国道45号が近く今後の利便性も期待される片岸アパート
県が釜石市片岸町第1地割に整備を進めてきた災害公営住宅「県営片岸アパート」(17戸)が完成し、5日、入居予定者らを対象にした内覧会が開かれた。県が市内に整備する災害公営住宅では4カ所目の完成で、管理も行う県営住宅としては平田(126戸)に次ぎ2カ所目。申し込んでいた12世帯は、今月下旬から入居を開始する。
同町内では、昨年6月に完成した室浜地区の戸建て復興住宅(7戸、市整備)に次ぎ2カ所目の災害公営住宅となる片岸アパートは、大浜渡橋付近の震災前、国の官舎があった場所に建設された。敷地面積は約2390平方メートル。建物は鉄筋コンクリート造り4階建てで、延べ床面積は約1569平方メートル。1DK(約45平方メートル)3戸、2DK(約55平方メートル)11戸、3DK(約65平方メートル)3戸の共同住宅で、1階は物置(各戸用と共用)と駐輪場、2~4階が居住棟で2階には集会室も設けられた。駐車場は30台分を確保した。
設計施工一括選定方式で事業者を選定。平野建築事務所(北上市)、樋下建設(盛岡市)が事業を請け負い、2015年12月に着工。ほぼ計画通りに工事が進められた。
入居予定の12世帯は、主に片岸、鵜住居町の被災者で、1月に部屋決め抽選会を行った。現段階で空き室となっている3DK1戸と2DK4戸は、時期を調整し入居希望者の再募集を行う予定。この日の内覧会は入居促進なども兼ねて、誰でも見学できるようにした。
室内を見学し新生活のイメージを膨らませる入居予定者
栗林町の仮設住宅から1DKに入居予定の川崎文雄さん(64)は室内を見渡し、「びっくりするぐらい立派だ」と満足げ。震災前は、近くにあった雇用促進住宅で暮らしていたといい、「周りの景色が変わっていくのを眺めながらのんびり暮らしていこうと思う」と約6年ぶりの片岸での生活に期待を膨らませた。
片岸町で被災し、鵜住居町の仮設住宅に家族4人で暮らす女性(42)は、市が整備する戸建ての復興住宅、盛り土後の元の場所への自宅再建も含め検討中。「片岸には戻るつもりだが、また津波が来たらと考えると再建には不安もある」と、検討材料にしようと内覧会に足を運んだ。「部屋もきちんとあり、広さ的にはちょうどいい感じ。子どもたちの将来のこととかも考え方向性を決めたい。早くという思いはあるが、なかなか前に進まなくて」と複雑な心中をのぞかせた。
県が市内に整備予定の災害公営住宅は、合わせて8カ所(373戸)。来月には松原(60戸)が完成予定で、今年7月には嬉石第1、同第2、今後工事が始まる両石は来年度中の完成を目指す。
(復興釜石新聞 2017年2月8日発行 第561号より)
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