釜石・豪州 東京五輪へ交流深める、コアラキャンプ〜音楽・スポーツ・食をオンラインで、復興へエール交換


2021/01/05
復興釜石新聞アーカイブ #地域

釜石とオーストラリアのつながりを紹介する市職員ら

釜石とオーストラリアのつながりを紹介する市職員ら

 

 東京2020五輪・パラリンピック競技大会に向け、オーストラリアを相手国に復興「ありがとう」ホストタウンに登録されている釜石市。新型コロナウイルス感染拡大の影響で1年延期された大会を前に19日、両地域をオンラインで結び、音楽・スポーツ・食などで交流を深めるイベント「コアラキャンプ」(同プロジェクト主催)が開かれた。イベントの模様はネット中継され、一般市民らも自宅などで楽しんだ。

 

 オーストラリア大使館(東京都)をメインスタジオとし、釜石市鵜住居町の根浜シーサイドに設けた釜石スタジオ、オーストラリア各地のサテライト会場をオンラインでつないだ交流プログラムを実施。釜石では市国際交流課の職員らが運営を担った。

 

 午前11時、同大使館からジャン・アダムス駐日大使がキックオフ宣言。東日本大震災被災地に対する同国の支援活動を紹介し、「日本とオーストラリアは強い絆で結ばれている。(コロナ禍で)直接人と人とが会えない状況下で、両国の人々をつなぐことができてうれしい」と思いを述べた。

 

 野田武則釜石市長は震災後の支援に深く感謝し、同国で昨年発生した大規模森林火災に対し見舞いの気持ちを伝えた。ホストタウン登録の経緯も説明。「このキャンプを通じ、相互の友好関係が一層発展することを願う」と期待を込めた。

 

 シドニー、メルボルンなどから多彩な体験メニューを提供。ヨガ、オーストラリアン・フットボールの教室、東北に思いを寄せてきたジャズミュージシャンらによるミニ音楽フェスティバルを全国の視聴者が楽しんだ。

 

 ゴールドコーストと釜石スタジオを結んだバーベキュー・レッスンには、釜石の子どもたちも参加。オーストラリアのデザート菓子作りも行い、食文化への理解を深めた。ハンター・バレーからのワインレッスンもあった。

 

 鵜住居町に暮らす古宮モーゼス君(鵜住居小4年)は家族で参加。「バーベキューソースが効いたステーキがおいしい」と笑顔を見せ、姉アイビーさん(同6年)は「オーストラリアの人と会話して楽しかった」と海を超えた交流を喜んだ。

 

 約8時間にわたるイベントの最後は、ジャズ調にアレンジした「釜石小唄」、オーストラリア第2の国歌とも言われる「ワルチング・マチルダ」を歌い合い、絆を深めた。

 

 釜石市は2017年11月のホストタウン登録以来、同国と青少年を中心とした交流活動を展開。登録のきっかけとなった、同国出身で元釜石シーウェイブスRFC所属のスコット・ファーディー選手の協力で、高校生のラグビー交流などが実現。コロナ禍の今年は、中学生が互いの文化をオンラインで紹介し合った。ラグビーワールドカップ1周年記念イベントでは、同国の食や文化など多様な魅力を釜石から情報発信。森林火災の被災者を助けたいと市民らによる募金活動も行われた。

 

 市国際交流課の中村達也課長は「早くコロナが落ち着いて、互いに行き来して交流できることを願っている。森林火災の被災者にも少しずつ希望を見いだしながら前に進んでいってほしい」と同国にエールを送った。

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