アイルランドの小旗を振って大使を歓迎する鵜住居小児童ら
来年に迫ったラグビーワールドカップ(W杯)に向け、釜石市が地元の魅力を発信しようと、鵜住居小(中軽米利夫校長、児童142人)の6年生30人らの協力で取り組んできたCM作品が完成し、2日、大町の釜石情報交流センターPITでお披露目された。震災被災地の復旧状況やW杯開催に向けた取り組みを視察するため来釜したアイルランドのアン・バリントン駐日大使も来場。児童らと交流を楽しみ、「復興の進み具合を見てあらためて感動。あれほど大変な出来事があっても釜石、東北の人は強いと感じた。未来を担う子どもたちの頑張り、見守る地域の優しさ、いたわりも実感」と穏やかに話した。
作品は約10分。旅館ではラグビーボールが風呂に浮かび、スーパーではラグビーボールがワゴンに山積みで販売されている。飲食店で出される飲み物はラグビーボールに入れて出され、バスや電車ではラグビーボールが切符代わり。かつて新日鉄釜石ラグビー部が日本選手権7連覇を果たした「ラグビーのまち」の歴史を振り返りながら、ラグビーが暮らしの中に満ちあふれた雰囲気をパロディー風の映像でユーモラスに表現した。
進め!ラグビー精神で We advance!With the spirit of Rugby. IWATE-KAMAISHI JAPAN UNO-SMILE CM TEAM
[企画・出演]UNO-SMILE CM TEAM、2017年度 岩手県釜石市立鵜住居小学校卒業生 [制作事務局]ヒーローズエデュテイメント(株) [制作・著作]釜石市総務企画部ラグビーワールドカップ2019推進室
震災を含め幾多の災害を乗り越えてきた地域や復興に尽力する人の姿も紹介し、地域再生への思いを発信。震災時に幼稚園や保育園児だった児童たちの成長ぶり、震災前の学校の敷地で建設が進むW杯スタジアムを望みながらの学校生活も織り交ぜ、大会成功への願いを込めた。
CM作りは大会の機運醸成、復興のPR、市のイメージアップによる釜石ファンの拡大、試合観戦や来訪の促進を図るとともに、児童の郷土に対する愛着と誇りの醸成、次代を担うものづくり人材育成の一助にと企画。児童は昨年11月から授業の一環でCM作りを始めた。製作担当のヒーローズエデュテイメント(東京都、長谷川英利社長)らの助言を受け、児童は古里の良さを考えながら撮影に挑んだ。
完成お披露目会には児童、保護者、市関係者ら約120人が参加。試写を見た同校の三浦花音さん(6年)は「まちの良さがすごく表現されていた。思った以上の仕上がりで感動した」と笑顔を見せた。
井上右望(うみ)君(同)はCM作りを楽しみながら、まちや震災について理解を深めた様子。母親の厚子さん(48)は子どもの成長ぶりに感激しつつ、「中学生になっても友達、人との輪を大事にして協力し合ってほしい。いろんなことにチャレンジして頑張れ」と見守った。
W杯にはアイルランド代表も出場。9月28日に静岡県の小笠山総合運動公園エコパスタジアムで日本代表と対戦する。バリントン大使は「釜石での試合はないが、ラグビーを通じ復興を応援したい。アイルランドと釜石のつながりを深めたい」と望んだ。
出迎えた野田武則市長は、W杯開催の意義や、市内企業とアイルランドのつながりなどを説明。「子どもたちもW杯を盛り上げようと頑張っている。CMを通し、支援への感謝や釜石の頑張りを世界に示したい。つながった絆を深めていきたい」と応じた。
(復興釜石新聞 2018年3月7日発行 第670号より)
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