鵜住居町の中心部に移転新築された生活応援センター・公民館
東日本大震災の津波で被災し、仮設庁舎で業務を行ってきた釜石市の出先機関、鵜住居地区生活応援センター(鈴木伸二所長)が鵜住居町の中心部に移転新築され、23日から窓口業務を再開した。市内で被災した3つの生活応援センターのうち、本設として再開するのは唐丹地区に続いて2番目。鵜住居公民館も併設されており、地域住民の文化活動の活性化や新たな地域コミュニティーをつくる場所として機能を発揮する。
復興住宅に隣接して整備
鵜住居地区防災センターに併設されていた同生活応援センター・公民館は震災後、旧釜石北高跡地にある仮設企業団地で業務を行ってきた。新しい施設は町内中心部の復興公営住宅の建設と合わせて整備され、工事を終えたことから移転した。
新しい施設(鵜住居町16・66・17鵜住居地区41街区1画地)は、旧鵜住居駅付近に建設された復興住宅1号棟に隣接して整備。鉄骨造り平屋建てで、延べ床面積は約500平方メートル。多目的室(約180平方メートル)や和室2部屋(10、15畳)、調理室などがある。駐車スペースは9台を確保した。
生活応援センター窓口では住民票、戸籍、印鑑証明など各種証明書の発行や各種届け出手続き、市税の収納などを行う。職員は窓口業務のほか、仮設住宅の見回り、公民館事業担当など7人を配置。うち、保健師2人は家庭訪問や保健、福祉の相談にも応じる。
市民サービスの窓口業務も真新しい環境でスタートした
再開後に窓口を訪れた男性(46)は「久しぶりに様子を見に来た。新しいまちが生まれ始めたようで、良かった」と感想。防災センターそばにあった自宅が被災し、現在は大町の復興住宅で新生活を始めたというが、「土地は残っているので、戻りたい気持ちもある」と複雑な心境を口にした。
鈴木所長によると、窓口利用のほか、自主サークル活動での利用に関する問い合わせなどもあるという。
課題も多い。震災後、地域は居住ができない状況となり、既存の町内会は活動を休止。また、新施設の周辺では今年春から秋にかけて集合・戸建ての復興住宅が完成予定で、再建が順次進むと見込まれる。徐々に拡大する居住エリアの生活上の課題に対応できるよう、自治的機能を持つ組織の再編が必要で、鈴木所長は「コミュニティーづくりはゼロからのスタート。いいまちをつくろうとみんなで立ち上がるお手伝いができれば。公民館事業も一定の人だけでなく、ひきこもりがちな人を引っ張り出すような事業を展開したい」と思いを話した。
鵜住居公民館では移転後初のイベントとして、あす29日午前10時半から午後3時半まで「鵜住居みらいシアター」が開かれる。震災前の鵜住居の風景と記憶がよみがえる「まちなみ復元模型」が特別公開されるほか、午後1時半からは「昭和の三陸と未来の鵜住居を語る会」を開催。貴重な映像の上映もあり、参加を呼び掛ける。
また、大雨・洪水などの災害に限定し、地域の共助による「地域助け合い避難所」の開設を目指しており、いざという時の避難所運営や高齢者などの避難支援に協力してもらう地域支援スタッフも募集している。
鵜住居地区生活応援センターの業務時間は平日午前8時半から午後5時15分まで。保健、医療、福祉、公民館に関する問い合わせは電話0193・28・2470、各種証明書発行などの窓口業務は電話28・3001へ。周辺は復興工事を進めている状況で、「訪れる際は工事車両や日々変化する環境に十分注意してほしい」としている。
(復興釜石新聞 2017年1月28日発行 第558号より)
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