水しぶきをあげ元気にスタートを切る5キロの出場選手

根浜に熱気、声援再び〜オープンウォータースイミング、国体の遺産継承

水しぶきをあげ元気にスタートを切る5キロの出場選手

水しぶきをあげ元気にスタートを切る5キロの出場選手

 

 「第1回釜石オープンウォータースイミング(OWS)2017根浜」(同実行委主催)は6日、釜石市鵜住居町の根浜海岸特設会場で開かれた。自然水域での長距離泳でタイムを競うOWSは、昨年のいわて国体で初めて正式競技として採用され、会場となった根浜に震災復興への大きな力をもたらした。国体のレガシー(遺産)を継承し、地元主導で立ち上げた今年の大会には、全国から175人が集結。同競技の普及・発展と地域振興へ新たな歴史が刻まれた。

 

 競技は小学4年生以上を対象に、500メートル、1キロ、3キロ、5キロの種目で実施。海上に設置したブイを周回するコースで行われた。この日は、あいにくの曇り空で気温26度、水温22度。低い水温と次第に出てきた風や波で、大会経験者でも厳しいレースとなったが、各選手はベストを尽くし、完泳後は充実の表情を見せた。

 

 500メートルに出場した菊池一朗君(甲子小5年)、藤原悠希君(釜石小同)は、市営プールで練習するチャレンジSTに所属。初めてのOWSに「海底が見えなくて怖かった。疲れた」と口をそろえたが、菊池君は「満足いく結果だった」、藤原君は「これからも参加したい」と競技への興味をのぞかせた。

 

関係者に見送られ競技に向かう500メートル出場の小学生

関係者に見送られ競技に向かう500メートル出場の小学生

 

 釜石高水泳部からは1キロに8選手が出場。部員らは大会運営の補助員としても活躍した。

 

 男子の高校生~29歳で2位に入った小笠原悠記君(2年)は「1位との差が1分半ぐらいあり、もう少し頑張りたいところ。機会があればまた挑戦したい。海での大会は復興の進展を感じさせる」と大会を歓迎。田中凛さん(2年)は「ブイに向かって真っすぐ泳ぐのが難しい」とプールとの大きな違いを実感。「地元の大会は地域の人たちが見に来るし、他県からも多くの人が集まる。続ければ復興の後押しにもなると思う」と話した。

 

競技と運営に活躍した釜石高水泳部

競技と運営に活躍した釜石高水泳部

 

 大会は、今年のえひめ国体に出場する岩手県選手の選考会も兼ねた。2年連続の代表を目指す男子の桑添陸さん(18)=新潟医療福祉大=は、5キロ総合で愛媛県代表選手に次ぐ2位に入り、予想通りの実力を見せた。代表選手(男女各1)は県水泳連盟により後日、正式決定する。

 

 愛媛代表の松村脩平さん(22)=松山市文化・スポーツ振興財団=は、いわて国体にも出場。「昨年、お世話になったこの地に恩返ししたい気持ちと国体前の最終調整として参加した。愛媛も国体に向け盛り上がっている。県民の期待に応えられるよう頑張りたい」と気を引き締めた。

 

 女子5キロには、昨年のリオデジャネイロ五輪日本代表で、いわて国体優勝者の貴田裕美さん(32)=コナミスポーツクラブ=が出場。五輪選手の本領を発揮し優勝した。プレ国体から3回目の釜石大会となった貴田さんは「地元の皆さんが一生懸命運営してくれて、すごく温かい大会」と評価。「OWSは東京五輪の種目にもなり、日本の若い選手も世界で活躍できるようになってきた。競技をもっと身近に感じ、たくさんの人に見てもらえるようになれば」と期待を寄せた。

 

 同実行委は、この大会を日本水泳連盟の認定大会にすることを目標に掲げる。日水連OWS副委員長の大貫映子さん(56)は「ライフセービングクラブなどの協力で安全面もしっかりしており、大会運営もスムーズにできていた」と講評。実行委事務局の西原義勝・県水連OWS委員長(釜石水泳協会会長)は「認定大会になれば、有名選手も来てくれる。市民レベルの大会要素と両立させ、さらなる競技の周知を図りたい。OWSの大規模な大会は東北では釜石だけなので、北の大会として発信力を高めていければ」と意欲を見せた。

 

(復興釜石新聞 2017年8月12日発行 第613号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

照井さんは「震災を経験したことでたくさんの言葉を編むことができた」と振り返った

「震災俳句」に思い込め〜俳人 照井翠さん講演

 照井さんは「震災を経験したことでたくさんの言葉を編むことができた」と振り返った

照井さんは「震災を経験したことでたくさんの言葉を編むことができた」と振り返った

 

 7月に釜石市大町に本設店舗をオープンした桑畑書店の再出発を記念した講演会が1日、釜石PITで開かれた。講師は、店主の桑畑眞一さん(63)と親交がある俳人の照井翠さん(54)=北上市。「震災と俳句~朗読を中心に」をテーマに、震災体験などを基に詠んだ句を紹介しながら言葉の持つ力を伝えた。

 

 高校教師でもある照井さんは今年3月までの7年間、釜石高校で教べんをとった。震災時、アパートのある釜石市中心部が津波で大きな被害を受け、高校の体育館での避難生活を体験。2013年に震災をテーマにした句集「龍宮」で第12回俳句四季大賞を受賞した。

 

 講演会は市民ら約70人が聴講。照井さんは「龍宮」などから計80句を朗読しながら、五七五という17音に込めた思いを紹介した。

 

 「喪(うしな)へば うしなふほどに 降る雪よ」(龍宮より)は震災直後、何をどれだけ失うのか先が見通せない手探り状態の中で生み出した句。「さよならを言ふために咲く 桜かな」(同)は、移りゆく季節の中で変わらず咲く花も、目に映る美しさがいつもとは違ったと強く感じ、したためた。「まだ立ち直れないのか 三月来(く)」には、まちの復興は進んでいても、現実を受け止められず立ち止まったままの人、心を閉ざして声を出せない人もいる現実を伝え、「寄り添う気持ちを持ち続けてほしい」との願いを込めた。

 

 「震災のつらい、厳しい経験、現実には限度があり、虚(フィクション、空想)に支えられているところがあると感じた。虚の側に身を置き、さまざまに思いを巡らせ心で真実に迫り、大きな世界を詠んでいきたい」と照井さん。新たなスタートを切った桑畑さんに「釜石の文化活動の拠点として、ファイティングポーズを持ち続けて」とエールを送った。

 

 大平町の紺野きぬえさん(72)は自身も俳句をたしなんでおり、「句に込められた思いを聞くことができ、すっきりした。言葉に感動。今日の思いを俳句に生かしたい」と刺激を受けていた。

 

(復興釜石新聞 2017年8月5日発行 第611号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

釜石◯◯会議

【イベント紹介】第3期 釜石◯◯会議

釜石◯◯会議

 

「釜石をもっと楽しいまちにしよう」「やりたいことを形にしていく仲間を増やそう」をコンセプトに、2015年3月よりスタートした【釜石○○会議】(かまいしまるまるかいぎ)

 

今年行われる第3期は、8月~11月まで計3回開催されます。1回目(8月19日)の開催が間近という事で、実行委員長の柏崎未来さん、委員の常陸奈緒子さんのお二人に色々とお話をお聞きしました。

 

まずは、「釜石○○会議って何?」という素朴な疑問から・・・

 

釜石◯◯会議

 

“会議”と名前についているせいか、堅苦しい印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれないのですが、「釜石でもっと楽しく過ごそう」「やりたいことを形にする仲間を見つけるよう」「自分が感じている“まち”についての思いや人の思いを聞いてみよう」などがコンセプトです。

 

その中で、「釜石にこんな人が居たんだ!」とか「こういう楽しみ方があったんだ!出来るんだ!」という新しい発見や出会いが生まれて行く・・・そんな場となっています。

 

もともとは、2014年に開催された「釜石百人会議」が前身となっていて、2015年から今の名称でスタートし今年で3年目となります。

 

これまでの2年(1年に1回開催)を振り返ると、様々なプロジェクト・チームが生まれていますね

 

チームの数でいうと、第1期、2期それぞれ9つのプロジェクトが生まれました。

 

第1期(2015年)では、釜石の現状から課題を見つけ、そこからプロジェクトが生まれていくという感じだったんですが、第2期(2016年)では、まずは「自分たちが楽しむことから」始めよう、という動きが多くなってきているように感じています。

 

今回の第3期のチラシにもいくつか例が挙がっていますが、「釜石でゆる~く楽しく遊びながら、釜石のことを知る」というコンセプトの『ほ~でなす釜石』は、青葉通りに“コタツ”を並べてはまってかだる、という企画を催しましたね。

 

実際に開催してみたら、近所にお住まいのおじいちゃん、おばあちゃんが「何だかわからないけど、なんかやっている」とお孫さんを連れて参加してくれたそうなんです。そして、「普段あまり会話も無いんだけど、コタツを囲んで色々話しができて、今日は楽しかった」と帰り際に言って行かれたそうで。そんなエピソードを聞くと、活動を始めた皆さんが、まず自分たちが楽しもうとしてしたことが、「まちの人たちの楽しい暮らし」に繋がっていく、貢献する事になる、という事を感じています。

 

釜石◯◯会議

 

プロジェクトからさらに何かが生まれて繋がっていくということですね。

 

そうですね、他にも『スポーツでつながり人口を増やそう!』が開催しているフットサルのイベントには、山田町や盛岡市から参加している人もいます。そこで繋がった事がきっかけで、別のイベントをするときに応援に来てくれたりと輪が広がっています。

 

そして、第3期が8月からスタートしますが、これまでとの違いがあるそうですね。

 

まず、チラシに“今年はユルめに・・・”と書きましたが、回数が5回から3回に、それと1回の時間も短くなっています。今まで回数・時間の面でハードルが高いと感じていた人が参加しやすくなってくれたらという思いで変更しました。

 

それから、これまではプログラムの中でしっかりチームをつくって、○○会議終了後の具体的なアクションに繋げるまでを大事にしてきました。もちろん今回も、そういう気持ちのある人はどんどん仲間集めをしていただきたいと思ってはいますが、参加した人たちがチームを作ったり、どこかに所属したりという事を前提にするのは一旦置いて、まずは気軽に来ていただいて、色々な人とつながってもらう、という事を大事にしたいと思っています。

 

例えば、第1期、2期で出来たチームを知って、イベントに参加するとか。そういった所から始めてもらえたらなと思っています。

 

最後にメッセージをお願いします

 

釜石◯◯会議

 

常陸さん:
実行委員会では、参加してくれた人にどうやって楽しんでもらえるか、どうしたらつながってもらえるか・・・そういう事を考えながら準備を進めています。「堅苦しくて、なんだかめんどうそうだなぁ」と思っている人にこそ、とりあえず一度のぞいてみて欲しいです。

 

柏崎さん:
実行委員も初めは参加者でした。だからこそ、一歩踏み出すときの気持ちをわかっているメンバーばかりです。まず一歩を踏み出す。ハードルが高いかもしれませんが、ぜひ踏み出して欲しいなと思います。

 

また場所についても、参加しやすさを考えてチームスマイル・釜石PIT(釜石情報交流センター)で開催します。高校生の皆さんの参加もお待ちしています!

 
 
 

現在、実行委員会の中で取りまとめ役をしているのは、今回お話を聞いたお2人を含む女性3人だとか。女性が元気に活躍するまち 釜石。それだけでも素敵ですよね。

 

また、初期の頃から比べると、実行委員会メンバーと参加者いずれも、若手や女性がどんどん増えてきているそうです。私も実際に昨年お邪魔してみましたが、女性の感性や目線が活かされて、温かくて柔らかい雰囲気を会場で感じました。

 

そして、始まると参加者を退屈させずに交流しやすくなるようなプログラムが組まれていて、“長いかな?”と思っていた時間もあっという間、どちらかというと足りないくらいに感じました。

 

そして何より参加者の皆さんが楽しそうに過ごしているのも印象的でした。普段の暮らしの中ではもしかしたら出会う事が無い、色々な世代や立場の人たちが集まり、ざっくばらんにお話できる・・・そんな場でしたよ。

 

第3期 釜石○○会議

 

開催日

第1回 8月19日(土)、第2回 9月23日(土・祝)、第3回目 11月3日(金・祝)

時間

13:00~16:00 (12:30~受付開始)

会場

釜石情報交流センター チームスマイル釜石PIT (託児スペース完備!)
(釜石市大町1-1-10)

申込方法

・チラシ裏面にあるQRコードから申し込みフォームにアクセスする。
・Facebookイベントページ(近日作成予定)の参加ボタンを押して、参加表明する。
または、お電話でお申し込み下さい。
その他、当日参加も大歓迎です!

お申込み・お問い合わせ

釜石○○会議事務局(釜石市オープンシティ推進室内)
TEL:0193-22-2111(内線193)受付時間 8:30~17:15
MAIL: marumarukaigi@gmail.com
Facebook: https://www.facebook.com/marumarukaigi

詳しい内容はこちらの縁とらんすの記事からもどうぞ
【8/19(土)より】釜石○○会議を開催します – 縁とらんす

 

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内

広報かまいし2017年8月15日号(No.1670)

広報かまいし2017年8月15日号(No.1670)

広報かまいし2017年8月15日号(No.1670)

 

 広報かまいし2017年8月15日号(No.1670)

広報かまいし2017年8月15日号(No.1670)

ファイル形式: PDFファイル
データ容量: 2,758 KB
ダウンロード


 

【目次】
表紙:中小川地区ワッカラ淵のホタル
P02:市民ホール利用料金・申し込み方法説明会を開催、地域防災計画意見募集
P03:子育てを支援しています、ごみ減量チャレンジ
P04:トライアスロン交通規制、RWC2019™ミニ通信
P05:まちのお知らせ
P08:保健案内板
P10:まちの話題
P12:かまいし徒然日記

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/koho/backnumber/detail/1211890_2596.html
釜石市

釜石市

釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
kyuukan

復興釜石新聞より、8月16日号 休刊のお知らせ

8月16日付の復興釜石新聞は、お盆休みのため、発行を休ませていただきます。

 

なお、次回の発行は、8月19日(土) となります。

 

合同会社 釜石新聞社

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

「ファイト黒潮健児」の横幕を掲げて行進する平田小の児童ら。沿道では約7千人の見物客が声援を送った

響く『よいさ』燃える釜石、復活から5年目の夏〜震災復興から交流促進へ、国際色も豊かに 躍動35団体 1900人

「ファイト黒潮健児」の横幕を掲げて行進する平田小の児童ら。沿道では約7千人の見物客が声援を送った

「ファイト黒潮健児」の横幕を掲げて行進する平田小の児童ら。沿道では約7千人の見物客が声援を送った

 

 釜石の夏を熱く彩る「釜石よいさ」(同実行委主催)は5日、大町から只越町の目抜き通りを特設会場に開かれた。東日本大震災による休止を経て復活してから5回目、通算では29回目。「サーサ、ヨイヤッサー」の掛け声に合わせ、35団体、約1900人が思い思いのスタイルで舞い踊り、パレードを繰り広げた。震災後は「復興」を前面に掲げてきた釜石よいさ。震災から6年が経過し、復興もかなり前進。2年後のラグビーワールドカップ(W杯)開催へ向け、夏の祭りは国際交流の場へと変わりつつあることを印象付けた。

 

開会を前に特設舞台から餅をまく野田市長、君ケ洞実行委委員長ら

開会を前に特設舞台から餅をまく野田市長、君ケ洞実行委委員長ら

 

 青葉通りに設置された特設舞台で開会セレモニー。実行委の君ケ洞剛一委員長(39)は「継続してきた先輩たちのおかげで今がある。よいさのバトンを渡す積み重ねが釜石の明るい未来につながる」と宣言。野田武則市長は「復興工事も来年で完了する見通し。全国から集まった多くの人を力に早期復興につなげたい」と前を向いた。

 

 にぎやかに餅まきが行われたあと、尾崎青友会が郷土芸能の虎舞を披露。続いて甲東、かまいしこども園、正福寺幼稚園、上中島保育所の園児らが元気いっぱいに「子供よいさ」を繰り広げた。

 

 総勢50人のおはやし隊の笛や太鼓が鳴り響き、そろいの浴衣姿のよいさ小町があでやかに前ばやしを披露すると、いよいよ本番がスタート。企業や団体、学校ごとに趣向を凝らしたスタイルで踊りの輪が回り始めた。

 

「がんばろう釜石」とアピールする復興整備事業の仲間たち

「がんばろう釜石」とアピールする復興整備事業の仲間たち

 

 市の職員らは、2年後に迫ったラグビーW杯へ向け、のぼり旗を先頭に行進。W杯を共同開催する県の沿岸広域振興局職員らは「ワールドカップを成功させよう」の横断幕を掲げてアピールした。

 

 拓殖大や聖学院大の学生、外資系企業のUBS証券グループなど、釜石の復興を外から支え続ける団体も参加。数多くの外国人も踊りの輪に加わるなど国際色も豊かになった。

 

笑顔で躍動する拓殖大の学生ら

笑顔で躍動する拓殖大の学生ら

 

釜石の復興を支え続ける聖学院大の学生も「ヨイサッ」

釜石の復興を支え続ける聖学院大の学生も「ヨイサッ」

 

 市国際交流協会の輪には、バイクレースに出場するため東京から北海道に向かう途中というプロライダー、ベンソン・バイウさん(30)=フランス=とガールフレンドのステファニー・ロウエさん(30)=イギリス=が飛び入り。「イエー!」と大ノリで、「バイクレースよりも興奮した。人々の熱い吐息も感じることができた」と声を弾ませた。

 

バイクで釜石を通りかかり、飛び入り参加したバイウさん(左)とロウエさん(右)

バイクで釜石を通りかかり、飛び入り参加したバイウさん(左)とロウエさん(右)

 

 沿道では市民や観光客ら約7千人が拍手を送り、夏の饗宴を盛り上げた。市内の水産加工場で技能実習生として働くベトナムの若い女性たちも、うちわを振りながら声援。今年5月に釜石にやってきたドー・ティ・トウフォンさん(19)は「これから3年間、釜石でがんばります」と、躍動する市民の輪に思いを重ねた。

 

釜石市の国際交流員、バリーさん(右)、ハラムズさん(左)もノリノリ。ベトナムやオーストラリアの国旗も躍る

釜石市の国際交流員、バリーさん(右)、ハラムズさん(左)もノリノリ。ベトナムやオーストラリアの国旗も躍る

 

 友人と誘い合って駆け付けた天神町の野崎諒子さん(78)は「毎年これが楽しみ。ホントはこうして見るより踊る方が好き」と言いながら、目の前で踊る4歳の孫に手を振った。

 

 昨年4月の熊本地震で大きな被害を出した熊本県益城町から、被災者が「支援を受けた返礼に」と、釜石よいさに参加した。

 

 屋台村で花屋を営む倉本憲幸さん(40)と、キッチンカーでカフェを営む市村修一さん(33)の2家族11人。釜石まで約1900キロの道のりを車に同乗して駆け付け、益城町の西村博則町長の礼状を野田武則市長に手渡した。

 

熊本県益城町から返礼に駆け付けた倉本さん、市村さん一家

熊本県益城町から返礼に駆け付けた倉本さん、市村さん一家

 

 昨年起きた熊本地震の際、キッチンカーを使って益城町に行き、炊き出しを行った三塚浩之さん(54)=釜石市浜町=が縁をつないだ。三塚さんは「東日本大震災の際に支援を受けた九州に恩返しをしよう」とリストバンドを販売して募金を集め、これまで7回も益城町まで足を運び、12万円近い支援金も届けている。

 

 三塚さんは震災前、市役所の近くで和食店を営んでいたが、津波で被災。その後、キッチンカーで営業を再開した。さらに飲食店の再開を目指す三塚さんの姿に刺激を受け、「リバイバル マシキ」という復興団体を立ち上げた倉本さんは「何から手を付けていいか分からない状況だが、少しずつ動き始めたい」。屋台村の仮設店舗で倉本さんの仲間だった市村さんも「益城町の夏祭りも復活させたい」と前を向く。

 

(復興釜石新聞 2017年8月9日発行 第612号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

海あそびワンデイキャンプ

【イベント紹介】海あそびワンディキャンプ〜めっちゃきれいな釜石のシークレットビーチであそぼう!

海あそびワンデイキャンプ

 

最近、海と触れ合う時間はありましたか?「行きたい気持ちはあるけど、何となくきっかけがなくて・・・」という方も多いかもしれませんね。そんな皆さんにおすすめのイベントをご紹介します。

 

釜石のシークレットビーチで1日を過ごす【海あそびワンディキャンプ】です。

 

主催の「海と子どもの未来プロジェクト実行委員会」(通称:さんりくBLUE ADVENTURE)共同代表の永嶋奏子(ながしま かなこ)さん<ユナイテッドグリーン・Beach Academy 釜石> に、このイベントについてお聞きして来ました。

 

さんりくBLUE ADVENTUREには色々な市内の団体が参加していますね

 

はい、釜石には、地域の海に関わる「自然・アウトドア・スポーツ・教育・安全」などをキーワードに活動を行う海の仲間たちがいます。

 

そうした仲間が連携し、「未来の地域を担う子どもたちと共に海とふれあう機会をつくることで、東日本大震災の影響により加速する“海離れ”を止め、ふるさと三陸の海や自然そして文化に誇りを持ち、自然への愛情と“生きる力”を育みたい」そんな想いを胸に、地域の子どもや家族へ向けた海を体験する【海あそびワンディキャンプ】を2014年から毎年開催してきました。今年で4年目になります。

 

004

 

東日本大震災の後の子どもたちと海との関わりについては、どう感じていらっしゃいますか?

 

あまり海に行くきっかけが無かったり、やはり、まだ家族で海に・・という意識にはなっていない方も少なくないなと感じています。震災から6年が経過しましたが、小学校に通う年代の子どもが一度も海と触れ合う事なく過ぎてしまう、ということがあるかもしれない・・・。

 

そして、三陸沿岸だけではなく、実は全国的に見ても“海離れ”は進んできているんです。だけど、小さい頃に海で遊んだ思い出は大人になっても、鮮明に覚えているものではないでしょうか。

 

砂浜を裸足で歩いた時の感触、海水を飲んでしまった時の塩辛い味、浮き輪からひっくり返ってしまった事、きっと多くの方々の記憶の中に刻まれている思い出があると思います。

 

また、海と触れ合う機会が少ないと、海につながる活動を知ったり、始めたりするきっかけに繋がりにくいのではという事もあります。実際に漁師さんを見て「かっこいいなぁ」と感じる事だとか。

 

ふるさとの海を知ることは、ふるさとを好きになる、誇りを持つことに繋がっていくと思うんです。

 

011

 

プログラム内容についてですが、1日でこんなにたくさんの事が体験出来るプログラムは、なかなか無いのではないでしょうか?

 

そうですね。シュノーケリング・シーカヤック・ニッパーボード・スタンドアップパドルボード、生き物観察など・・、これだけの事を一度に体験できる機会はなかなかないと思います。これは本当に、釜石ならでは。地元の海や文化が大好きで、専門分野それぞれに活躍する人がいて、つながりあえるからこそ。釜石だからこそ出来るプログラムです!

 

007

 

その他にプログラムのおすすめポイントはありますか?

 

まず、ウェットスーツを着て遊ぶというのが大きなポイントです。多くの皆さんにとって、おそらく着る機会が少ないモノなのかなと思いますが、浮力の確保・体の保護・保温性があるので、三陸の冷たい海でも1日中遊ぶことが出来ます。

 

006

 

それから、海があまり得意では無い、泳ぐことが出来ない方でも楽しんでいただけると思います。磯場や少し海の中を覗いて見るだけでも、色々な魚や生き物がいます。子どもたちの様子を見ていると、毎回「そんなに楽しい?!」って思うくらい、はしゃぎながら観察していますよ(笑)。

 

008

 

それから、「ういてまて講習会」がありますね

 

世界中の合言葉である「ういてまて」や、実際にランドセルやペットボトルを使って浮いてみるなど、釜石ライフセービングクラブのライフセーバーに直接教わる貴重な機会となっています。地元で活躍するライフセーバーたちは、子どもたちの目にも憧れの存在として写っているに違いありません。

 

ういてまて講習会

 

地元の漁師の方々も協力されていますね

 

2年目以降は「今年もやるんだね」と、回数を重ねる事にだんだんと理解を頂いてきているなぁと感じています。港や船、当日会場での安全面についてのご協力、それから子どもたちと交流もして頂いています。

 

009

 

これまでの参加者からの声や子どもたちの様子はどうですか?

 

これまで毎年参加してくれている子もいます。それから、町中で偶然会った時に、「海のやつ今年はいつやるの?」と聞かれてうれしかった事もありました。また、夏休みの思い出の絵を書いてくれた子もいて、それを見たときに「あー、やって良かったな」と感じました。

 

010

 

来てくれた子どもたち自身が、このプログラムの背中を押してくれているのですね

 

そうですね! そして、参加した親御さんも子どもに負けないくらいに楽しんで下さっています。そんな親御さんの様子を見ることで、子どもたちも安心して心から楽しんで遊ぶ事が出来るという事も、開催して感じたことです。

 

001

 

泳げない子にも安心して楽しく過ごしてもらえていますし、回を重ねるごとに海に対して積極的になって行く姿なども見られます。

 

今後の活動についてはどうでしょうか?

 

4年目を迎え、これまでの経験を活かしそれぞれの役割分担が明確になり、スタッフ側の体制も少しづつ整ってきました。今後はもっと多くの地元の子どもやご家族に参加していただけるようにしていきたい。また沿岸地域だけではなく、内陸の子どもたちにも海と触れ合う機会を提供したいです。

 

005

 

また、現在は釜石ファンでありトライアスリートのマイケル・トリーズさんが代表を務める「Tri 4 Japan」さんからの継続的なご寄付やご協力をいただき運営ができています。心から感謝しています。また、ボランティアの参加もあって運営が成り立っていますが、これからはより自立した運営を目指しています。地元の協力協賛企業を募集し、継続して関わって下さる方が少しでも増えればと期待しています。

 

そして何より、この体験が家族で海と触れ合うきっかけになり、日常の風景になってくれたらと願っています。

 
 

「海と子どもの未来プロジェクト実行委員会」(通称:さんりくBLUE ADVENTURE)は、強い想いを持った一般市民の皆さんによる活動です。こうした市民主導の活動は、とても貴重な事なのではないかと感じます。

 

~未来を担う子どもたちに、故郷の海の思い出を、そして、生きる力を育む~ そんな想いを持って集まった海の先生たちが、みなさんの参加をお待ちしています!とってもきれいな釜石の海で、思いっきり遊び、素敵な思い出作りませんか?

 

第4回 海あそびワンディキャンプ

 

海あそびワンディキャンプ チラシ 表

海あそびワンディキャンプ チラシ 表

ファイル形式: PDFファイル
データ容量: 753 KB
ダウンロード


 

海あそびワンディキャンプ チラシ 裏

海あそびワンディキャンプ チラシ 裏

ファイル形式: PDFファイル
データ容量: 513 KB
ダウンロード


 

開催日

1回目 8月20日(日) 2回目 9月9日(土)(両日とも荒天順延は9月17日(日))

集合場所

釜石市 箱崎白浜漁港 [8時45分集合・16時解散]

対象

小中学生と保護者さま(定員30名)

参加費

1日おひとり4,500円[2人目からはひとり500円割引]
※昼食、ライフジャケット、ウェットスーツなど機材レンタル、保険代込み

持ち物

○一日分の飲料水 ○水着 ○着替え ○タオル(着替えやすいゴム入りタオルが便利です) ○水中メガネ ○ウォーターシューズ(お持ちでない方は濡れても良い靴、かかとのあるサンダル)
 
※緊急時は、ビーチからハイキング路を登って高台の道路へ避難します。また、当日の天候・海の状況によって、会場を 水海海岸・愛の浜 に変更することがあります。

申込期限

それぞれの開催日の3日前まで ※ただし定員になり次第締め切りとなります
申込は以下の方法にて
電話番号:090-4473-2336 <担当・永嶋(ナガシマ)さん>
メールアドレス: sannrikubluead@gmail.com
FACEBOOKページ: さんりくBLUE Adventure
お問い合わせもお気軽にご連絡ください。

 

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内

「買い物がてら週に1回は来たい」とスポーツジムの開設を喜ぶ男性も

集いの場で健康づくり、スポーツジム「3FIT」オープン〜憩いのサロンに開放、イオン釜石へ 東北初出店

「買い物がてら週に1回は来たい」とスポーツジムの開設を喜ぶ男性も

「買い物がてら週に1回は来たい」とスポーツジムの開設を喜ぶ男性も

 

 釜石市港町のイオンタウン釜石1階に3日、「イオンスポーツクラブ3FIT(スリーフィット)釜石店」がオープンした。2013年にイオンタウンと釜石市が締結した「大規模商業施設の立地および地域貢献に関する協定」に基づくもので、イオンが運営するスポーツジムとしては東北初出店。最新の筋力マシンのほか、ヨガなどイオン独自のスタジオレッスンプログラムを用意した。また、地域の集いの場として活用できるよう交流スペースも設け、復興に進む地域のコミュニティーづくりと住民の心と体の健康づくりを後押しする。

 

 3FITは、グループ会社イオンリテール(千葉市、岡崎双一社長)が全国で40店舗以上を展開するスポーツクラブなどの施設ブランド名。世代や性別を問わずに高まる健康志向に応えるため、「身体的、精神的、社会的3つの健康(フィットネス)を地域社会に届ける」のをコンセプトにしている。

 

 釜石店は店舗面積約600平方メートル。最新のストレッチマシーンやランニングマシン、エアロバイクなど計35台を配置した。スタジオレッスンとして、「コアシェイプ」や「フィットヨガ」、「バランスボール」などのプログラムを用意。運動初心者から体の機能向上を目指す人まで幅広いニーズに対応させた。

 

 健康機器大手タニタの健康管理プログラムを採用し、活動量計を兼ねる会員証で、毎日の歩数や消費カロリーを計測。店内に設置している体組成計や血圧計の結果と合わせて、連動するWEB上の管理サイトで経時変化をチェックできる仕組みになっている。

 

野田市長らのテープカットでスポーツジムのオープン

野田市長らのテープカットでスポーツジムのオープン

 

 スタッフはインストラクターなど9人を配置。会員一人一人に合ったトレーニングを提案するため、マンツーマンでマシンの使い方や運動のメニューづくりをサポートする。

 

 市と連携した取り組みとして、お茶やお菓子を囲みながら過ごせる交流プログラムを9月から開始。火曜日の午前10時から午後3時までサロンとして開放する。

 

 オープニングセレモニーで、釜石店の三浦元司ストアマネジャーが「釜石を健康と笑顔のまちにするため、スタッフ一同、元気に明るいパワーを持ってサポートする」とあいさつ。イオンタウン営業本部東北事業部の三吉孝明部長、野田武則市長ら関係者がテープカットし開店を祝った。

 

 事前に会員登録をしたのは、市内外の10代から80代まで約400人。開店を待ち構えた人たちが早速利用を始め、インストラクターの指導を受けながらマシンやヨガレッスンを体験した。

 

 大槌町の女性(67)は「膝を悪くし、医者に筋肉をつけなさいと言われ、家で筋トレを一人でやっていたが面白くなかった。開店はラッキー。自分の足で長く歩けるようにしたい」と意欲満々。マシンを使って体をゆったりほぐしていた野田町の茂庭徹穂(てつお)さん(63)は「普段使わない筋肉を使っている感じ。体力が落ちているのも感じた。頑張って体力増強させたい。買い物のついでに利用できるのもいい」と喜んだ。

 

 営業時間は月・火・木・金曜日が午前9時~午後9時、土・日・祝日は午前9時~午後5時で、定休日は水曜日。問い合わせは3FIT釜石店(電話0193・31・2828)へ。

 

(復興釜石新聞 2017年8月5日発行 第611号より)

関連情報 by 縁とらんす
イオンスポーツクラブ THE SPACE
復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

風を受けて進むヨットの面白さを体験した教室

風切るヨット 子どもら笑顔、被災の根浜に歓声響く〜震災後初の体験教室

風を受けて進むヨットの面白さを体験した教室

風を受けて進むヨットの面白さを体験した教室

 

 釜石市鵜住居町根浜を拠点に活動する釜石ヨットクラブ(三浦勝会長)は7月30日、子どもから大人まで一般の人たちを対象としたヨット教室を開いた。同教室は2008年から始めたが、11年に発生した震災の影響で、休止が続いていた。7年ぶりの復活に関係者の喜びもひとしお。甚大な津波被害から昨年、復旧にこぎつけたフィッシャリーナ周辺に子どもたちの明るい笑顔が戻ってきた。

 

 教室には市内の小・中学生と県内外の大学生ら12人が参加した。風で動くヨットの原理など基礎知識を学んだ後、4艇で大槌湾内に出艇。参加者はクラブメンバーと2人1組になり、大海原でのヨット操縦を体験した。

 

 この日は午前9時から10時台は風が弱く、ヨットを走らせるのに苦労したが、11時を過ぎてから良好な風が吹き始めた。午後には青空ものぞき、夏らしいマリンスポーツ日和に。参加者は復興が進む根浜、片岸地区の海からの景色を目に焼き付けながら、ヨットの醍醐味(だいごみ)を味わった。

 

 山﨑成美さん(鵜住居小6年)は「ヨットは意外とスピードが出た。風向きによって(帆がうまく風を捉えられるよう)方向転換するのが大変だったけど、楽しかった。また乗ってみたい」と目を輝かせた。

 

 長野大の4年生で、箱崎町の実家に帰省中の小林啓太さん(21)は「海の素晴らしさを肌で感じ、自然と一体になる感覚が最高」と初めてのヨット走行を満喫。震災時は釜石東中の3年生で、根浜の惨状も目の当たりにした。「完全復興にはまだまだ時間がかかるだろうが、防潮堤が整い、海のレジャー客もちらほらと見え始めている。前のようなにぎわいが復活してほしい」と思いを込めた。

 

 同教室は昨年の岩手国体を見据え、選手候補となるジュニアを育成しようと始められたが、3年続けたところで震災が発生。所有するヨットが流され、クラブの活動自体も存続が危ぶまれたが、各地の仲間の支援で活動を再開し、今年は念願だった本格的な体験教室を実現させた。

 

 「当初、子どもたちが集まるか心配もあったが、予想以上に反響があった」と手応えを実感する三浦会長。「クラブのメンバーが年を重ねていく中で、釜石のヨット活動継続には小・中学生など若い世代に『ヨットをやりたい』と思ってもらえるような取り組みが必要。県民大会などに出場できる選手も育てたい。教室も年に2、3回開催できれば」と、若手への競技普及に意欲を見せた。

 

(復興釜石新聞 2017年8月2日発行 第610号より)

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

前半、強烈なモールから2つのトライを奪った釜石SWのFW陣。東海大を逆転で下した

釜石シーウェイブス 東海大を突き放す、ラグビッグドリーム〜小村HC「必死さ まだまだ」奮起促す

前半、強烈なモールから2つのトライを奪った釜石SWのFW陣。東海大を逆転で下した

前半、強烈なモールから2つのトライを奪った釜石SWのFW陣。東海大を逆転で下した

 

 釜石ラグビッグドリーム2017(同実行委主催)は7月30日、釜石市球技場で行われ、釜石シーウェイブス(SW)RFCが昨年度ラグビー全国大学選手権準優勝の東海大を34―24(前半14―10)で下した。9月に開幕するトップチャレンジリーグへ向け、8月は東京に遠征して強化試合に臨む釜石。東海大戦は、遠征へ向けたメンバーのセレクションマッチと位置付けたが、小村淳ヘッドコーチ(HC)は「まだまだ必死さが足りない」と、さらなる奮起を選手に求めた。

 

 開始直後にPGで先制された釜石は前半8分、相手ゴールラインを目の前にしたモールを押し込み、FW中村彰がトライ。13分にも同じような形から中村がインゴールでボールを押さえた。

 

 その後1トライを奪われ、14―10で折り返した釜石。後半7分には逆に自陣ゴール前からモールを押し込まれてトライを許し、14―17と逆転される。

 

 しかし24分、FW中野裕太が密集から豪快に走り抜け、左隅にトライ。35分には、後半から入ったFW佐々木拓磨がゴールポストまで回り込んでトライ。終了間際にも1PGを加え、最後は10点差で突き放した。

 

 「学生相手とあって、無理なパスからトライを取り急ぐケースが多々あった」。地元ファンの大きな声援を受け、何とか逆転勝利にこぎ着けたものの、小村HCの口から出るのは反省点ばかり。

 

 春から取り組んで来た、セットピース(スクラム)からの得点。前半は、この得意の形から2つのトライを奪ったが、メンバーを大幅に入れ替えた後半は逆にモールで押し込まれ、失点する場面もあった。

 

 「後半は、ラインスピードを上げ切れず、しんどい選手との差が出た」と小村HC。苦しい展開の中、何度も体を張ったプレーで突破口を開いたナンバーエイト中野裕太、フランカー木村優太の運動量は高く評価した。

 

 「プレッシャーがかかる中で、いかにプレーの精度を上げていくか」と小村HC。今月4日から12日まで茨城県鹿島市でキャンプ。この間にNEC、日本IBM、日野自動車と強化試合を重ねる。

 

 【釜石SWメンバー】

①高橋拓也②中村彰③佐々木和樹④菅原貴広⑤佐々木陽丞⑥伊藤剛臣⑦木村優太⑧中野裕太⑨南篤志⑩中村良真⑪小野航大⑫ロコツイ・シュウペリ⑬佐々木裕次郎⑭菅原祐輝⑮ジョー・ピーターセン
▽リザーブ=マヘ・トゥビ、原遼太郎、水本裕也、畠山克己、高橋聡太郎、須田康夫、佐々木拓磨、スコット・ゲイル、村田賢史、氏家柊太、関東申峻、權正赫、村田オスカロイド

 

後半、"先生選手"の佐々木拓磨が会心のトライを決める

後半、”先生選手”の佐々木拓磨が会心のトライを決める

 

 小佐野小で教壇に立ちながらプレーする佐々木拓磨(31)が会心のトライ。スタンドから必死に声援を送る教え子らは「ナイストライ!」と歓声を上げた。

 

 秋田ノーザンブレッツとの練習試合でもトライを挙げているが、その時はスタンドに教え子がいなかった。「きょうはバテバテでしたが、ほんとにうれしかった」。噴き出る汗を気持ち良さそうに拭いた。

 

 平日は授業をこなしながら、夕方から、週4回のチーム練習に駆けつける。この日も午前中、子どもらのタグラグビーのコーチをしてから試合に臨んだ。小村HCも「しんどい中で、よくやってる」とエールを送る。

 

(復興釜石新聞 2017年8月2日発行 第610号より)

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

特別仕様のナンバープレートを取り付けた公用車を前に野田市長(右)と佐々木議長

『20-19』特別ナンバーお披露目〜市長・市議会議長公用車、ラグビーW杯盛り上げ

 特別仕様のナンバープレートを取り付けた公用車を前に野田市長(右)と佐々木議長

特別仕様のナンバープレートを取り付けた公用車を前に野田市長(右)と佐々木議長

 

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019釜石開催の成功に向けた機運醸成の取り組みとして、釜石市は公用車15台を大会のロゴマークが入った特別仕様のナンバープレートに交換する。特別仕様に変更された市長車、議長車のお披露目会が27日、市役所で行われ、野田武則市長が市職員らに装着をPR。「開催地としてW杯を盛り上げていこう」と呼び掛けた。

 

 特別仕様のナンバープレートは、国土交通省が4月から交付。デザインはロゴが右上についたタイプのほか、千円以上の寄付をすれば左側にもラグビーボールと富士山、日の丸をイメージした図柄が大きくあしらわれたものを選べる。寄付金は試合会場までの輸送力増強などに充てられる。

 

 料金は地域で異なり、県内は8800円(取り付け費は別)。購入は専用ウェブサイトなどで受け付けている。東北運輸局によると5月末現在、全国で7万25件、12開催都市が含まれる都道府県で1万5214件、県内では792件の申し込みがあった。

 

 大会まで2年余りとなったが、試合会場の一つとなる釜石での盛り上がりはいま一つ。野田市長も市民、県民への浸透具合は課題とした上で、「W杯は復興へ前向きに進む姿勢や支援への感謝を伝える絶好の機会になる。公用車に取り付けられたプレートを見て、市民一人一人が参画意識、おもてなしの気持ちを持っていただければ。成功に向け、機運をもっと醸成していきたい」と話した。

 

 市では残りの13台への取り付けを9月まで随時実施する。また、市役所本庁舎内の入り口にラグビーの試合で使用される公式球を置いており、「自由に触れてみてください」と呼び掛けている。

 

(復興釜石新聞 2017年7月29日発行 第609号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

本設の営業再開を喜ぶ来場者に笑顔で応じる桑畑眞一さん

老舗本屋、本設再出発「まちの文化」発信拠点に〜被災の桑畑書店

本設の営業再開を喜ぶ来場者に笑顔で応じる桑畑眞一さん

本設の営業再開を喜ぶ来場者に笑顔で応じる桑畑眞一さん

 

 東日本大震災の津波で釜石市只越町にあった店舗が全壊し、大只越町の仮設店舗で営業を続けてきた桑畑書店が24日、大町の本設店舗に移り、再スタートを切った。全てを失っても廃業は考えず、小さいながらも構えた仮店舗で市民らに読書、活字文化を届け続けて6年余り。本設という目標にやっとたどり着いた。店主の桑畑眞一さん(63)は「感慨よりも、これからの不安が大きい」と話しつつ、「気軽に入れる、本を待っているお客さんの要望に応えられる店にしたい」と力を込める。

 

 同書店は、桑畑さんの祖父が1935年に創業した。95年には2階建てに改築。売り場は約230平方メートル、事務所と2階ホールを合わせると約330平方メートルになり、市内では最大規模の書店だった。児童書や参考書を中心に品ぞろえを充実させ、ホールでは作家の講演会やコンサート、絵本の読み聞かせ会などが開かれ、まちの文化活動の拠点にもなった。

 

 震災では店舗、隣接する自宅とともに在庫約5万冊の書籍も流された。が、がれきの中から1冊だけ顧客名簿を発見。その名簿と記憶を頼りに自転車でかつての常連客約500人を訪ねて回った。雑誌の定期購読者も多く、「いつから配達するの?」「ぜひ店を再開して」と望む声が多かったという。

 

 桑畑さんは「何か考えている余裕はない。とにかく続ける」との思いで、震災から1カ月後、鈴子町に事務所を確保。注文があれば1冊から本を届け続けた。

 

 その7カ月後の11月には、プレハブの仮設店舗「青葉公園商店街」内に約30平方メートルの小さな店を構えた。桑畑さんは「前進はしたけど、売り上げは震災前の3分の1程度。いつつぶれてもおかしくない」と振り返る。震災後に開店した大型店に客が流れ、周辺の人通りはまばら。電子書籍やインターネット販売の伸びも、書店販売の落ち込みに影響したという。

 

 「在庫をそろえるだけで何千万円もかかる」「後継者もいないのに建物を残すのは嫌だ」。自宅があった場所での本設再建、店舗は持たず配達のみにするか―と悩み続け6年余り。予算的に挑戦できなかったとの悔いも残るが、「テナントなら」と出店を決めた。

 

仮設で6年 再開望む声に応え

 

大町災害公営住宅1階にオープンした新店舗

大町災害公営住宅1階にオープンした新店舗

 

 新店舗は大町1丁目の災害公営住宅の1階。売り場は約50平方メートルの広さだが、本棚には約1万冊の書籍、雑誌などが並ぶ。営業時間は午前10時から午後7時。ようやく開店にこぎ着けたが、「活字離れが進み、震災前に比べ並ぶ本の数も少なくなる中、客は来てくれるのか」と、桑畑さんの心配は絶えない。

 

 初日は午前9時半に開店。たまたま通りかかって開店を知った甲子町の30代の女性は、小さい頃から本の注文で世話になっていたといい、「いつの間にここに。また来ます」と、うれしそうに桑畑さんと言葉を交わした。野田町の佐藤裕子さん(63)は「地元に古くからある店が立ち上がってくれて、うれしい。買うことが再出発の一番のお祝いになるかと思って」と絵本など4冊を購入。これまではネットで注文していたが、手に取り選ぶ良さも実感していた。

 

 21日から3日間行った引っ越し作業には、中学、高校時代の同級生や震災後に出会った人ら約30人がボランティアでお手伝い。「震災で失ったものは多いが、いろんな人との出会いもあった。店があれば出会いもある。そういう縁を大切にしたい」と話した。

 

(復興釜石新聞 2017年7月29日発行 第609号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3