釜石港で夜釣りを楽しむ人たちに注意を呼びかけ
釜石海上保安部などは11月22日夜、海中への転落事故を防ごうと、釜石市の釜石港で合同パトロールを行った。釣り中の事故の約半数は夜間に発生しているといい、日没が早くなり気象条件も厳しくなる冬季に啓発を強化。イカ、ドンコ、サバ…岸壁で夜釣りを楽しむ人たちに事前の装備や心構えの必要性を伝えた。
釜石海保と釜石警察署、釜石市、県沿岸広域振興局の11人が港内を巡り、釣り人に啓発グッズを配布。▽ライフジャケットの着用▽複数人で行動▽気象・海象の確認▽危険な場所には立ち入らない―と気をつけてほしいことをまとめたチラシも添えながら、「足元が暗いので気をつけてください。十分な明るさの照明器具も準備して安全確保をお願いします」などと注意を促した。
海中転落事故を防ぐための注意事項をまとめたチラシ
釣り中の事故で多いのが海中転落。原因は岸壁などからの足の踏み外しや照明器具の不使用、磯場など滑りやすい場所での転倒、気象悪化が予想される中での活動など自己の過失によるものが多い。また、単独ではなく複数人で行動することで、生存率が2倍以上高まるといい、「仲間や家族と一緒に楽しんで」と呼びかける。
釣り人に声がけする釜石海上保安部の職員ら
岩手県内では昨年までの5年間に釣り人の海中転落事故が15件発生し、うち8件が夜間に起きている。冬季は海水温も低下するため、転落すると低体温症の危険性が高まり、命に関わる事故につながる恐れも。周囲が暗いため、発見が遅れる場合もある。こうしたことを踏まえ、第二管区海上保安本部の管内では11月を「釣り海難防止活動期間」として重点的に啓発活動を展開。釜石での活動もその一環で行った。
釜石海保交通課によると、今年県内で夜釣り中に発生した海への転落事故は3件で、うち2件が釜石での事案。6月10日(箱崎町・仮宿漁港)と11月13日(釜石港)に県内陸部の男性2人(40代と70代)が事故に遭った。どちらもライフジャケットは未着用だった。17日に久慈市で発生した事故では70代の男性が亡くなった。
休み前日の夜は釜石港にも釣り人の姿や車がずらり
夜釣りを楽しむために安全確保もしっかりと
この日は唐丹漁港も巡回。同課の佐藤辰也課長は「救命胴衣を着ていない人が多かった。『自分は大丈夫』ではなく、死に直結する事故になることもあるので、着用を心がけてほしい」と求めた。万一に備え、海の緊急通報用電話番号「118番」を覚えておき、「適正に利用してほしい」と加える。