伝えたい ふるさとの味「釜石かまだんご」発売、食べやすく 一口サイズに
「懐かしい、ふるさとの味をどうぞ」と呼びかける釜石振興開発かまいし特産店の下川原繁夫店長
伝えたい、ふるさとの味――。釜石市の第三セクター釜石振興開発(新里進社長)は、釜石地方の郷土菓子として知られる「かまだんご」を一口サイズにして食べやすくした「釜石かまだんご」を発売した。モッチリとした食感の団子からトロリと黒蜜がしたたり落ちる、懐かしい味わいを再現。同社は「釜石の新しい土産品として利用していただければ」と期待を込める。
草を刈る鎌の形に似ていることから名付けられたといわれる「かまだんご」は、釜石地方の農家などに古くから伝わる定番のおやつ。それぞれの家庭によって形や中身は少しずつ異なるが、いずれも米粉や小麦粉でつくられたモッチリとした生地の皮の中にトロリとした砂糖が入っている。
以前は釜石橋上市場や朝市などでもよく見かけたが、今では一部の産直や道の駅などで販売されるだけとなった。
「昭和の時代、おばあちゃんやお母さんがよく作ってくれた、かまだんご。初めて食べる人は必ずといっていいほど、黒蜜で手や服を汚したもので、これも古き良き思い出」。釜石かまだんごの開発を担当した下川原繁夫さん(46)=かまいし特産店店長=は、こう話す。
この懐かしい味を土産品として広く普及できないかと考えるようになったのは、震災の前から。しかし、かまだんごは時間がたつと皮が固くなり、風味も落ちるなどの難点があった。
そこで考えたのが、一口サイズにし、解凍することでモチモチ感を維持すること。製造は、全国にもファンが多い「ごま摺り団子」を販売する平泉町の菓子メーカー松栄堂に委託。4回の試作を重ねて、やっと完成した。
釜石の地元食材、藤勇醸造のみそ、釜石鉱山で産出する仙人秘水を使用。「食べやすく、懐かしい味わいをそのまま再現した」と下川原さん。実家は酒屋で、調理師免許も持ち、「子どものころから、かまだんごには深い思い入れがあった」と明かす。
釜石かまだんごは9月に行われたいわて特産品コンクール(いわて産業振興センター主催)で「いわての物産展等実行委員会会長賞」に入賞した。
販売価格は8個入り756円(税込み)、16個入り1458円(同)。常温解凍で1~2時間後が食べごろという。釜石市鈴子町シープラザ釜石内のかまいし特産店、甲子町の道の駅・釜石仙人峠で販売している。問い合わせは、かまいし特産店(電話/FAX0193・31・1180)へ。
(復興釜石新聞 2015年10月3日発行 第424号より)
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