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鉄友会創立50周年を祝い、佐々木会長(中)らが鏡開き

釜石鉄友会創立50周年祝う〜「友愛と信義」旗印に半世紀、地域貢献へ決意新たに

鉄友会創立50周年を祝い、佐々木会長(中)らが鏡開き

鉄友会創立50周年を祝い、佐々木会長(中)らが鏡開き

 

 新日鉄住金釜石製鉄所のOBで組織する釜石鉄友会(佐々木伸一会長、会員947人)は今年で創立50周年を迎え、50回目の定例総会を兼ねた記念祝賀会を1日、釜石市平田のホテルシーガリアマリンで開いた。「友愛と信義」を旗印に、会員の健康増進と相互交流を継続して半世紀。祝賀会には会員ら約130人が集い、「地域に貢献する鉄友会であり続けたい」との思いを新たにした。

 

 同会は1967(昭和42)年12月、釜石製鉄所の退職者39人で結成。当初は事務局を労働組合に置いた。74年には退職者すべてを会員の対象とするなど会社と組合の連携を深め、事務所も製鉄所構内に置いている。会員数は96年度の2360人をピークに減少を続け、本年度は950人を割り込むが、北海道から大阪まで県外在住者も約60人を数える。

 

 祝賀会で、就任2年目の佐々木会長は「スポーツや文化活動で今なお現役で頑張っている会員も多い。地域に根差し、貢献する会であり続けたい」とあいさつ。来賓の野田武則市長は「釜石製鉄所の協力があって、震災からの復興の形が見えてきた。鉄友会には町内会や地域会議などの役員として釜石を支えている会員も多い。今後も釜石の発展のために支援を」と期待した。

 

会員ら約130人が集い、さらなる地域貢献を誓う

会員ら約130人が集い、さらなる地域貢献を誓う

 

 今年4月に就任したばかりの米田寛・釜石製鉄所長は「鉄友会には釜石の鉄の歴史を次世代につなぐ役割を担ってもらいたい」とエールを送った上で、「当所としても従業員一人一人が新たな歴史を刻む当事者になれるよう日々努力していきたい」と決意を述べた。この後、佐々木会長らが鏡開きを行い、創立50周年の大きな節目を祝った。

 

 祝賀会を前に開いた総会では、在任5年を迎えた幹事4人を表彰。本年度は会員増や経費節減などに取り組み、行事計画では▽ソフトボール大会(6月14日)▽ゴルフ大会(春・秋)▽一泊旅行会(9月/男鹿半島・角館方面)▽囲碁・将棋大会(11月15日)などを予定する。

 

(復興釜石新聞 2017年6月7日発行 第594号より)

 

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三陸地域が誇る名峰「五葉山」について理解を深めたフォーラム

山の魅力、課題を語り合う「大松コース」復活を望む声も〜石楠花荘 早期改修へ、五葉山フォーラムで情報交換

三陸地域が誇る名峰「五葉山」について理解を深めたフォーラム

三陸地域が誇る名峰「五葉山」について理解を深めたフォーラム

 

 五葉山石楠花荘改修促進協議会(市川滋会長=釜石山岳協会顧問)主催の「五葉山フォーラム」が5月28日、釜石市大町の情報交流センター釜石PITで開かれた。五葉山(標高1351メートル)の素晴らしさを再認識し、老朽化する避難小屋「石楠花(しゃくなげ)荘」の早期改修への機運を高めようと初めて企画。登山愛好者ら約80人が参加し、同山の存在意義や登山の課題について意見を交わした。

 

 東北学院大の佐々木俊三学長特別補佐が「山」の歴史的精神的意義について基調講演。五葉山に関わる団体から4人が同山の魅力やこれまでの活動経過、今後の展開などを語り合った。

 

 五葉山自然倶楽部、森の文化塾の中嶋敬治事務局長は四季折々の風景、同山がまたがる大船渡、住田、釜石の3市町から見た姿など大自然の息づかいが感じられる写真を公開。同山自然保護管理員の鈴木一敏さんは、大船渡市の日頃市中による登山道清掃などの奉仕活動を紹介した。同校は石楠花荘改修への募金活動にも協力している。日頃市地区には五葉山神社があり、古くからの信仰が地域の結いの精神も育んでいることを明かした。

 

 釜石勤労者山岳会の足立行雄さんは、長年にわたる五葉登山の思い出を披露。「途中に危険箇所がなく2時間ほどで登れる山。安心して登れるのは石楠花荘の存在が大きい。いざという時の駆け込み寺にも。少しでも早く改築が実現すれば」と期待を込めた。

 

 標高が低く積雪が少ない五葉山は、多様な動植物が生育。里山から山頂にかけヤマツツジやハクサンシャクナゲ、固有種のゴヨウザンヨウラクなど美しい花々が見られ、沢が多く水量に恵まれていることから渓流にはイワナやヤマメ、森にはホンシュウジカ、ツキノワグマ、イヌワシなどが生息する。山頂から望むリアス式海岸、早池峰山など周辺の山々も展望できる雄大な眺望は登山者を引きつけてやまない。1966年に県立自然公園に指定されている。同促進協の市川会長は「石楠花荘付近は湧き水が豊富。山頂から50メートルしか標高差のない所で地下水が出るのは非常に珍しい」と説明した。

 

 意見交換では、倒木で通行止めが続く「大松コース」の復活を望む声が上がった。「ある登山道だけに人が集中すると道が傷んでくる。大松コースは森の景観が格別。再建に向け、みんなで知恵を絞る機会も必要」との助言があった。

 

 同促進協は五葉山山麓の山岳会など3団体により昨年4月に発足。石楠花荘改修に向け署名、募金活動を展開し、3市町で組織する五葉山自然保護協議会(会長=野田武則釜石市長)への要望活動を続けてきた。募金額は300万円に到達し、現在も継続中。今年4月29日の山開きでは、野田市長や3市町の関係職員が山に登り、現状をじかに見た。

 

 促進協の事務局を務める桝澤洋光さん(釜石山岳協会理事)は「視察には建築士も同行し、建物を診断してもらった。今年度中に事業化への道筋がつけば」と願った。

 

(復興釜石新聞 2017年6月3日発行 第593号より)

 

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広報かまいし2017年6月1日号(No.1665)

広報かまいし2017年6月1日号(No.1665)

 

広報かまいし2017年6月1日号(No.1665)

広報かまいし2017年5月15日号(No.1664)

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【目次】
表紙:新しい釜石市魚市場が完成しました
P02:尾崎白浜地区林野火災に伴う災害について
P04:岩手大学釜石キャンパス開設記念フォーラムの開催について、応急仮設住宅などの供与期間のお知らせ
P05:肺がん(結核)検診が始まります
P06:今月のインフォメーション
P08:釜石・大槌地域産業育成センター情報便、釜石地区被災者相談支援センターをご利用ください

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釜石市 総務企画部 広聴広報課 広報係
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使いなれた食材の普段とは違った調理法の料理が並び、参加者は興味津々

海・山の幸 魅惑のマッチング、生産者と加工者が距離縮め〜地元食材の魅力、試食会で再発見

 使いなれた食材の普段とは違った調理法の料理が並び、参加者は興味津々

使いなれた食材の普段とは違った調理法の料理が並び、参加者は興味津々

 

 地元の海と山の食材を使った料理を紹介する「釜石魅惑の試食会」(釜石市、沿岸広域振興局、釜石・大槌地域産業育成センター主催)は25日、嬉石町のエア・ウォーター物流釜石低温センターで開かれた。地域資源の農林水産物を活用した特産品の開発を目指す地域資源活用研究会の本年度1回目として実施。市内外の生産者、企業、行政関係者ら約50人が参加し、首都圏で活躍する料理研究家が考案した料理に舌鼓を打った。

 

 料理研究家の山崎志保さん(料理山研究所代表)が釜石産の食材を使い、趣向を凝らしたメニューを考案。茎ワカメのかき揚げ、ホタテと茎ワカメを使った酸味と辛みが特徴のスープ、シイタケをパンに見立ててチーズを挟んだフライ、甲子柿シェイク、梅酒で使われた実を使ったスイーツなど計13品が提供された。

 

 参加者は一品一品をじっくりと味わい、地元食材のおいしさや幅広い調理法などを再発見した。

 

 釜石産食材の新たな魅力を引き出そうと、料理研究家が考案したアイデア料理

釜石産食材の新たな魅力を引き出そうと、料理研究家が考案したアイデア料理

 

 オキアミの一種イサダを使った料理に、漁家の松本ミサヲさん(70)は「使わないだけで、いい食材になると分かった。新鮮なものはうまみがあり生臭くなく、加工品として売り出していける」と高く評価。イサダは養殖魚や釣りの餌などになり、地元で揚がっても出回ることは少ないというが、食用としての可能性を認識し期待感を高めた。

 

 橋野町で野菜などの栽培や農家レストランの運営を行っている小笠原静子さん(75)は「主婦と専門家の発想の違いを感じた。紹介された調理法を参考に、自分なりのアレンジを加えた料理を考えたい」と刺激を受けていた。

 

 「地域の中にいると当たり前すぎて良さが分からない。外からの目線で新しい面、素晴らしさを伝える機会になれば」と山崎さん。▽釜石ならではの独自のスタイルを打ち出す▽写真に撮りたくなる、面白いと人の輪が広がる視点からのアプローチ―などメニューづくりも助言。「釜石には魅力ある食材がたくさんあった。どんどん発信してほしい」と参加者に呼び掛けた。

 

 試食会を企画した市農林課の伏見七夫主査は「生産者と調理、加工者、行政の距離を縮め、同じ方向を見て取り組むきっかけになれば」と期待。今後、地元食材の魅力・価値を磨きながら、活用方法について関係機関で検討する予定だ。

 

 また、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)に向けたおもてなしとして、食の充実に寄せる期待も大きい。市産業振興部の似内敏行部長は「釜石を訪れた人の胃袋を満たす、満足させる、魅力ある料理づくり、釜石ならではの土産物づくりにつながってほしい」と話していた。

 

(復興釜石新聞 2017年5月27日発行 第591号より)

 

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参加者は市民ホールの完成を待ちわびながら、"大キャンバス"にのびのびと好きな絵を描いた

市民ホール工事現場、絵で飾る〜子どもら楽しく共同作業、目抜き通りに活気

 参加者は市民ホールの完成を待ちわびながら、"大キャンバス"にのびのびと好きな絵を描いた

参加者は市民ホールの完成を待ちわびながら、”大キャンバス”にのびのびと好きな絵を描いた

 

 釜石市大町1丁目に建設が進む「釜石市民ホール」の工事現場の仮囲いを市民の絵で飾る催しが21日、行われた。同ホールの今秋の完成に向け、盛り上げを図るプレイベントの第3弾。新施設誕生への期待が込められたカラフルな絵は、囲いが外される8月ごろまで目抜き通りを行き交う人々の目を楽しませる。

 

 絵が描かれたのは、市民ホール建設現場を囲う工事用外壁のうち主要地方道釜石港線に面した部分。横45メートルにわたるキャンバスに見立てた壁面を使い、参加者が思い思いにペンキで絵を描いた。人物や花、魚、虹など釜石の明るい未来を感じさせる楽しい絵が連なり、通りに心弾む雰囲気を醸し出した。

 

 それぞれの絵には作者の名前や作品についてのコメントが添えられている

それぞれの絵には作者の名前や作品についてのコメントが添えられている

 

 バレエを習っているという大渡町の菊池すずちゃん(5)は、踊っている自分の姿をかわいらしい絵で表現。「新しいホールができたら?」との問いに、「バレエの発表会をやりたい」とにっこり。母真輝さん(42)は「震災時は、この建設現場の敷地内に住まいがあり、建物が津波で被災。この子は震災があった年に生まれた」と特別な思いを寄せ、「(すずちゃんが)このホールの舞台で踊るのを楽しみにしている」と仲良く共同作業を進めた。

 

楽しみながら仮囲いに絵を描く参加者ら

楽しみながら仮囲いに絵を描く参加者ら

 

 大ホールのほか、小ホール、ギャラリー、練習室などを備えた市民ホールは順調に工事が進み、10月末には建物が完成する見込み。12月の「かまいしの第九」演奏会で”こけら落とし”を祝い、来年3月まで設備訓練を兼ねて市の行事を開催していく。一般向けの使用開始は4月からになる見通し。

 

 市生涯学習文化スポーツ課の村上純幸課長は「仮囲いの絵で通りがにぎやかになり、人通りが多くなれば。市民が待ちに待った施設なので、こうしたイベントを通じて完成までの気持ちを高めていけたら」と願った。

 

(復興釜石新聞 2017年5月24日発行 第590号より)

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満開の八重桜の下で、季節感たっぷりの郷土料理を味わう研究会のメンバー=橋野町青ノ木で

橋野町青ノ木で季節感たっぷり 山菜料理を味わう〜釜石大槌 郷土料理研究会、八重桜 山里の春を満喫

満開の八重桜の下で、季節感たっぷりの郷土料理を味わう研究会のメンバー=橋野町青ノ木で

満開の八重桜の下で、季節感たっぷりの郷土料理を味わう研究会のメンバー=橋野町青ノ木で

 

 八重桜が満開となった釜石市橋野町青ノ木で21日、釜石・大槌郷土料理研究会(前川良子会長、12人)が主催する「郷土料理バイキングを楽しむ会」が開かれた。会員や家族連れなど市内外から約30人が参加。餅つきを楽しみ、手作りの山菜料理を味わうなど、遅れてやって来た「山里の春」を満喫した。

 

 世界遺産「橋野鉄鉱山」のそばで会員の小笠原静子さんが経営する「峠の茶屋」で餅つき。「よいしょ、よいしょ」の掛け声に合わせ、子どもらも元気に杵(きね)を振るった。大槌高でボランティア活動に取り組む藤原さくらさん(18)は「餅つきは初めて。杵がとっても重くって…」と、さわやかに笑った。

 

 一関市大東町出身で大槌町内の老人ホームで暮らす菊池安子さん(88)は家族に伴われて足を運び、あずき餅の作り方を参加者に手ほどき。孫で、釜石市内の病院で看護師を務める柏﨑沙織さん(30)は「おばあちゃんが作るあずき餅の味は格別。おいしそう」と、安子さんの手元を見ながら餅を丸めた。

 

あずき餅づくりを手ほどきする菊池安子さん(左)

あずき餅づくりを手ほどきする菊池安子さん(左)

 

 バイキングで味わう郷土料理は8種類ほど。タラノメ、コゴミ、ウド、シドケにアケビの若芽などを加えた山菜天ぷら、ワラビのおひたし、ワカメのサラダ、手作りのトコロテンも並んだ。八重桜が咲く芝生の広場に移り、お待ちかねの昼食。友人に誘われ大船渡市から参加した公務員、川原和也さん(26)は「どの料理も自然の味そのまま。しかも、こんな桜の下で味わえるなんて、最高」と舌鼓を打った。

 

市内外から参加した若者らも心づくしの郷土料理を満喫

市内外から参加した若者らも心づくしの郷土料理を満喫

 

 同研究会が青ノ木の八重桜が開花する時期に食事会を行うようになったのは、震災後。不自由な避難所生活を送る被災者を招き、餅つきをしたのが始まりだった。苦しい時期に希望の光となった餅つき交流は形を変え、研究会の恒例行事として定着した。 

 

 釜石・大槌地区の農漁家の女性たちが中心となって結成された研究会は今年で13年目。当初から活動する佐々木カヨさん(65)は「ヨモギの天ぷら、おいしいよ」と参加者にすすめた。前川会長(65)は「今年も八重桜の満開と重なり、とても良かった。未来を担う子どもたちと一緒に昔の食べ物を味わい、郷土料理を伝承していきたい。海と山のおかあさんたちと手を携え、頑張っていく」と意欲を示した。

 

(復興釜石新聞 2017年5月24日発行 第590号より)

 

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県内11消防本部の精鋭92人が現場入りの打ち合わせ=12日午前11時04分

「やっとわが家に」尾崎半島山林火災、鎮圧へ〜尾崎白浜・佐須の避難指示解除、尾崎神社「奥宮」は延焼を逃れる

手荷物を自家用車に積み込み、帰宅準備する避難者=11日午後2時46分、旧釜石商高

手荷物を自家用車に積み込み、帰宅準備する避難者=11日午後2時46分、旧釜石商高

 

 釜石市平田の尾崎半島で8日に発生した山林火災は11日までに約400ヘクタールを焼き、沈静化しつつある。尾崎白浜地区(114世帯)と佐須地区(22世帯)に発令した避難指示は11日午後2時、2つの集落への「延焼の危険性がきわめて低くなった」と判断し、解除した。福祉避難所の5世帯(8人)を除く旧釜石商高体育館の避難者38世帯(70人)は同日夕までに帰宅。住民には安堵(あんど)の表情が広がった。消防団50人は12日昼前までに現場活動を終え、撤収した。市は降雨などの条件を加味し、火災の鎮圧を判断する。

 

 11日午後、野田市長が旧釜石商高体育館に出向き、避難者に避難指示の解除を伝えた。

 

 尾崎白浜の佐々木栄一さん(80)、和子さん(78)夫妻は「消防や自衛隊、世話してくれた避難所の職員に感謝する」と笑顔で手荷物をまとめた。

 

 同じく尾崎白浜の久保ケフさん(80)は帯状疱疹を発症する中、避難生活を余儀なくされた。「食事もままならなかった。薬はあるが、本当にひどい病気。無事でよかった」と迎えの家族を待った。

 

 釜石郵便局(佐藤哲也局長)の三浦孝仁郵便部長ら3人は10日夜、局留めとしていた郵便物を持ち込み、配達。「郵便物には母の日のプレゼントもありそうです」と職員も笑顔を見せた。

 

 避難指示を受け、釜石湾漁協(細川道弥組合長)は8日午後から、全組合員の出漁を停止する「浜止め」とした。11日、新浜町の漁業藤佐純一さん(55)は岸壁で漁具の手入れに励んでいた。「水揚げができず大変だが、もう少しで火事も落ち着くだろう」と願った。

 

県内11消防本部の精鋭92人が現場入りの打ち合わせ=12日午前11時04分

県内11消防本部の精鋭92人が現場入りの打ち合わせ=12日午前11時04分

 

 消火活動は8日、最大瞬間風速が25メートルを超える中、監視と防御が中心となった。青出浜の尾崎神社・奥宮の防御に重点が置かれ、消防団員らは漁船で運んだ小型ポンプ2台で海水を放水し、社殿を守った。自衛隊のヘリコプター2機と県防災ヘリ1機は夕方までに37回、約19トンの水を投下した。市は同日の焼損規模を約100ヘクタールとしたが、延焼を続けた。

 

 火は一時、尾崎白浜地区の住宅から約300メートルの所まで迫った。

 

 9日は、自衛隊の大型ヘリを含む14機で空中消火。地上の消防団をはじめ、自衛隊、県警などから約300人が投入され集落の防御に当たった。

 

 空中消火は自衛隊が527回で約2347トン、防災ヘリは127回で約75トンに上り、火勢は急激に衰えた。自衛隊の調整窓口を務めた岩手駐屯地の立川博基2等陸佐は「一日の散水量としては記録的」と説明した。

 

 10日は期待した雨となったが、降水量は10ミリに満たなかった。空中消火は視界が悪いため、午前中の50回、約28トンにとどまった。地上からも消防団、消防職員243人が活動したが、急斜面の足場がぬかるみ現場から下山、監視を続けた。

 

 11日は早朝からのヘリによる観測で、熱と煙3カ所、熱だけを9カ所で確認した。ヘリ14機が活動し、海岸線に残る火点を中心に散水。地上も合わせ400人余りが活動し、地面や木立ちの残火を徹底的に消火した。

 

(復興釜石新聞 2017年5月13日発行 第587号より)

 

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出演者全員で迎えたフィナーレ。まちの復興への願いを込め、歌声を響かせた

中心市街地ににぎわいを、音楽ファン屋外で興奮〜「おお!マチ ミュージックフェスタ」出演15組 個性光るパフォーマンス

おおまち広場で熱いステージを披露するSKUNKS(釜石)

おおまち広場で熱いステージを披露するSKUNKS(釜石)

 

 東日本大震災で被災した釜石市東部地区の中心市街地ににぎわいを取り戻そうと、今年も「Oh!MACHI MUSIC FESTA(おお!マチ ミュージックフェスタ)」(同実行委主催)が3日、青葉通りなどで開かれた。商店街の事業主らが企画したイベントで、震災後3回目の開催。昨年に続き「青葉マルシェ(市場)」も開かれ、市内外の音楽ファンが交流の輪を広げた。

 

 20組の応募者から選ばれた15組が出演。青葉通り(ホテルサンルート前)とおおまち広場(タウンポート大町前)に設けたステージで、ロックやニューミュージック、民謡、合唱など多彩なジャンルの音楽を響かせた。出演者は地元釜石のほか、県内各地、宮城県仙台市を拠点に活動する団体や個人。それぞれの個性が光るパフォーマンスで観客を楽しませた。

 

 パワフルな演奏で盛り上げたDr.AKIPOLD(花巻)

パワフルな演奏で盛り上げたDr.AKIPOLD(花巻)

 

 コンテストでグランプリを受賞した経歴を持つ奥州市の4人組バンド「the迷奇」は、2回目の出演。ボーカルの蒔田伸昭さん(48)は「海までも音が届きそうな気持ち良さがいい」と青空の下でのステージを満喫。復興に向かう釜石について「まちのポテンシャルを感じる。多くの人に来てもらい、今の釜石を感じてほしい」と願った。

 

 出演者全員で迎えたフィナーレ。まちの復興への願いを込め、歌声を響かせた

出演者全員で迎えたフィナーレ。まちの復興への願いを込め、歌声を響かせた

 

 陸前高田市の佐々木富恵さん(56)は「全ての演奏を聞けるよう、ステージを1カ所にしてくれるといいかな。客席の日差し対策もあれば」と今後に期待。釜石に10年ほど住んでいたことがあり、「高田と同様、人口減少が心配。住民が増え、まちに活気が生まれれば」と思いを込めた。

 

開放感いっぱいの野外ステージに心躍らせ演奏を楽しむ観客

開放感いっぱいの野外ステージに心躍らせ演奏を楽しむ観客

 

 昨年から始まったマルシェでは、地元商店やキッチンカーが軽食や飲み物を販売。釜石名物の一品もあり、来場者は青葉通りに設けられたテーブル席で飲食を楽しんだ。一般の人たちによるフリーマーケットは、衣類や雑貨、手作り工芸品などさまざまな品物の販売があった。

 

 東部地区は昨年から今年にかけて復興住宅の完成が相次ぎ、住民が増えつつあるが、店舗の再建や新規出店はまだ少なく、商店街の再生は思うように進んでいない。同実行委員長の新里耕司さん(大町商店街振興組合理事長)は「復興住宅完成後も市街地の人の流れはあまり変わっていない。こういうイベントでまちの魅力を発信し、にぎわいをもたらしたい。事業主さんの出店がさらに増えることも期待したい」と話した。

 

(復興釜石新聞 2017年5月10日発行 第586号より)

関連リンク
Oh!マチ Music Festa
復興釜石新聞

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尾崎半島で山林火災、強風にあおられ延焼続く

尾崎半島で山林火災、強風にあおられ延焼続く〜尾崎白浜・佐須、136世帯に避難指示

強風を受け、尾崎半島の各所から火煙が高く立ち上り、西側の集落にも迫る=8日午後2時49分

強風を受け、尾崎半島の各所から火煙が高く立ち上り、西側の集落にも迫る=8日午後2時49分

 

 西寄りの強風が吹き荒れた8日午前11時56分ごろ、釜石市平田の尾崎半島東部から出火。風にあおられて延焼し、9日午前11時までに約400ヘクタールを焼失した。市は8日午後2時50分、火災現場に近い尾崎白浜、佐須地区の136世帯、348人に避難指示を出した。9日は火の勢いが弱まったものの、火災の範囲は拡大。要請を受けた自衛隊のヘリコプターや各県の防災ヘリによる空中消火が続いた。

 

 市によると、出火は釜石湾を航行する漁船が通報した。出火地点は尾崎神社の奥宮がある青出浜付近とみられる。

 

 8日朝から吹き始めた風は昼前から午後2時過ぎまで強く吹き荒れ、最大瞬間風速は25・9メートルを記録。火は風に巻かれて稜線を越え、東西に広がった。一帯は三陸復興国立公園に含まれ、国有林と民有林が入り組み、雑木、スギ、マツが混在する。燃えやすいマツに着火すると炎の勢いが増し、黒煙を噴き上げた。

 

 煙は内陸部の中妻町や上中島町方向からも確認できた。

 

 火勢の強さ、急しゅんな地形、水利の問題から地上からの消火活動は見合わせた。釜石まつりで曳き船が出る青出浜の奥宮周辺では、漁船で運んだ小型ポンプを使い社殿を守った。

 

 空中消火は自衛隊と岩手県防災ヘリの3機で行い、日没に終了。9日は午前5時ごろから自衛隊の大型ヘリ7機、中型2機と岩手、青森、秋田の防災ヘリ合わせて12機が消火活動に当たった。

 

 9日午前9時前、野田武則市長は市消防団の山崎長栄団長らと自衛隊ヘリに乗り込み、上空から現場を視察した。野田市長は「昨日より延焼範囲が拡大したようだ。集落に近づく恐れがあり、さらに(空中消火の)追加を期待する。地上の活動も重要になる」と危機感をにじませた。

 

尾崎白浜・佐須、136世帯に避難指示

 

 市の避難指示を受け、市内4カ所に最大で75人が避難し、心配の面持ちで火災情報に耳を傾けた。

 

 尾崎白浜、佐須地区住民は8日午後4時前から、指定された旧釜石商高体育館、平田小、福祉避難所の特別養護老人ホームあいぜんの里と、定内町の国立釜石病院に隣接する釜石いこいの家に移動。市職員と市社会福祉協議会のスタッフが床に防寒シートを敷き、簡易トイレを設置。住民に飲料水や非常食のクッキーを配った。

 

 尾崎白浜の佐藤恭一さん(75)は家族3人に近所の1人と避難した。自宅は集落で一番高い場所にあるが、火煙に包まれる鷹巣山(標高343メートル)の尾根に接し、延焼を心配した。「東日本大震災の地震でも避難し、これで2回目。火が見えたので早くから避難の準備をした。家を焼かれなければいいが…」と祈った。

 

避難した住民は心配そうに推移を見守った=8日午後4時4分

避難した住民は心配そうに推移を見守った=8日午後4時4分

 

 佐須の漁業佐々木憲男さん(70)は震災で自宅が被災。仮設住宅で過ごし、元の敷地をかさ上げして昨年5月に家を再建した。子ども3人は独立し、市内に住む。「大丈夫だとは思うが心配だ。朝には家に戻る」と厳しい表情を崩さなかった。

 

 避難したものの、市内に住む肉親の家に移る高齢の女性もあった。

 

 市によると、尾崎白浜地区では20人が8日夜も自宅に残った。

 

 住宅への延焼を食い止めようと、消火活動は9日午前5時前から再開した。空中消火と地上の消防団が連携。いくつかのルートにホースを延ばし、集落縁辺の山林へ防御放水を続けた。

 

(復興釜石新聞 2017年5月10日発行 第586号より)

 

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広報かまいし2017年5月15日号(No.1664)

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【目次】
表紙:サケの稚魚放流会
P02:5月12日は民生委員・児童委員の日
P04:釜石市市制施行80周年記念行事
P05:釜石市民ホール愛称募集、「赤ちゃんの駅」シンボルマーク募集
P06:ホームステイの受け入れ家庭募集など
P07:リッチ・マコウ チャリティーフォーオール、RWC2019™ミニ通信
P08:まちの話題
P10:保健案内板
P12:市民のひろば
P13:まりのお知らせ
P16;かまいし徒然日記

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〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
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元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/koho/backnumber/detail/1209793_2596.html
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行き交う人の目を楽しませる鵜住居町の県道釜石遠野線沿いの菜の花

菜の花 黄に染める〜鵜住居町、見ごろに

行き交う人の目を楽しませる鵜住居町の県道釜石遠野線沿いの菜の花

行き交う人の目を楽しませる鵜住居町の県道釜石遠野線沿いの菜の花

 

 釜石市鵜住居町の県道釜石遠野線沿いにある菜の花畑が見ごろを迎えている。「菜の花大地復興プロジェクト」を展開する一般社団法人ユナイテッドグリーン(山田周生代表)が地域住民や市内外のボランティアと協力して整備した0・3ヘクタールの畑に数万本が咲きそろい、一面を鮮やかな黄色に染めている。

 

 この畑は2013年に整備され、毎年の開花時期に、かれんな黄色い花で住民や道行く人たちの目を楽しませてきた。昨年8月、種をまいた直後に台風10号による浸水被害を受けたが、市民の協力で再整備。「ダメ元」で種をまいたところ、今年も4月下旬から次々に花を咲かせた。

 

 同プロジェクトは、被災した土地や耕作放棄地に菜の花を植えて景観づくりや塩害などの土壌改良が目的。畑は鵜住居町から橋野町にかけての道路沿いなどに点在し、広さは約1・5ヘクタールに及ぶ。年間約1500人のボランティアが市外から訪れ、畑の草取りなど整備に協力。収穫した菜種から油を絞って販売し、売り上げを被災地に還元している。

 
花畑で交流を楽しむ地域住民とボランティア

花畑で交流を楽しむ地域住民とボランティア

 

 鵜住居町の畑は2015年夏から、オーナー制を導入している。4月29日にはオーナーとなっている企業の一つ、日本郵船(東京都千代田区)が畑の様子を見学。草取りのボランティア活動を行った後、地域住民らを招いてバーベキューを楽しんだ。地域住民から「菜の花を見て心が和む」と聞いた同社の女性社員は「心穏やかに暮らしてもらうのに役立っているんだ」と実感し、ほほ笑んでいた。

 

 同プロジェクトによる上栗林地区3カ所の畑も現在、見ごろだという。橋野町の産直「どんぐり広場」そばにある畑は花を咲かせ始めたところで、30日に年1回の「菜の花レストラン」を開いた。

 

 山田代表は「菜の花畑を地域住民とボランティアが交流する場にしたい。菜種油の生産を増やすことで雇用創出にもつなげたい」と取り組みの拡大に意欲満々。畑の草取りなどを行った住民に時給800円程度を支払う仕組みを始めたほか、遊休地などの提供や協力者を探している。連絡先はユナイテッドグリーン(電話090・4473・2338)へ。

 

(復興釜石新聞 2017年5月3日発行 第585号より)

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9人乗り乗合タクシー「カエっぺタクシー」

23時・24時発 9人乗り乗合タクシー「カエっぺタクシー」のご案内

 23時・24時発 9人乗り乗合タクシー「カエっぺタクシー」のご案内

 

市は、被災した飲食店街の復興を後押しするため、飲食店街乗合交通モデル運行事業として、9人乗り乗合タクシー「カエっぺタクシー」の運行を開始します。

 

23時・24時発 9人乗り乗合タクシー「カエっぺタクシー」のご案内

23時・24時発 9人乗り乗合タクシー「カエっぺタクシー」

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運行日、運行期間

平成29年5月12日(金)~10月27日(金)の毎週金曜日

運行時間

23時発、24時発

運行ルート

①平田ルート:大町(釜石漁火酒場かまりば)発、上平田ニュータウン・平田第2仮設団地 経由、平田公園仮設団地 行
②甲子ルート:大町(釜石漁火酒場かまりば)発、小川・向定内 経由、上大畑 行

料金

①平田ルート: 1,000円
②甲子ルート: 野田まで 1,000円、松倉から 1,500円

注意事項

1.「釜石漁火酒場かまりば」前に、23 時または24 時までにお集まりください。
2.途中乗車はできません。
3.ご乗車は先着順で予約はできません。
4.「甲子ルート」または「平田ルート」の車両をお選びください。
5.ご乗車前に乗務員に降車地を告げ、運賃をお支払いください。
6.お支払いは現金のみとなります(領収書発行可)
7.運行ルート上であればどこでも降車できます(ルートは裏面記載)
8.小児運賃や割引運賃はありません。未就学児童は無料。
9.9 人乗りタクシーでの乗合となります。
10.泥酔の方は乗車をお断りする場合があります。
11.台風等荒天時には運行できない場合があります。

 

【お問い合わせ】
市商業観光課 商業まちづくり係 TEL 0193-27-8421
 
【運行事業者】
文化タクシー TEL 0193-23-5038、 釜石タクシー TEL 0193-22-3881、 青葉タクシー TEL 0193-23-5911

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 商業観光課 観光おもてなし係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8421 / Fax 0193-22-2762 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/kurasu/kotsu/detail/1209742_2211.html
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