 

大槌町の農家、着々増産

 

 同社が大槌産の酒米で酒造りを始めて13年目。研究会の作付面積は順調に増え、今年は約15ヘクタールにまで拡大した。20ヘクタールになれば、佐々木会長の地元集落の田んぼの半分近くが酒米栽培になる勢いだという。

 

田植えの記念写真は塾参加者が最後に手にする酒のラベルになる
田植えの記念写真は塾参加者が最後に手にする酒のラベルになる

 

 米生産量の増加に伴い、大槌産吟ぎんがで仕込む酒の種類、醸造量も増加。昨年秋のロンドン酒チャレンジでは純米大吟醸で金賞、5月22日に発表された南部杜氏協会の今年の鑑評会では純米酒の部で2位(出品数約150)を獲得するなど、大槌の米で造った酒が高い評価を受けている。杜氏の力が試される同鑑評会で上位5位に入るのは至難の業で、2位は同社にとって平成の初頭以来25,6年ぶりの快挙だという。こうした動きに佐々木会長は「ありがたいこと。(会社も農家も)互いに励みになれば」と喜ぶ。

 

 同社が使う吟ぎんがの中で大槌産は約9割を占めるようになった。新里社長は「研究会の皆さんからは非常に品質のいい酒米を提供していただいている」と感謝。体験塾の意義について「米造りから一連の流れを体験してもらうことで、〝自分たちの酒〟という気持ちが生まれ、ファンづくりにもつながっている」と話した。体験塾の第2弾は稲刈りで、例年並みに推移すれば9月下旬に収穫する。

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