震災から10年 復興は新たなステージへ〜祝いムード影ひそめ、釜石大観音も異例の正月


2021/01/12
復興釜石新聞アーカイブ #地域

2021年、新しい年に願いを込める参拝客

2021年、新しい年に願いを込める参拝客

 

 新型コロナウイルスの感染拡大で全国的にこれまでにない様相を見せた2021年のスタート。年末年始に襲った数年に一度クラスの強力寒波も追い打ちをかけ、釜石市内は祝いムードも影をひそめる異例の正月となった。初詣や初売りの人出も軒並み減少。昨年からコロナ禍の影響が続く観光や商業などの関係者からは、感染収束が見通せない状況に不安の声が相次いだ。初詣客らが口にする願いの第一声も「コロナの早期収束」。心落ち着かない中で「震災から10年」となる釜石の21年が始まった。

 

 大平町の釜石大観音は例年通り、大みそか午後10時に開館。コロナ禍と年越し寒波は初詣客の出足を鈍らせ、初日の出を拝める元日午前7時前後の人出も前年の5割以下にとどまった。

 

 元日朝の参拝は若い世代が目立った。境内ではスマートフォンを手に日の出を待つ、いつもの光景が広がり、御来光が差し込むと仲間や家族で写真を撮り合った。

 

初日の出に照らされる釜石大観音=元日午前7時15分

初日の出に照らされる釜石大観音=元日午前7時15分

 

 施設内ではさまざまな感染防止策を講じて客を迎えた。参拝者は〝密〟にならないよう距離を取りながら初詣。良い年になるよう願いを込め、手を合わせた。

 

 奥州市から訪れた土田悠斗さん(26)、光子さん(26)夫妻は昨年6月に入籍。夫婦となって初めて迎える新年に願うのは「コロナでできなかった結婚式を挙げる」こと。悠斗さんは「昨年は仕事も順調だった。この勢いのまま、前を向いて一歩一歩進んでいきたい」、光子さんは「コロナの不安はあるが、無事に式を挙げられたら。身近な家族、友人を集めてやりたい」と夢を描いた。

 

 釜石市出身で県内から帰省中の藤原清さん(51)は「はやり病に振り回された1年だったが、仕事は無事にできて感謝している」と昨年を回顧。「感染に最大限注意し、さらに視野を広げるような仕事ができれば」と新年の誓いを立てた。

 

 市内を代表する観光スポットでもある同観音は、コロナの影響で金・土・日曜のみの開館が続く。「雇用調整助成金を受け、何とかやってきたが非常に厳しい状態。宗教法人に該当する(感染対策の)補助がないのもつらい」と佐々木富也部長代理。それでも団体客の予約、各種祈祷(きとう)などの申し込みがあれば、休業曜日(月~木)でも対応し、次につなげるための努力を重ねる。

 

 今年の初詣期間は11日まで延長し、分散参拝に配慮する。

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

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