中野 裕太 共同キャプテン プロフィール
1989.11.16生/180cm/100kg/熊本県出身/早稲⽥⼤学卒
釜石シーウェイブスRFC公式サイトプロフィールページ
インタビュー日:2020年12月14日(オンライン取材)
企画・編集:釜石まちづくり株式会社
取材・文:市川 香織(釜石まちづくり株式会社)
写真:西条 佳泰(株式会社Grafica)
初めてキャプテンとして迎えた昨シーズンはとても良い経験になりました
2019.11.16 コカ・コーラレッドスパークス戦@釜石鵜住居復興スタジアム
ーー昨シーズンのトップチャレンジリーグ(TCL)を振り返って。3勝3敗1分けでリーグ4位という成績でした。この結果については?
中野共同キャプテン:
結果を見れば一応4位に入れて、目標を達成出来たのは良かったんですけれども、ただ、やはり上位のチームとの勝点差は開いていましたし、接戦の試合も多かったので、まだまだ成長出来る事はあると思います。
ーー中野選手は、No8で近鉄戦以外の試合は80分フル出場でした。シーズンを振り返ってどうでしたか?
中野共同キャプテン:
初めてキャプテンとして迎えたシーズンだったので、色々と難しい所、何て言うんですかね、自分の事にプラスしてチームの事を考えなきゃいけないというのが大変でしたけど、それがすごく良い経験になりました。
今年もキャプテンになって、リーダーとしてはまだまだだと思うんですが、でも、結局は個人のパフォーマンスがチームに影響を与えると思うので、常にいいパフォーマンスを出して行きたいと思います。
ーー印象深い試合は?
中野共同キャプテン:
開幕戦のコカ・コーラ戦は、ラグビーワールドカップ後の初めての試合だったので、たくさんの方々に来ていただきましたし、引き分けるところまで行けたというのは良かったと思います。個人的にもあの日が誕生日だったので、それですごく印象に残っています。
2019.11.16 コカ・コーラレッドスパークス戦@釜石鵜住居復興スタジアム
あとは最終戦の清水建設戦ですね。あの日は、僕たちの試合の後に近鉄の試合があって、トンプソンルーク選手の引退試合だったので、会場の秩父宮ラグビー場が満員状態だったんですよね。久しぶりにあんなに満員の秩父宮をピッチから見て、結構感動しました。
もう一回、今年も頑張ろうっていう気持ちになりました
ーー今シーズンも小野選手と共同キャプテンに。
中野共同キャプテン:
シーズン始まった頃は何も言われていなくって、何となく小野と僕で引き続きやっていました。
康さん(須田康夫FWコーチ)から正式に言われて、昨年2人でやったという経験もありましたし、康さんが戻って来てくれた事もありましたし、もう一回、今年も頑張ろうっていう気持ちになりましたね。
ーー坂下さんが総監督に就任されて、選手としてどう感じていらっしゃいますか?
中野共同キャプテン:
最近、社員選手(企業に勤めながらSWに参加している選手)の練習時間をしっかり確保して下さったり、クラブハウスの中庭の設備を整えてもらったりだとか、トップリーグ(TL)だと当たり前なんですけど、明るい時間帯に練習出来るのはすごく大きく変わった事ですし、選手としてとても良かったと思っています。
ーー坂下さんへのインタビュー時に、練習時間帯についてのお話をお聞きして、その時に初めて、明るい時間に練習する事の重要性を認識しました。
中野共同キャプテン:
そうですね。光の加減でボールの感じも違いますし、身体も違いますね。ずっと夜に身体を動かしているのと、実際に試合をする昼12~13時の時間帯に動かしているのとでは、身体の感覚的にも違うと思います。
チームのみんなに会って話すだけで、楽しかったし嬉しかったですね
2020.7.11 撮影
ーー“コロナ禍”になって、チーム活動が出来ない期間はどうされていましたか?
中野共同キャプテン:
その期間は、ウェイトトレーニングに関しては限られた環境の中でやっていたのと、グラウンドは使用出来なかったので、参加出来るメンバーで集まって自転車で仙人峠登ったりとかして、トレーニング・・・かな?まぁ、きついんでトレーニングって言って良いと思うんですけど(笑)、自転車はかなり乗っていました。
ーー仙人峠以外の場所もですか?
中野共同キャプテン:
個人的には、北上まで行きました。3時間半くらいで着きましたね。
でも結局、一番きついのは仙人峠でしたね!仙人峠を越えてしまえば、あとはまぁ何とか(笑)。
仙人峠 2020.5.12 撮影
ーートレーニングとチームビルドも兼ねていたのかなと思うんですけれど、新加入選手とかそれぞれの選手とのコミュニケーションはどのようにとられていたんですか?
中野共同キャプテン:
会って何かをするというのは、正直なかなか難しかったです。新加入選手が入ったばかりの春の頃は、“ZOOM飲み会”とかを数回やりましたね。
ーー全員集まれたのは夏前くらいですか?その時の選手達の様子はどうでしたか?
中野共同キャプテン:
全員顔を合わせたのは、6月くらいだったと思います。
やっぱり、会って話すだけで楽しかったですね。みんなで集まれて嬉しかったですし。
ーーグラウンドでラグビーをする事も出来なかった期間を経て、それがまた出来た時はいかがでしたか?
中野共同キャプテン:
ラグビーはやっぱり楽しいなと思いましたね。あとは、他のチームの状況を見ていると、釜石はまだ恵まれている方かなって思いました。試合も早めに出来ましたし。
ーーそういう期間があって、ラグビーへの取り組み方や考え方、見つめ直した事や変化した事はありますか?
中野共同キャプテン:
それこそ、みんなでしっかりコミュニケーションを取る大事さとか、あと、今まで当たり前に出来ていたことへのありがたみはすごく感じましたし、久しぶりにラグビーをして「楽しいな」って感じて、改めてやっぱり自分はラグビーが好きなんだなって思いましたね。
ーー普段の生活の中で変化はありましたか?
中野共同キャプテン:
普段の生活ですか・・・さっき言った自転車トレーニングが自分としてはすごく良かったので、チーム練習が再開されてからも、トレーニングがてらにちょいちょい仙人峠に一人で行っているくらいですかね(笑)。ちょうど良いトレーニングを見つけたなって思って。
ーー先ほど「釜石は試合も早めに出来て・・・」というお話が出ましたが、“コロナ禍”での日本ラグビー界の中では、いち早く9月5日に「黄金の國、いわて プレゼンツ ともだちマッチ」 ヤマハ発動機ジュビロ戦が有観客で行われ、10月10日には、ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催1周年記念イベント「いわて・かまいしメモリアルマッチ」クボタスピアーズ戦も有観客で。
「釜石はそういう土地なんだな」と実感したのですが、この試合開催についてはどうでしたか?
2020.9.5 ヤマハ発動機ジュビロ@釜石鵜住居復興スタジアム
中野共同キャプテン:
そうですね。本当に、あの状況の中でしっかりと試合をさせてもらえたというのは、すごく恵まれているなぁと思いました。それも、もしかしたらラグビーの神様が何か与えてくれているのかもしれないですけど。
さっきも言いましたけど、ヤマハ戦の頃は、試合が出来るような状況になっていなかったチームも多かったと思うので。
そしてこの状況下、ヤマハもクボタも移動するだけでもリスクがある中で遠征に来てくれて、それもありがたかったです。本当にあの2試合を出来た事は恵まれていました。すごく良かったと思います。
チームカルチャーがあれば選手一人ひとりの行動が変わってくると思う
2020.1.11 近鉄ライナーズ戦@ヤンマースタジアム長居
ーーここまでのチームについて。先月12日には、今年も同じリーグとなる豊田自動織機戦がありました。
中野共同キャプテン:
特に前半、スクラムは押せる所ではしっかりと押せていましたし、ラインアウトもしっかりプレッシャーを掛けられていましたので、セットプレーに関しては悪くなかったと思います。
ただ、ディフェンスの部分とかでミスを重ねてしまって、最終的にはスコアを離されてしまいましたけど、「何もできなくてどうしようもないな」という感じではなくて、しっかりとチームでやるべき事をやれば大丈夫だと思います。なので、ミスした所にしっかりとフォーカスして、シーズンに向けて準備して行けたらなと思います。
ーーFWが目指す所を“10”とすると今はどの段階ですか?
中野共同キャプテン:
まだ“6”くらいじゃないですかね・・・。合流が遅かった外国人選手たちとは、ここからしっかりお互いを知って、いい形でコミュニケーションを取りながらやって行ければと思います。良い選手が入ってきてくれているので。
FW合宿で東芝と(スクラムを)組んだ時やNEC戦でも、良い形でスクラムも組めて手ごたえもありましたし、ここから仕上げて行ければもっと良くなると思います。
2020.11.8 秋田ノーザンブレッツRFC@あきぎんスタジアム
ーー今シーズンTCLを2位通過して、TLセカンドステージへ進出するという目標について。
中野共同キャプテン:
チームとして掲げた目標なので、そこに向けて全員がしっかりと、何と言うか・・・そこに相応しい集団になるって言うか、ただ単に「目標は2位です」と口で言っているだけじゃ絶対2位にはなれないので、目標を達成する為にどうすればいいのか?という事を一人ひとりが考えながら、練習に臨む必要があると思います。
セカンドステージに進めれば、トップリーグのチームともたくさん試合が出来ます。釜石の目標は、あくまでもトップリーグ昇格だと思うので、“そのレベルまで行くんだ”という意識をしっかりと持ちながらやって行かないといけないと思います。
ーーこれまでのインタビューを受けて下さった皆さんの口から「SWのジャージ(チーム)に誇りを持って」という言葉を聞いたのですが、“相応しい集団”という意味合いの中にはそういう事も含まれますか?
中野共同キャプテン:
そうですね。チームに対する想いというか、ジャージの重みもそうですし、どんな人が応援して下さっているかとか、釜石がどういう土地で、そこでラグビーが出来ているのかとか、色々なところ全部含めてですね。
ーー昨年、中野選手にお話を伺った時に、「釜石SWの(チーム)カルチャーを作っていきたい」という言葉が印象的だったのですが、その部分についてはどうでしょうか?
中野共同キャプテン:
いや、まだまだですね。なかなかカルチャーを作るのって難しいです。でも、そこで諦めたら何も出来ないので、ずっとやり続けていくしかないと思います。ジャージの重みについても同じですね。
そういうチームカルチャーがあれば、選手一人ひとりの色んな行動が変わってくると思うので。
ーー最後に、読者の皆さんへ、今シーズンの抱負を含め、メッセージをお願いします。
中野共同キャプテン:
まず何より、いつも温かいご声援をありがとうございます。今年はすごく特殊な、見えない敵(コロナ禍)と闘いながらラグビーをするシーズンになるんですけど、でもそれはどこのチームも一緒なので、感染予防などをしっかりとした上で、今置かれた状況の中で出来る事にしっかりと精一杯取り組みながら、最終的に良い成果が出せるようにやって行きたいと思います。
積極的に「試合を見に来てください」とは言えないですけど、もしも可能な状況であれば(となっていれば)会場にもお越し頂ければと思います。
会場に来るのは難しいという方が多いとは思いますが、たぶんオンライン等で観戦して頂けるような機会もあると思うので、そういう場からも応援して頂けると嬉しいです。
チーム活動情報、リーグ戦日程等の最新情報は、釜石シーウェイブスRFC公式サイトをご覧ください。
https://www.kamaishi-seawaves.com/